JP2018200908A - 電力半導体装置の製造方法および電力半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却器の封止部を高耐圧化および高耐熱化し、半導体素子や絶縁基板を接合した接合材の再溶融が無く信頼性の高い電力半導体装置の製造方法および電力半導体装置を提供する。【解決手段】非磁性金属材料から成るヒートシンク7の上面と、一方の面上に半導体素子3が設けられた基板5の他方の面とを接合材6によって接合する工程と、側壁91で囲まれた開口部を有し断面が凹状を呈する冷媒ジャケット9の側壁91の開口部側に設けられた磁性金属部10上にはんだを形成する工程と、ヒートシンク7の下面をはんだ12に接触させつつ、磁性金属部10を高周波誘導加熱して発生した熱によりはんだ12を溶融せしめてヒートシンク7と冷媒ジャケット9とをはんだ接合する工程と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、冷却器を備えた電力半導体装置に関するものである。
電力半導体装置は、産業用機器から、家電、情報端末まで幅広い機器の主電力の制御に用いられており、特に輸送機器等においては高い信頼性が求められている。また、従来のシリコン(Si)を用いた半導体素子に代えて、炭化珪素(SiC)等のワイドバンドギャップ半導体を用いた半導体素子を備えた半導体装置の開発も進められており、電力半導体装置の高パワー密度化と高温動作化が進んでいる。
電力半導体装置に接続されたモータなどの負荷が消費する電力は、三相交流電力の電圧と周波数とで制御され、この制御には電力半導体装置内に設けられたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal−oxcide−semiconductor Field−effect Transistor:金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)等の半導体素子のスイッチング動作が利用されている。半導体素子はスイッチング動作により発熱するため、電力半導体装置には、発熱体である半導体素子の過熱を防止するために排熱を促進する冷却器が備えられている。
従来の電力半導体装置では、パワーモジュールに備えられた半導体素子から発生する熱を放熱するための放熱フィンを、内部空間を水などの流体である冷媒が通る冷却器の壁面に設けられた開口部に挿入し、放熱フィンを冷媒の流路である冷却器の内部空間に配置することでパワーモジュールからの排熱を促進していた。パワーモジュールは、放熱フィンが設けられた平板状のフィンベースと、冷却器に設けられた開口部との間にOリングなどのシール部材を設けて開口部を液密に封止して、冷却器に取付けられていた(例えば、特許文献1参照)。
また、他の従来の電力半導体装置では、半導体チップを備えた絶縁基板が一方の主面に接合された金属ベース板の他方の主面と、冷却器であるヒートシンクとの間に、ニッケル層とアルミ層とを積層して形成した反応性金属箔と、反応性金属箔を挟んだはんだとを設け、反応性金属箔に電流を流して自己発火させることで、はんだを溶融させて、金属ベース板とヒートシンクとをはんだ接合していた。反応性金属箔によりはんだが瞬時に溶融するため、ヒートシンクとはんだとの界面、金属ベース板とはんだとの界面に、それぞれ金属接合が形成され、金属ベース板とヒートシンクを強固に接合されていた(例えば、特許文献2参照)。
特開2012−146759号公報 特開2013−16525号公報
特許文献1に記された従来の電力半導体装置にあっては、冷却器の内部空間に冷媒を流して、放熱フィンからの排熱を積極的に行っているが、近年の電力半導体装置の小型化や軽量化の要求に対応するためには、冷却器も小型化する必要があり、そのためには冷媒の流速を増加する必要があるが、冷媒の流速を増加すると冷媒の圧力が増大するため、Oリングなどのシール部材で封止した封止部から冷媒が漏れやすくなる。Oリングによる封止は、冷却器とフィンベースとをボルトで締結し、その締結力により冷却器とフィンベースとの間に挟まれたOリングを変形させて、Oリングを冷却器およびフィンベースに密着させることで行っている。従って、冷却器内部の冷媒の圧力が高い場合には、冷媒の漏れを防止するために更に高いボルト締結力が必要となるが、更に高い締結力を印加することで、冷却器やフィンベースが変形するといった問題点があった。また、電力半導体装置を高温環境で動作させたり、大電力を入力して半導体素子の発熱が大きいような条件で動作させたりすると、冷媒温度や冷却器が高温になり、Oリングを変質させて、Oリングによる封止部から冷媒が漏れやすくなるといった問題点があった。
一方、特許文献2に記載された従来の電力半導体装置にあっては、放熱用の金属ベース板と冷却器であるヒートシンクとをはんだ接合しており、金属ベース板およびヒートシンクとはんだとの界面にそれぞれ金属接合を形成しているため、これを特許文献1に記された電力半導体装置に適用すれば、耐圧性の高い封止を実現することができ、また封止部の耐熱性も向上する。しかし、反応性金属箔は、反応時の最高温度が1350℃〜1500℃にも達するため、反応性金属箔を自己発火させて金属ベース板とヒートシンクとをはんだ接合する際に、パワーモジュール内部の半導体素子と絶縁基板との間のはんだ、および絶縁基板と金属ベース板との間のはんだが再溶融する場合があり、電力半導体装置の製造歩留りの低下や信頼性の低下が起こるといった問題点があった。
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、冷却器の封止部を高耐圧化および高耐熱化し、半導体素子や絶縁基板を接合した接合材の再溶融が無く信頼性の高い電力半導体装置の製造方法および電力半導体装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電力半導体装置の製造方法は、非磁性金属材料から成るヒートシンクの上面と、一方の面上に半導体素子が設けられた基板の他方の面とを接合材によって接合する工程と、側壁で囲まれた開口部を有し断面が凹状を呈する冷媒ジャケットの前記側壁の開口部側に設けられた磁性金属部上にはんだを形成する工程と、前記ヒートシンクの下面を前記はんだに接触させつつ、前記磁性金属部を高周波誘導加熱して発生した熱により前記はんだを溶融せしめて前記ヒートシンクと前記冷媒ジャケットとをはんだ接合する工程と、を備える
また、本発明に係る電力半導体装置は、側壁で囲まれた開口部を有し断面が凹状を呈する冷媒ジャケットと、前記側壁の開口部側に設けられた磁性金属部と、前記磁性金属部上にはんだで接合された非磁性材料から成るヒートシンクと、前記ヒートシンク上に接合され、半導体素子が載置された基板と、を備える。
本発明に係る電力半導体装置の製造方法によれば、半導体素子や絶縁基板を接合した接合材の再溶融が無いため、冷却器の封止部を高耐圧化および高耐熱化し、信頼性の高い電力半導体装置の製造方法を提供できる。
