好ましい信号エレメントは、コンポーネントの接続方向へ一定程度の長さの延出部を有している。同方向へ伸びるシールドエレメントの延出部の、対応する信号エレメントが配される電気コネクタのコンポーネントの接続方向の長さは、対応する任意の信号エレメントの延出部の長さの少なくとも25%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは100%以上である。これにより、各信号エレメントはシールドエレメントによって十分に遮蔽される。ある1つの信号エレメントについて、当該1つの信号エレメントに最も近い他の信号エレメントとの間の距離よりも、当該1つの信号エレメントとシールドエレメントとの間の距離が近いようなシールドエレメントの全てを、当該信号エレメントに対応するシールドエレメントとする。
いくつかの或いは全ての信号エレメントまたはそれらに対応するエレメントはピンであってもよく、好ましくは電気コネクタに一般的に使用される筒状ピンである。いくつかの或いは全ての信号エレメント、それらに対応するエレメント、シールドエレメント、またはそれらにエレメントは、バネ付ピンでもよい。バネ付ピンは、例えばDE19945176B4に開示されている。いくつかの或いは全ての信号エレメント、それらに対応するエレメント、シールドエレメント、またはそれらに対応するエレメントは、例えばDE19945176B4に開示されるバネ付ピンと相互に接続されるフラットコンタクトパッドでもよい。いくつかの或いは全ての信号エレメント、それらに対応するエレメント、シールドエレメント、またはそれらに対応するエレメントは、例えばODU GmbH & Co KG社からSTAMPTAC(登録商標)という商品名で提供されているようなシートメタルを打ち抜いて作成したコンタクトでもよい。いくつかの或いは全ての信号エレメント、それらに対応するエレメント、シールドエレメント、またはそれらに対応するエレメントは、コンタクトスリーブ、好ましくは筒状のコンタクトスリーブであってもよい。コンタクトスリーブは、コンタクトエレメントとして、1以上のワイヤスプリングを有していてもよい。ワイヤスプリングは、例えば、DE4227007A1に開示されているもの、或いはODU GmbH & Co KG社からSPRINGTAC(登録商標)という商品名で提供されているものである。ワイヤスプリングは、ピンなどの対応するコンタクトエレメントと弾性的に接触し、電気的な接続を確立する。コンタクトスリーブは、コンタクトエレメントとして、ラメラバスケット(lamella basket)を有していてもよい。ラメラバスケットはDE8716204UまたはEP2209167B1に開示されているもの、或いはODU GmbH & Co KG社からLAMTAC(登録商標)という商品名で提供されているものである。ラメラバスケットを有するコンタクトスリーブでは、ラメラバスケットの1以上のラメラがピンなどの対応するコンタクトエレメントと弾性的に接触し、電気的な接続を確立する。コンタクトスリーブは、例えばODU GmbH & Co KG社からTURNTAC(登録商標)という商品名で提供される差込みスリーブであってもよい。これによると、スロット間のスリーブの部分が、ピンなど対応するコンタクトエレメントに弾性的に接触し、電気的な接続を確立する。典型的には、いくつかの或いは全てのピンまたはスリーブは互いに並行に伸びている。
コンポーネントは、好ましくは電気コネクタ用のプラグまたはソケットである。本発明の実施態様の文脈において、プラグは電気コネクタのコンポーネントであり、電気コネクタのソケットに接続され、1以上の信号を伝送する。しかしながら、本発明の一態様のコンポーネントは、電気コネクタのプラグおよびソケットを両方有するものであっても良い。すなわち、コンポーネント自身が、カウンターコンポーネントでもあってもよい。ある実施の形態によれば、信号エレメントはプラグに配され、シールドエレメントはソケットに配されるか、その反対にシールドエレメントがプラグに配され、信号エレメントはソケットに配される。また別の実施の形態によれば、1以上の信号エレメントはプラグに配され、残りの信号エレメントはソケットに配される。代わりにあるいは追加的に、シールドエレメント領域の1以上のシールドエレメントはプラグに配され、残りのシールドエレメントはソケットに配される。好ましくは、シールドエレメントは、各々、電気コネクタのプラグの一部かソケットの一部のいずれかを構成する。しかし、本発明のある実施の形態においては、あるシールドエレメントの一部分は電気コネクタのプラグを構成し、別の部分は電気コネクタのソケットを構成するものであってもよい。例えば、2つの部分を結合すると、延出部は、対応する信号エレメントが配される電気コネクタのコンポーネントの接続方向に、その対応する全信号エレメントの各々の延出部の長さに対して、少なくとも25%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは100%以上、の長さを有する。
