JP2018202560A - 工作機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼすことを回避するために要する作業負担を軽減することが可能な工作機械を提供する。【解決手段】このNC旋盤100(工作機械)は、複数の工具Tを選択的に使用して被加工物Wの加工を行う第1加工部1Lと、第1加工部1Lとは別個に設けられ、複数の工具Tを選択的に使用して被加工物Wの加工を行う第2加工部1Rと、選択された工具Tに設定された加工情報46に基づいて、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の動作を制限する制御を行う旋盤制御部4と、を備える。【選択図】図2

Description

この発明は、工作機械に関し、特に、複数の加工部を備えた工作機械に関する。
従来、複数の加工部を備えた工作機械が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、それぞれ主軸とタレットとを備えた一対の加工部を備えた平行2軸旋盤からなる工作機械が開示されている。タレットは、多角形状の各外周面部分に工具を装着可能なドラム状工具支持装置であり、装着された複数の工具から1つを選択して切削加工を行う。工具には、仕上げ加工用の仕上げ工具などがある。工作機械は、一対の加工部の各々で、同時並行で別々に加工作業を行うことができる。また、工作機械は、ガントリ式のローダを備え、ローダは、ロータリテーブル上のワーク(被加工物)をそれぞれの主軸に搬送して装着させ、加工済みワークを主軸から取り外して搬出する動作を行う。
上記特許文献1では、ローダの走行によって振動が発生し、いずれかの加工部での仕上げ加工中にローダの振動が伝わって加工精度や加工品質が低下することを抑制するために、タレットにおいて仕上げ工具が割り出されている(選択されている)場合にはローダの加減速の時定数を下げたり、最高速度を下げたりする制御を行うことが開示されている。
特開平10−309650号公報
上記特許文献1では、ローダの走行による振動の加工部への影響を抑制することが可能であるものの、上記特許文献1のように複数の加工部を備えた構成では、一方の加工部の動作に伴って発生する振動によって、他方の加工部が加工精度や加工品質に悪影響を受ける場合があるという問題がある。
一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼす問題を解消するためには、従来、各々の加工部の加工プログラムに、たとえば一方の加工部の加工中に他方の加工部の動作を低速にするコード(Mコード)や、一方の加工部の加工中に他方の加工部を待機させるコード(Mコード)などを追加するプログラムの編集作業が行われている。
しかしながら、プログラムの編集作業は、ユーザにプログラミングの十分な知識が必要になると共に、工作機械の実際の動作を想定して編集を行う必要があるために煩雑でユーザの作業負担が大きいという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼすことを回避するために要する作業負担を軽減することが可能な工作機械を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における工作機械は、複数の工具を選択的に使用して被加工物の加工を行う第1加工部と、第1加工部とは別個に設けられ、複数の工具を選択的に使用して被加工物の加工を行う第2加工部と、選択された工具に設定された加工情報に基づいて、第1加工部および第2加工部の少なくとも一方の動作を制限する制御を行う制御部と、を備える。ここで、加工情報とは、工具に設定される情報であって、その工具を用いて実行される加工作業に関する情報である。加工情報は、たとえば荒加工、仕上げ加工などの工程の情報であってもよいし、その工具を用いた加工作業において他方側の加工部に影響を及ぼす振動が発生するか否か、あるいは他方側の加工部からの振動の影響を受けやすい(加工作業の要求面粗度(表面粗さ)が小さい)か否か、などの情報であってもよい。また、動作を制限するとは、加工部の動作に通常動作よりも限定された限界値を設定したり、動作を一時的に禁止したりすることであり、たとえば動作速度を通常よりも低速にしたり、加工動作の開始を一時的に禁止したりすることを含む広い概念である。
この発明の一の局面による工作機械では、上記のように、選択された工具に設定された加工情報に基づいて、第1加工部および第2加工部の少なくとも一方の動作を制限する制御を行う制御部を設ける。これにより、加工情報に基づいて振動が発生する加工か、あるいは振動の影響を受けやすい加工かを把握することができる。そして、第1加工部および第2加工部の一方が工具を選択した際、選択された工具の加工情報に基づいて、振動の影響を与えないように、あるいは振動の影響を受けないように、第1加工部および第2加工部の一方または両方の動作を制限することができる。たとえば、振動が発生する加工や振動の影響を受けやすい加工については、加工動作を一時的に禁止して加工動作の実施タイミングをずらしたり、非加工時の動作を低速にして極力振動を発生させないようにすることができる。そして、振動の影響を与えない、あるいは振動の影響を受けないようにする制御を、加工プログラムの編集作業を要することなく、たとえばユーザが工具毎の加工情報を設定するだけの作業で実現することができる。その結果、一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼすことを回避するために要する作業負担を軽減することができる。
上記一の局面による工作機械において、好ましくは、加工情報は、加工時に振動が発生する振動発生加工を示す情報を含み、第1加工部および第2加工部の一方による振動発生加工中、制御部は、第1加工部および第2加工部の他方において振動の影響を受ける動作を制限する制御を行う。ここで、振動の影響を受ける動作とは、少なくとも工具を用いた加工動作を含み、たとえば加工動作に伴う位置決め動作などを含んでもよい。このように構成すれば、第1加工部および第2加工部の一方が振動発生加工を行う場合に、加工動作中は振動が発生するので、加工中は他方での加工動作を待機させて振動の影響を受けないようにすることができる。なお、振動発生加工中に、振動の影響を考慮する必要が無い動作は制限しなくてもよい。振動の影響を考慮する必要が無い動作については振動発生加工中でも許容する(制限しない)場合には、振動発生加工中に他方の加工動作をすべて制限する場合と比較して、非効率な待機時間が生じることを抑制できるので、振動の影響回避のためのサイクルタイムのロスを低減することができる。
上記一の局面による工作機械において、好ましくは、加工情報は、加工時に振動の影響を回避すべき振動回避加工を示す情報を含み、第1加工部および第2加工部の一方による振動回避加工中、制御部は、第1加工部および第2加工部の他方における振動を発生する動作を制限する制御を行う。振動を発生する動作とは、振動回避加工に影響する振動(振動回避加工に影響を及ぼす程度に大きな振動)を発生する動作を意味し、たとえば工具を用いた加工動作、工具の切替(割り出し)動作、被加工物の搬入出に伴う動作、などを含みうる。このように構成すれば、第1加工部および第2加工部の一方が振動回避加工を行う場合に、加工動作中に他方の振動を発生する動作を制限させて振動の影響を受けないようにすることができる。なお、振動回避加工中に、大きな振動を発生しない動作は制限しなくてもよい。大きな振動を発生しない動作については許容する場合には、一方での振動回避加工中に他方の動作をすべて制限する場合と比較して、非効率な待機時間が生じることを抑制できるので、振動の影響回避のためのサイクルタイムのロスを低減することができる。
上記一の局面による工作機械において、好ましくは、制御部は、第1加工部および第2加工部において選択された工具の各々の加工情報の組み合わせに応じて、第1加工部および第2加工部の各々における許容する動作と制限する動作との組み合わせを選択する。このように構成すれば、第1加工部で選択された工具の加工情報と、第2加工部で選択された工具の加工情報とに応じて、互いの加工動作に影響がある場合にだけ動作を制限して、特段の影響がない動作については許容させることができる。そのため、従来のように加工プログラムによって加工部に低速化や待機処理を行わせる場合、必ずしも低速化や待機の必要がない場面でもコードが実行されて非効率な待機時間が生じる場合があるのに対して、加工プログラムの編集作業を要することなく、振動の影響回避のためのサイクルタイムのロスを最小限に抑えることができる。
