JP2018201081A - 無線通信システム、無線通信方法及び無線通信装置 - Google Patents

無線通信システム、無線通信方法及び無線通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】アンテナ素子間の干渉を抑制し、SINRを最大化することができる技術を提供すること。【解決手段】実施形態の無線通信システムは、複数のアンテナ素子を有する第1のアンテナアレーと、前記第1のアンテナアレーが有するアンテナ素子ごとに対向して配置されるアンテナ素子を有する第2のアンテナアレーとを備え、対向する前記アンテナ素子同士で形成される無線リンクごとに信号の送受信を行う無線通信システムであって、一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した無線通信システムである。【選択図】図2

Description

本発明は、無線通信技術に関する。
同一周波数帯の無線信号を重畳してデータを伝送する無線通信システムがある。このような無線通信システムの一つに、直進性が高く見通しの良い伝搬環境に適したミリ波帯を用いた近距離での大容量データ伝送を行う無線通信システムや、高所に設置された高利得のアンテナ素子間でマイクロ波帯を用いた長距離での高速無線伝送を行う無線通信システム(固定マイクロ無線通信回線等)がある。このように、ミリ波帯や準ミリ波帯、マイクロ波帯などの高周波数帯の無線信号を用いる無線通信システムでは、指向性の高いアンテナを複数用いて空間分割多重伝送及び並列伝送を行うことで、広い帯域を有効に活用した無線伝送が実現されている(例えば非特許文献1を参照)。
白井、他「LOS−MIMO伝送における狭ビーム形成によるパラレル伝送について」、信学技報 vol. 113, no. 300, AP2013-106, pp. 37-42、2013年11月. W.L. Stutzman, "Estimating directivity and gain of antennas," IEEE Antennas and Propagation Magazine, vol. 40, no. 4, pp. 7-11, Aug. 1998.
しかしながら、この種の無線通信システムにおいて、SNR(信号対雑音比:Signal-to-Noise Ratio)の最大化のために、送受信の対が対向するようにアンテナ素子を配置した場合、ある対の無線信号が他の対の無線信号に干渉し、SINR(信号対干渉雑音比:Signal-to-Interference Noise Ratio)が低下する。一方で、必要なSINRを確保するためにアンテナ素子の間隔を大きくすることは、アンテナ装置やアンテナ素子自体の大型化を招く可能性があった。
上記事情に鑑み、本発明は、アンテナ素子間の干渉を抑制し、SINRを最大化することができる技術を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、複数のアンテナ素子を有する第1のアンテナアレーと、前記第1のアンテナアレーが有するアンテナ素子ごとに対向して配置されるアンテナ素子を有する第2のアンテナアレーとを備え、対向する前記アンテナ素子同士で形成される無線リンクごとに信号の送受信を行う無線通信システムであって、一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した無線通信システムである。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、前記第1のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は第1の直線上に配置され、前記第2のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は前記第1の直線に平行な第2の直線上に配置され、前記無線リンクを形成するアンテナ素子を結ぶ直線は、前記第1の直線及び前記第2の直線に直交する。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、前記第1のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は第1の多角形の各頂点上に配置され、前記第2のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は前記第1の多角形に対向する第2の多角形の各頂点上に配置され、前記無線リンクを形成するアンテナ素子を結ぶ直線は、前記第1の多角形の重心と、前記第2の多角形の重心とを結ぶ第3の直線に平行する。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、前記第3の直線から遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、前記第1のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は第1の直線及び第2の直線上に配置され、前記第2のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は前記第1の直線に平行な第3の直線上と、前記第2の直線に平行な第4の直線上とに配置され、前記無線リンクを形成するアンテナ素子を結ぶ直線は、前記第1から第4の直線に直交する。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、前記第1の直線上のアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、第2の直線から遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、前記アンテナ素子の主ビームの放射パターン特性は、余弦関数又はガウス関数で近似される。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、複数の前記無線リンクのうちの一部は反射波を用いて無線通信を行う。
前記第1のアンテナアレー及び第2のアンテナアレーは、前記アンテナ素子の周囲に、前記アンテナ素子の指向性を所定方向に向けるレンズ又は遮蔽材を備える、
請求項1に記載の無線通信システム。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、前記第1のアンテナアレー及び第2のアンテナアレーは、前記アンテナ素子間に電波を遮蔽する隔壁を備える。
本発明の一態様は上記の無線通信システムであって、前記第1のアンテナアレーを備える第1の無線通信装置は、前記第2のアンテナアレーを備える第2の無線通信装置に対して、複数の無線リンクを同時に使用したデータ送信を行い、前記第2の無線通信装置は、前記複数の無線リンクにおけるデータの送受信が完了した後に、前記第1の無線通信装置に対して、複数の無線リンクを同時に使用したデータ送信を行う。
本発明の一態様は、複数のアンテナ素子を有する第1のアンテナアレーと、前記第1のアンテナアレーが有するアンテナ素子ごとに対向して配置されるアンテナ素子を有する第2のアンテナアレーとを備え、対向する前記アンテナ素子同士で形成される無線リンクごとに信号の送受信を行う無線通信システムの無線通信方法であって、一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置する無線通信方法である。
