JP2018196941A - ガスバリア積層体の製造方法 - Google Patents

ガスバリア積層体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018196941A
JP2018196941A JP2017102045A JP2017102045A JP2018196941A JP 2018196941 A JP2018196941 A JP 2018196941A JP 2017102045 A JP2017102045 A JP 2017102045A JP 2017102045 A JP2017102045 A JP 2017102045A JP 2018196941 A JP2018196941 A JP 2018196941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas barrier
barrier laminate
treatment
aluminum oxide
rie
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017102045A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6988166B2 (ja
Inventor
石井 敏也
Toshiya Ishii
敏也 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP2017102045A priority Critical patent/JP6988166B2/ja
Publication of JP2018196941A publication Critical patent/JP2018196941A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6988166B2 publication Critical patent/JP6988166B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】常温環境およびレトルト処理・ボイル処理でガスバリア性、密着性に対して優れた耐久性を有するガスバリア積層体を提供することを目的とする。【解決手段】ポリエチレンテレフタレート(PET)基材の両面または片面に少なくとも酸化アルミニウム膜を積層してなるガスバリア積層体の製造方法において、PET基材表面にRIE処理を施した後、酸化アルミニウム膜を蒸着法により積層する工程を備え、前記RIE処理を施した際のPET基材表面においてX線光電子分光法(XPS)で測定されたC1sピークの波形分離で確認される生成官能基C−OH結合ピークの面積率が、1.0%から6.0%の範囲内である。【選択図】図2

