JP2018205350A - 反射型マスクブランク、反射型マスクの製造方法、マスクブランク、マスクの製造方法、半導体装置の製造方法、レジスト除去装置、及びレジスト除去方法 - Google Patents

反射型マスクブランク、反射型マスクの製造方法、マスクブランク、マスクの製造方法、半導体装置の製造方法、レジスト除去装置、及びレジスト除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レジスト膜付きの反射型マスクブランクにおいて、基準マークの検出を容易かつ確実に行うことが可能であり、欠陥の座標管理を高精度で行うことができる反射型マスクブランクを提供する。【解決手段】上記反射型マスクブランクは、基板上にEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜が形成され、吸収体膜の上には電子線描画用レジスト膜が形成されている。上記反射型マスクブランクには欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、上記レジスト膜は、基準マーク上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置等の製造に用いられる反射型マスクブランク、反射型マスクの製造方法、マスクブランク、及びマスクの製造方法、並びに、これらのマスクブランクの製造に好適なレジスト除去装置、レジスト除去方法に関する。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィ法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚ものフォトマスクと呼ばれている転写用マスクが使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィ法が用いられている。
フォトリソグラフィ法による転写用マスクの製造には、ガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するマスクブランクが用いられる。このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造は、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す描画工程と、描画後、前記レジスト膜を現像して所望のレジストパターンを形成する現像工程と、このレジストパターンをマスクとして前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存するレジストパターンを剥離除去する工程とを有して行われている。上記現像工程では、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し所望のパターン描画を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターンを形成する。また、上記エッチング工程では、このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング又はウェットエッチングによって、レジストパターンの形成されていない薄膜が露出した部位を除去し、これにより所望のマスクパターンを透光性基板上に形成する。こうして、転写用マスクが出来上がる。
また、転写用マスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリ型マスクのほかに、位相シフト型マスクが知られている。この位相シフト型マスクは、透光性基板上に位相シフト膜を有する構造のもので、この位相シフト膜は、所定の位相差を有するものであり、例えばモリブデンシリサイド化合物を含む材料等が用いられる。また、モリブデン等の金属のシリサイド化合物を含む材料を遮光膜として用いるバイナリ型マスクも用いられるようになってきている。
また、近年、半導体産業において、半導体デバイスの高集積化に伴い、従来の紫外光を用いたフォトリソグラフィ法の転写限界を上回る微細パターンが必要とされてきている。このような微細パターン形成を可能とするため、極紫外(ExtremeUltra Violet:以下、「EUV」と呼ぶ。)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。このEUVリソグラフィにおいて用いられるマスクとして反射型マスクが提案されている。このような反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、該多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成されたものである。
以上のように、リソグラフィ工程での微細化に対する要求が高まることにより、そのリソグラフィ工程での課題が顕著になりつつある。その1つが、リソグラフィ工程で用いられるマスクブランク用基板等の欠陥情報に関する問題である。
従来は、ブランクス検査等において、基板の欠陥の存在位置を、基板センターを原点(0,0)とし、その位置からの距離で特定していた。このため、位置精度が低く、装置間でも検出のばらつきがあり、パターン描画時に、欠陥を避けてパターン形成用薄膜にパターニングする場合でもμmオーダーでの回避は困難であった。このため、パターンを転写する方向を変えたり、転写する位置をmmオーダーでラフにずらして欠陥を回避していた。
このような状況下、欠陥位置の検査精度を上げることを目的に、例えばマスクブランク用基板に基準マークを形成し、これを基準位置として欠陥の位置を特定する提案がなされている。
特許文献1には、球相当直径で30nm程度の微小な欠陥の位置を正確に特定できるように、EUVリソグラフィ用反射型マスクブランク用基板の成膜面に、大きさが球相当直径で30〜100nmの少なくとも3つのマークを形成することが開示されている。
国際公開2008/129914号公報 特開2013−219339号公報
上記特許文献1に開示されている方法によりマスクブランクの欠陥位置の検査精度を上げることは理論的には可能である。しかし、マスクブランク用基板等に基準マークを形成し、この基準マークと欠陥の相対位置を高い精度で管理(座標管理)するためには、基準マークが検出し易く、換言すれば確実に検出することができ、しかも基準マークを元にした欠陥検出位置のばらつきが小さいことが要求される。
また最近では、マスクブランクの欠陥データとデバイスパターンデータとを元に、欠陥が存在している箇所に吸収体パターンが形成されるように描画データを補正して、欠陥を軽減させる試み(Defect mitigation technology)が提案されている。上述の技術を実現するためには、多層反射膜上に吸収体膜が形成され、さらに吸収体パターンを形成するためのレジスト膜が形成されたレジスト膜付きマスクブランクの状態で、電子線描画機においても電子線で基準マークを検出し、検出した基準点に基づいて、補正・修正した描画データを元に電子線描画が行われるが、基準マークについても、電子線走査に対してコントラストが十分に得られる必要がある。
ところが、通常、マスクブランク上の略全面にレジスト膜が形成されるが、特にレジスト膜は他の薄膜に比べて膜厚が厚いため、基準マークが埋もれてしまい、基準マークの検出が困難であったり、また凹形状で形成した基準マークの深さが浅い場合や凸形状で形成した基準マークの高さが低い場合には検出できなかったりすることがある。また、電子線や検査光の走査によるレジストへのダメージ、レジストの感光による検査精度が劣化する恐れがある。さらに、レジスト上では、電子線によるチャージアップが起こり、これが原因で基準マークの検出精度が劣化する恐れがある。
上記特許文献2には、基準マークの形成箇所を含む領域上にはレジスト膜が形成されていない反射型マスクブランクが開示されている。特許文献2に開示の反射型マスクブランクによれば、基準マークの信号が小さい場合、電子線の強度を上げて検出感度を高める効果が期待できる。しかし、特許文献2に記載されている不要レジスト膜の除去方法では、基準マークの形成箇所を含む領域のみならず基板外周部のレジスト膜も除去されてしまうため、基板外周部にバーコード等の補助パターンを描画することができないという別の問題が生じる。また、反射型マスクブランクの場合には、基板の外周部にレジスト膜が形成されていないと、反射型マスクを作製した際に、多層反射膜の側壁が露出する場合があり、膜剥がれ等が発生するという問題が生じる。
そこで本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第一に、レジスト膜付きの反射型マスクブランクやマスクブランクにおいて、基準マークの検出を容易かつ確実に行うことが可能であり、欠陥の座標管理を高精度で行うことができる反射型マスクブランク及びマスクブランクを提供することであり、第二に、これらマスクブランクを使用し、膜剥がれ等が発生することもなく、欠陥を低減させた反射型マスク及びマスクの製造方法を提供することである。また、基板上に形成された電子線描画用のレジスト膜を局所的(スポット的)に除去することができ、例えば上記の反射型マスクブランクやマスクブランクの製造に好適なレジスト除去装置及びレジスト除去方法を提供することも目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、特に基準マークの形成領域に着目し、基準マークの形成領域を回避してマスクブランク上にレジスト膜を形成するとともに、そのレジスト膜の形成領域にも着目して、鋭意検討を続けた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
基板と、該基板上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜とを備える反射型マスクブランクであって、前記吸収体膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜を備え、前記反射型マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記レジスト膜は、前記基準マーク上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域を有することを特徴とする反射型マスクブランク。
(構成2)
前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、略円形状又は略角形状であることを特徴とする構成1に記載の反射型マスクブランク。
(構成3)
前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、円形状であり、直径4mm以下であることを特徴とする構成2に記載の反射型マスクブランク。
(構成4)
前記基準マークは、大きさが6インチ角の反射型マスクブランクにおいて、外周部端面から5mm以上内側に形成されることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
(構成5)
前記基準マークは、前記多層反射膜に形成されることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
(構成6)