本発明の一態様は、複数のアンテナ素子を有する第1のアンテナアレーを備える第1の無線通信装置と、前記第1のアンテナアレーが有するアンテナ素子ごとに対向して配置されるアンテナ素子を有する第2のアンテナアレーを備える第2の無線通信装置とが、対向する前記アンテナ素子同士で形成される無線リンクごとに信号の送受信を行う無線通信システムにおいて、前記複数のアンテナ素子を有するアンテナアレーを備え、一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した無線通信装置である。
本発明により、アンテナ素子間の干渉を抑制し、SINRを最大化することが可能となる。
第1実施形態の無線通信システム100の構成の概略を示す図である。 第1実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第1実施形態の無線通信システム100におけるチルト角度θtiltoutとSINRとの関係の具体例を示す図である。 第1実施形態の無線通信システム100によって得られる効果の具体例を示す図である。 無線通信システムにおける各アンテナ素子2の従来の配置例を示す図である。 第2実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第2実施形態の無線通信システム100によって得られる効果の具体例を示す図である。 第3実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第4実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第5実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第6実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第6実施形態における無線通信装置1の適用例を示す図である。 第7実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第8実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第9実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 第9実施形態における無線通信装置1の変形例を示す図である。 変形例の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。 本実施形態の無線通信システム100を上から見た図である。 第10実施形態の無線通信システム100における無線通信装置1の機能構成の具体例を示すブロック図である。 第10実施形態の無線通信システム100におけるデータの送受信方法の概略を示す図である。 第10実施形態の無線通信システム100におけるデータ伝送処理の流れを示すフローチャートである。 第10実施形態の無線通信システム100によって得られる効果を説明する図である。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の無線通信システム100の構成の概略を示す図である。無線通信システム100は、無線通信装置1A及び1Bを備える。無線通信装置1A及び1Bは同様の構成を持つ。無線通信装置1A及び1Bのそれぞれは、間隔dだけ隔てられた2つのアンテナ素子を備える。無線通信装置1Aはアンテナ素子2A−1及び2A−2を備え、無線通信装置1Bはアンテナ素子2B−1及び2B−2を備える。無線通信装置1A及び1Bは、それぞれが有する1つのアンテナ素子の組で複数の通信経路(以下「無線リンク」という。)を形成し、無線伝送を行う。図1は、アンテナ素子2A−1及び2B−1によって無線リンクLK1が、アンテナ素子2A−2及び2B−2によって無線リンクLK2が、それぞれ形成された例である。無線リンクLK1及びLK2の伝送距離はDである。この場合、各無線リンクを形成するアンテナ素子間を結ぶ直線(図の例のL1及びL2であり、以下「対向直線」という。)は、アンテナ素子2A−1及び2B−2を結ぶ直線に対して、アンテナ素子の間隔d及び伝送距離Dによって定まる角度θ12をなす。一般に、無線リンクを形成する2つのアンテナ素子の指向性が対向直線の方向に向けられることで、各アンテナ素子におけるSNR(信号対雑音比:Signal-to-Noise Ratio)が最大化される。
なお以下では、無線通信装置1Aと無線通信装置1Bとを特に区別する必要がない場合、無線通信装置1と記載する場合がある。同様に、無線通信装置1Aが備える各アンテナ素子を特に区別する必要がない場合、これらをアンテナ素子2Aと記載する場合がある。同様に、無線通信装置1Bが備える各アンテナ素子を特に区別する必要がない場合、これらをアンテナ素子2Bと記載する場合がある。同様に、無線通信装置1A及び1Bが備える各アンテナ素子を特に区別する必要がない場合、これらをアンテナ素子2と記載する場合がある。
なお、各無線通信装置1のアンテナ素子2は、特定の方向に鋭い指向性を持つように構成される。例えば、図1に示すDR1〜DR4は、無線リンクを形成するアンテナ素子2の間でSNRが最大化される方向(以下「最大利得方向」という。)に向けられた場合の指向性を表している。従来、このような方向に各アンテナ素子2の指向性を向けてSNRを最大化し、アンテナ素子の間隔dを十分に大きくする、又は伝送距離Dを十分に短くすることで、各無線リンク間における干渉の発生を抑制していた。しかしながら、必要なSINRを確保するためにアンテナ素子の間隔を大きくすることは、アンテナ装置やアンテナ素子自体の大型化を招く可能性があった。
無線通信用途向けのアンテナとしては、共相で励振されたアンテナアレーやホーンアンテナ等が一般的であるが、これらのアンテナの主ビームの放射パターン特性は、余弦関数やガウス関数で近似可能である場合が多い。例えば、これらのアンテナの指向性は、電界強度の次元で、以下の式(1)及び式(2)によって近似することができる。
Figure 2018201081
Figure 2018201081
式(1)におけるGは指向性方向の利得を表し、式(2)におけるθ3dbは、半値半幅(利得が指向性方向の半分になる方向)を表す。
ここで、無線通信システム100が、反射波の強度が十分に小さく直接波が支配的な通信(屋外におけるミリ波伝送など)を行う場合であって、対応する各アンテナ素子2同士が最大利得方向に正対して配置される場合を想定する。具体的には、対向直線L1及びL2が、各アンテナ素子2A−1とアンテナ素子2A−2とを結ぶ直線、及びアンテナ素子2B−1とアンテナ素子2B−2とを結ぶ直線と直交する場合を想定する。この場合、各無線リンク間で干渉波が伝搬することによる無線電波の損失(伝搬損失)は以下の式(3)〜式(5)によって表される。
Figure 2018201081
Figure 2018201081
Figure 2018201081
式(3)におけるhijは、i及びj(i及びjは1以上の整数)によって識別されるアンテナ素子間の伝搬損失を表す。例えば図1において無線通信装置1Aが備える各アンテナ素子2Aをiで識別し、無線通信装置1Bが備える各アンテナ素子2Bをjで識別するとした場合、h12はアンテナ素子2A−1とアンテナ素子2B−2との間を伝搬する干渉波による伝搬損失を表す。また、f(r)は伝搬距離rでの電波の自由空間損失(真値の電界強度)を表し、λはその電波の波長を表す。以上により、SIR(Signal to Interference Radio)は次の式(6)によって求められる。
