JP2018203158A - 車両のステアリング装置 - Google Patents

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水野 高志
Takashi Mizuno
高志 水野
慶憲 石橋
Yoshinori Ishibashi
慶憲 石橋
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Abstract

【課題】ハンドルに例えば強い引張力が作用した場合でも損傷を受けにくい伸縮機構を備えた車両のステアリング装置を得る。【解決手段】筒状の壁部10に開口部11を有し、車体の一部に固定されるハウジング1と、一方の端部にハンドルHが取り付けられ、他方の端部がハウジング1に挿入されて、ハウジング1に対して伸縮動作する筒部材2と、筒部材2の表面に設けられ、開口部11から突出する螺合部Rと、ハウジング1に設けられたモータMと、一方の端部から入力されたモータMの回転を螺合部Rに伝達し、筒部材2を伸縮動作させるネジ部材3と、を備え、筒部材2に対して筒部材2をハウジング1から突出する方向に引張力が作用した場合に、ネジ部材3がハウジング1から離れるのを規制する規制部Gがハウジング1に備えられている車両のステアリング装置S。【選択図】図1

Description

本発明は、車体の一部に固定されたハウジングと、このハウジングに伸縮可能に取付けられた筒部材を有する車両のステアリング装置に関する。
従来、このような車両のステアリング装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されたものがある。
この技術は、操作用のハンドルを備えた筒部材が、同様に筒状のハウジングの内部に挿通配置され、モータの駆動によって運転者に対してハンドルを近接・離間させるものである。筒部材は、ハウジングに設けられた押圧部によってハウジングの内壁の一部に押し付けられ、筒部材はハウジングとの間でガタ付きのない状態でハウジングに対して伸縮動作する。
伸縮動作のための駆動機構がハウジングと筒部材とに亘って設けられている。
ハウジングには、駆動用のモータと、このモータによって正逆方向に回転される長尺状のネジ部材が設けられている。筒部材には、ネジ部材に螺合するナット部材が取り付けられている。この従来技術の記載からは、ナット部材が筒部材に対してどのように取り付けられているかは不明である。ただし、通常であれば、接続のためのスペースを必要とせず部品点数の少ない接続方法としてスポット溶接等が用いられる。
特開2009−248899号公報
特許文献1に示す技術では、ハンドルに伸縮方向に沿った強い力が作用したとき、当該外力は例えばネジ部材とナット部材との螺合部に作用する。ナット部材は、筒部材に対する取付位置とネジ部材に対する作用位置との間に筒部材の軸芯に直角な方向に所定の距離を有するため、ナット部材には前記取付位置を中心に回転モーメントが発生する。
仮に、ナット部材が筒部材に対してスポット溶接されている場合、ハンドルに対して押し引き力が作用するたびにナット部材に回転モーメントが作用する。その結果、ナット部材の取り付け角度が変化したり、ナット部材の取り付け部が損傷したりして、ネジ部材とナット部材との回転伝達の円滑性が損なわれる可能性がある。
このような問題に鑑み、ハンドルに例えば強い引張力が作用した場合でも損傷を受けにくい伸縮機構を備えた車両のステアリング装置が求められている。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置の特徴構成は、筒状の壁部に開口部を有し、車体の一部に固定されるハウジングと、
一方の端部にハンドルが取り付けられ、他方の端部が前記ハウジングに挿入されて、前記ハウジングに対して伸縮動作する筒部材と、
前記筒部材の表面に設けられ、前記開口部から突出する螺合部と、
前記ハウジングに設けられたモータと、
