以下、本発明に係る撮影レンズ駆動制御装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例1としての撮影レンズ駆動制御装置100の構成を示すブロック図である。
撮影レンズ1は、それぞれが複数のレンズを有する4つのレンズ群を備え、対物側から第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群の順に配列されている。ここで、第1レンズ群と第2レンズ群とは一体化されて、第1−2レンズ群を構成している。
以下、第1−2レンズ群を1−2群1A(主レンズ群)、第3レンズ群を3群1B(従レンズ群)、第4レンズ群を4群1C、として説明する。
1−2群1A、3群1B、および4群1Cは、光軸を共通にして、鏡胴1D内に配置されている。ここで、1−2群1Aと3群1Bとの間には、被写体から撮影レンズ1内に通過する光量を制御する第1絞り2Aおよび第2絞り2B、並びに、撮影時の露光時間を制御するシャッタ3が設置されている。
1−2群1Aおよび3群1Bは撮影倍率を変化させるためのズーム用レンズ群(変倍機能を担うレンズ群)であり、4群1Cは、この4群1Cの後方に位置する露光面(図示省略)に、被写体の像を合焦させるための合焦(フォーカス)用レンズ群である。各レンズ群1A,1B,1Cは、それぞれ別個のモータ(レンズ駆動装置)により駆動され、光軸に沿って移動して目標の光学系が成立する。
ここで、1−2群1Aを駆動する1−2群用モータ4AはDCモータ(直流モータ)であり、3群1Bを駆動する3群用モータ4Bおよび4群1Cを駆動する4群用モータ4Cはいずれもパルスモータである(駆動機構は図示省略)。
DCモータは、印可される駆動電圧に応じて駆動速度が変化するレンズ駆動装置であり、印可する電圧を変化させるだけの簡単な操作で、1−2群1Aの駆動速度を調整することができる。
なお、DCモータは一般に、供給電力が同じであれば、パルスモータよりも高速回転にすることができ、また、負荷の変化に応じて駆動電流が変化するという特性があるため、負荷の増大で駆動電流が増大し、結果として駆動トルクが増えるため、負荷変動に強く、滑らかな動作を得ることができる。
したがって、ズーム位置に応じてカムの傾斜が変化(負荷トルクが変化)するような、例えばカム筒の駆動に適している。
また、DCモータは、デューティ比(周期に占めるオン状態の時間の割合)に応じて駆動速度が変化するレンズ駆動装置でもあり、レンズ駆動装置に入力する駆動通電時間の比つまりデューティ比を変化させるだけの簡単な操作で、1−2群1Aの駆動速度を調整することができる。
反面、DCモータを停止させる際には、慣性によって、停止制御を行ってから実際に停止するまでのずれ、いわゆるオーバーランが起こり、希望した位置に停止させることが困難である。この点、パルスモータは、パルスを与えることで駆動するため、任意の目標位置に停止させるのは容易であるが、トルク変動に対しては強くないため、トルク変動が少ない場合の駆動制御に適している。
また、第1絞り2A、第2絞り2B、およびシャッタ3には、それぞれを駆動するための第1絞り用モータ4D、第2絞り用モータ4E、シャッタ用モータ4Fが設けられ、これらモータ4D,4E,4Fの動作によって、対応する第1絞り2A、第2絞り2B、およびシャッタ3がそれぞれ駆動される(駆動機構は図示省略)。なお、上述した全てのモータ4A〜4Fは、モータドライバ5A(制御装置の一部)に電気的に接続されて集中的な制御に供される。
モータドライバ5Aは、電気的に接続されたCPU5B(制御装置の他の一部)から、各モータ4A〜4Fを駆動制御するのに必要な情報、例えば駆動電圧、駆動タイミング、駆動量、駆動方向等を得、これらの情報に基づいて各モータ4A〜4Fの駆動制御を行う。
ここで、モータ4Aには、その回転に伴い回転数に応じた数のパルスを発生する1−2群移動量検出装置7が備えられている。この1−2群移動量検出装置7は、電気的に接続された1−2群移動量検出装置駆動回路8によって駆動される。また、1−2群移動量検出装置7が出力したパルスはCPU5Bに入力される。
1−2群移動量検出装置7は、撮影レンズ1が最も望遠状態になったときと、最も広角状態になったときとの間で、例えば1280個など所定の数のパルスを出力するように設定されている。
そして、この最も望遠状態になったときと、最も広角状態になったときとの間の全区間が、所定の数(例えば16等分)に区切られる(80パルスごとに1等分区間)、この16の区間を規定する17個の区切り(N)には、位置指標、いわゆるズームポジションZp(N)が設定されている。
ここで、1−2群移動量検出装置7の出力パルスと1−2群1AのズームポジションZp12(1),Zp12(2),…,Zp12(17)との関係を図2に示す。また、所定の基準位置、ズームポジション、収納位置の位置関係を図14に示す。
図2に示したパルス数は、基準位置を0として正の値でカウントしたものであり、基準位置から収納位置に向かう方向へのカウントでは、負の値でカウントするものとする。
一方、3群用モータ4Bおよび4群用モータ4Cは、CPU5Bからの指示にしたがってモータドライバ5Aから入力されたパルスレートに応じた駆動速度で駆動される。
ここで、3群1Bを3群用の各ズームポジションZp3(1)〜Zp3(17)に配置させるのに必要な3群用モータ4Bへの入力パルス数は、図2の下段に示すように設定されている。なお4群1Cは合焦用レンズ群のため、その位置の説明は省略する。
また、1−2群1A、3群1B、4群1Cには、それぞれの基準位置を検出する1−2群基準位置検出装置9A(レンズ位置検出手段)、3群基準位置検出装置9B(レンズ位置検出手段)、4群基準位置検出装置9C(レンズ位置検出手段)が対応して備えられており、各レンズ群1A,1B,1Cが基準位置にあるかどうかが検出される。
これらの1−2群基準位置検出装置9A、3群基準位置検出装置9B、4群基準位置検出装置9Cは、それぞれに対応する1−2群基準位置検出装置駆動回路10A、3群基準位置検出装置駆動回路10B、4群基準位置検出装置駆動回路10Cによって駆動される。また、各基準位置検出装置駆動回路10A,10B,10Cによって検出された位置は、CPU5Bに入力される。
CPU5Bには、望遠撮影を行う場合に撮影レンズ1の倍率を高倍率化するために操作する望遠スイッチ(図1において望遠SWと記載)6A、および広角撮影を行う場合に撮影レンズ1の倍率を低倍率化するために操作する広角スイッチ(図1において広角SWと記載)6Bが電気的に接続されており、CPU5Bはこの望遠スイッチ6Aおよび広角スイッチ6Bの操作に応じて各群用モータ4A,4B,4Cを制御する。
そして、上記モータドライバ5AとCPU5とが、制御装置5(制御装置)を構成している。
なお、1−2群1Aを構成する1群および2群は、これら2つのレンズ群(1群、2群)の間隔がカム機構によって機械的に調整されるカム筒(図示省略)に取り付けられており、1−2群用モータ4Aにより1−2群1Aが駆動される際に、1群と2群との間隔が所定の間隔となるように機械的に駆動される。
また、CPU5Bには、周囲の温度を検出する温度センサ5Cが接続されている。温度センサ5Cは、検出した温度に応じた電圧値を出力し、CPU5Bは、この出力された電圧値をA/D変換することにより、温度を取得する。本実施例での温度センサ5Cは、温度1[度]に対して電圧10[mV]変化する特性を有しているため、温度が不明の場合であっても、検出された電圧値に基づいてその温度を求めることができる。
さらに、CPU5Bは、主レンズ群である1−2群1Aと従レンズ群である3群1Bとを同時に駆動するとき、1−2群1Aの駆動量に同期して3群1Bの駆動と停止とを繰り返すことにより、これら1−2群1Aと3群1Bとの間の位置関係を保つように、モータドライバ5Aを制御する。
また、CPU5Bは、3群1Bが停止している期間(停止期間)を検出する従レンズ群停止期間検出手段としても機能するとともに、この従レンズ群停止期間検出手段としての機能により検出された3群1Bの停止期間に応じて、3群1Bの初期駆動期間のパルスレート(パルスモータ4Bのパルスレート)を変化させる制御も行う。
すなわち、本実施例1は、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群1Bを駆動制御する際に、3群用モータ4Bの停止期間に応じて、3群用モータ4Bの初期駆動期間のパルスレートを切り替え、3群用モータ4Bの脱調を防止する駆動制御方法の実施例である。
次に、本発明の実施例1の基本動作を図3,4のフローチャート、図5〜8のタイミングチャート、および図9の動作説明図を参照して説明する。
ここで、本実施形態における駆動制御方法は、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される向きへの状態であるか、または広角から望遠に駆動される向きへの状態であるか、に応じて制御のフローが異なるため、以下、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される向きの状態と、広角から望遠に駆動される向きの状態とに場合分けして説明を行う。
(広角から望遠に駆動される向きの状態における駆動制御)
まず、撮影レンズ1の駆動方向が広角から望遠に駆動される向きの状態における駆動制御方法の説明を行う。図3,4は、この駆動制御時のズーム動作を示している。
ステップS101では、4群1Cの退避駆動制御の必要性を判断する。具体的には、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される状態(T→W)であるか、広角から望遠に駆動される状態(W→T)であるか、の別に応じて判定される。
ここでは、使用者が撮影レンズ1を広角から望遠に駆動する望遠スイッチ6Aを押して、撮影レンズ1が広角から望遠に駆動される状態の説明であり、この場合は、各レンズ群1A,1B,1C間の距離が互いに離れる方向に各レンズ群1A,1B,1Cが駆動されるため、CPU5Bは、4群1Cの退避駆動制御を不要と判定し、フローはステップS103へ進む。
ステップS103では、3群1Bの退避駆動制御の必要性を判断するため、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される状態であるか、広角から望遠に駆動される状態であるか、の別が判定される。
使用者が、撮影レンズ1を広角から望遠に駆動する望遠スイッチ6Aを押して、撮影レンズ1が広角から望遠に駆動される状態では、上述したように、各レンズ群1A,1B,1C間の距離が離れる方向へ各レンズ群1A,1B,1Cが駆動されるため、3群1Bの退避駆動制御は不要であり、フローはステップS105へ進む。
ステップS105では、望遠スイッチ6Aが押されたことによって1−2群用モータ4Aにより1−2群1Aの駆動が開始される(図5,6における望遠スイッチ6Aおよび1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
ここで、1−2群用モータ4AはDCモータであるため、駆動開始直後は突入電流が発生して電源電圧が降下して電池寿命に悪影響を与える。これを避けるため、CPU5Bは、1−2群1Aの駆動開始直後は、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を定常時の駆動電圧より低い値に設定し、駆動開始時点から所定時間経過後に、駆動電圧を定常時の駆動電圧に引き上げる起動制御を行う(図5,6における望遠SW(望遠スイッチ6A)のOn(電力投入)/Off(電力遮断)および1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
なお、望遠〜広角の位置間での駆動電圧は、広角位置〜撮影レンズ収納位置間での駆動電圧よりも、相対的に低く設定されている。これは、広角〜撮影レンズ収納間では、駆動の高速性が要求されるため電圧を高く設定し、望遠〜広角の位置間では、望遠スイッチ6Aまたは広角スイッチ6Bの操作により、目標の位置ですばやく駆動が停止するように適度な電圧設定としているからである。
ステップS105で1−2群1Aの駆動を開始後、フローはステップS106へ移行し、ステップS106では、1−2群1Aを停止する必要があるか否か、の判定が行われる。
ここで、1−2群1Aを停止する必要がある場合、すなわち、望遠スイッチ6Aが押されなくなった場合(図6において、望遠スイッチ6AがOffに切り替えられた時点)、または1−2群1Aが最望遠側の位置の所定距離手前まで駆動された場合(図5において、1−2群用モータ4Aの停止制御が開始された時点)は、フローは図4に示すステップS114へ移行する。一方、1−2群1Aを停止する必要がない場合は、フローは図3のステップS107へ移行する。
ステップS107では、3群1Bが駆動開始前であるか駆動開始後であるかが判定される。ここで3群1Bが駆動開始前である場合は、フローはステップS108へ移行する。一方、3群1Bが駆動開始後である場合は、フローはステップS110へ移行する。
ステップS108では、1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングに時間差を持たせるために、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過しているかどうかが判定される。
1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングとに時間差を持たせることで、1−2群用モータ4Aの駆動開始時に発生する突入電流タイミングに、3群用モータ4Bの駆動電流が重ならないため、電源が短時間に大きな消費電流を供給する必要がなくなる。
そして、CPU5Bが、このように1−2群1Aと3群1Bのとの駆動開始タイミングをずらす制御を行うことにより、電源である電池の寿命を長くすることが可能となる。そして、この駆動開始タイミングのずれとして上記所定時間が経過しているか否かの判定は、1−2群移動量検出装置7から出力される出力パルスの数のカウント値が、所定値に達したか否かに応じて行われる(カウント値が所定値に達したときは、所定時間が経過したと判定し、カウント値が所定値に達していないときは、所定時間が経過していないと判定する。)。
ステップS108において、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過していると判定した場合は、3群1Bの駆動開始を許可し、フローはステップS109へ移行する。一方、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過していないと判定した場合は、3群1Bの駆動開始を許可せずに、フローはステップS106へ戻り、上記フロー(ステップS106→ステップS107→ステップS108)を繰り返す。
ステップS108で3群1Bの駆動開始を許可し、ステップS109の処理に進むと、3群用モータ4Bにより3群1Bの駆動の開始が許可される。このとき、3群用モータ4Bには、規定電圧にて励磁される。この励磁状態が10[msec]以上経過後に、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群用モータ4Bに駆動パルスが与えられる。
