JP2018194739A - レンズ鏡筒、およびそれを有する撮像装置 - Google Patents

レンズ鏡筒、およびそれを有する撮像装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 カム溝の傾斜角度によるレンズ保持枠の駆動負荷の低減を可能にしたレンズ鏡筒を提供することである。【解決手段】 上記目的を達成するために、本発明は、レンズを保持し、カムフォロアを有するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を移動可能に保持する固定枠と、前記カムフォロアに係合し、前記レンズ保持枠の移動量を決めるカム形状を有するカム部材と、を備えるレンズ鏡筒であって、前記カムフォロアに第1の駆動力を伝達する、前記カム部材を含む第1の駆動伝達部と、前記レンズ保持枠に第2の駆動力を伝達する、前記第1の駆動伝達部と異なる第2の駆動伝達部と、を備え、前記第1、第2の駆動伝達部の光軸方向における相対位置が一定であることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明はレンズ鏡筒に関し、特に光軸方向に移動するレンズ保持枠を有するレンズ鏡筒、およびそれを有する撮像装置に関するものである。
レンズ鏡筒において、光学素子を保持するレンズ保持枠を駆動することで、ズーミングやフォーカシングを行うものがある。この駆動の方式の1つとして、カム部材に設けたカム溝と、レンズ保持枠に設けられたカムフォロアを係合させ、カム部材を回転駆動することでレンズ保持枠をカム溝に沿って移動させる方法が知られている。
このようなレンズ鏡筒では、カム溝の傾斜によってカム部材の回転駆動の負荷が変動する。そこで特許文献1では減速比の異なるギアを備える複数の駆動部をカム溝の傾斜に応じて切り替えることによって、カム部材を回転駆動するレンズ鏡筒が開示されている。
特開2012−32701号公報
しかしながら特許文献1のレンズ鏡筒は、カム溝の傾斜角度がレンズ保持枠の移動方向に対して小さくなるほど、カムの回転量に対するレンズの駆動量が大きくなるため、駆動負荷が増加する。このような傾斜角度が小さいカム溝の形状に対しても、更なる駆動負荷の低減が望まれていた。
そこで、本発明の目的は、カム溝の傾斜角度によるレンズ保持枠の駆動負荷の低減を可能にしたレンズ鏡筒を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、レンズを保持し、カムフォロアを有するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を移動可能に保持する固定枠と、前記カムフォロアに係合し、前記レンズ保持枠の移動量を決めるカム形状を有するカム部材と、を備えるレンズ鏡筒であって、前記カムフォロアに第1の駆動力を伝達する、前記カム部材を含む第1の駆動伝達部と、前記レンズ保持枠に第2の駆動力を伝達する、前記第1の駆動伝達部と異なる第2の駆動伝達部と、を備え、前記第1、第2の駆動伝達部の光軸方向における相対位置が一定であることを特徴とする。
本発明によれば、カム溝の傾斜角度によるレンズ保持枠の駆動負荷の低減を可能にしたレンズ鏡筒を提供することができる。
本発明の実施例1におけるレンズ鏡筒の概略図。 本発明の実施例1におけるカム部材のカム溝の展開図。 本発明の実施例1における駆動制御の流れを示すフローチャート図。 本発明の実施例2におけるレンズ鏡筒の概略図。 本発明の実施例2において切り替えクラッチ部を有する場合の概略図。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。
(実施例1)
以下、図1から図3を参照して、本発明の実施例1によるレンズ鏡筒1について説明する。
図1は本実施例におけるレンズ鏡筒1の本発明にかかわる部分を模式的にあらわす概略図である。なお、以降の説明を容易にするために、図1には座標系Oを配置している。この座標系OにおけるX軸方向は、レンズ鏡筒1の光軸6の方向(以降、この方向を光軸方向と呼称する)である。Y軸方向は、光軸6と直交する方向である。
レンズ鏡筒1には、レンズ(光学素子群)7a、7bをそれぞれ保持するレンズ保持枠2a、2bと、これらを移動可能に内部に保持する固定枠8が構成されている。本実施例ではレンズ(光学素子群)7a、7bはこれらの光軸方向に並進可能である。
