JP2014195238A - アンテナ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アンテナ素子間隔が狭い場合であっても並列伝送を可能とし、伝送速度の高速化及び伝送品質の向上を図ることができるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】本発明によるアンテナ装置は、相互に対向するように配置された送信アンテナと受信アンテナとを備えた近距離伝送無線通信システム用のアンテナ装置であり、前記送信アンテナ及び受信アンテナが、それぞれ、相互に直交性を有する指向性パターンであって相互に異なる指向性パターンを有する複数の単位アンテナを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンテナ装置に関し、特に、近距離MIMO(Multiple Input Multiple Output)による高速伝送技術に関する。
近距離での高速伝送を実現する技術として、非特許文献1には、近距離MIMO伝送技術が開示されている。この近距離MIMO伝送では、図39に示すように、複数のアンテナ500が配設された送信アレーアンテナ501及び受信アレーアンテナ502が近接して対向配置される。また、送信アレーアンテナ501に対して、送信機側無線信号処理部504が設けられ、受信アレーアンテナ502に対して、受信機側無線信号処理部505が設けられる。この近距離MIMO伝送技術によれば、アレーアンテナの素子間隔を最適化することにより、高速な近距離MIMO伝送が可能となる。
また、非特許文献2には、送信機および受信機の双方でチャネル情報に基づく瞬時重み付け処理を行うことにより高速なデータ伝送を可能とする技術が開示されている。
西森,関,本間,平賀,溝口,"近距離MIMO通信に適した伝送方法に関する検討",電子情報通信学会技術研究報告,A.P2009-83,Sep.2009. I. E. Telatar, "Capacity of Multi-antenna Gaussian Channels", European Transactions on Telecommunications, vol.10, pp.585-595, 1999.
ところで、消費電力やコストの観点から、数十素子のアレーに対応可能なMIMO制御IC(Integrated Circuit)の開発が困難であることから、MIMO伝送技術における更なる多素子化は困難な状況にある。このため、現状では、例えば無線LAN(Local Area Network)規格のIEEE802.11n等で使用されているMIMO伝送用チップとしては3ブランチまでの対応製品がほとんどである。また、伝送品質の確保やディジタルデータ処理速度の制約から、1チャネルあたりの伝送路容量の改善には限界がある。
このようにMIMO伝送における多素子化と1チャネルあたりの伝送路容量の改善が困難な状況において、数十Gb/s以上の伝送速度を可能とする無線システムを実現するためには、チャネルを並列化し、複数のチャネルによる並列伝送を行う手法が有望である。しかしながら、複数のチャネルによる並列伝送を行う場合、アレーアンテナを構成するアンテナ素子の間隔が狭くなると、アレーアンテナ間の伝送路の相関が高くなるため、伝送路容量が劣化する傾向を示し、並列伝送が困難になる。
また、送受両側で重み付け処理を行う場合、重み付け演算のためのチャネル情報をフィードバックしたりチャネル情報を推定したりする必要がある。そのため、アンテナ数の増加に伴い、重み付け処理演算量が増加し、また装置のサイズも増加するといった問題がある。ここで、演算量削減のため簡易に複数ストリーム伝送を行うための手法としては、例えば、指向性のビーム幅を狭くして各伝搬路を空間的に分割する、狭指向性による並列伝送手法が考えられる。しかしながら、この手法によれば、狭いビーム幅を形成するためにアンテナサイズが大きくなる。また、伝送距離が十分に近い場合を除いて十分にビーム幅を絞ることが困難であるため、伝送距離が長くなると、隣接アンテナへの干渉が大きくなり、通信路容量が劣化する場合がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、複雑な信号処理を要することなく、アンテナ素子間隔が狭い場合であっても並列伝送を可能とし、伝送速度の高速化及び伝送品質の向上を図ることができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本発明に係るアンテナ装置は、相互に対向するように配置された送信アンテナと受信アンテナとを備えた近距離伝送無線通信システム用のアンテナ装置において、前記送信アンテナ及び受信アンテナは、それぞれ、相互に直交性を有する指向性パターンであって相互に異なる指向性パターンを有する複数の単位アンテナを備えたアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、前記複数の単位アンテナは、それぞれ、異なる個数のビームを有する指向性パターンを有し、前記送信アンテナに備えられた複数の単位アンテナの指向性パターンと前記受信アンテナに備えられた複数の単位アンテナの指向性パターンは相互に対応しているアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、前記複数の単位アンテナをX個(Xは任意の自然数)の単位アンテナとすれば、前記X個の単位アンテナは、アレー面に列状に配列され、前記X個の単位アンテナのうち、第x番目(xは、1以上X以下の自然数)の単位アンテナの指向性パターンは、前記X個の単位アンテナの配列方向を基準としてy×{π/(x+1)}(yは1以上x以下の自然数)または{y×π/x}―π/(2x)によって規定される方向に形成されるx個のビームを有する、アンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、前記送信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第q番目の送信アンテナの指向性パターンをgtqとし、前記受信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第p番目の単位アンテナの指向性パターンをgtpとし、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンとの間の相関係数を|ρpq|とすれば、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと、前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンと、前記相関係数は、
なる条件式を満足し、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/(q+1)以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/(p+1)以内であり、または、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/q以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/p以内である、アンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、前記送信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第q番目の送信アンテナの指向性パターンをgtqとし、前記受信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第p番目の単位アンテナの指向性パターンをgtpとし、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンとの間の相関係数を|ρpq|とすれば、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと、前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンと、前記相関係数は、
なる条件式を満足し、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/(q+1)の±15%以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/(p+1)の±15%以内であり、または、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/qの±15%以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/pの±15%以内である、アンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、前記複数の単位アンテナは、相互に異なるTEモードまたはTMモードを有し、一次元状または二次元状に配列され、または放射面を重ねるようにして配列された、アンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、ストリームの容量が所定の閾値以上となるモードを用いて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間でデータ伝送を実施し、前記ストリームの容量が前記閾値を下回る場合、他のモードに切り替えて前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間でデータ伝送を実施する、アンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、前記送信アンテナは、前記複数の単位アンテナを1ユニットとして、複数ユニットの単位アンテナを備え、前記複数ユニットが分散配置された、アンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、例えば、前記アンテナ装置の構成において、前記送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナは、それぞれ、アレー面に対してほぼ垂直方向に形成される1つの主ビームを有する第1の単位アンテナと、前記アレー面に対する垂直方向から相対する方向に所定の角度を有する2つの主ビームを有し、前記2つの主ビームの位相特性が相互に反転された関係を有する第2の単位アンテナと、を備えたことを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
上述の課題を解決するため、本発明に係るアンテナ装置は、相互に対向するように配置された送信アレーアンテナと受信アレーアンテナとを備えた近距離伝送無線通信システム用のアンテナ装置において、前記送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナは、それぞれ、アレー面に対してほぼ垂直方向に形成される1つの主ビームを有する第1の単位アンテナと、前記アレー面に対する垂直方向から相対する方向に所定の角度を有する2つの主ビームを有し、前記2つの主ビームの位相特性が相互に反転された関係を有する第2の単位アンテナと、を備えたことを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、前記第1の単位アンテナと前記第2の単位アンテナとが交互に配置されたことを特徴とする。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、前記第2の単位アンテナは2つのアンテナ素子からなり、前記2つのアンテナ素子が前記第1の単位アンテナを挟むように、前記第2の単位アンテナが配置されたことを特徴とする。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、前記第1の単位アンテナおよび前記第2の単位アンテナは2次元状に配置されたことを特徴とする。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、前記第1の単位アンテナが一方の対角線方向に2つ並べられ、前記第2の単位アンテナが、互いに90度方向が異なる向きに、他方の対角線方向に2つ並べられ、前記対角線方向に並べられた2つの第1の単位アンテナと、前記他方の対角線方向に並べられた2つの第2の単位アンテナとを最小単位として、前記第1の単位アンテナと前記第2の単位アンテナとが2次元状に配置されたことを特徴とする。
また、本発明は次のように換言することができる。
