JP2018201372A - 薄片状成型ポテトスナック - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な薄片状成型ポテトスナックを提供すること。【解決手段】脂肪含量が5重量%未満または3重量%未満である、ノンフライの薄片状成型ポテトスナックであって、ガラス転移点を143℃以上または161℃以上とする。【選択図】なし

Description

本発明は、薄片状成型ポテトスナックに関する。
ポテトチップスには、ジャガイモを薄切りにして油で揚げた、いわゆるリアルポテトチップスと、ジャガイモをフレーク状や粉末状にしたものを成型して製造された、いわゆる成型ポテトチップスの2種類がある(例えば、特許文献1参照)。
成型ポテトチップスは、製造工程において、油で揚げる方法や、熱風で焼成する方法があり、最近では、過熱蒸気を用いた方法も報告されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、多くの場合、生地の水分を効率的に飛ばす、すなわち水抜けを良くするために、基本的に油を使用する必要があり、高カロリーとなっている。
特開平10−313816号公報 特開2013−202026号公報
本発明は、新規な薄片状成型ポテトスナックを提供することを目的とする。
ポテトチップスは、水分量が低いと、パリパリとして食感が良くなる。本発明者らは、脂肪分量の低さと、水分量の低さが両立する薄片状成型ポテトスナックの製造方法を鋭意研究した結果、脂肪含量が5重量%未満または3重量%未満であるノンフライの薄片状成型ポテトスナックを製造することができるようになった。そして、その製造に、ガラス転移点が重要な要素であることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明の一実施態様は、脂肪含量が5重量%未満または3重量%未満である、ノンフライの薄片状成型ポテトスナックであって、ガラス転移点が143℃以上または161℃以上である薄片状成型ポテトスナックである。この薄片状成型ポテトスナックはオーブン焼成スナックであってもよい。上記薄片状成型ポテトスナックは、水分量が9重量%以下または5重量%以下であってもよい。また、薄片状成型ポテトスナックの原料が裏ごし芋を含んでもよい。
本発明によって、新規な薄片状成型ポテトスナックを提供することが可能になった。
以下、本発明の実施の形態を、実施例を挙げながら詳細に説明する。なお、本発明の目的、特徴、利点、および、そのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をこれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
==薄片状成型ポテトスナック==
本発明の一実施形態は、脂肪分が5重量%未満または3重量%未満である薄片状成型ポテトスナックである。薄片状成型ポテトスナックとは、芋成分を含み、成型によって薄片状に製造されたチップス、スナック、またはフレークのことである。薄片状成型ポテトスナック厚さは、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることがさらに好ましい。
従来、薄片状成型ポテトスナックは、水分を減少させ、パリパリした口当たりを出すため、油で揚げたり、焼成する場合には脂肪分を添加したりしていた。しかし、そのような製法では、脂肪分の低減と水分の低減を両立できなかった。本発明では、脂肪分が5重量%未満または3重量%未満である薄片状成型ポテトスナックの開発に成功した。
この脂肪分が5重量%未満または3重量%未満である薄片状成型ポテトスナックは、パリパリした食感を得るため、水分が少ない方が好ましく、例えば水分が9重量%以下であることが好ましく、7重量%以下であることがより好ましく、6重量%以下であることがさらに好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。脂肪分が少ないため、保管中の酸化が抑えられ、賞味期限を延長することが可能になる。
また、パリパリした食感を得るため、ガラス転移点については、143℃以上であることが好ましく、158℃以上であることがより好ましく、161℃以上であることがさらに好ましい。また、200℃以下であることが好ましく、190℃以下であることがよりこのましい。なお、ガラス転移点が大きすぎると、食感が硬くなる傾向になる。