固定枠8の内径部に光軸方向に沿って設けられた直進溝9は、レンズ保持枠2a、2bの並進移動のガイドの役割を果たす。レンズ保持枠2a、2bには、それぞれ2つのガイドピン10a、10bが光軸方向に沿って配置されていて、これらが直進溝9に係合する構成である。
さらに固定枠8は2つの軸受部材8aを介してカム部材5を回転可能に保持しており、且つ光軸方向に固定している。
本実施例ではカム部材5は円柱形状を有している。このカム部材5の側面には、カム部材5の回転量に応じてレンズ保持枠2aの光軸方向への移動量を決める(規制する)案内形状としてカム溝(カム形状)3aが設けられている。同じく、レンズ保持枠2bの案内形状であるカム溝3bが設けられている。
本実施例ではカム形状として、円柱形状のカム部材にカム溝を形成する構成で説明するが、例えば中空の円環状のカムに対しては、カム形状として孔形状を形成してもよい。
このカム溝3a、3bには、それぞれカムフォロア4a、4bを介してレンズ保持枠2a、2bが係合している。
続いてレンズ保持枠2aの駆動について説明する。
カム部材5の被写体側先端には、カム部材5と一体となって回転するカム側プーリ14が設けられている。また、第1の駆動モータ(第1の動力源)11の先端には第1の駆動モータ11の出力軸と一体となって回転するモータ側プーリ12が設けられている。
なお、本実施例では第1の駆動モータ11、モータ側プーリ12、カム側プーリ14が被写体側に配置される例を説明するが、配置はこれに限られない。例えば、これらは撮像面側に設けられてもよい。
カム側プーリ14とモータ側プーリ12は、第1の歯付きベルト13にそれぞれ噛み合うことで接続されている。このため、第1の駆動モータ11からの出力は、モータ側プーリ12、第1の歯付きベルト13、カム側プーリ14を介して伝達される。これにより、カム部材5は第1の駆動モータ11により回転駆動される。
なお本実施例においてはプーリとベルトによる駆動伝達手段を用いて説明したが、例えば歯車等、その他の伝達手段を用いてもよい。
カム部材5が回転駆動すると、レンズ保持枠2aの有するカムフォロア4aには、カム溝3aから光軸方向に駆動力が伝達される。このように本実施例では、第1の動力源である第1の駆動モータ11が発生した第1の駆動力を、モータ側プーリ12、第1の歯付きベルト13、カム側プーリ14、カム部材5で構成される第1の駆動伝達部15により、レンズ保持枠2aに伝達している。
なお本実施例において第1の駆動伝達部15には、カムフォロア4aを含んでいない。第1の駆動伝達部15の固定枠8に対する相対位置は、少なくともレンズ保持枠2aの駆動中は一定の関係になる。
なお、この第1の駆動力は、同じくカム部材5のカム溝3bからカムフォロア4bにも伝達される。したがって、レンズ保持枠2bも光軸方向に移動されることになる。
レンズ保持枠2aは、このように第1の駆動伝達部15に連結されて、第1の駆動力を受けて駆動される。さらに本実施例にでは、レンズ保持枠2aはこれに加えて第2の駆動伝達部22にも連結され、第2の駆動力も伝達される。
固定枠8には内側から外側に貫通する通し溝(開口)16が光軸方向に沿うように形成される。レンズ保持枠2aにはこの通し溝16を通過するベルト接続部(腕部)21が設けられる。すなわちベルト接続部21の先端は固定枠8の外周部へ突出している。
このベルト接続部21には、レンズの光軸方向に沿って配置された第2の歯付きベルト20が接続される。なお接続方法としては公知の方法を用いることができ、例えば引掛けてもよいし、ビス固定してもよい。
この第2の歯付きベルト20は、固定枠8の被写体側に固定された駆動側プーリ18と、撮像面側に固定された受動側プーリ19に噛み合う。なお、駆動側プーリ18が撮像面側、受動側プーリ19が被写体側の関係となってもよい。
駆動側プーリ18には第2の駆動モータ(第2の動力源)17が接続される。第2の駆動モータ17が駆動すると、レンズ保持枠2aの有するベルト接続部21には光軸方向に駆動力が伝達される。このように本実施例では、第2の動力源である第2の駆動モータ17が発生した第2の駆動力を、駆動側プーリ18、受動側プーリ19、第2の歯付きベルト20で構成される第2の駆動伝達部22により、レンズ保持枠2aに伝達している。なお、第2の駆動伝達部としてはプーリとベルトを用いて説明したが、後述のようにこれら以外の駆動力の伝達手段を用いてもよい。