3群用モータ4Bの駆動パルスレートは、駆動開始直後の所定期間である初期駆動期間(1パルス)においては500pps([パルス/sec])とし、初期駆動期間以降である定常駆動期間においては1000ppsとなるように、CPU5Bによる制御が行われる。その後、フローはステップS106へ戻る。
ステップS107において、3群1Bが駆動開始後である場合は、フローはステップS110へ移行する。
ステップS110では、1−2群1Aに対する3群1Bの位置を調べ、この1−2群1Aに対する3群1Bの位置関係に基づいて、1−2群1Aと3群1Bとの干渉、および両者1A,1Bの必要以上の乖離を避けるために、3群1Bの駆動量の変更が必要であるかどうか、が判定される。
ここで、図9に示すように、1−2群1Aの位置に対する3群1Bの位置が、第1の所定位置P1を越えて1−2群1Aに近づいている状態であるか(図9の点線部A1)、第3の所定位置P2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B1)、3群1Bの駆動量の変更が必要な状態であり、フローはステップS111へ移行する。
一方、1−2群1Aの位置に対して3群1Bの位置がP1とP2の間にある場合は、3群1Bの駆動量の変更は不必要な状態であり、フローはステップS106へ戻る。以下、P1とP2の間隔を群間保持区間という。
ステップS111では、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP1を越えて1−2群1Aに近づいている状態の場合は(図9の点線部A1)、1−2群1Aと3群1Bとの干渉が発生する可能性があるため、両群1A,1B間の位置関係を所定範囲に保つように3群1Bの駆動量を減少して減速させる制御を行い、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を回避する。
また、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP2を越えて1−2群1Aよりも遠ざかっている状態であれば(図9における点線部B1)、1−2群1Aと3群1Bとの距離が必要以上に離れてしまう可能性があるため、両群1A,1B間の位置関係を所定範囲に保つように3群1Bの駆動量を増加して加速させる制御を行い、1−2群1Aと3群1Bとの必要以上の乖離を回避する。
駆動量の増減量は、1−2群1Aの駆動速度、1−2群移動量検出装置7によって検出される1−2群1Aの位置、および3群用モータ4Bの入力パルスによって算出される3群1Bの位置に基づいて算出された群間距離に基づき、CPU5Bによって適切な値が算出される。
図9に示す1−2群1AのズームポジションZp12(N)に対し、所定の倍率を成立させる3群1BのズームポジションZp3(N)があらかじめ設定されている(図2参照)。
ここで、3群1Bの加速を開始する3群1Bの位置P1は、3群1BのズームポジションZp3(N)と3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)との間の3分の1だけ、3群1BのズームポジションZp3(N)から3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)に近づいた位置としている。すなわち、
P1=Zp3(N)+(Zp3(N+1)−Zp3(N))/3である。
また、3群1Bの減速を開始する3群1Bの位置P2は、3群1Bの1つ手前のズームポジションZp3(N−1)に近づいた位置としている。すなわち、
P2=Zp3(N−1)としている。
図2に示す3群用モータ4Bへの出力パルスで位置P1、P2を表すと、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)の場合、対応する3群1BのズームポジションZp3(4)=360に対し、P1,P2はそれぞれ、
P1=360+(380−360)/3≒366
P2=340となる。
すなわち、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)(つまり、N=4)の場合、3群用モータ4Bへの出力パルスが366以上にある場合は、3群1Bの駆動速度を減速し、3群用モータ4Bへの出力パルスが340以下にある場合は、3群1Bの駆動速度を加速する。
ここで、図10を用いて、3群1Bの駆動速度を3群用モータ4Bへの駆動量により可変する方法を説明する。
3群用モータ4Bは、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して駆動される。3群1Bの位置は、この1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)ごとに確認される。
通常同期駆動量は1パルスであり、3群用モータ4Bはこの1パルスで駆動され、3群1Bの位置がP2以下(図9参照)となり、1−2群1Aとの間の距離である群間距離が広がった場合は、3群用モータ4Bの同期駆動量を通常同期駆動量(1パルス駆動)から高速同期駆動量(3パルス駆動)に変更して駆動速度を加速させる。
その後、3群1Bの位置が群間保持区間内(図9参照)に位置した場合は、3群用モータ4Bの駆動量を通常同期駆動量に戻し、3群用モータ4Bは1パルス駆動とされる。
また、3群1Bの位置がP1以上となり、1−2群1Aとの群間距離が狭まった場合は、3群用モータ4Bへの同期駆動量を0パルスとすることにより、3群用モータ4Bが動作するのを禁止し、群間距離が狭まる速度を抑制または群間距離が狭まるのを防止する。
以上のように、3群1Bの位置が群間保持区間を外れた場合に、3群1Bの同期駆動量を制御することで、1−2群1Aと3群1Bとの干渉および必要以上の乖離を避けながら、1−2群1Aと3群1Bとを同時に駆動することが可能となる。
次に、図11を用いて、3群用モータ4Bの初期駆動期間におけるパルスレートの切換えについて説明する。3群用モータ4Bの駆動は、上述したように、初期駆動期間とそれ以降の定常駆動期間とにおいて、駆動パルス数を切り替えることで駆動制御されており、初期駆動期間における駆動パルス数は1パルスである。
また、通常同期駆動量である3群用モータ4Bの駆動量が1パルスの場合は、初期駆動期間のパルスレートは500ppsに設定されており(図11における<1>の領域)、さらに、通常同期駆動量(1パルス)から高速同期駆動量(3パルス)への切り替え時も同様に、初期駆動期間の1パルス目のパルスレートは500pps(図11において、A部)、その後の定常駆動期間における2パルス分は1000pps(図11において、B部)でそれぞれ駆動させている(同図<2>の領域)。
ここで、高速同期駆動量で駆動される期間については、CPU5Bが3群1Bの停止期間を検出し、この停止期間の長短に応じて、CPU5Bが3群用モータ4Bの初期駆動期間でのパルスレートを変化させるが、具体的には、停止期間が1[msec(ミリ秒)](規定時間)以下の場合は、初期駆動期間の1パルス目のパルスレートを、定常駆動期間における2パルスのパルスレートと同じ1000ppsに変更し(A→B)、このパルスレート1000ppsで3群用モータ4Bを駆動させる(<3>の領域)。
CPU5Bがこのように3群用モータ4Bを制御することにより、3群1Bの駆動速度を上昇させつつ、3群1Bをスムーズに駆動することができる。
一方、CPU5Bは、検出した3群1Bの停止期間が1[msec]よりも長い場合は、初期駆動期間の1パルス目のパルスレートは500ppsとし、3群用モータ4Bを500ppsで駆動させるように(<4>の領域)、CPU5Bが3群用モータ4Bを制御する。
このように、3群用モータ4Bの停止期間に応じて3群用モータ4Bの駆動パルスのパルスレートを変更する制御を行うのは、以下の理由による。すなわち、3群用モータ4Bとしてのパルスモータは停止期間が長くなる(例えば、1[msec]以上)と、その起動に必要なトルク(起動トルク)が高くなるため、出力されるトルクの不足を生じて駆動制御の脱調を起こす虞があるが、本実施例1のように、初期駆動期間におけるパルスレートを低くすることによって駆動力量を増大させ、これにより高くなった起動トルクに対応することができ、駆動制御の脱調を防止することができる。
なお、同期駆動制御中において、3群用モータ4Bの停止期間中は励磁状態とされているため、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)を検出後、3群用モータ4Bを即時に同期駆動することができる。
また、3群用モータ4Bの停止時間の長短を判定する基準となる規定時間としては、上記1[msec]に限定されるものではなく、1[msec]よりも長くてもよいし、1[msec]よりも短くてもよい。
ただし、この規定時間としては、例えば、3群用モータ4Bの初期駆動期間以降のパルスレートすなわち定常駆動期間におけるパルスレートの周期と同一時間に設定するのが好ましい。
このように、規定時間を3群用モータ4Bの初期駆動期間以降のパルスレートに対応した周期と同一時間とすることにより、3群用モータ4Bの起動トルクを確保しつつ、パルスレートの変化を抑制することができ、これによって3群用モータ4Bのがスムーズな駆動になるため、駆動音を抑えることができる。
ステップS112では、1−2群1Aに対する3群1Bの位置を調べて両者1A,1Bの群間距離を求め、1−2群1Aと3群1Bとの干渉または必要以上の乖離を避けるために、1−2群1Aの駆動速度の変更が必要であるかどうか、が判定される。
ここで、図9に示すように、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置が、第1の所定位置P1よりも1−2群1Aに近い第2の所定位置L1を越えて1−2群1Aに近づいている状態であるか(図9の点線部A2)、第3の所定位置P2よりも1−2群1Aから遠い第4の所定位置L2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態(図9の点線部B2)であるときは、1−2群1Aの駆動速度の変更が必要な状態であり、フローはステップS113に移行する。
一方、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がL1とL2との間にある場合は、1−2群1Aの駆動速度の変更は不必要な状態であり、フローはステップS106へ戻る。以下、L1とL2との間隔を群間保持限界区間という。
ステップS113では、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がL1を越えて1−2群1Aに近づいている状態の場合は(図9の点線部A2)、1−2群1Aと3群1Bとの干渉が発生する可能性があるため、1−2群1Aの速度を所定量加速し、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を回避する。
また、1−2群1Aの位置に対する3群1Bの位置がL2を越えて1−2群1Aよりも遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B2)、1−2群1Aと3群1Bとが必要以上に離れてしまう可能性があるため、1−2群1Aの速度を所定量減速し、1−2群1Aと3群1Bとの必要以上の乖離を回避する。
ここで、加減速量は、1−2群1Aの駆動速度、1−2群移動量検出装置7によって検出される1−2群1Aの位置、3群用モータ4Bの入力パルスに応じて算出される3群1Bの位置に基づいて、CPU5Bにより適切な値が算出される。
図9に示すように、1−2群1AのズームポジションZp12(N)に対応して所定の倍率を成立させる3群1BのズームポジションZp3(N)は予め設定されている(図2参照)。
ここで、1−2群1Aの減速を開始する3群1Bの位置L1は、3群1BのズームポジションZp3(N)と3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)との間の2分の1だけ、3群1BのズームポジションZp3(N)から3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)に近づいた位置としている。すなわち、
L1=Zp3(N)+(Zp3(N+1)−Zp3(N))/2としている。
また、1−2群1Aの加速を開始する3群1Bの位置L2は、3群1Bの1つ手前のズームポジションZp3(N−1)とさらに一つ手前のズームポジションZp3(N−2)との間の3分の1だけ、3群1Bのひとつ手前のズームポジションZp3(N−1)から3群1Bのさらにひとつ手前のズームポジションZp3(N−2)に近づいた位置としている。すなわち、
L2=Zp3(N−1)−(Zp3(N−1)−Zp3(N−2))/3としている。
図2に示す3群用モータ4Bへの出力パルスでL1,L2を表すと、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)の場合、3群1BのズームポジションZp3(4)=360に対し、L1,L2はそれぞれ、
L1=360+(380−360)/2=370
L2=340−(340−320)/3≒334となる。
すなわち、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)(N=4)の場合、3群用モータ4Bへの出力パルスが370以上になった場合は、1−2群1Aの駆動速度を加速し、3群用モータ4Bへの出力パルスが334以下になった場合は、1−2群1Aの駆動速度を減速する。
ここで、図13を用いて、1−2群1Aの駆動速度を、1−2群用モータ4Aに供給する駆動電圧により可変する方法を説明する。
1−2群用モータ4Aは、図13に示すように、通常駆動電圧2.0Vにて駆動されており、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)単位で3群1Bの位置を確認する。3群1Bの位置がL1以上となり、3群1Bとの群間距離が狭まった場合は、1−2群用モータ4Aへの駆動電圧を2.2Vに上げて、駆動速度を加速する。
その後、3群1Bの位置が正常位置に到達した場合は、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を2.0Vの通常電圧に戻す。また、3群1Bの位置がL2以下となり、群間距離が広がった場合は、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を1.8Vに下げて、駆動速度を減速する。
以上のように、3群1Bの位置が群間保持限界区間を外れた場合に、1−2群1Aの速度を制御することで、1−2群1Aと3群1Bとの干渉および必要以上の乖離を避けながら1−2群1Aと3群1Bとを同時に駆動することが可能となる。
ステップS106で1−2群1Aの停止が必要であると判定された後、フローはステップS114へ移行する。