Figure 2018201081
図2は、第1実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。図2のDA1、DA2、DB1及びDB2は、本実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の指向性を表している。図2に示すように、本実施形態の無線通信システム100では、無線リンクを形成する2つのアンテナ素子2は、その指向性が最大利得方向(すなわち対向直線方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。この場合、各伝搬経路の利得及びSIRは以下の式(7)〜式(9)によって表される。
Figure 2018201081
Figure 2018201081
Figure 2018201081
式(9)から明らかなように、この場合のSIRはチルト角度θtiltoutに関しての単調増加関数となる。また、雑音電力をPと表すと、この場合のSINRは次の式(10)によって表される。式(10)から明らかなように、この場合のSINRは所定のチルト角度θtiltoutで最大値をとる。
Figure 2018201081
なお、チルト角度θtiltoutの値は、アンテナ素子の間隔dや伝送距離D、無線通信装置1A及び1Bの位置関係などに基づいて決定されてもよいし、各アンテナ素子2の間でトレーニング信号を送受信し、各無線リンクのSINRを最大化する最適化問題を解くことによって決定されてもよい。また、無線通信装置1の位置関係は、カメラで撮影した画像に基づいて識別されてもよいし、電磁波を用いた測位(レーダー等)によって識別されてもよい。
図3は、第1実施形態の無線通信システム100におけるチルト角度θtiltoutとSINRとの関係の具体例を示す図である。図3は、4つのアンテナ素子2が正方形の各頂点に配置された4アンテナアレー(図9にて後述する)に関して、伝送距離=200波長(約1m)、半値半幅θ3db=18°、アンテナ素子間隔d=18cm、各アンテナ素子2の送信電力レベル=6dbm、アンテナ利得G=14dbi、雑音電力レベル=−72dbmの条件で各アンテナ素子2におけるSINRを計算した結果を示す。図からも明らかなように、この場合、SINRは、チルト角度θtiltoutが12°程度である場合に最大値をとることが分かる。本実施形態の無線通信システム100は、このようなチルト角度θtiltoutによって定まる方向に各アンテナ素子2の指向性を向けることで、SINRを最大値することができる。
図4は、第1実施形態の無線通信システム100によって得られる効果の具体例を示す図である。ここで図4(A)は、従来の無線通信システムにおけるアンテナ素子間隔dとSINRとの関係を計算した結果を示す。この計算結果は、伝送距離D=2000波長、半値半幅θ3db=9°、各アンテナ素子の送信電力レベル=6dbm、アンテナ利得G=14dbi、雑音電力レベル=−72dbm、無線周波数=60GHzの条件で計算した結果を示す。図4(A)において、SINR(1)はアンテナ素子2A−1(又はアンテナ素子2A−2)におけるSINRを示し、SINR(2)はアンテナ素子2B−1(又はアンテナ素子2B−2)におけるSINRを示す。
図4(A)から、SINRはアンテナ素子間隔dが大きくなるほど向上することが分かる。これは、アンテナ素子間隔dが大きくなるほど隣接する無線リンク間での干渉が小さくなるためである。しかしながら、アンテナ素子間隔を大きくすることはすなわちアンテナアレーのサイズが大きくなることを意味し、無線通信装置のサイズの大型化を招くという問題が生じる。そのため、従来の無線通信装置1においては、許容されるアンテナアレーのサイズに応じてSINRが制約される。
一方、図4(B)は、本実施形態の無線通信システム100におけるアンテナ素子間隔dとSINRとの関係を計算した結果を示す。この計算結果は、図4(A)と同様の条件で、チルト角度をθtiltout=15°として得られたものである。この場合、SINRは、アンテナ素子間隔dが約40波長以下である場合に急激に増大し、それを超える領域で飽和する(約18db)ことが分かる。
ここで例えば、同じ25波長(約12.5cm)のアンテナ素子間隔dにおけるSINRは、図4(A)の場合で約3.8db、図4(B)の場合で約16dbとなっており、図4(B)の場合、SINRが図4(A)の場合よりも10db以上向上していることが分かる。このように、本実施形態の無線通信システム100では、従来の無線通信システムよりも高いSINRが得ることができる。
また例えば、SINRが同じ16dbとなるアンテナ素子間隔dは、図4(A)の場合で約26cm、図4(B)の場合で約12.5cmとなっており、図4(B)の場合、SINRが図4(A)の場合に対して半分以下となっていることが分かる。このように、本実施形態の無線通信システム100では、従来の無線通信システムよりもアンテナアレーのサイズを小さくすることができる。
このように構成された第1実施形態の無線通信システム100は、所望のSINRを得るアンテナアレーを従来よりも小さいサイズで実現可能にするとともに、アンテナアレーのサイズを変えられない場合であっても、SINRを従来よりも改善することができるという効果を奏する。
なお、本実施形態では、全てのアンテナ素子2が、対向方向に対して同じチルト角度θtiltoutをなす方向に指向性を持つように配置された例を示したが、各アンテナ素子の指向性方向と対向方向とのなす角度は必ずしも全てのアンテナ素子2で同じ角度である必要はない。例えば、チルト角度θtiltoutは全てのアンテナ素子2で異なってもよいし、一部のアンテナ素子2のチルト角度θtiltoutは0°(すなわち指向性方向を対向方向とする)であってもよい。このような場合であっても、ある程度、上記同様の効果を得ることができる。
また、チルト角度θtiltoutが大きくなるほど、アンテナ素子2から放射されたビームは対向するアンテナ素子2から外れ、対向するアンテナ素子2におけるビームの受信電力が小さくなる。そのため、無線通信システム100において、θtiltoutは90°を超えない範囲で設定されるとよい。
<第2実施形態>
図5は、無線通信システムにおける各アンテナ素子2の従来の配置例を示す図である。図5の配置例は、対向直線L1及びL2が、同じ無線通信装置1内のアンテナ素子を結ぶ直線と直交しない点で図1や図2の配置例と異なる。このような配置ズレ(図中のΔd)は、例えば、無線通信装置1Bを搭載した移動体が矢印Aの方向に移動する際の停止位置のズレ等によって生じ得る。このような配置ズレが生じると、干渉波の伝搬経路(例えばアンテナ素子2A−1とアンテナ素子2B−2との間の伝搬経路)の伝送路応答は、図1の場合に比べて大きくなり、アンテナ素子2B−1におけるSINRは大きく劣化する。以下で説明する第2実施形態の無線通信システム100は、無線リンクを形成するアンテナ素子2に図5のような配置ズレが生じた場合においてもSINRを向上させることができる。