上記一の局面による工作機械において、好ましくは、加工情報に基づいて制限する動作は、加工動作、非加工時の移動動作、工具の切替動作、の少なくともいずれかを含む。ここで、第1加工部および第2加工部の一方において他方に影響を及ぼすような振動が発生する動作は、加工動作に限られず、非加工時の移動動作や工具の切替動作も振動が発生し得る。そのため、加工動作、非加工時の移動動作、工具の切替動作、の少なくともいずれかを禁止したり、あるいは低速化するように制限することによって、振動の発生(発生した振動の影響)を効果的に抑制することができる。
上記一の局面による工作機械において、好ましくは、加工情報は、加工時に振動が発生する振動発生加工を示す情報と、加工時に振動の影響を回避すべき振動回避加工を示す情報とを含み、制御部は、振動発生加工と、振動回避加工とが、時間的に重複することがないように、第1加工部および第2加工部の少なくとも一方の加工動作の開始を一時的に禁止する制御を行う。ここで、加工動作は、加工動作以外の他の動作と異なり、振動発生を抑制するために自由に低速化することが困難であるとともに、仮に低速化しても十分に振動が抑制できるとは限らない。そのため、加工動作の開始を一時的に禁止して、振動回避加工と、振動発生加工とが同じタイミングで並行実施されることを回避することによって、一方の加工部の振動発生加工に伴う振動が他方の加工部の振動回避加工に悪影響を及ぼすことを確実に回避することができる。
上記一の局面による工作機械において、好ましくは、第1加工部および第2加工部は、それぞれ振動センサを含み、制御部は、加工情報に加えて、振動センサの検出信号に基づいて、第1加工部および第2加工部の少なくとも一方の動作を制限する制御を行う。このように構成すれば、第1加工部および第2加工部において実際に発生している振動の大きさを検出して、動作制限を行うことができる。したがって、たとえば振動発生加工が完了した直後の振動が減衰する過程や、振動抑制のために制限した動作以外の動作によって発生した意図しない振動が発生した場合などに、振動センサの検出信号に基づいて振動が十分に小さくなるまで振動回避加工を待機させたりすることができる。
上記一の局面による工作機械において、好ましくは、第1加工部および第2加工部は、共に、被加工物を回転させる主軸と、工具を選択して主軸に対して相対移動するタレット装置とを含み、第1加工部および第2加工部の各々の主軸は、基台上に並んで配置されている。このような工作機械は、いわゆる平行2軸タイプの旋盤であり、各々の主軸が並んで配置されることにより互いの振動が影響しやすい構造にあるため、仕上げ加工において振動の影響を回避する必要性が特に高い。そのため、一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼすことを回避するために要する作業負担を軽減することができる本発明は、このような振動が影響しやすい平行2軸タイプの旋盤において特に効果的である。
本発明によれば、上記のように、一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼすことを回避するために要する作業負担を軽減することができる。
本実施形態によるNC旋盤の全体構成を示した模式的な正面図である。 NC旋盤の制御的な構成を示したブロック図である。 工具設定パラメータにおける加工情報の設定画面の一例である。 加工情報に基づく各加工部の動作制限の内容を説明するための図である。 加工情報毎の、許容される動作と制限される動作とを示した図である。 加工情報に基づくローダの動作制限の内容を説明するための図である。 加工情報の設定例1を示す図である。 加工情報の設定例2を示す図である。 振動によって被加工物の加工面にスジが形成される状態を示した模式図である。 第1加工部および第2加工部の加工動作の一例を示したタイミングチャートである。 図10の加工動作の一部を具体的に説明するためのタイミングチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3を参照して、一実施形態によるNC旋盤100の構成について説明する。本実施形態では、特許請求の範囲の「工作機械」の一例として、平行2軸タイプのNC旋盤100について説明する。
NC旋盤100は、被加工物を回転させ、回転する被加工物に工具を接触させることにより、被加工物の切削加工(旋削)を行う工作機械である。切削加工は、加工方法の観点から、たとえば被加工物の外径加工(外周切削)、内径加工(内面切削)、正面加工(端面切削)、穴あけ加工、ねじ切りや溝入れ加工などがある。これらの加工には、それぞれの加工種別に応じた複数種類の工具が用いられる。また、切削加工には、加工精度の観点から、仕上げに要する削り代を残して大まかな形状を形成する荒削りと、所定の寸法、形状および面粗度となるように切削を行う仕上げ切削とがある。
図1に示すように、本実施形態のNC旋盤100は、一対(2つ)の加工部の各々により2つの被加工物Wを同時並行で切削することが可能に構成されている。すなわち、NC旋盤100は、第1加工部1Lと、第2加工部1Rとを備える。NC旋盤100は、加工部を支持する基台2を備え、基台2の一方側に第1加工部1Lが配置され、基台2の他方側に第2加工部1Rが配置されている。図1はNC旋盤100の正面図であり、第1加工部1Lが左側、第2加工部1Rが右側に配置されている例を示している。
なお、図1において、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rが並ぶ左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向、X軸方向およびY軸方向に直交する奥行方向(図1の紙面と直交する方向)をZ軸方向とする。
第1加工部1Lは、複数の工具Tを選択的に使用して被加工物Wの加工を行うように構成されている。また、第2加工部1Rは、第1加工部1Lとは別個に設けられ、複数の工具Tを選択的に使用して被加工物Wの加工を行うように構成されている。第1加工部1Lおよび第2加工部1Rは、共に、被加工物Wを回転させる主軸10と、工具Tを選択して主軸10に対して相対移動するタレット装置20とを含む。したがって、本実施形態では、NC旋盤100は、一対の主軸10と、一対のタレット装置20とを備えている。
主軸10は、NC旋盤100の奥行方向(Z軸方向)に延びるように設けられ、主軸台11によって中心軸(Z軸)回りに回転可能に保持されている。主軸台11は、基台2上に固定的に設置されており、主軸10を回転させるためのモータ(図示せず)を備えている。また、主軸10は、正面側端部に被加工物Wを保持するチャック12が設けられている。主軸10は、被加工物Wをチャック12に保持した状態で、中心軸(Z軸)回りに回転するように構成されている。
第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々の主軸10は、基台2上に並んで配置されている。すなわち、各々の主軸10は、互いにZ軸方向に略平行に、かつ、基台2のX軸方向中央部においてX軸方向に間隔を隔てて隣接するように配置されている。各々の主軸10は、それぞれの主軸台11によって別個に独立して回転駆動される。
タレット装置20は、主軸10に対してX軸方向の外側に配置されている。タレット装置20は、複数の工具Tを装着可能に構成されたタレット21を備える。タレット21は、正面視で多角形状のドラム状構造を有し、多角形状の各外周面においてそれぞれ工具Tを装着するための取付部22を有している。図1では、最大で8個の工具Tを装着可能な8角タレットの例を示しているが、タレット21は、工具Tの最大装着数に応じて、10角タレットなど任意の多角形状としてよい。取付部22はタレット21の径方向外側に突出するように設けられ、工具Tは、取付部22の先端部に取り付けられる。工具Tは、加工用途に応じて、径方向外側(外径加工など)やZ軸方向(内径加工や穴あけ加工など)に向けて固定的に取り付けられる。