ステップS114では,3群1Bの駆動状態が判定される。ここで3群1Bが停止している場合は、フローはステップS116へ移行する。一方、3群1Bが駆動中の場合は、フローはステップS115へ移行して3群1Bの駆動を停止した後、フローはステップS116へ移行する。
ステップS116では、1−2群1Aの停止制御が行われる。1−2群1AはDCモータである1−2群用モータ4Aによって駆動されており、駆動電圧の印加を停止しても1−2群用モータ4Aの回転は瞬時には停止せず、オーバーランが発生する。
このオーバーラン量を減らすために、1−2群1Aの停止動作が開始された時点で、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を下げる停止制御を行う(図5,6における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。停止制御後、フローはステップS117へ移行する。
ステップS117では、1−2群移動量検出装置7が出力するパルス数が、1−2群1Aの停止制御が開始された時点から所定数に達した時点で、1−2群1Aを停止させるために1−2群用モータ4Aのブレーキ制御(一般的な電磁ブレーキ等)が行われ、1−2群1Aを停止させる(図5,6における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
なお、1−2群1Aの停止位置は、このブレーキ制御中のオーバーランも含まれる。この後に、フローはステップS118へ移行する。
ステップS118では、駆動機構が備える歯車(図示省略)の遊びによるレンズ群の位置ずれを防ぐことを目的としたバックラッシュ制御(後述)を行うために、撮影レンズ1の駆動方向が判定される。撮影レンズ1の駆動方向が、広角から望遠(図4において、W→Tと記載)の場合は、本実施例では、バックラッシュ制御は不要と判定されて、フローはステップS120に移行する。
撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角(図4において、T→Wと記載)の場合は、本実施例ではバックラッシュ制御が必要と判定されて、フローはステップS119へ移行し、バックラッシュ制御が実行される。
ステップS120では、3群1Bの位置補正駆動制御が行われる(図5,6における3群用モータ4Bのタイミングチャート参照)。これは、1−2群1Aの最終的な位置に対応した3群1Bの適正な停止位置をCPU5Bが算出し、その算出された適正な位置に、3群1Bを導くものである。この位置の算出は、図2に示した1−2群1Aおよび3群1Bの位置情報に基づいて行われる。この後に、フローはステップS121へ移行する。
ステップS121では、停止したレンズ群の位置に対応した絞り値に、第1絞り2A、第2絞り2Bを設定するための、絞り駆動制御が行われる(図5,6における第1絞り用モータ4Dおよび第2絞り用モータ4Eのタイミングチャート参照)。この後に、フローはステップS122へ移行し、撮影レンズ1の駆動制御が終了する。
(望遠から広角に駆動される向きの状態における駆動制御)
次に、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される向きの状態での説明を行う。図3は、この駆動制御時のズーム動作を示している。
使用者が、撮影レンズ1を望遠から広角に駆動する広角スイッチ6Bを押して、撮影レンズ1が望遠から広角(図3において、T→Wと記載)に駆動される状態の場合は、フローは、ステップS101からステップS102へ進む。
ステップS102では、4群1Cを3群1Bから遠ざける4群1Cの退避駆動制御が行われる(図7,8における4群用モータ4Cのタイミングチャート参照)。撮影レンズ1が、望遠から広角に駆動される場合は、各レンズ群間の距離が接近する状態となり、3群1Bと4群1Cとが干渉を起こす可能性がある。
このため、4群1Cの位置が、3群1Bと干渉を起こさない所定の位置よりも3群1Bに接近する位置にある場合は、3群1Bが駆動された際に干渉を起こさない所定の位置まで、4群1Cを3群1Bから遠ざける4群1Cの退避駆動制御が行われる。この後に、フローはステップS103へ移行する。
ステップS103では、3群1Bの退避駆動制御の必要性を判断するため、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される状態であるか、広角から望遠に駆動される状態であるか、が判定される。
使用者が、撮影レンズ1を、望遠から広角に駆動する広角スイッチ6Bを押して、撮影レンズ1が望遠から広角(図3において、T→Wと記載)に駆動される状態の場合は、フローはステップS104へ進む。
ステップS104では、3群1Bを1−2群1Aから遠ざける3群1Bの退避駆動制御が行われる(図7,8における3群用モータ4Bのタイミングチャート参照)。撮影レンズ1が、望遠から広角に向けて駆動される場合は、各レンズ群間の距離が接近する状態となり、3群1Bと1−2群1Aとが干渉を起こす可能性がある。
このため、1−2群1Aを駆動する前にあらかじめ所定距離分、例えば3群1Bが位置するズームポジションZp3(N)と一つ手前のズームポジションZp3(N−1)との間の半分の距離分、3群1Bを1−2群1Aから遠ざける3群1Bの退避駆動制御を行う。この後に、フローはステップS105へ移行する。
ステップS105では、広角スイッチ6Bが押されたことによって、1−2群用モータ4Aにより1−2群1Aの駆動が開始される。ここで1−2群用モータ4AはDCモータであるため、駆動開始直後は突入電流が発生し、電源電圧が降下するため電池寿命に悪影響を与える。
これを避けるため、1−2群1Aの駆動開始直後は、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を定常時の駆動電圧より低い値に設定し、所定時間経過後に電圧を定常時の電圧に引き上げる起動制御を行う(図7,8における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
ステップS105で1−2群1Aの駆動を開始後、フローはステップS106へ移行する。
そして、次のステップS106では、1−2群1Aを停止する必要があるかどうかの判定が行われる。ここで、1−2群1Aを停止する必要がある場合、すなわち、広角スイッチ6Bが押されなくなった場合(図8において、広角スイッチ6BがOffになった時点)、または1−2群1Aが最広角側の位置に対し所定距離手前まで駆動された場合(図7において、1−2群用モータ4Aの停止制御が開始された時点)は、フローはステップS114へ移行する。
一方、1−2群1Aを停止する必要がない場合は、フローはステップS107へ移行する。
ステップS107では、3群1Bが駆動開始前であるか、駆動開始後であるかの別が判定される。ここで、3群1Bが駆動開始前である場合は、フローはステップS108へ移行する。一方、3群1Bが駆動開始後である場合は、フローはステップS110へ移行する。
ステップS108では、1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングとに時間差を持たせるために、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過しているかどうかが判定される。
1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングとに時間差を持たせることで、1−2群用モータ4Aおよび3群用モータ4Bを同時に駆動する必要がなくなり、電源が短時間に大きな消費電流を供給する必要がなくなる。このようにすることで、電池の寿命を長くすることが可能となる。
所定時間の経過の判定は、1−2群移動量検出装置7から出力される出力パルスの個数を所定数になるまでカウントすることによって行われる。
ステップS108で、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過している場合は、フローはステップS109へ移行する。一方、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過していない場合は、フローはステップS106へ戻り、上記フローを繰り返す。
ステップS109では、3群用モータ4Bにより3群1Bの駆動の開始が許可される。このとき、3群用モータ4Bは規定電圧で励磁される。この励磁状態が10[msec]以上経過した後に、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群用モータ4Bに駆動パルスが与えられる。
3群用モータ4Bの駆動パルスレートは、初期駆動期間(1パルス)のパルスレートを500ppsとし、それ以降の定常駆動期間のパルスレートを1000ppsとなるように行われる。その後、フローはステップS106へ戻る。
ステップS107において、3群1Bが駆動開始後である場合は、フローはステップS110へ移行する。
ステップS110では、1−2群1Aに対する3群1Bの位置を調べ、1−2群1Aと3群1Bとの干渉、および必要以上の乖離を避けるために、3群1Bの駆動量の変更が必要であるかどうかが判定される。
ここで、図8に示すように、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置が、第一の所定位置P1を越えて1−2群1Aに近づいている状態であるか(図9の点線部A1)、第三の所定位置P2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B1)、3群1Bの駆動量の変更が必要な状態であり、フローはステップS111へ移行する。
一方、1−2群1Aの位置に対して3群1Bの位置がP1とP2との間、すなわち群間保持区間内にある場合は、3群1Bの駆動量の変更は不必要な状態であり、フローはステップS106へ戻る。
ステップS111では、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP1を越えて1−2群1Aに近づいている状態の場合は(図9の点線部A1)、1−2群1Aと3群1Bとの干渉が発生する可能性があるため、3群1Bの駆動量を増加して加速させ、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を回避する。
また、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B1)、1−2群1Aと3群1Bとの距離が必要以上に離れてしまう可能性があるため、3群1Bの駆動量を減少して減速させ、1−2群1Aと3群1Bとの必要以上の乖離を回避する。
駆動量の増減量は、1−2群1Aの駆動速度、1−2群移動量検出装置7によって検出される1−2群1Aの位置、および3群用モータ4Bの入力パルスに基づいて算出される3群1Bの位置に基づいて、CPU5Bが適切な値を算出する。
図9に示す1−2群1AのズームポジションZp12(N)に対し、所定の倍率を成立させる3群1BのズームポジションZp3(N)が予め設定されている(図2参照)。
ここで、3群1Bの加速を開始する3群1Bの位置P1は、3群1BのズームポジションZp3(N)と3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)との間の3分の1だけ、3群1BのズームポジションZp3(N)から3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)に近づいた位置としている。すなわち、
P1=Zp3(N)+(Zp3(N+1)−Zp3(N))/3としている。
また、3群1Bの減速を開始する3群1Bの位置P2は、3群1Bの1つ手前のズームポジションZp3(N−1)に近づいた位置としている。すなわち、
P2=Zp3(N−1)としている。
図2に示す3群用モータ4Bへの出力パルスでP1,P2を表すと、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)の場合、3群1BのズームポジションZp3(4)は360であるから、P1,P2はそれぞれ、
P1=360+(380−360)/3≒366
P2=340となる。
すなわち、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)(N=4の場合)、3群用モータ4Bへの出力パルスが366以上になった場合は、3群1Bの駆動速度を加速し、3群用モータ4Bへの出力パルスが340以下になった場合は、3群1Bの駆動速度を減速する。
ここで、図9を用いて、3群1Bの駆動速度を3群用モータ4Bへの駆動量により可変する方法を説明する。
3群用モータ4Bは、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して駆動される。3群1Bの位置は、この1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)ごとに確認される。
通常同期駆動量は、1パルスで駆動されており、3群1Bの位置がP1以上となり、群間距離が狭まった場合は、3群用モータ4Bの同期駆動量を3パルスに上げて駆動速度を加速する。その後、3群1Bの位置が群間保持区間内に位置した場合は、3群用モータ4Bの駆動量を通常同期駆動量の1パルス駆動に戻す。
また、3群1Bの位置がP2以下となり、1−2群との群間距離が広がった場合は、3群用モータ4Bへの同期駆動量を0パルスとすることで、3群用モータ4Bの動作を禁止する。
以上のように、3群1Bの位置が群間保持区間を外れた場合に、3群1Bの駆動量を制御することにより、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を避けながら、1−2群1Aと3群1Bとを同時に駆動することが可能となる。
ステップS112では、1−2群1Aに対する3群1Bの位置を調べ、1−2群1Aと3群1Bとの干渉、必要以上の乖離を避けるために、1−2群1Aの駆動速度の変更が必要であるかどうかが判定される。
ここで、図9に示すように、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置が、第一の所定位置P1よりも1−2群1Aに近い第二の所定位置L1を越えて1−2群1Aに近づいている状態であるか(図9の点線部A2)、第三の所定位置P2よりも1−2群1Aから遠い第四の所定位置L2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B2)、フローはステップS113へ移行する。
一方、そのようでない場合は、1−2群1Aの位置に対して3群1Bの位置がL1とL2との間、すなわち群間保持限界区間内にある場合は、フローはステップS106へ戻る。