以上の構成により、レンズ保持枠2aには、カム部材5を含む第1の駆動伝達部15によって第1の駆動力が伝達されるのに加えて、カム部材5を含まない、第1の駆動伝達部22とは異なる第2の駆動伝達部22よって第2の駆動力が伝達可能である。
なお本実施例において第2の駆動伝達部22には、レンズ保持枠2aのベルト接続部(腕部)21を含んでいない。第2の駆動伝達部22の固定枠8に対する相対位置は、少なくともレンズ保持枠2aの駆動中は一定の関係になる。すなわち、第2の駆動伝達部22の第1の駆動伝達部15に対する相対位置は、製造バラつきやガタ等の範囲内で一定である。
同一の固定枠8から、異なる第1の駆動伝達部15と第2の駆動伝達部22によって、同一の対象であるレンズ保持枠2aを駆動可能に直接的に、かつ並列的に接続しているので、第2の駆動伝達部22の第1の駆動伝達部15に対する相対位置は一定となる。この関係によって、同一の駆動対象であるレンズ保持枠2aを、異なる第1の駆動伝達部15と第2の駆動伝達部22で並列的に駆動することができる。そうすると、一方の駆動伝達部を用いてレンズ保持枠2aを駆動する場合、その駆動の補助を他方の駆動伝達部を用いて行うことができる。
本実施例では、第2の駆動伝達部22を介してレンズ保持枠2aが駆動されると、カムフォロア4a、カム溝3aを介してカム部材5も第2の駆動力に起因する力を受け、回転されることになる。カム部材5の回転によりカム溝3b、カムフォロア4bを介してレンズ保持枠2bにも第2の駆動力が伝達され、光軸方向に駆動されることになる。前述した、本実施形態における第2の駆動伝達部22の第1の駆動伝達部15に対する相対位置が一定となる構成では、このようにカム部材5を含む第1の駆動伝達部15に補助的に第2の駆動力を与えることができる。
逆に、本実施例では、第1の駆動伝達部15を介してレンズ保持枠2aが駆動されると、のベルト接続部(腕部)21を介して第2の駆動伝達部22も、第1の駆動力に起因する力を受けるといえる。前述した、本実施形態における第2の駆動伝達部22の第1の駆動伝達部15に対する相対位置が一定となる構成では、このように第2の駆動伝達部22に補助的に第1の駆動力を与えることもできる。
以上の構成で、本実施例におけるレンズ保持枠2aは駆動される。
さらに本実施例では、レンズ保持枠2aを駆動させる際に第1の駆動伝達部15,第2の駆動伝達部22のどちらを用いてどの程度の駆動力を出力させるかといった駆動力の配分を、状況に応じて変化(増減)させることができる。言い換えると、第1の駆動力と第2の駆動力を変化させることができる。具体的には、状況に応じた電力供給の制御が可能である。これによって、より効率的にレンズ保持枠2aを駆動することが可能となる。
以降、駆動力の制御方法について、図2及び図3を用いて説明する。
図2は、カム溝3a、3bが設けられたカム部材5の外周面の展開図である。すなわち、カムフォロア4a、4bのカム形状(の軌跡)を示している。なお、図2において、矢印23は、光軸方向、即ち図1における座標系OのX軸方向を示している。
前述の通り、レンズ保持枠2aに設けられたカムフォロア4aは、カム溝3aに係合している。したがってレンズ保持枠2aはカム部材5の回転動作に応じて光軸方向に第1の駆動力を受け、駆動される。
このとき、カム部材5の回転量に対するレンズ保持枠2aの移動量は、光軸方向に対するカム溝3aの傾斜によって変化する。カムフォロア4aとカム溝3aの係合位置において、カム溝3aの接線方向と、光軸方向23がなす角度(鋭角側)を、以降、カムリフト角θと呼称する。
このカムリフト角θとレンズ保持枠2aの移動量の関係、およびその際に生じる負荷の関係について説明する。
カムリフト角θが小さい場合は、カム部材5の回転量に対するレンズ保持枠2aの移動量が大きくなる。反対に、カムリフト角θが大きければ、カム部材5の回転量に対してレンズ保持枠2aの移動量は小さくなる。
具体的には、図2のカム溝3aにおいて、カムフォロア4aが25で示す範囲に係合している場合はカムリフト角θが小さく、カム部材5の回転量に対するレンズ保持枠2aの移動量が大きくなる。一方カムフォロア4aが24で示す範囲にある場合は25に示す範囲にある場合に比べてカムリフト角θが大きく、カム部材5の回転量に対するレンズ保持枠2aの移動量が小さくなる。