タレット装置20は、タレット21を中心軸(Z軸)回りに回動させることにより、使用する工具を選択する(割り出す)ように構成されている。すなわち、タレット装置20は、工具Tが装着された外周面のうち1つを主軸10に向けて配置するように回動させることにより、工具Tの割り出しを行う。つまり、タレット装置20は、X軸方向中央に向けて配置した工具Tを選択する。また、タレット装置20は、割り出した工具Tが周方向に位置ずれしないように、タレット21をロックする機構(図示せず)を備えている。なお、主軸10のY軸方向芯高さ位置と、タレット21の回転中心のY軸方向芯高さ位置とは、略一致する。
タレット装置20は、主軸10に対して接近および離れる方向に移動可能に構成されている。具体的には、タレット装置20は、タレット21(工具T)をX軸方向およびZ軸方向にそれぞれ水平移動させる移動機構23を備える。NC旋盤100は、主軸10に取り付けられた被加工物Wを回転させるとともに、タレット装置20の水平移動によって工具Tを被加工物Wに接触させて、被加工物Wの切削加工を行う。
本実施形態では、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rは、それぞれ振動センサ13を含む。振動センサ13は、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々における振動(加速度変化)を検出するように構成されている。図1の例では、振動センサ13は、たとえば主軸台11の上部などの所定位置に設置され、主軸10の振動を検出する。
また、NC旋盤100は、被加工物Wを搬送するローダ3を備えている。ローダ3は、主軸10およびタレット装置20の上方(Y軸方向上方)に配置され、水平方向(X軸方向およびZ軸方向)に移動可能に構成されている。ローダ3は、たとえばガントリ方式の移動機構によって水平方向に移動可能に構成されている。また、ローダ3は、被加工物Wを把持するハンド部3aを備え、ハンド部3aをY軸方向に昇降移動可能に構成されている。ローダ3のX、Y、Z軸の各方向移動は、たとえばサーボモータなどにより行われる。
ローダ3は、第1加工部1Lおよび第2加工部1RからX方向に離れた載置位置SPに配置された被加工物Wを把持して移動し、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各主軸10に被加工物Wを取り付けることができる。また、ローダ3は、加工済みの被加工物Wを各主軸10から取り外し、載置位置SPに搬送することができる。載置位置SPには、被加工物Wの設置台が設けられていてもよいし、たとえば被加工物Wを搬送するコンベアが設けられていてもよい。
図2に示すように、NC旋盤100は、第1加工部1L、第2加工部1Rを制御する旋盤制御部4と、ローダ3を制御するローダ制御部5とを備える。また、図1に示したように、NC旋盤100は、NC旋盤100の各種情報を表示するための表示部6と、操作入力を受け付ける入力部7とを含む。なお、旋盤制御部4は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
旋盤制御部4は、CPUなどのプロセッサと、メモリとを含む演算処理部41と、加工プログラムおよび各種パラメータを記憶する記憶部42と、主軸10、タレット装置20の各駆動源(モータ)を駆動するドライバ43とを含む。ローダ制御部5は、CPUなどのプロセッサと、メモリと、ローダ3の各駆動源(モータ)を駆動するドライバ51とを含む。ローダ制御部5は、メモリに記憶された動作プログラム52およびサーボプログラム53に従って、ローダ3の動作制御を行う。
旋盤制御部4の記憶部42には、第1加工部1L用の加工プログラム44Lと、第2加工部1R用の加工プログラム44Rとが記憶されている。加工プログラムは、いわゆるNCプログラムであり、演算処理部41は、加工プログラム44Lおよび44Rを実行することにより、所定の実行順序で工具Tを選択し、所定の加工動作を実行するように第1加工部1Lおよび第2加工部1Rを制御する。
旋盤制御部4の記憶部42には、タレット装置20に装着される工具Tの情報が、工具設定パラメータ45として記憶されている。工具設定パラメータ45は、第1加工部1Lと第2加工部1Rとにそれぞれ設定される。工具設定パラメータ45は、たとえば工具番号45a、工具名称45bを含む。タレット21の各取付部22(各外周面)には、工具番号45aが割り当てられており、各取付部22に装着された工具Tは、それぞれの工具番号45aによって区別される。
ここで、本実施形態では、旋盤制御部4の記憶部42には、加工情報46が記憶されている。加工情報46は、工具設定パラメータ45の1つとして、工具T毎に設定される。旋盤制御部4は、選択された工具Tに設定された加工情報46に基づいて、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の動作を制限する制御を行うように構成されている。具体的には、旋盤制御部4は、加工プログラム44Lおよび44Rに従って第1加工部1Lおよび第2加工部1Rで工具Tの割り出しおよび加工動作を行う際、割り出された工具Tの加工情報46に基づいて、一方の加工部で発生した振動が他方の加工部の加工動作に影響する可能性がある場合に、加工プログラム44Lおよび44Rに指定されていない制御(第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の動作を制限する制御)を実行するように構成されている。
(加工情報)
加工情報46は、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々による被加工物Wの加工作業に先立って、記憶部42(工具設定パラメータ45)に予め設定される。加工情報46は、たとえば、図3に示す加工情報46の設定画面を表示部6に表示させ、入力部7を介してユーザが設定、変更することが可能である。図3は、左側の第1加工部1L(HEAD−L)における加工情報46の設定画面例を示している。入力部7の切替キー(図示せず)によって、右の第2加工部1R(HEAD−R、図示せず)の工具設定パラメータ45を表示させることが可能である。加工情報46は、工具設定パラメータ45の各工具番号の「振動監視」項目を選択し、入力操作によって設定することができる。
加工情報46は、それぞれの工具Tについて、その工具Tを使用してどのような加工を行うかを示す情報であり、本実施形態では、特に加工動作に際しての振動についての情報を含む。すなわち、加工情報46は、その工具Tを使用して、大きな振動を発生する加工を行うか否か、振動の影響を受けやすい加工を行うか否か、を示す情報である。
具体的には、加工情報46は、加工時に振動が発生する振動発生加工を示す情報を含む。ここで、加工時に振動が発生する加工とは、その工具Tを使用する一方(たとえば第1加工部1L)の加工動作において発生した振動が、他方(この場合、第2加工部1R)に伝達して加工動作に影響を与える加工であることを意味する。そのため、他方側の加工品質に、許容できない影響を与える振動を発生させる工具Tについて、ユーザが振動発生加工として設定する。振動発生加工の加工情報46は、表示部6の振動監視項目に「振動あり」と表示される。このような振動発生加工の情報は、典型的には、特に被加工物Wが非円形の異形材である場合の加工を行う工具Tに対して設定される。被加工物Wが非円形の場合、通常、円形と異なる箇所を切削する際に衝撃が発生し、比較的大きな振動が生じる。
また、加工情報46は、加工時の面粗度を優先する面粗度優先加工を示す情報を含む。なお、面粗度優先加工は、特許請求の範囲の「加工時に振動の影響を回避すべき振動回避加工」の一例である。ここで、加工時の面粗度を優先する加工とは、一方(たとえば第1加工部1L)で加工を行う際の加工精度や加工品質が、他方(この場合、第2加工部1R)からの振動の影響を受けやすい加工であることを意味する。つまり、振動の影響を受けやすい面粗度優先加工は、加工時に振動の影響を回避すべき振動回避加工である。そのため、他方側の振動によって加工品質に許容できない影響を受ける工具Tについて、ユーザが面粗度優先加工として設定する。面粗度優先加工の加工情報46は、表示部6の振動監視項目に「面粗優先」と表示される。面粗度優先加工の情報は、典型的には、小さい面粗度(高精度)が要求される仕上げ加工を行う工具Tに対して設定される。