ステップS113では、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がL1を越えて1−2群1Aに近づいている状態の場合は(図9の点線部A2)、1−2群1Aと3群1Bとの干渉が発生する可能性があるため、1−2群1Aの速度を所定量減速し、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を回避する。
また、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がL2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B2)、1−2群1Aと3群1Bとの距離が必要以上に離れてしまう可能性があるため、1−2群1Aの速度を所定量加速し、1−2群1Aと3群1Bとの必要以上の乖離を回避する。
加減速量は、1−2群1Aの駆動速度、1−2群移動量検出装置7によって検出される1−2群1Aの位置、および3群用モータ4Bの入力パルスによって算出される3群1Bの位置に基づいて、CPU5Bによって適切な値が算出される。
図9に示すように、1−2群1AのズームポジションZp12(N)に対し、所定の倍率を成立させる3群1BのズームポジションZp3(N)があらかじめ設定されている(図2参照)。
ここで、1−2群1Aの加速を開始する3群1Bの位置L1は、3群1BのズームポジションZp3(N)と3群1Bの次の区切りであるズームポジションZp3(N+1)との間の2分の1だけ、3群1BのズームポジションZp3(N)から3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)に近づいた位置としている。すなわち、
L1=Zp3(N)+(Zp3(N+1)−Zp3(N))/2としている。
また、1−2群1Aの減速を開始する3群1Bの位置L2は、3群1Bの1つ手前のズームポジションZp3(N−1)とさらに一つ手前のズームポジションZp3(N−2)との間の3分の1だけ、3群1Bのひとつ手前のズームポジションZp3(N−1)から3群1Bのさらにひとつ手前のズームポジションZp3(N−2)に近づいた位置としている。すなわち、
L2=Zp3(N)−(Zp3(N−1)−Zp3(N−2))/3としている。
図2に示す3群用モータ4Bへの出力パルスでL1,L2を表すと、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)の場合、3群1BのズームポジションZp3(4)=360に対し、L1,L2はそれぞれ、
L1=360+(380−360)/2=370
L2=340−(340−320)/3≒334となる。
すなわち、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)(N=4の場合)、3群用モータ4Bへの出力パルスが370以上になった場合は、1−2群1Aの駆動速度を減速し、3群用モータ4Bへの出力パルスが334以下になった場合は、1−2群1Aの駆動速度を加速する。
ここで、図13を用いて、1−2群1Aの駆動速度を1−2群用モータへの駆動電圧により可変する方法を説明する。
1−2群用モータ4Aは、図13に示すように、通常駆動電圧2.0Vにより駆動されており、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)単位で3群1B位置を確認する。3群1B位置がL2以下となり、群間距離が広がった場合は、1−2群用モータ4Aへの駆動電圧を2.2Vに上げて、駆動速度を加速する。
その後、3群1B位置が正常位置に到達した場合は、1−2群用モータ4Aへの駆動電圧を2.0Vの通常電圧に戻す。また、3群1Bの位置がL1以上となり、群間距離が狭まった場合は、1−2群用モータ4Aへの駆動電圧を1.8Vに下げて、駆動速度を減速する。
以上のように、3群1Bの位置が群間保持限界区間を外れた場合に、3群1Bの速度を制御することにより、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を避けながら、1−2群1Aと3群1Bとを同時に駆動することが可能となる。
ステップS106において、1−2群1Aの停止が必要であると判定された後、フローはステップS114へ移行する。
ステップS114では,3群1Bの駆動状態が判定される。ここで3群1Bが停止している場合は、フローはステップS116へ移行する。一方、3群1Bが駆動中の場合は、フローはステップS115へ移行して3群1Bの駆動を停止した後、フローはステップS116へ移行する。
ステップS116では、1−2群1Aの停止制御が行われる。1−2群1AはDCモータである1−2群用モータ4Aによって駆動されており、1−2群用モータ4Aへの駆動電圧の印加を停止しても、1−2群用モータ4Aの回転は瞬時には止まらず、オーバーランが発生する。
このオーバーラン量を減らすために、1−2群1Aの停止動作が開始された時点で、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を下げる停止制御を行う(図7,8における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。停止制御後、フローはステップS117へ移行する。
ステップS117では、1−2群移動量検出装置7が出力したパルス数が、1−2群1Aの停止制御が開始された時点から所定数に達した時点で、1−2群1Aを停止させるために1−2群用モータ4Aのブレーキ制御(一般的な電磁ブレーキ等)が行われ、1−2群1Aを停止させる(図7,8における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
なお、1−2群1Aの停止位置は、このブレーキ制御中のオーバーランも含まれる。この後に、フローはステップS118へ移行する。
ステップS118では、駆動機構が備える歯車(図示省略)の遊び(バックラッシュ)によるレンズ群の位置ずれを防ぐ目的で、バックラッシュ制御(後述)が行われ、このバックラッシュ制御のために、撮影レンズ1の駆動方向が判定される。
撮影レンズ1の駆動方向が望遠から広角に向かう方向(図4において、T→Wと記載)の場合は、本実施例ではバックラッシュ制御を行うため、フローはステップS119へ移行する。
ステップS119では、1−2群1Aのバックラッシュ制御が行われる(図7,8の1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。バックラッシュ制御は、所定の停止位置を越えるまで、1−2群1Aを駆動した後に、逆方向、すなわち広角から望遠方向に向かう方向に1−2群1Aを再度駆動して、1−2群1Aを所定位置に戻すことで行われる。
通常駆動機構の歯車は遊びを有しており、そのままでは正確な位置が定まらないため、駆動部分の駆動方向が常に一方向になるように駆動を行うことで、この遊びの影響を回避する。そして、バックラッシュ制御が実行された後にフローはステップS120へ移行する。
ステップS120では、3群1Bの位置補正駆動制御が行われる(図7,8における3群用モータ4Bのタイミングチャート参照)。これは、1−2群1Aの最終的な位置に対応した3群1Bの適正な停止位置をCPU5Bが算出し、その位置に3群1Bを駆動するものである。
この位置の算出は、図2に示した1−2群1Aおよび3群1Bの位置情報に基づいて行われる。この後に、フローはステップS121に移行する。
ステップS121では、停止したレンズ群の位置に対応した絞り値に第1絞り2A、第2絞り2Bを設定するための絞り駆動制御が行われる(図7,8における第1絞り用モータ4Dおよび第2絞り用モータ4Eのタイミングチャート参照)。この後に、フローはステップS122へ移行し、撮影レンズ1の駆動制御が終了する。
なお、前述した群間保持区間および群間保持限界区間は、広角から望遠への向きの駆動の場合と、望遠から広角への向きの駆動の場合とで互いに異なる範囲としてもよい。また各ズームポジションZpごとに変更してもよい。
また、本実施例において、バックラッシュ制御を望遠から広角への向きの駆動の場合に行ったが、広角から望遠への向きの駆動の場合に行ってもよい。
以上、詳細に説明したように、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100は、変倍機能を担う複数のレンズ群である1−2群1Aおよび3群1Bと、これら1−2群1A、3群1Bをそれぞれその駆動速度を調整可能に駆動する1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bと、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bに対して、これらの駆動速度を調整させるように制御するCPU5Bと、1−2群1A、3群1Bの位置をそれぞれ検出するレンズ位置検出手段としての1−2群基準位置検出装置9A、3群基準位置検出装置9Bとを備え、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bが1−2群1A、3群1Bを同時に駆動するとき、CPU5Bが、1−2群基準位置検出装置9A、3群基準位置検出装置9Bによって検出された1−2群1A、3群1B間の位置関係に応じて、駆動速度の調整対象となるレンズ群を1−2群1Aと3群1Bとで切り替えるように、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bを制御する。
これにより、CPU5Bが、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bを、同時並列的に駆動制御することで、1−2群1Aおよび3群1Bが同時並列的に駆動されるため、これら1−2群1A、3群1Bが順次的に駆動される従来の撮影レンズ駆動制御装置に比べて、1−2群1A、3群1Bの駆動開始から駆動終了までに要する時間が長くなるのを防止することができる。
しかも、CPU5Bが、1−2群1A、3群1B同士が干渉しないように1−2群1A、3群1Bの駆動速度を調整すべく1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bを制御することにより、1−2群1Aと3群1Bとが干渉するのを防止することができる。
さらに、CPU5Bが、1−2群基準位置検出装置9A、3群基準位置検出装置9Bによって検出された1−2群1Aと3群1Bとの間の位置関係に応じて、駆動速度の調整対象となるレンズ群を1−2群1Aと3群1Bとで切り替えることにより、1−2群1Aと3群1Bとの間の近接度合いや乖離度合いに応じて、近接し過ぎ(干渉)や乖離し過ぎの虞を迅速に解消することができる。
また、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100は、CPU5Bによる駆動速度の調整対象となるレンズ群(1−2群1A、3群1B)の切替えは、1−2群1Aと3群1Bとのうち対物側の1−2群1Aに対して3群1Bが第1の所定位置P1を越えて対物側の1−2群1Aに接近したときは、1−2群1Aと3群1Bとが更に接近しないように3群1Bの駆動速度を調整し、1−2群1Aに対して3群1Bが、第1の所定位置P1よりも1−2群1Aに近い第2の所定位置L1を越えて1−2群1Aに接近したときは、1−2群1Aと3群1Bとが更に接近しないように1−2群1Aの駆動速度を調整する切替えとされている。
これにより、1−2群1Aに対して3群1Bが、第1の所定位置P1を越えて1−2群1Aに接近したとき(第一段階の接近)は、3群1Bの駆動速度を調整することにより、1−2群1Aと3群1Bとが更に接近するのを防止することができ、1−2群1Aに対して3群1Bが、第一の所定位置P1よりも1−2群1Aに近い第2の所定位置L1を越えて1−2群1Aに接近したとき(第二段階の接近)は、駆動速度を調整を1−2群1Aに切り替えて、1−2群1Aの駆動速度を調整することにより、1−2群1Aおよび3群1Bの駆動速度が調整された(第一段階の接近では3群1Bの駆動速度が調整され、第二段階の接近では3群1Bの駆動速度は調整後の速度のままで、1−2群1Aの駆動速度が調整される。)ことになり、接近の度合いが高くなるに応じて、接近を緩和させる度合いを高くすることができる。
また、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、CPU5Bによる駆動速度の調整対象となるレンズ群(1−2群1A、3群1B)の切替えは、1−2群1Aに対して3群1Bが、第3の所定位置P2を越えて1−2群1Aから乖離したとき、1−2群1Aと3群1Bとが更に乖離しないように、3群1Bの駆動速度を調整し、1−2群1Aに対して3群1Bが、第3の所定位置P2よりも1−2群1Aから遠い第4の所定位置L2を越えて1−2群1Aから乖離したとき、1−2群1Aと3群1Bとが更に乖離しないように1−2群1Aの駆動速度を調整する切替えとされている。
これにより、1−2群1Aに対して3群1Bが、第3の所定位置P2を越えて1−2群1Aから乖離したとき(第一段階の乖離)は、3群1Bの駆動速度を調整することにより、1−2群1Aと3群1Bとが更に乖離するのを防止することができ、1−2群1Aに対して3群1Bが、第3の所定位置P2よりも1−2群1Aに近い第4の所定位置L2を越えて1−2群1Aから乖離したとき(第二段階の乖離)は、駆動速度の調整を1−2群1Aに切り替えて、1−2群1Aの駆動速度を調整することにより、1−2群1Aおよび3群1Bの駆動速度が調整された(第一段階の乖離では3群1Bの駆動速度が調整され、第二段階の乖離では3群1Bの駆動速度は調整後の速度のままで、1−2群1Aの駆動速度が調整される。)ことになり、乖離の度合いが高くなるに応じて、乖離を緩和させる度合いを高くすることができる。
また、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、3群用モータ4Bは、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して駆動され、この同期駆動量に応じて駆動速度が変化するものであるため、3群用モータ4Bに入力する同期駆動量を変化させるだけの簡単な操作で、3群1Bの駆動速度を調整することができる。
さらに、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して、3群用モータ4Bの駆動と停止とを繰り返すことにより、3群1Bの駆動速度を任意に調整することができる。
さらにまた、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、3群用モータ4Bの停止期間の長短に応じて、次に駆動されたときの3群用モータ4Bの初期駆動期間に対応したパルスのパルスレートを調整する(変化させる)ことにより、3群用モータ4Bの駆動制御の脱調を防止して、スムーズなパルスモータ駆動を実現することができる。
また、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、1−2群用モータ4Aは、印可される駆動電圧に応じて駆動速度が変化するものであるため、1−2群用モータ4Aに印可する駆動電圧を変化させるだけの簡単な操作で、1−2群1Aの駆動速度を調整することができる。