前記基準マークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
(構成7)
構成1乃至6のいずれかに記載の反射型マスクブランクを用いて、電子線描画及び現像によってレジストパターンを形成する工程と、前記吸収体膜をパターニングする工程と、欠陥検査装置による検査工程とを有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
(構成8)
基板と、該基板上に形成された転写パターンとなる薄膜とを備えるマスクブランクであって、前記薄膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜を備え、前記マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記レジスト膜は、前記基準マーク上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域を有することを特徴とするマスクブランク。
(構成9)
前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、略円形状又は略角形状であることを特徴とする構成8に記載のマスクブランク。
(構成10)
前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、円形状であり、直径4mm以下であることを特徴とする構成9に記載のマスクブランク。
(構成11)
前記基準マークは、大きさが6インチ角のマスクブランクにおいて、外周部端面から5mm以上内側に形成されることを特徴とする構成8乃至10のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成12)
前記基準マークは、前記薄膜に形成されることを特徴とする構成8乃至11のいずれかに記載のマスクブランク。
(構成13)
構成8乃至12のいずれかに記載のマスクブランクを用いて、電子線描画及び現像によってレジストパターンを形成する工程と、前記薄膜をパターニングする工程と、欠陥検査装置による検査工程とを有することを特徴とするマスクの製造方法。
(構成14)
構成7に記載の反射型マスクの製造方法により製造された反射型マスク、又は、構成13に記載のマスクの製造方法により製造されたマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(構成15)
基板上に形成された電子線描画用のレジスト膜を局所的に除去するレジスト除去装置であって、レジスト膜を溶解除去するための溶媒を前記レジスト膜の不要レジスト部に吐出する溶媒吐出部と、前記溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液を吸引して排出する排液吸引部とを備え、前記レジスト膜の不要レジスト部を、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去することを特徴とするレジスト除去装置。
(構成16)
前記溶媒吐出部の吐出ノズルの直径と前記排液吸引部の吸引ノズルの直径とが異なり、前記吐出ノズルの中心軸と前記吸引ノズルの中心軸とが一致するように配置されることを特徴とする構成15に記載のレジスト除去装置。
(構成17)
前記吐出ノズルと前記吸引ノズルの各々の水平断面形状は同一形状であり、かつ略円形状又は略角形状であることを特徴とする構成16に記載のレジスト除去装置。
(構成18)
前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜と、該吸収体膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されている反射型マスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする構成15乃至17のいずれかに記載のレジスト除去装置。
(構成19)
前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成された転写パターンとなる薄膜と、該薄膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されているマスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする構成15乃至17のいずれかに記載のレジスト除去装置。
(構成20)
基板上に形成された電子線描画用のレジスト膜を局所的に除去するレジスト除去方法であって、レジスト膜を溶解除去するための溶媒を吐出する吐出ノズルを用いて、前記溶媒を前記レジスト膜の不要レジスト部に給液して不要レジスト部のレジスト膜を溶解させ、前記溶媒によって溶解されたレジスト液を吸引して排出する吸引ノズルを用いて、前記溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液を吸引して排出させることにより、前記レジスト膜の不要レジスト部を、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去することを特徴とするレジスト除去方法。
(構成21)
前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜と、該吸収体膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されている反射型マスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする構成20に記載のレジスト除去方法。
(構成22)
前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成された転写パターンとなる薄膜と、該薄膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されているマスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする構成20に記載のレジスト除去方法。
本発明によれば、レジスト膜付きの反射型マスクブランクやマスクブランクにおいて、上記レジスト膜は、基準マーク上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域を有することにより、基準マークの検出を容易かつ確実に行うことが可能であり、欠陥の座標管理を高精度で行うことができる反射型マスクブランク及びマスクブランクを提供することができる。
また、本発明によれば、これらマスクブランクを使用し、これらの欠陥情報に基づき、描画データの修正、修正データによる電子線描画を行なうことで欠陥を低減させることができ、さらに膜剥がれ等が発生することもない反射型マスク及びマスクを提供することができる。
また、本発明によれば、基板上に形成された電子線描画用のレジスト膜を局所的(スポット的)に除去することができ、例えば上記の反射型マスクブランクやマスクブランクの製造に好適なレジスト除去装置及びレジスト除去方法を提供することができる。
本発明の反射型マスクブランクの一実施形態の構成を示す平面図である。 本発明の反射型マスクブランクの一実施形態の構成を示す断面構成図である。 基準マークの形状例を示す図である。 基準マークを構成するメインマークの形状例を示す図である。 基準マークを用いた基準点を決定する方法を説明するための図である。 レジスト除去装置の一実施形態を示す構成図である。 図6中の二重管ノズルの拡大構成図である。 (a)及び(b)はレジスト除去装置による作用を説明するための模式図である。 レジスト除去装置の他の実施形態を示す構成図である。 図9中の二重管ノズルの拡大構成図である。 本発明の反射型マスクブランクを用いて製造された反射型マスクの断面構成図である。 本発明のマスクブランクの一実施形態の構成を示す断面構成図である。 本発明のマスクブランクを用いて製造されたバイナリマスクの断面構成図である。 図7に示す二重管ノズルの先端部の拡大図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
[反射型マスクブランク]
本発明に係る反射型マスクブランクは、上記構成1にあるとおり、基板と、該基板上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜とを備える反射型マスクブランクであって、前記吸収体膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜を備え、前記反射型マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、前記レジスト膜は、前記基準マーク上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域を有することを特徴とするものである。
本発明に係る反射型マスクブランクの膜構成は、基板上に、少なくともEUVを反射する多層反射膜と、EUV光を吸収する吸収体膜と、電子線描画用のレジスト膜とを有する構成であればよく、後述の下地層や、多層反射膜上に形成される保護膜や、吸収体膜とレジスト膜との間に形成されるエッチングマスク膜等の他の膜を有する構成であってもよい。
図1は、本発明の反射型マスクブランクの一実施形態の構成を示す平面図であり、また、図2はその外周部付近の断面構成図である。
図1及び図2に示される本発明の一実施形態の反射型マスクブランク10では、基板1と、該基板1上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜2及びEUV光を吸収する吸収体膜3とを備え、さらに吸収体膜3上に形成された電子線描画用のレジスト膜4を備えている。
また、図1においては、一例として、上記反射型マスクブランク10主表面の外周側の破線Aで示す領域(転写パターンが形成されるパターン形成領域)の外側に位置する非転写パターン形成領域上であって、上記反射型マスクブランク10の各コーナー近傍の4箇所に、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マーク5がそれぞれ形成されている。図1では、一例として、全体が十字形状の基準マーク5を示している。また、図2に示すように、本実施の形態では、上記基準マーク5は、反射型マスクブランク10の多層反射膜2を構成する一部の膜を除去した断面が凹部形状で形成されている。また、上記多層反射膜2上に積層された上記吸収体膜3においても、多層反射膜2に形成された上記基準マーク5上の領域は凹部形状となっている。
本発明の反射型マスクブランク10において特徴的な構成は、吸収体膜3上に形成された上記レジスト膜4は、上記基準マーク5上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域6を有することである。つまり、上記基準マーク5の形成箇所を含む領域上のレジスト膜4が局所的(スポット的)に除去されたレジスト膜未形成領域6となっており、そのため、上記レジスト膜4は、上記基準マーク5の形成領域を回避して、上記レジスト膜未形成領域6を除いた領域に形成されている。