また、本発明に係る電力半導体装置によれば、半導体素子や絶縁基板を接合した接合材の再溶融が無いため、冷却器の封止部を高耐圧化および高耐熱化し、信頼性の高い電力半導体装置を提供できる。
本発明の実施の形態1における電力半導体装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における電力半導体装置を示す上面図である。 本発明の実施の形態1における電力半導体装置の製造方法を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における電力半導体装置の製造方法を示す断面図および上面図である。 本発明の実施の形態1における電力半導体装置の製造方法を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における電力半導体装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態3における電力半導体装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における電力半導体装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態4における他の電力半導体装置を示す断面図である。 本発明の実施の形態5における電力半導体装置および電力半導体装置の製造方法を示す断面図である。
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1における電力半導体装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態1における電力半導体装置を示す断面図である。また、図2は本発明の実施の形態1における電力半導体装置を示す上面図である。図1の断面図は、図2の破線A−Bにおける断面図である。
図1に示すように、電力半導体装置1は、パワーモジュール2と冷却器8とがはんだ12により接合されて構成されている。
パワーモジュール2は、シリコンや炭化珪素で形成された半導体素子3と、はんだや焼結銀などの接合材4を介して一方の面に半導体素子3を接合した絶縁基板5と、絶縁基板5の他方の面にはんだなどの接合材6を介して接合されたアルミやアルミ合金などの熱伝導率が高い非磁性金属材料で形成したヒートシンク7とを備えている。ヒートシンク7は絶縁基板5が接合材6で接合される平面を有するフィンベース71と、フィンベース7の絶縁基板5が接合される面とは反対側、すなわち裏面側に直立した放熱フィン72とにより構成される。絶縁基板5は、窒化アルミ(AlN)などの絶縁物基板51の両面に導電パターン52、53を設けて構成される。さらに、パワーモジュール2は、半導体素子3と絶縁基板5とを覆う樹脂モールドなどのケースを備えている(図示せず)。
冷却器8は、アルミやアルミ合金などの非磁性金属材料で形成され、内側に冷媒流路11を備え、ヒートシンク7の放熱フィン72を、冷媒流路11に挿入するための開口部を有する冷媒ジャケット9と、冷媒ジャケット9の開口部の周囲に、冷却器8の外側に一部を露出させて、冷媒ジャケット9との間を液密に密着して設けられた磁性金属部10とを備えている。なお、冷却器8の内側とは、図1において磁性金属部10の上面10bを含む平面より下側であって冷媒流路11を有する領域を言い、冷媒ジャケット9の内側とは、図1において磁性金属部10の下面を含む平面より下側であって冷媒流路11を有する領域を言う。図1に示すように、磁性金属部10は、側面である面10aと上面である面10bの一部とが冷却器8の外側に露出している。
図1は断面図であるため、冷媒ジャケット9の側壁91が放熱フィン72の紙面左右側にしか存在しないように見えるが、冷媒ジャケット9の側壁91は放熱フィン72の紙面奥側および紙面手前側にも存在し、放熱フィン72を四方から囲うように設けられている。従って、磁性金属部10も放熱フィン72を四方から囲うように設けられている。図2に示すように、冷却器8の外側に露出した磁性金属部10の面10aは冷却器8の四方に露出しており、磁性金属部10の面10bの一部は、ヒートシンク7の外側を囲うように紙面上方に対して露出している。
図1に示す冷媒ジャケット9の、放熱フィン72の紙面奥側および紙面手前側の側壁91には、一方に、冷却器8の外部から冷媒流路11に冷媒を流入させる冷媒流入口と、他方に、冷媒流路11から冷却器8の外部に冷媒を流出させる冷媒流出口とが設けられている(図示せず)。冷媒には、例えば、水などの流体が使用される。また、冷媒流入口および冷媒流出口は雌ねじ切りされており、先端に雄ねじ切り部を有する配管を冷媒流入口および冷媒流出口に接続して、ラジエータなどの外部装置に接続される。図1の冷媒流路11に紙面垂直方向に水などの冷媒が流れることで、放熱フィン72の熱が冷媒に熱伝達し、パワーモジュール2の半導体素子3で発生した熱が排熱される。
磁性金属部10は、鉄や鋼、ニッケル、コバルト、フェライト系ステンレスなどの磁性金属材料で形成されており、磁性金属部10の一面が冷媒ジャケット9に、熔接、ろう付け、あるいは、かしめなどによって接合されている。
また、図2に示すように、ヒートシンク7には、ヒートシンク7と磁性金属部10とをはんだ12で接合する際に用いられる位置決め用穴13が設けられている。位置決め用穴13は、半導体素子3と絶縁基板5とを保護する図示しないケースの外側に設けられている。位置決め用穴13は、ヒートシンク7の表裏を貫通して設けられ、冷却器8にも位置決め用穴13に対応する位置に位置決め用穴14が設けられている(図3参照)。冷却器8に設けられた位置決め用穴14は、磁性金属部10を貫通し、冷媒ジャケット9に到達して設けられる。
図1に示すように、パワーモジュール2のヒートシンク7と冷却器8の磁性金属部10との間には、磁性金属部10に沿ってはんだ12が設けられ、はんだ12によってヒートシンク7と磁性金属部10との間が液密に接合されて、電力半導体装置1は構成される。ヒートシンク7とはんだ12との間および磁性金属部10とはんだ12との間は、それぞれ金属接合により液密に封止されるため、冷媒ジャケット9の開口部が高耐圧、且つ高耐熱に封止される。放熱フィン72から冷媒への熱伝達率は、冷媒の流速が大きいほど高くなり、放熱フィン72と冷媒との温度差が大きいほど高くなるので、本実施の形態1の電力半導体装置では、冷媒流路11に流す冷媒の圧力を高くして冷媒の流速を速くすることができるため、放熱フィン72から冷媒への熱伝達率が高まり、放熱フィン72のサイズを小さくしても十分な排熱性能が得られる。また、冷却器8の封止部がはんだ12によりはんだ接合されているため耐熱性が高く、半導体素子3を高温動作させることができるため、放熱フィン72と冷媒との温度差を大きくして、放熱フィン72から冷媒への熱伝達率をさらに高くすることができるため、冷却器を小型化することができる。