続いて、カムリフト角θと負荷の関係について説明する。まず、カム部材5を回転させることでレンズ保持枠2aを光軸方向に駆動させる第1の駆動伝達部15を利用する場合を考える。
この場合、カムリフト角θが小さいほどレンズ保持枠2aの駆動(カム部材5の回転)に必要な第1の駆動力は大きくなる。これは、カムリフト角θが小さいと、カム部材5の回転方向(矢印23に対して垂直な方向)と、カム溝3a傾斜方向の角度差が大きくなるからである。このように角度差が大きくなるほどカム部材5の回転駆動に対してレンズ保持枠2aから加わる抵抗が大きくなるためである。
次に、第2の伝達部22を利用してレンズ保持枠2aを駆動する場合を考える。
この場合、カムリフト角θが小さいほどレンズ保持枠2aの駆動(本実施例ではレンズ保持枠2aの牽引)に必要な第2の駆動力は小さくなる。直接レンズ保持枠2aを駆動する方向、即ち光軸方向と、カム溝3aの傾斜方向との角度差が小さくなるほど、カムフォロア4aがカム溝3aから受ける抵抗力が小さくなるからである。
このように同じカムリフト角θでも第1の駆動伝達部15を利用して第1の駆動力を伝達するのか、第2の駆動伝達部22を利用して第2の駆動力を伝達するのかによって、レンズ保持策2aの駆動負荷は変化する。
したがって、カム溝3aのカムリフト角θに応じて、負荷の少ない方の駆動伝達部を優先して用いるように駆動力の配分を変化させることで、より少ない負荷でレンズ保持枠2aの駆動が可能になる。
カムリフト角θの大きさに応じて制御部Cが第1の駆動モータ(第1の動力源)11,第2の駆動モータ(第2の動力源)17の駆動配分を制御する流れを、図3を用いて説明する。図3は、図2における制御手段としての制御部Cが行う処理(制御方法)の流れを示している。
まず、制御部CはS101として、検出手段(不図示)を介して現在のレンズ7aの位置の情報を取得する。例えば、現在のカム部材5の回転位相(角度)を角度検出手段(不図示)によって検出することによって、現在のレンズ4aの位置を知ることができる。レンズ7aの位置の検出手段はこれに限られない。例えば第2のレンズ7bの位置を検出する検出手段を設けてもよい。
制御部CはS102として、第1の駆動伝達部15を伝達される第1の駆動力と、第2の駆動伝達部22を伝達される第2の駆動力(もしくは配分の割合)を決定する。本実施例では、第1の駆動モータ11,第2の駆動モータ17の発生する駆動力(の配分)を決定する。
例えば、現状のレンズ位置において、カムフォロア4aとカム溝3aが係合している部分のカムリフト角θを導き出す。例えば、カム部材5の回転位相(角度)と、予めデータとして記憶部(不図示)に持たせたカム部材5の回転位相(角度)とカムリフト角θとの関係を示すテーブルから、現状のカム溝3aのカムリフト角θを導出することができる。
その後、制御部Cは導出(取得)したカムリフト角θに基づいて、第1の駆動モータ11の第1の駆動力,第2の駆動モータ17の第2の駆動力(もしくは配分の割合)を決定する。
カム溝3aのカムリフト角θが小さければ、第2の駆動モータ17の供給する第2の駆動力を第2の駆動力に対して相対的に大きくするように重みづけする。例えば図2の25の領域においては、第1の駆動力と第2の駆動力の割合を0:100にする。
逆に、カムリフト角θが比較的大きければ、第1の駆動モータ11の供給する第1の駆動力を第2の駆動力に対して相対的に大きくするように重みづけする。例えば、図2の24の領域においては、第1の駆動力と第2の駆動力の割合を100:0にする。
さらに例えば、これらの駆動力の配分の切り替えを滑らかにするために、24と25の領域の間に、割合を段階的に変化させる領域(例えば第1の駆動力と第2の駆動力の割合が50:50の領域)を設けてもよい。
なお、駆動力、もしくはその配分率はこれに限られない。本実施例のように、いずれか一方の駆動力が0である例にも限られない。例えば有る閾値となる角度を設定して段階的に変化させてもよいし、カムリフト角θに応じて連続的に変化させるようにしてもよい。駆動力の配分の割合を制御してもよいし、駆動力の量を制御した結果、駆動力の配分の割合が変化してもよい。