即ち、本発明の一態様によるアンテナ装置は、送信アンテナ及び受信アンテナが対向して配置された無線通信システムであり、前記送信アンテナ及び受信アンテナが単素子もしくは2素子以上のアレーアンテナ構成からなる単位アンテナを少なくとも2個以上具備するアンテナ装置において、前記単位アンテナとして、主ビームがほぼ垂直上に形成されることを特徴とする第1の単位アンテナと、左右に少なくとも2つの主ビームに指向性に分かれ、かつそれぞれの主ビームの位相特性がほぼ反転していることを特徴とする第2の単位アンテナを有し、前記、第1の単位アンテナと第2の単位アンテナを交互、かつ対向して配置することを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、前記第1の単位アンテナは、主ビームが垂直方向からビーム幅の20%以内の方向に形成されること、さらには主ビームが垂直方向からビーム幅の10%以内の方向に形成され、前記第2の単位アンテナは、左右それぞれの主ビームの位相特性の差は180度から±120度以内とし、さらには左右それぞれの主ビームの位相特性の差は180度から±75度以内とすることを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、第2の単位アンテナの主ビームの電力半値角をβとするとき、第2の単位アンテナの2つの主ビームの指向方向を垂直方向から±βの方向を中心に22度以内とする、もしくは垂直方向から±βの方向を中心に12度以内とすることを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、第1の単位アンテナの主ビームの電力半値角αおよび第2の単位アンテナの主ビームの電力半値角βが共に角度γ以下であるとき、ビーム幅γが4度以上180度以下であること、さらにはビーム幅γが5度以上100度以下であることを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、上記第1の単位アンテナおよび第2の単位アンテナを水平および垂直方向に交互に配置することを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、送信アンテナ及び受信アンテナが対向して配置された無線通信システムのアンテナ装置であり、前記送信アンテナ及び受信アンテナが単素子もしくは2素子以上のアレーアンテナ構成からなる単位アンテナを少なくとも2個以上具備するアンテナ装置において、前記単位アンテナとして、主ビームがほぼ垂直上に形成されることを特徴とする第1の単位アンテナと、第1の単位アンテナの左右に1つずつ配置したアンテナ素子を用いてほぼ第1の単位アンテナ方向に主ビームが形成され、かつそれぞれの主ビームの位相特性がほぼ反転していることを特徴とする第2の単位アンテナを有し、前記、第1の単位アンテナと第2の単位アンテナを対向して配置することを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、前記第1の単位アンテナは、主ビームが垂直方向からビーム幅の20%以内の方向に形成されること、さらには主ビームが垂直方向からビーム幅の13%以内の方向に形成され、前記第2の単位アンテナは、前記第1の単位アンテナの方向からビーム幅の56%以内の方向に主ビームが形成されること、さらには前記第1の単位アンテナの方向からビーム幅の43%以内の方向に主ビームが形成されることを特徴とし、それぞれの主ビームの位相特性の差は180度から±30度以内とし、さらにはそれぞれの主ビームの位相特性の差は180度から±15度以内とすることを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、前記アンテナ装置の構成において、第1の単位アンテナの主ビームの電力半値角αおよび第2の単位アンテナの主ビームの電力半値角βが共に角度γ以下であるとき、ビーム幅γが28度以上180度以下であること、さらにはビーム幅γが45度以180度以下であることを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明の一態様によるアンテナ装置は、上記アンテナ装置の構成において、上記第1の単位アンテナおよび第2の単位アンテナを水平および垂直方向に並べて配置することを特徴とするアンテナ装置の構成を有する。
本発明によれば、複雑な信号処理を要することなく、アンテナ素子間隔が狭い場合であっても並列伝送が可能となり、伝送速度の高速化及び伝送品質の向上を図ることが可能となる。
本発明の実施形態に係るアンテナ装置の基本構成例を模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係る第1の単位アンテナ及び第2の単位アンテナを模式的に示す図である。 本発明の実施形態に係るアンテナ装置における干渉波の除去の説明図である。 本発明の実施形態に係るアンテナ装置における干渉波の除去の説明図である。 本発明の実施形態に係るアンテナ装置の特性例を示す図である。 本発明の第1の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第1の実施例に係るアンテナ装置における第2の単位アンテナのビーム幅の説明に用いる特性図である。 本発明の第1の実施例に係るアンテナ装置における第1の単位アンテナの指向方向許容誤差の説明に用いる特性図である。 本発明の第1の実施例に係るアンテナ装置における第2の単位アンテナの指向方向許容誤差の説明に用いる特性図である。 本発明の第1の実施例に係るアンテナ装置における第2の単位アンテナの位相反転特性の許容誤差の説明に用いる特性図である。 本発明の第2の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第2の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第2の実施例に係るアンテナ装置の特性を示す2次元マップを示す図である。 本発明の第2の実施例に係るアンテナ装置における第2の単位アンテナのビーム幅の説明に用いる特性図である。 本発明の第2の実施例に係るアンテナ装置の特性を示す特性図である。 本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置の特性を示す特性図である。 本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置における第1の単位アンテナの指向方向許容誤差の説明に用いる特性図である。 本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置における第2の単位アンテナの指向方向許容誤差の説明に用いる特性図である。 本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置における第2の単位アンテナの位相反転特性の許容誤差の説明に用いる特性図である。 本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置のアンテナ配置の説明図である。 本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の動作原理を説明するための説明図であり、指向性パターンの一例を示す図である。 本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の動作原理を説明するための説明図であり、放射角と指向性パターンのビームの利得を示す振幅との関係の一例を示す図である。 本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の特性図であり、指向性相関係数と通信路容量との間の関係の一例を示す図である。 図26は、本発明の第4の実施例によるアンテナ装置の特性図であり、指向方向誤差と指向性相関係数との間の関係の一例を示す図である。 本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の特性図であり、独立な伝送路の数を表すストリーム数と通信路容量との間の関係の一例を示す特性図である。 本発明の第5の実施例に係るアンテナ装置に備えられた単位アンテナの説明図である。 本発明の第5の実施例に係るアンテナ装置の説明図であり、放射モードとモードの次数nの一例を示す図である。 本発明の第5の実施例に係るアンテナ装置の説明図であり、モードの次数と指向性相関係数との間の関係の一例を示す図である。 本発明の第6の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第7の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第7の実施例に係るアンテナ装置の特性図であり、単位構成の個数と通信路容量との間の関係の一例を示す特性図である。 本発明の第9の実施例に係るアンテナ装置の特性の説明図であり、アンテナ数と通信路容量との間の関係の一例を示す図である。 本発明の第11の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。 本発明の第11の実施例に係るアンテナ装置の特性図(到来電波の電力分布が一様な理想的なマルチパス環境での特性)を示す図であり、(A)は、放射角φに対する電力P(φ)の分布を示し、(B)は、アンテナ数と通信路容量との間の関係の一例を示す図である。 本発明の第11の実施例に係るアンテナ装置の特性図(到来電波の電力分布が一様でない環境、例えば、基地局と端末との間の伝送路の環境での特性)であり、(A)は、放射角に対する電力P(φ)の分布を示し、(B)は、アンテナ数と通信路容量との間の関係の一例を示す図である。 近距離MIMOの説明図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
概略的には、本発明の実施形態によるアンテナ装置は、相互に対向するように配置された送信アンテナと受信アンテナとを備えた近距離伝送無線通信システム用のアンテナ装置であり、上記送信アンテナ及び受信アンテナは、それぞれ、相互に直交性を有する指向性パターンであって相互に異なる指向性パターンを有する複数の単位アンテナを備える。このような構成により、通信容量を改善する。
図1は、本発明の実施形態に係るアンテナ装置の基本構成を模式的に示す図である。
図1に示すアンテナ装置は、近距離伝送無線通信システム用のアンテナ装置であり、送信アレーアンテナ1、受信アレーアンテナ2、送信側無線信号処理部4、受信側無線信号処理部5を備える。本実施形態では、送信側無線信号処理部4および受信側無線信号処理部5が実施する信号処理の概念には、アナログ信号処理のほか、デジタル信号処理も含まれる。従って、送信側無線信号処理部4および受信側無線信号処理部5は、その信号処理の形態に応じて、アナログ信号処理部と表現することもできるし、デジタル信号処理部と表現することもできる。送信アレーアンテナ1は、第1の単位アンテナ11−1,11−2,…と、第2の単位アンテナ12−1,12−2,…とを備える。受信アレーアンテナ2は、第1の単位アンテナ21−1,21−2,…と、第2の単位アンテナ22−1,22−2,…とを備える。
以下では、適宜、送信アレーアンテナ1が備える「第1の単位アンテナ11−1,11−2,…」および「第2の単位アンテナ12−1,12−2,…」を、それぞれ、「第1の単位アンテナ11」および「第2の単位アンテナ12」と称し、受信アレーアンテナ2が備える「第1の単位アンテナ21−1,21−2,…」および「第2の単位アンテナ22−1,22−2,…」を、それぞれ、「第1の単位アンテナ21」および「第2の単位アンテナ22」と称す。
図1において、送信アレーアンテナ1と受信アレーアンテナ2は、伝送距離Dを隔てて相互に近接して対向するように配置されている。具体的には、送信アレーアンテナ1の第1の単位アンテナ11と受信アンテナ2の第1の単位アンテナ21とが互いに対向するように配置され、送信アレーアンテナ1の第2の単位アンテナ12と受信アンテナ2の第2の単位アンテナ22とが互いに対向するように配置されている。
図2は、第1の単位アンテナ11及び21および第2の単位アンテナ12及び22の指向特性を模式的に示す図である。
図2(A)に示すように、第1の単位アンテナ11及び21としては、主ビームB1がアレー面に対して垂直方向となるような指向特性のものが用いられる。即ち、本実施形態では、第1の単位アンテナ11および21は、それぞれ、アレー面に対してほぼ垂直方向に形成される1つの主ビームを有している。このような第1の単位アンテナ11及び21は、平面アンテナ又はホーンアンテナにより実現できる。なお、αは第1の単位アンテナ11及び21のビーム幅(半値角)を示している。
また、図2(B)に示すように、第2の単位アンテナ12及び22としては、その主ビームが2つの主ビームB2及び主ビームB3に分かれ、これら主ビームB2及び主ビームB3は、アレー面の垂直方向に対して、互いに正負の方向に所定の角度の傾きθを有するような指向特性のものが用いられる。即ち、第2の単位アンテナ12および22は、それぞれ、アレー面に対する垂直方向から相対する方向に所定の角度θを有する2つの主ビームを有している。図2(B)の例では、主ビームB2は、アレー面に対する垂直方向から所定の角度+θを有し、主ビームB3は、アレー面に対する垂直方向から所定の角度−θを有し、これら主ビームB2と主ビームB3はアレー面に対する垂直方向の軸に関して対称をなしている。また、本実施形態では、これら2つの主ビームB2および主ビームB3の位相特性は相互に反転された関係を有している。即ち、主ビームB2の位相特性は、主ビームB3の位相特性を反転させた特性であり、主ビームB3の位相特性は、主ビームB2の位相特性を反転させた特性である。このような第2の単位アンテナ12及び22は、2素子の平面アンテナ又は2つのホーンアンテナにより実現できる。なお、βは第2の単位アンテナ12及び22の各ビーム幅(半値角)を示している。