Description

本発明は透明ガスバリア積層体の製造方法に関するもので、透明性、酸素あるいは水蒸気に対するバリア性、耐熱性、耐水性に優れ、さらにラミネート加工、印刷加工、製袋加工等の後加工適正等を有し、飲食品、医薬品、電子機器部材、その他物品の充填包装適性、保存・保護適性等に優れた透明ガスバリア積層体の製造方法に関するものである。また、本発明の用途はこの分野だけに限定されたものではなく、需要さえあれば応用展開可能である。
ガスバリア積層体は食品や精密電子部品及び医薬品の包装材料として用いられるが、内容物の変質を抑制しそれらの機能や性質を保持するために、包装材料を通過する酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体や光線による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えることが求められている。そのため従来から、温度・湿度などの影響が少ないアルミ等の金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
ところが、アルミ等の金属箔を用いた包装材料は、温度・湿度の影響がなくガスバリア性に優れるが、包装材料を透視して内容物を確認することができない。また使用後の廃棄の際は不燃物として処理しなければならなかった。さらに検査の際に金属探知機が使用できないなどの欠点を有し問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、例えば特許文献1,2に記載されているような高分子フィルム上に真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物のバリア膜を形成したフィルムが開発されている。
これら蒸着フィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性および積層フィルムの密着性向上効果を有しているため、金属箔等では得ることができない絶縁特性、透明性を有する包装材料として好適とされている。
しかしながら、従来のようなガスバリア基材に使われる酸化アルミニウム膜を積層したフィルムでは、酸化アルミニウム膜と基材PET間での凝集力が劣化するため、レトルト処理により密着性の劣化を引き起こすという欠点がある。
この問題を解決するために、従来から基材表面にアンカーコートを施して酸化アルミニウム膜とPET基材間の劣化を抑える試みがなされている。
しかしながら樹脂系アンカーコートだけでは、酸化アルミニウム膜と基材との密着性劣化を抑えようとすると、ガスバリア積層体の工程数を増やすことになり、かつ剥離劣化箇所が基材表層のため十分に劣化を抑えることができなかった。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ガスバリア積層体のPET基
材の表面に対してリアクティブエッチング処理を施す際にC−OH結合あるいはC=O結合の割合を制御することにより、レトルト処理・ボイル処理を行っても密着性が劣化しないガスバリア積層体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明はガスバリア積層体のPET(ポリエチレンテレフタレート)に生成される官能基C−OH結合とC=O結合の割合を好適化することより上記の目的が達成できることを見出した。
すなわち本発明に係る請求項1記載の発明は、
ポリエチレンテレフタレート(PET)基材の両面または片面に少なくとも酸化アルミニウム膜を積層してなるガスバリア積層体の製造方法において、
前記PET基材表面にリアクティブイオンエッチング(RIE)処理を施した後、酸化アルミニウム膜を蒸着法により積層する工程を備え、前記RIE処理を施した際のPET基材表面においてX線光電子分光法(XPS)で測定されたC1sピークの波形分離で確認される生成官能基C−OH結合ピークの面積率が、1.0%から6.0%の範囲内であることを特徴とするガスバリア積層体の製造方法である。
本発明に係る請求項2記載の発明は、
前記RIE処理を施したPET基材表面に対して前記XPSで測定されたC1sピークの波形分離で確認される生成官能基C=O結合の面積率が、0.5%〜4.0%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体の製造方法である。
本発明に係る請求項3記載の発明は、
前記酸化アルミニウム膜において、前記XPS測定によって算出される酸素とアルミニウムの比(O/Al)が1.5〜1.9の範囲内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体の製造方法である。
本発明に係る請求項4記載の発明は、
前記酸化アルミニウム膜の厚さが5〜30nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア積層体の製造方法である。
本発明に係る請求項5記載の発明は、
前記PET基材表面にプラズマを利用したRIE処理が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア積層体の製造方法である。
本発明に係る請求項6記載の発明は、
前記RIE処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガスまたはこれらの混合ガスを用いて1回以上行われる処理であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア積層体の製造方法である。
本発明によれば、このようなガスバリア積層体の製造方法を用いて、レトルト処理・ボイル処理においてPET基材表面の劣化を抑え、密着性が劣化しないガスバリア積層体を提供することができる。
具体的には、請求項1又は2に記載の発明により、レトルト処理・ボイル処理で密着性が劣化しないガスバリア積層体の基材となる。また請求項3に記載の発明によりレトルト処理・ボイル処理で透明性に優れた膜質となる。また請求項4に記載の発明により、レトルト処理・ボイル処理で密着性が劣化しない膜厚となる。さらに請求項5又は6に記載の発明により、処理液を用いた化学処理に比べて廃液を出さず環境を汚染しない処理が可能
となる。
本発明に係るガスバリア積層体の断面図。 XPSで測定されたRIE処理後のPET基材表面のC1s波形図。 プレーナ型プラズマ処理を行った場合の様子を示す概略模式図。 ホロアノード・プラズマ処理器の概略断面図。
以下に、本発明の一実施形態について、図を用いて説明する。
図1は本発明に係るガスバリア積層体を説明する断面図である。図1で示すガスバリア積層体10は、PET基材1の表面に、プラズマを利用したRIE処理による前処理を施した処理層3が形成され、その上に酸化アルミニウム膜2が形成された構造である。
本発明のガスバリア積層体の製造方法においては、PET基材1の表面にプラズマを利用したRIE処理を施すことによって生成する官能基C−OH結合とC=O結合の割合を制御している。この結果、密着性の向上につながるだけでなく、レトルト処理・ボイル処理においても、密着性の劣化を抑制することができる。