ヒートシンク7と冷却器8とは、共に半導体素子3が発生する熱を外部に排出して冷却するものであり、以下、ヒートシンク7と冷却器8とを合わせて冷却機構と呼ぶ。
なお、本発明において、磁性金属材料とは、はんだ12の融点以下の温度において強磁性体の金属材料を言い、鉄、ニッケル、コバルト単体あるいはこれらの元素を含む合金であって、磁石につく金属材料を言う。また、非磁性金属材料とは、常磁性体あるいは反磁性体の金属材料を言い、銅、アルミ、クロムなどの金属元素単体あるいはこれらの合金であって、磁石につかない金属材料を言う。また、磁性金属材料、非磁性金属材料ともに、金属材料であるから導電性を有し、10μΩm以下の電気抵抗率を有する。従って、例えば、酸化鉄を主成分とするフェライトはセラミックスであり絶縁物であるため、強磁性体であり金属元素を含んでいるものの、本発明で言う磁性金属材料ではない。
次に、本実施の形態1の電力半導体装置の製造方法について説明する。
本実施の形態1の電力半導体装置1は、半導体素子3を絶縁基板5に接合する工程と、絶縁基板5をヒートシンク7に接合してパワーモジュール2を作製する工程と、冷媒ジャケット9に磁性金属部10を設けて冷却器8を作製する工程と、冷却器8とヒートシンク7との間にはんだ12を設ける工程と、高周波誘導加熱装置で磁性金属部10を誘導加熱してはんだ12を溶融した後、溶融したはんだ12を凝固させてヒートシンク7と冷却器8とを接合し、冷却器8あるいは冷媒ジャケット9に設けられた開口部を封止する工程とを備えた製造方法により製造することができる。
図3は、本実施の形態1の電力半導体装置の製造方法を示す断面図である。また、図4は、本実施の形態1の電力半導体装置の製造方法を示す断面図および上面図である。さらに、図5は、本実施の形態1の電力半導体装置の製造方法を示す断面図である。図3は、半導体素子3と絶縁基板5とヒートシンク7とを接合してパワーモジュール2を製造する工程を示しており、図4は、冷却器8の磁性金属部10にはんだ11を設ける工程を示している。また、図5は磁性金属部10を誘導加熱してパワーモジュール2と冷却器8とをはんだ接合する工程を示している。図3(a)、(b)、(c)は図2における破線A−Bの位置での断面図であり、図4(a)および図5は図2における破線C−Dの位置での断面図である。また、図4(b)は図4(a)の上面図である。なお、図5では分かりやすくするために、半導体素子3、接合材4、絶縁基板5および接合材6も合わせて示した。
半導体素子3と絶縁基板5とヒートシンク7とは、接合材4および接合材6によって、同時あるいは別々に接合される。図3(a)は、半導体素子3と絶縁基板5とを接合する工程と、絶縁基板5とヒートシンク7とを接合する工程とを同時に行う製造方法を示したものであり、図3(b)は、半導体素子3と絶縁基板5とを接合する工程の後に、絶縁基板5とヒートシンク7とを接合する工程を行う製造方法を示したものである。なお、ヒートシンク7の絶縁基板5との接合面には、はんだ材6ではんだ接合する前に、はんだとの濡れ性が良く耐食性の良いニッケルめっき等のめっき膜を形成しておくのが良い。
図3(a)のように、半導体素子3と絶縁基板5とヒートシンク7とを同時に接合する場合には、ヒートシンク7上にペーストはんだや板はんだなどで構成された接合材6を配置し、接合材6の上に絶縁基板5の導電パターン53を配置し、さらに絶縁基板5の導電パターン52の上にペーストはんだや板はんだなどで構成された接合材4を配置し、接合材4の上に半導体素子3を配置する。そして、このようにそれぞれの部材を重ね合わせたものをリフロー炉などで同時に加熱し、接合材4および接合材6を溶融し、その後、冷却することで接合材4および接合材6を凝固させて、接合材4が半導体素子3と絶縁基板5とを接合し、接合材6が絶縁基板5とヒートシンク7とを接合して、図3(c)のように一体化される。以上のように、図3(a)に示す製造方法では、半導体素子3を絶縁基板5に接合する工程と、絶縁基板5をヒートシンク7に接合する工程とが同時に行われる。
一方、図3(b)のように、半導体素子3と絶縁基板5とを接合した後に、絶縁基板5とヒートシンク7とを接合する場合には、接合材6を溶融させた場合に、半導体素子3と絶縁基板5とを接合している接合材4が再溶融しないことが必要である。このため、接合材4に焼結銀を用いて、接合材6にはんだ材を用いてもよく、あるいは接合材4と接合材6とを共にはんだ材として、接合材6に接合材4よりも融点が低いはんだ材を用いてもよい。なお、焼結銀とは、ナノメートルサイズの銀ナノ粒子の反応性の高さを利用して銀の融点よりも低い温度で焼結させる接合材料であり、接合させるための焼結温度が、焼結後の融点よりも低いため、低温で部材を接合させた後、銀の融点以下であれば高温になっても部材の接合状態を維持できる接合材料である。
まず、図3(b)に示すように焼結銀やはんだ材からなる接合材4により、絶縁基板5の導電パターン52上に半導体素子3が接合される。次に、ヒートシンク7の上にペーストはんだや板はんだなどで構成された接合材6を配置し、接合材6の上に絶縁基板5の導電パターン53を配置する。そして、リフロー炉などで加熱し、接合材6を溶融し、その後、冷却することで接合材6を凝固させて、接合材6が絶縁基板5とヒートシンク7とを接合して、半導体素子3と絶縁基板5とヒートシンク7とが図3(c)のように一体化される。以上のように、図3(b)に示す製造方法では、半導体素子3を絶縁基板5に接合する工程の後に、絶縁基板5をヒートシンク7に接合する工程が行われる。
図3(a)の製造方法または図3(b)の製造方法により、図3(c)のように半導体素子3と絶縁基板5とヒートシンク7とが一体化された後、半導体素子3と絶縁基板5とを保護する樹脂モールドなどのケースを設けてパワーモジュール2が作製される。なお、ケースは位置決め用穴13がケースの外側になるように設けられる。
図4(a)、(b)は、冷媒ジャケット9に磁性金属部10を設ける工程と、冷却器8とヒートシンク7との間にはんだ12を設ける工程とを行う製造方法を示す図である。
まず、冷媒ジャケット9に磁性金属部10を設ける工程について説明する。図4(a)および図4(b)に示すように、冷媒ジャケット9は断面が凹形状で上方に開口部11aを有し、開口部11aと連通する冷媒流路11を内側に備えており、冷媒ジャケット9の開口部11aの周囲に磁性金属部10が設けられる。従って、冷媒ジャケット9に磁性金属部10を設けて構成した冷却器8も冷媒流路11に連通する開口部11aを有する。磁性金属部10は、磁性金属材料で形成された板材を加工して形成してよい。磁性金属部10は、磁性金属部10の一部の面10aを冷媒ジャケット9の外側に露出させて、溶接、ろう付け、あるいは、かしめなどの方法により冷媒ジャケット9の開口部11aの周囲に接合されて設けられる。磁性金属部10は、冷媒ジャケット9と磁性金属部10との間から冷媒が漏れないように液密に、冷媒ジャケット9に密着して設けられ、冷却器8が得られる。なお、冷媒流路11には、水などの流体である冷媒が流れるため、冷媒流路11の内壁を構成する部分、すなわち冷媒ジャケット9の内側と磁性金属部10の内側にはニッケルめっきなど耐食性が良いめっき膜を形成しておくことが好ましい。ニッケルめっき膜は冷媒ジャケット9の外側にも形成されていても構わないので、冷媒ジャケット9に磁性金属部10を接合した後に、全体をめっき液に浸漬させてニッケルめっき膜を形成してもよい。