図1に説明を戻す。図1において、送信アレーアンテナ1には、送信機側無線信号処理部4から送信信号が供給され、送信アレーアンテナ1の第1の単位アンテナ11及び第2の単位アンテナ12から無線信号が出力される。この無線信号は、受信アレーアンテナ2の第1の単位アンテナ21及び第2の単位アンテナ22により受信され、この受信信号が受信機側無線信号処理部5に供給される。
本実施形態では、送信アレーアンテナ1として、第1の単位アンテナ11と第2の単位アンテナ12とを交互に配置したものを用い、また、受信アレーアンテナ2として、第1の単位アンテナ21と第2の単位アンテナ22とを交互に配置したものを用いている。これにより、隣接アンテナへの干渉信号電力を抑圧し、MIMOの空間伝送のような信号処理を行わずに、並列伝送を可能としている。
このように並列伝送を可能とするメカニズムについて、図3および図4を参照して以下に説明する。
図3は、本発明に係るアンテナ装置における第1の単位アンテナに対する第2の単位アンテナによる干渉波の除去の説明図であり、図4は、本発明に係るアンテナ装置における第2の単位アンテナに対する第1の単位アンテナによる干渉波の除去の説明図である。
図3において、送信アレーアンテナ1上には、第1の単位アンテナ11−2が2つの第2の単位アンテナ12−1と第2の単位アンテナ12−2との間に挟まれるように配置されている。また、受信アレーアンテナ2上には、送信アレイアンテナ1の第1の単位アンテナ11−2に対向する第1の単位アンテナ21−2が2つの第2の単位アンテナ22−1と第2の単位アンテナ22−2との間に挟まれるように配置されている。このように、第1の単位アンテナが2つの第2の単位アンテナに挟まれるように配置された場合、図3に示すように、第1の単位アンテナ11−2から第1の単位アンテナ21−2への主信号波の経路Q1と、第2の単位アンテナ12−1から第1の単位アンテナ21−2への干渉波の経路Q2と、第2の単位アンテナ12−2から第1の単位アンテナ21−2への干渉波の経路Q3とが形成される。これにより、受信側の第1の単位アンテナ21−2の受信信号は、経路Q1を経て受信された主信号波と、経路Q2及び経路Q3を経て受信された干渉波との合成波となる。
また、前述したように、第2の単位アンテナ12−1及び12−2は、それぞれ、2つの主ビームB2及び主ビームB3を有しており、第1の単位アンテナ21−2の受信信号に対する干渉波となるのは、これら2つのビームのうち、第1の単位アンテナ21−2に向けられたビームによるものである。図3の例では、干渉波の経路Q2は、第2の単位アンテナ12−1の主ビームB3により形成され、第1の単位アンテナ21−2で受信される干渉波の経路となる。また、干渉波の経路Q3は、第2の単位アンテナ12−2の主ビームB2により形成され、第1の単位アンテナ21−2で受信される干渉波の経路となる。
ここで、受信側の第1の単位アンテナ21−2の受信信号は、経路Q1を経て受信された主信号波と、経路Q2及び経路Q3を経て受信された干渉波との合成波であるから、第2の単位アンテナ12−1のビームB3による経路Q2の送信信号の位相と、第2の単位アンテナ12−2のビームB2による経路Q3の送信信号の位相とを互いに逆相にすれば、経路Q2の干渉波と経路Q3の干渉波とが相殺し合う。この結果、第1の単位アンテナ21−2は、経路Q2と経路Q3の干渉波の影響を受けることなく、経路Q1の信号だけを受信することができる。
また、図4において、送信アレーアンテナ1上では、第2の単位アンテナ12−1が2つの第1の単位アンテナ11−1と第1の単位アンテナ11−2との間に挟まれるように配置され、受信アレーアンテナ2上では、送信アレーアンテナ1の第2の単位アンテナ12−1に対向する第2の単位アンテナ22−1が2つの第1の単位アンテナ21−1と第1の単位アンテナ21−2との間に挟まれるように配置されている。このように、第2の単位アンテナが2つの第1の単位アンテナに挟まれるように配置された場合、図4に示すように、第2の単位アンテナ12−1から第2の単位アンテナ22−1への主信号波の経路Q11と、第1の単位アンテナ11−1から第2の単位アンテナ22−1への干渉波の経路Q12と、第1の単位アンテナ11−2から第2の単位アンテナ22−1への干渉波の経路Q13とが形成される。これにより、受信側の第2の単位アンテナ22−1の受信信号は、経路Q11を経て受信された主信号波と、経路Q12及び経路Q13を経て受信された干渉波との合成波となる。
また、前述したように、第2の単位アンテナ22−1は、相互に位相特性が反転された2つの主ビームB2及び主ビームB3を有しており、干渉波となるのは、これら2つのビームがそれぞれ向けられた第1の単位アンテナ11−1及び第1の単位アンテナ11−2からの受信信号である。図4の例では、経路Q12は、第1の単位アンテナ11−1により送信されて第2の単位アンテナ22−1のビームB2により受信される干渉波の経路となる。また、経路Q13は、第1単位アンテナ11−2により送信されて第2の単位アンテナ22−1のビームB3により受信される干渉波の経路となる。
ここで、受信側の第2の単位アンテナ22−1の受信信号は、経路Q11を経て受信された主信号波と、経路Q12及び経路Q13を経て受信された干渉波との合成波であるから、第2の単位アンテナ22−1のビームB2の受信信号の位相と第2の単位アンテナ22−1のビームB3の受信信号の位相とを互いに逆相にすれば、経路Q12の干渉波と経路Q13の干渉波とが相殺し合う。この結果、第2の単位アンテナ22−1は、経路Q12と経路Q13の干渉波の影響を受けることなく、経路Q11の信号だけを受信することができる。
また、図1に示したように、送信アレーアンテナ1及び受信アレーアンテナ2において、第1の単位アンテナ11及び21と第2の単位アンテナ12及び22とを交互に配置すると、図3に示したように、第1の単位アンテナが2つの第2の単位アンテナの間に挟まれるように配置された状態と、図4に示したように、第2の単位アンテナが2つの第1の単位アンテナの間に挟まれるように配置された状態とが繰り返し生じる。
ここで、図3に示したように、第1の単位アンテナが2つの第2の単位アンテナの間に挟まれるように配置されていれば、送信側において、第2の単位アンテナの2つのビームの送信信号の位相を互いに逆相とすることにより干渉波をキャンセルすることができる。また、図4に示したように、第2の単位アンテナが2つの第1の単位アンテナの間に挟まれるように配置されていれば、受信側において、第2の単位アンテナの2つのビームの送信信号の位相を互いに逆相とすることにより干渉波をキャンセルすることができる。これにより、第1の単位アンテナを用いて通信を行うチャネルと、第2の単位アンテナを用いて通信を行うチャネルとを形成することができ、これら複数のチャネルにより並列伝送を行うことができる。したがって、MIMO伝送の複雑な信号処理を行うことなく、伝送路容量を改善することが可能になる。
上述の説明では、第2の単位アンテナ12及び22は、位相特性が相互に反転された2つの主ビームを有するものとしたが、第2の単位アンテナ12及び22は、それぞれ、位相特性が相互に反転された2つのアンテナ素子から構成され、これら2つのアンテナ素子が第1の単位アンテナを挟むように配置されてもよい。
このように第2の単位アンテナ12及び22が2つのアンテナ素子から構成された場合、アンテナ素子による2つの主ビームの指向方向±θのうち、正の指向方向(+θ)の主ビームB2の振幅を「cos((90/β)(θ−θ))」と表し、負の指向方向(−θ)の主ビームB3の振幅を「−cos((90/β)(θ+θ))」と表すと、合成波の振幅の絶対値は、「|2sin((90/β)θ)sin((90/β)θ)|」と表される。ここで、θは、2つのアンテナ素子の対称軸(アレー面に対して垂直方向の軸)からの任意の角度(−180度〜+180度)を表し、βは、第2の単位アンテナ12及び22のビーム幅[度]を表す。合成波の振幅の絶対値「|2sin((90/β)θ)sin((90/β)θ)|」によれば、アレー面に対する垂直方向からθ=±βの方向に各アンテナ素子の主ビームを向けたときに合成波の振幅が最大となり、合成波の主ビームは垂直方向から±βの方向に形成されることがわかる。
ここで、例えば、α(第1の単位アンテナ11及び21のビーム幅)=β(第2の単位アンテナ12及び22のビーム幅)=180度とした場合、MIMO空間伝送の信号処理を行わなければ、アンテナ間の干渉により伝送路容量は大きく劣化する。しかし、上述のように、第1の単位アンテナと第2の単位アンテナとを交互に並べる本実施形態のアンテナ装置の構成によれば、アンテナ素子間隔が狭い場合でも、干渉波を抑制することができ、伝送路容量の劣化を抑制することができる。このように、本実施形態によるアンテナ装置は、特にアンテナ素子間隔が狭い場合に有効である。
以下では、上述のように、第1の単位アンテナと第2の単位アンテナとを交互に並べ、第2の単位アンテナの2つのビームの位相特性を互いに反転させることにより並列伝送を可能としたものを「指向性による空間分割伝送」と称する。
図5は、伝送距離Dに対する伝送路容量を、指向性による空間分割伝送(本実施形態による伝送)の場合(符号A1で示す)と、通常のアンテナを2つ用いた場合(信号処理・空間分割なし)(符号A2で示す)と、固有モード伝送の場合(符号A3で示す)と、i.i.d.(無相関散乱環境)の場合(符号A4で示す)と、SISO(Single-Input Single Output)の場合(符号A5で示す)と比較した結果を示す。図5から、本実施形態に係る指向性による空間分割伝送(符号A1で示す)によれば、アンテナ素子間隔(図1で符号Lで示す)が小さい場合、固有モード伝送(符号A3で示す)を超える伝送路容量を実現できることが分かる。
このように、本実施形態によれば、アレーアンテナにおいて隣接アンテナへの干渉信号電力を抑えることができ、第1の単位アンテナによる通信と第2の単位アンテナによる通信とを分離することができる。このため、複雑な信号処理を要することなく、アンテナ素子間隔が狭い場合であっても、アンテナ間相関を低減することができ、第1の単位アンテナによる通信チャネルと第2の単位アンテナによる通信チャネルとにより並列伝送を行うことが可能となる。従って、MIMO伝送などにおいて用いられる高速演算処理を要することなく、大容量の高速並列伝送を実現することができ、伝送速度の高速化及び伝送品質の向上を図ることが可能となる。
<第1の実施例>
次に、本発明の第1の実施例を説明する。
第1の実施例は、本発明を2×2MIMO伝送用のアンテナ装置に適用したものである。
図6は、本発明の第1の実施例に係るアンテナ装置を示す図である。図6(A)において、送信アレーアンテナ101には、第1の単位アンテナ111と第2の単位アンテナ112とが交互に配置される。また、受信アレーアンテナ102には、第1の単位アンテナ121と第2の単位アンテナ122とが交互に配置される。ここで、第1の単位アンテナ111および第2の単位アンテナ112は、図1の例えば第1の単位アンテナ11−1および第2の単位アンテナ12−1に対応し、第1の単位アンテナ121および第2の単位アンテナ122は、図1の例えば第1の単位アンテナ21−1および第2の単位アンテナ22−1に対応している。
第1の単位アンテナ111及び121としては、ビーム幅αの平面アンテナ151が用いられる。また、第2の単位アンテナ112及び122としては、ビーム幅βで、指向方向±βの2つの平面アンテナ素子161及び162が用いられる。アンテナ素子161及びアンテナ素子162のうち、一方のアンテナ素子162に位相反転器163を通して給電することにより、平面アンテナ素子162のビームの位相特性が平面アンテナ素子161のビームの位相特性に対し反転されている。即ち、2つの平面アンテナ素子161及び平面アンテナ素子162の各ビームの位相特性が相互に反転された関係にある。このような構成により、2×2MIMO伝送において、隣接アンテナ間の干渉を除去する。
なお、第2の単位アンテナ112及び122は、2つの平面アンテナ素子の代わりに、2つのホーンアンテナを傾けて配置して構成しても良い。
また、図6(A)では、第2の単位アンテナ112及び122を構成する2つの平面アンテナ素子161及び162を外側に傾けて配置しているが、図6(B)に示すように、2つの平面アンテナ素子161及び162を内側に傾けて配置しても良い。
次に、本実施形態における第2の単位アンテナ112及び122のビーム幅βについて検討する。