上記基準マーク5上の領域には上記レジスト膜4が形成されていないレジスト膜未形成領域6を有する構成とすることにより、基準マークの検出時に、電子線や検査光が吸収体膜上を走査することになるため、レジスト膜上を走査することによるチャージアップ、不必要なレジスト感光などの不具合を回避することができる。その結果、電子線描画機、光学式の欠陥検査装置のいずれでも基準マークを容易かつ確実に検出でき、しかも基準マークの検出精度が向上し、電子線、欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができ、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきを小さく(例えば100nm以下に)抑えることが可能となるため、欠陥の座標管理を高精度で行うことができる。
また、上記のように、本発明の反射型マスクブランク10においては、上記基準マーク5上の領域のレジスト膜4が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去され、つまり、上記基準マーク5上の領域のレジスト膜4が局所的(スポット的)に除去されたレジスト膜未形成領域6となっている。従って、反射型マスクブランク外周部のレジスト膜は除去されないため、基板外周部にバーコード等の補助パターンを描画することができる。また、反射型マスクブランクの外周部は全周に亘ってレジスト膜が形成されているため、反射型マスクを作製した際に、例えば多層反射膜の側壁が露出して膜剥がれ等が発生するという問題は生じない。
上記レジスト膜未形成領域6の水平断面形状は、例えば略円形状、又は四角形状、三角形状等の略角形状であることが好ましい。角形状の場合、角部は丸み(R)が形成されることが好ましい。角部が丸みを形成していると、発塵がしにくい。
上記レジスト膜未形成領域6は、例えば、レジスト膜の所定領域(不要レジスト部)に対して、レジスト膜を溶解する溶媒を給液して不要レジスト部のレジスト膜を溶解させ、溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液を吸引して排出させることによって形成することが可能である。このようなレジスト膜未形成領域6の形成に好適なレジスト除去装置及びレジスト除去方法については、後述する。
図1に示すように、本実施の形態では、上記レジスト膜未形成領域6の水平断面形状は円形状である。この場合、直径は4mm以下であることが好ましい。その理由は、以下に説明するように、基準マーク5の形成箇所と関係する。
上記基準マーク5は、例えば大きさが6インチ角(約152.4mm×152.4mm)の反射型マスクブランクにおいては、面取り面の幅と、パターン転写領域の事情から、外周部端面から5mm以上内側に形成されることが好適である。また、他の種類の認識マークと交差する可能性を考慮すると、外周部端面から8mm以上内側に形成されることがより好ましい。
例えば、大きさが6インチ角(約152.4mm×152.4mm)の反射型マスクブランクにおいて、上記基準マーク5が外周部端面から8mm内側に形成され、上記レジスト膜形成領域6の水平断面形状が円形状である場合、上記のとおり、その直径は4mm以下であることが好ましい。その直径が4mmよりも大きいと、上記レジスト膜未形成領域6が、大きさ6インチ角の反射型マスクブランクにおける通常のパターン形成領域と交差する可能性がある。
本発明において、上記基準マーク5及び上記レジスト膜未形成領域6の個数は特に限定されない。基準マーク5については、最低3個必要であるが、3個以上であっても構わない。本実施形態のように、各コーナー近傍の4箇所にそれぞれ基準マーク5を形成することも好ましい。また、上記レジスト膜未形成領域6についても同様である。
ここで、上記基準マーク5の構成についてもう少し詳しく説明する。
図3は、上記基準マーク5の形状例を示す図である。
図3(a)のような十字形状の基準マークが代表的な例である。また、同図(b)のようなL字形状や、同図(c)に示すようなメインマーク5aの周囲に4つの補助マーク5b〜5eを配置したものや、同図(d)に示すようなメインマーク5aの周囲に2つの補助マーク5b、5cを配置した基準マークとすることもできる。なお、本発明ではこのような基準マークの形状例に勿論限定されるわけではない。
また、図4は、上記メインマークの形状例を示しているが、点対称の形状であることが好ましい。同図(a)のような正方形又はその角部が丸みを帯びた形状が代表的な例である。また、同図(b)に示すような円形や、同図(c)に示すような菱形、同図(d)に示すような八角形の形状や、同図(e)に示すような十字形状であってもよい。本発明は、このような形状例に限定するわけではない。
また、図3(a)の十字形状や同図(b)のL字形状、同図(c)及び(d)のようにメインマーク5aの周囲に配置される補助マーク5b〜5e(あるいは5b、5c)は、電子線(電子線描画装置)又は欠陥検査光の走査方向(例えば図5におけるX方向及びY方向)に沿って配置されることが好ましく、特に電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることが好適である。上記基準マーク5が、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して垂直な長辺と平行な短辺を有する矩形状であることにより、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により容易かつ確実に検出することができる。
この場合、長辺は、電子線描画機、欠陥検査装置のできるだけ最小回数の走査により検出可能な長さであることが望ましい。例えば、上記基準マーク5は、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することが好ましい。長辺の長さが短いと、例えば200nm未満であると、電子線描画機、欠陥検査装置の走査により基準マークを検出し難い場合がある。一方、長辺の長さが長いと、例えば、10μmを超えると、欠陥検出位置のばらつきが大きくなる。さらに、基準マークの形成方法によっては加工時間が長くなるので好ましくない。
なお、上記基準マーク5は、本実施形態のように断面形状を凹形状とし、基準マークの高さ方向に所望の深さを設けることで認識し得る基準マークとすることが望ましい。電子線や欠陥検査光による検出精度を向上させる観点から、凹形状の底部から表面側へ向かって広がるように形成された断面形状であることが好ましく、この場合の基準マークの側壁の傾斜角度は75°以上であることが好ましい。さらに好ましくは、80°以上、さらに好ましくは、85°以上とすることが望ましい。
また、図5は、この基準マーク5を用いた基準点を決定する方法を説明するための図である。
上記基準マーク5を用いて、欠陥位置の基準となる基準点は次のようにして決定される(図5を参照)。なお、ここでは、十字形状の基準マークを一例として挙げている。
上記基準マーク5上を電子線、あるいは欠陥検査光がX方向、Y方向に走査し、検出された基準マーク5上の交点(通常、基準マークの略中心)をもって基準点を決定する。
上記基準マーク5を形成する位置は特に限定されない。例えば上記反射型マスクブランク10の場合、基板1、下地層(後述)、多層反射膜2、保護膜(後述)、吸収体膜3のいずれの位置でもよいが、以下の理由により、多層反射膜2に形成するのが好ましい。
EUV光を露光光として使用する反射型マスクにおいては、特に反射面となる多層反射膜や保護膜に存在する欠陥は、修正が殆ど不可能である上に、転写パターン上で重大な位相欠陥となり得るので、転写パターン欠陥を低減させるためには多層反射膜上又は保護膜上の欠陥情報が重要である。従って、少なくとも多層反射膜成膜後に欠陥検査を行い、欠陥情報を取得することが望ましい。そのためには、本実施形態のように(図2参照)、少なくとも多層反射膜2に上記基準マーク5を形成することが好ましい。
上記基準マーク5を形成する方法は特に限定されない。例えば断面形状が凹形状の基準マーク5を多層反射膜2に形成する場合、レーザー光や集束イオンビームによる凹部形成、フォトリソ法などで形成することができる。
また、基準マークの断面形状としては、凹形状に限らず、凸形状、又は凹形状と凸形状の混合などが挙げられる。この場合には、集束イオンビーム又はフォトリソ法などで形成することができる。
図2においては、多層反射膜2を構成する一部の膜を除去して基準マーク5が形成されている例を示しているが、多層反射膜2を構成する全ての層を除去して基準マーク5を形成してもよい。本発明は、深さが浅い又は高さが低い基準マーク5が形成されている場合に有効である。例えば、多層反射膜2又は後述の保護膜上に基準マーク5を設け、その深さ又は高さが例えば100nm以下、さらには50nm以下である場合、本発明が有効である。このような深さが浅い又は高さが低い基準マークは、加工時間等の点で有利であるが、エッジがなだらかなスロープになるため、その上に吸収体膜及びレジスト膜を形成すると、例えば電子線描画を行う際に電子線描画装置で基準マークを検出し難いという問題が生じる。本発明の反射型マスクブランクにおいては、上記基準マーク5の形成箇所を含む領域上のレジスト膜4が局所的(スポット的)に除去されたレジスト膜未形成領域6となっているため、基準マーク5の検出を容易に行うことができる。
なお、通常、上記吸収体膜3のパターニング或いはパターン修正の際に多層反射膜2を保護する目的で、多層反射膜2と吸収体膜3との間に保護膜を設けることが望ましい。このような保護膜の材料としては、ケイ素のほか、ルテニウムや、ルテニウムにニオブ、ジルコニウム、ロジウムのうち1以上の元素を含有するルテニウム化合物が好ましく用いられる。
この場合、多層反射膜2上に図示していない保護膜を形成した保護膜付きの多層反射膜付き基板に対して、上記基準マーク5を設けても構わない。この場合、保護膜と多層反射膜2を構成する一部の膜、又は全ての層を除去して、基準マーク5を形成する。例えば、保護膜をRu系の材料を使用して、フォトリソ法により形成する場合、加工速度等の観点から、多層反射膜2に対して基準マーク5を形成するのが好ましい。また、基準マーク5を集束イオンビームにより形成する場合は、生成物として炭素(C)が表層に付着する場合があるので、生成物を除去するための洗浄液(酸やアルカリ)に対して耐性のある多層反射膜2(表層はSi膜)に対して基準マーク5を形成するか、または、Ruに他の金属(例えば、Nb、Zr、B、Ti等)を添加したRu合金からなる保護膜が形成された多層反射膜付き基板に対して基準マーク5を形成するのが好ましい。
上記多層反射膜2は、低屈折率層と高屈折率層を交互に積層させた多層膜であり、一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。
例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。その他に、EUV光の領域で使用される多層反射膜として、Ru/Si周期多層膜、Mo/Be周期多層膜、Mo化合物/Si化合物周期多層膜、Si/Nb周期多層膜、Si/Mo/Ru周期多層膜、Si/Mo/Ru/Mo周期多層膜、Si/Ru/Mo/Ru周期多層膜などがある。露光波長により、材質を適宜選択すればよい。上記多層反射膜2は、例えばイオンビームスパッタリング法で形成することができる。
