JP2018193193A - ゴミ収集区間識別装置、ゴミ収集区間識別方法、及びプログラム - Google Patents

ゴミ収集区間識別装置、ゴミ収集区間識別方法、及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】各地区のゴミ量を従来技術よりも良い精度で推定することを可能とする技術を提供する。【解決手段】ゴミ収集区間を識別するゴミ収集区間識別装置において、ゴミ清掃車に搭載されたモーションセンサにより収集されたセンサデータから特徴量を取得する特徴量取得手段と、前記特徴量に基づいて、前記ゴミ清掃車の回転板が動作中の時間を前記ゴミ収集区間として識別する識別手段とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、ゴミ収集業務において、各地区のゴミ量を推定する技術に関連するものである。
ゴミ収集業務は、自治体の基礎的なサービスであり、住民の生活を支える重要な業務である。このサービスを維持するためには、安定的にゴミ収集業務が行えるよう、地区毎のゴミ量の推移や、将来のゴミ量予測など、ゴミ収集に関する詳細な情報に基づく効率化が必要であると考えられる。
なお、海外では、ゴミ箱にセンサを取り付けることで、ゴミ集積所のゴミ箱がいっぱいになったことを検知したら、動的にゴミ清掃車を配車するようなシステム例がある。しかし、日本における個別の地区を車が定期的に収集する方式とは根本的に収集の方式が異なる。
本願に関連する先行技術文献として、人の行動を識別する技術を開示した特許文献1がある。
特開2010−271978号
上述したように、ゴミ収集業務の効率化のためには、地区毎のゴミ量などの情報を取得することが必要であるが、従来技術では、ゴミ焼却場で計測したゴミ量を、車が担当している地区に割り当て、大まかな地区毎の集計を求めることしかできなかった。
しかし、実際には1台のゴミ清掃車は業務の平滑化のため複数の離れた地区のゴミを1日に集める場合もあり、この方法ではゴミ量の集計に誤差が生じ、結局は経験と勘を頼りにゴミ収集業務の計画を立てることが多かった。このため、ゴミを収集しながら各地区のゴミ量の詳細が蓄積できれば、ゴミ収集業務の効率化を支援できると考えられる。
ゴミ収集業務では、清掃員が車を運転して拠点を出発し、割り当てられたゴミ収集区域でゴミを収集する。各ゴミ集積所や各戸の前で車を止めてゴミをゴミ清掃車に搭載し、回転板を動作させてゴミを荷箱に押し込む。車に搭載できるゴミの量があふれる前に焼却所や、リサイクル拠点へゴミを運び込む。この際、焼却所やリサイクル拠点ではゴミの重量を計測する。割り当てられた区域をどの順で回るか、いつ焼却所などへ向かうかは清掃員の裁量に任されている場合もあり、道路事情や工事のタイムスケジュール、ゴミ量の多寡によって変更されることもある。更に、集め忘れたゴミを担当区域外の別のゴミ清掃車に臨時に収集を依頼することもあり得る。このため単に焼却所などで計測した重量を用いるだけでは各地区のゴミ量を良い精度で推定することはできない。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、各地区のゴミ量を従来技術よりも良い精度で推定することを可能とする技術を提供することを目的とする。
開示の技術によれば、ゴミ収集区間を識別するゴミ収集区間識別装置であって、
ゴミ清掃車に搭載されたモーションセンサにより収集されたセンサデータから特徴量を取得する特徴量取得手段と、
前記特徴量に基づいて、前記ゴミ清掃車の回転板が動作中の時間を前記ゴミ収集区間として識別する識別手段と
を備えることを特徴とするゴミ収集区間識別装置が提供される。
開示の技術によれば、ゴミ収集区間を識別できるので、各地区のゴミ量を従来技術よりも良い精度で推定することが可能となる。
本発明の実施の形態の概要を説明するための図である。 第1の実施の形態におけるシステム構成図である。 装置のハードウェア構成の例を示す図である。 ゴミ量推定の処理手順を示すフローチャートである。 加速度センサとパワースペクトラムの例を示す図である。 第2の実施の形態におけるシステム構成図である。 実施例における識別結果を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。
(本実施の形態の概要)
本実施の形態では、ゴミ清掃車に搭載したモーションセンサを用いて、ゴミ清掃車の走行中の振動とゴミをかき入れる回転板動作中の車の振動の変化を検出して、回転板の動作時間をゴミ収集区間として識別する。そして、ゴミ清掃車の回転板の動作時間(回転回数)とゴミの量には比例の関係があると考え、焼却所などで計測したゴミの重量を各地区でゴミの回転板の動作時間で按分することで、各地区のゴミ量を推定する。