図7は、第2の単位アンテナ112、122のビーム幅βに対する伝送路容量を示す特性図である。図7において、伝送距離Dは(D=4λ)とし、アンテナ素子間隔Lは0.5λとしている。ただし、λは自由空間における波長を表す。この例では、第1の単位アンテナのビーム幅αを(α=180度)とし、指向性による空間分割伝送を用いた場合(本実施形態による伝送)の伝送路容量(符号A11で示す)と、通常のアンテナを2つ用いた場合(信号処理・空間分割なし)の伝送路容量(符号A12で示す)と、固有モード伝送の場合の伝送路容量(符号A13で示す)と、i.i.d.(無相関散乱環境)の場合の伝送路容量(符号A14で示す)と、SISOの場合の伝送路容量(符号A15で示す)とを示している。図7より、第2の単位アンテナ112及び122のビーム幅βの範囲は、i.i.d環境の伝送路容量からの劣化の許容範囲が5%以内(符号A16で示す)を満足するようにした場合、符号A11の特性から、5度以上100度以下となる。また、第2の単位アンテナ112、122のビーム幅βの範囲は、i.i.d環境の伝送路容量からの劣化の許容範囲を25%以内(符号A17で示す)とした場合には、符号A11の特性から、4度以上180度以下となる。
次に、第1の単位アンテナ111及び121の指向方向の許容誤差について検討する。
図8は、第1の単位アンテナ111及び121のビーム幅αと垂直方向からの誤差を示す特性図である。図8から、第1の単位アンテナ111及び121の指向方向の許容誤差は、固有モード伝送の伝送路容量(符号A21で示す)の基準を満足するようにすると、符号A23で示すように、ビーム幅αの10%以内となり、この範囲において固有モード伝送よりも高い伝送路容量が得られる。また、第1の単位アンテナ111及び121の指向方向の許容誤差は、SISOの伝送路容量(符号A22で示す)の基準を満足するようにすると、符号A24で示すように、ビーム幅αの20%以内となり、この範囲においてSISOの伝送路容量よりも高い伝送路容量が得られる。
次に、第2の単位アンテナ112及び122の指向方向の許容誤差について検討する。
図9は、第2の単位アンテナ112及び122のビーム幅βと指向方向からの誤差を示したものである。図9から、第2の単位アンテナ112及び122の指向方向の許容誤差は、固有モード伝送の伝送路容量(符号A31で示す)の基準を満足するようにすると、符号A33で示すように、12度以内となる。また、第2の単位アンテナ112及び122の指向方向の許容誤差は、SISOの伝送路容量(符号A32で示す)の基準を満足するようにすると、符号A34で示すように、22度以内となる。
次に、第2の単位アンテナ112及び122の位相反転特性の許容誤差について検討する。図10は、第2の単位アンテナ112及び122のビーム幅βに対する位相反転特性の誤差を示すものである。図10に示すグラフから、第2の単位アンテナ112及び122の位相反転特性の許容誤差は、固有モード伝送の伝送路容量(符号A41で示す)の基準を満足するようにすると、符号A43で示すように、75度以内となる。また、第2の単位アンテナの位相反転特性の許容誤差は、SISOの伝送路容量(符号A42で示す)の基準を満足するようにすると、符号A44で示すように、120度以内となる。
<第2の実施例>
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
第2の実施例は、本発明を4×4MIMO伝送用のアンテナ装置に適用したものである。
図11は、本発明の第2の実施例に係るアンテナ装置の特徴部を示す図である。図11に示すように、本発明の第2の実施例では、第1の単位アンテナおよび第2の単位アンテナは水平及び垂直方向に2次元状に配置されている。本実施形態では、第1の単位アンテナ211−1,211−2および第2の単位アンテナ212−1,212−2は行列状に配列されている。ここで、第1の単位アンテナ211−1,211−2は、行列の一方の対角線方向に配置され、第2の単位アンテナ212−1,212−2は、他方の対角線方向に配置されている。また、第2の単位アンテナ212−1,212−2は、互いに90度だけ方向が異なる向きに回転された状態で配置されている。具体的には、第2の単位アンテナ212−1を構成する2つの平面アンテナ素子の配列方向と第2の単位アンテナ212−2を構成する2つの平面アンテナ素子の配列方向との間の角度が略90度となるように、第2の単位アンテナ212−1,212−2が行列の対角線方向に配置されている。
図12は、本発明の第2の実施例に係るアンテナ装置の全体を模式的に示す図である。
図12に示すように、送信アレーアンテナ201上では、上述のように対角線上に並ぶ第1の単位アンテナ211−1,211−2と、対角線上に並ぶ第2の単位アンテナ212−1,212−2からなる4つのアンテナを最小単位として、複数の第1の単位アンテナと複数の第2の単位アンテナとが4×4の行列状に配置されている。受信アレーアンテナ202上にも同様に、送信アレーアンテナ201に対応した複数の第1の単位アンテナと第2の単位アンテナとが行列状に配置される。なお、第1の単位アンテナ211−1,211−2等及び第2の単位アンテナ212−1,212−2等を構成するアンテナとしては、平面アンテナ又はホーンアンテナが用いられる。
このように、本発明の第2の実施例では、第1の単位アンテナ211−1,211−2と、第2の単位アンテナ212−1,212−2とを4つ並べた構成を最小単位として、送信側と受信側の双方において、第1の単位アンテナと左右に主ビームを持つ第2の単位アンテナを水平方向に交互に並べ、また第1の単位アンテナと上下に主ビームを持つ第2の単位アンテナを垂直方向に交互に並べるように構成される。このような構成により、4×4MIMO伝送において、隣接アンテナ間の干渉を除去する。
なお、図12の例では、複数の第1の単位アンテナと複数の第2の単位アンテナを4×4の行列状に配置したが、行列の一方の対角線方向に並べられた2つの第1の単位アンテナ211−1,211−2と、行列の他方の対角線方向に並べられた2つの第2の単位アンテナ212−1,212−2とを最小単位として、複数の第1の単位アンテナと複数の第2の単位アンテナとがN×N(Nは任意の自然数)の行列状に配置されてもよい。
図13は、本発明の第2の実施例の伝送路容量の2次元マップを示す図である。
図13において、伝送距離Dは(D=4λ)とし、アンテナ素子間隔Lは(L=0.5λ)としている。図13において符号A51で示されるように、第1の単位アンテナ211−1,211−2のビーム幅α及び第2の単位アンテナ212−1,212−2のビーム幅βを75度(α=β=75度)としたときに、伝送路容量が最大となっている。
次に、第2の単位アンテナ212−1,212−2のビーム幅βについて検討する。
図14は、第1の単位アンテナ211−1,211−2のビーム幅αを75度としたときの第2の単位アンテナ212−1、212−2のビーム幅βに対する伝送路容量(符号A61で示す)を、通常のアンテナを2つ用いた場合(信号処理・空間分割なし)(符号A62で示す特性)と、固有モード伝送の場合(符号A63で示す特性)と、SISOの場合(符号A65で示す特性)について示している。図14から、ビーム幅αを75度とし、本実施形態による指向性による空間分割伝送を用いた場合(符号A61で示す)、固有モード伝送の容量(符号A63で示す)からの劣化の許容範囲の5%以内を満足するようにすると、ビーム幅βは5度以上100度以下となる。また、固有モード伝送の容量(符号A63で示す)からの劣化の許容範囲の25%以内を満足するようにすると、ビーム幅βは4度以上180度以下となる。
図15は、ビーム幅αおよびビーム幅βを75度に固定し、アンテナ素子間隔(L)を変化させた場合の伝送路容量を、指向性による空間分割伝送を用いた場合(本実施形態による伝送)(符号A71で示す)と、通常のアンテナを2つ用いた場合(信号処理・空間分割なし)(符号A72で示す)と、固有モード伝送の場合(符号A73で示す)と、i.i.d.(無相関散乱環境)の場合(符号A74で示す)と、SISOの場合(符号A75で示す)について示している。図15から、本実施形態に係る指向性による空間分割伝送を用いた場合(符号A71で示す)では、信号処理・空間分割を行わない場合(符号A72で示す)に比べて伝送路容量が改善され、アンテナ素子間隔が狭い場合では固有モードの場合の伝送路容量(符号A73で示す)を上回ることがわかる。
このように、本実施形態では、MIMOの空間伝送のような信号処理を行わず、かつ指向性がブロードであっても、高速伝送が可能である。従って、簡易な構成で並列伝送を実現でき、かつアンテナ素子を2次元配置して多素子化することも可能になり、数十Gb/sの伝送路容量を可能とする無線通信システムを小型に実現することができる。
<第3の実施例>
次に、本発明の第3の実施例を説明する。
第3の実施例は、本発明を2×2MIMO伝送用のアンテナ装置に適用したものである。
図16は、本発明の第3の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。図16において、送信アレーアンテナ301には、第2の単位アンテナ312の2つのアンテナ素子361,362が第1の単位アンテナ311を挟むように配置される。また、受信アレーアンテナ302には、第2の単位アンテナ322の2つのアンテナ素子361,362が第1の単位アンテナ321を挟むように配置される。ここで、第1の単位アンテナ311および第2の単位アンテナ312は、図1の例えば第1の単位アンテナ11−1および第2の単位アンテナ12−1に対応し、第1の単位アンテナ321および第2の単位アンテナ322は、図1の例えば第1の単位アンテナ21−1および第2の単位アンテナ22−1に対応している。
第1の単位アンテナ311及び321としては、平面アンテナ351が用いられる。また、第2の単位アンテナ312及び322は、それぞれ、2つの平面アンテナ素子361及び362とから構成される。第2の単位アンテナを構成する平面アンテナ素子361及び362のビームは、その間に配置される第1の単位アンテナ311及び321を向くように設定されている。具体的には、送信アレーアンテナ301の第2の単位アンテナ312を構成する平面アンテナ素子361,362は、それぞれ、受信アレーアンテナ302第1の単位アンテナ321を向くように設定され、受信アレーアンテナ302の第2の単位アンテナ322を構成する平面アンテナ素子361,362は、それぞれ、送信アレーアンテナ301の第1の単位アンテナ311を向くように設定されている。
図17は、素子間距離Lに対する伝送路容量を、指向性による空間分割伝送(本実施形態による伝送)の場合(符号A81で示す)と、通常のアンテナを2つ用いた場合(信号処理・空間分割なし)(符号A82で示す)と、固有モード伝送の場合(符号A83で示す)と、i.i.d.(無相関散乱環境)の場合(符号A84で示す)と、SISOの場合(符号A85で示す)とで比較した結果を示す図である。図18は、本実施例に係るアンテナ装置の信号伝送経路を説明するための図である。図17の例では、伝送距離Dを4λとし、ビーム幅α及びビーム幅βを180度としている。図17から、本実施形態に係る指向性による空間分割(符号A81で示す)の場合、アンテナ素子間隔Lが2λの付近で伝送路容量がピークになることがわかる。このとき、図18に示すように、第2の単位アンテナ同士の経路Q21と経路Q22における位相差が−180度となる。
次に、第1の単位アンテナ311及び321の指向性誤差について検討する。
図19は、第1の単位アンテナのビーム幅αとアレー面に対する垂直方向からの誤差との関係を示している。図19から、第1の単位アンテナ311及び321の指向性誤差は、アンテナの大きさを2λとし、ビーム幅βを180度とし、i.i.d.環境での伝送路容量(符号A91で示す)の基準を満足するようにした場合、符号A93で示すように、ビーム幅αの13%以内となり、この範囲においてi.i.d.環境の場合よりも高い伝送路容量を得る。また、第1の単位アンテナ311及び321の指向性誤差は、固有モード伝送の容量(符号A92で示す)の基準を満足するようにした場合、符号A94で示すように、ビーム幅αの20%以内となり、この範囲において固有モード伝送の場合よりも高い伝送路容量を得る。
次に、第2の単位アンテナ312及び322の指向性許容誤差について検討する。
図20は、第2の単位アンテナのビーム幅βと垂直方向からの誤差との関係を示している。図20から、第2の単位アンテナの指向方向の許容誤差は、アンテナの大きさを2λとし、ビーム幅αを180度とし、i.i.d.環境での伝送路容量(符号A101で示す)の基準を満足するようにした場合、符号A103で示すように、ビーム幅βの43%以内となる。また、第2の単位アンテナの指向方向の許容誤差は、固有モード伝送の容量(符号A102で示す)の基準を満足するようにした場合、符号A104で示すように、ビーム幅βの56%以内となる。
次に、第2の単位アンテナ312及び322の位相反転特性の許容誤差について検討する。
図21は、第2の単位アンテナ312及び322のビーム幅βと位相反転特性の誤差との関係を示している。図21から、第2の単位アンテナ312及び322の位相反転特性の許容誤差は、i.i.d.環境での伝送路容量(符号A111で示す)の基準を満足するようにした場合、符号A113で示すように、ビーム幅βが28度以上180度以内のときに、位相誤差が15度以内となる。また、第2の単位アンテナ312,322の位相反転特性の許容誤差は、固有モード伝送の容量(符号A112で示す)の基準を満足するようにした場合、符号A114で示すように、ビーム幅βが45度以上180度以内のときに、位相誤差が30度以内となる。