EUV露光用の場合、基板1としては、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±1.0×10−7/℃の範囲内、より好ましくは0±0.3×10−7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられ、この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO−TiO系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることが出来る。
基板1として上記ガラス基板を用いる場合、ガラス基板の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。EUV露光用の場合、ガラス基板の転写パターンが形成される側の主表面132mm×132mmの領域、若しくは142mm×142mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.05μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットする時に静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
また、上記ガラス基板としては、上記のとおり、SiO−TiO系ガラスなどの低熱膨張係数を有する素材が用いられるが、このようなガラス素材は、精密研磨により、表面粗さとして例えばRMSで0.1nm以下の高平滑性を実現することが困難である。そのため、ガラス基板の表面粗さの低減、若しくはガラス基板表面の欠陥を低減する目的で、ガラス基板の表面に図示していない下地層を形成することが好適である。このような下地層の材料としては、露光光に対して透光性を有する必要はなく、下地層表面を精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好となる材料が好ましく選択される。例えば、Si又はSiを含有するケイ素化合物(例えばSiO、SiONなど)は、精密研磨した時に高い平滑性が得られ、欠陥品質が良好なため、好ましく用いられる。特にSiが好ましい。
下地層の表面は、マスクブランク用基板として要求される平滑度となるように精密研磨された表面とすることが好適である。下地層の表面は、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.15nm以下、特に好ましくは0.1nm以下となるように精密研磨されることが望ましい。また、下地層の表面は、該下地層上に形成する多層反射膜2の表面への影響を考慮すると、最大表面粗さ(Rmax)との関係において、Rmax/RMSが2〜10であることが良く、特に好ましくは、2〜8となるように精密研磨されることが望ましい。
下地層の膜厚は、例えば75nm〜300nmの範囲が好ましい。
また、本実施形態の反射型マスクブランク10において、上記吸収体膜3は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料が好ましく用いられる。Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等が用いられる。
上記吸収体膜3は、単一層でも、異なる組成の積層膜(例えば、TaBN層とTaBO層の積層)としてもよい。
上記吸収体膜3は、例えばスパッタリング法で形成することができる。上記吸収体膜3の膜厚は、例えば25nm〜70nmの範囲が好ましい。
また、上記吸収体膜3と上記レジスト膜4との間にエッチングマスク膜を有していてもよい。エッチングマスク膜を有することにより、上記レジスト膜4を薄膜化でき、吸収体膜3に微細なパターンを高精度で形成することが可能になる。
このようなエッチングマスク膜は、上記吸収体膜3とはエッチング選択性のある材料で形成され、上記吸収体膜3が上記のタンタル系材料で形成される場合、エッチングマスク膜は、例えばクロム系材料で形成されることが好ましい。クロム系材料としては、クロム(Cr)単体またはクロム化合物(クロム酸化物、クロム窒化物、クロム酸窒化物、クロム炭化物など)が挙げられる。
上記エッチングマスク膜は、例えばスパッタリング法で形成することができる。また、上記エッチングマスク膜の膜厚は、例えば5nm〜15nmの範囲が好ましい。
上記のとおり、本実施形態に係る反射型マスクブランク10においては、上記吸収体膜3上に形成された電子線描画用のレジスト膜4を備え、該レジスト膜4は、上記基準マーク5上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域6を有する構成としている。従って、かかる構成の反射型マスクブランク10を得るために、例えば、通常の回転塗布法により、反射型マスクブランクの吸収体膜3上の全面に電子線描画用のレジスト膜4を形成し、次いで上記レジスト膜未形成領域6を形成する。
上記レジスト膜未形成領域6は、例えば、レジスト膜の所定領域(不要レジスト部)に対して、レジスト膜を溶解する溶媒を給液して不要レジスト部のレジスト膜を溶解させ、溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液を吸引して排出させることによって形成することが可能である。
次に、このようなレジスト膜未形成領域6の形成に好適なレジスト除去装置及びレジスト除去方法について詳述する。
<レジスト除去装置及びレジスト除去方法>
図6は、レジスト除去装置の一実施形態を示す構成図であり、図7は、図6中の二重管ノズルの拡大構成図である。また、図8は、上記レジスト除去装置による作用を説明するための模式図である。
図6に示すレジスト除去装置は、例えば反射型マスクブランク上に形成された電子線描画用のレジスト膜を局所的に除去するためのレジスト除去装置である。具体的には、レジスト膜を溶解除去するための溶媒を上記レジスト膜の不要レジスト部に吐出する溶媒吐出部と、溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液を吸引して排出する排液吸引部とを備える二重管ノズル37Aと、上記溶媒を二重管ノズル37Aに供給する給液系統と、二重管ノズル37Aから排出される溶解されたレジスト液等を排液する排液系統とを有している。
図6に示すように、本実施形態では、上記給液系統は、溶媒タンク30、フィルター31、ベントバルブ32、ストップバルブ33、バッファタンク34、ストップバルブ35、流量調整弁36、及び上記二重管ノズル37Aを接続して構成されている。また、上記排液系統は、上記二重管ノズル37A、気液分離層38、廃液バルブ39、流量調整弁40、流量計41、及びバキュームポンプ42を接続して構成されている。
上記二重管ノズル37Aは、図7に示すように、本体部が、内側の給液管51と外側の排液管52との二重管構造となっている。また、上記給液管51の先端部は吐出ノズル51aを有し、上記排液管52の先端部は吸引ノズル52aを有しており、これら先端部のノズルは、内側の吐出ノズル51aと外側の吸引ノズル52aとの二重ノズル構造となっている。従って、上記給液管51及び吐出ノズル51aは上述の溶媒吐出部を構成し、上記排液管52及び吸引ノズル52aは上述の排液吸引部を構成している。
本実施形態では、上記吐出ノズル51aと上記吸引ノズル52aの各々の水平断面形状はいずれも円形状であり、上記吸引ノズル52aの直径は上記吐出ノズル51aの直径よりも大きく、かつ、上記吐出ノズル51aの中心軸と上記吸引ノズル52aの中心軸とが一致するように配置されている。
なお、上記吐出ノズル51aと上記吸引ノズル52aの各々の水平断面形状は同一形状であり、かつ略円形状又は略角形状であることが好適である。これらノズルの水平断面形状は、形成される上記レジスト膜未形成領域6の水平断面形状とほぼ一致する。従って、水平断面形状が略円形状のレジスト膜未形成領域を形成させる場合には、上記吐出ノズル51aと上記吸引ノズル52aの水平断面形状が略円形状のものを用いるのが好ましく、水平断面形状が略角形状のレジスト膜未形成領域を形成させる場合には、上記吐出ノズル51aと上記吸引ノズル52aの水平断面形状が略角形状のものを用いるのが好ましい。
また、上記吐出ノズル51aと上記吸引ノズル52aの垂直方向の位置関係について、上記吐出ノズル51aの吐出面と上記吸引ノズル52aの吸引面とは、同一面上であることが好ましいが、レジスト膜未形成領域の大きさを調整する際に、吐出ノズル51aの吐出面を吸引ノズル52aの吸引面よりも高くしたり低くしたりして調整することも可能である。
次に、本実施形態のレジスト除去装置の動作・作用について説明する。
本発明に使用する上記溶媒は、レジスト膜を溶解する性質を有するものであれば特に制約はない。レジスト膜の種類にもよるが、本発明に適用される電子線描画用のレジスト膜の場合、通常、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、アセトン、メチルセロソルブアセテート(MCA)、等の有機溶剤を単独で、或いは適宜混合して用いる。
上記溶媒は、溶媒タンク30より供給され、フィルター31とストップバルブ33を介して、バッファタンク34に供給される。なお、配管内の余分な水分、蒸気等はベントバルブ32によって放出される。溶媒タンク30からバッファタンク34へは、薬液圧送用ポンプや加圧などの方法を用いて溶媒は供給される。また、溶媒タンク30からの溶媒供給は、ストップバルブ33にて制御を行う。
上記バッファタンク34に入った溶媒は、ストップバルブ35、流量調整弁36を介して、二重管ノズル37Aの給液管51に供給される。バッファタンク34から給液管51へは、薬液圧送用ポンプや加圧、自重などの方法を用いて溶媒は供給される。また、バッファタンク34からの溶媒供給は、ストップバルブ35にて制御を行う。
なお、溶媒タンク30から、フィルター31とストップバルブ33を介して直接上記給液管51に溶媒を供給するようにしてもよいが、二重管ノズル37Aからの溶媒の吐出安定性を考慮すると、本実施形態のように、途中に上記バッファタンク34を配置することが望ましい。
上記二重管ノズル37Aの給液管51に供給された溶媒は、給液管51先端部の吐出ノズル51aから、レジスト膜の所定領域(基準マーク位置上の領域の不要レジスト部、図8(a)参照)に吐出され、不要レジスト部のレジスト膜を溶解させる(図8(b)参照)。そして、溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液等は、吐出ノズル51aの外側の吸引ノズル52aから排液管52へとバキュームポンプ42などの吸気装置を用いて吸引される(図8(b)参照)。なお、図8(b)における吐出ノズル51aから下向きの矢印は溶媒の吐出方向、吸引ノズル52aに向かう上向きの矢印はレジスト液等の吸引方向を示している。
排液管52から吸引された不要レジスト部のレジスト液等は、気液分離層38に移動して、レジスト液と残った溶媒等は層の下に移動し、廃液バルブ39を介して排液される。他方、排気された空気は、バキュームポンプ42によって吸引される。排液のための吸引量は、流量調整弁40で調整でき、流量計41にて流量を確認することが可能である。