図6は、第2実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。図6のDA1、DA2、DB1及びDB3は、本実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の指向性を表している。図6に示すように、本実施形態の無線通信システム100では、無線リンクを形成する2つのアンテナ素子2は、その指向性が最大利得方向(すなわち対向直線方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。図6は、アンテナ素子2A−1及び2B−2の指向性方向をθtiltout1だけ傾け、アンテナ素子2A−2及び2B−1の指向性方向をθtiltout2だけ傾けた例を示している。この場合、隣接する無線リンクへの干渉を低減するため、θtiltout1はθtiltout2よりも大きな角度であることが望ましい。
図7は、第2実施形態の無線通信システム100によって得られる効果の具体例を示す図である。ここで図7(A)は、従来の無線通信システム(チルト角度=0°)におけるアンテナ素子間隔dとSINRとの関係を計算した結果を示す。図7は、配置ズレΔd=10波長、伝送距離D=200波長、各アンテナ素子の送信電力レベル=6dbm、アンテナ利得G=14dbi、雑音電力レベル=−72dbmの条件で各アンテナ素子2におけるSINRを計算した結果を示す。図7(A)において、SINR(1)はアンテナ素子2A−1(又はアンテナ素子2A−2)におけるSINRを示し、SINR(2)はアンテナ素子2B−1(又はアンテナ素子2B−2)におけるSINRを示す。図7(A)を配置ズレがない場合の図4(A)と比べると、アンテナ素子2A−1におけるSINR(図中のSINR1)は配置ズレによって高くなる一方で、アンテナ素子2B−1におけるSINR(図中のSINR2)は配置ズレによって大きく低下することが分かる。
一方、図7(B)及び図7(C)は、本実施形態の無線通信システム100におけるアンテナ素子間隔dとSINRとの関係を計算した結果を示す。図7(B)は、図7(A)と同様の条件で、チルト角度をθtiltout1=θtiltout2=12°として得られたものである。この場合、アンテナ素子間隔d=20波長程度まではSINRの増加率が図7(A)の場合よりも高くなる一方で、SINRの飽和値(約22db)が図7(A)の場合(約38db)よりも低くなることが分かる。このことから、図7(B)の条件では、チルト角度が必要以上に大きいと考えられる。
また、図7(C)の計算結果は、図7(A)と同様の条件で、チルト角度をθtiltout1=6°、θtiltout2=12°として得られたものである。この場合、アンテナ素子2A−1及び2B−1におけるSINRはほぼ同じ値となることが分かる。このようなチルト角度となるように各アンテナ素子2の指向性方向を調整することによって、アンテナ素子間隔dを短くしつつ、各アンテナ素子2におけるSINRを向上させることができる。
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。第1実施形態及び第2実施形態では無線通信装置1が2つのアンテナ素子2を備える場合におけるアンテナ素子2の配置例を示した。これに対し、第3実施形態では、無線通信装置1が3つ以上のアンテナ素子2を備える場合におけるアンテナ素子2の配置について説明する。この場合、各アンテナ素子2は多角形の頂点に配置される。図8は、8つのアンテナ素子2Aを備える無線通信装置1Aにおける配置例を示し、この場合、各アンテナ素子2Aは例えば正8角形の各頂点に配置される。
なお、図8では、無線通信装置1Aにおける配置例のみを示し、対向する無線通信装置1Bの記載を省略している。この場合、図示しない無線通信装置1Bも無線通信装置1Aと同様に配置された8つのアンテナ素子2Bを持つ。ここで各アンテナ素子2は、無線リンクを形成する2素子を結ぶ直線が多角形の重心を結ぶ直線と並行になるように配置される。例えば、アンテナ素子2A−1は、自身と無線リンクを形成するアンテナ素子2B−1とを結ぶ直線L1が、無線通信装置1A及び1Bの正8角形の重心同士を結ぶ直線Lgと並行になるように配置される。
この場合、アンテナ素子2A−1は、その指向性が最大利得方向(すなわち対向直線方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、直線Lgから(すなわち他の無線リンクから)遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。また、他のアンテナ素子2Aも、アンテナ素子2A−1と同様に、その指向性が直線Lgから遠ざかる向きに傾けて配置される。このような方向に各アンテナ素子2の指向性を向けることで無線リンク間の干渉が抑制され、アンテナ素子間隔dを小さくしつつSINRを向上させることができる。
<第4実施形態>
図9は、第4実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。第3実施形態では無線通信装置1が3つ以上のアンテナ素子2を備える場合におけるアンテナ素子2の配置例について説明した。その一例として図8では、無線通信装置1が8つのアンテナ素子2を備える場合の配置例を示した。これに対し、第4実施形態では、無線通信装置1が4つのアンテナ素子2を備える場合の配置例を示す。図9は、4つのアンテナ素子2を正方形の各頂点に配置した例を示す。
この場合も第3実施形態と同様に、各アンテナ素子2は、その指向性が、最大利得方向(すなわち対向直線方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、直線Lgから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。このような配置により、無線通信装置1が4つのアンテナ素子2を備える場合においても第3実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、アンテナ素2が配置される多角形は、必ずしも正多角形である必要はない。
<第5実施形態>
図10は、第5実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。第3実施形態及び第4実施形態では、無線通信装置1が3つ以上のアンテナ素子2を備える場合において、各アンテナ素子2をアンテナ素子数の頂点を持つ多角形の各頂点に配置する場合について説明した。これに対し、第5実施形態では、複数のアンテナ素子2を2つの直線上に配置する場合について説明する。図10は、12個のアンテナ素子2を2つの直線(LA1及びLA2)上に6個ずつ配置した例を示す。
なお、図10では、無線通信装置1Aにおける配置例のみを示し、対向する無線通信装置1Bの記載を省略している。この場合、図示しない無線通信装置1Bも無線通信装置1Aと同様に2つの直線上に配置された12個のアンテナ素子2Bを持ち、各アンテナ素子2Bがそれぞれに対応するアンテナ素子2Aと対向するように配置される。
この場合も第3実施形態及び第4実施形態と同様に、一方の直線(LA1又はLA2)上のアンテナ素子2は、その指向性が、最大利得方向(すなわち対向直線方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、他方の直線から遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。このような配置により、複数のアンテナ素子2が2つの直線上に配置された無線通信装置1においても第3実施形態及び第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第6実施形態>