なお、印可される駆動電圧に応じて駆動速度を変化させる1−2群用モータ4Aとしての直流モータは、供給電力が同じであれば、パルスモータよりも高速回転にすることができ、また、負荷の変化に応じて駆動電流が変化するという特性があるため、負荷の増大で駆動電流が増大し、結果として駆動トルクが増えるため、負荷変動に強く、滑らかな動作を得ることができる。
したがって、ズーム位置に応じてカムの傾斜が変化(負荷トルクが変化)するような例えばカム筒の駆動に好適である。
また、本実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、1−2群1Aを駆動対象とする1−2群用モータ4Aが直流モータであり、3群1Bを駆動対象とする3群用モータ4Bがパルスモータであるため、1−2群1Aの移動に合わせて、3群1Bを正確に駆動させることができる。
次に、本発明の実施例2としての撮影レンズ駆動制御装置100を説明する。
本実施例2は、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群1Bを駆動制御する際に、図12に示すように、3群用モータ4Bの停止期間に応じて、3群用モータ4Bの初期駆動期間の駆動電圧または駆動電流を切り替えることで、3群用モータ4Bの脱調を防止する駆動制御方法の実施例である。
すなわち、前述した実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100は、そのCPU5Bが3群1Bの停止期間に応じて3群用モータ4Bの初期駆動期間のパルスレートを変化させるものであったのに対して、本実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100は、そのCPU5Bが3群1Bの停止期間に応じて3群用モータ4Bの初期駆動期間の駆動電圧または駆動電流を変化させるものであり、この点においてのみ両実施例1,2は異なる。
そして、実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100におけるCPU5B以外の構成は、実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100におけるCPU5B以外の構成と同じであるため、説明を省略する。
まず、3群用モータ4Bの初期駆動期間の駆動電圧(または、駆動電流)の切換えについて説明する。3群用モータ4Bの駆動電圧は例えば3Vに設定されており、3群用モータ4Bは、初期駆動期間とそれ以降の定常駆動期間とにおいてそれぞれ駆動制御されている。
ここで、初期駆動期間のパルス数を1パルスとしている。通常同期駆動量である3群用モータ4Bの駆動量が1パルスの場合は、初期駆動期間のパルスレートを500ppsとしている(図12において、<1>の領域)。
また、通常同期駆動量(1パルス駆動)から高速同期駆動量(3パルス駆動)への切り替え時も同様に初期駆動期間の1パルス目のパルスレートを500pps、残りの定常駆動期間の2パルス分は1000ppsにて駆動させている(図12において、<2>の領域)。
高速同期駆動量期間では、初期駆動期間のパルスレートを定常駆動期間のパルスレートと同じ1000ppsにて駆動させている(図12において、<3>の領域)が、このとき、3群用モータ4Bの停止期間を検出し、停止期間が1[msec]以下の場合は、特に特別な駆動制御は行わない(実施例1における対応領域での制御と同じ)。
一方、高速同期駆動量期間であることから、初期駆動期間のパルスレートを定常駆動期間のパルスレートと同じ1000ppsにて駆動させている場合であっても、検出された3群用モータ4Bの停止期間が1[msec]を超える場合は、初期駆動期間の駆動電圧(または駆動電流)を高めるように、CPU5Bが駆動制御する。
このように、3群用モータ4Bの停止期間が規定期間(本実施例2では1ミリ秒)を超えるときは、3群用モータ4Bの起動トルクが高くなるため、出力されるトルクの不足を生じて駆動制御の脱調を起こす虞があるが、本実施例2のように、初期駆動期間における駆動電圧または駆動電流を高くする(例えば、駆動電圧を1V高くする。)ことによって駆動力量を増大させ、これにより高くなった起動トルクに対応することができ、駆動制御の脱調を防止することができる。
なお、定常駆動期間では、駆動電圧を通常電圧に戻している。このように駆動制御することで、駆動スピードを上げ、スムーズに3群1Bを駆動することができる。
また、同期駆動制御中において、3群用モータ4Bの停止期間中は励磁状態とされているため、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)を検出後、3群用モータ4Bを即時に同期駆動することができる。
本実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、3群用モータ4Bは、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して駆動し、この同期駆動量に応じて駆動速度が変化するものであるため、3群用モータ4Bに入力する同期駆動量を変化させるだけの簡単な操作で、3群1Bの駆動速度を調整することができる。
また、本実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して、3群用モータ4Bの駆動と停止とを繰り返すことにより、3群1Bの駆動速度を任意に調整することができる。
さらに、本実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、3群用モータ4Bの停止期間の長短に応じて、次に駆動したときに、3群用モータ4Bの初期駆動期間の駆動電圧または駆動電流を調整することにより、3群用モータ4Bの駆動制御の脱調を防止し、スムーズなパルスモータ駆動を実現することができる。
なお、本実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100は、3群用モータ4Bの初期駆動期間の駆動電圧または駆動電流を調整することにより、3群用モータ4Bの駆動制御の脱調を防止する構成であるが、駆動電圧や駆動電流の調整だけでなく、実施例1の撮影レンズ駆動制御装置100における制御と同様に、3群用モータ4Bの初期駆動期間のパルスレートもさらに調整して、すなわち、3群1Bの停止期間の長短に応じて、CPU5Bが、3群用モータ4Bの初期駆動期間のパルスレートおよび駆動電圧(または駆動電流)を調整するものとしてもよい。
図15は、本発明の実施例3としてのデジタルスチルカメラ200(撮像装置)の構成を示す概略模式図である。
図示のデジタルスチルカメラ200は、筐体110の内部に、投影された光像を電気信号に変換して出力する撮像手段としての2次元撮像手段(2次元CMOSや2次元CCDなど。)120と、2次元撮像手段120上に光像を投影する、上述した実施例1または実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100とを備えた構成である。
図示のデジタルスチルカメラ200は、撮影レンズ駆動制御装置100の撮影レンズ1を通して、2次元撮像手段120上に投影された被写体の像を記録する撮像装置であるが、このデジタルスチルカメラ200は、上述した実施例1または実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100を備えたことにより、撮影レンズ駆動制御装置100のCPU5B(制御装置;図1参照)が、レンズ群1A,1B,1Cのそれぞれに対応して設けられた複数のレンズ群用モータ4A,4B,4Cを、同時並列的に駆動制御することで、複数のレンズ群1A,1B,1Cが同時並列的に駆動されるため、これら複数のレンズ群1A,1B,1Cが順次的に駆動される撮影レンズ駆動制御装置を備えた従来のデジタルスチルカメラに比べて、レンズ群1A,1B,1Cの駆動開始から駆動終了までに要する時間が長くなるのを防止することができる。
しかも、そのCPU5Bが、レンズ群1A,1B,1C同士が干渉しないようにレンズ群1A,1B,1Cの駆動速度を調整すべく各レンズ群用モータ4A,4B,4Cを制御することにより、レンズ群1A,1B,1C同士が干渉するのを防止することができる。
さらに、そのCPU5Bが、1−2群1Aの位置および3群1Bの位置関係に応じて、駆動速度の調整対象となるレンズ群を、1−2群1Aまたは3群1Bに切り替えることにより、レンズ群1A,1B間の近接度合いや遠隔度合いに応じて、干渉の虞や必要以上の乖離の虞を迅速に解消することができる。
さらにまた、3群用モータ4Bの停止期間の長短に応じて、次に駆動したときに、3群用モータ4Bの初期駆動期間のパルスレート、駆動電圧または駆動電流を調整することにより、3群用モータ4Bの駆動制御の脱調を防止し、スムーズなパルスモータ駆動を実現することができる。
また、上述した実施例1または実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100による各効果を発揮することができる。
なお、上述した実施例3としてのデジタルスチルカメラ200において、実施例1または実施例2の撮影レンズ駆動制御装置100に代えて、後述する実施例4または実施例5の撮影レンズ駆動制御装置100を備えた構成としてもよく、そのように構成されたデジタルスチルカメラ200の実施例も、本発明に係る撮像装置の実施形態とすることができる。
そのように構成されたデジタルスチルカメラ200は、実施例4または実施例5の撮影レンズ駆動制御装置100による各効果を発揮することができる。
また、本発明に係る撮像装置は、上述した実施例の、静止画を撮影するデジタルスチルカメラ200だけでなく、動画を撮影する形態のデジタルビデオカメラなども、その技術的範囲に属するものである。
図1は、本発明の実施例1としての撮影レンズ駆動制御装置100の構成を示すブロック図である。
撮影レンズ1は、それぞれが複数のレンズを有する4つのレンズ群を備え、対物側から第1レンズ群、第2レンズ群、第3レンズ群、第4レンズ群の順に配列されている。ここで、第1レンズ群と第2レンズ群とは一体化されて、第1−2レンズ群を構成している。
以下、第1−2レンズ群を1−2群1A(主レンズ群)、第3レンズ群を3群1B(従レンズ群)、第4レンズ群を4群1C、として説明する。
1−2群1A、3群1B、および4群1Cは、光軸を共通にして、鏡胴1D内に配置されている。ここで、1−2群1Aと3群1Bとの間には、被写体から撮影レンズ1内に通過する光量を制御する第1絞り2Aおよび第2絞り2B、並びに、撮影時の露光時間を制御するシャッタ3が設置されている。
1−2群1Aおよび3群1Bは撮影倍率を変化させるためのズーム用レンズ群(変倍機能を担うレンズ群)であり、4群1Cは、この4群1Cの後方に位置する露光面(図示省略)に、被写体の像を合焦させるための合焦(フォーカス)用レンズ群である。各レンズ群1A,1B,1Cは、それぞれ別個のモータ(レンズ駆動装置)により駆動され、光軸に沿って移動して目標の光学系が成立する。
ここで、1−2群1Aを駆動する1−2群用モータ4AはDCモータ(直流モータ)であり、3群1Bを駆動する3群用モータ4Bおよび4群1Cを駆動する4群用モータ4Cはいずれもパルスモータである(駆動機構は図示省略)。
DCモータは、印可される駆動電圧に応じて駆動速度が変化するレンズ駆動装置であり、印可する電圧を変化させるだけの簡単な操作で、1−2群1Aの駆動速度を調整することができる。
なお、DCモータは一般に、供給電力が同じであれば、パルスモータよりも高速回転にすることができ、また、負荷の変化に応じて駆動電流が変化するという特性があるため、負荷の増大で駆動電流が増大し、結果として駆動トルクが増えるため、負荷変動に強く、滑らかな動作を得ることができる。
したがって、ズーム位置に応じてカムの傾斜が変化(負荷トルクが変化)するような、例えばカム筒の駆動に適している。
反面、DCモータを停止させる際には、慣性によって、停止制御を行ってから実際に停止するまでのずれ、いわゆるオーバーランが起こり、希望した位置に停止させることが困難である。この点、パルスモータは、パルスを与えることで駆動するため、任意の目標位置に停止させるのは容易であるが、トルク変動に対しては強くないため、トルク変動が少ない場合の駆動制御に適している。
また、第1絞り2A、第2絞り2B、およびシャッタ3には、それぞれを駆動するための第1絞り用モータ4D、第2絞り用モータ4E、シャッタ用モータ4Fが設けられ、これらモータ4D,4E,4Fの動作によって、対応する第1絞り2A、第2絞り2B、およびシャッタ3がそれぞれ駆動される(駆動機構は図示省略)。なお、上述した全てのモータ4A〜4Fは、モータドライバ5A(制御装置の一部)に電気的に接続されて集中的な制御に供される。
モータドライバ5Aは、電気的に接続されたCPU5B(制御装置の他の一部)から、各モータ4A〜4Fを駆動制御するのに必要な情報、例えば駆動電圧、駆動タイミング、駆動量、駆動方向等を得、これらの情報に基づいて各モータ4A〜4Fの駆動制御を行う。
ここで、モータ4Aには、その回転に伴い回転数に応じた数のパルスを発生する1−2群移動量検出装置7が備えられている。この1−2群移動量検出装置7は、電気的に接続された1−2群移動量検出装置駆動回路8によって駆動される。また、1−2群移動量検出装置7が出力したパルスはCPU5Bに入力される。
1−2群移動量検出装置7は、撮影レンズ1が最も望遠状態になったときと、最も広角状態になったときとの間で、例えば1280個など所定の数のパルスを出力するように設定されている。
そして、この最も望遠状態になったときと、最も広角状態になったときとの間の全区間が、所定の数(例えば16等分)に区切られる(80パルスごとに1等分区間)、この16の区間を規定する17個の区切り(N)には、それぞれ位置指標、いわゆるズームポジションZp(N)(Zp12(1),Zp12(2),…,Zp12(17))が設定されている。
ここで、1−2群移動量検出装置7の出力パルスと1−2群1AのズームポジションZp12(1),Zp12(2),…,Zp12(17)との関係を図2に示す。また、所定の基準位置、ズームポジション、収納位置の位置関係を図14に示す。
図2に示したパルス数は、基準位置を0として正の値でカウントしたものであり、基準位置から収納位置に向かう方向へのカウントでは、負の値でカウントするものとする。
一方、3群用モータ4Bおよび4群用モータ4Cは、CPU5Bからの指示にしたがってモータドライバ5Aから入力されたパルスレートに応じた駆動速度で駆動される。
ここで、3群1Bを3群用の各ズームポジションZp3(N)(Zp3(1)〜Zp3(17))に配置させるのに必要な3群用モータ4Bへの入力パルス数は、図2の下段に示すように設定されている。なお4群1Cは合焦用レンズ群のため、その位置の説明は省略する。