一方の端部から入力された前記モータの回転を前記螺合部に伝達し、前記筒部材を伸縮動作させるネジ部材と、を備え、
前記筒部材に対して前記筒部材を前記ハウジングから突出する方向に引張力が作用した場合に、前記ネジ部材が前記ハウジングから離れるのを規制する規制部が前記ハウジングに備えられている点にある。
(効果)
本構成のように規制部を設けることで、ハンドルが強く引かれた場合などに、ネジ部材が角変形するのを防止することができ、ネジ部材の曲がりや、筒部材に対する螺合部の固定部が破損するなどの不都合が生じるのを防止することができる。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記規制部が、前記ネジ部材の先端部であって、前記筒部材とは反対側の面に当接可能な規制面を備えたものであると好都合である。
(効果)
ハンドルが強く引かれ、ネジ部材が曲がり変形しようとする際には、モータに連結された一方の端部が支点となってネジ部材の先端側が筒部材から遠ざかるように開き変形することが多い。よって本構成のように、モータの側の連結部から最も離れたネジ部材の先端部に規制部を当接させることで、ネジ部材の先端を押さえる規制力を小さいものとしながら、ネジ部材の開き変形を防止することができる。よって、規制部の構成をコンパクトに構成することができる。
また、ネジ部材の端部に対して筒部材と反対側の面だけに当接する部材を設けるだけで良いから規制部の構成を簡略化することができる。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記規制部が、前記ネジ部材の先端部の全周を包囲する環状面を備えていると好都合である。
(効果)
本構成のように、規制部の環状面がネジ部材の先端部の全周を包囲する場合、ネジ部材が何れの方向に角変形しようとする場合でも当該角変形を確実に防止することができる。
また、このような環状面を有する部材は構成が単純であり、このような規制部をハウジングに設けることは極めて容易である。
さらに、規制部の形状を環状とする場合、例えば規制部の形状を筒状に構成することができ、この場合、規制部の強度が格段に向上する。強度が向上する結果、規制部の部材厚さを薄くできるため部材を極力コンパクトにすることも可能である。
(特徴構成)
本発明に係る車両のステアリング装置においては、前記螺合部が、前記筒部材に固定された箱状のアタッチメントと、当該アタッチメントの内部に、前記アタッチメントに対して前記ネジ部材の軸芯に沿う方向の移動が阻止された状態で挿入され、前記ネジ部材に螺合する雌ネジ部が形成されたナット部材と、を有し、前記ナット部材につき前記アタッチメントに対する前記筒部材と反対方向への移動量を所定範囲に制限するナット固定部が前記規制部に備えられていると好都合である。
(効果)
本構成のように、箱状のアタッチメントの内部にナット部材を配置し、当該ナット部材がアタッチメントに対してネジ部材の軸芯に沿う方向に移動しないよう構成することで、モータの回転動作をガタなく筒部材に伝達することができる。
また、このナット部材は、アタッチメントの内部でネジ部材に対して近接離間する方向の微動は許容されるものの、アタッチメントに対して筒部材から離れる方向への移動は所定の範囲内に制限される。よって、ハンドルが強く引かれた場合でも、ネジ部材が所定の範囲で角変形可能となり、筒部材に対する螺合部の固定部が破損するなどの不都合が防止される。
第1実施形態に係るステアリング装置の外観を示す分解斜視図 第1実施形態に係る伸縮機構を示す説明図 伸縮機構に作用する外力の様子を示す説明図 第2実施形態に係る伸縮機構を示す説明図 第3実施形態に係る伸縮機構を示す説明図 第4実施形態に係る伸縮機構を示す説明図 第5実施形態に係る伸縮機構を示す説明図
〔第1実施形態〕
(概要)