薄片状成型ポテトスナックは、食物繊維を含有してもよい。食物繊維は特に限定されないが、イソマルトデキストリンやファイトセル(ユニテックフーズ社)が例示できる。この食物繊維は、薄片状成型ポテトスナック製造時の水抜け促進効果を有する。食物繊維の含有量は、2〜22重量%であることが好ましく、6〜22重量%であることがさらに好ましく、6〜17重量%であることがさらに好ましい。
ここで、イソマルトデキストリンは、分岐α-グルカンメチル化分析において、
(1)2,3,6‐トリメチル‐1,4,5‐トリアセチルグルシトールと2,3,4‐トリメチル‐1,5,6‐トリアセチルグルシトールの比が1:0.6乃至1:4の範囲にあり、
(2)2,3,6‐トリメチル‐1,4,5‐トリアセチルグルシトールと2,3,4‐トリメチル‐1,5,6‐トリアセチルグルシトールとの合計が部分メチル化グルシトールアセテートの60%以上を占め、
(3)2,4,6‐トリメチル‐1,3,5‐トリアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上10%未満であり、
(4)2,4‐ジメチル‐1,3,5,6‐テトラアセチルグルシトールが部分メチル化グルシトールアセテートの0.5%以上である
ことを特徴とする分岐α−グルカンである。
なお、イソマルトデキストリンは、メチル化分析において(1)〜(4)のすべての条件を充足する限り、グルコース残基の結合順序は特に限定されない。
このようなイソマルトデキストリンの構造式の一例を、以下に示す。
Figure 2018201372
ここで用いることのできるメチル化分析は、多糖又はオリゴ糖においてこれを構成する単糖の結合様式を決定する方法として一般的に知られている方法であれば特に限定されない。例えば、WO2008/136331号国際公報に記載の方法では、メチル化分析をグルカンにおけるグルコースの結合様式の分析に用いる場合、まず、グルカンを構成するグルコース残基における全ての遊離の水酸基をメチル化し、次いで、完全メチル化したグルカンを加水分解する。次いで、加水分解により得られたメチル化グルコースを還元してアノマー型を消去したメチル化グルシトールとし、さらに、このメチル化グルシトールにおける遊離の水酸基をアセチル化することにより部分メチル化グルシトールアセテート(以下、本明細書では、「部分メチル化グルシトールアセテート」におけるアセチル化された部位と「グルシトールアセテート」の表記を省略して、「部分メチル化物」と略称する場合がある。)を得る。得られた部分メチル化物を、ガスクロマトグラフィーで分析することにより、グルカンにおいて結合様式がそれぞれ異なるグルコース残基に由来する各種部分メチル化物は、ガスクロマトグラムにおける全ての部分メチル化物のピーク面積に占めるピーク面積の百分率(%)で表すことができる。そして、このピーク面積%から当該グルカンにおける結合様式の異なるグルコース残基の存在比、すなわち、各グルコシド結合の存在比率を決定することができる。
イソマルトデキストリンの製造方法は特に限定されないが、例えばWO2008/136331号国際公報、特開平5−84090、またはTsusakiらの文献(K. Tsusaki et al., Carbohydrate Research, vol. 344, p. 2151-2156, 2009)に記載されているように、マルトースおよび/またはグルコース重合度3以上のα−1,4グリコシド結合を有するα−グルカンを基質とし、α−グルコシル転移酵素を作用させて製造することができる。これら3つの文献全体を引用することにより、本明細書に含めるものとする。
また、ファイトセル(PhytocelTM)は、サトウキビ由来の油溶性食物繊維であって、ユニテックフーズ社から市販されている。上記ファイトセルは、例えば、WO2011/035381号国際公報に記載されているような方法で製造することがでる。本文献全体を引用することにより、本明細書に含めるものとする。
薄片状成型ポテトスナックの脂肪分は、10重量%未満であることが好ましく、8重量%未満であることがより好ましく、5重量%未満であることがさらに好ましく、3重量%未満であることがさらに好ましい。
薄片状成型ポテトスナックは、トレハロースを含んでもよい。トレハロースの含有量は2〜12重量%であることが好ましく、5〜12重量%であることがさらに好ましく、5〜10重量%であることがさらに好ましい。
==薄片状成型ポテトスナックの製法==
脂肪分の低減と水分の低減を両立させた薄片状成型ポテトスナックは、例えば以下のようにして製造できる。