また、1−2群1A、3群1B、4群1Cには、それぞれの基準位置を検出する1−2群基準位置検出装置9A(レンズ位置検出手段)、3群基準位置検出装置9B(レンズ位置検出手段)、4群基準位置検出装置9C(レンズ位置検出手段)が対応して備えられており、各レンズ群1A,1B,1Cが基準位置にあるかどうかが検出される。
これらの1−2群基準位置検出装置9A、3群基準位置検出装置9B、4群基準位置検出装置9Cは、それぞれに対応する1−2群基準位置検出装置駆動回路10A、3群基準位置検出装置駆動回路10B、4群基準位置検出装置駆動回路10Cによって駆動される。また、各基準位置検出装置駆動回路10A,10B,10Cによって検出された位置は、CPU5Bに入力される。
CPU5Bには、望遠撮影を行う場合に撮影レンズ1の倍率を高倍率化するために操作する望遠スイッチ(図1において望遠SWと記載)6A、および広角撮影を行う場合に撮影レンズ1の倍率を低倍率化するために操作する広角スイッチ(図1において広角SWと記載)6Bが電気的に接続されており、CPU5Bはこの望遠スイッチ6Aおよび広角スイッチ6Bの操作に応じて各群用モータ4A,4B,4Cを制御する。
そして、上記モータドライバ5AとCPU5とが、制御装置5(制御装置)を構成している。
なお、1−2群1Aを構成する1群および2群は、これら2つのレンズ群(1群、2群)の間隔がカム機構によって機械的に調整されるカム筒(図示省略)に取り付けられており、1−2群用モータ4Aにより1−2群1Aが駆動される際に、1群と2群との間隔が所定の間隔となるように機械的に駆動される。
また、CPU5Bには、周囲の温度を検出する温度センサ5Cが接続されている。温度センサ5Cは、検出した温度に応じた電圧値を出力し、CPU5Bは、この出力された電圧値をA/D変換することにより、温度を取得する。本実施例での温度センサ5Cは、温度1[度]に対して電圧10[mV]変化する特性を有しているため、温度が不明の場合であっても、検出された電圧値に基づいてその温度を求めることができる。
さらに、CPU5Bは、主レンズ群である1−2群1Aと従レンズ群である3群1Bとを同時に駆動するとき、1−2群1Aの駆動量に同期して3群1Bの駆動と停止とを繰り返すことにより、これら1−2群1Aと3群1Bとの間の位置関係を保つように、モータドライバ5Aを制御する。
また、CPU5Bは、従レンズ群である3群1Bの状態(特に、停止状態(停止している状態)であるか駆動状態(駆動状態)であるか、の別)を検出する従レンズ群状態検出手段としても機能するとともに、この従レンズ群状態検出手段としての機能により検出された3群1Bの状態に応じて、3群1Bを駆動するレンズ駆動装置への駆動電圧または駆動電流を変化させる制御も行う。
すなわち、本実施例4は、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群1Bを駆動制御する際に、3群用モータ4B(3群1B)の停止状態または駆動状態の別に応じて、3群用モータ4Bへ供給する駆動電圧または駆動電流を変化させる駆動制御方法の実施例である。
具体的には、従レンズ群状態検出手段により検出された従レンズ群(3群1B)の状態が停止状態の場合は、CPU5Bは、3群用モータ4Bへ供給する駆動電圧または駆動電流を低下させる制御を行う。
一方、従レンズ群状態検出手段により検出された従レンズ群(3群1B)の状態が駆動状態の場合は、CPU5Bは、主レンズ群(1−2群1A)を駆動する1−2群用モータ4Aへ供給する駆動電圧または駆動電流を低下させる制御を行う。
次に、本発明の実施例4の基本動作を図16,17のフローチャート、図5〜8のタイミングチャート、および図9の動作説明図を参照して説明する。本実施例4は、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群1Bを駆動制御する際に、3群用モータ4Bの状態に応じて、3群用モータ4Bの駆動電圧を変化させる駆動制御の実施例であって、1−2群1Aと3群1Bとを同時に駆動するために1−2群用モータ4Aと3群用モータ4Bとを同時駆動するのに要する消費電流を軽減させるものである。
ここで、本実施形態における駆動制御方法は、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される向きへの状態であるか、または広角から望遠に駆動される向きへの状態であるか、に応じて制御のフローが異なるため、以下、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される向きの状態と、広角から望遠に駆動される向きの状態とに場合分けして説明を行う。
(広角から望遠に駆動される向きの状態における駆動制御)
まず、撮影レンズ1の駆動方向が広角から望遠に駆動される向きの状態における駆動制御方法の説明を行う。図16,17は、この駆動制御時のズーム動作を示している。
ステップS201では、4群1Cの退避駆動制御の必要性を判断する。具体的には、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される状態(T→W)であるか、広角から望遠に駆動される状態(W→T)であるか、の別に応じて判定される。
ここでは、使用者が撮影レンズ1を広角から望遠に駆動する望遠スイッチ6Aを押して、撮影レンズ1が広角から望遠に駆動される状態の説明であり、この場合は、各レンズ群1A,1B,1C間の距離が互いに離れる方向に各レンズ群1A,1B,1Cが駆動されるため、CPU5Bは、4群1Cの退避駆動制御を不要と判定し、フローはステップS203へ進む。
ステップS203では、3群1Bの退避駆動制御の必要性を判断するため、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される状態であるか、広角から望遠に駆動される状態であるか、の別が判定される。
使用者が、撮影レンズ1を広角から望遠に駆動する望遠スイッチ6Aを押して、撮影レンズ1が広角から望遠に駆動される状態では、上述したように、各レンズ群1A,1B,1C間の距離が離れる方向へ各レンズ群1A,1B,1Cが駆動されるため、3群1Bの退避駆動制御は不要であり、フローはステップS205へ進む。
ステップS205では、望遠スイッチ6Aが押されたことによって1−2群用モータ4Aにより1−2群1Aの駆動が開始される(図5,6における望遠スイッチ6Aおよび1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
ここで、1−2群用モータ4AはDCモータであるため、駆動開始直後は突入電流が発生して電源電圧が降下して電池寿命に悪影響を与える。これを避けるため、CPU5Bは、1−2群1Aの駆動開始直後は、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を定常時の駆動電圧より低い値に設定し、駆動開始時点から所定時間経過後に、駆動電圧を定常時の駆動電圧に引き上げる起動制御を行う(図5,6における望遠SW(望遠スイッチ6A)のOn/Offおよび1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
なお、望遠〜広角の位置間での駆動電圧は、広角位置〜撮影レンズ収納位置間での駆動電圧よりも、相対的に低く設定されている。これは、広角〜撮影レンズ収納間では、駆動の高速性が要求されるため電圧を高く設定し、望遠〜広角の位置間では、望遠スイッチ6Aまたは広角スイッチ6Bの操作により、目標の位置ですばやく駆動が停止するように適度な電圧設定としているからである。
ステップS205で1−2群1Aの駆動を開始後、フローはステップS206へ移行し、ステップS206では、1−2群1Aを停止する必要があるか否か、の判定が行われる。
ここで、1−2群1Aを停止する必要がある場合、すなわち、望遠スイッチ6Aが押されなくなった場合(図6において、望遠スイッチ6AがOffに切り替えられた時点)、または1−2群1Aが最望遠側の位置の所定距離手前まで駆動された場合(図5において、1−2群用モータ4Aの停止制御が開始された時点)は、フローは図17に示すステップS214へ移行する。一方、1−2群1Aを停止する必要がない場合は、フローは図16のステップS207へ移行する。
ステップS207では、3群1Bが同時駆動状態であるか同時駆動前の状態であるかが判定される。ここで3群1Bが同時駆動前の状態である場合は、フローはステップS208へ移行する。一方、3群1Bが同時駆動状態である場合は、フローはステップS210へ移行する。
ステップS208では、1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングに時間差を持たせるために、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過しているかどうかが判定される。
1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングとに時間差を持たせることで、1−2群用モータ4Aの駆動開始時に発生する突入電流タイミングに、3群用モータ4Bの駆動電流が重ならないため、電源が短時間に大きな消費電流を供給する必要がなくなる。
そして、CPU5Bが、このように1−2群1Aと3群1Bのとの駆動開始タイミングをずらす制御を行うことにより、電源である電池の寿命を長くすることが可能となる。そして、この駆動開始タイミングのずれとして上記所定時間が経過しているか否かの判定は、1−2群移動量検出装置7から出力される出力パルスの数のカウント値が、所定値に達したか否かに応じて行われる(カウント値が所定値に達したときは、所定時間が経過したと判定し、カウント値が所定値に達していないときは、所定時間が経過していないと判定する。)。
ステップS208において、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過していると判定した場合は、3群1Bの駆動開始を許可し、フローはステップS209へ移行する。一方、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過していないと判定した場合は、3群1Bの駆動開始を許可せずに、フローはステップS206へ戻り、上記フロー(ステップS206→ステップS207→ステップS208)を繰り返す。
ステップS208で3群1Bの駆動開始を許可し、ステップS209の処理に進むと、3群用モータ4Bにより3群1Bの同時駆動開始が許可される。このとき、3群用モータ4Bには、規定電圧にて励磁される。この励磁状態が10[msec]以上経過後に、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群用モータ4Bに駆動パルスが与えられる。
3群用モータ4Bの駆動パルスレートは、駆動開始直後の所定期間である初期駆動期間(1パルス)においては500pps([パルス/sec])とし、初期駆動期間以降である定常駆動期間においては1000ppsとなるように、CPU5Bによる制御が行われる。その後、フローはステップS206へ戻る。
ステップS207において、3群1Bが同時駆動状態である場合は、フローはステップS210へ移行する。
ステップS210では、1−2群1Aに対する3群1Bの位置を調べ、この1−2群1Aに対する3群1Bの位置関係に基づいて、1−2群1Aと3群1Bとの干渉、および両者1A,1Bの必要以上の乖離を避けるために、3群1Bの駆動量調整が行われる。
ここで、図9に示すように、1−2群1Aの位置に対する3群1Bの位置が、第1の所定位置P1を越えて1−2群1Aに近づいている状態であるか(図9の点線部A1)、第3の所定位置P2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B1)、3群1Bの駆動量調整が必要な状態であり、フローはステップS211へ移行する。
一方、1−2群1Aの位置に対して3群1Bの位置がP1とP2の間にある場合は、3群1Bの駆動量調整は不必要な状態であり、フローはステップS206へ戻る。以下、P1とP2の間隔を群間保持区間という。
ステップS211では、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP1を越えて1−2群1Aに近づいている状態の場合は(図9の点線部A1)、1−2群1Aと3群1Bとの干渉が発生する可能性があるため、両群1A,1B間の位置関係を所定範囲に保つように3群1Bの駆動量を減少して減速させる制御を行い、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を回避する。
また、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP2を越えて1−2群1Aよりも遠ざかっている状態であれば(図9における点線部B1)、1−2群1Aと3群1Bとの距離が必要以上に離れてしまう可能性があるため、両群1A,1B間の位置関係を所定範囲に保つように3群1Bの駆動量を増加して加速させる制御を行い、1−2群1Aと3群1Bとの必要以上の乖離を回避する。
駆動量の増減量は、1−2群1Aの駆動速度、1−2群移動量検出装置7によって検出される1−2群1Aの位置、および3群用モータ4Bの入力パルスによって算出される3群1Bの位置に基づいて算出された群間距離に基づき、CPU5Bによって適切な値が算出される。
図9に示す1−2群1AのズームポジションZp12(N)に対し、所定の倍率を成立させる3群1BのズームポジションZp3(N)があらかじめ設定されている(図2参照)。
ここで、3群1Bの加速を開始する3群1Bの位置P1は、3群1BのズームポジションZp3(N)と3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)との間の3分の1だけ、3群1BのズームポジションZp3(N)から3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)に近づいた位置としている。すなわち、
P1=Zp3(N)+(Zp3(N+1)−Zp3(N))/3である。
また、3群1Bの減速を開始する3群1Bの位置P2は、3群1Bの1つ手前のズームポジションZp3(N−1)に近づいた位置としている。すなわち、
P2=Zp3(N−1)である。
図2に示す3群用モータ4Bへの出力パルスで位置P1、P2を表すと、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)の場合、対応する3群1BのズームポジションZp3(4)=360に対し、P1,P2はそれぞれ、
P1=360+(380−360)/3≒366
P2=340となる。
すなわち、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)(つまり、N=4)の場合、3群用モータ4Bへの出力パルスが366以上にある場合は、3群1Bの駆動速度を減速し、3群用モータ4Bへの出力パルスが340以下にある場合は、3群1Bの駆動速度を加速する。
ここで、図10を用いて、3群1Bの駆動速度を3群用モータ4Bへの駆動量により可変する方法を説明する。