本発明に係る車両のステアリング装置Sの実施形態について図面を参照しながら説明する。まず、第1実施形態に係るステアリング装置Sの概要を図1および図2に示す。このステアリング装置Sは、モータ駆動によってステアリングコラムを伸縮させるものである。車体の一部に固定される筒状のハウジング1に、ステアリングコラムとしての筒部材2が内挿されている。筒部材2の一方の端部にはステアリング用のハンドルHが取り付けられ、他方の端部はハウジング1に挿入されて、複数の軸受Bによって、ハウジング1に対して伸縮可能に支持されている。
ハウジング1の壁部10には、ハウジング1に対して筒部材2を伸縮させるモータMが取り付けてある。このモータMは同じくハウジング1に設けられた長尺状のネジ部材3に歯合しており、当該モータMの回転方向を正逆方向に切り替えることで、ネジ部材3の回転方向が反転する。このネジ部材3には、筒部材2に取り付けられる螺合部Rが係合する。当該螺合部は、例えばネジ部材3に螺合するナット部材4と、当該ナット部材4を収容するよう筒部材2の表面に突出した状態に取り付けられる箱状のアタッチメント5とを有する。アタッチメント5にはネジ部材3を挿通するネジ挿通孔51が設けられており、ここに挿入されたネジ部材3が、アタッチメント5に収容されているナット部材4の雌ネジ部41に螺合する。
アタッチメント5は筒部材2に対して、例えばスポット溶接により接続される。スポット溶接に際しては、ハウジング1に筒部材2を挿通し、ハウジング1の壁部10に設けた開口部11を介してアタッチメント5を筒部材2の所定位置に位置合わせする。アタッチメント5の底部を筒部材2に接触させた状態で、筒部材2とアタッチメント5とに通電する。これによりアタッチメント5と筒部材2とに亘って溶接部Wが形成される。尚、この他の構成としてアタッチメント5は筒部材2に対してボルトなどを用いて固定されても良い。
図1に示すように筒部材2は複数の軸受Bを構成する第1軸受B1と第2軸受B2とでハウジング1に支持されている。
第1軸受B1は筒状の部材の一部を切り取った形状であり、筒部材2に形成した取付溝21に取り付けてある。この取付溝21の寸法のうちハウジング1の軸芯Xaの延出方向(以下、この方向を「X方向」と称する)に沿った幅は第1軸受B1の同方向に沿った幅よりも僅かに狭く形成してあり、取付溝21に対して第1軸受B1が嵌合されている。これにより、第1軸受B1を筒部材2に仮組した状態で、これらをハウジング1の内部に挿入配置する作業が容易となる。
一方、第2軸受B2は円環状の部材であり、ハウジング1の内面に固定されている。ハウジング1の内面には、第2軸受B2が当接する周方向に沿った段部13が形成してある。この段部13の外周径を有する内面がハウジング1の一方側の端部14まで延設してあり、第2軸受B2は当該端部14からX方向に沿って挿入して取り付ける。
第2軸受B2に続けて筒状のスペーサ6を挿入し、第2軸受B2を段部13との間で挟む状態とする。さらにスペーサ6の端部に当接してスペーサ6の位置を固定する底部材7をハウジング1の端部14に取り付ける。
このように、第2軸受B2が環状であるのに対して第1軸受B1は環状の一部を切り取った形状である。本構成により、筒部材2の表面のうち後述する押圧部Pに向く表面には第1軸受B1が存在せず、この表面を押圧部Pからの受圧面として利用することができる。
(伸縮機構)
本実施形態における筒部材2の伸縮機構を図1および図2に示す。伸縮機構は、モータMの回転駆動をネジ部材3に伝達し、さらに、ナット部材4、アタッチメント5を介して筒部材2に伝達する。モータMとネジ部材3とは、モータMに設けた第1ギヤM1がネジ部材3の端部に設けた第2ギヤ31に歯合している。ネジ部材3のうち第2ギヤ31に隣接した部位がベアリングB3によって軸支され、ハウジング1に設けられたギヤケース12に取り付けられている。
ネジ部材3は、ナット部材4に螺合するように形成されたネジ領域3Aと、基端部側でギヤケース12に支持される支持領域3Bとを備える。支持領域3Bのうち例えばネジ領域3Aの側に設けられたベアリングB3を支持する部位には段部32が形成され、この段部32はベアリングB3を構成するインナケースB31の側面に当接している。これにより、ネジ部材3は、X方向に沿ってハンドルHの側に移動することが阻止される。