まず、芋成分とイソマルトデキストリンまたはファイトセルなどの繊維成分とを含有する混合物を調製する工程と、混合物を成型する工程と、成型した混合物を焼成する工程とを有する。以下、詳細に各工程を説明する。
芋成分は芋の成分が含まれている芋加工品であって、裏ごし芋、粉末芋、カット芋、ポテトフレークであってもよい。裏ごし芋は、例えば、芋を蒸煮、水煮等の加熱処理後に裏ごしすることで製造できる。粉末芋は、例えば、芋を蒸煮、水煮等の加熱処理後に乾燥し粉砕することで製造できる。ポテトフレークは、芋をフレーク状にして、乾燥させたものである。風味の点から、特に裏ごし芋が含まれているのが好ましい。スナック菓子の材料として、芋成分とイソマルトデキストリンとを含有する混合物、すなわち生地には、2種以上の芋成分が含まれていてもよいが、特に、裏ごし芋とポテトフレークが含まれていることが好ましい。裏ごし芋とポテトフレークの重量%換算での配合比は、生地を成型でき、焼成後の菓子の食感と風味がよい比であれば、任意に選択することができるが、10:1〜1:1であることが好ましく、10:1〜3:1であることがさらに好ましく、5:1〜3:1であることがさらに好ましい。
ポテトという名称に関わらず、薄片状成型ポテトスナックに含まれる芋成分の芋の種類は特に限定されず、ジャガイモ、サツマイモ、タロイモ、などが例示できる。
生地に芋成分を添加する割合は、芋本来の風味が得られる割合であれば、任意に設定することができるが、生地全体中の80〜95重量%が好ましく、85〜90重量%がさらに好ましく、87重量%がさらに好ましい。
食物繊維は特に限定されないが、生地の成型をしやすくしたり、あるいは生地からの水抜けを促進したりするものであることが好ましく、イソマルトデキストリンやファイトセルが例示できる。生地に食物繊維を添加する割合は、生地全体中の1〜12重量%が好ましく、3〜12重量%がさらに好ましく、3〜9重量%がさらに好ましい。複数種類の食物繊維を混合して用いても構わない。
チェッキングを防止するため、生地にトレハロースを添加してもよい。トレハロースの添加量は0.5〜20重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがさらに好ましく、3〜5重量%であることがさらに好ましい。
薄片状成型ポテトスナックに含まれる脂質含有量を抑制できるので、生地中に油脂などの脂肪分を追加しないほうが良いが、生地を成型する際の離型性を向上させるため、少量の油脂を添加してもよい。油脂はオイルであることが好ましく、オリーブオイルであることがより好ましい。オイルは、生地全体中の0.5〜6重量%加えることが好ましく、0.5〜2重量%加えることがさらに好ましく、0.5〜1.5重量%加えることがさらに好ましい
成型は、ロール等でシート状とした後、裁断又は型抜きするシート成型であってもよい。成型に使用する型は円形、短冊型、棒状型など任意の型とすることができる。スナック菓子の表面は平滑であっても、波型であってもよい。他の成型方法として、コレットマシンなどのエクストルーダを使用した押出し成型であってもよい。生地の厚さは、食感、風味の点から0.5〜5.0mmであることが好ましく、1.0〜2.0mmであることがさらに好ましい。また、水抜けを向上させるために、生地にピンホールを施してもよい。
焼成工程は特に限定されないが、焼成温度は100〜250℃であることが好ましく、120〜220℃であることがさらに好ましく、190〜210℃であることがさらに好ましい。焼成時間も特に限定されないが、2〜10分であることが好ましく、3〜8分であることがさらに好ましく、4〜6分であることがさらに好ましい。焼成回数は特に限定されず、1段階で焼成しても、温度や時間を変えて2段階で焼成してもよい。なお、水抜けが悪いからといって、焼成温度を過剰に上げたり、焼成時間を過剰に延ばしたりすると、焦げや炭化する傾向になる。
焼成後の薄片状成型ポテトスナックの形状は、平らであるいわゆるフラットタイプであってもよく、反っている、いわゆる積重ね包装タイプであってもよい。また、焼成後の薄片状成型ポテトスナックの表面は平らであっても、波型である波型タイプであっても、表面に気泡のあるタイプであってもよい。焼成方法は、常法を用いることができるが、赤外線により焼成する方法、熱風で焼成する方法、過熱蒸気で焼成する方法であってもよく、オーブンによる焼成方法がより好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、下記の実施例は本発明の範囲を限定するために記載されるものではない。
[実施例1]