なお、磁性金属部10は、上記の方法に限らず、めっき、あるいは溶射などの膜を形成する方法で、冷媒ジャケット9の開口部11aの周囲に直接形成してもよいが、磁性金属部10の厚さは0.1mm以上とすることが好ましい。磁性金属部10の厚さが0.1mm未満の場合には、磁性金属部10の厚さが薄いために電気抵抗が大き過ぎて、誘導加熱時の誘導電流が十分に磁性金属部10に流れないので、磁性金属部10を誘導加熱する効率が悪くなるためである。従って、例えば、はんだの濡れ性を良くする目的で形成するニッケルめっき膜は、膜厚がせいぜい数μmであるので、例え、形成したニッケルめっき膜が磁性を有する場合であっても、このような薄い膜では十分に誘導加熱を行うことができず、本発明の目的を達し得ない。すなわち、磁性金属部10は少なくとも0.1mm以上の厚さであり、50mm以下の厚さであることが好ましい。より好ましくは、1mm以上10mm以下である。磁性金属部10は、鉄などで形成されているので、アルミやアルミ合金で形成された冷媒ジャケット9よりも比重が大きいため、磁性金属部10の厚さが50mmを超えると電力半導体装置1が重くなるため好ましくない。また、磁性金属部10の厚さが50mmを超えると熱容量が大き過ぎて、誘導加熱時の磁性金属部10の温度制御の応答性が悪くなるため、ヒートシンク7の接合材6との接合部の温度が接合材6の融点近くまで上昇しないように制御することが困難になるので好ましくない。
冷媒ジャケット9に磁性金属部10を設けた後に、磁性金属部10の面10bに、はんだ12を配置する。磁性金属部10のはんだ接合される面10bには、予めはんだの濡れ性が良いニッケルめっき等のめっき膜を形成しておくのが良く、上述の冷媒による腐食を防止するためのめっき膜と同時に形成してもよい。はんだ12には、ペーストはんだや板はんだを使用してもよい。また、磁性金属部10の面10bにはんだ12を配置した後に加熱して、はんだ12を一旦溶融させて、その後、冷却してはんだ12を凝固させて、はんだ12を磁性金属部10の面10b上にプリフォームしてもよい。はんだ12を磁性金属部10の面10b上にプリフォームしておくと、磁性金属部10とはんだ12との間の熱伝導が良くなるので、磁性金属部10を誘導加熱してヒートシンク7とはんだ接合する場合の加熱時間を短くすることができる。
このように磁性金属部10の面10bにはんだ12を配置した後に、図3(c)で示したパワーモジュール2を、ヒートシンク7の位置決め用穴13と磁性金属部10および冷媒ジャケット9に設けた位置決め用穴14との位置を揃えて、磁性金属部10の上に配置する。これにより、冷却器8とパワーモジュール2のヒートシンク7との間に、はんだ12が設けられる。その後、位置決め用穴13と位置決め用穴14に固定ピンを挿入し仮止めする。
図5は、高周波誘導加熱装置で磁性金属部10を誘導加熱してはんだ12を溶融した後、溶融したはんだ12を凝固させてパワーモジュール2と冷却器8とを接合し、冷媒流路11に連通する開口部を封止する工程を行う製造方法を示す図である。
上記のように、冷却器8の磁性金属部10とパワーモジュール2のヒートシンク7とを、はんだ12を挟んで重ねて設け、位置決め用穴13と位置決め用穴14とに挿入した固定ピン15により仮止めした後、高周波誘導加熱装置16に配置し、高周波誘導加熱装置16のコイルに高周波電流を供給する。磁性金属部10の面10aおよび面10bの一部が、冷却器8の外側に露出しているので、高周波誘導加熱装置16のコイルが発生する高周波磁束は、他の非磁性金属材料に妨げられることなく磁性金属部10に到達し、磁性金属部10が誘導加熱され温度が上昇する。
電力半導体装置1は、ヒートシンク7と冷媒ジャケット9とが共にアルミやアルミ合金などの非磁性金属材料で形成されているため、磁性金属部10が冷却器8の外側に全く露出していないと、高周波誘導加熱装置16により発生した高周波磁束は、非磁性金属材料に到達した際に、電磁誘導により非磁性金属材料内に高周波磁束を打ち消す向きの誘導電流を発生させるため、磁性金属部10に高周波磁束が到達しなくなり、磁性金属部10は誘導加熱されなくなる。しかし、本発明の電力半導体装置1では、磁性金属部10の一部が冷却器8の外側に露出しているため、高周波誘導加熱装置16により発生した高周波磁束は磁性金属部10に到達し、磁性金属部10を誘導加熱することができる。
なお、高周波誘導加熱装置16のコイルは冷却器8の幅より、幅が大きい筒状コイルであって、図5に示すように、冷却器8の下方の一部が筒状コイルの上端より下方に位置するように設けられるのが好ましい。筒状コイルの上端と冷却器8の下端との距離が大きく離れていると、磁性金属部10を誘導加熱する効率が悪くなり、誘導加熱時の磁性金属部10とヒートシンク7の接合材6で絶縁基板5を接合した部分との温度差が小さくなり好ましくない。一方、筒状コイルの上端を磁性金属部10と水平な位置より上方に設けても、誘導加熱時の磁性金属部10とヒートシンク7の接合材6で絶縁基板5を接合した部分との温度差が小さくなり好ましくない。
なお、磁性金属部10は耐食性を得るために、磁性金属部10の表面に非磁性金属のめっき膜が形成されていてもよい。上述のように、はんだの濡れ性を良くしたり耐食性を良くしたりする目的で形成するめっき膜はせいぜい厚さが数μmであるから、電気抵抗が大き過ぎて、磁性金属部10の誘導加熱を妨げるような誘導電流が流れないので、高周波磁束は磁性金属部10の表面に形成されためっき膜に流れる誘導電流に打ち消されることなく、磁性金属部10の磁性金属材料部分に到達する。磁性金属材料は非磁性金属材料に比べ比透磁率が10倍以上大きいので、磁性金属材料内では磁束密度が大きく、電磁誘導により大きな誘導電流が流れ、誘導電流によるジュール熱により磁性金属部10が発熱する。
以上のように、磁性金属部10の表面に非磁性金属のめっき膜が形成されていても、磁性金属部10が誘導加熱されることを妨げないので、表面に形成された非磁性金属のめっき膜を含めて磁性金属部10と呼ぶ。すなわち、表面に非磁性金属のめっき膜が形成された磁性金属部10が電力半導体装置1の外側に露出している場合、厳密に言えば冷却器8の外側の空間と接しているのは非磁性金属と言えるが、上記のように表面の非磁性金属のめっき膜を含めて磁性金属部10と呼ぶので、このような場合であっても磁性金属部10が冷却器8の外側に露出していることを意味する。さらに、磁性金属部10が非磁性材料の絶縁物で表面を覆われている場合も、非磁性材料の絶縁物は高周波磁束に対して何ら影響せず、物理現象的には存在しないことと同じなので無視して考えてよい。ただし、磁性金属部10の表面を覆う絶縁物がフェライトコアなどの強磁性体である場合には、高周波磁束により磁性金属部10が誘導加熱されるのを妨げるため、磁性金属部10の電力半導体装置1の外側に露出した部分を強磁性体の絶縁物で覆うのは望ましくない。