好ましくは、コンポーネントにおいて、シールドエレメントの数は信号エレメントの数の3倍未満である。より好ましくは、シールドエレメントの数は信号エレメントの数の2.5倍以下、更に好ましくは2倍以下である。本発明の特に好ましい実施の形態においては、コンポーネントにおいて、シールドエレメントの数は信号エレメントの数の2倍未満である。しかし、シールドエレメントの数は信号エレメントの数より多いのが好ましい。これにより、信号エレメントを良好に遮蔽できる。
好適なコンポーネントの例ではシールドエレメントのみからなる列、好ましくは、直線状の列と、信号エレメントのみからなる列、好ましくは、直線状の列と、を交互に有する。シールドエレメントの列数の方が、信号エレメントの列数より、1列多いのが好ましい。例えば、4列のシールドエレメントが、3列の信号エレメントによって区切られているのがよい。1列に配されるシールドエレメントの数は、隣接する1列に配される信号エレメントの数より1個多いのが好ましい。信号エレメントの列はどの列にも同数のエレメントが配されるのが好ましい。同様に、シールドエレメントもどの列にも同数のエレメントが配されるのが好ましい。例えば、シールドエレメントの列は1列当り5個のシールドエレメントを有し、信号エレメントの列は1列当り4個の信号エレメントを有する。
好ましくは、各信号エレメントに対して、3個以上、より好ましくは4個以上のシールドエレメントが、信号エレメント領域内の他の信号エレメントよりも当該信号エレメントに近く配される。1つの信号エレメント当りのシールドエレメントが多数あると、特に良好な遮蔽が可能となる。
本発明の好ましい実施の形態によれば、各信号エレメントに対して、その信号エレメントを中心として、120度、好ましくは100度、更に好ましくは90度を超える中心角を有する円弧上に、少なくとも1つのシールドエレメントを、信号エレメント領域内の他の信号エレメントよりも当該信号エレメントに近くなるように配する。シールドエレメントは、対応する信号エレメントの周りに、信号エレメントから等距離に分散して配置するのが好ましい。シールドエレメント同士は、充分に離して分散配置する。これにより、より良い遮蔽が得られる。
好ましくは、各信号エレメントに対して、信号エレメント領域内の他の信号エレメントよりも当該信号エレメントの近くに位置するシールドエレメントは、各々、当該信号エレメントからみて100度未満、好ましくは60度未満、より好ましくは30度未満、更に好ましくは20度未満の範囲を占める。このようにすることで、構造を単純にし、コネクタエレメントおよびコネクタ全体の製造コストを下げることができる。また、コネクタの構造を、接続しやすく、着脱回数が多くても耐えられるようなものにすることもできる。
また、コンポーネントは導電性エレメントを更に有してもよい。好ましくは、導電性エレメントは、本発明の一態様に係る導電性の信号エレメント(12)領域または導電性のシールドエレメント(12)領域の一部をなし、その量は、全導電性エレメントの少なくとも50%であり、75%を超えるのが好ましく、90%を超えるのがより好ましく、すべて(100%)であるのが最も好ましい。このようなコンポーネントは、本発明の実施態様の利点を特によく活かすことができる。更に、コンポーネントは流体導電性エレメントなどの他のエレメントを有してもよい。
本発明の好ましい実施の形態によれば、少なくとも1つの信号エレメントとそれに対応するシールドエレメント、好ましくは全信号エレメントとそれに対応するシールドエレメントは、25Ω、より好ましくは35Ωを超える波動インピーダンス(wave impedance)を有するように設計、配置される。少なくとも1つの信号エレメントとそれに対応するシールドエレメント、好ましくは全信号エレメントとそれに対応するシールドエレメントは、150Ω未満、より好ましくは130Ω未満の波動インピーダンスを有するように設計、配置される。本発明のある実施の形態によれば、少なくとも1つの信号エレメントとそれに対応するシールドエレメント、好ましくは全信号エレメントとそれに対応するシールドエレメントは、37Ω〜63Ω、好ましくは45Ω〜55Ωの波動インピーダンスを有するように設計、配置される。本発明のある実施の形態によれば、少なくとも1つの信号エレメントとそれに対応するシールドエレメント、好ましくは全信号エレメントとそれに対応するシールドエレメントは、56Ω〜94Ω、好ましくは67Ω〜83Ωの波動インピーダンスを有するように設計、配置される。本発明のある実施の形態によれば、少なくとも1つの信号エレメントとそれに対応するシールドエレメント、好ましくは全信号エレメントとそれに対応するシールドエレメントは、75Ω〜125Ω、好ましくは90Ω〜110Ωの波動インピーダンス有するように設計、配置される。