図18では、本発明を2×2MIMO伝送用のアンテナ装置に適用した場合を示したが、図18に示す構成をN×N(Nは自然数)MIMO伝送のアンテナ装置に拡張することができる。
図22は、第3の実施例に係るアンテナ装置のアンテナ配置の拡張例を示す図である。図22に示すように、送信アレーアンテナ301には、水平又は垂直方向に、第1の単位アンテナ311−1,311−2,…及び第2の単位アンテナ312−1,312−2,…を並べて配置し、受信アレーアンテナ302には、水平又は垂直方向に、第1の単位アンテナ321−1,321−2,…及び第2の単位アンテナ322−1,322−2,…を並べて配置する。ここで、第1の単位アンテナ311−1,311−2,…及び第2の単位アンテナ312−1,312−2,…は、図18の第1の単位アンテナ311および第2の単位アンテナ312に対応する要素であり、第1の単位アンテナ321−1,321−2,…及び第2の単位アンテナ322−1,322−2,…は、図18の第1の単位アンテナ321および第2の単位アンテナ322に対応する要素である。このように拡張することにより、さらなる大容量化及び高速化が可能となる。
<第4の実施例>
次に、本発明の第4の実施例を説明する。
図23は、本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。
概略的には、第4の実施例に係るアンテナ装置は送信アンテナ401と受信アンテナ402を備える。送信アンテナ401と送信側無線信号処理部4は送信機を構成し、受信アンテナ402と受信側無線信号処理部5は受信機を構成する。送信アンテナ401は、複数の単位アンテナT,T,T,…,Tを備え、受信アンテナ402は、複数の単位アンテナR,R,R,…,Rを備える。複数の単位アンテナT,T,T,…,Tは、相互に直交性を有する指向性パターンであって相互に異なる指向性パターンを有する。同様に、複数の単位アンテナR,R,R,…,Rも、相互に直交性を有する指向性パターンであって相互に異なる指向性パターンを有する。
また、送信アンテナ401に備えられた複数の単位アンテナT,T,T,…,Tの指向性パターンgt1,gt2,gt3,…,gtXと受信アンテナ402に備えられた複数の単位アンテナR,R,R,…,Rの指向性パターンgr1,gr2,gr3,…,grXは相互に対応している。第4の実施例では、送信アンテナ401及び受信アンテナ402がそれぞれ備える複数の単位アンテナは、相互に異なる個数のビームを有する指向性パターンを有している。例えば、送信アンテナ401の単位アンテナTの指向性パターンgt1は、1個のビームBT11を有し、単位アンテナンTの指向性パターンgt2は2個のビームBT21,BT22を有し、指向性パターンgt1のビームの個数と指向性パターンgt2の指向性パターンのビームの個数は相互に異なっている。その他の構成は第1の実施例等と同様である。
具体的に説明する。図23に示すアンテナ装置は、図1に示す第1の実施例の構成において、送信アレーアンテナ1および受信アレーアンテナ2に代えて、送信アンテナ401および受信アンテナ402を備える。これら送信アンテナ401と受信アンテナ402は、伝送距離Dを隔てて対向するように配置されている。送信アンテナ401は、X個(Xは2以上の任意の自然数)の単位アンテナT,T,T,…,Tを備え、これらX個の単位アンテナT,T,T,…,Tは、送信アンテナ401のアレー面上に一定の間隔で列状に配列されている。ここで、説明の便宜上、図23において、送信アンテナ401のアレー面と平行な紙面下方向をx軸方向とし、送信アンテナ401のアレー面と垂直な紙面右方向をy軸方向とし、上記x軸およびy軸を含む2次元平面において、x軸方向を0°として反時計回りの角度をφとする。φは単位アンテナのビームの放射角を表す。x軸方向は、単位アンテナT,T,T,…,Tの配列方向と一致する。
X個の単位アンテナT,T,T,…,Tのうち、第1番目の単位アンテナTは1個のビームBT11を有する指向性パターンgt1を有し、ビームBT11の放射角φは90°に設定されている。また、第2番目の単位アンテナTは、2個のビームBT21,BT22を有する指向性パターンgt2を有し、このうち、ビームBT21の放射角φは60°に設定され、ビームBT22の放射角φは120°に設定されている。また、第3番目の単位アンテナTは、3個のビームBT31,BT32,BT33を有する指向性パターンgt3を有し、このうち、ビームBT31の放射角φは45°に設定され、ビームBT32の放射角φは90°に設定され、ビームBT33の放射角φは135°に設定されている。
同様にして、第X番目の単位アンテナTは、X個のビームBTX1,BTX2,…,BTXXを有する指向性パターンgtを有し、このうち、ビームBTX1の放射角φは180°/(X+1)に設定され、ビームBTX2の放射角φは2×180°/(X+1)に設定され、ビームBTX3(図示なし)の放射角φは3×180°/(X+1)に設定され、以下同様にして、ビームBTXXの放射角φはX×180°/(X+1)に設定されている。
一般化すると、上記のX個の単位アンテナT,T,T,…,Tのうち、第x番目(xは、1以上X以下の自然数)の単位アンテナTの指向性パターンgtxは、上記のX個の単位アンテナの配列方向を基準としてy×{π/(x+1)}(yは1からxまでの自然数)によって規定される放射角φの方向に形成されるx個のビームを有している。ここで、πは、弧度法における角度を表し、度数法における180°に相当する。このように、第x番目の単位アンテナTの指向性パターンgtxはx個のビームを有しているが、この第x番目の単位アンテナTが有するx個のビームは、例えばx素子のサブアレーアンテナ(図示なし)によって形成される。
上述の例に限らず、例えば、X個の単位アンテナT,T,T,…,Tのうち、第x番目の単位アンテナTの指向性パターンgtxは、上記のX個の単位アンテナの配列方向を基準として{y×π/x}―π/(2x)によって規定される放射角φの方向に形成されるx個のビームを有してもよい。この場合、例えば、X個の単位アンテナT,T,T,…,Tのうち、第1番目の単位アンテナTは1個のビームBT11を有する指向性パターンgt1を有し、ビームBT11の放射角φは90°に設定される。また、第2番目の単位アンテナTは、2個のビームBT21,BT22を有する指向性パターンgt2を有し、このうち、ビームBT21の放射角φは45°に設定され、ビームBT22の放射角φは90°に設定される。また、第3番目の単位アンテナTは、3個のビームBT31,BT32,BT33を有する指向性パターンgt3を有し、このうち、ビームBT31の放射角φは30°に設定され、ビームBT32の放射角φは90°に設定され、ビームBT33の放射角φは150°に設定される。
受信アンテナ402は、送信アンテナ401と同様の構成を有し、送信アンテナ401に対応した構成を有している。即ち、受信アンテナ402は、X個の単位アンテナR,R,R,…,Rを備え、これらX個の単位アンテナR,R,R,…,Rは、伝送距離Dを隔てて、送信アンテナ401のX個の単位アンテナT,T,T,…,Tと対向配置されている。受信アンテナ402に備えられたX個の単位アンテナR,R,R,…,Rの指向性パターンgr1,gr2,gr3,…,grXは、送信アンテナ401に備えられたX個の単位アンテナT,T,T,…,Tの指向性パターンgt1,gt2,gt3,…,gtXと対応している。
具体的には、受信アンテナ402の単位アンテナRの指向性パターンgr1は、送信アンテナ401の単位アンテナTの指向性パターンgt1と対応し、受信アンテナ402の単位アンテナRの指向性パターンgr2は、送信アンテナ401の単位アンテナTの指向性パターンgt2と対応し、受信アンテナ402の単位アンテナRの指向性パターンgr3は、送信アンテナ401の単位アンテナTの指向性パターンgt3と対応し、以下同様にして、受信アンテナ402の単位アンテナRの指向性パターンgrXは、送信アンテナ401の単位アンテナTの指向性パターンgtXと対応している。
ここで、上述した送信アンテナ401が有するX個の単位アンテナT,T,T,…,Tの指向性パターンgt1,gt2,gt3,…,gtXのそれぞれは、送信アンテナ401のアレー面の垂直軸に関して対称なパターンである。例えば、送信アンテナ401に備えられた単位アンテナTが有する指向性パターンgt3の3個のビームBT31,BT32,BT33のうち、アレー面の垂直軸方向に形成されたビームBT32を基準として、ビームBT31とビームBT33は相対する方向に形成され、ビームBT31とビームBT32との間の角度と、ビームBT32とビームBT33との間の角度は等しい。従って、単位アンテナTが有する指向性パターンgt3は、アレー面の垂直軸に関して対称なパターンである。さらに、隣り合うビームの位相特性が互いに反転した特性を有する場合、このようなビームを含む指向性パターンは、後述する正弦関数による直交性を実現する。また、このように指向性パターンが対称性を有すると共に隣り合うビームの位相特性が互いに反転したアンテナ特性は、例えば、等振幅かつ共相励振アンテナアレーや、分配器と位相反転器を接続したアンテナアレーや、アンテナの高次モードを用いる構成により得ることができる。送信アンテナ401の他の単位アンテナの指向性パターンについても同様である。また、上述した受信アンテナ402が有するX個の単位アンテナR,R,R,…,Rの指向性パターンgr1,gr2,gr3,…,grXについても同様である。
第4の実施例では、送信アンテナ401および受信アンテナ402は、それぞれ、互いに直交した異なる指向性パターンを持つ複数の単位アンテナを備えるが、ここでは、互いに直交した指向性パターンとして、送信アンテナ401および受信アンテナ402が備える各単位アンテナは、正弦関数の直交性を利用した指向性パターンを有するものとする。具体的には、送信アンテナ401の第x番目の単位アンテナの指向性パターンgtxは、「sin(x×φ)」によって表される。例えば、単位アンテナTの指向性パターンgt1は「sin(φ)」によって表され、単位アンテナTの指向性パターンgt2は「sin(2φ)」によって表される。受信アンテナ402の各単位アンテナの指向性パターンについても同様である。なお、第4の実施例では、互いに直交した指向性パターンの一例として正弦関数による直交性を利用した指向性パターンを用いるが、この例に限定されず、直交性を有することを限度として、任意の指向性パターンを用いることができる。また、送信アンテナ401および受信アンテナ402のそれぞれにおいて、上述の指向性パターンの直交性を実現することができることを限度として、各単位アンテナのビームの個数および放射角φを任意に設定することができる。
次に、第4の実施例に係るアンテナ装置の動作(作用)を説明する。
図23において、送信側無線信号処理部4は、X個の単位アンテナT,T,T,…,Tの各単位アンテナを構成するサブアレーアンテナの各素子を等振幅かつ共相で励振する。これにより、送信アンテナ401から電波が放射される。このとき、X個の単位アンテナT,T,T,…,Tのうち、第q番目(qは、1からXのうちの任意の自然数)の単位アンテナTは、指向性パターンgtq(=sin(qφ))を形成する。送信アンテナ401から放射された電波を受信する受信アンテナ402では、X個の単位アンテナR,R,R,…,Rの各単位アンテナを構成するサブアレーアンテナの各素子を等振幅かつ共相で励振する。このとき、X個の単位アンテナR,R,R,…,Rのうち、第p番目(pは、1からXのうちの任意の自然数)の単位アンテナTは、指向性パターンgtp(=sin(pφ))を形成する。
ここで、次に説明するように、指向性パターンの正弦関数による直交性より干渉波が相殺される。また、所望信号は、送信アンテナ410の単位アンテナと受信アンテナ402の単位アンテナのうち、同一の指向性パターンを持つ送信アンテナ401の単位アンテナと受信アンテナ402の単位アンテナとの間で伝送される。このため、受信アンテナ402において全到来方向の電波を合成することにより利得が得られ、送信アンテナ401から送信された信号を受信アンテナ402で受信することができる。
図24および図25を参照して、指向性パターンの直交性により干渉波を相殺する原理を説明する。
図24は、本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の動作原理を説明するための説明図であり、指向性パターンの一例を示す図である。また、図25は、本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の動作原理を説明するための説明図であり、放射角φと指向性パターンのビームの利得を示す振幅との関係の一例を示す図である。
図24に示す指向性パターンは、図23に示す送信アンテナ401に備えられた単位アンテナT〜Tの指向性パターンgt1〜gt4である。図24において、特性線L241は、指向性パターンgt1に含まれるビームBT11を表し、特性線L242は、指向性パターンgt2に含まれるビームBT21,BT22を表し、特性線L243は、指向性パターンgt3に含まれるビームBT31,BT32,BT33を表し、特性線L244は、指向性パターンgt4に含まれるビームBT41,BT42,BT43,BT44を表している。