本実施形態では、上記のとおり、二重管ノズル37Aの給液管51先端部の吐出ノズル51aから、レジスト膜の所定領域(不要レジスト部)に溶媒が吐出されて、不要レジスト部のレジスト膜を溶解し、そして、溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液等は、吐出ノズル51aの外側の吸引ノズル52aから排液管52へと吸引排液される。これによって、レジスト膜の所定領域を局所的(スポット的)に除去し、上記レジスト膜未形成領域を形成することができる。なお、本実施形態では、吐出ノズル51aと吸引ノズル52aのノズル径の組み合わせによっても異なるが、不要レジスト部のレジスト液等を吸引排液するための吸引量を多くとることができ、残渣ができにくいという利点がある。
なお、上記二重管ノズル37Aの上記吐出ノズル51aと上記吸引ノズル52aの組み合わせが複数であって、複数個所を同時に処理するようにしてもよい。
また、上記二重管ノズル37Aの上記吐出ノズル51a及び上記吸引ノズル52aは、レジスト膜4の表面から1000μm以下程度離間した高さ(離間距離)に設置して処理を行うことが好ましく、500μm以下がより好ましい。上記離間距離は、レジスト膜を溶解除去した後のレジスト膜未形成領域の外周端部のフリンジ(盛り上がり)やレジスト膜未形成領域の中央部のレジスト残渣に特に影響し、これらのフリンジや残渣を少なくするために、200μm以下とすることが望ましく、140μm以下がより望ましい。また、上記離間距離が小さ過ぎると、溶解されたレジスト液を十分に吸引できないため、5μm以上が好ましい。
図14は、図7に示す二重管ノズル37Aの先端部の拡大図である。
さらに、図14に示す二重管ノズル37Aの吸引ノズル52a(外側ノズル)の外径ODaは、4mm以下が好ましく、2mm以下とすることがより好ましい。吸引ノズル52a(外側ノズル)の内径IDaは、3.95mm以下が好ましく、1.95mm以下とすることがより好ましい。二重管ノズル37Aの吐出ノズル51a(内側ノズル)の外径ODbは、3.9mm以下が好ましく、1.9mm以下とすることがより好ましい。吐出ノズル51a(内側ノズル)の内径IDbは、3.85mm以下が好ましく、1.85mm以下とすることがより好ましい。
また、吐出ノズル51aへ給液される給液量は、10ml/min以下が好ましく、5ml/min以下がより好ましい。さらに、上記給液量に対する吸引ノズル52aで吸引される吸引量の比率は、小さ過ぎると溶解されたレジスト液を吸引しきれずにレジスト未形成領域を形成することができなくなるため、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。また、給液量に対する吸引量の比率が大きすぎると、溶解が不十分でレジスト未形成領域を形成することができなくなるため、10以下が好ましく、2.0以下がより好ましい。
また、上記吸引ノズル52a及び吐出ノズル51aの組み合わせにおいて、吸引ノズル52aの吸引面積と吐出ノズル51aの吐出面積との差の絶対値が2mm以下が好ましく、0.7mm以下であることがより好ましい。また、吐出面積に対する吸引面積の比率は、約5以下であることが好ましい。なお、吐出面積(図14中にハッチングを付したBで示す領域)は、π×(IDb/2)で求められ、吸引面積(図14中にハッチングを付したAで示す領域)は、π×(IDa/2)−π×(ODb/2)で求められる。
上記のレジスト膜面に対するノズル高さ(上記離間距離)、吸引ノズル52a及び吐出ノズル51aの各外内径、給液量及び吸引量を変えることにより、レジスト膜未形成領域の大きさを基準マークが検出可能な大きさから直径4mm以下の大きさに調整することが可能である。
また、反射型マスクブランクに対する上記二重管ノズル37Aの相対移動は、例えば、X−Yステージによるノズルスキャンでもよいし、ターンテーブルによる基板回転でもよい。
以上説明したように、本実施形態のレジスト除去装置及びレジスト除去方法を適用することにより、反射型マスクブランク10において、上記吸収体膜3上に形成された電子線描画用のレジスト膜4の所定領域(上記基準マーク5上の領域)が局所的(スポット的)に除去され、つまり基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域6を容易に形成することができる。
また、図9は、レジスト除去装置の他の実施形態を示す構成図であり、図10は、図9中の二重管ノズルの拡大構成図である。
他の実施形態では、図10に示すように、二重管ノズル37Bは、本体部が、内側の排液管52と外側の給液管51との二重管構造となっており、上記給液管51の先端部は吐出ノズル51aを有し、上記排液管52の先端部は吸引ノズル52aを有している。そして、これら先端部のノズルは、内側の吸引ノズル52aと外側の吐出ノズル51aとの二重ノズル構造となっている。従って、上記吐出ノズル51aと上記吸引ノズル52aの各々の水平断面形状はいずれも円形状であるが、上記吐出ノズル51aの直径は上記吸引ノズル52aの直径よりも大きく、かつ、上記吐出ノズル51aの中心軸と上記吸引ノズル52aの中心軸とが一致するように配置されている。
他の構成は、上述の図6に示す実施形態と同様である。他の実施形態では、上記バッファタンク34に入った溶媒は、ストップバルブ35、流量調整弁36を介して、二重管ノズル37Bの外側の給液管51に供給される。上記二重管ノズル37Bの給液管51に供給された溶媒は、給液管51先端部の吐出ノズル51aから、レジスト膜の所定領域(基準マーク位置上の領域の不要レジスト部)に吐出され、不要レジスト部のレジスト膜を溶解させる。そして、溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液等は、吐出ノズル51aの内側の吸引ノズル52aから、二重管ノズル37Bの内側の排液管52へと吸引される。
このように、他の実施形態のレジスト除去装置では、外側の吐出ノズル51aから溶媒が吐出されて不要レジスト部のレジスト膜を溶解させ、溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液等は、内側の吸引ノズル52aから吸引される。他の実施形態では、外側から溶媒を供給し、内側からレジスト液等を吸引するので、ミストなどの欠陥が発生し難いという利点がある。
以上説明した他の実施形態のレジスト除去装置及びレジスト除去方法を適用しても、反射型マスクブランク10において、上記吸収体膜3上に形成された電子線描画用のレジスト膜4の所定領域(上記基準マーク5上の領域)が局所的(スポット的)に除去され、つまり基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域6を容易に形成することができる。
[反射型マスクブランクの製造]
本発明の反射型マスクブランクは例えば以下の製造方法によって得ることができる。
すなわち、上記基板1上に、EUV光を反射する多層反射膜2が形成された多層反射膜付き基板を準備する工程と、前記多層反射膜2に欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マーク5を形成する基準マーク形成工程と、前記基準マーク5を基準として多層反射膜付き基板の欠陥情報を取得する多層反射膜付き基板欠陥情報取得工程と、前記多層反射膜2上に吸収体膜3を形成する吸収体膜形成工程と、前記吸収体膜3上の全面に電子線描画用のレジスト膜4を形成するレジスト膜形成工程と、前記基準マーク5上の領域のレジスト膜を局所的(スポット的)に除去するレジスト膜未形成領域形成工程と、を有する反射型マスクブランクの製造方法である。
ここで、上記レジスト膜未形成領域形成工程は、上述のレジスト除去装置を用いたレジスト除去方法を適用して行うことができる。本発明の反射型マスクブランクの製造に好適なレジスト除去装置及びレジスト除去方法については上述したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
また、上記反射型マスクブランクの製造方法は、上記基準マーク5を基準として反射型マスクブランクの欠陥情報を取得する反射型マスクブランク欠陥情報取得工程をさらに有してもよい。
また、上記多層反射膜付き基板の欠陥情報、及び/又は上記反射型マスクブランクの欠陥情報と、反射型マスクブランクとを対応させる工程をさらに有してもよい。
以上説明したように、本発明の反射型マスクブランクにおいては、吸収体膜3上に形成された上記レジスト膜4は、上記基準マーク5上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域6を有しており、つまり、上記基準マーク5の形成箇所を含む領域上のレジスト膜4が局所的(スポット的)に除去され、上記基準マーク5上の領域には上記レジスト膜4が形成されていないレジスト膜未形成領域6を有する構成とすることにより、基準マークの検出時に、電子線や検査光が吸収体膜上を走査することになるため、レジスト膜上を走査することによるチャージアップ、不必要なレジスト感光などの不具合を回避することができる。その結果、電子線描画機、光学式の欠陥検査装置のいずれでも基準マークを容易かつ確実に検出でき、しかも基準マークの検出精度が向上し、電子線、欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができ、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきを小さく(例えば100nm以下に)抑えることが可能となるため、欠陥の座標管理を高精度で行うことができる。
また、上記のように、上記基準マーク5上の領域のレジスト膜4が局所的(スポット的)に除去されたレジスト膜未形成領域6となっており、反射型マスクブランク外周部のレジスト膜は除去されないため、基板外周部にバーコード等の補助パターンを描画することができる。また、反射型マスクブランクの外周部は全周に亘ってレジスト膜が形成されているため、反射型マスクを作製した際に、例えば多層反射膜の側壁が露出して膜剥がれ等が発生するという問題は生じない。
[マスクブランク]
図12は、本発明のマスクブランクの一実施形態を示す断面構成図であり、ガラス基板11上に遮光膜12が形成され、該遮光膜12上に電子線描画用のレジスト膜13を備えているバイナリマスクブランク20を示す。本実施形態では、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マーク14は遮光膜12に凹形状となるように形成されている。そして、上記レジスト膜13は、上記基準マーク14上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域15を有する構成としている。上記構成におけるレジスト膜未形成領域の形成方法、基準マークとその形成方法は、上述の反射型マスクブランクの場合と同様である。
上記レジスト膜未形成領域15の水平断面形状は、例えば略円形状又は略角形状である。
上記基準マーク14は、大きさが6インチ角のマスクブランクにおいて、外周部端面から5mm以上内側に形成されることが好ましく、特に8mm以上内側に形成されることが好ましい。また、この場合、上記レジスト膜未形成領域15の水平断面形状は円形状であれば、その直径は4mm以下であることが好ましい。
