JP2018199619A - 窒化ガリウム基板 - Google Patents

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龍 弘田
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Koji Uematsu
康二 上松
佃 至弘
Yoshihiro Tsukuda
至弘 佃
井尻 英幸
Hideyuki Ijiri
英幸 井尻
藤田 俊介
Shunsuke Fujita
俊介 藤田
英樹 長田
Hideki Osada
英樹 長田
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Abstract

【課題】GaN基板上への半導体膜の成長時におけるクラックおよび割れの発生を抑制することができるGaN基板を提供する。【解決手段】面積が18cm2以上の表面を有する窒化ガリウム基板であって、窒化ガリウム基板の表面の重心位置におけるE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量aと、窒化ガリウム基板の表面の反対側の裏面の重心位置におけるE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、窒化ガリウム基板の表面の周縁から5mm内側の周縁領域の少なくとも1点におけるE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量bと、窒化ガリウム基板の裏面の周縁から5mm内側の周縁領域の少なくとも1点におけるE2Hフォノンモードに対応するラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下である窒化ガリウム基板である。【選択図】図4

Description

本発明は、窒化ガリウム(以下、「GaN」という。)基板に関する。
窒化物半導体基板の中でもGaN基板は、発光デバイスや電子デバイスなどの半導体デバイスの製造用の基板として注目されている。たとえば特許文献1には、半導体デバイスの作製時におけるクラックおよび割れの発生を低減することができるGaN結晶基板が記載されている。
特許文献1に記載のGaN結晶基板は、10cm2以上の面積を有する表面の周縁から5mm内側までの領域を除いた領域内におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフトの最大値と最小値との差が0.5cm-1以下であるため、GaN結晶基板の残留歪み(応力)が小さくなり、半導体デバイスの作製時にGaN結晶基板におけるクラックや割れの発生を低減でき、半導体デバイスの歩留まりを高くすることができるとされている。
特開2007−169132号公報
播磨 弘,「GaNおよび関連窒化物のラマン散乱分光」,材料,日本材料学会,Vol.51,No.9,2002年9月,pp.983−988
しかしながら、半導体デバイスの作製時に、特にGaN基板上に有機金属気相成長法によりGaN系材料等の半導体膜を成長させる際に、GaN基板にクラックや割れが発生している場合には、それを用いて半導体デバイスを作製することができないため、GaN基板上への半導体膜の成長時にクラックおよび割れの発生を抑制することができるGaN基板の開発が要望されている。
本発明の一態様に係るGaN基板は、面積が18cm2以上の表面を有するGaN基板であって、前記GaN基板の前記表面の重心位置におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量aと、前記GaN基板の前記表面の反対側の裏面の重心位置におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、前記GaN基板の前記表面の周縁から5mm内側の領域の任意の1点におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量bと、前記GaN基板の前記裏面の周縁から5mm内側の領域の任意の1点におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下である。
上記によれば、GaN基板上への半導体膜の成長時にGaN基板にクラックおよび割れが発生するのを抑制することができるGaN基板を提供することができる。
実施形態1のGaN基板の模式的な斜視図である。 実施形態1のGaN基板の表面の模式的な平面図である。 実施形態1のGaN基板の裏面の模式的な平面図である。 ラマンシフト量a〜dを測定する方法の一例を説明するためのGaN基板の模式的な側面図である。 ウルツ鉱型のGaN結晶の結晶構造を示す図である。 2 Hフォノンモードを説明する図である。 実施形態1のGaN基板の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施形態1のGaN基板の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な側面図である。 実施形態1のGaN基板の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施形態1のGaN基板の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施形態1のGaN基板の製造方法の一例の製造工程の一部について図解する模式的な断面図である。 実施形態1の半導体デバイスの模式的な断面図である。 実施例においてGaN結晶の成長に用いられた成長炉の概略を示す図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るGaN基板は、面積が18cm2以上の表面を有するGaN基板であって、前記GaN基板の前記表面の重心位置におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量aと、前記GaN基板の前記表面の反対側の裏面の重心位置におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、前記GaN基板の前記表面の周縁から5mm内側の領域の少なくとも1点におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量bと、前記GaN基板の前記裏面の周縁から5mm内側の領域の少なくとも1点におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下である。この場合には、GaN基板の表面および裏面がそれぞれ18cm2以上という大面積を有しているときであっても、GaN基板上への半導体膜の成長時にGaN基板にクラックおよび割れが発生するのを抑制することができる。
(2)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記ラマンシフト量aと前記ラマンシフト量bとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、前記ラマンシフト量cと前記ラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であることが好ましい。この場合には、GaN基板の表面における応力分布がより均一になるとともに、GaN基板の裏面における応力分布がより均一になるため、GaN基板上への半導体膜の成長時にGaN基板にクラックおよび割れが発生するのを抑制することができる。
(3)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記ラマンシフト量bが前記ラマンシフト量aよりも大きく、前記ラマンシフト量dが前記ラマンシフト量cよりも大きいことが好ましい。この場合には、GaN基板の表面および裏面の周縁領域が重心位置よりもGaN基板に残留する応力が圧縮側になるため、GaN基板上への半導体膜の成長時にGaN基板にクラックおよび割れが発生するのを抑制することができる。
(4)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記表面の面積および前記裏面の面積がそれぞれ72cm2以上であることが好ましい。GaN基板の表面および裏面の面積がそれぞれ72cm2以上である場合には、GaN基板上への半導体膜の成長時にGaN基板にクラックおよび割れが発生するのを抑制することができる。
(5)本発明の一態様に係るGaN基板においては、前記表面の面積および前記裏面の面積がそれぞれ162cm2以上であることが好ましい。GaN基板の表面および裏面の面積がそれぞれ162cm2以上である場合には、GaN基板上への半導体膜の成長時にGaN基板にクラックおよび割れが発生するのを抑制することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、実施形態について説明する。なお、実施形態の説明に用いられる図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
[実施形態1]
<GaN基板>
図1に、実施形態1のGaN基板の模式的な斜視図を示す。また、図2に、実施形態1のGaN基板の表面の模式的な平面図を示し、図3に、実施形態1のGaN基板の裏面の模式的な平面図を示す。
図1〜図3に示すように、実施形態1のGaN基板1は、18cm2以上の面積を有する表面2と、表面2の裏側の裏面4とを含んでいる。GaN基板1の表面2は、表面2の周縁から5mm内側までの周縁領域5(図1および図2の実線と破線との間の領域、および破線上)と、周縁領域5を除いた内部領域3(図1および図2の破線で囲まれた領域)とを有している。また、GaN基板1の裏面4は、裏面4の周縁から5mm内側までの周縁領域6(図3の実線と破線との間の領域、および破線上)と、周縁領域7を除いた内部領域7(図3の破線で囲まれた領域)とを有している。
実施形態1のGaN基板1においては、GaN基板1の表面2の重心位置AにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量aと、GaN基板の裏面4の重心位置CにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下となっており、GaN基板1の表面2の周縁領域5の少なくとも1点BにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量bと、裏面4の周縁領域6の少なくとも1点DにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下となっている。
これは、本発明者が鋭意検討した結果、上記のラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、上記のラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下となっている場合には、GaN基板1の表面2および裏面4がそれぞれ18cm2以上という大面積を有しているときであっても、GaN基板上への半導体膜の成長時におけるGaN基板のクラックおよび割れの発生を抑制することができることを見い出したことによるものである。これは、GaN基板1の表面2の重心位置Aと裏面4の重心位置Cとの応力差と、GaN基板1の表面2の周縁領域5の少なくとも1点Bと裏面4の周縁領域6の少なくとも1点Dとの差とをそれぞれ小さくしたことに起因して、有機金属気相成長法によるGaN系材料等の半導体膜の成長時に、GaN基板が1000℃以上の高温に曝された際、GaN基板1の表面2に垂直な方向の応力分布が小さいと、高温下で解放される応力が小さくなるため、GaN基板1の表面2に垂直な方向に発生しようとするGaN基板1のクラックおよび割れの発生を抑制できたものと考えられる。
なお、クラックとは、GaN基板1に形成される亀裂を意味しており、クラックの段階ではGaN基板1は複数に分裂していない。また、割れとは、GaN基板1に亀裂が入り、複数に分裂している状態を意味している。
図4に、ラマンシフト量a〜dを測定する方法の一例を説明するためのGaN基板1の模式的な側面図を示す。ラマンシフト量aは、たとえば以下のようにして測定することができる。まず、GaN基板1の表面2の重心位置Aに対して垂直に入射光21を照射する。次に、入射光21のラマン散乱光22を分光器または干渉計などによって検出することによりラマン分光分析してラマンシフトのスペクトルを得る。これにより、GaN基板1の表面2の重心位置AにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量aを得ることができる。また、ラマンシフト量b〜dも、GaN基板1の表面2の周縁領域5の少なくとも1点B、裏面4の重心位置C、および裏面4の周縁領域6の少なくとも1点Dのそれぞれについてラマンシフト量aと同様にして測定することができる。
ここで、E2 Hフォノンモードについて、ウルツ鉱型のGaN結晶を例にして説明すると、E2 Hフォノンモードは、図5に示すGa原子(白丸)およびN原子(黒丸)からなる結晶構造を有するGaN結晶において、図6に示すようにN原子がc面内で変位するモードである。
また、E2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量は、ラマン分光分析して得られるラマンシフトのスペクトルにおいてE2 Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数により特定される。なお、非特許文献1の985頁のTableIIにおいて、300Kの温度におけるウルツ鉱型のGaN結晶のE2 Hフォノンモードのフォノン周波数として567.6cm-1が挙げられており、非特許文献1のFig.3のラマンスペクトル図にはE2 Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数が567.6cm-1の近傍に現れている。
なお、GaN基板1の表面2の重心位置Aは、GaN基板1の表面2が円形である場合には、GaN基板1の表面2の円の中心(GaN基板1にオリエンテーションフラット等が形成されている場合にはオリエンテーションフラット等が形成されていないと仮定した場合の仮想円の中心)を重心位置Aとすることによって特定することができる。また、GaN基板1の表面2が多角形である場合には、GaN基板1の表面2の多角形の各頂点からの距離の和が最も短くなる多角形の中心を重心位置Aとすることによって特定することができる。
また、GaN基板1の表面2の周縁領域5の少なくとも1点Bは、周縁領域5内の任意の点であればよく、周縁領域5内のある1点が上記の要件を満たしていなくても、他の1点が上記の要件を満たしていればよい。
また、GaN基板1の裏面4の重心位置Cは、GaN基板1の裏面4が円形である場合には、GaN基板1の裏面4の円の中心(GaN基板1にオリエンテーションフラット等が形成されている場合にはオリエンテーションフラット等が形成されていないと仮定した場合の仮想円の中心)を重心位置Cとすることによって特定することができる。また、GaN基板1の裏面4が多角形である場合には、GaN基板1の裏面4の多角形の各頂点からの距離の和が最も短くなる多角形の中心を重心位置Cとすることによって特定することができる。
また、GaN基板1の裏面4の周縁領域6の少なくとも1点Dは、周縁領域6内の任意の点であればよく、周縁領域6内のある1点が上記の要件を満たしていなくても、他の1点が上記の要件を満たしていればよい。
また、ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値は、0.3cm-1以下であることが好ましく、0.1cm-1以下であることがより好ましい。ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.3cm-1以下である場合、特に0.1cm-1以下である場合には、GaN基板1の表面2および裏面4の重心位置における応力差をさらに小さくすることができるため、GaN基板1上への半導体膜の成長時におけるGaN基板1のクラックおよび割れの発生をさらに抑制することができる。
また、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値は、0.3cm-1以下であることが好ましく、0.1cm-1以下であることがより好ましい。ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.3cm-1以下である場合、特に0.1cm-1以下である場合には、GaN基板1の表面2の周縁領域5と裏面4の周縁領域6との応力差をさらに小さくすることができるため、GaN基板1上への半導体膜の成長時におけるGaN基板1のクラックおよび割れの発生をさらに抑制することができる。
また、GaN基板1の表面2および裏面4が大きいほど、GaN基板1にクラックおよび割れが発生しやすくなる。したがって、GaN基板1の表面2および裏面4の面積がそれぞれ72cm2以上、特に162cm2以上といった大面積である場合にも、GaN基板1上への半導体膜の成長時におけるGaN基板1のクラックおよび割れの発生を特に効果的に抑制することができる。
<GaN基板の製造方法>
以下、図7〜図11を参照して、実施形態1のGaN基板1の製造方法の一例について説明する。
(GaN結晶の成長工程)
まず、図7の模式的断面図に示すように、18cm2以上の面積を有する異種基板である下地基板10の円形の表面上にGaN結晶11を成長させる工程を行なう。ここで、下地基板10としては、たとえばサファイア基板や、GaAs基板などを用いることができる。また、GaN結晶11の成長方法としては、たとえばHVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法などの気相法を用いることができる。また、フラックス法などの液相法またはアモノサーマル法によりGaN結晶11を成長させてもよい。GaN結晶11の成長後において、GaN結晶11は、下地基板10から切り離される。
なお、気相法によって、下地基板10の表面上にGaN結晶11を成長させる場合には、GaN結晶11の成長開始時点から厚さ5μmに成長する時点までは、GaN結晶11の気相成長速度を40μm/時間以下とすることによって、GaN結晶11の表面領域の1点(x軸およびy軸で座標を規定)における厚さ方向(z軸方向)のラマンシフト量の差異を小さくすることができる。これにより、後述するように、GaN結晶11のラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値を0.5cm-1以下とし、ラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値を0.5cm-1以下とすることができる。なお、μm/時間は、1時間当たりの成長厚さ(μm)を意味している。
GaN結晶11のラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値およびラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値をさらに小さくするためには、GaN結晶11の成長開始時点から厚さ15μmに成長する時点までは、GaN結晶11の気相成長速度を30μm/時間以下とし、その後は、GaN結晶11の気相成長速度を30μm/時間よりも大きくする(たとえば100μm/時間)ことがより好ましい。
また、下地基板10の表面の中央と周縁との間の温度差が10℃以下となるように、下地基板10の表面上にGaN結晶11を気相成長することが好ましい。この場合にも、後述するように、GaN結晶11のラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値を0.5cm-1以下とし、ラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値を0.5cm-1以下とすることができる。ここで、下地基板10の表面の中央は、GaN基板1の表面2の重心位置Aおよび裏面4の重心位置Cと同様に特定することができる。また、下地基板10の周縁は、下地基板10の表面の端部を意味する。
下地基板10の表面の中央と周縁との間の温度差を10℃以下とする方法としては、たとえば、下地基板10の表面の中央と周縁との間の温度差が10℃以下となるように下地基板10を加熱するヒータを設定する方法、または下地基板10の裏面側に熱伝導率の高い材料(たとえば、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素、グラファイト、およびこれらの薄膜を表面にコートした材料)を設置する方法などを挙げることができる。
(ラマンシフトの測定工程)
次に、図8の模式的側面図に示すように、GaN結晶11の表面12の重心位置A1におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量a1、表面2の周縁領域5の少なくとも1点B1におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量b1、GaN結晶11の裏面14の重心位置C1におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量c1、および裏面14の周縁領域6の少なくとも1点D1におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量d1をそれぞれ測定する工程を行なう。
なお、ラマンシフト量a1〜d1の測定の順序は特に限定されない。また、GaN結晶11の表面12の重心位置A1、GaN結晶11の表面12の周縁領域5の少なくとも1点B1、GaN結晶11の裏面14の重心位置C1、およびGaN結晶11の裏面14の周縁領域6の少なくとも1点D1の特定については、それぞれ、GaN基板1の重心位置A、点B、重心位置Cおよび点Dと同様にして特定される。
(確認工程)
次に、上記で測定したラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値が0.5cm-1以下である部分を確認する工程を行なう。
この確認工程により、GaN結晶11のラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値が0.5cm-1以下である部分を予め確認しておくことによって、実施形態1のGaN基板1を効率的に作製することができる。
(取り出し工程)
上記の確認工程において、GaN結晶11のラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値およびラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値の少なくとも一方が0.5cm-1以下ではないことが判明した場合には、たとえば図9の模式的断面図に示すように、GaN結晶11のラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値およびラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値がともに0.5cm-1以下となるGaN結晶11の箇所11aを取り出す工程を行なうことが好ましい。箇所11aを取り出すには、たとえば、研削、研磨またはスライスなどの公知の加工法を用いることができる。
このように、GaN結晶11の箇所11aを取り出して、箇所11aをスライスすることによって、ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下である実施形態1のGaN基板1を効率良く作製することができる。
箇所11aの最大の大きさは、たとえば、下地基板10の種類や大きさ、結晶成長の方法、または結晶成長の条件などによって変化することがある。しかしながら、仮に、このような箇所11aを取り出す工程を経た後に、箇所11aの大きさが、所望の大きさのGaN基板1を作製するのに必要な大きさに満たない場合には、それ以降は、箇所11aの不足した幅や厚さと同じかまたはそれよりも多く、下地基板10の幅を広くする、またはGaN結晶11の厚さを厚くするなどの調整をすることによって、所望の大きさの箇所11aが得られるGaN結晶11を得ることが可能である。
なお、上記の確認工程において、GaN結晶11のラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値が0.5cm-1以下であることが確認された場合には、GaN結晶11の上記の箇所11aを取り出す工程を行なう必要がないことは言うまでもない。
(スライス工程)
次に、上記のようにして作製したラマンシフト量a1とラマンシフト量c1との差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量b1とラマンシフト量d1との差の絶対値が0.5cm-1以下であるGaN結晶11またはGaN結晶11の箇所11aを表面12および裏面14と平行な方向にスライスする工程を行なう。これにより、図10の模式的断面図に示すように、複数の実施形態1のGaN基板1を得ることができる。
なお、実施形態1においては、1つのGaN結晶11から複数のGaN基板1を得る場合について説明しているが、1つのGaN結晶11から1枚のGaN基板1を得てもよい。この場合にも、上記のラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるGaN基板1を得ることができる。
(研磨工程)
次に、上記のスライスする工程を行なった後の図11の模式的断面図に示す実施形態1のGaN基板1を研磨する工程を行なう。このようにして得られた実施形態1のGaN基板1においては、上記のラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値を0.5cm-1以下とすることができるとともに、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値を0.5cm-1以下とすることができる。
<半導体デバイス>
図12に、実施形態1のGaN基板1上に半導体膜31が形成されてなる半導体デバイス41の模式的な断面図を示す。ここで、半導体膜31は、GaN基板1の表面2上および裏面4上の少なくとも一方に形成されていればよい。また、半導体膜31の形成方法は特に限定されず、たとえば従来から公知の有機金属気相成長法を用いることができる。さらに、半導体膜31の成膜後に、電極等の他の部材が形成されていてもよい。
実施形態1の半導体デバイス41としては、たとえば、発光ダイオード若しくはレーザダイオードなどの発光素子、ショットキーバリアダイオードなどの整流器、バイポーラトランジスタ、電界効果トランジスタ若しくはHEMT(High Electron Mobility Transistor)などの電子素子、温度センサ、圧力センサ、放射センサ若しくは可視−紫外光検出器などの半導体センサ、SAWデバイス(Surface Acoustic Wave Device)、振動子、共振器、発振器、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品または圧電アクチュエータなどの半導体デバイスが挙げられる。
[実施形態2]
実施形態2のGaN基板1は、実施形態1のGaN基板1に加えて、上記のラマンシフト量aとラマンシフト量bとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるとともに、ラマンシフト量cとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であることを特徴としている。この場合には、GaN基板1の表面2における応力分布がより均一になるとともに、GaN基板1の裏面4における応力分布がより均一になるため、GaN基板1の表面2に垂直な面内で、かつGaN基板1の表面2の中心と外縁とを結ぶ方向にGaN基板1の表面2および裏面4のいずれかの面の一部を起点としてGaN基板1上への半導体膜の成長時にGaN基板1に発生しようとする、GaN基板1のクラックおよび割れの発生を抑制することができる。
また、GaN基板1上への半導体膜の成長時におけるGaN基板1のクラックおよび割れの発生をさらに抑制する観点からは、ラマンシフト量aとラマンシフト量bとの差の絶対値は0.3cm-1以下であることが好ましく、0.1cm-1以下であることがより好ましい。
また、GaN基板1上への半導体膜の成長時におけるGaN基板1のクラックおよび割れの発生をさらに抑制する観点からは、ラマンシフト量cとラマンシフト量dとの差の絶対値は0.3cm-1以下であることが好ましく、0.1cm-1以下であることがより好ましい。
実施形態2における上記以外の説明は、実施形態1と同様であるため、その説明については繰り返さない。
[実施形態3]
実施形態3のGaN基板1は、実施形態1または実施形態2のGaN基板1に加えて、ラマンシフト量bがラマンシフト量aよりも大きく、ラマンシフト量dがラマンシフト量cよりも大きくなっていることを特徴としている。一般に、GaN基板の周縁における引張応力が大きくなるにしたがって、GaN基板にクラックおよび割れが発生しやすくなる。しかしながら、実施形態3のGaN基板1においては、GaN基板1の周縁領域が重心位置よりもGaN基板1に存在する応力が圧縮側となる。そのため、実施形態3のGaN基板1においては、GaN基板1の表面2に垂直な面内で、GaN基板1の表面2の外縁または裏面4の外縁のいずれか一方の一部を起点としてGaN基板1上への半導体膜の成長時にGaN基板1に発生しようとする、GaN基板1のクラックおよび割れの発生を抑制することができる。
実施形態3における上記以外の説明は、実施形態1および実施形態2と同様であるため、その説明については繰り返さない。
<GaN基板の作製>
図13にその概略を示す成長炉300を使用して、HVPE法により、GaN結晶の成長を行なう。
ここで、成長炉300は、反応室301と、反応室301内に下地基板10を保持するための基板ホルダ302と、Ga原料ガス(GaCl)133を合成するための合成室303と、合成室303内にHClガス131を導入するためのガス導入管305と、反応室301内にN原料ガス(NH3)136を導入するためのガス導入管306と、反応後のガスを反応室301から排気するための排気管307と、を含んでいる。また、合成室303内にはGa132が収容されているGaボート304が設置されており、反応室301、合成室303、ガス導入管305およびガス導入管306の周囲には、ヒータ308、ヒータ309およびヒータ310が設置されている。
まず、反応室301内の基板ホルダ302上に下地基板10を設置する。ここで、下地基板10としては、直径が4インチの円形のサファイア基板の全面に有機金属気相成長法でGaN膜を2μmの厚さで成長させたサファイアテンプレート基板上に、直線状の4μm幅のSiO2マスクを8μm間隔で全面に形成したものを用いている。下地基板10は、下地基板10の表面内における原料ガスの供給量の均一性を向上させるために10°傾けて設置されている。
次に、下地基板10を加熱して下地基板10の表面温度を1100℃に保持するとともに下地基板10を10rpmの速度で回転させた状態で、Ga原料ガス133およびN原料ガス136を含む原料ガスを反応室301内に導入することにより、下地基板10の表面上にGaN結晶を成長させる。ここで、Ga原料ガス133の分圧は2×103Paであり、N原料ガス136の分圧は1×104Paであって、キャリアガスとしてH2ガスを用いている。
なお、Ga原料ガス133は、合成室303内に設置されているGaボート304を850℃に加熱し、ガス導入管305により合成室303内にHClガス131を導入して、Gaボート304中のGa132とHClガス131とを反応させることにより生成される。また、HClガス131は、キャリアガスであるH2ガスとともに合成室303内に導入される。
そして、下地基板10の表面上に平坦で傾斜のない(0001)面からなり、直径4インチの円形の表面および裏面を有する厚さ6mmのGaN結晶を成長させる。そして、下地基板10からGaN結晶を切り離す。なお、GaN結晶は、GaN結晶の成長条件を変えて複数個成長させる。
次に、GaN結晶をスライスすることによって厚さ350μmの複数の直径4インチのGaN基板(GaN基板の表面および裏面の面積:81.03cm2)を得る。そして、GaN基板の表面および裏面の加工歪を研磨によって除去した後に、GaN基板の表面の重心位置AにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量aと、GaN基板の表面の周縁から内側に5mmの点BにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量bと、GaN基板の裏面の重心位置CにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量cと、GaN基板の裏面の周縁から内側に5mmの点DにおけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量dとを測定する。また、ラマンシフト量a〜dは、それぞれ、ラマン分光分析して得られるラマンシフトのスペクトルにおいてE2 Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数とされる。また、E2 Hフォノンモードに対応するラマンシフトのピークは、測定領域や測定条件によって変化するが、通常564.0cm-1〜569.0cm-1の範囲内に存在する。
そして、上記の測定値から以下の(a)〜(f)の値を算出し、算出された値に応じて、直径4インチのGaN基板を表1のサンプルNo.1〜22に分類する。なお、サンプルNo.1〜7および11〜22は実施例であり、サンプルNo.8〜10は比較例である。
(a)ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値(表1および表2のラマンシフト量差[cm-1]の|a−c|の欄に記載)。
(b)ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値(表1および表2のラマンシフト量差[cm-1]の|b−d|の欄に記載)。
(c)ラマンシフト量aとラマンシフト量bとの差の絶対値(表1および表2のラマンシフト量差[cm-1]の|a−b|の欄に記載)。
(d)ラマンシフト量cとラマンシフト量dとの差の絶対値(表1および表2のラマンシフト量差[cm-1]の|c−d|の欄に記載)。
(e)ラマンシフト量aとラマンシフト量bとの大小関係(表1および表2のラマンシフト量大小のa,bの欄に記載)。
(f)ラマンシフト量cとラマンシフト量dとの差の絶対値(表1および表2のラマンシフト量大小のc,dの欄に記載)。
上記のE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量a〜dは、以下のようにして測定している。まず、光源としてYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)第2高調波のレーザ装置を用い、当該レーザ装置から出射された波長532nmのレーザ光を幅100μmのスリットに通した後、レンズで集光する。ここで、レーザ光のスポット径は50倍の対物レンズを使用しているため約2μmとなり、露光は積算30秒で1回とする。また、レーザ光の強度は、発振出力0.1W(GaN結晶の表面では約10mW)である。そして、上記レーザ光をGaN基板に対して垂直に照射し、c軸方向の後方散乱配置でラマン散乱光をGaN基板の温度が20℃の状態で検出する。なお、波数校正にはNeランプの4本の輝線スペクトルを二次関数で近似する方法を用い、測定した数値データはローレンツ関数で近似し、得られたラマンシフトのスペクトルにおいて、E2 Hフォノンモードに対応するピークの最大ピーク時の波数を求めることができる。
<半導体膜の作製>
上記のようにして作製されたサンプルNo.1〜22のGaN基板を有機金属気相成長炉に投入し、1050℃に昇温し、トリメチルガリウム(TMG)ガスおよびトリメチルアルミニウム(TMA)ガスをIII族原料とし、NH3ガスをV族原料とし、H2ガスをキャリアガスをとして、GaN基板上に毎時4μmの成長速度で、HEMT用の半導体膜として厚さ1.5μmのGaN層および厚さ50nmのAl0.2Ga0.8N層の順に成長させ、冷却して、有機金属気相成長炉から取り出す。
そして、表1のサンプルNo.1〜22の分類ごとに上記の半導体膜の成長後のGaN基板に生じたクラックおよび割れの発生率について算出する。その結果を表1の「抑制率[%]」の欄に示す。なお、表1の抑制率[%]は、上記のようにしてサンプルNo.ごとに分類されたGaN基板を、その分類ごとに10枚ずつ有機金属気相成長炉に投入し、分類ごとのGaN基板の投入枚数に対する、上記の半導体膜の成長後にクラックおよび割れが全く発生していないGaN基板の枚数の割合[%]を示している。
また、GaN基板の直径を6インチとしたこと以外は上記と同様にして、直径6インチのGaN基板(GaN基板の表面および裏面の面積:182.32cm2)をサンプルNo.23〜44に分類し、サンプルNo.23〜44の分類ごとにGaN基板に生じたクラックおよび割れの発生の抑制率について算出する。その結果を表2の「抑制率[%]」の欄に示す。なお、サンプルNo.23〜29およびサンプルNo.33〜44は実施例であり、サンプルNo.30〜32は比較例である。
なお、表1および表2において、「0.5<」は「0.5cm-1よりも大きい」を、「0.3〜0.5」は「0.3cm-1よりも大きく0.5cm-1以下」を、「0.1〜0.3」は「0.1cm-1よりも大きく0.3cm-1以下」を、「0.1≦」は「0.1cm-1以下」を意味している。
<評価>
表1および表2に示すように、ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるサンプルNo.1〜7および11〜22のGaN基板は、その要件を満たしていないサンプルNo.8〜10のGaN基板と比べてクラックおよび割れの発生を抑制できることがわかる。また、サンプルNo.1〜7の比較から、GaN基板のクラックおよび割れの発生の抑制率は、ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値およびラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値がそれぞれ小さくなるにしたがって低くなっていくこともわかる。
また、表1に示すように、ラマンシフト量aとラマンシフト量bとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量cとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるサンプルNo.1〜7および14〜22のGaN基板は、その要件を満たしていないサンプルNo.8〜13のGaN基板と比べてクラックおよび割れの発生を抑制できることがわかる。
また、表1に示すように、ラマンシフト量bがラマンシフト量aよりも大きくなっており、かつラマンシフト量dがラマンシフト量cよりも大きくなっているサンプルNo.19のGaN基板は、その要件を満たしていないサンプルNo.20〜22のGaN基板と比べてクラックおよび割れの発生を抑制できることがわかる。
また、表2に示すように、ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるサンプルNo.23〜29および33〜44のGaN基板は、その要件を満たしていないサンプルNo.30〜32のGaN基板と比べてクラックおよび割れの発生を抑制できることがわかる。また、サンプルNo.23〜29の比較から、GaN基板のクラックおよび割れの発生の抑制率は、ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値およびラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値がそれぞれ小さくなるにしたがって低くなっていくこともわかる。
また、表2に示すように、ラマンシフト量aとラマンシフト量bとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量cとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるサンプルNo.23〜29および36〜44のGaN基板は、その要件を満たしていないサンプルNo.30〜35のGaN基板と比べてクラックおよび割れの発生を抑制できることがわかる。
また、表2に示すように、ラマンシフト量bがラマンシフト量aよりも大きくなっており、かつラマンシフト量dがラマンシフト量cよりも大きくなっているサンプルNo.41のGaN基板は、その要件を満たしていないサンプルNo.42〜44のGaN基板と比べてクラックおよび割れの発生を抑制できることがわかる。
また、GaN結晶の気相成長工程において、GaN結晶の成長開始時点から厚さ5μmに成長する時点までGaN結晶の気相成長速度を40μm/時間以下とした場合、特に、GaN結晶の成長開始時点から厚さ15μmに成長する時点までGaN結晶の気相成長速度を30μm/時間以下とし、その後、30μm/時間以上(具体的には、100μm/時間)とした場合には、ラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるGaN基板が得られることが確認されている。
また、以下の(i)または(ii)のいずれか一方の操作を行なった場合にもラマンシフト量aとラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、ラマンシフト量bとラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下であるGaN基板が得られることが確認されている。
(i)下地基板10を加熱するヒータを設定することによって、下地基板10の表面の中央と周縁との間の温度差を10℃以下とする。
(ii)下地基板10の裏面に熱伝導率の高い材料(具体的には、カーボン板)を設置することによって、下地基板10の表面の中央と周縁との間の温度差を10℃以下とする。
以上のように本発明の実施形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施形態および実施例ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
実施形態および実施例のGaN基板は、半導体デバイスなどの用途に利用することができる。
1 GaN基板
2 表面
3 内部領域
4 裏面
5 領域
6 周縁領域
7 内部領域
10 下地基板
11 GaN結晶
11a 箇所
12 表面
14 裏面
21 入射光
22 ラマン散乱光
31 半導体膜
41 半導体デバイス
131 HClガス
132 Ga
133 Ga原料ガス
136 N原料ガス
300 成長炉
301 反応室
302 基板ホルダ
303 合成室
304 Gaボート
305,306 ガス導入管
307 排気管
308,309,310 ヒータ。

Claims (5)

  1. 面積が18cm2以上の表面を有する窒化ガリウム基板であって、
    前記窒化ガリウム基板の前記表面の重心位置におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量aと、前記窒化ガリウム基板の前記表面の反対側の裏面の重心位置におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量cとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、
    前記窒化ガリウム基板の前記表面の周縁から5mm内側の周縁領域の少なくとも1点におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量bと、前記窒化ガリウム基板の前記裏面の周縁から5mm内側の周縁領域の少なくとも1点におけるE2 Hフォノンモードに対応するラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下である、窒化ガリウム基板。
  2. 前記ラマンシフト量aと前記ラマンシフト量bとの差の絶対値が0.5cm-1以下であって、
    前記ラマンシフト量cと前記ラマンシフト量dとの差の絶対値が0.5cm-1以下である、請求項1に記載の窒化ガリウム基板。
  3. 前記表面の面積および前記裏面の面積がそれぞれ72cm2以上である、請求項1または請求項2に記載の窒化ガリウム基板。
  4. 前記表面の面積および前記裏面の面積がそれぞれ162cm2以上である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化ガリウム基板。
  5. 前記ラマンシフト量a〜dは、前記窒化ガリウム基板の温度が20℃の状態でのレーザ光の検出結果に基づいた値である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の窒化ガリウム基板。
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