また、後述するように、駆動力、もしくはその配分の割合の決定手段も、カムリフト角θのみを用いた本実施例の決定手段に限られない。
制御部CはS103として、S102の決定に基づいて駆動力を制御する。本実施例ではS102で決定した第1、第2の駆動力(もしくは配分の割合)を元に、第1の駆動モータ11,第2の駆動モータ17の制御値を決定し、その値に基づいて駆動制御を行う。具体的には例えば、供給する電力を制御する。
制御部Cはレンズが所望の位置に駆動されるまで以上の動作を繰り返すことで、レンズ保持枠2aが光軸方向に駆動制御される。
このようにカム溝3aのカムリフト角θの大きさによって、レンズ保持枠2aを駆動させる際に各駆動伝達部を伝達する駆動力を変化させることで、レンズ保持枠2aの駆動の負荷を低減し、効率的にレンズ保持枠2aを駆動することが出来る。
これにより、カムリフト角θの小さな(カム部材5の回転方向に対しては急峻な)カムを用いたレンズ装置の提供ができる。また、消費電力を低減させることができる。
なお、本実施形態においては各駆動モータの駆動力の配分割合を、レンズ7aの位置におけるカム溝3aのカムリフト角θによって変動させるとしたが、その他の要因を加味した上で設定してもよい。
例えば、レンズ7bの位置(カムフォロア4bの係合位置)における、カム溝3bのカムリフト角の影響を考慮すると、さらに効率のよいレンズ駆動が可能になる。本実施形態においてはレンズ7aの位置に基づいても、レンズ4bの位置に基づいても、その両方に基づいてもよい。
また、レンズ保持枠2aとレンズ保持枠2bの質量を考慮する等すれば、より正確に負荷に基づいて制御が行えるので、より効率的な配分設定が可能となる。
また、レンズ鏡筒1の駆動時の姿勢や外気温といった、レンズ保持枠の駆動力を変動させる要因となる条件について、各種検出手段等を別途設けることでその情報を取得可能とし、これらを加味した上で配分設定を行うようにしてもよい。より正確に負荷に基づいて制御が行えるので、より効率的な配分設定が可能となる。
また、実際に各駆動モータに振り分けられた制御値と、レンズ保持枠2aの光軸方向駆動の応答状況から配分を変更するなど、実際の駆動制御の状況を加味し、フィードバックしながら駆動力の配分を都度変更するようにしてもよい。
また、本実施例では2つの駆動モータ11、17のうち一方を全く駆動しない状態を設定する構成で説明した。その場合、第1、もしくは第2の駆動伝達部に電磁クラッチ等の動力伝達を切断する切断手段を設けることで、モータのイナーシャ等、利用しない側の駆動伝達部から受ける影響を排除することができる。
更に、駆動モータ17を補助動力源、第2の駆動伝達部22をレンズ保持枠2aの補助駆動手段としてとらえ、カム部材5によるレンズ7aによる位置制御の駆動の補助を行うことも可能である。すなわち、カム部材5に大きな駆動力を与えなければいけない所定のタイミング、所定の位置でのみ、第2の駆動伝達部22を含む補助駆動手段によるレンズ7aの駆動のアシストを加えてもよい。
なお、本実施形態においては、第2の駆動伝達部22に固定枠8に固定されたプーリとベルトを用いた。しかし、これは例えばワイヤ、チェーン、歯車等の別の駆動伝達手段を用いてもよいし、固定枠8に小型の直動アクチュエータを設けることで、レンズ保持枠2aを直接駆動するような方法でもよい。
これは例えば、小型のアクチュエータ(第2の動力源)をレンズ保持枠に形成した腕部に取り付ける。固定枠には、このアクチュエータの発生する動力を受け、摩擦力を発生させる摩擦部材を設ける。この摩擦部材は、摩擦力を第2の駆動力としてレンズ保持枠に伝達する第2の駆動伝達部として機能する。このように本実施形態と同様にカム部材を含む第1、第2の駆動伝達部の相対位置は一定の関係を保ちつつ、小型の第2の動力源ごとレンズ保持枠を駆動させる構成でも本発明は実施可能である。
また、本実施例においては、第2の駆動伝達部22が連結し、第2の駆動力を伝達するのは被写体側のレンズ保持枠2aとした。しかし撮像面側のレンズ保持枠2bであってもよいし、3つ以上のレンズ保持枠を有するレンズ鏡筒に適用することも可能である。
さらに、第1の駆動伝達部に係合する複数のレンズ保持枠に、それぞれ異なる第2の駆動伝達部を設けても良い。第2の駆動伝達部を介して複数の駆動力を伝達するために、更に動力源を設けてもよい。第1の駆動伝達部、および複数の第2の駆動伝達部を伝達される各駆動力を制御することで、より効率的なレンズ保持枠の駆動を行うことも可能である。