また、加工情報46は、振動発生加工および面粗度優先加工の複合タイプについても規定する。すなわち、加工情報46は、振動発生加工であり、かつ、面粗度優先加工である面粗度・振動加工を示す情報を含む。面粗度・振動加工は、その工具Tを使用して加工動作を行う際に、他方に影響を与える振動が発生しながら、加工精度や加工品質において他方からの振動の影響を受けやすい加工である。面粗度・振動加工の加工情報46は、表示部6の振動監視項目に「面粗・振動」と表示される。
なお、工具設定パラメータ45では、加工情報46として上記の3種のいずれにも設定しない状態(設定なし)も含む。設定なしの場合、表示部6の振動監視項目には「−」と表示される。設定なしは、加工時に他方に影響を与えるような振動を発生させることがなく、かつ、加工時に他方から振動の影響を受けるような高い面粗度が要求されない加工である。
(加工情報による動作制限)
次に、図4を参照して、加工情報46に基づく動作制限について説明する。本実施形態では、加工情報46に基づいて制限する動作は、加工動作、非加工時の移動動作、工具Tの切替動作、の少なくともいずれかを含む。NC旋盤100の場合、加工動作が切削送りの動作である。切削送りとは、工具Tと被加工物Wとを接触させた状態(切削中)で工具Tを移動させるためのタレット装置20の移動動作(X軸またはZ軸移動)である。非加工時の移動動作が早送りの動作である。早送り動作とは、切削送り以外の高速移動動作を意味し、たとえば切削の開始位置へ移動する際などのタレット装置20の移動動作(X軸またはZ軸移動)である。工具Tの切替動作は、タレット動作であり、タレット装置20による工具Tの選択およびロックを含む一連の割り出し動作である。したがって、本実施形態では、旋盤制御部4は、加工情報46に基づいて動作制限を行う場合、切削送り、早送り、タレット動作のうちいずれか1つ、2つまたは全部を制限する。
図4は、加工情報46に基づく動作制限の一例を示したものである。図5において、「自側」とは、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rのうち、その加工情報46が設定された工具Tが割り出されている一方の加工部を意味し、「他側」とは、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rのうち、他方の加工部を意味する。図4は、自側の加工部でその加工情報46が設定された工具Tを割り出している場合に、他側の加工部に適用する動作制限の内容を示している。
〈面粗度優先加工〉
図4の例では、面粗度優先加工の加工情報46に動作制限A〜Cが設けられている。加工情報46で面粗度優先加工を選択すると、自側で面粗度優先加工が設定された工具Tが割り出されている間、他側に動作制限A〜Cの項目が適用される。
動作制限Aは、面粗度優先加工が設定された工具Tが割り出されている(選択されている)場合に、他側の加工部の早送り動作を低速動作にするものである。低速動作にすることによって、早送り動作の加速時および減速時に発生する振動が抑制される。
早送り動作の低速動作は、初期状態で、たとえば通常の高速動作に対して加減速時間が8倍(加速度が通常の1/8)に設定される。ここで、早送り動作(高速動作、低速動作)は、図2に示した速度パラメータ47に設定され、記憶部42に記憶されている。旋盤制御部4は、面粗度優先加工が設定されている工具Tが割り出されている場合、加工プログラム44L、44Rに従って早送り動作を行う際、速度パラメータ47を参照して他側の早送り動作を低速動作にする。
旋盤制御部4は、入力部7を介した入力操作により速度パラメータ47の設定値を変更することが可能である。これにより、面粗度優先加工の要求精度に応じて、早送り動作の加速時および減速時に発生する振動の影響を受けずに極力高速になるように、ユーザが低速動作の加減速時間を設定可能となる。
動作制限Bは、面粗度優先加工が設定された工具Tによる切削送り中に、他側の加工部のタレット動作を禁止するものである。旋盤制御部4は、面粗度優先加工が設定されている工具Tで切削送りが行われている場合、加工プログラム44L、44Rに従ってタレット動作を行う際、他側のタレット動作を禁止(待機)させる。工具Tの割り出しやロックの際には、一定の振動が発生するため、面粗度を優先する場合にタレット動作を禁止することによって、タレット動作に伴って振動が発生することが防止される。
動作制限Cは、面粗度優先加工が設定された工具Tによる切削送り中に、他側の加工部において振動発生加工が設定された工具Tによる切削送り(加工動作の開始)を禁止するものである。他側の振動発生加工の禁止は、自側の面粗度優先加工の切削送りが完了した時に解除され、他側の加工部では、自側の面粗度優先加工の切削送りが完了した後に振動発生加工の切削送りが開始される。つまり、他側の振動発生加工の禁止とは、自側の面粗度優先加工の切削送りが完了するまで待機することである。旋盤制御部4は、面粗度優先加工が設定されている工具Tで切削送りが行われている場合、加工プログラム44L、44Rに従って他側の加工部を動作させる際、他側の振動発生加工が設定されている工具Tによる切削送りの開始を禁止(待機)させる。これにより、他側の振動発生加工に伴って、面粗度優先加工の加工品質に影響する振動が発生することが防止される。
このように、本実施形態では、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方による面粗度優先加工中(切削送り中)、旋盤制御部4は、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの他方における振動を発生する動作を制限する制御(動作制限BおよびC)を行うように構成されている。なお、動作制限Cは、他側の振動発生加工の切削送りを禁止するものであるため、面粗度・振動加工の切削送りも禁止される一方、面粗度優先加工および設定なしの切削送りは許容される。
〈振動発生加工〉
図4の例では、振動発生加工の加工情報46について、動作制限Dが設けられている。加工情報46で振動発生加工を選択すると、自側で振動発生加工が設定された工具Tが割り出されている間、他側に動作制限Dの項目が適用される。
動作制限Dは、振動発生加工が設定された工具Tによる切削送り中に、他側の加工部において面粗度優先加工が設定された工具Tによる切削送り(加工動作の開始)を禁止するものである。他側の面粗度優先加工の禁止は、自側の振動発生加工の切削送りが完了した時に解除され、他側の加工部では、自側の振動発生加工の切削送りが完了した後に、面粗度優先加工の切削送りが開始される。つまり、他側の面粗度優先加工の禁止とは、自側の振動発生加工の切削送りが完了するまで待機することである。旋盤制御部4は、振動発生加工が設定されている工具Tで切削送りが行われている場合、加工プログラム44L、44Rに従って他側の加工部を動作させる際、他側の面粗度優先加工が設定されている工具Tによる切削送りの開始を禁止(待機)させる。これにより、自側の振動が他側の面粗度優先加工の加工品質に影響を与えることが防止される。
このように、本実施形態では、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方による振動発生加工中、旋盤制御部4は、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの他方において振動の影響を受ける動作を制限する制御(動作制限D)を行うように構成されている。なお、動作制限Dは、他側の面粗度優先加工の切削送りを禁止するものであるため、面粗度・振動加工の切削送りも禁止される一方、振動発生加工および設定なしの切削送りは許容される。
〈面粗度・振動加工〉
図4の例では、加工情報46で面粗度・振動加工を選択すると、自側で面粗度・振動加工が設定された工具Tが割り出されている間、他側に動作制限A〜Dの項目が適用される。したがって、特に面粗度・振動加工が設定された工具Tによる切削送り中には、他側の加工部において面粗度優先加工または振動発生加工が設定された工具Tによる切削送り(加工動作の開始)が禁止される。他側の面粗度優先加工または振動発生加工の禁止は、自側の面粗度・振動加工の切削送りが完了した時に解除され、他側の加工部では、自側の面粗度・振動加工の切削送りが完了した後に、切削送りが開始される。他側の加工部では、設定なしの切削送りは許容される。