図1は、本実施の形態におけるゴミ量推定のイメージを示す。図1の例では、1台又は複数台のゴミ清掃車がA地区、B地区、C地区の3地区を回って、合計で200kgのゴミを収集した場合を示している。本実施の形態における技術により、A地区におけるゴミ収集時間が20分として得られ、B地区におけるゴミ収集時間が10分として得られ、C地区におけるゴミ収集時間が10分として得られる。200Kgをこれらの時間で按分することで図示のとおり、各地区のゴミの推定量が得られる。例えば、A地区については、(20÷(20+10+10))×200=100として、100Kgが得られる。
モーションセンサを用いずとも、GPSの履歴のみを用いて、その地区の滞在時間からゴミ量を推定する手法も考えられる。しかし、実際のゴミ収集業務では、細い道路では奥にある集積所まで到達するのに時間がかかったり、車が入れない程細い道路では車を停止して清掃員が走ってゴミを取りに行くためにゴミ量に比べて時間が多くかかる場所もあれば、集合住宅など一か所に大量のゴミが集積されているため、短時間で大量のごみを収集できる場所もある。このためモーションセンサを用いて回転板の動作時間を検出する方がより正確にゴミ量を推定できると考えられる。
また、音を用いて回転板の動作を検出したり、カメラ画像を用いてゴミ袋の動きを識別することによって、ゴミ量を推定する手法も考えられる。しかし、それぞれ専用の装置を車外に取り付ける必要があり、スマートフォンなどのモーションセンサ1台を清掃車の中に取り付けるのみでゴミ量が推定できる本実施の形態に係る技術の方が実現しやすく、音やカメラに入り込んだ市民などのプライバシーの問題も発生しない。モーションセンサは多くのスマートフォンに搭載されている一般的なセンサであり、路面の損傷を検出するといった他の目的にも同時に利用できる。
以下、第1の実施の形態、第2の実施の形態、及び実施例を説明する。
(第1の実施の形態)
<システム構成>
図2に、第1の実施の形態におけるシステム構成図を示す。図2に示すように、第1の実施の形態におけるシステムは、ゴミ清掃車に搭載される車載装置10と、車載装置10にネットワークを介して接続されるゴミ量推定装置20とを有する。
図2に示すように、車載装置10は、センサ11とセンサデータ送信部12を有する。車載装置10は、例えば、各種センサを備えるスマートフォン、タブレット等である。また、ゴミ量推定装置20は、センサデータ受信部21、センサデータ格納部22、センサデータ前処理部23、特徴量ベクトル生成部24、ゴミ収集イベント検出部25、ゴミ重量データ格納部26、推定ゴミ量算出部27、及び情報出力部28を有する。各装置における各機能部の動作については、後述する動作説明において詳細に説明する。なお、ゴミ量推定装置20をゴミ収集区間識別装置と称してもよい。
車載装置10、ゴミ量推定装置20、及び後述する第2の実施の形態における車載装置30、ゴミ量推定装置40はいずれも、コンピュータに、本実施の形態で説明する処理内容を記述したプログラムを実行させることにより実現可能である。図3は、各装置のハードウェア構成例を示す図である。図3の装置は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、インタフェース装置105、表示装置106、及び入力装置107等を有する。
当該装置(車載装置10、ゴミ量推定装置20、車載装置30、又は、ゴミ量推定装置40)での処理を実現するプログラムは、例えば、CD−ROM又はメモリカード等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って当該装置に係る機能を実現する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置106はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置107はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。
以下、車載装置10、及びゴミ量推定装置20の動作を、図4のフローチャートに沿って説明する。なお、以下で説明する処理は、1台のゴミ清掃車がゴミ収集を行う場合の例である。複数台が同じ地区のゴミを収集する場合、各ゴミ清掃車におけるゴミ量推定値を合計すればよい。
<ステップS1:データの収集>