本発明に係るガスバリア積層体の製造方法は、本発明者の次の知見に基づくものである。
プラズマ処理により生成したPET基材1表面の官能基C−OH結合とC=O結合の割合は、X線光電子分光法(XPS)で測定される。このとき測定面積を直径6mmとし、100WのX線を照射してC1sスペクトルを測定し、波形分離解析を行うことによって前記結合の割合が得られる。
このような解析を行った結果に基づいて、本発明者はC−OH結合の割合(%)とC=O結合の割合(%)が適切な値になっていないと密着性劣化を起こしやすいことを見出した。
上記の知見をさらに詳述する。
まず、PET基材の表面にプラズマによるRIE処理を施していない未処理PETフィルムの分子構造は、図2で示すXPSで測定されたC1s波形の波形分離解析から各結合のピーク値を読み取ることにより、C−C結合が約60%、C−O結合が約20%、COO結合が約20%となることがわかる。したがってXPSでは分子構造が測定される。
次に、RIE処理により生成した官能基C−OHとC=Oは、PET基材1表面と酸化アルミニウム膜2との化学結合の強さに関係しており、これらの生成官能基を適切な値に調整することによって、本発明に係るガスバリア積層体を用いた包装体のレトルト処理・ボイル処理での密着性の劣化を防ぐことができる。
(PET基材)
上述した基材1はポリエチレンテレフタレート(PET)を用い、酸化アルミニウム膜の透明性を生かすために、可能であれば透明なPET基材であることが好ましい。PET基材は延伸したものの方が機械的強度や寸法安定性が良い。またこのPET基材の、酸化アルミニウム膜が設けられる面と反対側の表面に、公知の添加剤、例えば帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などが使用されていても良い。または押出しラミネーション法によりポリエチレンを貼りあわせるために、RIE処理を施してC−OH結合とC=O結合の割合を密着性に優れた範囲にしても効果的である。この時押出されるポリエチレンの温度は300℃から340℃であることが望ましい。
PET基材1の厚さは、特に制限を受けるものではないが、酸化アルミニウム膜2を形成するときの加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲が好ましく、特には6〜50μmとすることがより好ましい。この厚さが3μm以下である場合は、巻取り装置で加工する場合、シワの発生やフィルムの破断が生じるおそれがあり、200μm以上である場合は、フィルムの柔軟性が低下するため、巻き取り装置では加工が困難になる可能性がある。
また、包装材料としての適性を考慮して、前記の酸化アルミニウム膜2以外に異なる性質のフィルムを積層することができる。例えば、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニルやポリフッ化ジビニルなどのフッ素系樹脂や、ポリエチレンフィルムなどが考えられるが、これら以外の樹脂フィルムを積層することもできる。
PET基材1の最表面の生成官能基C−OH%とC=O%を測定する方法としては、XPSがもっとも適切であり、官能基の割合の定量性も高い。したがって、正確にC−OH%とC=O%を算出することが可能である。
(RIE処理)
本発明のガスバリア積層体の製造方法では、PET基材の酸化アルミニウム膜を積層する側の面に、プラズマを利用したリアクティブイオンエッチング(RIE)による前処理を施す。
このRIEによる処理を行う条件を制御することで、発生したラジカルやイオンを利用してPET基材の表面に生成する官能基の割合を調整したり、他の官能基を生成させることができる化学的効果と、イオンエッチングすることで表面の不純物を除去したり、表面粗さを大きくしたりといった物理的効果の2つの効果を同時に得ることが可能である。これにより、PET基材と酸化アルミニウム膜との密着を向上させ、レトルト処理やボイル処理で両者が剥離しない構造となる。
上記のRIE処理を巻き取り式のインライン装置で行う方法としては、PET基材の設置されている冷却ドラムに電圧を印加してプレーナ型にする方法(図3)、もしくはホロアノード・プラズマ処理器を用いて処理を行う方法(図4)がある。
図3はプレーナ型のRIE処理装置の構成及びこの装置を用いてRIE処理を行う様子を示す概略図である。処理ロール6の内側には電極4が配置され、PET基材7が処理ロール6表面に沿って搬送され、このPET基材7の表面にプラズマ5を照射してRIE処理が行われる。電極4はこの場合陰極になる。
このようにプレーナ型で処理を行えば、PET基材1は陰極(カソード)側に設置することができ、高い自己バイアスを得ることによってRIEによる処理が行える。
図4はホロアノード・プラズマ処理器の構成とRIE処理を行う様子を示す概略図である。ホロアノード・プラズマ処理器は、この構成では陽極(アノード)として機能する処理ロール6を備え、さらに陰極15の両端には遮蔽板14を備え、遮蔽板14は処理ロール6の外部に、処理ロール6と対向するようにして配置されている。
陰極15は開口部を有するボックス形状で、その開口部は処理ロール6に対向して開口している。ガス導入口8は陰極15の上方に配置され、処理ロール6と陰極15の間、及び処理ロール6と遮蔽板14の間の空隙にRIE用ガスが導入されるようになっている。
そして陰極15の印加電圧を制御するマッチングボックス9が、陰極15の背面に設置されている。PET基材7を処理ロール6表面に沿って搬送しながら、マッチングボックス9から陰極15に電圧を印加して、ガス導入口8からガスが導入され、処理ロール6と
陰極15及び遮蔽板14との間にプラズマを発生させる。これにより、陽極である処理ロール6に向けてプラズマ5が引き寄せられ、PET基材7の表面にプラズマ5を作用させる。
もし、通常インライン処理で行うように、ドラムもしくはロールの対面側に印加電極を設置した場合には、図4に示すようにPET基材7は陽極(アノード)側に設置されることになる。この時、PET基材は高い自己バイアスを得られず、ラジカルがPET基材表面に作用し化学反応するだけの、いわゆるプラズマ処理しか行われないため、酸化アルミニウム膜とPET基材との密着性は低いままである。
上記ホロアノード・プラズマ処理器とは、中空状の陽極を有し、その陽極の面積(Sa)が、対極となる基板面積(Sc)に比べ、Sa>Scとなるような処理器である(図4)。陽極の面積を大きくすることで、対極となる陰極(PET基材)上に大きな自己バイアスを発生することが出来る。この大きな自己バイアスにより、安定で強力な表面処理が可能となる。さらに好ましくは、上記ホロアノード電極中に磁石を組み込み、磁気アシスト・ホロアノードとすることで、より強力且つ安定したプラズマ表面処理を高速で行うことである。磁気電極から発生される磁界により、プラズマ閉じ込め効果を更に高め、大きな自己バイアスで高いイオン電流密度を得ることが出来る。
RIEによる前処理を行うためのガス種としては、アルゴン、酸素、窒素、水素を使用することが出来る。これらのガスは単独で用いても、2種類以上のガスを混合して用いても良い。また、2基以上の処理器を用いて、連続して処理を行ってもよい。この時2基以上の処理器は同じものを使用する必要はなく、プレーナ型で処理を行った後に連続してホロアノード・プラズマ処理器を用いて処理を行っても構わない。