このように、加工情報46で面粗度優先加工を選択すると、他側の加工部に動作制限A〜Cを適用する一方、他側の加工部で割り出された工具Tに応じて動作制限A、B、Dの適用を受けうる。また、加工情報46で振動発生加工を選択すると、他側の加工部に動作制限Dを適用する一方、他側の加工部で割り出された工具Tに応じて動作制限A〜Cの適用を受けうる。また、加工情報46で面粗度・振動加工を選択すると、他側の加工部に動作制限A〜Dを適用する一方、他側の加工部で割り出された工具Tに応じて動作制限A〜Dの適用を受けうる。
〈振動センサの振動検出信号による動作制限〉
本実施形態では、加工情報46に加えて、振動センサ13の検出信号に基づいて動作制限Eが行われる。
動作制限Eは、他側の振動センサ13による振動検出信号がオン(振動あり)の間、自側の面粗度優先加工または面粗度・振動加工が設定された工具Tによる切削送り(加工動作の開始)を禁止するものである。ここで、図2に示したように、旋盤制御部4は、振動センサ13の検出信号を監視し、検出された振動が予め設定された閾値Th以上になっている場合に、振動検出信号をオンにする。また、旋盤制御部4は、振動センサ13の検出信号が予め閾値Th未満になっている場合に、振動検出信号をオフにする。旋盤制御部4は、加工プログラム44L、44Rに従って自側の加工部を動作させる際、振動検出信号がオンの間は、面粗度優先加工または面粗度・振動加工の切削送りの開始を禁止する。切削送りの禁止は、他側の振動検出信号がオフになった時に解除され、自側の加工部で面粗度優先(面粗度・振動)加工の切削送りが開始される。
このように、本実施形態では、旋盤制御部4は、加工情報46に加えて、振動センサ13の検出信号に基づいて、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の動作を制限する制御(動作制限E)を行う。これにより、たとえば振動発生加工後に振動が減衰する過程で面粗度優先加工の加工品質に影響を与えるような振動が残っている間は切削送りが待機され、振動が十分に減衰してから面粗度優先(面粗度・振動)加工が開始される。
なお、以上の動作制限A〜Eの条件は、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rのそれぞれについて、別々に判断が行われる。そのため、たとえば第1加工部1Lおよび第2加工部1Rのそれぞれに面粗度優先加工が設定された工具Tが割り出されている状態では、動作制限Aが第1加工部1Lおよび第2加工部1Rに相互適用される。このように、本実施形態では、旋盤制御部4は、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rにおいて選択された工具Tの各々の加工情報46の組み合わせに応じて、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々における許容する動作と制限する動作との組み合わせを選択するように構成されている。
具体的に、図4の動作制限ルールに従って、第2加工部1Rについて許容する動作と制限する動作との組み合わせを図5に示す。すなわち、図5は、自側を第2加工部1R、他側を第1加工部1Lとして、他側が特定の状態にある場合に、自側の許可する動作、制限する動作を一覧表にしたものである。第1加工部1Lについても、自側を第1加工部1L、他側を第2加工部1Rとした場合の同様の組み合わせが適用される。
図5において、記号「○」は許容する動作(制限なし)を示し、記号「×」は禁止する動作(制限あり)を示す。早送りについては、「高速」が通常の高速動作(制限なし)であり、「低速」が上述の低速動作(制限あり)である。制限を受ける動作(×または低速)の欄の隅に付与されているA〜Dの文字は、動作制限A〜Dのいずれが適用されるかを示している。なお、動作制限Eは、他側の加工情報には依存しない(振動検出信号に依存する)ため、欄外に記載している。
他側の各行は、面粗度優先、振動発生、面粗度・振動のそれぞれの加工情報46が設定された工具Tが割り出された状態で、現在切削送り中(各行の上段)にあるか、切削送り中以外の他の状態(早送り中またはタレット動作中、各行の下段)にあるかを示している。
自側の各列は、面粗度優先、振動発生、面粗度・振動のそれぞれの加工情報46が設定された工具Tについて、切削送り、早送り、タレット動作の各動作を開始する場合を示している。上述の通り、加工情報46が設定なしの工具Tについては、自側が制限されることも、他側を制限することもない。
旋盤制御部4は、たとえば他側が面粗度優先加工の切削送り中は、設定なしを除いて面粗度優先加工の切削送りのみを許容し、振動発生加工、および、面粗度・振動加工の切削送りの開始を禁止(待機)する。同様に、旋盤制御部4は、他側が振動発生加工の切削送り中は、設定なしを除いて振動発生加工の切削送りのみを許容し、面粗度優先加工、および、面粗度・振動加工の切削送りの開始を禁止(待機)する。面粗度・振動加工は、面粗度優先加工の制限と、振動発生加工の制限とを組み合わせたものとなる。
このように、旋盤制御部4は、振動発生加工と、面粗度優先加工とが、時間的に重複することがないように、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の加工動作(切削送り)の開始を一時的に禁止する制御を行う。逆に言うと、旋盤制御部4は、面粗度優先加工同士、振動発生加工同士については、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rが時間的に重複して並行で切削送りを実行することを許容する制御を行う。なお、面粗度・振動加工については、動作制限A〜Dが組み合わせ適用されるため、面粗度優先加工および振動発生加工のいずれとも時間的に重複することがないように切削送りが一時的に禁止される。
〈ローダの動作制限〉
本実施形態のNC旋盤100は、加工情報46や振動検出信号に基づく第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの動作制限以外に、ローダ3の動作制限をさらに行うように構成されている。すなわち、図6に示すように、ローダ制御部5は、選択された工具Tに設定された加工情報46に基づいて、ローダ3の動作を制限する制御を行うように構成されている。
具体的には、ローダ制御部5は、第1加工部1Lまたは第2加工部1Rの各々に割り出されている工具Tの加工情報46に基づいて、ローダ3の動作制限を行う。ローダ制御部5は、面粗度優先加工、または面粗度・振動加工の加工情報46が設定された工具Tが、第1加工部1Lまたは第2加工部1Rのいずれかに割り出し中の場合に、ローダ3の動作速度を通常の動作(高速動作)よりも低速に制限する。ローダ3の低速動作は、初期状態で、たとえば通常の速度の10%に設定される。早送り動作の動作制限と同じように加速度を低下させてもよい。
また、ローダ制御部5は、面粗度優先加工(面粗度・振動加工)の加工情報46が設定された工具Tがいずれの加工部にも割り出されていない場合に、ローダ3を通常の動作速度(高速動作)で動作させる(制限なし)。つまり、ローダ制御部5は、振動発生加工の加工情報46が設定された工具Tまたは設定なしの工具Tが、第1加工部1Lまたは第2加工部1Rの両方に割り出し中の場合に、ローダ3に通常の高速動作を許容する。
なお、ローダ3の動作速度(高速動作、低速動作)は、図2に示した速度パラメータ54に設定されている。速度パラメータ54は、入力部7または入力部8(ローダ制御部用の入力装置)を介した入力操作により任意に設定変更可能である。
(加工情報の設定例1)
図7は、加工情報46の設定例1を示す。設定例1では、第1加工部1Lの工具番号2(外径仕上)の工具Tでの切削送りを行った場合に、図9のように加工面に許容されないスジ(切削痕)LCが形成される場合を想定する。スジ形成の原因が第2加工部1Rのタレット動作の際の振動であった場合、第1加工部1Lの工具番号2(外径仕上)の工具Tに面粗度優先加工の加工情報46を設定する。この結果、動作制限B(図4参照)によって、第1加工部1Lの工具番号2の工具Tでの切削送り時に、第2加工部1Rでのタレット動作が禁止され、振動が発生しなくなる。これにより、加工情報46の設定によって加工面へのスジ形成が回避される。
(加工情報の設定例2)