一方、支持領域3Bのうち開放側の端部33は先端部が曲面状に形成されており、ギヤケース12の壁面12aに僅かに隙間を設けた状態に配置されている。これにより、ネジ部材3が、X方向に沿ってハンドルHとは反対側に移動することが阻止される。
尚、ネジ部材3の支持領域3Bをギヤケース12にどのように支持するかはこれらの構成に限られない。ネジ部材3がX方向に沿って容易に移動するものではなく、円滑な回転状態が得られるような構成であれば適宜任意の構成を採ることができる。
ナット部材4を保持するアタッチメント5は、例えばスポット溶接法を用いて筒部材2に取り付ける。図示は省略するが、筒部材2の内部にはハンドルHに接続されたハンドル軸が内挿されている。よって、アタッチメント5を固定する部品等を筒部材2の内部に設けるのは困難である。また、筒部材2の表面はハウジング1の内面とのあいだに僅かの隙間しかなく、こちらに付加物を設けることも難しい。よって、筒部材2とアタッチメント5との接続には、両者を当接させつつ通電するだけでよいスポット溶接法を用いるのが合理的である。
具体的には、ハウジング1の内部に筒部材2を内挿し、ハウジング1の壁部10に設けた開口部11を介してアタッチメント5を筒部材2の表面に位置合わせして保持する。筒部材2およびアタッチメント5は導通性のよい鋼材などで構成しておく。筒部材2とアタッチメント5とに正負の電極を接続し、所定の溶接条件にて両者を溶接する。
尚、このように筒部材2とアタッチメント5とをスポット溶接した場合、ステアリング装置Sの使用に際する溶接部Wの破損が問題となる。例えば、車両が他の車両に追突され、運転者が瞬間的に車両に対して後方に移動する際に、運転者がハンドルHを後ろに強く引く場合がある。このときには、図3に示すように、ハンドルHおよび筒部材2を介してアタッチメント5とナット部材4がX方向に引かれる。ナット部材4はネジ部材3に螺合しているため、アタッチメント5の根元部だけがX方向に移動する。このとき溶接部Wには、X方向に沿ったせん断力F1と、アタッチメント5が筒部材2に対して角変形することによりアタッチメント5が筒部材2から剥離しようとする方向の力F2とが作用する。このため、溶接部Wやアタッチメント5が変形して筒部材2に対するアタッチメント5の取り付け角度が変化し、筒部材2に係る伸縮動作の円滑性が損なわれる。
尚、このような突発的な外力がX方向に作用する場合、ハンドルHを筒部材2の側に押し込む態様の外力はそれ程考慮しなくても良い。つまり、例えば自車両が他車両に追突した場合などには、運転者がハンドルHに衝突するのを緩和するように、ハンドル軸が筒部材2に対してスライドし、筒部材2の内部に進入するように構成されていることが多い。この場合には、アタッチメント5の溶接部Wに過大な外力は作用しない。よって、X方向に沿った上記突発的な外力については、特に、筒部材2がハウジング1から引き出される場合を考慮すればよい。
そこで、このようなアタッチメント5の姿勢変化を防止するために、本実施形態ではネジ部材3の先端部の外側に、ネジ部材3と当接可能な規制部Gを設けることとする。図1および図2に示すように、筒部材2からアタッチメント5が突出する方向をY方向とした場合に、ネジ部材3の先端に対してY方向に沿って筒部材2とは反対側に板状の第1規制部G1を設ける。これにより、筒部材2がハウジング1から引き抜かれようとした場合でも、ネジ部材3の先端のY方向への変位が第1規制部G1の規制面G11によって止められ、アタッチメント5の過度な姿勢変化が阻止される。
尚、規制面G11とネジ部材3との間には常時は僅かな隙間Lを設けておき、ネジ部材3が通常回転する場合にはネジ部材3と規制面G11とが接触しないようにする。これによりネジ部材3の動作が円滑に維持される。