図11は、第6実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。第6実施形態における無線通信装置1は、各アンテナ素子2から放射される指向性ビームの幅を所定方向に狭めるレンズを備える。図11は、アンテナ素子2A−1及び2A−2を備える無線通信装置1Aにおいて、アンテナ素子2A−1に対してレンズ3A−1が、アンテナ素子2A−2に対してレンズ3A−2がそれぞれ備えられた例を示す。無線通信装置1Aにこのようなレンズ3が備えられることにより、各アンテナ素子2Aの利得を向上させることができる。
例えば、下記の参考文献には、トロイダルレンズを用いてフェーズドアレーアンテナの仰角方向のビーム幅を狭めることで、ビームステアリングを方位角方向で行いつつもアンテナ利得を改善可能であることが記載されている。このようなアンテナ装置を車両等の移動体の通信手段、又はそのような移動体との通信手段に用いれば、ビームステアリングで移動体の移動や配置ズレに追従しつつ、高いアンテナ利得での無線通信が可能になる。
参考文献:”mmWave Small Cell Reconfigurable Backhauling with Steerable Lens-Array Antennas (LAA)”doc.: IEEE 802.11-15-0815-00-00ay
第6実施形態では、このようにビーム幅を狭められたアンテナ素子2が、第1〜第5実施形態と同様に、その指向性が最大利得方向から所定のチルト角度θtiltoutだけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けて配置されることで、上記のメリットを享受しつつ、各アンテナ素子2におけるSINRを向上させることができる。なお、この場合、各アンテナ素子2に備えられるレンズ3は、透過する無線の最大利得方向が対応するアンテナ素子2の指向性方向となるように配置される。
図12は、第6実施形態における無線通信装置1の適用例を示す図である。図12は、無線通信装置1が車両MAと車両MBとの間の無線通信手段に適用された例を示す。車両MAは無線通信装置1Aを搭載し、車両MBは無線通信装置1Bを搭載する。車両MA及びMBは、その側面に無線通信装置1のアンテナ素子2が配置される。この場合、各アンテナ素子2は、その指向性が最大利得方向(すなわち直線L1及びL2の方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。ここで、θtiltoutは、他の実施形態と同様に、無線通信装置1A及び1Bの間の伝送距離D及びアンテナ素子間隔dに応じて決定される。
一般に、陸上を移動する移動体では仰角方向又は俯角方向におけるビームステアリング範囲が小さいが、フェーズドアレーアンテナには仰角方向又は俯角方向にもビームステアリングすることができるものも多い。このようなフェーズドアレーアンテナにおいて仰角方向又は俯角方向のビームステアリング範囲を敢えて制限することで、仰角方向又は俯角方向におけるサイドローブの発生を抑制することができる。
また、各アンテナ素子2に備えられるレンズ3はビームを絞る機能を有するものであればどのようなものであってもよい。例えば、レンズ3は、凸レンズやルーネベルクレンズ等の誘電体レンズ等のレンズを用いて実現されてもよいし、プリント基板の金属面パターンや特性周波数における共振器などの周期的構造(いわゆるメタマテリアル)によって実現されるレンズであってもよい。
図12の各アンテナ素子によってこのようなフェーズドアレー型のアンテナが構成される場合、無線通信装置1A及び1Bは紙面に垂直な方向にビームステアリングを行うことができるため、車両MA又はMBの位置ズレに適応してビームを適切な方向に向けることができる。
<第7実施形態>
図13は、第7実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。第7実施形態における無線通信装置1は、アンテナ素子2から放出される電波を透過させない隔壁部4を各アンテナ素子2の側面方向に備える。このような構成を備えることにより、各無線リンク間のアイソレーション特性を向上させることができる。例えば、隔壁部4は、金属41等の電波を透過させない部材であればよい。この場合、部材表面での電波の反射を抑制するために、部材表面には電波吸収材42が備えられることが望ましい。
例えば、無線通信装置1がビームステアリング機能を持つフェーズドアレーアンテナを備える場合、隔壁部4はアンテナ側面方向への電波放射レベルを低減するとともにステアリング範囲を限定することで、無線リンク間の電波干渉を抑制することができる。無線リンク間の電波干渉は、伝送信号の復号化のみならず、無線通信装置の通信制御にも影響を及ぼす。例えば、無線通信装置は、干渉波の受信に応じてキャリアセンスを行ってしまう場合がある。無線通信装置はキャリアセンスの際には通信を停止するため、この場合の無線通信の多重度は実質的に時分割多重相当となる。そのため、無線通信装置は空間分割多重伝送を行うことができず、スループットが低下してしまう場合がある。第7実施形態における無線通信装置1は、各アンテナ素子2の間の電波干渉を抑制する隔壁部4を備えることにより、このようなスループットの低下を抑制することができる。
<第8実施形態>
図14は、第8実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。第8実施形態の無線通信装置1は、一部の無線リンクにおいて反射波を利用した無線通信を行う。一般に、地球上での無線通信においては、地表面(地面又は水面)や建物の床面等(以下総称して「大地」という。)で反射された反射波を利用可能である場合が多い。図14は、アンテナ素子2A−1及び2B−1が直接波による無線リンクを形成し、アンテナ素子2A−2及び2B−2が反射波による無線リンクを形成する無線通信システム100の例を示す。
この場合、反射波による無線リンクを形成するアンテナ素子2A−2及び2B−2は、その指向性が大地側に向くように配置される。図14は、アンテナ素子2A−2及び2B−2の指向性が最大利得方向(すなわち直線L2の方向)からθgrだけ、大地側に傾けた方向に向けられた例を示す。これに対して、直接波による無線リンクを形成するアンテナ素子2A−1及び2B−1は、その指向性が大地から遠ざかる向きにチルト角度θtiltoutだけ傾けた方向に向くように配置される。
このようなアンテナ素子2の配置により、直接波による無線リンクと反射波による無線リンクとの間における各アンテナ素子2の無線干渉を低減し、各アンテナ素子2におけるSINRを向上させることができる。
<第9実施形態>
図15は、第9実施形態の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。第9実施形態における無線通信装置1は、漏洩同軸ケーブルや漏洩導波管等をアンテナとして備える。このようなアンテナは、例えばトンネルや電車などの線状の環境を通信エリアとする場合に用いられることが多い。図15は、このような用途に用いられる漏洩導波管をアンテナとして備える無線通信装置1の例を示す。