図8は、加工情報46の設定例2を示す。設定例2では、第2加工部1Rの工具番号4(内径仕上)の工具Tでの切削送りを行った場合に、加工面に許容されないスジLCが形成される場合を想定する。スジ形成の原因が第1加工部1Lの工具番号1(外径荒)の工具Tの切削中の振動であった場合、第2加工部1Rの工具番号4(内径仕上)の工具Tに面粗度優先加工の加工情報46を設定し、第1加工部1Lの工具番号1(外径荒)の工具Tに振動発生加工の加工情報46を設定する。この結果、動作制限C(図4参照)によって、第2加工部1Rの工具番号4の工具Tでの切削送り中に、第1加工部1Lでの工具番号1の工具Tでの切削送りが禁止され、振動が発生しなくなる。これにより、加工情報46の設定によって加工面へのスジ形成が回避される。設定例2の場合、第2加工部1Rでの工具番号4の切削送りが完了した後に、第1加工部1Lでの工具番号1の切削送りが開始されることになる。
このように、本実施形態では、加工プログラム44L、44Rを編集することなく、加工情報46を設定画面上で設定するだけで、振動による加工品質の低下を回避できる。
(動作制御例)
次に、図10および図11を参照して、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの動作制御例について説明する。第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの以下の動作は、旋盤制御部4によって制御される。
図10は、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々の加工動作のタイミングチャートである。図10では、3種の工具T(工具番号1〜3)を使用して被加工物Wの切削を行う例を示す。以下の動作説明では、工具番号1〜3の工具Tを、それぞれ1番工具〜3番工具として表記する。便宜的に、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々の1番工具〜3番工具について、同じ加工情報46が設定されているとする。すなわち、1番工具は、加工情報46の設定なし。2番工具は面粗度優先加工、3番工具は振動発生加工の加工情報46が設定されている。なお、図10は、時間経過に伴う割り出し中の工具の変化を表している。たとえば、1番工具の割り出し中では、常に切削送りがされているわけではなく、1番工具が割り出されている間に切削送りと早送りとが1回または複数回行われる。
図10の例では、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rは、それぞれ並行して、1番工具、2番工具、3番工具の順番で切削を行う。時刻t0で切削を開始すると、1番工具(設定なし)の割り出し中は、特に動作制限は発生しない。
時刻t1において、第2加工部1Rにおいて1番工具の切削が終了し、2番工具の割り出し(タレット動作)が行われる。面粗度優先加工の2番工具が割り出されると、第1加工部1Lに、動作制限AおよびBが適用される。動作制限Cは、加工情報46の設定なしの1番工具には適用されない。
時刻t2において、第1加工部1Lにおいて1番工具の切削が終了し、第2加工部1Rの切削送り以外のタイミングで、2番工具の割り出し(タレット動作)が行われる。面粗度優先加工の2番工具が割り出されると、第2加工部1Rに、動作制限AおよびBが適用される。動作制限Cは、面粗度優先加工の2番工具には適用されない。
時刻t3において、第2加工部1Rにおいて2番工具の切削が終了し、第1加工部1Lの切削送り以外のタイミングで、3番工具の割り出し(タレット動作)が行われる。振動発生加工の3番工具が割り出されると、第1加工部1Lの動作制限A〜Cは解除され、動作制限Dが適用される。一方、3番工具を割り出した第2加工部1Rに、動作制限A〜Cが適用(動作制限A、Bに加えて動作制限Cが追加)される。このように一方で面粗度優先加工の2番工具が割り出され、他方で振動発生加工の3番工具が割り出されている状態(時刻t3〜時刻t4)では、互いに、一方の切削送り中に他方の切削送りの開始を禁止し合うことになる。時刻t3〜時刻t4の間のより具体的な動作は、後述する。
時刻t4において、第1加工部1Lにおいて2番工具の切削が終了し、3番工具の割り出し(タレット動作)が行われる。第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの両方に振動発生加工の3番工具が割り出されると、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの全ての動作制限は解除される。第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々において、3番工具による切削が終了すると、被加工物Wの加工が終了する。
次に、図11を参照して図10の時刻t3〜時刻t4の間の動作例を具体的に説明する。
図11に示すように、時刻t3において、第1加工部1Lの早送り(切削送り以外)のタイミングで、第2加工部1Rがタレット動作(3番工具の割り出し)を行う。また、第1加工部1Lでは、他側のタレット動作中の切削送り開始は許容されている(図5参照)。そのため、第1加工部1Lでは、早送り終了後の時刻t11で切削送り(面粗度優先加工)が開始される。なお、タレット動作に限らず、一端開始した動作は動作終了まで継続される。時刻t12で、第2加工部1Rの早送りが低速動作(動作制限A)で開始される。
時刻t13で第1加工部1Lの切削送りが終了すると、第2加工部1Rでの切削送り(振動発生加工)が開始される。また、第1加工部1Lで早送りが高速動作で開始される。第2加工部1Rが切削送り中の間は、第1加工部1Lの切削送りが禁止される。
時刻t14で第2加工部1Rの切削送りが終了すると、第1加工部1Lでの切削送り(面粗度優先加工)が開始される。また、第2加工部1Rの早送りが低速動作(動作制限A)で開始される。
第2加工部1Rは、時刻t15で早送りが終了し、切削送りを開始できる状態になったとしても、第1加工部1Lが切削送り中の間は、切削送りを待機(動作制限C)する。そして、第1加工部1Lの切削送り完了後の時刻t16で、第2加工部1Rの切削送り(振動発生加工)が開始される。
同様に、第1加工部1Lは、時刻t17で早送りが終了し、切削送りを開始できる状態になったとしても、第2加工部1Rが切削送り中の間は、切削送りを待機(動作制限D)する。そして、第2加工部1Rの切削送り完了後に動作制限Dが解除される。ここで、図11の動作例では、時刻t16〜t18の第2加工部1Rの切削送り(振動発生加工)によって、閾値Th以上の振動が発生し、振動センサ13(図2参照)による振動検出信号がオンになったとする。その場合、第1加工部1Lは、振動が十分に減衰して振動検出信号がオフになる時刻t19までの間、切削送りの開始がさらに待機され(動作制限E)、時刻19で切削送り(面粗度優先加工)が開始される。
第2加工部1Rでは、振動検出信号がオンの間も早送りを低速動作で行い、たとえば時刻t20で早送りが終了するが、第1加工部1Lが切削送り中の間は、切削送りを待機(動作制限C)する。このような制御が、時刻t4まで継続される。
以上のようにして、時刻t3〜t4の間は、面粗度優先加工と振動発生加工とが同時並行で行われることがないように、互いに待機時間を設けつつタイミングをずらして切削送りを行うように、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rが制御される。また、特に面粗度優先加工に関しては、振動検出信号がオンのときにも切削送りを待機することにより、加工品質に影響する振動が発生している状況下での切削送りが回避される。