一方、非磁性金属材料で形成された冷媒ジャケット9やヒートシンク7の表面に磁性のニッケルめっきが設けられている場合であっても、上述したように数μm程度の厚さのニッケルめっき膜は、抵抗が大きいためほとんど誘導加熱されないので、非磁性金属材料で形成されているとしてよい。
誘導加熱により直接加熱された磁性金属部10の熱は、熱伝導によりはんだ12に伝熱し、磁性金属部10の温度が上昇するに従ってはんだ12の温度も上昇する。なお、はんだ12を磁性金属部10の上で一旦溶融した後、凝固させてプリフォームした場合には、磁性金属部10とはんだ12とが密着しているため、磁性金属部10からはんだ12への熱伝導が良く、短時間にはんだ12の温度を上昇させることができるので好ましい。
磁性金属部10からはんだ12に伝熱した熱は、はんだ12と接しているヒートシンク7のフィンベース71にも伝熱され、フィンベース71の温度も上昇する。はんだ12の温度がはんだ12の融点以上まで上昇すると、はんだ12が溶融する。この結果、はんだ12とフィンベース71との密着性が向上し、はんだ12からフィンベース71への熱伝達率が高くなるので、フィンベース71のはんだ12と接する部分の温度が急速に上昇する。そして、フィンベース71のはんだ12と接する部分の温度が、はんだ12の融点以上になると、溶融したはんだ12がフィンベース71を濡らし、フィンベース71に拡散し、合金層を形成することではんだ接合が行われる。なお、この時点では合金層が形成されはんだ接合された状態ではあるものの、はんだ12は溶融した状態であり、ヒートシンク7と磁性金属部10とは固着されていない。
はんだ12がフィンベース71に拡散してはんだ接合が行われると、高周波誘導加熱装置16のコイルへの高周波電流の供給を停止する。すると、冷却ジャケット9の外側に露出した磁性金属部10の面10aに到達していた高周波磁束が無くなるので誘導加熱は停止され、磁性金属部10、はんだ12、および、フィンベース71の温度が低下する。はんだ12の温度が融点を下回ると、溶融したはんだ12が凝固して、冷却器8の磁性金属部10とパワーモジュール2のヒートシンク7とがはんだ12により接合され固着される。そして、固定ピン15を取り外し電力半導体装置1が完成する。
誘導加熱による磁性金属部10の加熱は、磁性金属部10自身が発熱源となる直接加熱であるので、加熱温度の制御性が極めてよい。また、フィンベース71のはんだ12によりはんだ接合される部分も、磁性金属部10からの距離が近いので加熱温度の制御性が良い。磁性金属部10、はんだ12、フィンベース71のはんだ12によりはんだ接合される部分の少なくともいずれか一つの温度を測定しながら高周波誘導加熱装置16のコイルへ供給する高周波電流を制御すると、ヒートシンク7の接合材6との接合部の温度が接合材6の融点以上にならないようにしながら、はんだ12によるはんだ接合を容易且つ確実に行うことができる。磁性金属部10、はんだ12、フィンベース71のはんだ12によりはんだ接合される部分の温度は、例えば、放射温度計などの非接触温度測定手段により測定してもよい。
なお、はんだ接合を行う毎に、はんだ12がフィンベース71を濡らし、フィンベース71に拡散し、合金層を形成したことを確認する必要はなく、予備試作などによる検討で予め高周波誘導加熱装置16のコイルに高周波電流を供給する時間や温度を決定しておき、はんだ接合を行う毎に、高周波電流をその決定した時間コイルに供給する、あるいはその決定した温度になるようにコイルに供給すればよい。
また、高周波誘導加熱装置16のコイルに供給する高周波電流は必ずしも開始および停止される必要はなく、例えば、ベルトコンベアなどの搬送装置の進行方向の所定の区間に高周波磁束を発生するコイルを設け、その区間を予め定めた時間で通過させることにより、誘導加熱が予め定めた時間行われるようにしてもよい。すなわち、搬送装置上にパワーモジュール2と冷却器8との間にはんだ12を設け固定ピン15で仮止めしたものを配置し、所定の区間を予め定めた時間で通過することにより、厳密に誘導加熱する時間が管理されて、はんだ接合を行うことができる。
高周波誘導加熱装置16により磁性金属部10を誘導加熱すると、フィンベース71のはんだ12と接する部分の温度を急速に上昇させて、局所的にはんだ12の融点以上の温度にすることができる。しかし、フィンベース71のはんだ12と接する部分がはんだ12の融点以上の温度になっても、磁性金属部10からはんだ12を介してフィンベース71に流入する熱量は限られるため、ヒートシンク7の絶縁基板5との接合部の温度をはんだの融点以下に抑えることができる。この結果、絶縁基板5とヒートシンク7とを接合する接合材6の温度が融点以上になるのを抑制し、また、当然ながら半導体素子3と絶縁基板5とを接合する接合材4の温度が融点以上になることも抑制することができる。従って、接合材4および接合材6が再溶融することが無いので、電力半導体装置1の信頼性を高く保つことができる。
また、高周波誘導加熱は、間接加熱ではなく、磁性金属部10を直接発熱させるため温度制御性が良く、必要以上にはんだ12およびその周囲の接合箇所の温度を上昇させないので、接合材4および接合材6を確実に再溶融させないようにすることができ、電力半導体装置1の信頼性を高めることができる。
さらに、冷却器8の開口部が、磁性金属部10とはんだ12との金属接合およびヒートシンク7とはんだ12との金属接合により封止されるため、耐圧性および耐熱性を高めることができる。
なお、本実施の形態では図1に示すように、磁性金属部10の面10aと面10bとが冷却器8の外側に露出している場合について説明したが、ヒートシンク7のフィンベース71の幅が冷媒ジャケット9の幅と同じであり、磁性金属部10の面10bが冷却器8の外側に露出していない場合であっても、高周波誘導加熱装置16が発生した高周波磁束は、冷却器8の外側に露出した磁性金属部10の面10aに到達して、磁性金属部10を誘導加熱することができる。従って、上記のように電力半導体装置1の磁性金属部10は少なくとも面10aが冷却器8の外側に露出していればよい。ただし、図1に示すように磁性金属部10の面10aと面10bとの両方が冷却器8の外側に露出している方が、磁性金属部10を誘導加熱する効率がよくなるので好ましい。
以上のように本実施の形態1によれば、パワーモジュール2内の接合材4および接合材6による接合部の信頼性が高く、且つ、冷却器8の封止部の耐圧性と耐熱性とが高い電力半導体装置を得ることができるといった効果が得られる。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2における電力半導体装置を示す断面図である。図6において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、磁性金属部10の一部が冷媒ジャケット9の外側に突出した構成が相違している。