なお駆動力を明示的に制御しない場合でも、本実施形態においてはカム部材を介してのみレンズ保持枠を駆動する場合に比べてカムリフト角の変化による駆動力の変動が小さい。また、必要な駆動力の最大値も小さくなる。すなわち、レンズの駆動の効率化の効果を得ることができる。
(実施例2)
以下、図4から図5を参照して、本発明の実施例2を説明する。第2の実施例は2つの駆動伝達部の駆動モータ(動力源)が1つであり、クラッチ機構によって、どちらの駆動伝達部に動力源を接続するかを切り替えるレンズ鏡筒である。なお、実施例1と同様の部分については、説明を省略し、図面においては同じ付番とする。
図4は本実施例におけるレンズ鏡筒1において、本発明にかかわる部分を模式的にあらわす概略図である。
本実施例において、レンズ保持枠2aを駆動する駆動モータ(動力源)31は、その出力軸と一体となって回転するように、キー部材32を有するスライダー軸33を有する。スライダー軸33には、クラッチギア(切り替え手段)34が配置されている。
このクラッチギア34は、キー部材32を介して、駆動モータ31の駆動力を受け、駆動モータ31の出力軸と一体となって回転する。同時にこのクラッチギア34は、スライダー軸33の軸方向に移動可能となっている。
クラッチギア34は、スライダー軸33上を移動することで、2つの受動ギア35、37のいずれかに噛み合うことができる。このクラッチギア34のスライダー33上の移動は、制御部Cによって制御される切り替え用モータ45を含むクラッチ機構の駆動によってなされる。以下、この機構の説明をする。
検出手段(不図示)によって取得されたレンズ7aの位置の情報に応じて切り替え用モータ45が駆動されると、その出力軸に連結された送りネジ46が回転する。送りネジ46には、クラッチギア34の前後を挟む形状を有する送り部材47が螺合している。送りネジ46が回転することで、送り部材47が送りネジの軸方向に進退する。
送り部材47の内側部分には、クラッチギア34の回転を阻害しないようにコマ部品48が設けられている。コマ部品48と送り部材47内壁との間には、2つのバネ部材49a、49bがコマ部材48を両側からはさむように設けられる。
ここで、切り替え手段が図4に示すクラッチギア34がギア37と噛み合った状態から、図4に破線で示したクラッチギア34とギア35が噛み合った状態に切り替える動作を説明する。
制御部Cによる切り替えモータ45の駆動により、送りネジ46が回転することで、送り部材47が送りネジの軸方向(光軸方向)に移動する。すると、送り部材47とコマ48の間に有るバネ49aが縮むことでコマ48を付勢する。コマ48は、クラッチギア34をギア35に向けて付勢する。
クラッチギア34がコマ部材48に付勢された状態で、ギア35の歯とクラッチギア34の歯が噛み合う位相関係になると、クラッチギア34は図4上において破線で描かれた位置まで移動してギア35に噛み合う。
以上の動作により、駆動モータ31の駆動力がギア35に伝達できるようになる。
本実施例においては図4に破線で示したクラッチギア34がギア35に噛み合う状態が第1の駆動伝達部に動力源である駆動モータ31が接続された状態である。本実施例における第1の駆動伝達部は、ギア35、ギア35と一体となって回転するプーリ36、カム部材5、カム部材5と一体となって回転するプーリ14、およびプーリ36とプーリ14を連結する歯付きベルト13で構成されている。
この第1の駆動伝達部によって、カムフォロア4aおよびレンズ保持枠2aに第1の駆動力が伝達される。
なお、第1の駆動伝達部を構成するギア35、プーリ36、プーリ14の配置や構成は本実施例に限られない。例えばギア35が撮像面側に設けられてもよい。ギアのみを介してカム部材と接続する構成でもよい。
一方、図4に実線で示すクラッチギア34がギア37と噛み合っている状態が、第2の駆動伝達部に動力源である駆動モータ31が接続された状態である。本実施例における第2の駆動伝達部は、ギア37、ギア37と一体となって回転するプーリ38、プーリ40、プーリ38とプーリ40を連結する歯付きベルト39を有する。更に第2の駆動伝達部は、実施例1と異なり、プーリ40と一体となって回転するワイヤドラム41、2本のワイヤ42a、42b、固定枠8に固定された、ガイド43、を有する。