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、選択された工具Tに設定された加工情報46に基づいて、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の動作を制限する制御を行う旋盤制御部4を設ける。これにより、加工情報46に基づいて振動が発生する加工か、あるいは振動の影響を受けやすい加工かを把握することができる。そして、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方が工具Tを選択した際、選択された工具Tの加工情報46に基づいて、振動の影響を与えないように、あるいは振動の影響を受けないように、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方または両方の動作を制限することができる。たとえば、振動が発生する加工(振動発生加工)や振動の影響を受けやすい加工(面粗度優先加工)については、加工動作を一時的に禁止して加工動作の実施タイミングをずらしたり(動作制限C、D)、非加工時の動作を低速にして極力振動を伝達させないようにする(動作制限A)ことができる。そして、振動の影響を与えない、あるいは振動の影響を受けないようにする制御を、加工プログラム(44L、44R)の編集作業を要することなく、たとえばユーザが工具T毎の加工情報46を設定するだけの作業で実現することができる。その結果、一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼすことを回避するために要する作業負担を軽減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、加工情報46として、加工時に振動が発生する振動発生加工を示す情報を設け、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方による振動発生加工中、旋盤制御部4に、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの他方において振動の影響を受ける動作を制限する制御(動作制限D)を行わせる。これにより、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方が選択した工具Tで振動発生加工を行う場合に、加工動作中は振動が発生するので、加工中は他方での加工動作を待機させて振動の影響を受けないようにすることができる。さらに、本実施形態では、一方での振動発生加工中に、他方での振動の影響を考慮する必要が無い動作(振動発生加工、設定なし)については許容する制御(図5参照)が行われる。そのため、振動発生加工中に他方の加工動作(切削送り)をすべて制限する場合と比較して、非効率な待機時間が生じることを抑制できるので、振動の影響回避のためのサイクルタイムのロスを低減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、加工情報46として、加工時に振動の影響を回避すべき面粗度優先加工(振動回避加工)を示す情報を設け、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方による面粗度優先加工中、旋盤制御部4に、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの他方における振動を発生する動作を制限する制御(動作制限A〜C)を行わせる。これにより、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方が選択した工具Tで行う加工が面粗度優先加工である場合に、加工動作中に他方の振動を発生する動作を制限させて振動の影響を受けないようにすることができる。さらに、本実施形態では、一方での面粗度優先加工中に、大きな振動を発生しない動作(面粗度優先加工、設定なし)については許容する制御(図5参照)が行われる。そのため、面粗度優先加工中に他方の加工動作(切削送り)をすべて制限する場合と比較して、非効率な待機時間が生じることを抑制できるので、振動の影響回避のためのサイクルタイムのロスを低減することができる。
また、本実施形態では、上記のように、旋盤制御部4を、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rにおいて選択された工具Tの各々の加工情報46の組み合わせに応じて、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々における許容する動作と制限する動作との組み合わせ(図5参照)を選択するように構成する。これにより、第1加工部1Lで選択された工具Tの加工情報46と、第2加工部1Rで選択された工具Tの加工情報46とに応じて、互いの加工動作に影響がある場合にだけ動作を制限して、特段の影響がない動作については許容させることができる。そのため、従来のように加工プログラムによって加工部に低速化や待機処理を行わせる場合、必ずしも低速化や待機の必要がない場面でもコードが実行されて非効率な待機時間が生じる場合があるのに対して、加工プログラム44L、44Rの編集作業を要することなく、振動の影響回避のためのサイクルタイムのロスを最小限に抑えることができる。
すなわち、Mコードを用いて加工プログラム44L、44Rを編集する場合、たとえば図10において一方の加工部で2番工具の割り出し中に他方での切削送りを禁止させることができる。その場、時刻t1〜t3の間に相当する時間、および時刻t2〜t4に相当する時間について、他方の加工部では単純に待機し続けるだけになるため、サイクルタイムのロスが大きくなる。これに対して、本実施形態では、時刻t2〜t3のように互いに許容される面粗度優先加工は同時並行で実施したり、図11に示したように互いに制限される動作は極力待機時間が発生しないように交互に行うことができる。図11のような動作制御を加工プログラムで実現するのは容易ではなく、本実施形態によれば、ユーザの作業負担を軽減しつつ、サイクルタイムのロスを最小限に抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、上記のように、加工情報46に基づいて制限する動作に、加工動作(切削送り)、非加工時の移動動作(早送り)、工具Tの切替動作(タレット動作)、の少なくともいずれかを含める。第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの一方において他方に影響を及ぼすような振動が発生する動作は、切削送りに限られず、早送りやタレット動作も振動が発生し得るため、切削送り、早送り、タレット動作、の少なくともいずれかを禁止したり、あるいは低速化するように制限することによって、振動の発生(発生した振動の影響)を効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、旋盤制御部4に、振動発生加工と、面粗度優先加工(振動回避加工)とが、時間的に重複することがないように、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の加工動作の開始を一時的に禁止する制御(図11参照)を行わせる。ここで、加工動作は、加工動作以外の他の動作と異なり、振動発生を抑制するために自由に低速化することが困難であるとともに、仮に低速化しても十分に振動が抑制できるとは限らない。そのため、加工動作の開始を一時的に禁止して、面粗度優先加工と、振動発生加工とが同じタイミングで並行実施されることを回避することによって、一方の加工部の振動発生加工に伴う振動が他方の加工部の面粗度優先加工に悪影響を及ぼすことを確実に回避することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rに、それぞれ振動センサ13を設け、旋盤制御部4に、加工情報46に加えて、振動センサ13の検出信号に基づいて、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの少なくとも一方の動作を制限する制御(動作制限E)を行わせる。これにより、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rにおいて実際に発生している振動の大きさを検出して、動作制限を行うことができる。したがって、たとえば振動発生加工が完了した直後の振動が減衰する過程(図11の時刻t18〜t19)や、振動抑制のために制限した動作以外の動作によって発生した意図しない振動が発生した場合などに、振動センサ13の検出信号に基づいて振動が十分に小さくなるまで面粗度優先加工を待機させたりすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々に、被加工物Wを回転させる主軸10と、工具Tを選択して主軸10に対して相対移動するタレット装置20とを設け、第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの各々の主軸10を、基台2上に並んで配置する。このような平行2軸タイプのNC旋盤100は、各々の主軸10が並んで配置されることにより互いの振動が影響しやすい構造にあるため、仕上げ加工において振動の影響を回避する必要性が特に高い。そのため、一方の加工部の動作に伴う振動が他方の加工部に悪影響を及ぼすことを回避するために要する作業負担を軽減することができる本実施形態のNC旋盤100は、このような振動が影響しやすい平行2軸タイプの構成において特に効果的である。