図1および図2に示すように、第1規制部G1を単なる板状とすることで、第1規制部G1を極めて単純な形状としながら、ネジ部材3の先端部が筒部材2から離れるのを効果的に防止することができる。また、第1規制部G1の上方および下方、即ち、X方向およびY方向に垂直なZ方向については開放状態にあるから、ハウジング1に対するネジ部材3の組み込み作業も容易となる。
第1規制部G1はハウジング1の表面から突出する基部G0の先端に形成されているが、当該基部G0の構成は任意である。例えば、ハウジング1の一部に一体成形しておくことができる。その場合には例えばハウジング1と一緒に鋳造することもできるし、ハウジング1の表面に基部G0を溶接しても良い。また、ボルトなどを用いてハウジング1に締結するものであっても良い。
また、図2に示すように、規制面G11の一部であってネジ部材3の先端部が対向する位置に、ネジ部材3の外径に合わせた凹状の溝部G12を形成しておいても良い。本構成であれば、ネジ部材3が溝部G12に当接する際に、上下への触れを抑制することができる。よって、アタッチメント5を剥離させようとして溶接部Wに作用する力の方向を制限し、溶接部Wが破損する可能性をさらに抑えることができる。
〔第2実施形態〕
本発明に係る第2実施形態を図4に示す。ここでは、規制部Gとしてネジ部材3の先端部の全周を包囲する環状面G22を設けた構成とする。具体的には、ハウジング1から基部G0を突出形成し、基部G0の先端に円筒状の壁部G21を有するカップ状の第2規制部G2を設ける。
円筒状の壁部G21の内側には環状面G22および底面G23が形成される。ネジ部材3の通常の駆動状態ではネジ部材3とこれら環状面G22および底面G23とは接触しない。環状面G22とネジ部材3の外表面との間には、所定の隙間Lを設けておく。また、底面G23とネジ部材3の先端との間にも所定の隙間Lを設けておく。これにより、ネジ部材3の駆動の円滑性が確保される。
ただし、X方向に沿った強い引き抜き力が筒部材2に加えられ、ネジ部材3の先端がY方向に沿って筒部材2から離れようとするときには、環状面G22がネジ部材3の変位を規制する。また、第2規制部G2は円筒状であるため、ネジ部材3の先端部の変位方向が仮にZ方向の成分を含んでいる場合でも、ネジ部材3の先端が必ず環状面G22に当接するからネジ部材3の変位は確実に規制される。
第2規制部G2は円筒形状であるから剛性が非常に高いものとなる。また、少なくとも壁部G21が金属材料を用いて構成されると第2規制部G2の剛性および強度はさらに高まる。その結果、第2規制部G2を薄肉化することができ、ステアリング装置Sのコンパクト化が可能となる。
〔第3実施形態〕
本発明に係る第3実施形態を図5に示す。ネジ部材3の変位を規制するべく、ここでの規制部Gは、ネジ部材3の端部に設けた先端凹部G32と、この先端凹部G32に挿入される突起部G31と、を備えた第3規制部G3とする。先端凹部G32はネジ部材3の端部を切削加工等することで容易に形成することができる。突起部G31は、ハウジング1から突出形成した基部G0の先端に一体形成してもよいし、別体の部材を取り付けてもよい。この場合にも、先端凹部G32と突起部G31との間に所定の隙間Lが設定してあり、常時は互いに当接しない。
本構成の場合には、ネジ部材3に先端凹部G32を形成するための加工が必要となるが、一方の突起部G31の構成をより縮小化でき、規制部Gをさらにコンパクトに構成することができる。
〔第4実施形態〕
本発明に係る第4実施形態を図6に示す。本実施形態では、筒部材2がX方向に沿って急激に変位しようとしたとき、アタッチメント5の内部におけるナット部材4の動きを規制してネジ部材3の角度変位を防止するものである。
ネジ部材3はナット部材4の雌ネジ部41に螺合するが、このナット部材4はアタッチメント5に内包される。ナット部材4は、例えばアタッチメント5の先端に形成された開口部52からY方向に沿って挿入されるため、アタッチメント5とナット部材4との間には一定の隙間が存在する。そのため、ナット部材4に対してアタッチメント5は幾分かの角変形が許容されたものとなる。