図24に示すように、指向性パターンgt1に含まれるビームBT11の放射角φは90°に設定され、指向性パターンgt2に含まれるビームBT21,BT22の放射角φは、それぞれ、45°、135°に設定され、指向性パターンgt3に含まれるビームBT31,BT32,BT33の放射角φは、それぞれ、30°、90°、120°に設定され、指向性パターンgt4に含まれるビームBT41,BT42、BT43,BT44の放射角φは、それぞれ、22.5°、67.5°、112.5°、157.5°に設定されている。この場合、放射点Pから観たときのビームBTの利得を示す振幅(放射点PからビームBTの利得を表す楕円曲線までの距離)は、図25(A),(B),(C)に示すように、例えば正弦関数sin(φ)、sin(2φ)、sin(3φ)、sin(4φ)によって表される。ただし、この例に限定されず、指向性パターンの直交性を実現することができることを限度として、指向性パターンの直交性を実現する関数は任意である。
ここで、図25(A)の特性線25A1は、送信アンテナ401の単位アンテナT(a=2)(aは1以上X以下の任意の自然数)の指向性パターンの直交性を実現する正弦関数sin(2φ)を表し、特性線25A2は、受信アンテナ402の単位アンテナR(b=3)(bは1以上X以下の任意の自然数)の指向性パターンの直交性を実現する正弦関数sin(3φ)を表す。また、図25(B)の特性線25B1は、送信アンテナ401の単位アンテナT(a=2)の指向性パターンの直交性を実現する正弦関数sin(2φ)を表し、特性線25B2は、受信アンテナ402の単位アンテナR(b=4)の指向性パターンの直交性を実現する正弦関数sin(4φ)を表す。更に、図25(C)の特性線25C1は、送信アンテナ401の単位アンテナT(a=1)の指向性パターンの直交性を実現する正弦関数sin(φ)を表し、特性線25C2は、受信アンテナ402の単位アンテナR(b=3)の指向性パターンの直交性を実現する正弦関数sin(3φ)を表す。図25(A),(B),(C)において、「+A」は、各ビームの振幅の正側の最大値を表し、「−A」は、各ビームの振幅の負側の最大値を表している。
前述の図23に示すように送信アンテナ401及び受信アンテナ402の各単位アンテナが対向配列された場合、送信アンテナ401の単位アンテナT(aは1以上X以下の任意の自然数)から送信され、受信アンテナ402の単位アンテナR(bは1以上X以下の任意の自然数)で受信される信号は、単位アンテナTの送信指向性パターンgta、伝送距離Dから求められる伝搬路利得、単位アンテナRの受信指向性パターンgrbの積を放射角φの全範囲(φ;0〜π)にわたって積分した値となる。aとbとが異なる場合の全ての送信指向性パターンgtaと受信指向性パターンgrbとの積を放射角φの全範囲にわたって積分した値により隣接アンテナへの干渉波の大きさが決まる。
ここで、図25(A)に例示するように、第a番目の単位アンテナTと第b番目の単位アンテナRの添え字に相当するaとbの一方が奇数で他方が偶数となる場合(aとbの和が奇数である場合)、指向性パターンの対称性と位相反転特性とにより、指向性パターンの積を放射角φの全範囲にわたって積分すると、正の位相特性成分と負の位相特性成分とが相殺し合うため、干渉波が抑圧される。具体的には、図25(A)の例では、領域A1(φ;0〜π/3)の積分値が正の値をとり、領域A4(φ;2π/3〜π)の積分値が、領域A1の積分値と絶対値が同じで負の値をとるため、これら領域A1と領域A4の積分値が相殺される。また、領域A2(φ;π/3〜π/2)の積分値が負の値をとり、領域A3(φ;π/2〜2π/3)の積分値が領域A2の積分値と絶対値が同じで正の値をとるため、これら領域A2と領域A3との間で指向性パターンの積分値が相殺される。
また、図25(B)に例示するようにaとbがともに偶数の場合、または、図25(C)に例示するようにaとbがともに奇数の場合、上記の指向性パターンの積を放射角φの全範囲にわたって積分すると、正の位相特性成分と負の位相特性成分とが相殺し合うため、干渉波が抑圧される。図25(B)の例では、領域B1(φ;0〜π/4)の積分値が正の値をとり、領域B2(φ;π/4〜π/2)の積分値が領域B1の積分値と絶対値が同じで負の値をとるため、これら領域B1と領域B2との間で指向性パターンの積分値が相殺される。また、領域B3(φ;π/2〜3π/4)の積分値が負の値をとり、領域B4(φ;3π/4〜π)の積分値が領域B3の積分値と絶対値が同じで正の値をとるため、これら領域B3と領域B4との間で指向性パターンの積分値が相殺される。
また、図25(C)の例では、領域C1(φ;0〜π/3)と領域C3(φ;2π/3〜π)の積分値の和が正の値をとり、領域C2(φ;π/3〜2π/3)の積分値が領域C1の積分値とC3の積分値の和と絶対値が同じで負の値をとるため、これら領域C1、C3と領域C2との間で指向性パターンの積分値が相殺される。
このように指向性パターンの積を放射角φの全範囲にわたって積分すると、各領域の積分値が相殺し合うため、干渉波が抑圧される。送信アンテナ401及び受信アンテナ402の全ての単位アンテナの指向性パターンについて同様に説明することができる。
干渉波は異なる指向性パターンを持つ送信アンテナ側の単位アンテナと受信アンテナ側の単位アンテナとの間で伝送されるが、上述のように、指向性パターンの直交性により、全到来方向の電波を合成すれば、干渉波は相殺されて概ねゼロになる。指向性パターンの相関性がある場合でも、相関係数が低ければ、相互に異なる指向性パターンの直交性により干渉波の影響を低減することができる。このため、指向性パターンの種類の数だけ独立な伝送路(ストリーム)を形成することができ、通信路容量を増加させることができる。
上述したように、第4の実施例では指向性パターンの直交性を利用して干渉波を抑制しているが、次に、指向性パターンの直交性について、指向性パターン間の相関係数(指向性相関係数)の観点から説明する。
送信アンテナ401に備えられた複数の単位アンテナT,T,T,…,Tのうちの第q番目の送信アンテナの指向性パターンをgtqとし、受信アンテナ402に備えられた複数の単位アンテナR,R,R,…,Rのうちの第p番目の単位アンテナの指向性パターンをgtpとし、第q番目の単位アンテナの指向性パターンgtqと第p番目の単位アンテナの指向性パターンgtpとの間の相関係数を|ρpq|とすると、相関係数|ρpq|は次式(1)によって表される。なお、式(1)において、「*」は共役複素数を表す。他の数式においても同様である。
図26は、本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の特性図であり、指向性相関係数(=|ρpq|)と通信路容量との間の関係の一例を示す図である。図26において、特性線L251は、第4の実施例によるアンテナ装置の特性を表し、特性線L252は、前述した非特許文献2に開示された従来技術による固有モード伝送の特性を表し、特性線L253は、従来の狭指向性パターンを用いた並列伝送の特性を表している。
図26から理解されるように、第4の実施例によるアンテナ装置によれば、指向性相関係数が0.3以下の場合、通信路容量が従来の固有モード伝送の最低値(指向性相関係数を1とした場合の値)を上回り、通信路容量を有効に改善することができる。従って、このような改善効果を得るためには、指向性相関係数|ρpq|は、次の条件式(2)を満足することが望ましい。
また、図26から理解されるように、第4の実施例によるアンテナ装置によれば、指向性相関係数が0.69以下の場合、通信路容量が狭指向性による並列伝送の最大値(指向性相関係数が0の場合の値)を上回り、通信路容量を有効に改善することができる。従って、このような改善効果を得るためには、指向性相関係数|ρpq|は、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
図27は、本発明の第4の実施例によるアンテナ装置の特性図であり、指向方向誤差と指向性相関係数との間の関係の一例を示す図である。
図27から理解されるように、指向方向誤差に対する指向性相関係数が0.3以下となるのは、指向方向の誤差がπ/(q+1)またはπ/qの±15%以内の場合である。即ち、図27の例によれば、指向性相関係数を0.3以下とするためには、第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/(q+1)またはπ/qの±15%以内であることが望ましく、第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/(p+1)またはπ/qの±15%以内であることが望ましい。また、図27から理解されるように、指向方向誤差に対する指向性相関係数が0.69以下となるのは、指向方向誤差が±π/(q+1)または±π/q以内の場合である。即ち、図27の例によれば、指向性相関係数を0.69以下とするためには、第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/(q+1)または±π/q以内であることが望ましく、第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/(p+1)または±π/q以内であることが望ましい。
図28は、本発明の第4の実施例に係るアンテナ装置の特性図であり、独立な伝送路の数を表すストリーム数と通信路容量との間の関係の一例を示す特性図である。図28において、特性線L271は、第4の実施例によるアンテナ装置の特性を表し、特性線L272は、前述した非特許文献2に開示された従来技術による固有モード伝送の特性を表し、特性線L273は、従来の狭指向性パターンを用いた並列伝送の特性を表している。
図28から理解されるように、第4の実施例によるアンテナ装置によれば、狭指向性パターンを用いた並列伝送に比較して、ストリーム数の増加に伴って通信路容量を改善することができる。また、図28から理解されるように、第4の実施例によるアンテナ装置によれば、伝送路情報(チャネル情報)に基づく信号処理を用いて送信制御する固有モード伝送の特性には及ばないにしても、付加的な信号処理を何ら要することなく、固有モード伝送に次ぐ良好な通信路容量を得ることができる。
以上のように、第4の実施例によれば、送信アンテナ401および受信アンテナ402の各単位アンテナが直交性を有する指向性パターンを有することにより、受信アンテナ402の各単位アンテナにおいて、隣接する単位アンテナからの干渉波が全て指向性パターンの直交性により相殺される。このため、受信アンテナ402の各単位アンテナにおいて、所望信号のみを受信することが出来る。従って、MIMO装置などで用いられる複雑な高速演算処理を用いることなく、送信アンテナ401および受信アンテナ402の各単位アンテナの個数に応じた複数の独立した伝送路(並列伝送路)を簡易に形成することができ、通信路容量を増加させることが可能となる。即ち、図23の例では、送信アンテナ401および受信アンテナ402は、それぞれ指向性パターンが相互に異なるX個の単位アンテナを備え、各単位アンテナの指向性パターンは相互に異なるので、単位アンテナの個数に相当するX個の独立な伝送路を並列に形成することができ、通信路容量をX倍に増加させることができる。
<第5の実施例>
次に、本発明の第5の実施例を説明する。
上述の第4の実施例では、送信アンテナ401および受信アンテナ402の各単位アンテナはアレー面に沿って列状に配列されるものとしたが、第5の実施例では、各単位アンテナの放射面をアレー面の垂直軸方向に重ねるようにして配列する。その他の構成は、第4の実施例と同様である。なお、第5の実施例では、複数の単位アンテナの放射面をアレー面の垂直軸方向に重ねるように配列するが、複数の単位アンテナを第4の実施例の如く一次元状に配列してもよく、後述の第7の実施例の如く二次元状に配列してもよい。
図29は、本発明の第5の実施例に係るアンテナ装置に備えられた単位アンテナの説明図である。図29において、方形のサブアレーアンテナ素子1003,1005,1007が、誘電体1001を介して方形のグランド板1002,1004,1006と交互に積層するように配置されている。サブアレーアンテナ素子1003とグランド板1002は、前述の図23に示す単位アンテナTまたは単位アンテナRに相当するマイクロストリップアンテナとして機能する。また、サブアレーアンテナ素子1005とグランド板1004は、前述の図23に示す単位アンテナTまたは単位アンテナRに相当するマイクロストリップアンテナとして機能する。また、サブアレーアンテナ素子1007とグランド板1006は、前述の図23に示す単位アンテナTまたは単位アンテナRに相当するマイクロストリップアンテナとして機能する。
図29の例では、最上層のサブアレーアンテナ素子1007の長さLと幅Wは、中間層のサブアレーアンテナ素子1005の長さLと幅Wよりも小さく、中間層のサブアレーアンテナ素子1005の長さLと幅Wは、最下層のサブアレーアンテナ素子1003の長さLと幅Wよりも小さい。