無線通信装置1は、漏洩導波管D1及びD2を備え、各漏洩導波管は伝送方向と直交する方向にアレー化された複数のスロットを有する。漏洩導波管においてはこれらのスロットがアンテナ素子の役割を果たす。漏洩導波管D1は電波受信用としてスロット4−1−R1及び4−1−R2を有し、電波送信用としてスロット4−1−S1及び4−1−S2を有する。同様に、漏洩導波管D2は電波受信用としてスロット4−2−R1及び4−2−R2を有し、電波送信用としてスロット4−2−S1及び4−2−S2を有する。以下、特に区別する必要がない場合、漏洩導波管D1及びD2が有する各スロットをスロット4と記載する。
この場合、第1〜第8実施形態と同様に、電波送信用の各スロット4は、その指向性が最大利得方向(すなわち対向直線方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。このようなスロット4の配置により、各スロット4が形成する無線リンク間の無線干渉を低減し、各スロット4におけるSINRを向上させることができる。なお、漏洩導波管の各スロットから放射される電波の指向性方向は、各スロットに給電する電力の位相差を調整することで所定の方向に傾けることができる。
図16は、第9実施形態における無線通信装置1の変形例を示す図である。変形例の無線通信装置1は、電波送信用のスロット4から放射される無線電波の指向性を絞る調整部を備える。例えば、調整部は、電波を遮蔽又は反射しやすい金属板等(以下「調整板」という。)を用いて構成される。図16は、漏洩導波管D1及びD2のそれぞれに2枚の調整板が取り付けられた例を示す。この場合、調整板J1及びJ2によって漏洩導波管D1から放射される電波が、漏洩導波管の延伸方向に対して垂直な方向に絞られる。
図17は、変形例の無線通信システム100における各アンテナ素子2の配置例を示す図である。図17に示す無線通信システム100は、2つの漏洩導波管を備える無線通信装置1A及び1Bを備える。無線通信装置1Aは漏洩導波管DA−1及びDA−2を備え、無線通信装置1Bは漏洩導波管DB−1及びDB−2を備える。図17は、変形例の無線通信システム100を各漏洩導波管の伝送方向側から見た図である。各漏洩導波管は伝送距離Dを隔てて平行に配置され、対向する送信用スロットと受信用スロットとで無線リンクを形成する。図17の例では、送信用スロット4A−1及び受信用スロット4B−1が1つの無線リンクを形成し、送信用スロット4A−2及び受信用スロット4B−2が1つの無線リンクを形成する。また、この場合、各漏洩導波管は、図16と同様の調整部(図中のJA1−1、JA1−2、JA2−1、JA2−2、JB1−1、JB1−2、JB2−1、JB2−2)を備え、各スロットから放射される電波が、漏洩導波管の延伸方向に対して垂直な方向に絞られるように構成される。そして、第9実施形態と同様に、電波送信用の各スロット4は、自身を介して放射されるビームの指向性が最大利得方向(すなわち対向直線方向)から所定のチルト角度θtiltoutだけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置される。
図18は、本実施形態の無線通信システム100を上(図17に示す矢印Cの方向)から見た図である。変形例の無線通信システム100では、各無線通信装置1の放射する電波が調整部によって絞られるため、図18に示すように、漏洩導波管の長さLを持つ平面的な指向性ビームBM1〜BM4が形成される。このような指向性ビームの形成により、変形例の無線通信システム100は、単純に指向性方向を傾けただけの場合よりも無線リンク間の電波干渉をより抑制することが可能となる。
<第10実施形態>
図19は、第10実施形態の無線通信システム100における無線通信装置1の機能構成の具体例を示すブロック図である。無線通信装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。無線通信装置1は、プログラムの実行によって記憶部11、通信部12及びデータ送受信部13を備える装置として機能する。なお、無線通信装置1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
記憶部11は、無線通信装置1が送信するデータを記憶する。記憶部11は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。
通信部12は、複数のアンテナ素子を用いて空間分割多重(SDM:Space Division Multiplexing)方式での無線通信を行う。具体的には、通信部12は、アンテナ部121及び通信処理部122を備える。アンテナ部121は、複数のアンテナ素子2を備える。複数のアンテナ素子2は、第1〜第9実施形態で説明したように、その指向性が最大利得方向から所定のチルト角度θtiltoutだけ傾けた方向に向くように配置される。アンテナ部121は、通信処理部122から出力される送信データを無線電波に変換して送信するとともに、受信電波を電気信号に変換して通信処理部122に出力する。
通信処理部122は、複数のアンテナ素子2ごとに設けられ、無線通信に係る種々のプロトコル処理を行う。図19は、通信処理部122が物理層(PHY層)及びMAC(Media Access Control)層のプロトコル処理を行う場合を示しているが、通信処理部122はネットワーク層やトランスポート層などの上位層のプロトコル処理を行ってもよい。通信処理部122は、データ送受信部13から出力される送信データについてのプロトコル処理を行い、プロトコル処理後の送信データをアンテナ部121に出力する。その一方で、通信処理部122は、アンテナ部121から出力される受信信号についてのプロトコル処理を行い、プロトコル処理によって得られた受信データをデータ送受信部13に出力する。
データ送受信部13は、他の無線通信装置1のデータ送受信部13との間でデータを送受信する。データ送受信部13は、記憶部11から送信対象のデータを取得して通信処理部122に出力するとともに、通信処理部122から出力されるデータを受信データとして記憶部11に記憶させる。
図20は、第10実施形態の無線通信システム100におけるデータの送受信方法の概略を示す図である。ここでは、左の無線通信装置から右の無線通信装置に向かう方向を上り方向と呼び、逆方向を下り方向と呼ぶ。図20(A)は、無線リンクLK1において上り方向の送受信を行い、無線リンクLK2において下り方向の送受信を行う場合における、従来の送受信方法の具体例を示す。図20(A)は、データファイルDF1の一部を配信するデータフレームF1が無線リンクLK1を介して無線通信装置1Aから送信され、その送信開始後から送信終了までの間に、データファイルDF2の一部を配信するデータフレームF2が無線リンクLK2を介して無線通信装置1Bから送信された状況を示している。
一般に、無線LAN(Local Area Network)をはじめとする自律分散制御型の無線アクセス方式では、データフレームの送信前に、無線通信媒体が使用中か否かを検出する必要がある。この検出動作は一般に「キャリアセンス」と呼ばれる。そのため、例えば、無線通信装置1BはデータフレームF2を送信する前に、アンテナ素子2B−2をある一定の時間だけ電波受信状態とし、無線通信媒体の使用状況を識別する。この場合、無線通信装置1Bは、無線通信媒体が使用中でない場合には即座にデータフレームF2を送信することができるが、無線通信媒体が使用中である場合には所定のバックオフ時間だけ待機した後にデータフレームF2の送信を開始する。例えば、バックオフ時間は、乱数に基づいて計算される。