図6に示すように、電力半導体装置1は、実施の形態1と同様、磁性金属部10が冷却器8の冷媒ジャケット9の開口部の周囲に設けられるが、磁性金属部10の一部が冷媒ジャケット9の側面9aよりも外側に突出している。磁性金属部10は、側面である面10aと下面である面10cの一部とが、電力半導体装置1の外側に露出している。また、ヒートシンク7のフィンベース71は、幅が冷媒ジャケット9の幅より広くなっており、フィンベース71と磁性金属部10とは、冷媒ジャケット9の側面9aから外側に突出した部分で、はんだ12により接合されている。
電力半導体装置1は、実施の形態1に記した製造方法により製造される。しかし、本実施の形態2の電力半導体装置1は、上記のように磁性金属部10の一部が、冷媒ジャケット9の側面9aよりも外側に突出しているので、高周波誘導加熱装置16のコイルが発生する高周波磁束が冷媒ジャケット9に妨げられることなく、磁性金属部10の面10aと面10c冷媒ジャケット9の側面9aよりも外側に突出した部分とに到達するので、この突出した部分を効率良く誘導加熱することができる。はんだ12は、この突出した部分の上に設けられるので、はんだ12をより短時間で溶融させて、ヒートシンク7とはんだ接合することができる。従って、パワーモジュール2内の接合材4および接合材6を再溶融させることがより一層無くなり、電力半導体装置1の信頼性をさらに高めることができる。
以上のように本実施の形態2によれば、パワーモジュール2内の接合材4および接合材6による接合部の信頼性がより高く、且つ、冷却器8の封止部の耐圧性と耐熱性とが高い電力半導体装置を得ることができるといった効果が得られる。
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3における電力半導体装置を示す断面図である。図7において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、磁性金属部10が冷媒ジャケット9の側面に設けられた構成が相違している。
図7に示すように、電力半導体装置1は、磁性金属部10が冷媒ジャケット9の側面9aに溶接、ろう付け、あるいは、かしめなどの方法により設けられ、冷媒ジャケット9と接合される面とはんだ接合される面10bとを除いた、側面である面10aと下面である面10cとが冷却器8の外側に露出している。磁性金属部10は、磁性金属部10のはんだ12が設けられる面10bと、冷媒ジャケット9の開口部を有する面9bとが、段差が無く同一平面となるように設けられる。磁性金属部10は、冷媒ジャケット9の側面9aとの間に隙間を設けず、液密に密着して設けられるのが好ましいが、図7に示すように、はんだ12が磁性金属部10と冷媒ジャケット9とに亘って設けられるため、必ずしも磁性金属部10と冷媒ジャケット9との間を液密に密着させなくてもよく、隙間がある場合には、隙間ははんだ12によって埋められる。
また、図7に示すように、本実施の形態3の電力半導体装置1は、磁性金属部10が冷媒流路11とははんだ12により隔てて設けられるため、冷媒流路11内に流れる水などの冷媒が磁性金属部10に触れることが無く、磁性金属部10の腐食を抑制することができる。
電力半導体装置1は、実施の形態1と同様の製造方法により製造される。しかし、本実施の形態3の電力半導体装置1は、はんだ12が磁性金属部10と冷却ジャケット9とに亘って設けられるため、誘導加熱ではんだ12を溶融してはんだ接合する際の現象が異なる。以下、異なる部分について説明する。
磁性金属部10および冷却ジャケット9のはんだ12が設けられる面には、はんだ12を配置する前に、はんだの濡れ性が良く耐食性の良いニッケルめっきなどのめっき膜が形成しておくのが良い。
冷却器8の、冷媒ジャケット9の開口部を有する面9bと、この面9bと同一平面に配置された磁性金属部10の面10bとに亘って、ペーストはんだや板はんだ等で構成されたはんだ12を配置する。はんだ12は、はんだ12を配置した後に、一旦加熱してはんだ12を溶融させ、冷却して凝固させることにより、はんだ12を冷媒ジャケット9の開口部を有する面9bと、この面9bと同一平面に配置された磁性金属部10の面10bとに亘って、プリフォームしてもよい。はんだ12をプリフォームしておくと、誘導加熱された磁性金属部10からはんだ12への熱伝導が良好になり、はんだ接合時間を短くできるので好ましい。
上記のように冷却器8の上にはんだ12を配置した後、はんだ12の上にパワーモジュール2のヒートシンク7を配置し、誘導加熱装置16が発生する高周波磁束で磁性金属部10を誘導加熱する。誘導加熱されて磁性金属部10の温度が上昇すると、磁性金属部10の熱が冷媒ジャケット9およびはんだ12に伝熱し、冷媒ジャケット9およびはんだ12の温度が上昇する。はんだ12の温度が融点以上になると、はんだ12は溶融する。はんだ12は磁性金属部10と接した部分から溶融し始め、冷媒ジャケット9と接する部分に向かって溶融が進展する。はんだ12がプリフォームされていない場合には、はんだ12の冷媒ジャケット9と接する部分が溶融し、冷媒ジャケット9の温度が磁性金属部10やはんだ12からの熱伝導によりはんだ12の融点以上になると、冷媒ジャケット9および磁性金属部10とはんだ12とが金属接合を形成する。
一方、ヒートシンク7のフィンベース71は、はんだ12と接する部分がはんだ12からの熱伝導によって温度が上昇し、はんだ12が溶融すると熱伝導が更に良くなり急速に温度上昇する。そして、フィンベース71のはんだ12と接する部分の温度がはんだ12の融点以上になると、フィンベース71とはんだ12とが金属接合を形成する。
フィンベース71とはんだ12とが金属接合を形成すると、高周波誘導加熱装置16による誘導加熱を停止する。はんだ12の温度が融点未満に低下すると、はんだ12は凝固し、磁性金属部10と冷媒ジャケット9とを有する冷却器8と、ヒートシンク7を有するパワーモジュール2とがはんだ12によりはんだ接合される。
本実施の形態3の電力半導体装置1は、磁性金属部10の側面である面10aと下面である面10cとが、冷却器8の外側に露出しているため、高周波誘導金装置16が発生する高周波磁束が冷媒ジャケット9およびヒートシンク7に妨げられることなく磁性金属部10に到達し、磁性金属部10を誘導加熱する。磁性金属部10は実施の形態1や実施の形態2の磁性金属部と比べサイズが小さくいため熱容量が小さく、誘導加熱による磁性金属部10の温度上昇を急速に行い、冷却器8とパワーモジュール2とのはんだ接合を短時間に行うことができる。この結果、パワーモジュール2内の接合材6と接合材4とが再溶融することが無くなり電力半導体装置の信頼性を高めることができる。また、冷却器8とパワーモジュール2のヒートシンク7とがはんだ接合されるので、冷却器8の封止部の耐圧性と耐熱性とが高い電力半導体装置を得ることができる。
実施の形態4.