この第2の駆動伝達部によって、ワイヤ固定部(腕部)44およびレンズ保持枠2aに第2の駆動力が伝達される。本実施例においては、第1、第2の駆動伝達部で共通の動力源である駆動モータ31を用いる。言い換えれば、駆動モータ31は前述の第1の駆動力、および第2の駆動力の動力源である。
駆動モータ31ギア37に伝えられた第2の駆動力は、ギア37と一体となって回転するプーリ38に伝わる。また、歯付きベルト39を介して、プーリ40に伝わる。さらにプーリ40と一体となって回転するワイヤドラム41に伝わる。
ワイヤドラム41には、2本のワイヤ42a、42bが、2本の巻き付け方向が逆方向になるように巻き付けられている。ワイヤ42a,42bは光軸方向に沿って延び、ガイド43を経由して、第1のレンズ保持枠2aのワイヤ固定部44を光軸方向前後に挟むように固定されている。
この構成によって、ワイヤドラム41が回転すると第1のレンズ保持枠2aの光軸方向の前後に接続された2本のワイヤ42a,4bのうち、一方がワイヤドラム41に巻きつけられる。同時に、2本のワイヤ42a,4bのうち他方は引き出される。したがってレンズ保持枠2aは光軸方向に駆動(牽引)される。
なお、本実施例においても第1の実施例と同様に、検出手段(不図示)によって取得された第1のレンズ7aの位置の情報に応じて、その位置におけるカムの負荷、カムリフト角θの角度等に基づき、制御部Cが駆動力の切り替えを行うことができる。本実施例では、共通の動力源が供給する駆動力であって第1の駆動伝達部を伝達される第1の駆動力、および、第2の駆動伝達部を伝達される第2の駆動力の配分の割合を100:0、もしくは0:100に制御していることになる。
以上のように動力源を、第1の駆動伝達部に接続するか、第2の駆動伝達部に接続するかを切り替えるクラッチ機構を設けることで、レンズ保持枠の駆動モータは1つであっても効率的なレンズ保持枠の駆動が可能になる。
なお本実施例においては、送りネジを利用したクラッチ機構を利用した例を提示したが、このクラッチ機構は他の型式であっても構わない。例えば電磁クラッチを利用して切り替えを瞬間的に行えるようにすることで、よりスムーズな切り替えが可能になる。
また、クラッチの切り替えをカム部材の回転やレンズ保持枠の光軸方向移動と連動させて行うようにしてもよい。実施例2の変形例として、図5にはこの例を示す。
図5に示す例では、カム部材5の先端に設けたギア50aと、送りネジ46側に設けたギア50bとが噛み合うことで、カム部材5の回転に伴い送りネジ46が回転する。すなわち、このカム部材5の回転に連動する送りねじ46はレンズ7bの位置の情報を取得する検出手段として機能することになる。送りねじ46は、各ギアの配置等の設定によって予め定められたレンズ7aの位置において、クラッチ機構(クラッチギア34等)を駆動させる。
図5に示す例では、以上の機構が駆動力の制御部としての役割を果たし、切り替え手段を駆動させることができる。
図5に示す例ではカム部材5と連動する送りねじ46の送り量がレンズの位置に追従するので、レンズの位置に応じた駆動量の制御を可能にする検出手段となる。同時に、各ギアの配置等の設定に応じてクラッチ機構を駆動させるレンズ位置を決める制御部となる。つまり図5に示す例ではカム部材5の動力源である駆動モータ31をクラッチの動力源としても、レンズ位置の検出手段としても、駆動量(の配分)の制御部としても用いることができるのでレンズ鏡筒の小型化、省電力化に有利な効果を得ることができる。
以上の実施例においてはレンズ鏡筒について説明したが、本発明は、撮像素子を含むカメラと、カメラに被写体からの光を導くレンズ装置と、を有する撮像装置においても適用可能である。このような撮像装置に用いられる場合には、前述のカメラに被写体からの光を導くレンズ装置として、本実施形態のレンズ鏡筒を用いることが望ましい。これにより効率的にレンズを駆動することのできる撮像装置を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
1 レンズ鏡筒
2a レンズ保持枠
3a カム溝
4a カムフォロア
5 カム部材
8 固定枠
11 第1の駆動モータ
21 ベルト接続部

Claims (10)

  1. レンズを保持し、カムフォロアを有するレンズ保持枠と、
    前記レンズ保持枠を移動可能に保持する固定枠と、
    前記カムフォロアに係合し、前記レンズ保持枠の移動量を決めるカム形状を有するカム部材と、
    を備えるレンズ鏡筒であって、
    前記カムフォロアに第1の駆動力を伝達する、前記カム部材を含む第1の駆動伝達部と、
    前記レンズ保持枠に第2の駆動力を伝達する、前記第1の駆動伝達部と異なる第2の駆動伝達部と、を備え、
    前記第1、第2の駆動伝達部の光軸方向における相対位置が一定である
    ことを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 前記固定枠には光軸方向に沿って開口が形成され、
    前記レンズ保持枠は前記開口から固定枠の外周部に突出した腕部を有し、
    前記第2の駆動伝達部は、前記腕部に前記第2の駆動力を伝達する
    ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記レンズの位置の情報を取得する検出手段を有し、
    前記検出手段の取得する情報に基づいて、前記第1、第2の駆動力を制御する制御部を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
  4. 前記制御部は、前記カムフォロアが係合する位置における前記カム形状の接線方向と光軸方向のなす角のうち鋭角側の角度が大きい場合に前記第1の駆動力を前記第2の駆動力に対して相対的に大きくし、前記角度が小さい場合に前記第2の駆動力を前記第1の駆動力に対して相対的に大きくするように制御する
    ことを特徴とする請求項3に記載のレンズ鏡筒。
  5. 前記レンズの位置の情報を取得する検出手段を有し、
    前記検出手段の取得する情報に基づいて、前記第1、第2の駆動力の配分の割合を制御する制御部を有する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
  6. 第1、第2の動力源を有し、
    前記制御部は、前記第1、第2の動力源がそれぞれ発生する第1、第2の駆動力を制御する
    ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
  7. 動力源と、
    前記動力源を前記第1の駆動伝達部に接続するか、前記第2の駆動伝達部に接続するかを切り替える切り替え手段と、を有し、
    前記制御部は、前記切り替え手段を制御することで前記第1、第2の駆動力を制御する
    ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒。
  8. 前記検出手段は前記カム部材の回転に連動する送りネジであり、
    前記切り替え手段はクラッチ機構であり、
    前記制御部は、前記送りネジが前記レンズの位置に応じて前記クラッチ機構を駆動させるように構成される
    ことを特徴とする請求項7に記載のレンズ鏡筒。
  9. 撮像素子を含むカメラと、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載のレンズ鏡筒と、
    を有することを特徴とする撮像装置。
  10. レンズを保持し、カムフォロアを有するレンズ保持枠と、前記レンズ保持枠を移動可能に保持する固定枠と、前記カムフォロアに係合し、前記レンズ保持枠の移動量を決めるカム形状を有するカム部材と、前記カムフォロアに第1の駆動力を伝達する、前記カム部材を含む第1の駆動伝達部と、前記レンズ保持枠に第2の駆動力を伝達する、前記第1の駆動伝達部と異なる第2の駆動伝達部と、を備え、前記第1、第2の駆動伝達部の光軸方向における相対位置が一定であるレンズ鏡筒の制御方法であって、
    前記制御部は前記レンズの現在の位置の情報を取得する工程と、
    前記レンズの位置の情報に基づいて前記第1、第2の駆動力を決定する工程と、
    前記決定に基づいて前記第1、第2の駆動力を制御する工程と、
    を有することを特徴とするレンズ鏡筒の制御方法。
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