信号エレメントと対応するシールドエレメントとの間の距離は、0.5mmを超えるのが好ましく、1mmを超えるのがより好ましい。信号エレメントと対応するシールドエレメントとの間の距離は、5mm未満であるのが好ましく、3mm未満であるのがより好ましい。隣接するシールドエレメント同士の間の距離は、1mmを超えるのが好ましく、2mmを超えるのがより好ましい。隣接するシールドエレメント同士の間の距離は、8mm未満が好ましく、4mm未満であるのがより好ましい。同様に、隣接する信号エレメント同士の間の距離は、1mmを超えるのが好ましく、2mmを超えるのがより好ましい。隣接する信号エレメント同士の間の距離は、8mm未満が好ましく、4mm未満であるのがより好ましい。
本発明の実施態様に係る好ましいコンポーネントにおいて、信号エレメントおよび/またはシールドエレメントは、例えば中実または中空の筒状ピンである。
本実施の態様の好ましいコンポーネントは、10MHzを超える周波数、好ましくは50MHzを超える周波数、より好ましくは100MHzを超える周波数の電気信号の伝送に適用される。このような周波数を有する信号は、本発明の実施態様に係るシールドによって生じる効果を特に充分に受けることができる。また、本実施の態様の好ましいコンポーネントは、1500MHz未満の周波数、好ましくは1000MHz未満の周波数、より好ましくは500MHz未満の周波数の電気信号の伝送に適用される。本発明の態様に係るシールドは、これらの周波数より低い信号に対して特に有効である。
プラグおよびソケットを有する電気コネクタであって、そのプラグおよび/またはソケットが本発明の一態様に係るものである電気コネクタによっても、本発明の目的が達成される。好ましい電気コネクタでは、少なくともプラグとソケットのいずれかがカウンターエレメントを有し、カウンターエレメントが信号エレメントと接続、好ましくは接触して信号伝送を行う。この際、バネにより付勢することで、確実に接触させるのが好ましい。
更に、少なくとも1つのシールドエレメントに対し、そこに接続、好ましくは接触するカウンターエレメントが設けられる。本実施の形態により得られる利点の一つは、カウンターエレメントと接触することにより、シールドエレメントがグランド電位となる(接地される)点である。各信号エレメントに対して、カウンターエレメントと接するグランドエレメントを少なくとも1つ配するのが好ましい。この場合、他のシールドエレメントはシールドエレメント同士を電気的に相互接続することにより接地される。更に、電気コネクタは、プラグおよび/またはソケットがハウシングを有し、1以上のシールドエレメントがハウジングに電気的に接続されているのが好ましい。本発明の一態様に係るソケットは、接地されているハウジング内に備えることができ、その場合、シールドエレメントはハウジングに接触することで同時に接地されることになる。プラグは、ハンドヘルド装置など、それ自体は接地されていない装置の一部でよく、その場合、プラグのシールドエレメントをソケットのシールドに接触させて、接地させる必要がある。当然ながら、プラグとソケットの役割を逆にすることも出来る。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
[発明の好適な実施形態の詳細な説明]
図中、本発明の種々の実施形態において、同一または互いに対応する部分には、同一の符号を付してある。図1は、本発明の一実施態様に係るプラグにおける筒状コンタクトピンの配置を示す図であり、コンタクトピンをその延伸方向から垂直に見た図である。すなわち、図1にはピンの端部が示されている。本発明の一実施形態に係るソケット内のスリーブにも、同様の配置が為されている。以下の記載においてピンに言及した場合には、ソケット内のスリーブについても適用できるものとする。
プラグはRF(radio-frequency)信号を伝送する。こうした信号は遮蔽される必要がある。そのために、シールドエレメントとして、20本のグランドピン10を5本ずつ4列に配置する。「グランドピン」の語は、動作中、ピンがグランド電位となり得る(接地され得る)ことを示す。ここで、第1列の第1グランドピンを10−1−1とし、第1列の第2グランドピンを10−1−2とする。同様に、第2列の第1ピンを10−2−1、等とする。グランドピン10の間に、信号エレメントとして信号伝送ピンを配置する。信号伝送ピン12は、各グランドピン10の群と群との間にそれぞれ配置される。その結果、グランドピンの列より信号送信ピン12の列の方が1列少なくなる。すなわち、信号伝送ピンは3列に配される。1列当りの信号伝送ピン12の数は、1列当りのグランドピンの数より1本少ない。すなわち、1列につき4本の信号伝送ピン12が配置される。ここで、信号伝送ピンには、グランドピンと同じ要領で符号を付す。ハウジング14は配置されたピン全体を囲み、接地される。グランドピン10はハウジング14(図示しない)に接続されていてもよい。