ゴミ清掃車に搭載された車載装置10におけるセンサ11が、データを収集し、センサデータ送信部12が、センサ11により収集されたデータをゴミ量推定装置20に送信する。ゴミ量推定装置20におけるセンサデータ受信部21が当該データを受信し、受信したデータをセンサデータ格納部22に格納する。
センサ11は、加速度、角速度、地磁気を複数の軸で測定するようなモーションセンサを含む。また、センサ11は、ゴミ清掃車の位置情報を取得するGPS装置も含む。センサデータ格納部22には、モーションセンサにより取得された加速度データ等と、GPS装置により取得された位置情報とが、取得された時刻とともに格納される。
図5の上段に、ゴミ清掃車に搭載されたセンサ11(モーションセンサ)により取得した加速度データの例を示す。この例は、運転席後部に加速度、角速度、地磁気それぞれを3軸で計測する9軸モーションセンサが設置された場合の例である。
図5の下段に示すように、ゴミ清掃車の状態(ゴミ収集中、走行中、アイドリング中)毎に、加速度を周波数領域に変換してパワースペクトラムを見ると、状況によって異なる周波数にピークがあることがわかる。エンジンの回転数がそれぞれの状態によって異なるためにこのような差が出てくると考えられる。また、このデータでは、ゴミ収集中のピークは45Hz付近にあるため、センサ11は100Hz以上の速度でデータを取得する必要があることがわかる。
<ステップS2〜S4:特徴量ベクトルの作成>
ゴミ量推定装置20におけるセンサデータ前処理部23は、取得したセンサデータを一定のデータ数毎に時間ウィンドウで区切る(ステップS2)。ウィンドウ長をwとする。時間ウィンドウは一定のデータ数ずつ重ねてスライドさせて次の時間ウィンドウとする。スライド幅をsとする。時間ウィンドウ単位で特徴量ベクトルが生成される。
特徴量ベクトル生成部24は、各ウィンドウのデータをFFT Fast Fourier Transform)あるいはLPC(Linear Predictive Coding)で周波数領域に変換し、パワースペクトルを得る(ステップS3)。更に、特徴量ベクトル生成部24は、当該パワースペクトルをケプストラムに変換し、これを特徴量とする。また、特徴量ベクトル生成部24は、追加で、標準偏差、ZCR(Zero−crossing rate)、パワー、エントロピーといった特徴量を追加し、これらの特徴量からなる特徴量ベクトルを生成する。なお、センサデータから特徴量ベクトルを生成する方法は、ここで説明した方法に限らず、他の方法で特徴量ベクトルを生成してもよい。
<データの学習について>
ここで、データの学習について説明する。データの学習は、ゴミ量推定を行う前に、事前に行っておくものである。学習に関しては、ゴミ量推定装置20が実施してもよいし、ゴミ量推定装置20以外の装置が実施してもよい。ここでは、ゴミ量推定装置20が下記の学習を実施するものとする。なお、これまでに説明したステップS4までで得られた特徴量ベクトルは、学習が既に済んだ後の、ゴミ量推定のためのものであるが、学習においてもステップS4までで得られる特徴量ベクトルと同様の特徴量ベクトルを使用するので、ここでは、便宜上、ステップS4の後に、データの学習方法を説明している。
ゴミ量推定装置20は、特徴量ベクトルに、対応するラベルを付与し、識別モデルを生成する。例えば、代表的なゴミ収集業務を行っている日を選択し、ゴミ収集業務を撮影した映像や録音した音声を用いて、人手でゴミ収集中の回転板の動作時間を探し、対応するラベル(回転中か回転中以外)を、当該時間に対応する特徴量ベクトルに付与する。
付与したラベルを用いて、回転板動作中とそれ以外のデータを同じ数ランダムに選択し、分類器の教師あり学習を行う。本実施の形態では、分類器にSVMを用いるが、これは一例であり、その他の決定木などの分類器を用いてもよい。
なお、ここでは、識別モデルと分類器は同義と考えてよい。分類器に、ラベルが未知の特徴量ベクトルが入力されることで、分類器により推定されたラベル(回転中か回転中以外)が出力される。当該識別モデル(分類器)は、ゴミ収集イベント検出部25が備える。
<ステップS5〜S8:ゴミ収集区間の推定>
ゴミ収集イベント検出部25は、上記のようにして作成された識別モデル(分類器)を用いて、モーションセンサデータがゴミ収集区間(つまり、回転中)に対応しているかを分類する(ステップS6)。すなわち、ゴミ収集イベント検出部25は、特徴量ベクトルを時間ウィンドウ毎に分類器に入力し、当該特徴量ベクトルが"回転中"に分類された場合に、当該特徴量ベクトルに対応する時間ウィンドウの時間はゴミ収集区間であると判断する。
ゴミ収集イベント検出部25は、ある時間ウィンドウの特徴量ベクトルが、ゴミ収集区間に対応すると判断した場合、当該時間ウィンドウの時間(例:13時30分00秒〜13時30分01秒、など)を、ゴミ収集区間として、その時点での位置情報(GPSデータ)と共に、メモリ等の記憶手段に記録する(ステップS7)。