ナット部材4に螺合するネジ部材3は、図2に示したようにギヤケース12において二組のベアリングB3で支持されており、ネジ部材3の軸芯Xbは一定方向を維持するように構成されている。よって、ナット部材4の雌ネジ部41とネジ部材3のネジ領域3Aとの隙間に起因する相対変位は生じるものの、ネジ部材3に螺合するナット部材4の姿勢も一定範囲に拘束される。
そこで、本実施形態では、ナット部材4がアタッチメント5の内部で相対移動しないように、アタッチメント5に対してナット部材4を固定する第1ナット固定部G4を設けてある。第1ナット固定部G4は規制部Gの一例である。この第1ナット固定部G4は例えば図6に示すように、アタッチメント5の内部に挿入したナット部材4をアタッチメント5の開口部52から押圧するものである。
第1ナット固定部G4は、例えばアタッチメント5に係合される第1部材G41と、当該第1部材G41に螺合してナット部材4に対する押圧位置を変更可能な第2部材G42とで構成する。第1部材G41および第2部材G42は、例えば金属部材を用いて構成する。第1部材G41は中央の蓋部G41aと当該蓋部G41aからコの字状に延出する二つの腕部G41bを有する。二つの腕部G41bの先端どうしが互いに近接・離間するように第1部材G41は所定の弾性を有している。双方の腕部G41bに形成した凸状の係止部G41cをアタッチメント5のZ方向に対向する二つの面に形成した凹状の被係止部G43に係合させる。蓋部G41aにはネジ穴G41dを形成しておき、第2部材G42にはこのネジ穴G41dに螺合可能な雄ネジ部G42aを形成しておく。
本構成によれば、第1部材G41に対する第2部材G42の螺合位置を調節することでアタッチメント5の内部に挿入配置したナット部材4に対する押圧力を調節することができる。よって、ナット部材4をアタッチメント5に対してガタつきなく固定することができる。
このようにナット部材4がアタッチメント5に固定されることで両者が一体となり、ハウジング1に姿勢が固定されたネジ部材3に対してナット部材4およびアタッチメント5の姿勢も固定される。そのため、筒部材2に対してX方向に突発的な外力が作用した場合でも、アタッチメント5の姿勢変化が生じ難くなり、溶接部Wに対して作用するアタッチメント5が剥離する方向の外力が低減化される。よって、ステアリング装置Sの信頼性および耐久性を高めることができる。
尚、図示は省略するが、第1ナット固定部G4としては、上記第2部材G42を省略して第1部材G41のみとすることもできる。その場合には、第1部材G41の中央部を例えばナット部材4に向けて突出させた形状としておき、第1部材G41をアタッチメント5に係合させた状態で、第1部材G41がナット部材4を押圧するものとする。本構成であれば、より簡単な構成の第1ナット固定部G4を構成することができる。
〔第5実施形態〕
本発明に係る第5実施形態を図7に示す。本実施形態の規制部Gも、アタッチメント5の内部におけるナット部材4の動きを規制するものである。
本実施形態における規制部Gとしての第2ナット固定部G5は、ナット部材4をアタッチメント5に挿入する開口部52をアタッチメント5のうちZ方向に向く何れかの面に設ける。図7では開口部52を上面に設けた例を示す。本構成であれば、アタッチメント5の内面のうちナット部材4に対してX方向およびY方向に対向する内面を全て固定面にすることができる。よってこれら固定面とナット部材4とを互いに隙間が生じない状態に構成しておくことで、筒部材2に突発的な引き抜き力などが作用した場合でも、ネジ部材3の取り付け剛性を利用してネジ部材3の先端およびナット部材4が特にY方向に変位するのを防止することができる。因みにZ方向に作用する力は、筒部材2に対するネジ部材3の取り付け位置等に起因してそれほど大きくはならず、ネジ部材3およびナット部材4の変位については主にX方向およびY方向のものを考慮すればよい。