ところで、このようなキャリアセンスでは、所定の受信レベル(以下「キャリアセンス閾値」という。)以上の無線周波数信号が受信された場合に無線通信媒体が使用中であると判定されることが多い。本実施形態の無線通信装置1は、各アンテナ素子2の配置によって必要なSINRが確保されるように構成されるが、このような構成であっても、例えば無線リンクLK1から無線リンクLK2に干渉する電波(例えば、データフレームF1の送信によって生じ得る)の受信レベルがキャリアセンス閾値以上である場合、無線通信装置1は、無線通信媒体が使用中であると誤判定する可能性がある。その結果、無線通信装置1は、無線通信媒体が使用中でないにも関わらずデータ送信(例えば、データフレームF2の送信)を待機してしまう。
このように複数の無線リンクで通信する無線通信装置1においては、SINRが所要レベル以上である場合であっても、無線リンク間に生じる干渉波の受信レベルがキャリアセンス閾値以上になると、データフレームの送信を行えず、空間分割多重での伝送を行わない場合(例えば時分割多重)と同程度までにスループットが低下してしまうという現象が発生しうる。
図20(B)は、本実施形態における送受信方法の具体例を示す。従来の送受信方法が、複数の無線リンク間で伝送方向の異なるデータ送信を行いうるものであったのに対して、本実施形態の送受信方法では、無線通信装置1は複数の無線リンクで同時にかつ同じ伝送方向にデータ送信を行う。すなわち、本実施形態の無線通信システム100は、上り方向及び下り方向の両方向の送信データが存在する場合、複数の無線リンクを用いて一方のデータ伝送を先に完了させた後に他方のデータ伝送を行う。このような送受信方法により、無線リンク間の電波干渉によるスループットの低下を抑制することができる。
図21は、第10実施形態の無線通信システム100におけるデータ伝送処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、図20(B)に示した状況を想定した処理の流れを説明する。また、ここでは、無線通信装置1A、無線通信装置1Bの順に送信データが発生した場合を想定する。
この場合、無線通信装置1Aにおいて送信データが発生すると、無線通信装置1Aは、まず、その送信データを複数の無線リンクで送信するための複数のデータフレームを生成する(ステップS101)。無線通信装置1Aは、生成した複数のデータフレームを、複数の無線リンクを介して同時に送信する(ステップS102〜S104)。無線通信装置1Aは、全ての無線リンクの伝送が完了すると、その旨を示す完了通知を無線通信装置1Bに送信する(ステップS105)。
一方、無線通信装置1Bにおいては、無線通信装置1Aのデータ送信が開始されてから完了通知が受信されるまでの間に送信データが発生している。無線通信装置1Bは、完了通知の受信に応じて、自装置において発生した送信データを、複数の無線リンクで送信するための複数のデータフレームを生成する(ステップS106)。無線通信装置1Bは、生成した複数のデータフレームを、複数の無線リンクを介して同時に送信する(ステップS107〜S109)。
なお、一般に、受信側の無線通信装置は、各データフレームの受信に応じて、データフレームを受信したことを通知するACKフレームを送信側の無線通信装置に送信する必要がある。しかしながら、ACKフレームの送信は、その時点において無線通信媒体が送信側によって必ず予約されているため、キャリアセンスを行わずに送信することが許可されている。そのため、受信レベルがキャリアセンス閾値以上である場合であっても、各データフレームが受信されたタイミングで無線通信装置1BにACKフレームを送信させることで、スループットの低下をさらに抑制することができる。
また、本実施形態の無線通信システム100では、例えば、上り方向のデータ送信時に一部の無線リンクの伝送が完了していない場合、下り方向のデータ送信を控えた受信側の無線通信装置1は、送信側の無線通信装置1が全ての無線リンクで伝送を完了するまで待機する必要がある。これにより、無線リンク間で伝送時間のばらつきが大きい場合、受信側待機時間が必要以上に長くなる可能性がある。そのため、無線通信装置1は、伝送時間が各無線リンクで等しくなるように各無線リンクの送信データのサイズを決定してもよい。例えば、無線通信装置1は、各無線リンクで同じサイズの送信データを送信してもよいし、各無線リンクの伝送レートに応じて無線リンクごとに送信データのサイズを決定してもよい。このような送信データが送信されることにより、無線リンク間の伝送時間のばらつきが小さくなり、受信側の無線通信装置1の待機時間を短縮することができる。その結果、データの送受信をより短い時間で完了させることができる。
また、無線通信装置1は、1つの送信データから複数のデータフレームを生成してもよいし、複数の送信データから複数のデータファイルを生成してもよい。また、複数の送信データが発生した場合、無線通信装置1は複数の送信データごとにデータフレームを生成してもよい。また、無線通信装置1は、必ずしも全ての無線リンクで異なるデータフレームを送信しなくてもよく、同じデータフレームを複数のデータフレームで送信することでデータ送信を冗長化してもよい。
図22は、第10実施形態の無線通信システム100によって得られる効果を説明する図である。図22(A)は従来の送受信方法による動作例を示し、図22(B)は本実施形態における送受信方法による動作例を示す。なお、図22(B)は、上り方向のデータ送信を先に行うように送信方向を制御した場合の例である。また、図中の()内に記載した符号は図1に記載した各符号に対応している。図を見ても分かるように、従来の送受信方法で3つのデータフレームが送信される場合、本実施形態の送受信方法では同じ期間に6つのデータフレームを送信することができる。このように、各無線リンクのデータ伝送の方向を制御することにより、本実施形態の無線通信システム100では従来と比較して最大2倍のスループットを得ることができる。
このように構成された第10実施形態の無線通信システム100では、各無線通信装置1の有する各アンテナ素子2の指向性方向を最大利得方向から所定方向に傾けるとともに各無線リンクの伝送方向を上記のように制御することで、各アンテナ素子2におけるSINRを向上させると同時に伝送スループットを向上させることができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、特殊な指向性を持つアンテナを用いることなく、共相で励振されたアンテナアレーやホーンアンテナ等、ミリ波帯を中心とする無線通信用途向けに製造されたアンテナを用いて、空間分割多重による無線伝送の品質を向上させることができる。また、無線通信装置のサイズの支配的要因となるアンテナアレーのアンテナ素子間隔をより小さくすることができ、より小型化された無線通信装置を実現することができる。
<変形例>
上述した実施形態における無線通信システム100又は無線通信装置1をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
第7実施形態では、無線通信装置1のアンテナアレーがアンテナ素子間に電波を遮蔽する隔壁を備える無線通信システムの具体例を示したが、このようなアンテナアレーの構成は他の実施形態の無線通信システムに適用されてもよい。