信号伝送ピン12がグランドピンの内側に配置されているため、各信号伝送ピン12は、いくつかのグランドピンに囲まれていることになる。信号伝送ピン12−3−1と12−3−2の組に注目すると、2本のグランドピン10−3−2および10−4−2が共に、ピン12−3−1を介して伝送される信号とピン12−3−2を介して伝送される信号とを遮蔽している。信号伝送ピン12−3−1とグランドピン10−3−2との間の距離d1は、2本の信号伝送ピン12−3−1と12−3−2との間の距離d3より短い。同様に、信号伝送ピン12−3−2とグランドピン10−3−2との間の距離d2は、d3より短い。好ましい実施の形態において、信号伝送ピン(例えば12−3−1)は、4本のグランドピン(10−3−1、10−3−2、10−4−1、10−4−2)の中央にあり、d1=d2となる。4本のグランドピンは、一辺の長さがd3の正方形の頂点に位置することとなる。本実施の形態において、d3は2.95mmである。これらの4本のグランドピンが信号伝送ピンを取り囲んで遮蔽する。
第2列の信号伝送ピン12−2−4について図示するように、角度αだけ離れてグランドピン10−2−5および10−3−5があり、角度αは180度未満であり、好ましくは120度未満である。同じことが、信号伝送ピンまわりの角度αのどの弧にも当てはまる。すなわち、この扇形をピン12−2−4の中心を軸に回転させてもよい。同じことが全ての信号伝送ピン12に当てはまる。更に、各信号伝送ピン12について、各シールドピン10が信号伝送ピン12からみて角度βの範囲に広がっている。角度βは20度未満である。
本実施の形態の一例はプラグであり、全てのピン10、12は銅製である。ピンが配置される絶縁体16は、例えばPBT Ultradur B4450等の樹脂製品から出来ており、その比誘電率は3.9、誘電正接(dielectric loss tangent)は0.0137、バルク電気伝導率は1.75×10-16ジーメンス/メートルである。1つ或いは隣接する2つの電気コンタクト12とシールド10の波動インピーダンス(wave impedance)は、49.5Ωと50.5Ωとの間であり、50Ωに近いほど良い。
一例として、図1に示すようなプラグやソケットは、医療分野における医用撮像装置や放射線装置に適用できる。例えば、異なる磁気共鳴コイル(MRコイル)など、いくつかの撮像機器を、ある特定のベース装置に接続したい場合がある。通常、MRコイルは使用時に手に持つことができる(handheld)。各MRコイルは1台の同じベース装置に接続され得る。ベース装置は、図1に示す配置を有するソケットを備え、ソケットのシールドピンはベース装置のハウジングを介して接地される。各MRコイルは図1に示す配置を有するプラグを備える。MRコイルは使用時の可搬性(handheld)のため、プラグのシールドピンはベース装置のハウジングを介して接地される。この配置によって、プラグをソケットから素早く切り離し取り外すことができ、同じ装置に別のエレメントを素早く接続することができる。また、この配置により、コンポーネントが多数回にわたる着脱に耐えられるようになる。
図2(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るプラグの別の例を示す。図2(a)〜(c)から分かるように、信号伝送ピン12およびグランドピン10の配置は図1に示す配置と似ているが、グランドピン10は3列だけであり、それらが2列の信号伝送ピン12によって区切られている。グランドピン10の総数は15本、信号伝送ピン12の総数は8本である。図2(b),(c)から分かるように、全てピンは筒状のピンであり、長さはどれも同じである。ピンは並行に配置され、絶縁体16を突き抜け、絶縁体16にしっかりと固定されている。各ピンの両端は、絶縁体16の両側へ突出している。
ピンの一方の端部20はプリント回路基板(図示せず)、好ましくはフレキシブルプリント回路基板或いはセミフレキシブルプリント回路基板、の配線に接続され、通常ははんだ付けされる。基板の配線によって全グランドピン10が互いに接続されるので、プラグが使用されるときに全グランドピン10は確実に同じ電位となる。典型的には、ケーブルのリード線を基板の配線にはんだ付けすることによって、基盤配線は、プラグに接続されるケーブルのリード線をグランドピン10および信号ピン12に接続してもよい。ピンの他方の端部22は、プラグに対応するソケットのスリーブに導入できるように配置され、ピンとスリーブとの間に電気的接続を確立する。
図3(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るプラグの更に別の例を示す。信号伝送ピン12およびグランドピン10の配置は図2(a)〜(c)のプラグと同じである。すなわち、3列のグランドピン10が2列の信号伝送ピン12によって区切られている。図3(b)および(c)に最も分かりやすく示されているが、全てのピンは筒状のピンである。ピンは並行に配置され、絶縁体16を突き抜け、絶縁体16にしっかりと固定されている。各ピンの両端は、絶縁体16の両側へ突出している。
図2(a)〜(c)に示すプラグと同様に、ピンの一方の端部20はプリント回路基板(図示せず)、好ましくはフレキシブルプリント回路基板或いはセミフレキシブルプリント回路基板、の配線に接続され、典型的にははんだ付けされる。基板の配線によって全グランドピン10が互いに接続されるので、プラグが使用されるときに全グランドピン10は確実に同じ電位となる。また、典型的には、プラグに接続されたケーブルのリード線を基板の配線にはんだ付けすることによって、基盤配線は、グランドピン10および信号ピン12をケーブルのリード線に接続してもよい。ピンの他方の端部は、プラグに対応するソケットのスリーブに導入できるように配置される。しかし、図2(a)〜(c)に示すプラグとは違い、図3(a)〜(c)に示すプラグではピンの長さが異なる。外側の2列のグランドピン24は、他のピン22より短い。長いピン22は、ソケットのスリーブとの間に電気的接続を確立するのに適した長さを有する。一方、短いピン24は対応するスリーブ24′に接触せず、回路基板の配線を介して他の長いグランドピンに接続されることで、接地される。
図3(a)〜(c)に示すプラグと接続可能な、本発明の一実施形態に係るソケットの例を図4(a)〜(c)に示す。信号エレメントとしての信号伝送スリーブ12′およびシールドエレメントとしてのグランドスリーブ10′の配置は、図3(a)〜(c)に示したピンの配置に対応している。すなわち、3列のグランドスリーブ10′が2列の信号伝送スリーブ12′によって区切られている。図4(b)および(c)に最も分かりやすく示されているが、全てのスリーブは上側の開口中空部と下側の中実部26とを有する筒状をなす。各スリーブは互いに並行に配置され、絶縁体16′を突き抜け、絶縁体16′にしっかりと固定されている。各スリーブの中実部端20′側は絶縁体16′の一方の側へ突出している。絶縁体16′の他方の側からは、絶縁体16′に設けられた開口を通じてスリーブの中空部にアクセスできる。
ソケットのスリーブの中実部端20′はプリント回路基板(図示せず)、好ましくはフレキシブルプリント回路基板或いはセミフレキシブルプリント回路基板、の配線に接続され、典型的にははんだ付けされる。基板の配線によって全グランドスリーブ10′が互いに接続されるので、ソケットが使用されるときに全グランドスリーブ10′は確実に同じ電位となる。また、典型的には、ソケットに接続されたケーブルのリード線を基板の配線にはんだ付けすることによって、基盤配線が、グランドスリーブ10′および信号スリーブ12′をケーブルのリード線に接続する。スリーブの他方側端部は、ソケットに対応するプラグのピンが各々対応するスリーブに導入できるように配置される。
図4(b)に示すように、外側の2列のグランドスリーブを除くすべてのスリーブ24′は、それぞれ1以上のスロット、典型的には等間隔に配された2または4のスロットを有している。各スロットは、スリーブの長手方向へ、スリーブの開口端部からスリーブの中空部の約3分の2の位置に至るように形成される。これにより、舌片28が形成され、対応するピンがスリーブ内に導入された際に、舌片28はピンと弾性的に接触し、電気的な接続を確立する。図4(b)に示すように、弛緩状態では、舌片28は内側へやや曲がった状態にある。一方で、外側2列のグランドスリーブ24′にはスロットはなく、従って弾性舌片もない。これは、外側2列のグランドスリーブ24′は対応するグランドピン24と接触せず、回路基板の配線を介して他のスロットを有するグランドに接続されることで、接地されるからである。
本発明の実施の形態によれば、5,000回以上、好ましくは20,000回以上、より好ましくは50,000回以上、最も好ましくは100,000回以上の接続と取外しに耐えられるコネクタを提供することができる。