(酸化アルミニウム膜)
次に酸化アルミニウム膜2について説明する。酸化アルミニウム膜はXPS法によって算出される酸素とアルミニウムの比(O/Al)が1.5〜1.9であることが好ましい。O/Alが1.5より小さい場合、バリア性が低下し、かつバリア層が着色し透明性を失う。一方、1.9より大きい場合、バリア膜の残留応力が大きく、また水酸基が多く導入された状態でバリア性が著しく低下する。
また、酸化アルミニウム膜の厚さは、一般的には5〜30nmの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される。ただし膜厚が5nm未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が30nmを越える場合は薄膜の残留応力によりフレキシビリティを保持させることができず、成膜後外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。
酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層をPET基材に積層する方法としては、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などを用いることができる。ただし生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。
真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸発材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式または抵抗加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層とPET基材の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素等の各種ガスなど吹き込む反応蒸着を用いて蒸着する。
(オーバーコート層)
また、酸化アルミニウム膜上には、保護、接着性および印刷適性を向上させるため、オーバーコート層を形成することができる。このオーバーコート層としては、溶剤溶解性または水溶性のポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ビニルアルコール樹脂、EVOH樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂およびアルキルチタネート等を単独あるいは2種類以上からなる層を設けることができる。また、オーバーコート層としては、バリア性、摩耗性、滑り性向上のためシリカゾル、アルミナゾル、粒子状無機フィラーおよび層状無機フィラーから選択される1種類以上を添加あるいはこれらの1粒子の存在下で上記樹脂を重合あるいは縮合により形成して得た上記樹脂からなるオーバーコート層が好ましい。
以下に本発明のガスバリア積層体の製造方法の実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[X線光電子分光法(XPS)によるC−OH%、C=O%とO/Alの算出]
測定装置は日本電子株式会社製のX線光電子分光分析装置JPS−9030を用いた。X線源として非単色化MgKα(1253.6eV)を使用し、X線出力は100W(10kV−10mA)で測定した。C−OH結合とC=O結合の面積率を求めるためにC1sの波形分離解析を行い、O/Alを求めるための定量分析には、それぞれO1sで2.28、Al2pで0.6の相対感度因子を用いて計算した。
<実施例1>
厚さ12μmのPETフィルムの片面に、電子線加熱方式を用いて酸化アルミニウム膜を10nmの厚みで蒸着しガスバリア積層体を作製した。この時のPET面にはホロアノード・プラズマ処理により3Wの出力でアルゴンガスを用いて処理し、C−OH%が1.5%、C=O%が0.5%、O/Alが1.60であった。酸化アルミニウム蒸着膜の上にPVAとTEOSを混合したオーバーコートを300nmの厚みでコートした。
<実施例2>
ホロアノード・プラズマ処理の出力を25WとしてC−OH%が3.0%、C=O%が0.8%に調整し、O/Alが1.72であった以外は実施例1と同様にして、ガスバリア積層体を作製した。
<実施例3>
ホロアノード・プラズマ処理の出力を35WとしてC−OH%が4.7%、C=O%が3.1%に調整し、O/Alが1.78であった以外は実施例1と同様にしてガスバリア積層体を作製した。
<比較例1>
ホロアノード・プラズマ処理の出力を0W(未処理)の場合、C−OH%は0.0%、C=O%が0.0%、O/Alが1.56であった以外は実施例1と同様にしてガスバリア積層体を作製した。
<比較例2>
ホロアノード・プラズマ処理の出力を1WとしてC−OH%が1.0%、C=O%が0.0%16.1%に調整し、O/Alが1.92であった以外は実施例1と同様にしてガスバリア積層体を作製した。
<比較例3>
ホロアノード・プラズマ処理の出力を45WとしてC−OH%が6.5%、C=O%が4.5%に調整し、O/Alが1.95であった以外は実施例1と同様にしてガスバリア積層体を作製した。
<評価>
上記サンプルのガスバリア積層体についてバリアコート層側にウレタン系接着剤を用いて厚み15μmのナイロン(ONy)を貼り合せ、さらに厚み60μmポリプロピレンフィルム(CPP)をウレタン系接着剤で貼り合せたラミネートフィルムを作成した。このフィルムを用いてA5サイズの三方パウチを作成した。パウチの中身は市水を使用した。
このパウチを121℃30分の条件でレトルト処理をして、レトルト後2時間以内にガスバリア積層体とナイロンの間を剥がしてきっかけとし、オリエンテック社製の引張試験機テンシロンRTC−1250で180°剥離して剥離強度を測定した。
以上の測定結果を表1に示す。評価基準として、剥離強度2N/15mm以上を示した場合を適として○とし、2N/15mmより値が低い場合を不適として×とした。
Figure 2018196941
表1の結果から、C−OH1.0%から6.0%、C=O%が0.5%から4.0%、酸化アルミニウム薄膜のO/Alが1.5から1.9に調整した実施例1〜3のガスバリア積層体は判定○となり、それらの範囲外となる比較例1〜3は判定×となった。出力が高い比較例3の場合は、RIE処理されたPET基材表面がRIE処理のし過ぎによって脆弱化したと考えられる。
以上のように本発明のガスバリア積層体の製造方法によれば、基材PETフィルムのC−OH%、C=O%、O/Alが上記の範囲であることにより、レトルト処理後でも優れた密着性を有しているガスバリア積層体を提供することができる。
本発明は食品や精密電子部品及び医薬品の包材として用いられる。
1・・・PET基材
2・・・酸化アルミニウム膜
3・・・プラズマ処理層
4・・・電極
5・・・プラズマ
6・・・処理ロール
7・・・PET基材
8・・・ガス導入口
9・・・マッチングボックス
10・・・ガスバリア積層体
14・・・遮蔽板
15・・・電極(陰極)