ここで、上記レジスト膜未形成領域15の形成は、上述のレジスト除去装置を用いたレジスト除去方法を適用して行うことができる。本発明のマスクブランクの製造に好適なレジスト除去装置及びレジスト除去方法についての詳細は上述したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
また、図示していないが、ガラス基板11上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備えることにより、位相シフト型マスクブランクが得られる。また、ガラス基板11の表面に必要に応じて前記下地層を設ける構成としてもよい。
この遮光膜は、単層でも複数層(例えば遮光層と反射防止層との積層構造)としてもよい。また、遮光膜を遮光層と反射防止層との積層構造とする場合、この遮光層を複数層からなる構造としてもよい。また、上記位相シフト膜についても、単層でも複数層としてもよい。
このようなマスクブランクとしては、例えば、クロム(Cr)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリマスクブランク、タンタル(Ta)を含有する材料により形成されている遮光膜を備えるバイナリ型マスクブランク、ケイ素(Si)を含有する材料、あるいは遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料により形成されている位相シフト膜を備える位相シフト型マスクブランクなどが挙げられる。
上記クロム(Cr)を含有する材料としては、クロム単体、クロム系材料(CrO、CrN、CrC、CrON、CrCN、CrOC、CrOCN等)が挙げられる。
上記タンタル(Ta)を含有する材料としては、タンタル単体のほかに、タンタルと他の金属元素(例えば、Hf、Zr等)との化合物、タンタルにさらに窒素、酸素、炭素及びホウ素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、TaN、TaO、TaC、TaB、TaON、TaCN、TaBN、TaCO、TaBO、TaBC、TaCON、TaBON、TaBCN、TaBCONを含む材料などが挙げられる。
上記ケイ素(Si)を含有する材料としては、ケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料、具体的には、ケイ素の窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。
また、上記遷移金属とケイ素(Si)を含有する材料としては、遷移金属とケイ素を含有する材料のほかに、遷移金属及びケイ素に、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料が挙げられる。具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ等が適用可能である。この中でも特にモリブデンが好適である。
以上の本発明の一実施形態のマスクブランク20においても、転写パターンとなる薄膜(遮光膜12)の上には電子線描画用レジスト膜13が形成され、このマスクブランク20(本実施形態では遮光膜12)には、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マーク14が形成されており、上記レジスト膜13は、上記基準マーク14上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域15を有する構成としている。従って、上記の反射型マスクブランクの場合と同様、基準マークの検出時に、電子線や検査光が吸収体膜上を走査し、レジスト膜上を走査することによるチャージアップ、不必要なレジスト感光などの不具合を解消できる。その結果、電子線描画機、欠陥検査装置のいずれでも基準マークを確実に検出でき、しかも基準マークの検出精度が向上し、電子線、欠陥検査光の走査によって決定される欠陥位置の基準点のずれを小さくすることができ、基準マークを元に検査した欠陥検出位置のばらつきを小さく(例えば100nm以下に)抑えることが可能となるため、欠陥の座標管理を高精度で行うことができる。
[反射型マスク、マスク]
本発明は、上記構成の反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜がパターニングされている反射型マスク、上記構成のマスクブランクにおける前記薄膜がパターニングされているマスクについても提供する。
図11は、前述の図1又は図2の反射型マスクブランク10における吸収体膜3がパターニングされた吸収体膜パターン3aを備える反射型マスク10Aを示す。
また、図13は、前述の図12のバイナリマスクブランク20における遮光膜12がパターニングされた遮光膜パターン12aを備えるバイナリマスク20Aを示す。
反射型マスクブランクまたはマスクブランクにおける転写パターンとなる上記吸収体膜または上記遮光膜等の薄膜をパターニングする方法は、フォトリソグラフィー法が最も好適である。すなわち、本発明の反射型マスクまたはマスクを得るためには、上記反射型マスクブランク10またはマスクブランク20を用いて、電子線描画及び現像によってレジストパターンを形成する工程と、形成されたレジストパターンをマスクにして前記吸収体膜または薄膜をパターニングする工程と、欠陥検査装置による検査工程とを有する製造方法が好適である。
本発明は、以下の構成に係る反射型マスクの製造方法についても提供する。
本発明の反射型マスクブランクを用いて、電子線描画及び現像によってレジストパターンを形成する工程と、形成されたレジストパターンをマスクにして前記吸収体膜をパターニングする工程と、欠陥検査装置による検査工程とを有する反射型マスクの製造方法である。
上記レジストパターンの形成は、前記多層反射膜の欠陥情報、及び/又は前記反射型マスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、電子線描画により描画する描画データを修正する工程を有することが好ましい。
また、上記電子線描画は、電子線描画機における電子線で基準マークを検出し、検出した基準点に基づいて修正した描画データを元に行うことが好適である。
本発明に係る上記構成の反射型マスクブランクを用いて得られる反射型マスクは、反射型マスクブランクにおける欠陥情報に基づく高精度の描画データの補正・修正、及びパターン描画によって、欠陥を低減させたものが得られる。
また、本発明は、以下の構成に係るマスクの製造方法についても提供する。
本発明のマスクブランクを用いて、電子線描画及び現像によってレジストパターンを形成する工程と、前記薄膜をパターニングする工程と、欠陥検査装置による検査工程とを有するマスクの製造方法である。
本発明に係る上記構成のマスクブランクを用いて得られるマスクは、マスクブランクにおける欠陥情報に基づく高精度の描画データの補正・修正、及びパターン描画によって、欠陥を低減させたものが得られる。
なお、図示していないが、上述のマスクブランク用ガラス基板上に、位相シフト膜、あるいは位相シフト膜及び遮光膜を備える構造の位相シフト型マスクブランクにおいても、転写パターンとなる薄膜をパターニングすることにより、位相シフト型マスクが得られる。
[半導体装置の製造方法]
本発明は、上述の反射型マスクの製造方法により製造された反射型マスク、又は、上述のマスクの製造方法により製造されたマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法についても提供する。
本発明に係る反射型マスクブランクまたはマスクブランクを用いて得られる反射型マスクまたはマスク(例えばバイナリマスク)を用いることによって、パターン精度の優れたデバイスパターンが形成され、しかも欠陥を低減させた高品質の半導体装置(半導体デバイス)を製造することができる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理したSiO−TiO系のガラス基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.25nmであった。なお、表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM)にて測定し、測定領域は1μm×1μmとした。
次に、ガラス基板の主表面に、イオンビームスパッタリング装置を用いて、Si膜(膜厚:4.2nm)とMo膜(膜厚:2.8nm)を一周期として、40周期積層して多層反射膜(総膜厚280nm)を形成し、多層反射膜付き基板を得た。
次に、上記多層反射膜の表面に、外周端から内側に8mmの位置に以下の表面形状で断面形状が凹形状の基準マークを形成した。なお、この基準マークを各コーナーの4箇所に形成した。基準マークの形成は、波長405nmの半導体レーザーを用いて行った。このときの照射レーザーのパワーは、20mWとした。
なお、本実施例では、基準マークとして、前述の図3(a)に示すような十字形状の基準マークを形成した。大きさは、幅2μmで長さが1mmの十字形状で、深さは40nmの断面凹形状とした。
多層反射膜に形成したこの基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが0.022と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも26nmで100nm以下となり再現性良く検出できることを確認した。
次に、検査光源波長が13.5nmであるABI(ActinicBlank Inspection)装置で多層反射膜表面の欠陥検査を行った。この欠陥検査では、上述の基準マークを基準として、基準点を決定し、決定した基準点との相対位置に基づく凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、欠陥マップを作成した。多層反射膜付き基板と、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報(欠陥マップ)付き多層反射膜付き基板を得た。この多層反射膜付き基板の多層反射膜表面の反射率を、EUV反射率計により評価したところ、65%±0.2%と良好であった。
次に、DCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、多層反射膜上にRuからなる保護膜(膜厚:2.5nm)と、TaBN膜(膜厚:56nm)とTaBO膜(膜厚:14nm)の積層膜からなる吸収体膜を形成し、また、多層反射膜付き基板の裏面にCrN導電膜(膜厚:20nm)を形成した。
次に、上記吸収体膜の表面上に、レジスト膜として、電子線描画用ポジ型レジスト膜を80nmの膜厚に形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。次いで、前述の図6及び図7に示すレジスト除去装置を用いて、多層反射膜に形成した上記基準マーク上の領域のレジスト膜であって外周端から内側に8mmの位置に、直径1.6mmの円形状の領域のレジスト膜を溶解除去し、前述のレジスト膜未形成領域を形成した。なお、溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を使用した。
また、レジスト溶解除去の各条件は以下の通りとした。
レジスト膜4の表面から二重管ノズル37Aまでの離間距離:40μm
吐出ノズル51a(内側ノズル)の外径ODb及び内径IDb:1.21mm及び0.75mm