このようにナット部材4を挿入する開口部52をアタッチメント5のZ方向の面に設けることで、ナット部材4を固定する別途の部材が省略でき、第2ナット固定部G5の構成が簡略化される。よって、アタッチメント5の角変形が少なく耐久性に優れたステアリング装置Sを合理的に構成することができる。
〔その他の実施形態〕
その他、本発明に係る実施形態としては、ネジ部材3の端部に当接可能な図2や図4、図5に示した第1規制部G1乃至第3規制部G3と、ナット部材4に作用する図6や図7に示した第1ナット固定部G4あるいは第2ナット固定部G5とを組み合わせても良い。
その場合には、ネジ部材3の端部に第1規制部G1乃至第3規制部G3が作用し、中間部には第1ナット固定部G4あるいは第2ナット固定部G5が作用してネジ部材3の角変形を阻止するから、ネジ部材3の曲げ剛性などの強度を低く設定することができる。つまり、より細いネジ部材3を用いることができ、その結果、ナット部材4やアタッチメント5さらには各規制部Gのサイズも縮小化できるから、ステアリング装置Sをよりコンパクトな構成にすることができる。
尚、上記実施形態において、図1では規制面G11とネジ部材3との間に隙間Lを設け、図4では、環状面G22とネジ部材3との間に、および、図5では、ネジ部材3の先端凹部G32と突起部G31との間に隙間Lを設ける例を示した。ただし、これらの互いに対向する部材の何れか一方にベアリング部材や低摩擦係数の部材を設けることで、両者が常に当接する構成にすることもできる。さらには、例えばネジ部材3の動作が所定の状態に維持され、許容できないほどの摩耗等が生じない限り、ベアリング部材などを設けずネジ部材3と規制部とが当接するものであってもよい。
本発明に係る車両のステアリング装置は、例えば、車体の一部に固定されたハウジングと、このハウジングに伸縮可能に取付けられた筒部材を有する車両のステアリング装置に対して広く適用することができる。
1 ハウジング
10 壁部
11 開口部
2 筒部材
3 ネジ部材
4 ナット部材
41 雌ネジ部
5 アタッチメント
G 規制部
G11 規制面
G22 環状面
G4、G5 ナット固定部
H ハンドル
M モータ
R 螺合部
Xb 軸芯

Claims (4)

  1. 筒状の壁部に開口部を有し、車体の一部に固定されるハウジングと、
    一方の端部にハンドルが取り付けられ、他方の端部が前記ハウジングに挿入されて、前記ハウジングに対して伸縮動作する筒部材と、
    前記筒部材の表面に設けられ、前記開口部から突出する螺合部と、
    前記ハウジングに設けられたモータと、
    一方の端部から入力された前記モータの回転を前記螺合部に伝達し、前記筒部材を伸縮動作させるネジ部材と、を備え、
    前記筒部材に対して前記筒部材を前記ハウジングから突出する方向に引張力が作用した場合に、前記ネジ部材が前記ハウジングから離れるのを規制する規制部が前記ハウジングに備えられている車両のステアリング装置。
  2. 前記規制部が、前記ネジ部材の先端部であって、前記筒部材とは反対側の面に当接可能な規制面を備えている請求項1に記載の車両のステアリング装置。
  3. 前記規制部が、前記ネジ部材の先端部の全周を包囲する環状面を備えている請求項1または2に記載の車両のステアリング装置。
  4. 前記螺合部が、
    前記筒部材に固定された箱状のアタッチメントと、
    当該アタッチメントの内部に、前記アタッチメントに対して前記ネジ部材の軸芯に沿う方向の移動が阻止された状態で挿入され、前記ネジ部材に螺合する雌ネジ部が形成されたナット部材と、を有し、
    前記ナット部材につき前記アタッチメントに対する前記筒部材と反対方向への移動量を所定範囲に制限するナット固定部が前記規制部に備えられている請求項1に記載の車両のステアリング装置。
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