Claims (6)

  1. ポリエチレンテレフタレート(PET)基材の両面または片面に少なくとも酸化アルミニウム膜を積層してなるガスバリア積層体の製造方法において、
    前記PET基材表面にリアクティブイオンエッチング(RIE)処理を施した後、酸化アルミニウム膜を蒸着法により積層する工程を備え、
    前記RIE処理を施した際のPET基材表面においてX線光電子分光法(XPS)で測定されたC1sピークの波形分離で確認される生成官能基C−OH結合ピークの面積率が、1.0%から6.0%の範囲内であることを特徴とするガスバリア積層体の製造方法。
  2. 前記RIE処理を施したPET基材表面に対して前記XPSで測定されたC1sピークの波形分離で確認される生成官能基C=O結合の面積率が、0.5%〜4.0%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア積層体の製造方法。
  3. 前記酸化アルミニウム膜において、前記XPS測定によって算出される酸素とアルミニウムの比(O/Al)が1.5〜1.9の範囲内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスバリア積層体の製造方法。
  4. 前記酸化アルミニウム膜の厚さが5〜30nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリア積層体の製造方法。
  5. 前記PET基材表面にプラズマを利用したRIE処理が施されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガスバリア積層体の製造方法。
  6. 前記RIE処理が、アルゴン、窒素、酸素、水素のうちの1種類のガスまたはこれらの混合ガスを用いて1回以上行われる処理であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリア積層体の製造方法。
JP2017102045A 2017-05-23 2017-05-23 ガスバリア積層体の製造方法 Active JP6988166B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017102045A JP6988166B2 (ja) 2017-05-23 2017-05-23 ガスバリア積層体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017102045A JP6988166B2 (ja) 2017-05-23 2017-05-23 ガスバリア積層体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018196941A true JP2018196941A (ja) 2018-12-13
JP6988166B2 JP6988166B2 (ja) 2022-01-05