ステップS1〜S7の処理は、ゴミ清掃車が焼却所に到着するまで繰り返し実行される。ゴミ収集イベント検出部25は、車載装置10から受信するデータ(例:GPSデータ)が、ゴミ清掃車が焼却所へ到着した箇所のデータになったことを検出すると(ステップS8のY)、ステップS7でそれまでに記録したデータをまとめて推定ゴミ量算出部27に渡し、推定ゴミ量算出部27にゴミ量推定処理を実行させる。なお、ゴミ清掃車が焼却所に到着した際にゴミ量推定処理を実行することは例であり、ゴミ清掃車が焼却所以外の所定の場所に到着した際にゴミ量推定処理を実行することとしてもよい。
なお、ゴミ収集業務はゴミ清掃車の停止中に行われることが想定されるため、ゴミ量推定装置20は、車載装置10から受信するGPSデータからゴミ清掃車の走行速度を求め、走行速度が予め定めた値以下のときのセンサデータのみを使って、上述した識別に係る処理(ステップS2〜S7)を行うこととしてもよい。
<ステップS9〜S11:ゴミ量の推定>
次に、推定ゴミ量算出部27が、位置別のゴミの重量を、計測したデータを用いて推定する。
ここでは、例えば、ゴミ清掃車が到着した焼却所から、当該ゴミ清掃車が収集したゴミの総重量がゴミ量推定装置20に送信され、ゴミ量推定装置20は、当該ゴミ重量をゴミ重量データ格納部26に格納する。また、回転板が回っている時間とゴミの重量は比例の関係にあると仮定し、推定ゴミ量算出部27は、ゴミ重量データ格納部26に格納されたゴミの重量を位置別のゴミ収集時間で按分する。按分する位置の単位は、回転板が回転中であると判断された位置毎としてもよいが、多少の誤差が発生することを予想し、本実施の形態では、街区あるいは自治会単位とすることを想定している。メッシュで区切った地区毎に按分しても構わない。
一例として、あるゴミ収集区間とその位置を(ゴミ収集区間:時間、位置)のように表すとして、(ゴミ収集区間:8時30分00秒〜8時32分00秒、位置1)、(ゴミ収集区間:8時35分00秒〜8時39分00秒、位置2)、(ゴミ収集区間:8時45分00秒〜8時47分00秒、位置3)というデータが得られたとする。また、ここで、位置1、位置2、位置3で地区Aを構成するものとする。この場合、推定ゴミ量算出部27は、地区Aのゴミ収集時間として2+4+2=8分を得る。同様にして、地区Bのゴミ収集時間として8分が得られ、地区Cのゴミ収集時間として16分が得られたとする。
この場合、全部のゴミ重量が100Kgであるとすると、推定ゴミ量算出部27は、地区Aのゴミ量の推定値として、100×8/32=25Kgを算出し、地区Bのゴミ量の推定値として、100×8/32=25Kgを算出し、地区Cのゴミ量の推定値として、100×16/32=50Kgを算出する。
<ステップS12:情報の提示>
情報出力部28は、推定ゴミ量算出部27により算出された推定ゴミ量を出力する。出力の内容は、特に限定されないが、例えば、位置毎あるいは地区毎の推定ゴミ量である。また、推定した位置別のゴミ量は大きく分けて以下の2つの用途(1)、(2)に使用することを想定していることから、情報出力部28は、以下の2つの用途のいずれかに対応する情報、あるいは、以下の2つの用途のそれぞれに対応する情報を出力してもよい。
(1)地区別ゴミ量の経年変化・季節変動データによるゴミ収集計画支援
ゴミ量の経年変化による将来予測や、季節変動は、自治体におけるゴミ収集業務計画を策定する上で重要なデータとなり得る。従来技術における車毎に地区を当てはめて合算する方法では、自治会単位のような細かな地区別で集計することは困難であった。提案手法を用いることにより、情報出力部28は、自治会単位のような細かな地区別のゴミ量を蓄積することで、詳細な経年変化や季節変動によるゴミ量の変動データを算出し、出力することが可能である。つまり、詳細に将来のゴミ量を予測することができるようになる。こういった情報は自治体や自治体からゴミ収集業務を委託された業者が、ゴミ収集の計画を策定する上で重要である。
(2)住民へのゴミ量のフィードバック
情報出力部28は、住民へ一定の時間毎のその地区のゴミの量を提示することとしてもよい。具体的には、例えば、情報出力部28が、Webサーバ機能(Webサイト提供)を持ち、一定の時間毎の地区毎のゴミの量を掲載したWebページを公開する。