図8は、本発明の実施の形態4における電力半導体装置を示す断面図である。図8において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、冷媒ジャケットがヒートシンクの役割を兼ねた構成が相違している。
図8に示すように、電力半導体装置1は、パワーモジュール2がヒートシンクの代わりに冷媒ジャケット9を用いて構成されている。冷媒ジャケット9は、ヒートシンクのフィンベースに相当するフィンベース71と、ヒートシンクの放熱フィンに相当する放熱フィン72とを備えており、さらにフィンベース71から直立し、放熱フィン72より長い側壁91と、側壁91で囲われた内側に冷媒流路11と、フィンベース71の反対側の側壁91の端部側に開口部とを備えている。このような形状はアルミやアルミ合金の直方体等を切削加工することでも形成できるが、ダイキャストにより形成することもできる。また、必ずしも一体として形成する必要はなく、放熱フィン72を有するヒートシンクに、ヒートシンクとは別に作製した側壁91を溶接、ろう付け、あるいは、かしめ等により接合して設けることで冷媒ジャケット9を構成してもよい。
なお、本実施の形態4では、冷媒ジャケット9がフィンベース71と側壁91とを備えているため、冷却器の代わりに冷却機構81を用いて説明する。冷却機構81は、上記実施の形態1〜3では冷却器8とヒートシンク7とを合わせてものである。
磁性金属部10は平板状の磁性金属材料で形成されており、冷媒ジャケットの側壁91の端面91aにはんだ12により接合されて、冷却機構81の底壁を構成している。冷媒ジャケット9の側壁91の端面91aと磁性金属部10との間は液密に密着して設けられており、冷媒ジャケット9は、側壁91の端面91aに磁性金属部10が接合されて封止される。磁性金属部10は、側面である面10aと下面である面10cとが冷却機構81の外側に露出されている。
電力半導体装置1は、実施の形態1と同様の方法により製造される。すなわち、冷媒ジャケット9のフィンベース71に、半導体素子3が接合材4で接合された絶縁基板5を接合材6で接合するまでの工程は同じであり、その後、はんだ12が配置された磁性金属部10を高周波誘導加熱装置16により誘導加熱して、はんだ12を溶融することで、側壁91の端面91aと磁性金属部10とがはんだ接合される。
実施の形態1で述べたように、磁性金属部10にはんだ12を配置する前に、磁性金属部10のはんだ接合される面と、側壁91の端面91aであるはんだ接合される面とには、ニッケルめっきなどはんだの濡れ性が良く耐食性の良いめっき膜を形成しておくのが良い。磁性金属部10の上面である面10bは、側壁91の端面91aとはんだ接合されると共に、冷媒流路11に露出するので、水などの冷媒による腐食を抑制するためにも、磁性金属部10の面10bの全面にニッケルめっきなどのめっき膜を形成しておくのが良い。
まず、磁性金属部10にペーストはんだや板はんだからなるはんだ12を配置する。なお、はんだ12は磁性金属部10にプリフォームしておくのが好ましい。磁性金属部10上にはんだ12を配置した後、はんだ12の上に側壁91の端面91aを接触させて配置し、磁性金属部10を高周波誘導加熱装置16により誘導加熱する。なお、高周波誘導加熱装置16のコイルは、冷却器8の底面であり冷却器8の外側に露出した磁性金属部10の面10cに対向するように配置された平板状のコイルであってもよい。
高周波誘導加熱装置16が発生する高周波磁束により磁性金属部10が誘導加熱されると、磁性金属部10の温度が上昇し、磁性金属部10の熱が熱伝導によりはんだ12に伝熱される。はんだ12の温度が上昇し、はんだ12の融点以上になるとはんだ12が溶融し、はんだ12から側壁91の端面91aへの熱伝導が促進され、側壁91の端面91aの温度が急速に上昇する。側壁91の端面91aの温度がはんだ12の融点以上になると、側壁91の端面91aとはんだ12とが金属結合を形成する。その後、高周波誘導加熱装置16による磁性金属部10の誘導加熱を停止すると、はんだ12の温度が低下し、はんだ12が凝固して、磁性金属部10と冷媒ジャケット9の側壁91の端面91aとがはんだ接合される。
以上のように、電力半導体装置1は、パワーモジュール2内の接合材6および接合材4から最も遠い位置である冷媒ジャケット9の側壁91の端面91aを、磁性金属部10とはんだ接合させて、冷媒流路11に連通する開口部の封止を行うので、はんだ12の溶融時に接合材6および接合材4の温度上昇を抑制し再溶融しないようにすることができる。
図9は、本発明の実施の形態4における他の電力半導体装置を示す断面図である。図9において、図8と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。図9の電力半導体装置は、図8の電力半導体装置とは、放熱フィン72と側壁91とが同じ長さである点が相違する。
図9に示すように、電力半導体装置1は、冷媒ジャケット9のフィンベース71に直立して設けられた放熱フィン72と側壁91とが同じ長さであり、放熱フィン72の端面72aと側壁91の端面91aとが同一平面内に位置する。放熱フィン72の端面72aおよび側壁91の端面91aと磁性金属部10の上面である面10bとは、それぞれはんだ12により接合されている。はんだ12による接合方法は、上述の図8に示す電力半導体装置の場合と同様である。図9に示す電力半導体装置1の場合は、放熱フィン72の端面72aにも、はんだ接合前にニッケルめっき等のはんだの濡れ性が良く耐食性の良いめっき膜を形成しておくのが良く、また磁性金属部10の放熱フィン72の端面72aとはんだ接合される位置に、はんだ12を配置し、プリフォームしておくのが良い。
図9に示す電力半導体装置1は、冷媒流路11に連通する開口部を封止するためのはんだ接合が、パワーモジュール2内の接合材6および接合材4から最も遠い位置で行われるため、はんだ12を溶融する際に、接合材6および接合材4の温度上昇を抑制し再溶融しないようにすることができる。また、磁性金属部10が、側壁91の端面91aと放熱フィン72の端面72aとの両方とはんだ接合されるため、はんだ接合される面積が大きくなり、封止部の耐圧性をさらに高めることができる。
以上のように、本実施の形態4の電力半導体装置によれば、半導体素子3が接合材4により接合された絶縁基板5を接合材6で接合したフィンベース71から最も遠い位置で、磁性金属部10を誘導加熱して、磁性金属部10の発熱によりはんだ12を溶融してはんだ接合することで、冷却機構81の冷媒流路11に連通する開口部を封止しているので、開口部を封止する際に接合材4および接合材6の温度上昇を抑制することができるので、信頼性が高く、耐圧性および耐熱性に優れた冷却器を備えた電力半導体装置が得られるといった効果を奏する。
実施の形態5.
図10は本発明の実施の形態5の電力半導体装置および電力半導体装置の製造方法を示す断面図である。図10(a)は電力半導体装置の製造方法を示す図であり、図10(b)は図10(a)の製造方法により製造される電力半導体装置を示す図である。図10において、図1と同じ符号を付けたものは、同一または対応する構成を示しており、その説明を省略する。本発明の実施の形態1とは、磁性金属部が冷媒ジャケットに一体化されておらず、電力半導体装置1を製造した後に磁性金属部を取り外す構成が相違している。
まず、図10(a)を用いて電力半導体装置1の製造方法について説明する。電力半導体装置1のパワーモジュール2は実施の形態1で説明した製造方法により作製される。すなわち、接合材4で半導体素子3が接合された絶縁基板5を接合材6でヒートシンク7のフィンベース71に接合してパワーモジュール2が作製される。