なお、図29の例では、3個のサブアレーアンテナ素子を備える場合を示し、単位アンテナの個数Xが3である場合を示しているが、この例に限定されず、サブアレーアンテナ素子およびグランド板の個数は単位アンテナの数に応じて任意である。
ここで、前述の図23に示す送信アンテナ401の単位アンテナT,T,T,…,Tのうち、第q番目の単位アンテナTのサブアレーアンテナ素子は、一辺(W〜W,L〜L)の長さがq×λg/2の方形のマイクロストリップアンテナにより構成される。同様に、受信アンテナ402の単位アンテナR,R,R,…,Rのうち、第p番目の単位アンテナRのアブアレーアンテナ素子は、一辺の長さがp×λg/2の方形のマイクロストリップアンテナにより構成される。ここでλgは実効波長を表す。
上述のように各単位アンテナのサイズを異ならせて設定することにより、図29に示すように、次数n(nは自然数)に応じた電界分布を有する異なる指向性パターンが得られ、これにより、指向性パターンに直交性を持たせている。
図30は、本発明の第5の実施例に係るアンテナ装置の説明図であり、放射モードとモードの次数nの一例を示す図である。ここで、図30(A)は、次数nが1のモードでの放射パターンの電界分布を示し、図30(B)は次数nが2のモードでの放射パターンの電界分布を示し、図30(C)は次数nが3のモードでの放射パターンの電界分布を示す。図30(A),(B),(C)に示すように、次数nに応じて実効波長λgの半波長ごとに電流分布が生じ、電流分布の山の数に応じたビームが放射される。例えば、図30(A)の電流分布は、上述の図29に示すサブアレーアンテナ素子1007の指向性パターンを放射する電流分布に相当し、図30(B)の電流分布は、サブアレーアンテナ素子1005の指向性パターンを放射する電流分布に相当し、図30(C)の電流分布は、サブアレーアンテナ素子1003の指向性パターンを放射する電流分布に相当する。
また、第5の実施例では、各単位アンテナを構成するマイクロストリップアンテナはTMモードで励振される。n次(nは自然数)のTMモードの励振放射パターンによる電界Eは次式(4)により表される。式(4)において、nはモードの次数を表す。
上式(4)により与えられる電界Eを用いて、図23の座標系におけるxy平面での各モード間の指向性の相関係数は、次式(5A),(5B),(5C)により表される。ここで、式(5A)は、偶数次モードの放射パターンと奇数次モードの放射パターンとの間の相関係数を表し、式(5B)は、奇数次モードの放射パターンと同じく奇数次モードの放射パターンとの間の相関係数を表し、式(5C)は、偶数次モードの放射パターンと同じく偶数次モードの放射パターンとの間の相関係数を表している。また、式(5A)〜(5C)において、nは、例えば第1番目の単位アンテナTのモードの次数を表し、nは例えば第2番目の単位アンテナTのモードの次数を表し、En1は、次数がnのモードでの電界を表し、En2は、次数がnのモードでの電界を表している。また、φは放射角を表している。
上式(5A)〜(5C)から、モードの次数の違いを利用すれば、異なるモード間の相関係数を低減させることができることが理解される。図23の座標系におけるyz平面についても同様である。よって送信アンテナ401および受信アンテナ402のそれぞれに備えられた複数の単位アンテナの各導体部の長さ(方形のマイクロストリップアンテナの一辺の長さ)に応じたモードで各単位アンテナを励振することにより、第4の実施例と同様に、各単位アンテナの指向性パターンを相互に異ならせることができ、これにより、各単位アンテナ間の相関を低減させ、通信路容量を改善することができる。また、第5の実施例によれば、相互に異なる指向性パターンを単素子のマイクロストリップアンテナで実現することができ、装置の小型化が可能となる。
ここで、アンテナのモードの次数の選択について説明する。
図31は、本発明の第5の実施例に係るアンテナ装置の説明図であり、モードの次数と指向性相関係数との間の関係の一例を示す図である。図31において、特性線L301は、次数nが1(奇数)の場合の次数nと指向性相関係数との関係の一例を示し、特性線L302は、次数nが2(偶数)の場合の次数nと指向性相関係数との関係の一例を示し、特性線L303は、次数nが3(奇数)の場合の次数nと指向性相関係数との関係の一例を示し、特性線L304は、次数nが4(偶数)の場合の次数nと指向性相関係数との関係の一例を示し、特性線L305は、次数nが5(奇数)の場合の次数nと指向性相関係数との関係の一例を示し、特性線L306は、次数nが6(偶数)の場合の次数nと指向性相関係数との関係の一例を示し、特性線L307は、次数nが7(奇数)の場合の次数nと指向性相関係数との関係の一例を示している。図31に示す例から、例えば、次数nが1の場合、次数nとして偶数の次数を用いることにより、または5や7のような高次の次数を用いることにより、指向性相関係数を有効に低減させ、通信路容量を改善できることが理解される。
上述したように、第5の実施例によれば、異なる次数のTMモードを持つアンテナを複数用いることで直交指向性を単素子で実現することが出来、装置の簡易化と小型化を実現することができる。また、異なる次数のTMモードを持つ複数の単位アンテナを重ねるように配置することにより、さらなる小型化を実現することができる。
なお、第5の実施例では、TMモードで単位アンテナを励振する場合を例として説明したが、TEモードを用いてもよく、また、TMモードとTEモードとを組み合わせて各単位アンテナを励振してもよい。
<第6の実施例>
次に、本発明の第6の実施例を説明する。
図32は、本発明の第6の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。
第6の実施例に係るアンテナ装置は、前述の図23に示す第4の実施例に係るアンテナ装置の構成において、更に、各単位アンテナの通信路容量C,C,C,…,Cを計測し、通信路容量に応じて送受信に用いる単位アンテナのモードを選択する機能を備えている。即ち、第6の実施例では、各送受信アンテナ間のストリームの容量が所定の閾値CTH以上となるモードを用いて、送信アンテナ401と受信アンテナ402との間でデータ伝送を実施し、ストリームの容量が上記閾値CTHを下回る場合、ストリームの容量が上記閾値CTH以上となる他のモードに切り替えて送信アンテナ401と受信アンテナ402との間でデータ伝送を実施する。本実施例では、モードの切り替えは、例えば単位アンテナを切り替えることにより実施される。その他の構成は、第4の実施例または第5の実施例と同様である。なお、第6の実施例は、第4の実施例または第5の実施例と組み合わせることが可能である。
具体的には、第6の実施例に係るアンテナ装置は、各送受信アンテナ間の容量が閾値CTH以上となるモードの単位アンテナを選択し、閾値CTHを下回る場合に他のモードの単位アンテナに切り替える。例えば、本アンテナ装置は、送信アンテナ401の単位アンテナTと受信アンテナ402の単位アンテナRとの間の伝送路により形成される第1のストリームの容量Cが最も大きく、送信アンテナ401の単位アンテナTと受信アンテナ402の単位アンテナRとの間の伝送路により形成される第3のストリームの容量Cが2番目に大きく、その他のストリームの容量がしきい値CTHよりも小さい場合、送信用の単位アンテナとして、送信アンテナ401の単位アンテナT,Tを選択し、受信用の単位アンテナとして、受信アンテナ402の単位アンテナR,Rを選択する。これらの選択された単位アンテナの伝送路により形成される第1のストリームと第3のストリームを用いてデータ伝送が実施される。
その後、例えば、送信機または受信機の位置の変動により、第2のストリームの通信路容量Cが最も大きく、第3のストリームの通信路容量Cが2番目に大きく、その他のストリームの通信路容量がしきい値CTHよりも小さくなった場合、本アンテナ装置は、送信用の単位アンテナとして、送信アンテナ401の単位アンテナT,Tを選択し、受信用の単位アンテナとして、受信アンテナ402の単位アンテナR,Rを選択し、第2のストリームと第3のストリームを用いてデータ伝送を実施する。
第6の実施例に係るアンテナ装置によれば、送受信機の位置の変動に対応することができ、送受信機の位置関係に応じて伝送路を安定化させ、広範囲への伝送が可能となる。
なお、上述の例に限定されず、必要とする通信路容量が得られることを限度として、モード(単位アンテナ)の選択の仕方は任意に定めることができる。
<第7の実施例>
次に、本発明の第7の実施例を説明する。
図33は、本発明の第7の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。
上述した第4から第6の実施例では、送信アンテナ401および受信アンテナ402は、それぞれ、アレー面上に列状に配列された複数の単位アンテナを備えるものとしたが、第7の実施例に係るアンテナ装置は、第4の実施例の送信アンテナ401を複数個備えた送信アンテナATXを備え、送信アンテナATXは、複数の単位アンテナT,T,T,…,Tを1つの単位構成(ユニット)として、複数個の単位構成を備えている。
図33に示す例では、送信アンテナATXは、単位アンテナT,T,T,Tを1つの単位構成として、3つの単位構成を備える。また、送信アンテナATXに備えられた複数の構成単位は、アレー面上、または3次元空間内に分散配置される。その他の構成は、第4から第6の実施例と同様である。なお、第7の実施例は、第4から第6の実施例と組み合わせることが可能である。
図34は、本発明の第7の実施例に係るアンテナ装置の特性図であり、単位構成の個数と通信路容量との間の関係の一例を示す特性図である。ここで、図34において、特性線L331は、第7の実施例に係るアンテナ装置の特性を示し、特性線L332は、狭指向性による並列伝送の特性を示し、特性線L333は、前述した非特許文献2に開示された固有モード伝送の特性を示している。図34から理解されるように、第7の実施例に係るアンテナ装置によれば、単位構成の数を2以上とすることにより、狭指向性による並列伝送方式を凌ぐ特性が得られ、通信路容量を有効に改善することができる。また、第7の実施例によれば、送信アンテナATXが、複数の単位アンテナT,T,T,Tを単位構成として複数個の単位構成を備えたことにより、多重化利得またはダイバーシチ利得が増加する。このため、第7の実施例によれば、上述の第4から第6の実施例に比較して、更に通信路容量を改善することが可能になる。
<第8の実施例>
次に、本発明の第8の実施例を説明する。
上述した第4から第7の実施例では、送信信号および受信信号に対する重み付けについては特に限定していないが、第8の実施例では、送信側無線信号処理部4および受信側無線信号処理部5において、MIMO装置などで用いられる高速演算処理装置に加えて、固定重み付け処理により送信信号および受信信号に対する重み付けを実施することにより、更なる通信路容量の改善を行う。その他については、上述の第4から第7の実施形態と同様である。
具体的には、第8の実施例では、送信側無線信号処理部4および受信側無線信号処理部5において、指向性パターンを含む伝搬路行列を平均化した値に対して特異値分解を行い、固定ウェイトを計算する。そして、通信路容量が閾値を下回った場合、例えば、通信路容量が50パーセント以下に劣化した場合、固定ウェイトを再計算する。この固定ウェイトを用いてMIMO信号分離を行うことにより、チャネル推定やチャネル情報のフィードバックの回数を低減させることができる。加えて、第4から第7の実施例による効果を得ることもできる。
<第9の実施例>
次に、本発明の第9の実施例を説明する。
第9の実施例では、送信側無線信号処理部4および受信側無線信号処理部5において、MIMO装置などで用いられる高速演算処理装置に加えて、瞬時重み付け処理により送信信号および受信信号に対する重み付けを実施することにより、更なる通信路容量の改善を行う。その他については、上述の第4から第7の実施例と同様である。
具体的には、第9の実施例では、送信側無線信号処理部4および受信側無線信号処理部5において、指向性パターンを含む伝搬路行列に対して特異値分解を行い、瞬時ウェイトを計算する。この瞬時ウェイトを用いてMIMO信号分離を行うことにより、伝送路の相関の影響を抑制する。また、伝送路に相関がある場合であっても、通信路容量の劣化を抑えることができる。加えて、第4から第7の実施例による効果を得ることもできる。
図35は、本発明の第9の実施例に係るアンテナ装置の特性の説明図であり、アンテナ数と通信路容量との間の関係の一例を示す図である。図35において、特性線L341は、ウェイトを設定しない場合の本発明によるアンテナ装置のアンテナ数と通信路容量との間の関係を示し、特性線L342は、瞬時ウェイトを設定した場合の本発明による第9の実施例のアンテナ装置のアンテナ数と通信路容量との間の関係を示し、特性線L343は、固定ウェイトを設定した場合の本発明による第8の実施例のアンテナ装置のアンテナ数と通信路容量との間の関係を示し、特性線L344は、従来の固有モード伝送による特性を示し、特性線L345は、狭指向性を利用した並列伝送の特性を示し、特性線L346は、伝送路相関がない場合の理想的な特性を示している。図35から理解されるように、第9の実施例によれば、特性線L342により示されるように、伝送路相関がない場合の理想的な特性(L346)に近似した特性を得ることができ、通信路容量をさらに有効に改善することができる。