本実施例では、食物繊維であるイソマルトデキストリンまたはファイトセルの添加量、または焼成方法が異なる成型ポテトチップスを製造し、工程適正の評価、焼成した成型ポテトチップスの食感についての官能評価、ガラス転移点の測定および含水率の測定を行った。なお、実施例1と2、実施例3と4は、それぞれduplicateで行った処理である。
Figure 2018201372
まず、表1に記載した原料をそれぞれ混合して撹拌し、成型ポテトチップスの生地を調製した。本実施例では、芋成分として、加熱後に裏ごししたジャガイモを72重量%とジャガイモをフレーク状にし、乾燥させたポテトフレークを15〜21重量%を混合したものを用い、食物繊維としてイソマルトデキストリン(ファイバリクサTM、株式会社林原製)またはファイトセル(PhytocelTM、ユニテックスフーズ製)を、トレハロースとしてトレハ(登録商標)(含水結晶トレハロース)(株式会社林原製)を、乳化剤としてレシチンを、調味料として酵母エキスを用いた。これらの成分を混合して撹拌した生地をロールで、厚さ1.5mmに圧延し、打ち抜き成型により円状に成型した。さらに、生地にピンホールを施した。生地を成型する際、専門のパネラーが、生地のべたつきと生地の成型のしやすさを指標に、表2の工程適正の評価基準に従って、4段階で評価した。
Figure 2018201372
その後、成型したポテトチップス生地を、オーブンに入れ、200℃で5分間一次焼成し、120℃で5分間二次焼成し、成型ポテトチップスを製造した。
各成型ポテトチップスについて、専門のパネラーが表3の食感の評価基準に従い、食感を評価した。また、各成型ポテトチップスに含まれる含水率は、赤外線水分計(kett社製 FD−620)を用い、試料5gを粉砕し、105℃、10分の条件下で測定した。また、各成型ポテトチップスのガラス転移点は、示差走査熱量計(商品名「Pyris1 DSC」、株式会社パーキンエルマージャパン製)を用いて、各試料を15mg採取し、測定用アルミパンに入れ、50℃/分の昇温速度で測定し、付属の解析ソフトウェアを用いて、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と,ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度(中間点ガラス転移温度:Half Cp Etrapolated)を求めた。なお、試験例1は、生地を成型することができなかったため、成型ポテトチップスの食感、含水率を評価・測定することができなかった。以上の評価結果および測定結果を表4にまとめた。
Figure 2018201372
Figure 2018201372
食物繊維を添加していない比較例1では、生地がべたつき、成型することが困難であったが、食物繊維を添加したサンプルでは生地のべたつきが抑えられ、成型が可能となった。
焼成後の成型ポテトチップスの食感について、ガラス転移点の増加に伴い、食感も改善した。焼成後の成型ポテトチップスの含水率については、ガラス転移点の増加に伴い、スナック菓子の含水率が減少した。
このように、成型ポテトチップスのガラス転移点が143℃以上の場合に、全体に好結果が得られたが、ガラス転移点が増加するほど、含水率が低下し、食感が向上した。

Claims (7)

  1. 脂肪含量が5重量%未満である、ノンフライの薄片状成型ポテトスナックであって、
    ガラス転移点が143℃以上である、薄片状成型ポテトスナック。
  2. 脂肪含量が3重量%未満である、ノンフライの薄片状成型ポテトスナックであって、
    ガラス転移点が143℃以上である、薄片状成型ポテトスナック。
  3. ガラス転移点が161℃以上である、請求項1または2に記載の薄片状成型ポテトスナック。
  4. オーブン焼成スナックである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポテトスナック。
  5. 水分量が9重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄片状成型ポテトスナック。
  6. 水分量が5重量%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄片状成型ポテトスナック。
  7. ポテトスナックの原料が裏ごし芋を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の薄片状成型ポテトスナック。
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