冷媒ジャケット9の周囲には、磁性金属部10が冷媒ジャケット9に接触して設けられる。従って、本実施の形態5では、冷却器8と冷媒ジャケット9とは同一のものである。冷媒ジャケット9と磁性金属部10とは一体に接合されておらず分離可能であり、環状の磁性金属部10の内側に冷媒ジャケット9が挿入されることで、冷媒ジャケット9の周囲には磁性金属部10が接触して設けられる。また、ヒートシンク7のフィンベース71とはんだ接合される冷媒ジャケット9の端面9bには、ペーストはんだや板はんだ等のはんだ12が配置される。冷媒ジャケット9の端面9bにははんだ12を配置する前に、ニッケルめっきなどはんだの濡れ性が良く耐食性が良いめっき膜を形成しておくのが良い。また、はんだ12は冷媒ジャケット9の端面9bに配置した後、一旦溶融させた後凝固させてプリフォームしておくのが好ましい。なお、はんだ12は、冷媒ジャケット9の周囲に磁性金属部10を設ける前に端面9bに配置してもよく、冷媒ジャケット9の周囲に磁性金属部10を設けた後に端面9bに配置してもよい。
冷媒ジャケット9の端面9bにはんだ12を配置し、周囲に磁性金属部10を設けた後に、端面9bのはんだ12の上にパワーモジュール2のヒートシンク7をはんだ12と接触させて配置する。これにより冷却器8の冷媒ジャケット9とパワーモジュール2のヒートシンク7との間にはんだ12が設けられる。なお、ヒートシンク7のフィンベース71とはんだ12と接触させる部分には、ニッケルめっきなどのはんだの濡れ性が良く耐食性の良いめっき膜を形成しておくのが良い。
次に、高周波誘導加熱装置16により高周波磁束を発生させて、磁性金属部10を誘導加熱する。環状の磁性金属部10は、外周面10aが冷却器8の外側に露出しているので、高周波誘導加熱装置16が発生した高周波磁束は、非磁性金属で形成された冷媒ジャケット9やヒートシンク7に妨げられることなく、効率良く磁性金属部10を誘導加熱する。磁性金属部10が誘導加熱されると、磁性金属部10の温度が上昇し、磁性金属部10から冷媒ジャケット9に伝熱し、冷媒ジャケット9の温度が上昇する。
磁性金属部10が誘導加熱されると、磁性金属部10は熱膨張するが、冷媒ジャケット9は、鉄などの磁性金属材料から成る磁性金属部10よりも熱膨張率が大きいアルミやアルミ合金で形成されているため、冷媒ジャケット9の方が磁性金属部10よりも温度上昇が小さくても同等以上に熱膨張し、冷媒ジャケット9と磁性金属部10との接触は保持される。
冷媒ジャケット9の温度が上昇し、冷媒ジャケット9の端面9bの温度がはんだ12の融点以上になると、はんだ12が溶融する。はんだ12が溶融すると、はんだ12とヒートシンク7のフィンベース71との密着性が高まり、はんだ12からフィンベース71への熱伝達率が高まるので、フィンベース71のはんだ12と接する部分の温度が急速に上昇する。フィンベース71のはんだ12と接する部分の温度が、はんだ12の融点以上になると、はんだ12とフィンベース71とが合金層を形成する。その後、高周波誘導加熱装置16による高周波磁束の発生を停止し、磁性金属部10の誘導加熱を停止することで、はんだ12の温度が融点未満に低下し、はんだ12が凝固することで、冷媒ジャケット9とヒートシンク7とがはんだ12により接合される。この結果、冷媒ジャケット9の開口部がはんだ12で接合されたヒートシンク7のフィンベース71により液密に封止される。
高周波誘導加熱装置16による誘導加熱を停止して、磁性金属部10および冷媒ジャケット9の温度が低下した後に、冷媒ジャケット9の周囲に設けた磁性金属部10を取り外し、図10(b)に示すように電力半導体装置1を得ることができる。電力半導体装置1は冷媒ジャケット9に磁性金属部10を接合した実施の形態1の電力半導体装置に比べ、磁性金属部10を有しないため軽量化が可能であり、また、冷媒ジャケット9に磁性金属部10を溶接やろう付などにより接合する工程を省くことができるので、電力半導体装置1の製造コストを低減できるといった効果が得られる。
一方、本実施の形態5の電力半導体装置の製造方法は、はんだ12が磁性金属部10の上には配置されておらず、冷媒ジャケット9の上に配置されているために、誘導加熱により磁性金属部10で発熱した熱は、磁性金属部10から冷媒ジャケット9に伝熱し、冷媒ジャケット9からはんだ12に伝熱するため、実施の形態1〜4の電力半導体装置の製造方法と比較すると、はんだ12の温度上昇に時間がかかり温度制御の応答性が遅い。実施の形態1〜4の電力半導体装置1では、磁性金属部10の上にはんだ12が配置されているために、磁性金属部10からはんだ12に直接伝熱するので、はんだ12の温度上昇を短時間で行え、はんだ12およびはんだ12の周辺部の温度制御の応答性が速く、はんだ12やフィンベース71のはんだ12が接合される部分の温度制御を高精度に行える。従って、半導体素子3が搭載された絶縁基板5とヒートシンク7とを接合する接合材6の温度を融点以上に上昇させずに、高い信頼性を得るためには、実施の形態1〜4に示した製造方法により電力半導体装置1を製造するのが良い。一方、本実施の形態5の電力半導体装置の製造方法は、冷媒ジャケット9に磁性金属部10を溶接やろう付などにより接合する工程を省くことができるので、電力半導体装置1の製造コストを低減できる。従って、より安価に電力半導体装置1を得るには、本実施の形態5に示した製造方法により電力半導体装置1を製造してもよい。
1 電力半導体装置
2 パワーモジュール
3 半導体素子
4 接合材
5 絶縁基板
6 接合材
7 ヒートシンク、71 フィンベース、72 放熱フィン
8 冷却器
9 冷媒ジャケット
10 磁性金属部
11 冷媒流路
12 はんだ

Claims (9)

  1. 非磁性金属材料から成るヒートシンクの上面と、一方の面上に半導体素子が設けられた基板の他方の面とを接合材によって接合する工程と、
    側壁で囲まれた開口部を有し断面が凹状を呈する冷媒ジャケットの前記側壁の開口部側に設けられた磁性金属部上にはんだを形成する工程と、
    前記ヒートシンクの下面を前記はんだに接触させつつ、前記磁性金属部を高周波誘導加熱して発生した熱により前記はんだを溶融せしめて前記ヒートシンクと前記冷媒ジャケットとをはんだ接合する工程と、
    を備える電力半導体装置の製造方法。
  2. 前記磁性金属部は、前記側壁の上端部に設けられる請求項1に記載の電力半導体装置の製造方法。
  3. 前記磁性金属部は、前記側壁の側周部に設けられる請求項1に記載の電力半導体装置の製造方法。
  4. 一方の面上に半導体素子が設けられた基板の他方の面と、側壁で囲まれた開口部を有し断面が凹状を呈する非磁性金属材料から成る冷媒ジャケットの前記開口部とは反対側の面とを接合材によって接合する工程と、
    前記側壁の開口部側の端部に接合される磁性金属材料から成る金属板の前記端部との接合領域にはんだを形成する工程と、
    前記端部を前記はんだに接触させつつ、前記金属板を高周波誘導加熱して発生した熱により前記はんだを溶融せしめて前記金属板と前記冷媒ジャケットとをはんだ接合する工程と、
    を備える電力半導体装置の製造方法。
  5. 非磁性金属材料から成るヒートシンクの上面と、一方の面上に半導体素子が設けられた基板の他方の面とを接合材によって接合する工程と、
    側壁で囲まれた開口部を有し断面が凹状を呈する冷媒ジャケットの前記側壁の開口部側上端部にはんだを形成する工程と、
    前記ヒートシンクの下面を前記はんだに接触させつつ、前記側壁に沿って配置された磁性金属部を高周波誘導加熱して発生した熱により前記はんだを溶融せしめて前記ヒートシンクと前記冷媒ジャケットとをはんだ接合する工程と、
    を備える電力半導体装置の製造方法。
  6. 側壁で囲まれた開口部を有し断面が凹状を呈する冷媒ジャケットと、
    前記側壁の開口部側に設けられた磁性金属部と、
    前記磁性金属部上にはんだで接合された非磁性材料から成るヒートシンクと、
    前記ヒートシンク上に接合され、半導体素子が載置された基板と、
    を備える電力半導体装置。
  7. 前記磁性金属部は、前記側壁の上端部に設けられた請求項6に記載の電力半導体装置。
  8. 前記磁性金属部は、前記側壁の側周部に設けられた請求項6に記載の電力半導体装置。
  9. 磁性金属材料から成る金属板と、
    前記金属板の上面に開口部を囲む側壁の端部がはんだで接合された断面が凹状を呈する非磁性金属材料から成る冷媒ジャケットと、
    前記冷媒ジャケットの前記開口部とは反対側の面に接合され、半導体素子が載置された基板と、
    を備える電力半導体装置。
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