JP2018203789A - 製造工程分解物の少ないイミダフェナシンを含有する造粒物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規工程分解物の少ないイミダフェナシンを含有する製剤を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。【解決手段】イミダフェナシンを含有する造粒物を製造する方法であり、以下の工程a)及び工程b)を経由して得られた造粒物を、工程c)−1又はc)−2のいずれかの乾燥工程を経由して、前記造粒物を製造する方法。a)イミダフェナシンを薬学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁させ溶液又は懸濁液を製造する工程b)流動層造粒機中、流動させた1又は2種類以上の薬学的に許容される賦形剤に、工程a)で得られた溶液又は懸濁液を噴霧し造粒物を製造する工程c)−1 工程b)で得られた造粒物を減圧下で乾燥する工程c)−2 工程b)で得られた造粒物を、流動層造粒機中、100分以内に乾燥する工程【選択図】なし

Description

本発明は、製造工程分解物の少ないイミダフェナシンを含有する造粒物に関する。
イミダフェナシンはムスカリンM1受容体及びM3受容体を選択的に阻害する抗コリン薬であり、過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁の治療薬として広く使用されている。現在、イミダフェナシンを有効成分とする医薬品としては、フィルムコーティング錠(FC錠)と口腔内崩壊錠(OD錠)が市販されている(非特許文献1)。
特許文献1には、イミダフェナシンを有効成分とするFC錠やその製造方法が開示されている。また、特許文献2〜8には、イミダフェナシンを有効成分とするOD錠やその製造方法が開示されている。そして、特許文献6には、トコフェロール等をイミダフェナシンとともに造粒することで、製造工程分解物の生成が抑制できることが記載されている。
しかしながら、特許文献6には、イミダフェナシン造粒物の乾燥を、一定の条件下行うことで、製造工程分解物が抑制できる点については開示されていない。
ウリトス錠0.1mg、ウリトスOD錠0.1mg 添付文書、2014年6月改訂(第11版)
特許4610834公報 特許4656672公報 特許4524502公報 特開2010−229075公報 特開2010−229076公報 特開2011−32183公報 特開2011−68640公報 特開2014−172855公報
発明者らは、イミダフェナシンを含有する造粒物の大量製造を検討していた。流動層造粒機を用いてイミダフェナシン造粒物を製造していたところ、従来行っていた小さなスケール(1万錠程度)の場合には生成してこなかった、以下一般式(1)で表される新規の工程分解物(分解物A)が、大きなスケール(10万錠〜75万錠程度)では生じることが判明した。さらに、分解物Aは、主に造粒物の乾燥工程において生成することが判明した。分解物Aの生成が少ないイミダフェナシン含有造粒物を提供することが、本発明が解決しようとする課題である。
Figure 2018203789
本発明者らは鋭意検討した結果、イミダフェナシン含有造粒物の乾燥を特定の条件下で行うことで、新規の工程分解物(分解物A)の生成が抑制できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]イミダフェナシンを含有する造粒物を製造する方法であり、以下の工程a)及び工程b)を経由して得られた造粒物を、工程c)−1又はc)−2のいずれかの乾燥工程を経由して、前記造粒物を製造する方法。
a)イミダフェナシンを薬学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁させ、溶液又は懸濁液を製造する工程
b)流動層造粒機中、流動させた1又は2種類以上の薬学的に許容される賦形剤に、工程a)で得られた溶液又は懸濁液を噴霧し造粒物を製造する工程
c)−1 工程b)で得られた造粒物を減圧下で乾燥する工程
c)−2 工程b)で得られた造粒物を、流動層造粒機中、100分以内に乾燥する工程
[2]乾燥工程がc)−1である、[1]に記載の製造方法。
[3]−0.15MPaG以上−0.05MPaG以下の条件で減圧乾燥を行う、[2]に記載の製造方法。
[4]乾燥終了時の乾燥減量が2%以上7%以下である、[2]又は[3]に記載の製造方法。
[5]減圧下での乾燥は、振動乾燥機を用いて行い、振動乾燥機における、熱媒の設定温度範囲が、60℃以上90℃以下である、[2]乃至[4]に記載の製造方法。
[6]熱媒の設定温度範囲が、80℃以上90℃以下であり、乾燥時間が60分以内である、[5]に記載の製造方法。
[7]乾燥工程が工程c)−2であり、乾燥工程での給気温度が75℃以上100℃以下であり、造粒物の乾燥時間が60分以内である、[1]に記載の製造方法。