Family

ID=64663238

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017102045A Active JP6988166B2 (ja) 2017-05-23 2017-05-23 ガスバリア積層体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6988166B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07233463A (ja) * 1994-02-24 1995-09-05 Toray Ind Inc 金属酸化物蒸着フィルムの製造方法
JP2005335109A (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Toppan Printing Co Ltd 耐熱透明バリアフィルム
JP2006056092A (ja) * 2004-08-19 2006-03-02 Toppan Printing Co Ltd 強密着蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト用包装材料

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07233463A (ja) * 1994-02-24 1995-09-05 Toray Ind Inc 金属酸化物蒸着フィルムの製造方法
JP2005335109A (ja) * 2004-05-25 2005-12-08 Toppan Printing Co Ltd 耐熱透明バリアフィルム
JP2006056092A (ja) * 2004-08-19 2006-03-02 Toppan Printing Co Ltd 強密着蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト用包装材料

Also Published As

Publication number Publication date
JP6988166B2 (ja) 2022-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6380381B2 (ja) ガスバリア積層体及びガスバリア積層体の製造方法
JP5181905B2 (ja) ガスバリア積層体
JP5412850B2 (ja) ガスバリア積層体
WO2018203526A1 (ja) アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造方法
JP5696085B2 (ja) ガスバリア積層体およびその製造方法
JP2016087814A (ja) ガスバリア積層体およびその製造方法
JP5440005B2 (ja) ガスバリア積層体
JP2014114467A (ja) ガスバリア性フィルムの製造方法
JP6007930B2 (ja) ガスバリア積層体
JP2018196941A (ja) ガスバリア積層体の製造方法
JP7087414B2 (ja) ガスバリア積層体
JP2008049576A (ja) ガスバリア性積層体
JP4385835B2 (ja) 強密着蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト用包装材料
JP6848339B2 (ja) ガスバリア積層体及びその製造方法
JP2004137419A (ja) ポリエチレンテレフタレートフィルム及び積層体
JP5477351B2 (ja) ガスバリア積層体およびその製造方法
JP2005059265A (ja) 強密着蒸着フィルムおよびそれを用いたレトルト用包装材料
JP7342702B2 (ja) フィルムの処理方法及びフィルムの製造方法
JP4946350B2 (ja) ガスバリア性積層体
JP2014218090A (ja) ガスバリア積層体
JP4905851B2 (ja) 蒸着フィルムの製造方法
JP2008265232A (ja) ガスバリア積層体
JP2009228015A (ja) 積層体の製造方法および製造装置ならびにガスバリアフィルム
JP5720254B2 (ja) ガスバリア積層体およびその製造方法
JP5838578B2 (ja) ガスバリア積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200413

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210201

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210209

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210928

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6988166

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150