吸引ノズル52a(外側ノズル)の外径ODa及び内径IDa:1.78mm及び1.32mm
吐出ノズル51aへの給液量:1.0ml/min
吐出ノズル51aからの吐出時間:30秒
吸引ノズル52aからの吸引量:0.5ml/min
以上のようにして、基準マーク上の領域のレジスト膜を局所的に除去したレジスト膜未形成領域を有するEUV反射型マスクブランクが得られた。
得られたEUV反射型マスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製M2350)で欠陥検査を行った。上述と同様に上述の基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、EUV反射型マスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きEUV反射型マスクブランクを得た。
また、レジスト膜未形成領域における基準マークは、電子線描画装置やブランクス検査装置で、コントラストが0.021と高く、精度良く検出でき、しかも欠陥検出位置のばらつきも20nmで100nm以下となり再現性良く検出できた。
次に、この欠陥情報付きのEUV反射型マスクブランクを用いて、EUV反射型マスクを作製した。
まず、EUV反射型マスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、例えば欠陥をパターンの下に隠すように修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、上述のレジスト膜に対して電子線描画機によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。本実施例では、反射型マスクブランクの表面のレジスト膜に上述のレジスト膜未形成領域を有しているので、上記基準マークと欠陥との相対位置関係が高い精度で管理できたので、マスクパターンデータの修正を高精度で行うことができた。そして、電子線描画機においても電子線で容易に基準マークを検出でき、検出した基準点に基づいて、修正した描画データを元に電子線描画が行われた。
次に、このレジストパターンをマスクとして、吸収体膜をフッ素系ガス(CFガス)によりTaBO膜を、塩素系ガス(Clガス)によりTaBN膜をエッチング除去して、吸収体膜パターンを形成した。
さらに、吸収体膜パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、EUV反射型マスクを得た。
この得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られた反射型マスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行う場合、反射型マスク起因の転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行うことができる。
(実施例2)
両面研磨装置を用い、酸化セリウム砥粒やコロイダルシリカ砥粒により段階的に研磨し、低濃度のケイフッ酸で基板表面を表面処理した合成石英基板(大きさが約152.4mm×約152.4mm、厚さが約6.35mm)を準備した。得られたガラス基板の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.2nmであった。また、ガラス基板表面及び裏面の平坦度は約290nmであった。
次に、上記ガラス基板上に、以下のようにしてTaN膜とTaO膜の積層からなる遮光膜を形成した。
ターゲットにタンタル(Ta)ターゲットを用い、キセノン(Xe)と窒素(N)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.076Pa、ガス流量比 Xe:N=11sccm:15sccm)で、DC電源の電力を1.5kWとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、TaN膜を膜厚44.9nmで成膜し、引き続いて、Taターゲットを用い、アルゴン(Ar)と酸素(O)の混合ガス雰囲気(ガス圧0.3Pa、ガス流量比 Ar:O=58sccm:32.5sccm)で、DC電源の電力を0.7kWとし、TaO膜を膜厚13nmで成膜することにより、TaN膜とTaO膜の積層からなるArFエキシマレーザー(波長193nm)用遮光膜を形成した。なお、ArFエキシマレーザーに対する遮光膜の光学濃度は3.0、表面反射率は19.5%であった。
次に、上記遮光膜の表面に、外周端から内側に8mmの位置の所定箇所(各コーナー)に、実施例1と同様の十字形状の基準マークを深さ40nmの断面凹形状に形成した。基準マークの形成は実施例1と同様の波長405nmの半導体レーザー用いて行った。照射条件も実施例1と同様にした。
次に、上記遮光膜の表面上に、レジスト膜として、実施例1と同じ電子線描画用ポジ型レジスト膜を80nmの膜厚に形成した。レジスト膜の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。次いで、実施例1と同様に、前述の図6及び図7に示すレジスト除去装置を用いて、遮光膜に形成した上記基準マーク上の領域のレジスト膜であって外周端から内側に8mmの位置に、直径1.6mmの円形状の領域のレジスト膜を溶解除去し、前述のレジスト膜未形成領域を形成した。なお、レジスト溶解除去条件は実施例1と同様にした。
以上のようにして、基準マーク上の領域のレジスト膜を局所的に除去したバイナリマスクブランクが得られた。
得られたバイナリマスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製M2350)で欠陥検査を行った。上述の遮光膜に形成した基準マークを基準として、凸、凹の欠陥位置情報と、欠陥サイズ情報を取得し、バイナリマスクブランクと、これら欠陥位置情報、欠陥サイズ情報とを対応させた欠陥情報付きバイナリマスクブランクを得た。
次に、この欠陥情報付きのバイナリマスクブランクを用いて、バイナリマスクを作製した。
まず、実施例1と同様、バイナリマスクブランクの欠陥情報に基づいて、予め設計しておいたマスクパターンデータと照合し、露光装置を用いたパターン転写に影響のないマスクパターンデータに修正するか、パターン転写に影響があると判断した場合には、修正パターンデータを追加したマスクパターンデータに修正するか、修正パターンデータでも対応ができない欠陥については、マスク作製後の欠陥修正の負荷が低減できるマスクパターンデータに修正し、この修正されたマスクパターンデータに基づいて、上述のレジスト膜に対して電子線描画機によりマスクパターンを描画、現像を行い、レジストパターンを形成した。本実施例においても、マスクブランクの表面のレジスト膜に上述のレジスト膜未形成領域を有しているので、上記基準マークと欠陥との相対位置関係が高い精度で管理できたので、マスクパターンデータの修正を高精度で行うことができた。そして、電子線描画機においても電子線で基準マークを検出し、検出した基準点に基づいて、修正した描画データを元に電子線描画が行われた。
次に、このレジストパターンをマスクとして、フッ素系ガス(CFガス)によりTaO膜を、塩素系ガス(Clガス)によりTaN膜をエッチング除去して、遮光膜パターンを形成した。
さらに、遮光膜パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、バイナリマスクを得た。
この得られたバイナリマスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Teccor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、ガラス基板上に凸欠陥は確認されなかった。
こうして得られたバイナリマスクを露光装置にセットし、レジスト膜を形成した半導体基板上へのパターン転写を行ったところ、転写パターンの欠陥も無く、良好なパターン転写を行えた。
(比較例1)
上記実施例1において、基準マーク上の領域にレジスト膜未形成領域を形成しないこと以外は、実施例1と同様に、基準マークを形成した多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスクを順に作製した。
この得られたEUV反射型マスクについてマスク欠陥検査装置(KLA−Tencor社製Teron600シリーズ)により検査したところ、多層反射膜上に多数の凸欠陥が確認された。
この原因を詳細に検討したところ、電子線描画時に電子線で基準マークを精度良く検出できなかったため、基準マークを基準にした欠陥位置情報のばらつきが大きくなったためであることが判明した。
(比較例2)
上記実施例1において、基準マークの形成箇所を含む領域であって、基板のコーナー部を基板外周部を含むL字状にレジスト膜を除去したこと以外は、実施例1と同様に、基準マークを形成した多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク、反射型マスクを順に作製した。
しかしながら、反射型マスクを作製した際に、コーナー部の多層反射膜の側壁が露出したため、洗浄により膜剥がれを生じた。
(実施例3−1〜3−7、参考例1、2)
上記実施例1において、前述の図6及び図7に示すレジスト除去装置を用いて、基準マーク上の領域にレジスト膜未形成領域を形成する工程において、レジスト溶解除去条件のうち、レジスト膜面に対するノズル高さ(離間距離)を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして反射型マスクブランクを作製した。
形成されたレジスト膜未形成領域を観察して、以下の基準で評価し、その結果を表1に示した。
○:レジスト膜未形成領域における吸収体膜の露出面にレジスト残渣がなく、レジスト膜未形成領域の外周部端にフリンジ(盛り上がり)もなく、レジスト膜未形成領域が良好に形成されていた。
△:レジスト膜未形成領域における吸収体膜の露出面にレジスト残渣があるか、又はレジスト膜未形成領域の外周部端にフリンジ(盛り上がり)があるが、基準マークが検出可能な程度にはレジスト膜未形成領域が形成されていた。
×:レジスト膜未形成領域がうまく形成されなかった。
Figure 2018205350
上記表1の結果から、レジスト膜面に対するノズル高さ(離間距離)を変えることにより、レジスト膜未形成領域の穴径はあまり変わらないが、離間距離が大きくなるほどレジスト膜未形成領域における吸収体膜の露出面にレジスト残渣が生じたり、レジスト膜未形成領域の外周部端にフリンジ(盛り上がり)が形成されたりした。本実施例の吐出ノズル及び吸引ノズルの外内径、給液量、吸引量の組み合わせにおいては、レジスト膜未形成領域を形成するための離間距離は、140μm以下であることが好ましい。
(実施例4−1〜4−5、参考例3、4)
実施例4−1、4−2、参考例3は、上記実施例3−1において、前述の図6及び図7に示すレジスト除去装置を用いて、基準マーク上の領域にレジスト膜未形成領域を形成する工程において、レジスト溶解除去条件のうち、レジスト膜面に対するノズル高さ(離間距離)を20μm、吸引量を0.5ml/minとし、給液量を表2に示すように変更して、給液量に対する吸引量の比率(吸引/給液比)を変えたこと以外は、実施例3−1と同様にして反射型マスクブランクを作製した。