第8実施形態では、複数の無線リンクのうちの一部が反射波を用いて無線通信を行う無線通信システムの具体例を示したが、このような無線リンクの構成は他の実施形態の無線通信システムに適用されてもよい。
第9実施形態では、無線通信装置1のアンテナアレーがアンテナ素子の周囲に、アンテナ素子の指向性を所定方向に向けるレンズ又は遮蔽材を備える無線通信システムの具体例を示したが、このようなアンテナアレーの構成は他の実施形態の無線通信システムに適用されてもよい。
第10実施形態では、無線通信装置1Aが無線通信装置1Bに対して複数の無線リンクを同時に使用したデータ送信を行い、無線通信装置1Bが複数の無線リンクにおけるデータの送受信が完了した後に、無線通信装置1Aに対して複数の無線リンクを同時に使用したデータ送信を行う無線通信システムの具体例を示したが、このようなデータ送受信の制御方法は他の実施形態の無線通信システムに適用されてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
本発明は、複数のアンテナ素子で空間分割多重伝送する無線通信システムに適用可能である。
100…無線通信システム、1,1A,1B…無線通信装置、11…記憶部、12…通信部、121…アンテナ部、122…通信処理部、13…データ送受信部、2,2A,2A−1〜2A−12,2B−1,2B−2…アンテナ素子、3,3A−1,3A−2…レンズ、4…4−1−R1,4−1−R2,4−1−S1,4−1−S2,4−2−R1,4−2−R2,4−2−S1,4−2−S2,4A−1,4A−2,4B−1,4B−2…スロット、41…金属、42…電波吸収材、D1,D2,DA−1,DA−2,DB−1,DB−2…漏洩導波管、DF1,DF2…データファイル、DR1〜DR4…指向性ビーム、J1,J2,JA1−1,JA1−2,JA2−1,JA2−2,JB1−1,JB1−2,JB2−1,JB2−2…調整板、MA,MB…車両

Claims (13)

  1. 複数のアンテナ素子を有する第1のアンテナアレーと、前記第1のアンテナアレーが有するアンテナ素子ごとに対向して配置されるアンテナ素子を有する第2のアンテナアレーとを備え、対向する前記アンテナ素子同士で形成される無線リンクごとに信号の送受信を行う無線通信システムであって、
    一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した、
    無線通信システム。
  2. 前記第1のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は第1の直線上に配置され、前記第2のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は前記第1の直線に平行な第2の直線上に配置され、前記無線リンクを形成するアンテナ素子を結ぶ直線は、前記第1の直線及び前記第2の直線に直交する、
    請求項1に記載の無線通信システム。
  3. 前記第1のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は第1の多角形の各頂点上に配置され、前記第2のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は前記第1の多角形に対向する第2の多角形の各頂点上に配置され、前記無線リンクを形成するアンテナ素子を結ぶ直線は、前記第1の多角形の重心と、前記第2の多角形の重心とを結ぶ第3の直線に平行する、
    請求項1に記載の無線通信システム。
  4. 一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、前記第3の直線から遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した、
    請求項3に記載の無線通信システム。
  5. 前記第1のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は第1の直線及び第2の直線上に配置され、前記第2のアンテナアレーにおいて、前記複数のアンテナ素子は前記第1の直線に平行な第3の直線上と、前記第2の直線に平行な第4の直線上とに配置され、前記無線リンクを形成するアンテナ素子を結ぶ直線は、前記第1から第4の直線に直交する、
    請求項1に記載の無線通信システム。
  6. 前記第1の直線上のアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、第2の直線から遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した、
    請求項5に記載の無線通信システム。
  7. 前記アンテナ素子の主ビームの放射パターン特性は、余弦関数又はガウス関数で近似される、
    請求項1から6のいずれか一項に記載の無線通信システム。
  8. 複数の前記無線リンクのうちの一部は反射波を用いて無線通信を行う、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の無線通信システム。
  9. 前記第1のアンテナアレー及び第2のアンテナアレーは、前記アンテナ素子の周囲に、前記アンテナ素子の指向性を所定方向に向けるレンズ又は遮蔽材を備える、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の無線通信システム。
  10. 前記第1のアンテナアレー及び第2のアンテナアレーは、前記アンテナ素子間に電波を遮蔽する隔壁を備える、
    請求項1から9のいずれか一項に記載の無線通信システム。
  11. 前記第1のアンテナアレーを備える第1の無線通信装置は、前記第2のアンテナアレーを備える第2の無線通信装置に対して、複数の無線リンクを同時に使用したデータ送信を行い、前記第2の無線通信装置は、前記複数の無線リンクにおけるデータの送受信が完了した後に、前記第1の無線通信装置に対して、複数の無線リンクを同時に使用したデータ送信を行う、
    請求項1から10のいずれか一項に記載の無線通信システム。
  12. 複数のアンテナ素子を有する第1のアンテナアレーと、前記第1のアンテナアレーが有するアンテナ素子ごとに対向して配置されるアンテナ素子を有する第2のアンテナアレーとを備え、対向する前記アンテナ素子同士で形成される無線リンクごとに信号の送受信を行う無線通信システムの無線通信方法であって、
    一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置する、
    無線通信方法。
  13. 複数のアンテナ素子を有する第1のアンテナアレーを備える第1の無線通信装置と、前記第1のアンテナアレーが有するアンテナ素子ごとに対向して配置されるアンテナ素子を有する第2のアンテナアレーを備える第2の無線通信装置とが、対向する前記アンテナ素子同士で形成される無線リンクごとに信号の送受信を行う無線通信システムにおいて、
    前記複数のアンテナ素子を有するアンテナアレーを備え、
    一の無線リンクを形成するアンテナ素子を、その指向性が、受信電波の利得が最大となる場合の指向性方向から90度未満の所定角度だけ、他の無線リンクから遠ざかる向きに傾けた方向に向くように配置した、
    無線通信装置。
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