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、工作機械の一例としてのNC旋盤の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、複数の加工部(第1加工部、第2加工部)を備えた工作機械であれば、どのような工作機械に適用してもよい。
また、上記実施形態では、加工情報46に基づいて第1加工部1Lおよび第2加工部1Rの両方の動作制限を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1加工部および第2加工部の一方の動作制限のみを行ってもよい。たとえば第1加工部および第2加工部のうち第1加工部の動作制限のみを行い第2加工部の動作を優先させるように制御してもよい。
また、上記実施形態では、面粗度優先加工、振動発生加工、面粗度・振動加工の3種の加工情報(設定なしを含めれば4種)を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記の3種以外の4種類以上の加工情報を設定してもよいし、2種類以下の加工情報を設定してもよい。また、上記実施形態では、加工の種類(面粗度を優先する仕上げ加工)に着目して、仕上げ加工は振動の影響を受けやすいことから、振動の影響を回避すべき面粗度優先加工という加工情報を振動回避加工の一例として設定した例を示したが、単純に、「振動の影響を他側から受け易い(振動の影響を回避すべき)」振動回避加工という加工情報を設定して、上記面粗度優先加工と同様の動作制限を行ってもよい。また、上記実施形態では、振動の有無に着目して「振動の影響を他側に与える」振動発生加工という加工情報を設定する例を示したが、加工の種類に着目し、一般に荒加工では振動が発生しやすいことから、荒加工という加工情報を設定して、上記振動発生加工と同様の動作制限を行ってもよい。
また、上記実施形態では、動作制限A〜Eを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、動作制限A〜Eのうち一部を適用しなくてもよいし、動作制限A〜E以外の他の動作制限を設けてもよい。また、動作制限の内容が異なっていてもよい。たとえば、動作制限Cについて、自側の面粗度優先加工の切削送り中には、他側の振動発生加工だけでなく、面粗度優先加工や、設定なしの加工などの他の全ての加工の切削送りを禁止してもよい。
また、上記実施形態では、切削送り(加工動作)、早送り(非加工時の移動動作)、タレット動作(工具の切替動作)の各々について動作制限を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、切削送り、早送り、タレット動作のいずれか1つのみについて動作制限を行ってもよいし、たとえば切削送りとタレット動作とについて動作制限を行い、早送りについては制限しなくてもよい。また、切削送り(加工動作)、早送り(非加工時の移動動作)、およびタレット動作(工具の切替動作)以外の他の動作について動作制限を行ってもよい。
また、上記実施形態では、加工部の早送りの動作やローダ3の動作について、高速(制限なし)と低速(制限あり)との2段階を設定した例を示したが、本発明はこれに限られない。加工部の早送りの動作やローダの動作について、2段階以上を設定してもよい。たとえば高速(制限なし)と、中速(弱制限あり)と、低速(強制限あり)との3段階でもよい。この場合、たとえば面粗度優先加工でも、中速まで制限すれば振動の影響を受けない工具と、低速まで制限しないと影響を受ける工具とがある場合などに、振動の影響の受けやすさ(要求される面粗度など)に応じてサイクルタイムのロスを低減した動作制限を行えるようになる。
また、上記実施形態では、振動センサ13を設けて、振動センサ13の検出信号に基づいて動作制限を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、振動センサを設けずに、加工情報のみに基づいて動作制限を行ってもよい。
また、上記実施形態では、第1加工部1Lの主軸10と第2加工部1Rの主軸10とを横並びに隣り合うように配置した平行2軸タイプの例を示したが、本発明はこれに限られない。第1加工部(主軸)と第2加工部(主軸)の配置は任意であり、横並びに隣り合っていなくてもよい。たとえば第1加工部(主軸)と第2加工部(主軸)とが、前後(Z軸方向)、左右(X軸方向)、または上下(Y軸方向)に向かい合う対向2軸タイプであってもよい。
また、上記実施形態では、旋盤制御部4とローダ制御部5とを別々に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、旋盤(第1加工部および第2加工部)とローダとを、共通の制御部により制御してもよい。
1L 第1加工部
1R 第2加工部
2 基台
4 旋盤制御部(制御部)
10 主軸
13 振動センサ
20 タレット装置
46 加工情報
100 NC旋盤(工作機械)
T 工具
W 被加工物

Claims (8)

  1. 複数の工具を選択的に使用して被加工物の加工を行う第1加工部と、
    前記第1加工部とは別個に設けられ、複数の工具を選択的に使用して被加工物の加工を行う第2加工部と、
    選択された工具に設定された加工情報に基づいて、前記第1加工部および前記第2加工部の少なくとも一方の動作を制限する制御を行う制御部と、を備える、工作機械。
  2. 前記加工情報は、加工時に振動が発生する振動発生加工を示す情報を含み、
    前記第1加工部および前記第2加工部の一方による前記振動発生加工中、制御部は、前記第1加工部および前記第2加工部の他方において振動の影響を受ける動作を制限する制御を行う、請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記加工情報は、加工時に振動の影響を回避すべき振動回避加工を示す情報を含み、
    前記第1加工部および前記第2加工部の一方による前記振動回避加工中、制御部は、前記第1加工部および前記第2加工部の他方における振動を発生する動作を制限する制御を行う、請求項1または2に記載の工作機械。
  4. 前記制御部は、前記第1加工部および前記第2加工部において選択された工具の各々の前記加工情報の組み合わせに応じて、前記第1加工部および前記第2加工部の各々における許容する動作と制限する動作との組み合わせを選択する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の工作機械。
  5. 前記加工情報に基づいて制限する動作は、加工動作、非加工時の移動動作、工具の切替動作、の少なくともいずれかを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の工作機械。
  6. 前記加工情報は、加工時に振動が発生する振動発生加工を示す情報と、加工時に振動の影響を回避すべき振動回避加工を示す情報とを含み、
    前記制御部は、前記振動発生加工と、前記振動回避加工とが、時間的に重複することがないように、前記第1加工部および前記第2加工部の少なくとも一方の加工動作の開始を一時的に禁止する制御を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の工作機械。
  7. 前記第1加工部および前記第2加工部は、それぞれ振動センサを含み、
    前記制御部は、前記加工情報に加えて、前記振動センサの検出信号に基づいて、前記第1加工部および前記第2加工部の少なくとも一方の動作を制限する制御を行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載の工作機械。
  8. 前記第1加工部および前記第2加工部は、共に、被加工物を回転させる主軸と、前記工具を選択して前記主軸に対して相対移動するタレット装置とを含み、
    前記第1加工部および前記第2加工部の各々の前記主軸は、基台上に並んで配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の工作機械。
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