3群用モータ4Bは、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して駆動される。3群1Bの位置は、この1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)ごとに確認される。
通常同期駆動量は1パルスであり、3群用モータ4Bはこの1パルスで駆動され、3群1Bの位置がP2以下(図9参照)となり、1−2群1Aとの間の距離である群間距離が広がった場合は、3群用モータ4Bの同期駆動量を通常同期駆動量(1パルス駆動)から高速同期駆動量(3パルス駆動)に変更して駆動速度を加速させる。
その後、3群1Bの位置が群間保持区間内(図9参照)に位置した場合は、3群用モータ4Bの駆動量を通常同期駆動量に戻し、3群用モータ4Bは1パルス駆動とされる。
また、3群1Bの位置がP1以上となり、1−2群1Aとの群間距離が狭まった場合は、3群用モータ4Bへの同期駆動量を0パルスとすることにより、3群用モータ4Bへの同期駆動量を0(ゼロ)パルスとすることで、3群用モータ4Bの動作を禁止する。
以上のように、3群1Bの位置が群間保持区間を外れた場合に、3群1Bの駆動量を制御することで、1−2群1Aと3群1Bとの干渉および必要以上の乖離を避けながら、1−2群1Aと3群1Bとを同時に駆動することが可能となる。
また、ステップS211では、3群1Bが駆動状態であるか停止状態(待機状態)であるか、の別が判定される。ここで3群1Bが駆動状態である場合は、フローはステップS213へ移行する。一方、3群1Bが待機状態である場合は、フローはステップS212へ移行する。
なお、3群1Bの待機状態では、3群用モータ4Bは励磁された状態とされている。
3群1Bが待機状態のときは、ステップS212に示すように、3群用モータ4Bに供給される駆動電圧が低減される。一方、3群1Bが駆動状態のときは、ステップS213に示すように、3群用モータ4Bに供給される駆動電圧を規定電圧に復帰(上昇)させている(実際には、ステップS210での3群駆動量調整の処理において、3群用モータ4Bの駆動開始時に駆動電圧を元の規定電圧に復帰させている。)。
図18に示したタイミングチャートの例示では、3群用モータ4Bは駆動状態では規定電圧である電圧4[V]が供給され、待機状態では電圧3[V]が供給されていることを示している。
以上のように、必要時に適切な駆動電圧を印加する(駆動状態で電圧4[V]、停止状態で電圧3[V])一方、不必要時に駆動電圧を低下させることにより、無駄な消費電流を低減させることができる。
ステップS206で1−2群1Aの停止が必要であると判定された後、フローはステップS214へ移行する。
ステップS214では,3群1Bの駆動状態が判定される。ここで3群1Bが同時駆動状態ではない場合は、フローはステップS216へ移行する。一方、3群1Bが同時駆動状態の場合は、フローはステップS215へ移行して3群1Bの駆動を停止した後、フローはステップS216へ移行する。
ステップS216では、1−2群1Aの停止制御が行われる。1−2群1AはDCモータである1−2群用モータ4Aによって駆動されており、駆動電圧の印加を停止しても1−2群用モータ4Aの回転は瞬時には停止せず、オーバーランが発生する。
このオーバーラン量を減らすために、1−2群1Aの停止動作が開始された時点で、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を下げる停止制御を行う(図5,6における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。停止制御後、フローはステップS217へ移行する。
ステップS217では、1−2群移動量検出装置7が出力するパルス数が、1−2群1Aの停止制御が開始された時点から所定数に達した時点で、1−2群1Aを停止させるために1−2群用モータ4Aのブレーキ制御(一般的な電磁ブレーキ等)が行われ、1−2群1Aを停止させる(図5,6における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
なお、1−2群1Aの停止位置は、このブレーキ制御中のオーバーランも含まれる。この後に、フローはステップS218へ移行する。
ステップS218では、駆動機構が備える歯車(図示省略)の遊びによるレンズ群の位置ずれを防ぐことを目的としたバックラッシュ制御(後述)を行うために、撮影レンズ1の駆動方向が判定される。撮影レンズ1の駆動方向が、広角から望遠(図4において、W→Tと記載)の場合は、本実施例では、バックラッシュ制御は不要と判定されて、フローはステップS220に移行する。
撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角(図4において、T→Wと記載)の場合は、本実施例ではバックラッシュ制御が必要と判定されて、フローはステップS219へ移行し、バックラッシュ制御が実行される。
ステップS219で行われるバックラッシュ制御は、所定の停止位置を越えるまで1−2群1Aを駆動した後に、逆方向(反対方向)、すなわち広角から望遠に向かう方向に1−2群1Aを再度駆動して1−2群1Aを所定位置に戻すことで行われる。
駆動機構の歯車が通常有する遊びによる影響は、駆動部分の駆動方向が常に一方向になるように駆動を行うことで回避することができ、この反対方向への駆動が上記バックラッシュ制御として行われ、このバックラッシュ制御の後、フローはステップS220へ移行する。
ステップS220では、3群1Bの位置補正駆動制御が行われる(図5,6における3群用モータ4Bのタイミングチャート参照)。これは、1−2群1Aの最終的な位置に対応した3群1Bの適正な停止位置をCPU5Bが算出し、その算出された適正な位置に、3群1Bを導くものである。この位置の算出は、図2に示した1−2群1Aおよび3群1Bの位置情報に基づいて行われる。この後に、フローはステップS221へ移行する。
ステップS221では、停止したレンズ群の位置に対応した絞り値に、第1絞り2A、第2絞り2Bを設定するための、絞り駆動制御が行われる(図5,6における第1絞り用モータ4Dおよび第2絞り用モータ4Eのタイミングチャート参照)。この後に、フローはステップS222へ移行し、撮影レンズ1の駆動制御が終了する。
(望遠から広角に駆動される向きの状態における駆動制御)
次に、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される向きの状態での説明を行う。図16,17は、この駆動制御時のズーム動作を示している。
使用者が、撮影レンズ1を望遠から広角に駆動する広角スイッチ6Bを押して、撮影レンズ1が望遠から広角(図16,17において、T→Wと記載)に駆動される状態の場合は、フローは、ステップS201からステップS202へ進む。
ステップS202では、4群1Cを3群1Bから遠ざける4群1Cの退避駆動制御が行われる(図7,8における4群用モータ4Cのタイミングチャート参照)。撮影レンズ1が、望遠から広角に駆動される場合は、各レンズ群間の距離が接近する状態となり、3群1Bと4群1Cとが干渉を起こす可能性がある。
このため、4群1Cの位置が、3群1Bと干渉を起こさない所定の位置よりも3群1Bに接近する位置にある場合は、3群1Bが駆動された際に干渉を起こさない所定の位置まで、4群1Cを3群1Bから遠ざける4群1Cの退避駆動制御が行われる。この後に、フローはステップS203へ移行する。
ステップS203では、3群1Bの退避駆動制御の必要性を判断するため、撮影レンズ1の駆動方向が、望遠から広角に駆動される状態であるか、広角から望遠に駆動される状態であるか、が判定される。
使用者が、撮影レンズ1を、望遠から広角に駆動する広角スイッチ6Bを押して、撮影レンズ1が望遠から広角(図16において、T→Wと記載)に駆動される状態の場合は、フローはステップS204へ進む。
ステップS204では、3群1Bを1−2群1Aから遠ざける3群1Bの退避駆動制御が行われる(図7,8における3群用モータ4Bのタイミングチャート参照)。撮影レンズ1が、望遠から広角に向けて駆動される場合は、各レンズ群間の距離が接近する状態となり、3群1Bと1−2群1Aとが干渉を起こす可能性がある。
このため、1−2群1Aを駆動する前にあらかじめ所定距離分、例えば3群1Bが位置するズームポジションZp3(N)と一つ手前のズームポジションZp3(N−1)との間の半分の距離分、3群1Bを1−2群1Aから遠ざける3群1Bの退避駆動制御を行う。この後に、フローはステップS205へ移行する。
ステップS205では、広角スイッチ6Bが押されたことによって、1−2群用モータ4Aにより1−2群1Aの駆動が開始される。ここで1−2群用モータ4AはDCモータであるため、駆動開始直後は突入電流が発生し、電源電圧が降下するため電池寿命に悪影響を与える。
これを避けるため、1−2群1Aの駆動開始直後は、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を定常時の駆動電圧より低い値に設定し、所定時間経過後に電圧を定常時の電圧に引き上げる起動制御を行う(図7,8における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
ステップS205で1−2群1Aの駆動を開始後、フローはステップS206へ移行する。
そして、次のステップS206では、1−2群1Aを停止する必要があるかどうかの判定が行われる。ここで、1−2群1Aを停止する必要がある場合、すなわち、広角スイッチ6Bが押されなくなった場合(図8において、広角スイッチ6BがOffになった時点)、または1−2群1Aが最広角側の位置に対し所定距離手前まで駆動された場合(図7において、1−2群用モータ4Aの停止制御が開始された時点)は、フローはステップS214へ移行する。
一方、1−2群1Aを停止する必要がない場合は、フローはステップS207へ移行する。
ステップS207では、3群1Bが同時駆動状態であるか、同時駆動前の状態であるかの別が判定される。ここで、3群1Bが同時駆動前の状態である場合は、フローはステップS208へ移行する。一方、3群1Bが同時駆動前の状態である場合は、フローはステップS210へ移行する。
ステップS208では、1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングとに時間差を持たせるために、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過しているかどうかが判定される。
1−2群1Aの駆動開始タイミングと3群1Bの駆動開始タイミングとに時間差を持たせることで、1−2群用モータ4Aおよび3群用モータ4Bを同時に駆動する必要がなくなり、電源が短時間に大きな消費電流を供給する必要がなくなる。このようにすることで、電池の寿命を長くすることが可能となる。
所定時間の経過の判定は、1−2群移動量検出装置7から出力される出力パルスの個数を所定数になるまでカウントすることによって行われる。
ステップS208で、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過している場合は、フローはステップS209へ移行する。一方、1−2群1Aの駆動開始後、所定時間が経過していない場合は、フローはステップS206へ戻り、上記フローを繰り返す。
ステップS209では、3群用モータ4Bにより3群1Bの同時駆動開始が許可される。このとき、3群用モータ4Bは規定電圧で励磁される。この励磁状態が10[msec]以上経過した後に、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群用モータ4Bに駆動パルスが与えられる。
3群用モータ4Bの駆動パルスレートは、初期駆動期間(1パルス)のパルスレートを500ppsとし、それ以降の定常駆動期間のパルスレートを1000ppsとなるように行われる。その後、フローはステップS206へ戻る。
ステップS207において、3群1Bが駆動開始後である場合は、フローはステップS210へ移行する。
ステップS210では、1−2群1Aに対する3群1Bの位置を調べ、1−2群1Aと3群1Bとの干渉、および必要以上の乖離を避けるために、3群1Bの駆動量調整が行われる。
ここで、図9に示すように、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置が、第一の所定位置P1を越えて1−2群1Aに近づいている状態であるか(図9の点線部A1)、第三の所定位置P2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B1)、3群1Bの駆動量の変更が必要な状態であり、フローはステップS211へ移行する。
一方、1−2群1Aの位置に対して3群1Bの位置がP1とP2との間、すなわち群間保持区間内にある場合は、3群1Bの駆動量の変更は不必要な状態であり、フローはステップS206へ戻る。
ステップS211では、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP1を越えて1−2群1Aに近づいている状態の場合は(図9の点線部A1)、1−2群1Aと3群1Bとの干渉が発生する可能性があるため、3群1Bの駆動量を増加して加速させ、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を回避する。
また、1−2群1Aの位置に対し3群1Bの位置がP2を越えて1−2群1Aから遠ざかっている状態であれば(図9の点線部B1)、1−2群1Aと3群1Bとの距離が必要以上に離れてしまう可能性があるため、3群1Bの駆動量を減少して減速させ、1−2群1Aと3群1Bとの必要以上の乖離を回避する。
駆動量の増減量は、1−2群1Aの駆動速度、1−2群移動量検出装置7によって検出される1−2群1Aの位置、および3群用モータ4Bの入力パルスに基づいて算出される3群1Bの位置に基づいて、CPU5Bが適切な値を算出する。
図9に示す1−2群1AのズームポジションZp12(N)に対し、所定の倍率を成立させる3群1BのズームポジションZp3(N)が予め設定されている(図2参照)。
ここで、3群1Bの加速を開始する3群1Bの位置P1は、3群1BのズームポジションZp3(N)と3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)との間の3分の1だけ、3群1BのズームポジションZp3(N)から3群1Bの次のズームポジションZp3(N+1)に近づいた位置としている。すなわち、
P1=Zp3(N)+(Zp3(N+1)−Zp3(N))/3としている。
また、3群1Bの減速を開始する3群1Bの位置P2は、3群1Bの1つ手前のズームポジションZp3(N−1)に近づいた位置としている。すなわち、
P2=Zp3(N−1)としている。
図2に示す3群用モータ4Bへの出力パルスでP1,P2を表すと、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)の場合、3群1BのズームポジションZp3(4)は360であるから、P1,P2はそれぞれ、
P1=360+(380−360)/3≒366
P2=340となる。
すなわち、1−2群1AのズームポジションがZp12(4)(N=4の場合)、3群用モータ4Bへの出力パルスが366以上になった場合は、3群1Bの駆動速度を加速し、3群用モータ4Bへの出力パルスが340以下になった場合は、3群1Bの駆動速度を減速する。
ここで、図9を用いて、3群1Bの駆動速度を3群用モータ4Bへの駆動量により可変する方法を説明する。
3群用モータ4Bは、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して駆動される。3群1Bの位置は、この1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)ごとに確認される。
通常同期駆動量は、1パルスで駆動されており、3群1Bの位置がP1以上となり、群間距離が狭まった場合は、3群用モータ4Bの同期駆動量を3パルスに上げて駆動速度を加速する。その後、3群1Bの位置が群間保持区間内に位置した場合は、3群用モータ4Bの駆動量を通常同期駆動量の1パルス駆動に戻す。
また、3群1Bの位置がP2以下となり、1−2群との群間距離が広がった場合は、3群用モータ4Bへの同期駆動量を0パルスとすることで、3群用モータ4Bの動作を禁止する。
以上のように、3群1Bの位置が群間保持区間を外れた場合に、3群1Bの駆動量を制御することにより、1−2群1Aと3群1Bとの干渉を避けながら、1−2群1Aと3群1Bとを同時に駆動することが可能となる。
また、ステップS211では、3群1Bが駆動状態であるか停止状態(待機状態)であるか、の別が判定される。ここで3群1Bが駆動状態である場合は、フローはステップS213へ移行する。一方、3群1Bが待機状態である場合は、フローはステップS212へ移行する。
なお、3群1Bの待機状態では、3群用モータ4Bは励磁された状態とされている。
3群1Bが待機状態のときは、ステップS212に示すように、3群用モータ4Bに供給される駆動電圧が低減される。一方、3群1Bが駆動状態のときは、ステップS213に示すように、3群用モータ4Bに供給される駆動電圧を規定電圧に復帰(上昇)させている(実際には、ステップS210での3群駆動量調整の処理において、3群用モータ4Bの駆動開始時に駆動電圧を元の規定電圧に復帰させている。)。
図18に示したタイミングチャートの例示では、3群用モータ4Bは駆動状態では規定電圧である電圧4[V]が供給され、待機状態では電圧3[V]が供給されていることを示している。
以上のように、必要時に適切な駆動電圧を印加する(駆動状態で電圧4[V]、停止状態で電圧3[V])一方、不必要時に駆動電圧を低下させることにより、無駄な消費電流を低減させることができる。
ステップS206において、1−2群1Aの停止が必要であると判定された後、フローはステップS214へ移行する。
ステップS214では,3群1Bの同時駆動状態が判定される。ここで3群1Bが同時駆動状態ではない場合は、フローはステップS216へ移行する。一方、3群1Bが同時駆動状態の場合は、フローはステップS215へ移行して3群1Bの駆動を停止した後、フローはステップS216へ移行する。
ステップS216では、1−2群1Aの停止制御が行われる。1−2群1AはDCモータである1−2群用モータ4Aによって駆動されており、1−2群用モータ4Aへの駆動電圧の印加を停止しても、1−2群用モータ4Aの回転は瞬時には止まらず、オーバーランが発生する。
このオーバーラン量を減らすために、1−2群1Aの停止動作が開始された時点で、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を下げる停止制御を行う(図7,8における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。停止制御後、フローはステップS217へ移行する。
ステップS217では、1−2群移動量検出装置7が出力したパルス数が、1−2群1Aの停止制御が開始された時点から所定数に達した時点で、1−2群1Aを停止させるために1−2群用モータ4Aのブレーキ制御(一般的な電磁ブレーキ等)が行われ、1−2群1Aを停止させる(図7,8における1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。
なお、1−2群1Aの停止位置は、このブレーキ制御中のオーバーランも含まれる。この後に、フローはステップS218へ移行する。
ステップS218では、駆動機構が備える歯車(図示省略)の遊び(バックラッシュ)によるレンズ群の位置ずれを防ぐ目的で、バックラッシュ制御(後述)が行われ、このバックラッシュ制御のために、撮影レンズ1の駆動方向が判定される。
撮影レンズ1の駆動方向が望遠から広角に向かう方向(図4において、T→Wと記載)の場合は、本実施例ではバックラッシュ制御を行うため、フローはステップS219へ移行する。
ステップS219では、1−2群1Aのバックラッシュ制御が行われる(図7,8の1−2群用モータ4Aのタイミングチャート参照)。バックラッシュ制御は、所定の停止位置を越えるまで、1−2群1Aを駆動した後に、逆方向、すなわち広角から望遠方向に向かう方向に1−2群1Aを再度駆動して、1−2群1Aを所定位置に戻すことで行われる。
通常駆動機構の歯車は遊びを有しており、そのままでは正確な位置が定まらないため、駆動部分の駆動方向が常に一方向になるように駆動を行うことで、この遊びの影響を回避する。そして、バックラッシュ制御が実行された後にフローはステップS220へ移行する。
ステップS220では、3群1Bの位置補正駆動制御が行われる(図7,8における3群用モータ4Bのタイミングチャート参照)。これは、1−2群1Aの最終的な位置に対応した3群1Bの適正な停止位置をCPU5Bが算出し、その位置に3群1Bを駆動するものである。
この位置の算出は、図2に示した1−2群1Aおよび3群1Bの位置情報に基づいて行われる。この後に、フローはステップS221に移行する。
ステップS221では、停止したレンズ群の位置に対応した絞り値に第1絞り2A、第2絞り2Bを設定するための絞り駆動制御が行われる(図7,8における第1絞り用モータ4Dおよび第2絞り用モータ4Eのタイミングチャート参照)。この後に、フローはステップS222へ移行し、撮影レンズ1の駆動制御が終了する。
なお、前述した群間保持区間および群間保持限界区間は、広角から望遠への向きの駆動の場合と、望遠から広角への向きの駆動の場合とで互いに異なる範囲としてもよい。また各ズームポジションZpごとに変更してもよい。
また、本実施例4において、バックラッシュ制御を望遠から広角への向きの駆動の場合に行ったが、広角から望遠への向きの駆動の場合に行ってもよい。
以上、詳細に説明したように、本実施例4の撮影レンズ駆動制御装置100は、変倍機能を担う複数のレンズ群である1−2群1Aおよび3群1Bと、これら1−2群1A、3群1Bをそれぞれその駆動速度を調整可能に駆動する1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bと、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bに対して、これらの駆動速度を調整させるように制御するCPU5Bと、1−2群1A、3群1Bの位置をそれぞれ検出するレンズ位置検出手段としての1−2群基準位置検出装置9A、3群基準位置検出装置9Bとを備え、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bが1−2群1A、3群1Bを同時に駆動するとき、CPU5Bが、1−2群基準位置検出装置9A、3群基準位置検出装置9Bによって検出された1−2群1A、3群1B間の位置関係に応じて、駆動速度の調整対象となるレンズ群を1−2群1Aと3群1Bとで切り替えるように、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bを制御する。
これにより、CPU5Bが、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bを、同時並列的に駆動制御することで、1−2群1Aおよび3群1Bが同時並列的に駆動されるため、これら1−2群1A、3群1Bが順次的に駆動される従来の撮影レンズ駆動制御装置に比べて、1−2群1A、3群1Bの駆動開始から駆動終了までに要する時間が長くなるのを防止することができる。
さらにまた、本実施例4の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、1−2群用モータ4Aと3群用モータ4Bとを同時並列的に駆動することにより、消費電流が増大することになるが、3群用モータ4Bの駆動と停止とを繰り返すことにより、1−2群1Aと第3レンズ群1Bとの群間の位置関係を保つように制御する場合において、第3レンズ群1Bの駆動状態または停止状態に応じて両レンズ群の駆動電圧または駆動電流を低下させることにより、両レンズ群の同時駆動時の消費電流を抑制することができる。
具体的には、従レンズ群状態検出手段として機能するCPU5Bにより検出された3群1Bの状態が停止状態の場合は、CPU1Bが3群1Bを駆動する3群用モータ4Bへの駆動電圧または駆動電流を低下させることで、消費電流を有効に抑制することができる。
あるいは、従レンズ群状態検出手段として機能するCPU5Bにより検出された3群1Bの状態が駆動状態の場合は、CPU1Bが1−2群1Aを駆動する1−2群用モータ4Bへの駆動電圧または駆動電流を低下させることで、消費電流を有効に抑制することができる。
なお、従レンズ群状態検出手段として機能するCPU5Bにより検出された3群1Bの状態が停止状態の場合は、CPU5Bが3群1Bを駆動する3群用モータ4Bへの駆動電圧または駆動電流を低下させる一方、CPU5Bにより検出された3群1Bの状態が駆動状態の場合は、CPU5Bが1−2群1Aを駆動する1−2群用モータ4Aへの駆動電圧または駆動電流を低下させることにより、3群1Bの状態が停止状態であっても駆動状態であっても消費電流を有効に抑制することができる。3群1Bの状態が停止状態のときは、消費電流の一層の低減を図ることができる。
本実施例4の撮影レンズ駆動制御装置100は、1−2群用モータ4Aが直流モータであり、3群用モータ4Bがパルスモータであるため、1−2群1Aの移動に合わせて3群1Bを正確に駆動させることができる。
次に、本発明の実施例5としての撮影レンズ駆動制御装置100を説明する。
本実施例5は、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群1Bを駆動制御する際に、3群用モータ4Bの状態(駆動状態または停止状態の別)に応じて、3群用モータ4Bおよび1−2群用モータ4Aの駆動電圧(または駆動電流)を切り替え、同時駆動中の消費電流を軽減させる駆動制御の実施例である。
この実施例5について、図16、図17のフローチャートおよび図19のタイミングチャートを用いて説明を行う。
ここで、本実施例5と前述した実施例4との相違点は、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して3群1Bを駆動制御する際の、3群用モータ4Bの状態に応じた、3群用モータ4Bおよび1−2群用モータ4Aの駆動電圧の切替えのみであるため、以下の説明では、この相違点についてのみ説明を行い、実施例4と同じ構成および作用・効果については説明を省略する。
ステップS211では、3群1Bが駆動状態であるか停止状態(待機状態)であるか、の別が判定される。ここで3群1Bが駆動状態である場合は、フローはステップS213へ移行する。一方、3群1Bが待機状態である場合は、フローはステップS212へ移行する。
なお、3群1Bの待機状態では、3群用モータ4Bは励磁された状態とされている。
3群1Bが待機状態のときは、ステップS212に示すように、3群用モータ4Bに供給される駆動電圧を低減させるとともに、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を規定電圧に復帰させている。
一方、3群1Bが駆動状態のときは、ステップS213に示すように、3群用モータ4Bに供給される駆動電圧を規定電圧に復帰(上昇)させる(実際には、ステップS210での3群駆動量調整の処理において、3群用モータ4Bの駆動開始時に駆動電圧を元の規定電圧に復帰させている。)とともに、1−2群用モータ4Aの駆動電圧を低減させている。
図19に示したタイミングチャートの例示では、3群用モータ4Bは駆動状態では規定電圧である電圧4[V]が供給され、待機状態では電圧3[V]が供給されていることを示している。
一方、1−2群用モータ4Aは、3群用モータ4Bが駆動状態の場合は、2Vで駆動され、3群用モータ4Bが待機(停止)中の場合は、2.5Vで駆動されていることを示している。
以上のように、本実施例5の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、1−2群用モータ4A、3群用モータ4Bが、同時並列的に駆動制御されるため、これら1−2群1A、3群1Bが順次的に駆動される従来の撮影レンズ駆動制御装置に比べて、1−2群1A、3群1Bの駆動開始から駆動終了までに要する時間が長くなるのを防止することができる。
また、3群用モータ4Bに対して、必要時に適切な駆動電圧を印加することにより、無駄な消費電流を軽減することが可能となる。また、1−2群用モータ4Aに対しても、3群用モータ4Bの駆動中に電圧を下げることにより、さらに、消費電流を低減することが可能となる。
さらに、本実施例5の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、3群用モータ4Bは、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して駆動し、この同期駆動量に応じて駆動速度が変化するものであるため、3群用モータ4Bに入力する同期駆動量を変化させるだけの簡単な操作で、3群1Bの駆動速度を調整することができる。
また、本実施例5の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、1−2群移動量検出装置7の出力パルス(PI信号)に同期して、3群用モータ4Bの駆動/停止を繰り返すことにより、3群1Bの駆動速度を調整することができる。
本実施例5の撮影レンズ駆動制御装置100によれば、3群用モータ4Bの状態に応じて、3群用モータ4Bの駆動電圧または駆動電流を切り替え、3群用モータ4Bの状態が待機状態の場合に3群用モータ4Bの駆動電圧または駆動電流を下げることにより、無駄な消費電流を抑えることが可能となる。
さらに、3群用モータ4Bの状態に応じて、1−2群用モータ4Aの駆動電圧または駆動電流を切り替え、3群用モータ4Bの状態が駆動状態の場合にも、1−2群用モータ4Aの駆動電圧または駆動電流を下げることにより、無駄な消費電流を抑えることができる。