また、実施例4−3〜4−5、参考例4は、レジスト溶解除去条件のうち、レジスト膜面に対するノズル高さ(離間距離)を20μm、吸引量を0.8ml/minとし、給液量を表2に示すように変更して、給液量に対する吸引量の比率(吸引/給液比)を変えたこと以外は、実施例3−1と同様にして反射型マスクブランクを作製した。
形成されたレジスト膜未形成領域を観察して、上記と同じ基準で評価し、その結果を表2に示した。
Figure 2018205350
上記表2の結果から、給液量に対する吸引量の比率が小さ過ぎたり、大き過ぎたりすると、レジスト膜未形成領域を形成することができなかった。本実施例の吐出ノズル及び吸引ノズルの外内径、給液量、吸引量の組み合わせにおいては、レジスト膜未形成領域を形成するため給液量に対する吸引量の比率は、0.15以上1.7以下であることが好ましい。
(実施例5−1、5−2、参考例5)
実施例5−1、5−2、参考例5は、上記実施例4−2において、前述の図6及び図7に示すレジスト除去装置を用いて、基準マーク上の領域にレジスト膜未形成領域を形成する工程において、レジスト溶解除去条件のうち、レジスト膜面に対するノズル高さ(離間距離)を20μmとし、吸引ノズル52a(外側ノズル)の外径ODa及び内径IDaは変えずに、吐出ノズル51a(内側ノズル)の外径ODb及び内径IDbを変更して、二重管ノズル37Aの吐出面積に対する吸引面積の比率(面積比)を表3に示すように変えたこと以外は、実施例4−2と同様にして反射型マスクブランクを作製した。
形成されたレジスト膜未形成領域を観察して、上記と同じ基準で評価し、その結果を表3に示した。
Figure 2018205350
上記表3の結果から、二重管ノズル37Aの吐出面積に対する吸引面積の比率が大き過ぎると、レジスト膜未形成領域を形成することができなかった。また、二重管ノズル37Aの吐出面積に対する吸引面積の比率が小さ過ぎすると、レジスト膜未形成領域における吸収体膜の露出面にレジスト残渣が生じたり、レジスト膜未形成領域の外周部端にフリンジ(盛り上がり)が形成されたりした。本実施例の吐出ノズル及び吸引ノズルの外内径、給液量、吸引量の組み合わせにおいては、二重管ノズル37Aの吸引面積と吐出面積の差の絶対値は、約0.7mm以下であり、吐出面積に対する吸引面積の比率は、約5以下であることが好ましい。
1 基板
2 多層反射膜
3 吸収体膜
4 レジスト膜
5 基準マーク
5a メインマーク
5b、5c、5d、5e 補助マーク
6 レジスト膜未形成領域
10 反射型マスクブランク
10A 反射型マスク
11 ガラス基板
12 遮光膜
13 レジスト膜
14 基準マーク
15 レジスト膜未形成領域
20 バイナリマスクブランク
20A バイナリマスク
30 溶媒タンク
31 フィルター
32 ベントバルブ
33 ストップバルブ
34 バッファタンク
35 ストップバルブ
36 流量調整弁
37A、37B 二重管ノズル
38 気液分離層
39 廃液バルブ
40 流量調整弁
41 流量計
42 バキュームポンプ
51 給液管
52 排液管
51a 吐出ノズル
52a 吸引ノズル

Claims (22)

  1. 基板と、該基板上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜とを備える反射型マスクブランクであって、
    前記吸収体膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜を備え、
    前記反射型マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、
    前記レジスト膜は、前記基準マーク上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域を有することを特徴とする反射型マスクブランク。
  2. 前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、略円形状又は略角形状であることを特徴とする請求項1に記載の反射型マスクブランク。
  3. 前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、円形状であり、直径4mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の反射型マスクブランク。
  4. 前記基準マークは、大きさが6インチ角の反射型マスクブランクにおいて、外周部端面から5mm以上内側に形成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  5. 前記基準マークは、前記多層反射膜に形成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  6. 前記基準マークは、電子線又は欠陥検査光の走査方向に対して200nm以上10μm以下の幅の部分を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の反射型マスクブランク。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の反射型マスクブランクを用いて、電子線描画及び現像によってレジストパターンを形成する工程と、前記吸収体膜をパターニングする工程と、欠陥検査装置による検査工程とを有することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
  8. 基板と、該基板上に形成された転写パターンとなる薄膜とを備えるマスクブランクであって、
    前記薄膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜を備え、
    前記マスクブランクに、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されており、
    前記レジスト膜は、前記基準マーク上の領域のレジスト膜が、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去されたレジスト膜未形成領域を有することを特徴とするマスクブランク。
  9. 前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、略円形状又は略角形状であることを特徴とする請求項8に記載のマスクブランク。
  10. 前記レジスト膜未形成領域の水平断面形状は、円形状であり、直径4mm以下であることを特徴とする請求項9に記載のマスクブランク。
  11. 前記基準マークは、大きさが6インチ角のマスクブランクにおいて、外周部端面から5mm以上内側に形成されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載のマスクブランク。
  12. 前記基準マークは、前記薄膜に形成されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載のマスクブランク。
  13. 請求項8乃至12のいずれかに記載のマスクブランクを用いて、電子線描画及び現像によってレジストパターンを形成する工程と、前記薄膜をパターニングする工程と、欠陥検査装置による検査工程とを有することを特徴とするマスクの製造方法。
  14. 請求項7に記載の反射型マスクの製造方法により製造された反射型マスク、又は、請求項13に記載のマスクの製造方法により製造されたマスクを用い、半導体基板上のレジスト膜に転写パターンを露光転写する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 基板上に形成された電子線描画用のレジスト膜を局所的に除去するレジスト除去装置であって、
    レジスト膜を溶解除去するための溶媒を前記レジスト膜の不要レジスト部に吐出する溶媒吐出部と、
    前記溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液を吸引して排出する排液吸引部とを備え、
    前記レジスト膜の不要レジスト部を、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去することを特徴とするレジスト除去装置。
  16. 前記溶媒吐出部の吐出ノズルの直径と前記排液吸引部の吸引ノズルの直径とが異なり、前記吐出ノズルの中心軸と前記吸引ノズルの中心軸とが一致するように配置されることを特徴とする請求項15に記載のレジスト除去装置。
  17. 前記吐出ノズルと前記吸引ノズルの各々の水平断面形状は同一形状であり、かつ略円形状又は略角形状であることを特徴とする請求項16に記載のレジスト除去装置。
  18. 前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜と、該吸収体膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されている反射型マスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のレジスト除去装置。
  19. 前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成された転写パターンとなる薄膜と、該薄膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されているマスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする請求項15乃至17のいずれかに記載のレジスト除去装置。
  20. 基板上に形成された電子線描画用のレジスト膜を局所的に除去するレジスト除去方法であって、
    レジスト膜を溶解除去するための溶媒を吐出する吐出ノズルを用いて、前記溶媒を前記レジスト膜の不要レジスト部に給液して不要レジスト部のレジスト膜を溶解させ、
    前記溶媒によって溶解されたレジスト液を吸引して排出する吸引ノズルを用いて、前記溶媒によって溶解された不要レジスト部のレジスト液を吸引して排出させることにより、
    前記レジスト膜の不要レジスト部を、基板外周部のレジスト膜を残して穴状に除去することを特徴とするレジスト除去方法。
  21. 前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成されたEUV光を反射する多層反射膜及びEUV光を吸収する吸収体膜と、該吸収体膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されている反射型マスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする請求項20に記載のレジスト除去方法。
  22. 前記レジスト膜の不要レジスト部は、基板と、該基板上に形成された転写パターンとなる薄膜と、該薄膜上に形成された電子線描画用のレジスト膜とを備え、欠陥情報における欠陥位置の基準となる基準マークが形成されているマスクブランクにおける前記基準マーク上の領域のレジスト膜であることを特徴とする請求項20に記載のレジスト除去方法。

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