<第10の実施例>
次に、本発明の第10の実施例を説明する。
第10の実施例では、上述の第4から第9の各実施例の構成において、送信機と受信機の位置を検出するための検出部(図示なし)と、送信アンテナ401および受信アンテナ402の傾き(指向方向)を制御するための制御部(図示なし)を更に備える。検出部により検出された送信機と受信機の各位置に応じて、制御部は、送信アンテナ401および受信アンテナ402の各ビームの指向方向(放射角)を変え、等価的に送信アンテナ401と受信アンテナ402とを対向させる。このような制御部を実現する手法として、例えば、機械的にアンテナの指向方向を制御する手法や、アレーファクタ等を調整することにより電子的にアンテナの指向方向を制御する手法を用いることができる。その他については、上述の第4から第9の実施例と同様である。
第10の実施例によれば、上述した第4から第9の実施例による効果に加えて、更に伝送路を安定化させ、通信路容量を改善することができる。
<第11の実施例>
次に、本発明の第11の実施例を説明する。
図36は、本発明の第11の実施例に係るアンテナ装置の説明図である。
第11の実施例では、前述した図23に示す第4の実施例の構成において、図36に示すように、送信アンテナ401と受信アンテナ402との間の伝送路を横切る方向(例えば、送信アンテナ401から受信アンテナ402に向かう方向と概ね直交する方向)に、伝送路を挟んで対向するように反射板701と反射板702とを配置する。例えば、反射板701,702は、送信アンテナ401から受信アンテナ402を見たときに、伝送路を基準として左右方向または上下方向に配置される。ただし、この例に限定されず、反射板701,702は上下方向と左右方向の両方に配置してもよく、送信アンテナ401から放射された電波の反射波が受信アンテナ402に受信されることを限度として、反射板701,702の配置形態は任意である。
第11の実施例に係るアンテナ装置によれば、送信アンテナ401から受信アンテナ402に向かう伝搬方向から逸脱した電波が反射板701,702により反射されて受信アンテナ402に向かうため、送信アンテナ401から受信アンテナ402に到来する電波が増加する。このため、第11の実施例によれば、第4から第10の実施例による効果に加えて、伝送路を更に安定化させ、通信路容量の劣化を防止することができる。
図37は、本発明の第11の実施例に係るアンテナ装置の特性図(到来電波の電力分布が一様な理想的なマルチパス環境での特性)を示す図である。ここで、図37(A)は、放射角φに対する電力P(φ)の分布を示し、図37(B)は、アンテナ数と通信路容量との間の関係の一例を示している。図37(A)において、特性線L36Bは、電力P(φ)の分布を表している。また、図37(B)において、特性線L36B1は、第11の実施例に係るアンテナ装置の特性を示し、特性線L36B2は、従来の固有モード伝送の特性を示し、特性線L36B3は、狭指向性を用いた並列伝送の特性を示している。図37におけるアンテナ数は、送信アンテナ401および受信アンテナ402のそれぞれにおける単位アンテナの個数であり、前述のストリーム数と同義である。後述の図38においても同様である。図37(A),(B)から理解されるように、理想的なマルチパス環境では、放射角φに対する電力P(φ)の分布は一様になり、狭指向性を用いた並列伝送を除いて、アンテナ数の増加に伴って通信路容量が増加する傾向を示す。
図38は、本発明の第11の実施例に係るアンテナ装置の特性図(到来電波の電力分布が一様でない環境、例えば、基地局と端末との間の伝送路の環境での特性)である。ここで、図38(A)は、放射角に対する電力P(φ)の分布を示し、図38(B)は、アンテナ数と通信路容量との間の関係の一例を示している。
図38(A)において、電力P(φ)の分布は、次式(6)により表されるラプラス分布を示す。
P(φ)={1/(21/2σ)}×exp(−21/2×|φ―φ|/σ) ・・・(6)
また、図38(B)において、特性線L37B1は、第11の実施例に係るアンテナ装置の特性を示し、特性線L37B2は、従来の固有モード伝送の特性を示し、特性線L37B3は、狭指向性を用いた並列伝送の特性を示している。
図38(A)から理解されるように、第11の実施例によれば、放射角が変化しても、アンテナの電力分布の変動を抑制することができ、図37(A)に示す理想的なマルチパス環境での特性と近似した電力分布を得ることができる。また、図38(B)に示すように、アンテナ数の増加に伴って通信路容量が増加する傾向を示し、理想的なマルチパス環境での通信路容量に次ぐ通信路容量を得ることができる。従って、第11の実施例によれば、反射板701,702を備えたことにより、例えば送受信機の取り付け状態(送信アンテナおよび受信アンテナの傾きなど)が通信路容量に与える影響を抑制することができ、送受信機の取り付け状態によらず、伝送路の品質を維持することができる。
上述したように、本発明の実施形態および実施例によれば、MIMOの空間伝送のような信号処理等を行わず、かつ指向性がブロードであっても、高速伝送が可能となる。よって、簡易な構成で並列伝送を実現することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
1,101,201,301…送信アレーアンテナ、
2,102,202,302…受信アレーアンテナ、
11,11−1,11−2,11−3,21,21−1,21−2,21−3,111,121,211−1,211−2,311,311−1,311−2,311−3,321,321−1,321−2,321−3…第1の単位アンテナ、
12,12−1,12−2,22,22−1,22−2,112,122,212−1,212−2,312,312−1,312−2,312−3,322,322−1,322−2,322−3…第2の単位アンテナ、
161,162,361,362…平面アンテナ素子、
163,363…位相反転器、
401,ATX…送信アンテナ、
402…受信アンテナ、
701,702…反射板
,R,R,R,…,R,T,T,T,T,…,T…単位アンテナ。

Claims (13)

  1. 相互に対向するように配置された送信アンテナと受信アンテナとを備えた近距離伝送無線通信システム用のアンテナ装置において、
    前記送信アンテナ及び受信アンテナは、それぞれ、
    相互に直交性を有する指向性パターンであって相互に異なる指向性パターンを有する複数の単位アンテナを備えたアンテナ装置。
  2. 前記複数の単位アンテナは、それぞれ、異なる個数のビームを有する指向性パターンを有し、
    前記送信アンテナに備えられた複数の単位アンテナの指向性パターンと前記受信アンテナに備えられた複数の単位アンテナの指向性パターンは相互に対応している、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記複数の単位アンテナをX個(Xは任意の自然数)の単位アンテナとすれば、
    前記X個の単位アンテナは、アレー面に列状に配列され、
    前記X個の単位アンテナのうち、第x番目(xは、1以上X以下の自然数)の単位アンテナの指向性パターンは、
    前記X個の単位アンテナの配列方向を基準としてy×{π/(x+1)}(yは1以上x以下の自然数)または{y×π/x}―π/(2x)によって規定される方向に形成されるx個のビームを有する、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記送信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第q番目の送信アンテナの指向性パターンをgtqとし、前記受信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第p番目の単位アンテナの指向性パターンをgtpとし、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンとの間の相関係数を|ρpq|とすれば、
    前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと、前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンと、前記相関係数は、
    なる条件式を満足し、
    前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/(q+1)以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/(p+1)以内であり、
    または、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/q以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差は±π/p以内である、請求項1から3の何れか1項に記載のアンテナ装置。
  5. 前記送信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第q番目の送信アンテナの指向性パターンをgtqとし、前記受信アンテナに備えられた前記複数の単位アンテナのうちの第p番目の単位アンテナの指向性パターンをgtpとし、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンとの間の相関係数を|ρpq|とすれば、
    前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンと、前記第p番目の単位アンテナの指向性パターンと、前記相関係数は、
    なる条件式を満足し、
    前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/(q+1)の±15%以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/(p+1)の±15%以内であり、
    または、前記第q番目の送信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/qの±15%以内であり、前記第p番目の受信アンテナの指向性パターンが有するビームの指向方向の誤差はπ/pの±15%以内である、請求項1から3の何れか1項に記載のアンテナ装置。
  6. 前記複数の単位アンテナは、相互に異なるTEモードまたはTMモードを有し、一次元状または二次元状に配列され、または放射面を重ねるようにして配列された、請求項4または5に記載のアンテナ装置。
  7. ストリームの容量が所定の閾値以上となるモードを用いて、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間でデータ伝送を実施し、前記ストリームの容量が前記閾値を下回る場合、他のモードに切り替えて前記送信アンテナと前記受信アンテナとの間でデータ伝送を実施する、請求項4から6の何れか1項に記載のアンテナ装置。
  8. 前記送信アンテナは、
    前記複数の単位アンテナを1ユニットとして、複数ユニットの単位アンテナを備え、前記複数ユニットが分散配置された、請求項4から7の何れか1項に記載のアンテナ装置。
  9. 前記送信アレーアンテナ及び受信アレーアンテナは、それぞれ、
    前記複数の単位アンテナとして、
    アレー面に対してほぼ垂直方向に形成される1つの主ビームを有する第1の単位アンテナと、
    前記アレー面に対する垂直方向から相対する方向に所定の角度を有する2つの主ビームを有し、前記2つの主ビームの位相特性が相互に反転された関係を有する第2の単位アンテナと、
    を備えた、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  10. 前記第1の単位アンテナと前記第2の単位アンテナとが交互に配置された、請求項9に記載のアンテナ装置。
  11. 前記第2の単位アンテナは2つのアンテナ素子からなり、前記2つのアンテナ素子が前記第1の単位アンテナを挟むように、前記第2の単位アンテナが配置された、請求項9または10に記載のアンテナ装置。
  12. 前記第1の単位アンテナおよび前記第2の単位アンテナは2次元状に配置された、請求項9から11の何れか1項に記載のアンテナ装置。
  13. 前記第1の単位アンテナが一方の対角線方向に2つ並べられ、
    前記第2の単位アンテナが、互いに90度方向が異なる向きに、他方の対角線方向に2つ並べられ、
    前記対角線方向に並べられた2つの第1の単位アンテナと、前記他方の対角線方向に並べられた2つの第2の単位アンテナとを最小単位として、前記第1の単位アンテナと前記第2の単位アンテナとが2次元状に配置された、請求項12に記載のアンテナ装置。
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