JP2018199127A - 共役ジオレフィン製造用触媒およびその製造方法 - Google Patents

共役ジオレフィン製造用触媒およびその製造方法 Download PDF

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【課題】本発明は、炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを製造する高活性かつ高収率な触媒およびその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを製造するプロセスにおいて、特定のミクロ孔、メソ孔およびマクロ孔の比表面積比率を特定の範囲になるよう制御した触媒を使用することで、より低い反応浴温度にて高収率で共役ジオレフィンを製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。【選択図】なし

Description

本発明は、高活性かつ高収率な新規な触媒およびその製造方法に関するものである。本発明は、炭素原子数4以上のモノオレフィン原料から酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを、特にn−ブテン原料から酸化脱水素反応によりブタジエンを製造する際に、より低い反応浴温度にて高収率な運転を可能とする触媒およびその製造方法に関するものである。
従来、合成ゴム等の原料であるブタジエンは、工業的にはナフサ留分の熱分解および抽出により製造されているが、今後、ブタジエンの市場への安定供給の悪化が懸念されることから、新たなブタジエンの製造方法が求められている。そこで、n−ブテンと分子状酸素を含む混合ガスから、触媒の存在下でn−ブテンを酸化脱水素する方法が注目されている。
工業プラントでの経済性の観点から、目的生成物であるブタジエンを高い収率および選択率で得られる点のみならず、通常(以下、通常とは一般的なビスマスモリブデート触媒を使用する酸化脱水素反応での反応浴温度を示す。)より低い反応浴温度においても高活性を維持し、運転することが求められる。すなわち、触媒が高活性および高選択率を示すことにより、反応後に残存する原料n−ブテンをリサイクルするプロセスにおいても高い経済優位性を示すことができる。工業プラントにおける熱媒のランニングコストを抑制するため、低い反応浴温度でも高活性である触媒が求められている。
上記n−ブテン原料から酸化脱水素反応によるブタジエン製造プロセスにおいて、殊に高活性または高選択率を示す触媒の研究については既に数多くの報告がなされている。特許文献1は、特定の元素比におけるビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒に関するものである。
特許文献2は、調合順序や調合液のpH等を規定したビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒の製造方法に関するものである。
特許文献3は、触媒細孔の大きさを制御したビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒に関するものである。
特許文献4は、触媒の酸量かつ比表面積を制御したビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒に関するものである。
しかしながら、特許文献1〜4の触媒では、プラントでの運転制御の観点で工業用触媒として十分な性能が得られておらず、更なる改良が望まれていた。
国際公開第2014/086641号 特許第5483114号公報 国際公開第2013/161702号 特開2013−146655号公報
本発明は、炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを高活性かつ高収率で製造する触媒およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを製造するプロセスにおいて、ミクロ孔、メソ孔およびマクロ孔の比表面積比率が特定の範囲になるよう制御した触媒を使用することで、より低い反応浴温度にて高収率で共役ジオレフィンを製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は以下の(1)から(4)の特徴を単独または組み合わせて有するものである。即ち、本発明は、
(1)
下記式(I)で表される比表面積パラメータSの値が0.80≦S≦1.48であるビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒、
S=(Sa(BET))÷(Sa(Hg))・・・(I)
(式中、Sa(BET)はガス吸着法で得た比表面積値、Sa(Hg)は水銀圧入法で得た比表面積値(単位:m/g)を示す。)
(2)
メジアン細孔直径Mの値(単位:μm)が0.35≦M≦0.94である上記(1)に記載のビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒、
(3)
炭素原子数4以上のモノオレフィン化合物と分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィン化合物を製造するための上記(1)又は(2)に記載の触媒、
(4)
下記工程を含むことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の触媒の製造方法、
工程(A1):複合金属酸化物の各金属を含有する化合物を含む混合溶液またはスラリーを20℃以上90℃以下の条件化で調製し、該混合溶液またはスラリーのpHを0.5以上8.0以下に制御するようアルカリ溶液を添加し、スプレー乾燥して乾燥粉体を得る工程、
工程(A2):工程(A1)で得られた乾燥粉体を予備焼成し、予備焼成粉体を得る工程、
工程(A3):工程(A2)で得られた予備焼成粉体を成形し、成形品を得る工程、
工程(A4):工程(A3)で得られた成形品を本焼成する工程、
(5)
予備焼成の温度が200℃以上600℃以下であり、本焼成温度が200℃以上600℃以下である上記(4)に記載の触媒の製造方法、
(6)
上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の触媒を用いる共役ジオレフィン化合物の製造方法、に関する。
本発明の触媒は、酸化反応用触媒として非常に有用である。特に酸化脱水素反応に好適に用いられ、オレフィンからジオレフィンを製造する触媒として有用な機能を有する。 従って、本発明の触媒を使用することにより、製造効率及び生産性が高く、高収率にブタジエンを生成することができる。
炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを製造する反応に使用でき、好ましくはn−ブテンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応によりブタジエンを製造する反応に使用できる触媒およびその製造方法であり、以下その詳細について説明する。
本発明における炭素原子数4以上のモノオレフィンとは、炭素−炭素二重結合1個を含む炭素原子数4以上の不飽和炭化水素であり、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネンおよびデセン等が挙げられ、n−ブテンとは1−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、イソブチレンのうち、単一成分のガス、もしくは少なくとも一つの成分を含む混合ガスを意味するものとし、共役ジオレフィンとは、1つの単結合を介して結合している2つの炭素−炭素二重結合をもつ炭化水素であり、好ましくはブタジエン、特に好ましくは1,3−ブタジエンを意味するものとする。
本発明において高活性とは、通常より低い反応浴温度において、後述するn−ブテン転化率が一定以上の値を示すことを意味し、本発明において転化率とは後述するn−ブテン転化率と同義、また収率とは後述するブタジエン収率と同義、さらに選択率とは後述するブタジエン選択率と同義である。
Sa(BET)は、ガス吸着法で測定した本発明の触媒の比表面積値(単位:m/g)である。一般的にガス吸着法であれば、その方法の詳細は限定されないが、例えば、試料容量0.05mL〜3.0mLを内径7mmのサンプル管に入れ、300℃、2時間以上の条件にて前処理をした後に、ガス吸着量測定装置(Belsorp−mini(マイクロトラックベル社製))を用いて、窒素分子直径を0.364nmと設定し、相対圧比0.4、吸着温度−196℃、測定細孔直径範囲0.7nm〜400nm、吸着ガス種窒素の条件のもと測定し、測定結果をBET法で解析を行い、比表面積値を得る方法が挙げられる。
Sa(Hg)は水銀圧入法で測定して得られる触媒の比表面積値(単位:m/g)であり、またMはSa(Hg)から得られるメジアン細孔直径(単位:μm)である。一般的に水銀圧入法であれば、その方法の詳細は限定されないが、例えば、前処理を行わずに、全自動細孔分布測定装置(Pore Master 60−GT(Quanta Chrome Co.))を用いて、試料重量約5gをセル容積2ccのラージセル(10mmΦ×6cm)に入れ、水銀表面張力を480dyn/cm、水銀接触角を140°と設定し、測定温度20℃、測定細孔直径範囲0.0036μm〜400μmの条件のもと測定し、測定結果をすべての細孔が円筒型であるとみなし、測定時に加えた圧力とWashburnの式を用いて解析を行うと、触媒の各細孔直径の細孔分布が得られる。得られた細孔分布の中央値をとると、メジアン細孔直径が得られる。また、使用した水銀容積と細孔直径の関係の傾きを微分することによってSa(Hg)が得られる。
Washburnの式とは、測定時に加えた圧力とその圧力で水銀が侵入可能な細孔径の関係を示した下記式(II)である。
R=−4×γ×cosθ÷p÷6.9・・・(II)
(上記式(II)中、Rは細孔直径(単位:μm)、γは水銀表面張力(単位:dyn/cm)、θは水銀接触角(単位:°)、pは測定時に加えた圧力(単位:psi)を示す。)
本願の水銀圧入法では、細孔径が0.0036μm〜400μmの範囲内のメソ孔及びマクロ孔の比表面積を測定することができる。また、本願のガス吸着法では、細孔径が0.7nm〜400nmの範囲内のミクロ孔、メソ孔及びマクロ孔の比表面積を測定することができる。本発明において、比表面積値の単位は特に断りがない限りm/gであるものとし、細孔径(細孔直径)の単位は特に断りがない限りμmであるものとする。
IUPACによれば、直径が2nm以下の細孔をミクロ孔、直径が2nmから50nmの細孔をメソ孔、直径が50nm以上の細孔をマクロ孔と規定している。本願においても、各用語の定義はこの規定に従う。全細孔に占めるミクロ孔やメソ孔の割合が多くなると、活性点数が増えることにより、触媒としての活性は向上するものの逐次反応が進行しやすくなり、目的生成物である共役ジオレフィンの選択性が低下する。一方で、マクロ孔の割合が多いと、活性点数が減ることにより、活性が低下する。そのため、特定のミクロ孔、メソ孔およびマクロ孔の比表面積比率を最適化することが必要である。
本発明の触媒は、下記式(I)で表される比表面積パラメータSの値が0.80≦S≦1.48、好ましくは0.85≦S≦1.48、さらに好ましくは0.90≦S≦1.48、最も好ましくは0.99≦S≦1.48を満たすことを特徴とするビスマスモリブデート複合金属酸化物である。
S=(Sa(BET))÷(Sa(Hg))・・・(I)
(式中、Sa(BET)はガス吸着法で得た比表面積値、Sa(Hg)は水銀圧入法で得た比表面積値(単位:m/g)を示す。)
また、比表面積パラメータSの上限値は、1.48であるが、好ましい上限値は1.40であり、更に好ましくは1.30であり、特に好ましくは1.20である。
比表面積パラメータSの下限値は、0.80であるが、好ましい下限値は0.85であり、更に好ましくは0.90であり、特に好ましくは0.95である。
本発明の触媒は、メジアン細孔直径M(単位:μm)の値が0.35≦M≦0.94、好ましくは0.39≦M≦0.94、さらに好ましくは0.43≦M≦0.94、最も好ましくは0.47≦M≦0.94を満たすことを特徴とするビスマスモリブデート複合金属酸化物である。
また、メジアン細孔直径Mの上限値は、0.94であるが、好ましい上限値は0.90であり、更に好ましくは0.80であり、特に好ましくは0.70である。
メジアン細孔直径Mの下限値は、0.35であるが、好ましい下限値は0.39であり、更に好ましくは0.47であり、特に好ましくは0.50である。
本発明の触媒は、下記式(III)で表現されるPが通常−8.0≦logP≦−0.4、好ましくは−5.6≦logP≦−0.4、さらに好ましくは−3.3≦logP≦−0.5、最も好ましくは−3.3≦logP≦−0.8を満たすビスマスモリブデート複合金属酸化物である。
logP=log(10(―pH))・・・・(III)
(上記式(III)中、pHは下記工程(A1)における調合液のpHを示す。)
また、logPの上限値は、−0.4であるが、好ましい上限値は−0.5であり、更に好ましくは−0.6であり、特に好ましくは−0.7である。
logPの下限値は、−8.0であるが、好ましい下限値は−5.6であり、更に好ましくは−3.3であり、特に好ましくは−2.7である。
本発明の触媒は、特に制限はないが、式(A)で表される組成の触媒活性成分を含有するのが好ましい。
Mo12BiFeCoNi・・・・(A)
(式中、Xはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムから選ばれるアルカリ金属の少なくとも1種の元素を示し、Yはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムから選ばれるアルカリ土類金属の少なくとも1種の元素を示し、Zはランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、アンチモン、タングステン、鉛、亜鉛、タリウムから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、a、b、c、d、e、f及びgは各々モリブデン12に対する各成分の原子比を示し、通常は0.3<a<3.5、0.6<b<3.4、5<c<8、0<d<3、0<e<0.5、0≦f≦4.0、0≦g≦2.0、好ましくは0.3<a<2.0、0.6<b<2.6、5<c<7、0<d<2.4、0<e<0.2、0≦f≦4.0、0≦g≦2.0、最も好ましくは0.3<a<1.5、0.6<b<2.6、5<c<7、0<d<2.2、0<e<0.1、0≦f≦4.0、0≦g≦2.0の範囲にあり、hは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)。
本発明の触媒を得るための各金属元素の原料としては特に制限はないが、各金属元素を少なくとも一種含む硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、有機酸塩、酢酸塩、炭酸塩、次炭酸塩、塩化物、無機酸、無機酸の塩、ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸の塩、水酸化物、酸化物、金属、合金等、またはこれらの混合物を用いることができる。このうち好ましいのは硝酸塩原料である。硝酸塩原料を用いることにより、本発明のように調合液にアルカリ溶液を添加した場合でも、調合液は共沈または沈殿を生じず、適度な粘度のスラリーとなり、スプレー乾燥による乾燥が可能となり、高い生産性で触媒の製造が可能となり、製造コストを低く抑えることが可能となる。すなわち、本発明では原料において硝酸塩原料またはそれに準ずる酸成分を適度に含んだ原料を使用することにより、上記の通り製造コストを低く抑えることが可能となる。各金属元素の酸成分の含有率としては、各金属元素単独での原料の飽和水溶液のpHで規定でき、−2.0以上10.0以下が好ましく、−1.0以上7.0以下がさらに好ましく、0.0以上5.0以下が最も好ましい。
本発明の触媒の調製法としては特に制限はないが、好ましいのは触媒活性成分を粉末として得た後、有機助剤を添加または使用することなく成形する方法であり、以下に詳細を記載する。なお、以下では各工程の順を好ましい例として記載しているが、最終的な触媒製品を得るための各工程の順番、工程数、各工程の組み合わせについて制限はないものとする。
本発明の製造方法に使用する調合液とは、後述する触媒の製造工程(A1)または(B1)において調製される、触媒活性成分である複合金属酸化物の原料のうち少なくとも一成分を含む混合溶液またはスラリーを意味するものとする。
本発明の触媒の製造方法としては、その詳細は後述するが、下記工程を含むことを特徴とする:
工程(A1):複合金属酸化物の各金属を含有する化合物を含む混合溶液またはスラリーを20℃以上90℃以下の条件化で調製し、該混合溶液またはスラリーのpHを0.3以上8.0以下、好ましくは0.5以上3.4未満に制御するようアルカリ溶液を添加し、スプレー乾燥して乾燥粉体を得る工程。
上記工程(A1)において調合液のpHが高すぎると後述する乾燥噴霧(スプレー乾燥)法においては、触媒活性成分原料が共沈または一部沈殿が生じるために流路での目詰まり等が発生し均一な乾燥粉体が得られない、またはスプレー乾燥設備(スプレードライヤー)が安定して実施できない点が課題として生じうる。調合液のpHが高すぎることによる触媒活性成分原料の共沈または一部沈殿を避ける目的で、公知である分散剤を必要に応じて必要量投入する方法も本発明に包括される。
さらに下記工程を含むことを特徴とする:
工程(A2):工程(A1)で得られた乾燥粉体を予備焼成し、予備焼成粉体を得る工程、
工程(A3):工程(A2)で得られた予備焼成粉体を成形し、成形品を得る工程、
工程(A4):工程(A3)で得られた成形品を本焼成する工程。
工程(A1)調合と乾燥
触媒活性成分原料の混合溶液またはスラリーを調製し、沈殿法、ゲル化法、共沈法、水熱合成法等の工程を経た後、乾燥噴霧(スプレー乾燥、スプレードライ)法、蒸発乾固法、ドラム乾燥法、凍結乾燥法等の公知の乾燥方法を用いて、本発明の乾燥粉体を得る。この混合溶液またはスラリーは、溶媒として水、有機溶剤、またはこれらの混合溶液のいずれでも良く、また適宜混合溶液またはスラリーにpH調整をする目的でアルカリ溶液を添加することが可能であり、触媒活性成分の原料濃度も制限はなく、さらに、この混合溶液またはスラリーの液温、雰囲気等の調合条件および乾燥条件について特に制限はないが、最終的な触媒の性能、機械的強度、成形性や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。このうち本発明において最も好ましいのは、20℃から90℃の条件化で触媒活性成分の原料の混合溶液またはスラリーを形成させ、適宜アルカリ溶液によりpHを調整し、これを噴霧乾燥器に導入して乾燥器出口温度が70℃から150℃、得られる乾燥粉体の平均粒径が10μmから700μmとなるよう熱風入口温度、噴霧乾燥器内部の圧力、およびスラリーの流量を調節する方法である。また、本工程の混合溶液またはスラリーの調製から前記乾燥までにおいて、後述する無機助剤または/および有機助剤を任意の量で添加することも本発明の触媒の製造方法に属するものとする。さらに、上記アルカリ溶液の種類に関しても公知なアルカリ溶液であればその濃度や成分および溶媒に制限はないが、アンモニア水や炭酸アンモニウム水溶液が好ましい。
工程(A2)予備焼成
こうして得られた乾燥粉体を200℃以上600℃以下で予備焼成し、平均粒径が10μmから100μmである予備焼成粉体を得ることができる。この予備焼成の条件に関しても、焼成時間や焼成時の雰囲気について特に制限はなく、焼成の手法も流動床、ロータリーキルン、マッフル炉、トンネル焼成炉など特に制限はなく、最終的な触媒の性能、機械的強度、成形性や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。このうち本発明において最も好ましいのは、トンネル焼成炉において300℃以上600℃以下の範囲で1時間以上12時間以下、空気雰囲気下による方法である。また、本工程の予備焼成前または予備焼成後において、後述する無機助剤または/および有機助剤を任意の量で添加することも本発明の触媒の製造方法に属するものとする。
工程(A3)成形
こうして得られた予備焼成粉体をそのまま触媒として使用することもできるが、成形して使用することもできる。成形品の形状は球状、円柱状、リング状など特に制限されないが、一連の調製で最終的に得られる触媒における機械的強度、反応器、調製の生産効率等を考慮して選択するべきである。成形方法についても特に制限はないが、以下に示す担体や有機助剤、無機助剤、バインダー等を予備焼成粉体に添加して円柱状、リング状に成形する際には打錠成形機や押出成形機などを用い、球状に成形する際には造粒機などを用いて成形品を得る。予備焼成粉体を不活性球状担体に担持した球状の被覆成形品を得る方法が好ましい。
担体の材質としてはアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、ニオビア、シリカアルミナ、炭化ケイ素、炭化物、およびこれらの混合物など公知の物を使用でき、さらにその粒径、吸水率、機械的強度、各結晶相の結晶化度や混合割合なども特に制限はなく、最終的な触媒の性能、成形性や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。担体と予備焼成粉体の混合の割合は、各原料の仕込み質量により、下記式より担持率として算出される。
担持率(質量%)=(成形に使用した予備焼成粉体の質量)/{(成形に使用した予備焼成粉体の質量)+(成形に使用した担体の質量)}×100
無機助剤の添加量は、予備焼成粉体の質量に対して0.1質量%から25質量%であり、0.3質量%から10質量%が好ましく、0.5質量%から5質量%が最も好ましい。また無機助剤の材質および成分組成にも特に制限はないが、たとえばEガラスのような無アルカリガラスや、シラン処理等各種化学的な不活性化処理を行ったガラスが、触媒反応に対する副生成物の生成などの悪影響を与えない点でより好ましい。また、無機助剤は、成形の前に粉砕工程を実施しても良く、粉砕の方法としては特に制限はないが、例えばボールミル、ロッドミル、SAGミル、ジェットミル、自主粉砕ミル、ハンマーミル、ペレットミル、ディスクミル、ローラーミル、高圧粉砕ロール、VSIミルなどを単独または組み合わせて実施され、この粉砕の対象は無機助剤単独でもよいが、予備焼成粉体その他成形工程に添加される触媒原料を混合したものでもよい。
本発明の触媒に使用する無機助剤とは、主に600℃の熱処理においても焼失しない任意の無機物による任意の形状の助剤であり、後述する本焼成工程によりそのすべてが焼失しないものとする。無機助剤は、後述する本焼成工程においても残留するため、予備焼成粉体同士を結びつける役割があり、破損にかかる負荷が触媒に生じた際にも破損を抑制する効果が生じる。本発明において無機助剤の材質としてモース硬度は特に限定されないが、たとえば任意の硫化鉱物、酸化鉱物、ハロゲン化鉱物、無機酸塩鉱物、有機鉱物等を単独または組み合わせたものをガラス転移温度以上で熱処理したもののうちモース硬度が2以上のものが好ましく、これら材質の原料としては無機酸塩鉱物がさらに好ましい。また無機助剤に対して、酸処理、アルカリ処理、およびシラン処理等を各々単独または組み合わせて実施することで、触媒反応に不活性となる点で好適となる。
本発明の触媒に使用する有機助剤とは、主に200℃以上600℃以下の熱処理により焼失する有機物よりなる任意の粉状、顆粒状、繊維状、鱗片状の助剤とし、後述する本焼成工程によりその一部またはすべてが焼失するものとし、たとえばポリエチレングリコールや各種エステルなどの重合物またはポリマービーズ、高吸水性樹脂の乾燥体または任意の吸水率による吸水物、各種界面活性剤、小麦粉または精製デンプン等の各種デンプン類、および結晶性またはアモルファス状のセルロースおよびその誘導体、が挙げられる。
ここで、本発明の触媒に使用するバインダーとは、その分子直径が予備焼成粉体の平均粒径に対して0.001以下の範囲である化合物群からなる単独または組み合わせにより構成される液体とし、例えば次のようなものが挙げられる。すなわち、液状の有機溶剤、有機物の分散体、水溶性有機溶剤、およびそれらと水の任意の割合での混合物であり、特に制限はないが、グリセリン等の多価アルコールの水溶液またはイオン交換水が好ましく、さらにイオン交換水が成形性の観点から最も好ましい。バインダーは水または有機物を含むため、後述する本焼成工程にてその一部またはすべてが焼失するが、一般にバインダーに使用される有機物の分子直径は予備焼成粉体の平均粒径と比較すると十分に小さい。また、このバインダーに前記触媒原料の溶液を使用することで、工程(A1)とは異なる態様で触媒の最表面に元素を導入することも可能である。
コーティングによる担持成形の方法としてバインダーの使用量は、予備焼成粉体100質量部に対して2質量部から60質量部であり、10質量部から50質量部がより好ましい。本発明の反応は酸化的脱水素であり発熱反応であるため、触媒内部の放熱のため、さらには生成した共役ジオレフィンの効率的な拡散による、コーク状物質の生成および/または滞留の抑制のため、担持成形が最も好ましい成形方法である。
工程(A4)本焼成
このようにして得られた予備焼成粉体または成形品は、比表面積パラメータSを特定の範囲内にするために反応に使用する前に200℃以上600℃以下、好ましくは400℃以上600℃以下、さらに好ましくは500℃以上600℃以下で再度焼成(本焼成)することが好ましい。本焼成に関しても、焼成時間や焼成時の雰囲気について特に制限はなく、焼成の手法も流動床、ロータリーキルン、マッフル炉、トンネル焼成炉など特に制限はなく、最終的な触媒の性能、機械的強度や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。このうち本発明において最も好ましいのは、トンネル焼成炉において480℃以上600℃以下、好ましくは500℃以上580℃以下、さらに好ましくは510℃以上550℃以下、最も好ましくは515℃以上535℃以下の温度範囲で1時間から12時間、好ましくは1時間から8時間、さらに好ましくは2時間から6時間、好ましくは空気雰囲気下による方法である。
次に、以下では(B)法による触媒調製方法を記載する。以下では各工程を順に記載しているが、最終的な触媒を得るための各工程の順番、工程数、各工程の組み合わせについて制限はないものとする。
工程(B1)含浸
触媒活性成分が導入された溶液またはスラリーを調製し、ここに成形担体または(A)法で得た触媒を含浸させ、成形品を得る。ここで、含浸による触媒活性成分の担持手法はディップ法、インシピエントウェットネス法、イオン交換法、pHスイング法など特に制限はなく、前記溶液または前記スラリーの溶媒として水、有機溶剤、またはこれらの混合溶液のいずれでも良く、触媒活性成分の原料濃度も制限はなく、さらに、前記混合溶液または前記スラリーの液温、液にかかる圧力、液の周囲の雰囲気についても特に制限はないが、最終的な触媒の性能、機械的強度、成形性や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。また、前記成形担体および前記(A)法で得た触媒のいずれも形状は球状、円柱状、リング状、粉末状など特に制限はなく、さらに材質、粒径、吸水率、機械的強度も特に制限はない。
工程(B2)乾燥
こうして得られた前記成形品を、蒸発乾固法、ドラム乾燥法、凍結乾燥法等の公知の乾燥方法を用いて20℃以上200℃以下の範囲において熱処理を行い、本発明の触媒成形乾燥体を得る。焼成時間や焼成時の雰囲気について特に制限はなく、焼成の手法も流動床、ロータリーキルン、マッフル炉、トンネル焼成炉など特に制限はなく、最終的な触媒の性能、機械的強度、成形性や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。
工程(B3)本焼成
こうして得られた前記触媒成形乾燥体を、蒸発乾固法、ドラム乾燥法、凍結乾燥法等の公知の乾燥方法を用いて200℃以上600℃以下、好ましくは400℃以上600℃以下、さらに好ましくは500℃以上600℃以下で熱処理を行い、本発明の触媒を得る。ここで、焼成時間や焼成時の雰囲気について特に制限はなく、焼成の手法も流動床、ロータリーキルン、マッフル炉、トンネル焼成炉など特に制限はなく、最終的な触媒の性能、機械的強度、成形性や生産効率等を考慮して適切な範囲を選択されるべきである。このうち本発明において最も好ましいのは、トンネル焼成炉において480℃以上600℃以下、好ましくは500℃以上580℃以下、さらに好ましくは510℃以上550℃以下、最も好ましくは515℃以上535℃以下の温度範囲で1時間から12時間、好ましくは1時間から8時間、さらに好ましくは2時間から6時間、好ましくは空気雰囲気下による方法である。
本発明において全製造工程とは、触媒原料から本発明の触媒を得るまでの、工程(A1)から工程(A4)および工程(B1)から工程(B3)の単独または組み合わせによる全ての工程である。本発明において成形工程とは、工程(A3)のうちその一部またはその全部である。
以上の調製により得られた触媒は、その形状やサイズに特に制限はないが、反応管への充填の作業性と充填後の反応管内の圧力損失等を勘案すると、形状は球形状、平均粒径は2.0mmから10.0mm、好ましくは3.0mmから8.0mm、より好ましくは3.5mmから6.5mmであり、また触媒活性成分の担持率は20質量%から90質量%、より好ましくは25質量%から80質量%、さらに好ましくは30質量%から75質量%となる。
[調合液のpHの測定]
pHの測定方法に関しては、公知である方法を適用すればその制限はないが、例えば次の方法が挙げられる。HANNA製pHep5を、pH4.01および7.01のpH標準液により2点校正し、測定対象に10秒以上浸漬させ浸漬中にそのpHを確認する。この作業を1セットとし、測定箇所を変えて2セット以上確認したpHを平均化し、その触媒の調合液のpHとする。校正は、必要に応じてpH10.01のpH標準液を加えて3点校正とし、また校正から測定作業までの時間間隔が3時間以上経過した場合には再校正することとする。
本発明の触媒を使用すれば、炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを製造するプロセス、特にn−ブテン原料から酸化脱水素反応によりブタジエンを製造するプロセスにおいて、高活性かつ高収率でブタジエンを得ることが可能である。
本発明の触媒を使用して炭素原子数4以上のモノオレフィンから共役ジオレフィンを製造する反応の条件は、原料ガス組成として1容量%から20容量%のモノオレフィン、5容量%から20容量%の分子状酸素、0容量%から60容量%の水蒸気及び0容量%から94容量%の不活性ガス、例えば窒素、炭酸ガスを含む混合ガスを用い、反応浴温度としては200℃から500℃の範囲であり、反応圧力としては常圧から10気圧の圧力下、本発明の触媒成形体に対する原料ガスの空間速度(GHSV)は350hr−1から7000hr−1の範囲、より好ましくは500hr−1から4000hr−1の範囲となる。反応の形態として固定床、移動床、および流動床の中で制約はないが、固定床が好ましい。さらにn−ブテンに含まれる1−ブテンのモル組成比は0以上90未満、好ましくは0以上30未満、より好ましくは0以上10未満であり、シス−2−ブテンのモル組成比は0以上90未満、好ましくは1以上60未満、より好ましくは1以上40未満であり、トランス−2−ブテンのモル組成比は0以上90未満、好ましくは1以上80未満、より好ましくは1以上70未満である。また、ブテン原料には調達元によりn−ブタンが含まれることがあるが、n−ブタンは前記反応浴温度領域にて本発明の触媒のようなビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒においては反応性がなく、前記不活性ガスと同様に扱うこととし、そのモノオレフィンにおけるモル組成比は0以上90未満、好ましくは0以上50未満、さらに好ましくは0以上10未満である。
本発明の触媒を炭素原子数4以上のモノオレフィンから共役ジオレフィンを製造する反応、特にn−ブテンからブタジエンを製造する反応において使用することで、高活性かつ高収率で共役ジオレフィンを製造することができ、これらの結果として公知のブタジエン製造プロセスと比較して、本プロセスによるブタジエンの価格競争力の向上が期待できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、%は特に断りがない限りモル%を意味する。また、以下においてn−ブテン転化率、ブタジエン収率、TOSの定義とは、以下の通りである。
n−ブテン転化率(モル%)=(反応したn−ブテンのモル数/供給したn−ブテンのモル数)×100
ブタジエン収率(モル%)=(生成したブタジエンのモル数/供給したn−ブテンのモル数)×100
TOS=混合ガス流通時間(時間)
実施例1(触媒1の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液413質量部を母液1に加え、pHを2.2とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.99であり、Mが0.47、logPが−2.2である本発明の触媒1を得た。
実施例2 (触媒2の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて、以下の方法にて乾燥させた。スプレードライヤーの投入口の前段にてスプレードライヤー直前のpHが2.0となるよう16質量%の炭酸アンモニウム水溶液373質量部を、母液1および炭酸アンモニウム水溶液が各々一定の流量比になるようポンプで制御して配管内にて母液1と炭酸アンモニウム水溶液を混合し、混合からスプレードライヤー投入までの滞留時間を10秒とした。こうして得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.18であり、Mが0.52、logPが−2.0である本発明の触媒2を得た。
実施例3 (触媒3の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液413質量部を母液1に加え、pHを2.2とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.90であり、Mが0.44、logPが−2.2である本発明の触媒3を得た。
実施例4 (触媒4の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて、以下の方法にて乾燥させた。スプレードライヤーの投入口の前段にてスプレードライヤー直前のpHが1.6となるよう16質量%の炭酸アンモニウム水溶液280質量部を、母液1および炭酸アンモニウム水溶液が各々一定の流量比になるようポンプで制御して配管内にて母液1と炭酸アンモニウム水溶液を混合し、混合からスプレードライヤー投入までの滞留時間を10秒とした。こうして得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.16であり、Mが0.48、logPが−1.6である本発明の触媒4を得た。
実施例5 (触媒5の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加えた。この母液1をスプレードライ法にて、以下の方法にて乾燥させた。スプレードライヤーの投入口の前段にてスプレードライヤー直前のpHが2.1となるよう16質量%の炭酸アンモニウム水溶液395質量部を、母液1および炭酸アンモニウム水溶液が各々一定の流量比になるようポンプで制御して配管内にて母液1と炭酸アンモニウム水溶液を混合し、混合からスプレードライヤー投入までの滞留時間を10秒とした。こうして得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.22であり、Mが0.49、logPが−2.1である本発明の触媒5を得た。
実施例6(触媒6の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液508質量部を母液1に加え、pHを2.6とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.48であり、Mが0.60、logPが−2.6である本発明の触媒6を得た。
実施例7(触媒7の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液424質量部を母液1に加え、pHを2.2に調製した。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.37であり、Mが0.48、logPが−2.2である本発明の触媒7を得た。
実施例8(触媒8の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液655質量部を母液1に加え、pHを3.3とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.28であり、Mが0.94、logPが−3.3である本発明の触媒8を得た。
比較例1(触媒9の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄297質量部、硝酸コバルト718質量部及び硝酸ニッケル264質量部を60℃に加温した純水678mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ、母液1に加え、pHを0.3とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.0:6.5:2.4:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.66であり、Mが0.34、logPが−0.3である比較用の触媒9を得た。
実施例9(触媒10の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33mlに溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722mlに溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181mlに硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液413質量部を母液1に加え、pHを2.2とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.83であり、Mが0.46、logPが−2.2である本発明の触媒10を得た。
実施例10(触媒11の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム1.5質量部及び硝酸カリウム1.5質量部を純水34質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに9.5質量%のアンモニウム水溶液246質量部を母液1に加え、pHを2.1とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs:K=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.02:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、520℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.98であり、Mが0.35、logPが−2.1である本発明の触媒11を得た。
比較例2(触媒12の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液500質量部を母液1に加え、pHを2.6とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.59であり、Mが0.91、logPが−2.6である本発明の触媒12を得た。
比較例3(触媒13の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液555質量部を母液1に加え、pHを2.8とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.77であり、Mが0.52、logPが−2.8である本発明の触媒13を得た。
比較例4(触媒14の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム4.3質量部を純水49質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液419質量部を母液1に加え、pHを2.2とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.06)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.56であり、Mが0.49、logPが−2.2である本発明の触媒14を得た。
比較例5(触媒15の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液456質量部を母液1に加え、pHを2.4とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.75であり、Mが0.44、logPが−2.4である本発明の触媒15を得た。
比較例6(触媒16の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、pHを0.3とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.57であり、Mが0.51、logPが−0.3である本発明の触媒16を得た。
比較例7(触媒17の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム2.9質量部を純水33質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄381質量部、硝酸コバルト762質量部及び硝酸ニッケル220質量部を60℃に加温した純水722質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス170質量部を60℃に加温した純水181質量部に硝酸(60質量%)43質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液554質量部を母液1に加え、pHを2.8とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:0.9:2.5:6.9:2.0:0.04)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが1.61であり、Mが0.75、logPが−2.8である本発明の触媒17を得た。
比較例8(触媒18の調製)
ヘプタモリブデン酸アンモニウム800質量部を80℃に加温した純水3000質量部に完全溶解させた(母液1)。次に、硝酸セシウム6.9質量部を純水78質量部に溶解させて、母液1に加えた。次に、硝酸第二鉄316質量部、硝酸コバルト764質量部及び硝酸ニッケル294質量部を60℃に加温した純水729質量部に溶解させ、母液1に加えた。続いて硝酸ビスマス186質量部を60℃に加温した純水197質量部に硝酸(60質量%)47質量部を加えて調製した硝酸水溶液に溶解させ母液1に加え、さらに16質量%の炭酸アンモニウム水溶液338質量部を母液1に加え、pHを1.8とした。前述の母液1をスプレードライ法にて乾燥し、得られた乾燥粉体を440℃、5時間の条件で予備焼成した。こうして得られた予備焼成粉体(仕込み原料から計算される原子比はMo:Bi:Fe:Co:Ni:Cs=12:1.0:2.1:7.0:2.7:0.09)に対して5質量%分の結晶性セルロースを添加し、十分混合した後、転動造粒法にてバインダーとして33質量%グリセリン溶液を予備焼成粉体に対して33質量%用い、不活性の担体に、担持率が50質量%となるように球状に担持成形した。こうして得られた粒径4.4mmの球状成形品を、530℃、5時間の条件で焼成し、Sが0.73であり、Mが0.43、logPが−1.8である本発明の触媒8を得た。
上記実施例および比較例で得られた触媒を、以下の方法により反応評価した。各触媒53mlをステンレス鋼反応管に充填し、ガス体積比率がn−ブテン:酸素:窒素:水蒸気=1:1:7:1の混合ガスを用い、常圧下、GHSV1200hr−1の条件で、反応浴温度330℃にてTOS20時間以上のエージング反応後、反応管出口で、コンデンサーにより液成分とガス成分を分離し、ガス成分中の各成分を各々水素炎イオン化検出器と熱伝導検出器が装着されたガスクロマトグラフで定量分析した。ガスクロマトグラフにより得られた各データはファクター補正し、n−ブテン転化率、ブタジエン収率を算出した。なお、本反応で使用したn−ブテンのモル組成比は、1−ブテン:シス−2−ブテン:トランス−2−ブテン=0:32:68であった。
表1に実施例1〜8、比較例1、および対応する試験例と比較試験例による反応浴温度330℃におけるn−ブテン転化率、ブタジエン収率の結果を示す。表1より明らかなように、本発明により高いGHSVかつn−ブテン濃度の条件にもかかわらず、n−ブテン転化率およびブタジエン収率が共に高い触媒を得ることができた。
Figure 2018199127
表2に上記実施例1〜8、比較例1、実施例9〜10、及び比較例2〜8 の表1と同様の試験結果を示す。ガスクロマトグラフ測定時のファクターの測定方法が出口ガス組成を模した混合ガスによりファクター補正し、n−ブテン転化率、ブタジエン収率を算出したため、表1と異なる転化率、ブタジエン収率を示している。
Figure 2018199127
表1、2の結果より、本願発明の構成を充足する実施例1〜10はBT330℃におけるn−ブテン転化率、ブタジエン収率共に高いことが確認された。
本発明によれば、炭素原子数4以上のモノオレフィンと分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィンを高活性かつ高収率で製造することが可能である。

Claims (6)

  1. 下記式(I)で表される比表面積パラメータSの値が0.80≦S≦1.48であるビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒。
    S=(Sa(BET))÷(Sa(Hg))・・・(I)
    (式中、Sa(BET)はガス吸着法で得た比表面積値、Sa(Hg)は水銀圧入法で得た比表面積値(単位:m/g)を示す。)
  2. メジアン細孔直径Mの値(単位:μm)が0.35≦M≦0.94である請求項1に記載のビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒。
  3. 炭素原子数4以上のモノオレフィン化合物と分子状酸素を含む混合ガスから接触酸化脱水素反応により共役ジオレフィン化合物を製造するための請求項1または2に記載の触媒。
  4. 下記工程を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の触媒の製造方法、
    工程(A1):複合金属酸化物の各金属を含有する化合物を含む混合溶液またはスラリーを20℃以上90℃以下の条件化で調製し、該混合溶液またはスラリーのpHを0.5以上8.0以下に制御するようアルカリ溶液を添加し、スプレー乾燥して乾燥粉体を得る工程、
    工程(A2):工程(A1)で得られた乾燥粉体を予備焼成し、予備焼成粉体を得る工程、
    工程(A3):工程(A2)で得られた予備焼成粉体を成形し、成形品を得る工程、
    工程(A4):工程(A3)で得られた成形品を本焼成する工程。
  5. 予備焼成の温度が200℃以上600℃以下であり、本焼成温度が200℃以上600℃以下である請求項4に記載の触媒の製造方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の触媒を用いる共役ジオレフィン化合物の製造方法。
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