[8]工程a)の溶液又は懸濁液中に、薬学的に許容される結合剤を用いる、[1]乃至[7]に記載の製造方法。
[9][1]乃至[8]で得られた造粒物と、薬学的に許容される添加剤とを混合した後、圧縮成型することにより、イミダフェナシンを含有する錠剤を製造する方法。
本発明によれば、イミダフェナシン含有造粒物の乾燥を特定の条件下で行うことで、新規の工程分解物(分解物A)の生成が抑制された製剤を製造することができる。
本発明において、イミダフェナシンとは4−(2−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−2,2−ジフェニルブタンアミドを表す。
本発明において、錠剤中のイミダフェナシンの含量は0.025mg以上2mg以下が好ましく、0.05mg以上0.25mg以下が更に好ましく、0.1mgが特に好ましい。
本発明において、薬学的に許容される溶媒とは、製剤を製造する際に使用が許容され得る溶媒であれば特に制限されない。例えば、水、有機溶媒、又は水と有機溶媒との混液が挙げられる。有機溶媒の例として、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンなどが挙げられ、好ましくはエタノールが挙げられる。より好ましくは水とエタノールの混液が挙げられる。
本発明において、薬学的に許容される賦形剤とは、セルロース系賦形剤又は非セルロース系賦形剤が挙げられる。
本発明において、セルロース系賦形剤としては、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系賦形剤が挙げられる。セルロース系賦形剤を造粒物中に使用することにより、造粒物を打錠した際に、錠剤硬度が高くなる。
本発明において、薬学的に許容される非セルロース系賦形剤としては、乳糖及び白糖などの糖類、D−ソルビトール及びマンニトールなどの糖アルコール類、及び部分アルファー化デンプン及びトウモロコシデンプンなどのデンプン類などが挙げられる。本発明においては、成形性がよいという点から、セルロース系賦形剤及びデンプン類の組合せが好ましい。より好ましくは、結晶セルロース及び部分アルファー化デンプンの組合せが挙げられる。
流動性と成形性の観点から、セルロース系賦形剤は、デンプン類1質量部に対して、1質量部以上10質量部以下、より好ましくは、2質量部以上7質量部以下、さらに好ましくは3質量部以上5質量部以下、より好ましくは4質量部用いる。
本発明において、薬学的に許容される結合剤とは、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース及びメチルセルロースなどのセルロース類、ポビドン、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール完全けん化物、ポリビニルアルコール部分けん化物、カルボキシビニルポリマー、ポリ塩化ビニルなどのビニル系高分子物質、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、S、LD)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液などのアクリル系高分子物質、ステアリルアルコール、ゼラチン、デキストリン、アラビアゴム、プルラン、マクロゴール、デンプン、などが挙げられる。好ましくは、セルロース類又はビニル系高分子が挙げられる。より好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール完全けん化物又はポリビニルアルコール部分けん化物が挙げられる。さらに好ましくはポビドンが挙げられる。
本発明において、薬学的に許容される添加剤とは、好ましくは滑沢剤である。滑沢剤としては、ステアリン酸及びその金属塩類、タルク、硬化油、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられ、より好ましくはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
本発明において、乾燥工程は、c)−1の減圧下で乾燥する工程(以下、減圧乾燥法とも記載する)、又は、c)−2の流動層造粒機中、短時間で乾燥を行う工程のいずれかの条件下で乾燥を行う。分解物Aの生成をより抑制できるという点で、c)−1の減圧乾燥法が好ましい。
c)−1の減圧乾燥法の場合、例えば振動乾燥機、攪拌乾燥機、ドラム乾燥機、棚式乾燥機、回転乾燥機(円筒回転乾燥機、二重円錐回転乾燥機)、円盤乾燥機、真空マクロ波乾燥機、パドルドライヤー、攪拌シャフト式乾燥機などの伝導電熱乾燥機を用いて、減圧条件下で乾燥を行う。分解物Aの生成をより抑制できるという点で、振動乾燥機が好ましく、振動乾燥機VU型(中央化工機株式会社)がより好ましい。
本発明において、伝導電熱乾燥機とは、装置内で試料が接触する金属板(例えば、装置内部の壁面、回転板、熱盤、攪拌羽など)が加熱されており、試料が金属板に触れると、金属板から試料に熱が伝わり、試料が乾燥するタイプの乾燥機である。