これにより、ゴミ量の減量化に役立つと考えられる。自治体全体でのゴミの排出量は公開されているが、個別の地区のゴミの量はほとんど提示されることはなく、そもそも住民は自身の排出しているゴミの量が平均と比較して多いか少ないかを知らない場合が多い。こういった状況で地区毎のゴミ排出量が提示されると、住民の心理として平均より多かったならばゴミの量を減らしてみよう、平均より少なかったならば平均を上回らないようにゴミ量増加を防ごう、というゴミ減量のモチベーションが高まることが考えられる。
なお、上記(1)、(2)のいずれの場合でも、情報出力部28は、スマートフォンのアプリケーションにより実現されるものであってもよい。すなわち、この場合、推定ゴミ量算出部27による算出結果が、ユーザの持つスマートフォンに送られ、当該アプリケーションにより、上述した情報表示がなされる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態では、ゴミ清掃車の車載装置でセンサデータを取得し、全てのデータ処理をゴミ量推定装置で行うのに対し、第2の実施の形態では、ゴミ収集イベントの検出までを車載装置で行い、それ以降の処理をゴミ量推定装置で行う。ゴミ量推定のための処理方法は、基本的に第1の実施の形態と第2の実施の形態とで同じである。以下、主に第1の実施の形態と異なる点について説明する。
図6に、第2の実施の形態におけるシステム構成図を示す。図6に示すように、第2の実施の形態におけるシステムは、ゴミ清掃車に搭載される車載装置30と、車載装置30にネットワークを介して接続されるゴミ量推定装置40とを有する。
図6に示すように、車載装置30は、センサ11、センサデータ前処理部23、特徴量ベクトル生成部24、ゴミ収集イベント検出部25、ゴミ収集イベント送信部31を有する。また、ゴミ量推定装置40は、ゴミ収集イベント受信部41、ゴミ重量データ格納部26、推定ゴミ量算出部27、及び情報出力部28を有する。なお、車載装置30をゴミ収集区間識別装置と称してもよい。
車載装置30におけるセンサ11、センサデータ前処理部23、特徴量ベクトル生成部24、ゴミ収集イベント検出部25は、第1の実施の形態におけるセンサ11、センサデータ前処理部23、特徴量ベクトル生成部24、ゴミ収集イベント検出部25と同じであり、これらにより、図4のフローチャートにおけるステップS1〜ステップS8の処理を実行する。
ステップS8でYになった場合、ゴミ収集イベント送信部31が、焼却所到着までにステップS7で記録されたデータをゴミ量推定装置40に送信する。ゴミ量推定装置40のゴミ収集イベント受信部41が当該データを受信する。あるいは、ゴミ収集イベント検出部25がゴミ収集区間を識別する度に、ゴミ収集イベント送信部31がゴミ収集区間のデータをゴミ量推定装置40に送信することとしてもよい。
ゴミ量推定装置40におけるゴミ重量データ格納部26、推定ゴミ量算出部27、及び情報出力部28は、第1の実施の形態におけるゴミ重量データ格納部26、推定ゴミ量算出部27、及び情報出力部28と同じであり、これらにより、図4のステップS9〜ステップS12の処理が実行される。なお、ステップS5で使用する識別モデルの学習については、ゴミ量推定装置40が行ってもよいし、他の装置が行ってもよい。
(実施例)
以下、より具体的な例を実施例として説明する。
実際にゴミ収集業務を行っているゴミ清掃車1台にGPSと9軸モーションセンサを搭載してデータを収集し、ゴミ収集区間推定の実験を行った。GPSは1秒に1回、モーションセンサは3軸加速度と3軸角速度を100Hzで測定した。教師データは、ゴミ清掃車に音声を記録する装置を同時に取り付け、その音声を再生させ、実際にゴミを収集して回転板を動作させた時刻の特徴量ベクトルにラベリングを付与して作成した。
w=256、s=100としてゴミ量推定を行った。ここでは、鉛直方向の1軸の加速度データのみを用いた評価を行った。周波数領域への変換は30次のLPCを用い、ケプストラムの30次の値のみを特徴量ベクトルとした。回転板の回転中と回転中以外(走行中)の2種類のラベルを加速度データに付与し、1500個ずつのデータセットを用意した。SVMで識別モデルを構築し、交差検定によって識別の精度を算出した。
図7に識別結果を示す。この識別結果は、ある1日のある1台のゴミ清掃車のデータのみから得られたものである。適合率は90.1%、再現率は89.9%となった。このことから、加速度のみを使っても一定の精度でゴミ清掃車の回転板動作時間を推定できることがわかった。なお、他の軸のモーションセンサデータやGPSデータ、その他の特徴量を用いることで精度が向上する可能性がある。
(実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る技術を用いることにより、スマートフォンなどにも搭載されるなど一般的になってきたモーションセンサを使って簡単にