JP2013202459A - 複合金属酸化物触媒及び共役ジエンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】モノオレフィンの酸化反応により生成物を得る際に使用する複合金属酸化物触媒において、触媒成分の一つであるモリブデン成分の揮散が少なく、コーキングが発生を抑制できる複合金属酸化物触媒、及びそれを用いた共役ジエンの製造方法を提供する。
【解決手段】モノオレフィンの酸化反応を行い対応する生成物を製造する際に用いる複合金属酸化物触媒であって、式(1)で表現される成分組成と式(2)で定義されるX線回折ピークの相対強度を有することを特徴とする複合金属酸化物触媒。
MoaBibCocNidFeefghSiij (1)
0.1<R(=P/P)<0.8 (2)
【選択図】なし

Description

本発明はモノオレフィン類の気相接触酸化脱水素反応に用いる複合金属酸化物触媒に関する。詳しくは炭素原子数4以上のモノオレフィンから共役ジエンを製造する際に用いられる複合金属酸化物触媒及びその触媒を使用して炭素原子数4以上のモノオレフィンから共役ジエンを製造する方法に関する。
n−ブテン等のモノオレフィンを触媒の存在下に酸化脱水素反応させてブタジエン等の共役ジエンを製造する方法は、従来から知られており、n−ブテンの気相接触酸化脱水素反応によるブタジエンの工業的規模の製造方法として、ナフサ分解で副生するC留分(C炭化水素混合物。以下、「BB」と称す場合がある。)からのブタジエンの抽出分離プロセスにおいて、抽出蒸留塔でブタジエンを分離して得られた、1−ブテンの他、2−ブテン、ブタン等を含む混合物(以下、この混合物を「BBSS]と称す場合がある。)中に含まれるブテンからブタジエンを製造する方法が知られている。
この反応に使用される触媒の一つとして、複合金属酸化物触媒が知られており、例えば、特許文献1には、モリブデンを含有する複合酸化物触媒が記載されている。そして、特許文献1には、当該複合金属酸化物触媒を用いた接触気相酸化反応においては、通常反応の化学量論量より過剰の酸素を存在させると、副反応を促進し、副生成物や更に重質の炭素含有割合の高いカーボンの生成を引き起こし、最終的には触媒層のコーキングを引き起こすため、特定条件の水蒸気を予め触媒に供給しておくことで、水蒸気に含まれる水分子が酸素、反応原料の濃度を下げ、触媒上の吸着物の脱着も促進するので、副反応を抑制し、副生成物やカーボンの生成を抑制する事が出来ることも記載されている。
また、モリブデンを含有する複合金属酸化物触媒は、反応系に水蒸気が存在する場合、触媒を構成するモリブデン成分が昇華しやすいことが知られており、特許文献2では、Fe/(Co+Ni)比を一定にして、CoとNiの量を変化させた複数種類のモリブデン−ビスマス−鉄系複合金属酸化物触媒を使用し、固定床式反応器の原料ガス入り口側から出口側に向かって、複数種類の複合酸化物触媒のCo/(Co+Ni)の量比が小さくなるように充填することにより、反応器内を2層以上の反応帯域に分割して、プロピレンの酸化反応を行う方法が提案されている。
特開2009−263352号公報 特開2003−146920号公報
上記特許文献1〜2には、ブテンの酸化脱水素反応によるブタジエンを製造する際に、触媒としてモリブデンを含有する複合金属酸化物触媒を使用して、連続的にブタジエンを製造する場合、触媒から揮発したモリブデン成分が反応器内に付着すると、その付着した箇所からコーキングが始まることは記載されては無いが、ブテンの酸化脱水素反応によるブタジエンの製造の際に用いるモリブデンを含有する複合金属酸化物から揮散するモリブデン成分が、反応器内のコーキングを引き起こす原因となり、原料ガスを供給し続けて反応を継続するとコーキングにより反応器の閉塞が起こる恐れがある、という問題が判明した。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、n−ブテン等のモノオレフィンの気相接触酸化脱水素反応によりブタジエン等の共役ジエンを製造する際に使用する複合金属酸化物触媒において、触媒成分の一つであるモリブデン成分の揮散が少なく、コーキングが発生を抑制できる複合金属酸化物触媒、及び共役ジエンを製造するにあたり、安定的にn−ブテン等のモノオレフィンの気相接触酸化脱水素反応を継続できる共役ジエンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、複合金属酸化物触媒、中でもモリブデンを必須成分として含み、ビスマス、及び、コバルト又はニッケル、そして必要に応じてシリカを含む複合金属酸化物触媒について鋭意検討した結果、ブテンの気相接触酸化脱水素反応によるブタジエン製造用の触媒として使用する場合、複合金属酸化物触媒中の特定の結晶性酸化物が存在する触媒を用いる時に触媒中のモリブデン成分の揮散が少なく、その結果、反応器内のコーキングが抑制でき、更に安定的に気相酸化脱水素反応を継続できる事を見出した。
即ち、本発明の要旨は、以下の[1]〜[4]に存する。
[1] モノオレフィンの酸化反応を行い対応する生成物を製造する際に用いる複合金属酸化物触媒であって、式(1)で表現される成分組成と式(2)で定義されるX線回折ピークの相対強度を有することを特徴とする複合金属酸化物触媒。
MoaBibCocNidFeefghSiij (1)
0.1<R(=P/P)<0.8 (2)
(式(1)において、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、
セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜3、g=0〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
(式(2)において、PとPは、それぞれX線回折図における回折角2θが26.4°と28.2°のピークの強度であり、Rは相対強度である。)
[2] 前記組成式(1)において、a=12のとき、b=0.1〜2であることを特徴とする[1]に記載の複合金属酸化物触媒。
[3] 前記モノオレフィンがブテンであり、前記生成物がブタジエンであることを特徴とする[1]又は[2]に記載の複合金属酸化物触媒。
[4] 触媒の存在下、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応を行うことにより、対応する共役ジエンを製造するにあたり、該触媒が式(1)で表現される成分組成と式(2)で定義されるX線回折ピークの相対強度を有する複合金属酸化物触媒であることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
MoaBibCocNidFeefghSiij (1)
0.1<R(=P/P)<0.8 (2)
(式(1)において、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、
セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12
のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜3、g=0〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
(式(2)において、PとPは、それぞれX線回折図における回折角2θが26.4°と28.2°のピークの強度であり、Rは相対強度である。)
本発明によれば、モリブデン成分の揮散が少なく、コーキングの低減が出来る、n−ブテン等のモノオレフィンの気相接触酸化脱水素反応によりブタジエン等の共役ジエンを製造するのに最適な複合金属酸化物触媒を得ることができ、そして、目的反応物の収率及び選択率等を低下させることなく、n−ブテン等のモノオレフィンの気相接触酸化脱水素反応によるブタジエン等の共役ジエンを製造するための気相酸化脱水素反応を安定的に継続することができる。
本発明の比較例1の複合金属酸化物触媒のX線回折図である。 本発明の実施例1の複合金属酸化物触媒のX線回折図である。 本発明の実施例2の複合金属酸化物触媒のX線回折図である。 本発明の実施例3の複合金属酸化物触媒のX線回折図である。 本発明の実施例で使用した装置の概略図である。 本発明の実施例で使用した装置の概略図である。
以下において、この発明について詳細に説明する。
[複合金属酸化物触媒]
本発明の複合金属酸化物触媒は、下記組成式(1)で示される成分組成であることを特徴とする。
MoaBibCocNidFeefghSiij (1)
(式(1)中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜3、g=0〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
また、この複合金属酸化物触媒は、この複合金属酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造する方法であって、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種と、必要に応じてシリカとを含む原料化合物水溶液又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、該触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造されたものであることが好ましく、このような方法で製造された複合金属酸化物触媒であれば、その高い触媒活性で高収率でブタジエン等の共役ジエンを製造することが
次に本発明に好適な複合金属酸化物触媒の製造方法について説明する。
この複合金属酸化物触媒の製造方法においては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a)相当のモリブデンであり、前
記後工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からaを差し引いた残りの原子比(a)相当のモリブデンであることが好ましい。また、前記aが1<a/(c+d+e)<3を満足する値であることが好ましい。さらに、前記aが0<a/b<8を満足する値であることが好ましい。
上記成分元素の供給源化合物としては、成分元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、アセチルアセトナート、アルコキシド等が挙げられ、その具体例としては、下記のようなものが挙げられる。
Moの供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が挙げられる。
Feの供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。
Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。
Niの供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
Siの供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
Biの供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。また、X成分(Mg,Ca,Zn,Ce,Smの1種又は2種以上)やY成分(Na,K,Rb,Cs,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、BiとX成分やY成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。
例えば、Y成分としてNaを用いた場合、BiとNaとの複合炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液等に、硝酸ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
また、BiとX成分との複合炭酸塩化合物は、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの水溶液等に、硝酸ビスマス及びX成分の硝酸塩等の水溶性化合物からなる水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
上記炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの代わりに、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを用いると、Bi、Na及びX成分との複合炭酸塩化合物を製造することができる。
その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。
Kの供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等を挙げることができる。
Rbの供給源化合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等を挙げることができる。
Csの供給源化合物としては、硝酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム等を挙げることができる。
Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等を挙げることができる。
Bの供給源化合物としては、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸等を挙げることができる。
Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。
Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等を挙げることができる。
Wの供給源化合物としては、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、リンタングステン酸等を挙げることができる。
Mgの供給源化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
Znの供給源化合物としては、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。
Ceの供給源化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。
Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。
前工程において用いる原料化合物水溶液は、触媒成分として少なくともモリブデン(全原子比aの内のa相当)、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一方、及びシリカを含む水溶液、水スラリー又はケーキである。
この原料化合物水溶液の調製は、供給源化合物の水性系での一体化により行われる。ここで各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合及び/又は熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)上記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)上記の各供給源化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、一定時間とは、通常10分〜24時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。
上記の一体化の具体的な方法としては、例えば、触媒成分から選ばれた酸性塩を混合して得られた溶液と、触媒成分から選ばれた塩基性塩を混合して得られた溶液とを混合する方法等が挙げられ、具体例としてモリブデン化合物の水溶液に、鉄化合物とニッケル化合物及び/又はコバルト化合物との混合物を加温下添加し、シリカを混合する方法等が挙げられる。
このようにして得られたシリカを含む原料化合物水溶液(スラリー)を60〜90℃に加温し、熟成する。
この熟成とは、上記触媒前駆体用スラリーを所定温度で所定時間、撹拌することをいう。この熟成により、スラリーの粘度が上昇し、スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる。
上記熟成における温度は、60〜90℃が好ましく、70〜85℃がより好ましい。熟成温度が60℃未満では、熟成の効果が十分ではなく、良好な活性を得られない場合がある。一方、90℃を超えると、熟成時間中の水の蒸発が多く、工業的な実施には不利である。更に100℃を超えると、溶解槽に耐圧容器が必要となり、また、ハンドリングも複
雑になり、経済性及び操作性の面で著しく不利となる。
上記熟成にかける時間は、2〜12時間がよく、3〜8時間が好ましい。熟成時間が2時間未満では、触媒の活性及び選択性が十分に発現しない場合がある。一方、12時間を超えても熟成効果が増大することはなく、工業的な実施には不利である。
上記撹拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、撹拌翼を有する撹拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
熟成されたスラリーは、そのままで、又は乾燥した後、加熱処理を行う。乾燥する場合の乾燥方法及び得られる乾燥物の状態については特に限定はなく、例えば、通常のスプレードライヤー、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体状の乾燥物を得てもよいし、また、通常の箱型乾燥器、トンネル型焼成炉を用いてブロック状又はフレーク状の乾燥物を得てもよい。
上記の原料塩水溶液又はこれを乾燥して得た顆粒あるいはケーキ状のものは空気中で200〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度域で短時間の熱処理を行う。その際の炉の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型加熱炉、トンネル型加熱炉等を用いて乾燥物を固定した状態で加熱してもよいし、また、ロータリーキルン等を用いて乾燥物を流動させながら加熱してもよい。
加熱処理後に得られた触媒前駆体の灼熱減量は、0.5〜5重量%であることが好ましく、1〜3重量%であるのがより好ましい。灼熱減量をこの範囲とすることで、原料転化率や選択率が高い触媒を得ることができる。なお、灼熱減量は、前記のように、次式により与えられる値である。
灼熱減量(%)=[(W−W)/W]×100
:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)
:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の
重量(g)
前記の後工程では、上記の前工程において得られる触媒前駆体とモリブデン化合物(全原子比aからa相当を差し引いた残りのa相当)とビスマス化合物の一体化を、水性溶媒下で行う。この際、アンモニア水を添加するのが好ましい。X、Y、Z成分の添加もこの後工程で行うのが好ましい。また、この発明のビスマス供給源化合物は、水に難溶性ないし不溶性のビスマスである。この化合物は、粉末の形態で使用することが好ましい。触媒製造原料としてのこれら化合物は粉末より大きな粒子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行うべきである。
次に、得られたスラリーを充分に撹拌した後、乾燥する。このようにして得られた乾燥品を、押出し成型、打錠成型、あるいは担持成型等の方法により任意の形状に賦形する。次に、このものを、好ましくは450〜650℃の温度条件にて1〜16時間程度の最終熱処理に付す。
本発明の複合金属酸化物触媒は、式(2)で定義されるX線回折ピークの相対強度を持つ事を特長としている。
0.1<R(=P/P)<0.8 (2)
(式(2)において、PとPは、それぞれX線回折図における回折角2θが26.4°と28.2°のピークの強度であり、Rは相対強度である。)
ここで、X線回折図(XRDと略記する)の回折角2θは、Cu-Kα線を用いて測定され
る角度であり、PとPは、それぞれ、2θが26.4°±0.3、28.2°±0.3のピーク強度である。これらの2つのピーク強度は、管電圧40kV、管電流40mA、発散スリット1度、散乱スリット1度、受光スリット0.15mm、スキャン速度1.2度/分およびサンプリング幅0.02度の条件下で測定した時に得られるXRD上のピークについて、以下のように定義される。
便宜上、後述の比較例1の触媒について、上記条件下に測定して得たX線回折図(図1)を用いて定義を説明する。ピーク強度PとPは図1において、それぞれ線分CとCの長さである。HとHは、それぞれ、2θが26.4°±0.3と28
.2°±0.3のピークの頂点である。B、B、B3およびB4は、それぞれ、2θが
26.1°±0.3の範囲、26.8°±0.3の範囲、27.5°±0.3の範囲および28.7±0.3の範囲におけるXRDの接線の傾きが、2θ軸を基準にして、負から正に変化する点かまたは0に収束する点である。CはHから2θ軸に下ろした垂線と線分B、Bの交点であり、そして、CはHから2θ軸に下ろした垂線と線分B、Bの交点である。式(1)の成分組成で示される触媒で且つ式(2)によって定義される相対強度Rが0.1より大きく0.8より小さい複合金属酸化物触媒は、触媒成分中のモリブデン成分の揮散が少なく、それによるコーキングの発生が抑制された触媒である。
相対強度Rを0.1より大きく且つ0.8未満にする手段としては、触媒調製時に適切な元素比を選ぶこと、触媒製造時の最終熱処理の温度の調節すること、又は式(2)の成分組成の触媒を得た後、その触媒を更に水蒸気の存在下で熱処理する事で相対強度Rを0.1より大きく且つ0.8未満とすることができる。また、必要に応じて、これらの手段を組み合わせて相対強度Rを調整してもよい。中でも、操作の簡便さから、又は式(2)の成分組成の触媒を得た後、その触媒を更に水蒸気の存在下で熱処理することでRの範囲を調節することが好ましい。
触媒製造時の最終熱処理の熱処理温度が高くなるとRは小さくなる傾向があるが、温度が高すぎると触媒の性能が低下する傾向があるので、通常450〜650℃、好ましくは400〜600℃の範囲で行うのが良い。また、得られた触媒を更に水蒸気の存在下で熱処理する場合、温度としては、通常450〜650℃であり、好ましくは400〜600℃、更に好ましくは400〜550℃の範囲で行うのが良い。なお、このときに共存させる水蒸気の濃度としては、結露しない範囲ならば任意であるが、水蒸気濃度が高い方がRが高くなる傾向があるので、水蒸気濃度は0〜99%、好ましくは30〜90%、更に好ましくは40〜85%で行うのが好ましい。また、水蒸気の存在下での熱処理を行う時間としては、触媒製造効率の観点から、通常、3〜700時間、好ましくは、5〜500時間、更に好ましくは5〜400時間である。この時間が長くなればなるほど、触媒を製造するコストが高くなる傾向にあり、短くなるほど、必要なRが得られなくなる傾向にある
本発明の複合金属酸化物触媒は、モノオレフィンの酸化反応に使用される。酸化反応の例として、例えば、モノオレフィンとしてプロピレンを使用し生成物としてアクロレインを得る反応、モノオレフィンとしてイソブテンを使用し生成物としてメタクロレインを得る反応、モノオレフィンとしてプロピレンを使用して生成物としてアクリロニトリルを得るアンモ酸化反応、又はモノオレフィンとしてブテンを使用して生成物としてブタジエンを得る酸化脱水素反応などがある。中でも、コーキングの抑制効果が顕著であるという観点から、モノオレフィンとしてブテンを使用して生成物としてブタジエンを得る酸化脱水素反応に好適に使用できる。
[共役ジエン製造方法]
本発明の共役ジエンの製造方法は、ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−ブテン、イソブテン)、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応による対応する共役ジエンの製造に有効に適用することができる。この中でも、ブテン、更には、n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)からのブタジエンの製造に最も好適に用いられる。
本発明の原料ガスは、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含むが、原料ガスとしては、単離した炭素原子数4以上のモノオレフィンそのものを使用する必要はなく、必要に応じて任意の混合物の形で用いることができる。例えばブタジエンを得ようとする場合には高純度のn−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)を原料ガスとすることもできるが、前述のナフサ分解で副生するC留分(BB)からブタジエン及びイソブテンを分離して得られるn−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)を主成分とするブテン留分を使用することもできる。また、エチレンの2量化により得られる高純度の1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン又はこれらの混合物を含有するガスを原料ガスとして使用しても差し支えない。尚、このエチレンはエタン脱水素、エタノール脱水、又はナフサ分解などの方法で得られるエチレンを使用することができる。更に、石油精製プラントなどで原油を蒸留した際に得られる重油留分を、流動層状態で粉末状の固体触媒を使って分解し、低沸点の炭化水素に変換する流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking)から得られる炭素原子数4の炭化水素類を多く含むガス(以下、FCC−C4と略記することがある)をそのまま原料ガスとする、又は、FCC−C4からリンや砒素などの不純物を除去したものを原料ガスとして使用しても差し支えない。ここでいう、主成分とは、原料ガスに対して、通常40体積%以上、好ましくは60体積%以上、より好ましくは75体積%以上、特に好ましくは99体積%以上をいう。
また、本発明の原料ガス中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の不純物を含んでいても良い。n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)からブタジエンを製造する場合、含んでいても良い不純物として、具体的には、イソブテンなどの分岐型モノオレフィン;プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタンなどの飽和炭化水素;プロピレン、ペンテンなどのオレフィン;1,2−ブタジエンなどのジエン;メチルアセチレン、ビニルアセチレン、エチルアセチレンなどのアセチレン類等が挙げられる。この不純物の量は、通常40体積%以下、好ましくは20体積%以下、より好ましくは10体積%以下、特に好ましくは1体積%以下である。この量が多すぎると、主原料である1−ブテンや2−ブテンの濃度が下がって反応が遅くなったり、目的生成物の収率が低下する傾向にある。
本発明の分子上酸素含有ガスは、通常、分子状酸素が10体積%以上、好ましくは、15体積%以上、更に好ましくは20体積%以上含まれるガスのことであり、具体的に好ましくは空気である。なお、分子状酸素含有ガスを工業的に用意するために必要なコストという観点から、分子状酸素が、通常50体積%以下、好ましくは、30体積%以下、更に好ましくは25体積%以下である。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、分子状酸素含有ガスには、任意の不純物を含んでいても良い。含んでいても良い不純物として、具体的には、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、CO、CO、水等が挙げられる。この不純物の量は、窒素の場合、通常90体積%以下、好ましくは85%体積以下、より好ましくは80体積%以下である。窒素以外の成分の場合、通常10体積%以下、好ましくは1体積%以下である。この量が多すぎると、反応に必要な酸素を供給するのが難しくなる傾向にある。
本発明では、反応器に原料ガスを供給するにあたり、原料ガスと酸素を含む混合ガスを反応器に供給するが、混合ガスと共に、窒素ガス、及び水(水蒸気)を反応器に供給して
もよい。窒素ガスは、混合ガスが爆鳴気を形成しないように可燃性ガスと酸素の濃度を調整するという理由から、水(水蒸気)は窒素ガスと同様に可燃性ガスと酸素の濃度を調整するという理由と触媒のコーキングを抑制するという理由から、混合ガスに水(水蒸気)と窒素ガスとを更に混合し反応器に供給するのが好ましい。
また、原料ガス、分子状酸素含有ガス、窒素ガス、及び水(水蒸気)を供給する方法は特に限定されず、別々の配管で供給してもよいが、爆鳴気の形成を確実に回避するために、混合ガスを得る前に、予め原料ガスに窒素ガスを供給しておく、又は、分子状酸素含有ガスに窒素ガスを供給しておき、その状態で、原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合して混合ガスを得ることが好ましい。
本発明の酸化脱水素反応に用いられる反応器は特に限定されないが、具体的には、管型反応器、槽型反応器、又は流動床反応器が挙げられ、好ましくは、固定床反応器、より好ましくは固定床の多管式反応器やプレート式反応器であり、最も好ましくは固定床の多管式反応器である。
また、反応器が固定床反応器の場合、反応器には、上述の酸化脱水素反応触媒を有する触媒層が存在する。その触媒層は、触媒のみからなる層から構成されていても、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層のみから構成されていても、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層と触媒のみからなる層の複数の層から構成されていてもよいが、触媒層が、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層を含むことで、反応時の発熱による触媒層の急激な温度上昇を抑制できるので、触媒層に反応性の無い固形物を有することが好ましい。
本発明の酸化脱水素反応は発熱反応であり、反応により温度が上昇するが、本発明では、通常、反応温度は250〜450℃、好ましくは、280〜400℃の範囲に調整される。この温度が大きくなるほど、触媒活性が急激に低下しやすい傾向にあり、小さくなるほど、目的生成物である共役ジエンの収率が低下する傾向にある。反応温度は、熱媒体(例えば、ジベンジルトルエンや亜硝酸塩など)を使用して制御することができる。なお、ここでいう反応温度は熱媒体の温度のことである。
また、本発明における反応器内温度は、特に限定されないが、通常、250〜450℃、好ましくは、280〜400℃、更に好ましくは、320〜395℃である。触媒層の温度が450℃を超えると、反応を継続するに従って、急激に触媒活性が低下する恐れがある傾向にあり、一方、触媒層の温度が250℃を下回ると、目的性生物である共役ジエンの収率が低下する傾向にある。反応器内温度は、反応条件によって決定されるが、触媒層の希釈率や混合ガスの流量等で制御することができる。なお、ここでいう反応器内温度とは、反応器出口での生成ガスの温度、又は触媒層を有する反応器の場合は、その触媒層の温度のことである。
本発明の反応器内の圧力は、特に限定されないが、下限は、通常、0MPaG以上、好ましくは、0.001MPaG以上、更に好ましくは、0.01MPaG以上である。この値が大きくなるほど、反応器に反応ガスを多量に供給できるというメリットがある。一方、上限は、0.5MPaG以下であり、好ましくは、0.3MPaG以下、更に好ましくは、0.1MPaG以下である。この値が小さくなるほど、爆発範囲が狭くなる傾向にある。
本発明における反応器の滞留時間は、特に限定されないが、下限は、好ましくは、0.72秒以上、更に好ましくは0.80秒以上である。この値が大きくなるほど、原料ガス中のモノオレフィンの転化率が高くなるというメリットがある。一方、上限は、好ましくは、7.20秒以下、更に好ましくは、2.77秒以下である。この値が小さくなるほど
、反応器が小さくなる傾向にある。
かくして、原料ガス中のモノオレフィンの酸化脱水素反応により、該モノオレフィンに対応する共役ジエンが生成することとなり、該共役ジエンを含有する精製ガスを取得する。生成ガス中に含まれる原料ガス中のモノオレフィンに対応する共役ジエンの濃度は、原料ガス中に含まれるモノオレフィンの濃度に依存するが、通常1〜15vol%、好ましくは、5〜13vol%、更に好ましくは、9〜11vol%である。共役ジエンの濃度が大きいほど、回収コストが低いというメリットがあり、小さいほど次工程で圧縮したときに重合などの副反応が起き難いというメリットがある。また、生成ガス中には未反応のモノオレフィンも含まれていてもよく、その濃度は、通常0〜7vol%、好ましくは、0〜4vol%、更に好ましくは、0〜2vol%である。なお、本発明では、生成ガス中に含まれる高沸点副生物は、使用する原料ガス中に含まれる不純物の種類によって異なるが、常圧下での沸点が200〜500℃のものを言う。n−ブテン(1−ブテン及び[2]−ブテン)からブタジエンを製造する場合、具体的に、フタル酸、アントラキノン、フルオレノン等である。これらの量は、特に限定されないが、通常、反応ガス中に0.05〜0.10vol%である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
複合金属酸化物触媒の調製
パラモリブデン酸アンモニウム54gを純水250mlに70℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト31.8g及び硝酸ニッケル31.8gを純水60mlに70℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
次に、シリカ64gを加えて、充分に攪拌した。このスラリーを75℃に加温し、5時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
得られた触媒前駆体の粒状固体(灼熱減量:1.4重量%)を粉砕し、パラモリブデンアンモニウム40.1gを純水150mlにアンモニア水10mlを加え溶解した溶液に分散した。次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを25℃の加温下に溶解させて、上記スラリーを加えた。
次に、Naを0.45%固溶した次炭酸ビスマス58.1gを加えて、攪拌混合した。このスラリーを130℃、12時間加熱乾燥した後、得られた粒状固体を、小型成型機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃、4時間の焼成を行って、触媒を得た。仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合金属酸化物であった。 Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:5:2.5:2.5:0.4:0.35:0.2:0.08:24
なお、触媒調製の際のモリブデンの原子比aとaは、それぞれ6.9と5.1であった。
得られた複合金属酸化物触媒を、乳鉢で粉砕し、100ミクロン〜500ミクロンの触媒
を篩い分けた。この触媒を図5に示す装置に10グラム充填し、24.4Nl/hの空気、9
7.6Nl/hの水蒸気を供給し、440℃で43時間の加熱処理を行った。加熱処理終了後の触媒を抜き出してXRD測定を行った。なお、XRDの測定に使用した装置は(株)リガク製
、型式RINT2200を使用した。得られたX線回折図を図2に示す。上述のXRDのP、Pの測定と同様に算出した。P、Pはそれぞれ、240、903であった。P,P,及びRを表−1に示す。
コーキングの測定
図6に示す装置を用いて、コーキング実験を行った。内径6mmのガラス製反応管に上述の加熱処理条件と同様の条件で加熱処理を行った触媒を1グラム充填した。原料ガス供給
口から、1,3-ブタジエン、酸素、窒素及び水蒸気を含む混合ガスを2.0NL/hで供給した。この混合ガスの組成を表−2に示す。
電気ヒーターでガラス製反応管を360℃に加熱し、反応管の出口から流出する廃ガスの一部を排出口から排出させながら、上記混合ガスを反応管に48時間流通させた。48時間後に混合ガスの供給を止め、反応管から触媒を取り出し、METTLER(株)社製の熱天
秤(TGA/DSC1型)で空気流通下に昇温し、200〜500℃の間の重量減少を調べた。
結果を表―1に示す。
モリブデン揮散量の測定
図6の装置を用いて、複合金属酸化物触媒中のモリブデン成分の揮散量の測定を行った。上述の加熱処理条件と同様の条件で加熱処理を行った複合金属酸化物触媒を0.8g充填し、表−3の組成のガスを450℃で10時間流通させた。触媒層出口でガラス管を切断し
、ガラスに付着したモリブデンをアンモニア溶液(水:アンモニア=1:1)で溶かし出し、日本ジャーレル・アッシュ(株)製の誘導結合プラズマ発光分光装置(IRIS−AP型)を用いてモリブデンの量を分析した。
モリブデンの揮散量の表−1に示す。
[実施例2]
実施例1において、複合金属酸化物触媒の水蒸気の加熱処理の時間を158時間に変更し
た以外はすべて同様に実施した。
X線回折図を図3に示す。また、P、P、R、コーク付着量測定結果及びモリブデン揮散量を測定した結果を表−1に示す。
[実施例3]
実施例1において、複合金属酸化物触媒の水蒸気の加熱処理の時間を326時間に変更した以外は全て同様に実施した。
X線回折図を図4に示す。また、P、P、R、コーク付着量測定結果及びモリブデン揮散量を測定した結果を表−1に示す。
[比較例1]
実施例1において、水蒸気による加熱処理を実施しない複合金属酸化物触媒を使用した以外は全て同様に実施した。X線回折図を図1に示す。また、P、P、R、コーク付着量測定結果及びモリブデン揮散量を測定した結果を表−1に示す。
1 ガラス製反応管
2 原料ガス供給口
3 温度指示計
4 温度指示計保護管
5 電気ヒーター
6 触媒
7 排出口

Claims (4)

  1. モノオレフィンの酸化反応を行い対応する生成物を製造する際に用いる複合金属酸化物触媒であって、式(1)で表現される成分組成と式(2)で定義されるX線回折ピークの相対強度を有することを特徴とする複合金属酸化物触媒。
    MoaBibCocNidFeefghSiij (1)
    0.1<R(=P/P)<0.8 (2)
    (式(1)において、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、
    セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜3、g=0〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
    (式(2)において、PとPは、それぞれX線回折図における回折角2θが26.4°と28.2°のピークの強度であり、Rは相対強度である。)
  2. 前記組成式(1)において、a=12のとき、b=0.1〜2であることを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化物触媒。
  3. 前記モノオレフィンがブテンであり、前記生成物がブタジエンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合金属酸化物触媒。
  4. 触媒の存在下、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを酸化脱水素反応を行うことにより、対応する共役ジエンを製造するにあたり、該触媒が式(1)で表現される成分組成と式(2)で定義されるX線回折ピークの相対強度を有する複合金属酸化物触媒であることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
    MoaBibCocNidFeefghSiij (1)
    0.1<R(=P/P)<0.8 (2)
    (式(1)において、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、
    セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜3、g=0〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
    (式(2)において、PとPは、それぞれX線回折図における回折角2θが26.4°と28.2°のピークの強度であり、Rは相対強度である。)
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