減圧下で乾燥を行う場合、乾燥時間の短縮という点で、加熱条件下で乾燥を行うことが好ましい。伝導電熱乾燥機の場合、乾燥機に備わっているジャケット部分に、熱した気体又は液体を通すことで、間接的に装置内部の金属板を温める仕組みとなっているものが多い。ジャケット部分に通して、試料の加熱を仲介するための気体又は液体を「熱媒」と呼ぶ。熱媒として、好ましくは水(温水、水蒸気を含む)が挙げられる。熱媒の設定温度範囲として、好ましくは、60℃以上90℃以下が挙げられる。工程分解物を生成させることなく、乾燥時間が短縮できるという点で、より好ましくは80℃以上90℃以下、さらに好ましくは83℃以上85℃以下が挙げられる。
本発明において、「減圧」とは、大気圧未満を意味し、好ましくは−0.30MPaG以上−0.01MPaG以下、より好ましくは−0.20MPaG以上−0.02MPaG以、さらに好ましくは−0.15MPaG以上−0.05MPaG以下が挙げられる。圧力の表記には、絶対真空をゼロとした絶対圧力表記と、大気圧をゼロとしたゲージ圧表記が存在するが、本明細書においては、後者のゲージ圧表記を用いる。
c)−1の減圧下で乾燥する場合、含量均一性の高い造粒物が得られるという点で、乾燥減量を2%以上7%以下に調整することが好ましい。さらに、乾燥減量が3%以上5%以下であることがより好ましい。乾燥減量とは、一定重量の試料を乾燥した際に、乾燥後の重量が、乾燥前の重量と比べて、どの程度減少したかを表す値であり、以下の式で計算される値である。
Figure 2018203789
c)−2の流動層造粒機中で乾燥を行う場合、例えばフローコーター(フロイント産業)、などの流動層造粒機を用いることができる。流動層造粒機中で乾燥する場合は、流動させた造粒物に空気を吹きかけて乾燥を行う。造粒物に吹きかける空気の温度(以下、給気温度とも記載する)として好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上100℃以下、さらに好ましくは75℃以上100℃以下が挙げられる。
本発明の造粒物又は錠剤は、任意の薬学的に許容される添加剤を含むことができる。添加剤は有効成分(イミダフェナシン)以外の成分を表し、医薬品添加物事典[日本医薬品添加剤協会、薬事日報社(2016年)]に記載されているものを適宜使用できる。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、光沢剤、甘味剤、矯味剤、香料などが挙げられる。
本発明において、薬学的に許容される崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム及びメチルセルロースなどのセルロース類、部分アルファー化デンプン及びトウモロコシデンプンなどのデンプン類、クロスポビドンなどが挙げられる。本発明において、薬学的に許容されるコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどのセルロース類、アミノアルキルメタクリレートコポリマー(E、RS)、メタクリル酸コポリマー(L、S、LD)、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液などのアクリル系高分子物質、ポビドン、ステアリルアルコール、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、などが挙げられる。
本発明において、薬学的に許容される着色剤としては、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄などが挙げられる。本発明において、薬学的に許容される光沢剤としては、カルナウバロウなどが挙げられる。
本発明において、薬学的に許容される甘味剤としては、糖類、糖アルコール類、アスパルテーム、サッカリン及びその塩類、グリチルリチン酸及びその塩類、ステビア、並びにアセスルファムカリウムなどが挙げられる。本発明において、薬学的に許容される嬌味剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、フマル酸などが挙げられる。本発明において、薬学的に許容される香料としてメントール、オレンジ油などが挙げられる。
本発明の造粒物又は錠剤は、当該技術分野において慣用されている方法により製造することができる。例えば、上記の方法で製造した造粒物を薬学的に許容される添加剤と混合することで混合粉末を製造し、これを任意の打錠機を用いて圧縮成型することで製造することができる。
本発明の錠剤をフィルムコーティング錠とする場合は、例えば、国際公開WO2001/034147に記載の方法により行うことができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(比較例1)
1錠あたり、部分アルファー化デンプン26.4mg、結晶セルロース105.7mgをとり(75万錠スケールとして部分アルファー化デンプン19.8kg、結晶セルロース79.275kgをとり)、流動層造粒装置(ニューマルメライザー NQ−750、ダルトン)を用いて、これにイミダフェナシン0.1mg相当のエタノール水溶液を噴霧し(噴霧液速度約896mL/分)、イミダフェナシンの乾燥前造粒物を得た。同装置内で、210分間乾燥を行い(給気温度40℃、初期風量42m/分、後期風量37m/分)、イミダフェナシン乾燥後造粒物を得た。乾燥終了時の乾燥減量は7.6%であった。
(実施例1)
1錠あたり、部分アルファー化デンプン26.4mg、結晶セルロース105.7mgをとり(75万錠スケールとして部分アルファー化デンプン19.8kg、結晶セルロース79.275kgをとり)、流動層造粒装置(ニューマルメライザー NQ−750、ダルトン)を用いて、これにイミダフェナシン0.1mg相当のエタノール水溶液を噴霧し(噴霧液速度約833mL/分)、イミダフェナシンの乾燥前造粒物を得た。同装置内で、58分間乾燥を行い(給気温度80℃、初期風量40m/分、後期風量34m/分)、イミダフェナシン乾燥後造粒物を得た。乾燥終了時の乾燥減量は7.9%であった。
(実施例2)
1錠あたり、部分アルファー化デンプン26.4mg、結晶セルロース105.7mgをとり(1回の操作につき75万錠分として部分アルファー化デンプン19.8kg、結晶セルロース79.275kgをとり)、流動層造粒装置(ニューマルメライザー NQ−750、ダルトン)を用いて、これにイミダフェナシン0.1mg相当のエタノール水溶液を噴霧し(噴霧液速度約833mL/分)、イミダフェナシンの乾燥前造粒物を得た。同装置内で、55分間乾燥を行い(給気温度100℃、初期風量37m/分、後期風量31m/分)、イミダフェナシン乾燥後造粒物を得た。乾燥終了時の乾燥減量は5.4%であった。
(試験例1)純度試験
比較例1及び実施例1〜2で得られた乾燥後造粒物について、以下の純度試験を行った。結果を表2に示す。乾燥後造粒物約2.672 g [イミダフェナシン(C20H21N3O)2 mgに対応する量]を精密に量り、薄めたリン酸(1→1000)/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル混液(7:3)10 mLを正確に加え、60分間振り混ぜる。この液を遠心分離(毎分3000回転、20分間)し、上澄液を孔径0.45 μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液を試料溶液とする。別にイミダフェナシン標準品約20 mg(別途水分を測定しておく)を精密に量り、薄めたリン酸(1→1000)/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル混液(7:3)に溶かして正確に100 mLとし、標準原液とする。この液2 mLを正確に量り、薄めたリン酸(1→1000)/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル混液(7:3)を加えて正確に20 mLとする。この液5 mLを正確に量り、薄めたリン酸(1→1000)/液体クロマトグラフィー用アセトニトリル混液(7:3)を加えて正確に100 mLとし、標準溶液とする。試料溶液及び標準溶液20 μLずつを正確にとり、次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行い、それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定した。
Figure 2018203789
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:220 nm)
カラム:内径4.6 mm、長さ5 mm及び内径4.6 mm、長さ25 cmのそれぞれのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんし、それぞれガードカラム及び分離カラムとする(GLカート及びInertsil ODS-3、GLサイエンス製)。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:薄めたリン酸(1→200)にジエチルアミンを加え、pHを6.0に調整する。
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
移動相C:液体クロマトグラフィー用メタノール
移動相の送液:移動相A,移動相B及び移動相Cの混合比を表1のように変えて濃度勾配制御する。
Figure 2018203789
流量:毎分1.0 mL
この条件でイミダフェナシンの保持時間は約32分である。分解物Aは、イミダフェナシンのピーク対する相対保持時間が約1.2である。
面積測定範囲:溶媒ピークの後からイミダフェナシンの保持時間の約1.5倍の範囲ただし、プラセボ由来のピーク(イミダフェナシンに対する相対保持時間;約0.38及び0.39)は除く。
Figure 2018203789
表2から分かる通り、流動層造粒機中でイミダフェナシン造粒物を乾燥させる場合、乾燥時間が長いほど、分解物Aの生成量が増加する。乾燥時間を短くするため、例えば給気温度を75℃以上と高めに設定することが好ましい。
(実施例4)
1錠あたり、部分アルファー化デンプン26.4mg、結晶セルロース105.7mgをとり(1回の操作につき7万錠分として部分アルファー化デンプン1848g、結晶セルロース7399gをとり)、流動層造粒装置(フローコーター FLO−15、フロイント産業)を用いて、これにイミダフェナシン0.1mg相当のエタノール水溶液を噴霧し(噴霧液速度205mL/分)、イミダフェナシンの乾燥前造粒物を得た。(これを2つに均等に分け、片方については実施例5にて使用した。)同装置内で、32〜34分間乾燥を行い(給気温度75℃、初期風量2.7m/分、後期風量1.9m/分)、イミダフェナシン乾燥後造粒物を得た。同様の操作を8回行った。
(実施例5)
実施例4で分けた乾燥前造粒物の2回分ずつの)得られた前記造粒物を、振動乾燥機(振動乾燥機VU−45、中央化工業株式会社)に移し、以下の条件で、80〜90分間乾燥を行い、イミダフェナシン乾燥後造粒物を得た。乾燥終了時の乾燥減量は3.0〜4.5%であった。同様の操作を4回行った。
乾燥条件
温水設定温度:75℃
乾燥機側バルブ開度:全開
振動:常時
(試験例2)純度試験2
実施例4及び5で得られた造粒物について純度試験を行った。純度試験の手法は試験例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Figure 2018203789
N.D.:検出せず
表3から分かる通り、減圧乾燥を行わなかった実施例4では0.05〜0.47%の分解物Aが生成したが、減圧下で乾燥を行うことで、分解物Aの生成を高度に抑制することができる。さらに、実施例4では、ロットごとに分解物Aの生成量にバラツキがあるが、実施例5ではそのようなバラツキもなく、どのロットにおいても、分解物Aが検出されない結果となった。
(実施例6)
温水設定温度を82℃にした以外は、実施例5と同様に行い、乾燥減量が4%になったところで、乾燥を終了した。乾燥時間は約50分であった。
実施例5及び実施例6から分かる通り、温水設定温度を75℃から82℃に上げることで、乾燥時間を80〜90分から50分に短縮できる。温水設定温度を上げたことにより、分解物Aの生成量は増加せず、品質的に同等なイミダフェナシン造粒物を、短時間で製造することに成功した。
本発明によれば、イミダフェナシン含有造粒物の乾燥を特定の条件下行うことで、新規の工程分解物の生成が抑制された製剤を製造することができる。

Claims (9)

  1. イミダフェナシンを含有する造粒物を製造する方法であり、以下の工程a)及び工程b)を経由して得られた造粒物を、工程c)−1又はc)−2のいずれかの乾燥工程を経由して、前記造粒物を製造する方法。
    a)イミダフェナシンを薬学的に許容される溶媒に溶解又は懸濁させ、溶液又は懸濁液を製造する工程
    b)流動層造粒機中、流動させた1又は2種類以上の薬学的に許容される賦形剤に、工程a)で得られた溶液又は懸濁液を噴霧し造粒物を製造する工程
    c)−1 工程b)で得られた造粒物を減圧下で乾燥する工程
    c)−2 工程b)で得られた造粒物を、流動層造粒機中、100分以内に乾燥する工程
  2. 乾燥工程がc)−1である、請求項1に記載の製造方法。
  3. −0.15MPaG以上−0.05MPaG以下の条件で減圧乾燥を行う、請求項2に記載の製造方法。
  4. 乾燥終了時の乾燥減量が2%以上7%以下である、請求項2又は3に記載の製造方法。
  5. 減圧下での乾燥は、振動乾燥機を用いて行い、振動乾燥機における、熱媒の設定温度範囲が、60℃以上90℃以下である、請求項2乃至4に記載の製造方法。
  6. 熱媒の設定温度範囲が、80℃以上90℃以下であり、乾燥時間が60分以内である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 乾燥工程が工程c)−2であり、乾燥工程での給気温度が75℃以上100℃以下であり、造粒物の乾燥時間が60分以内である、請求項1に記載の製造方法。
  8. 工程a)の溶液又は懸濁液中に、薬学的に許容される結合剤を用いる、請求項1乃至7に記載の製造方法。
  9. 請求項1乃至8で得られた造粒物と、薬学的に許容される添加剤とを混合した後、圧縮成型することにより、イミダフェナシンを含有する錠剤を製造する方法。
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Title
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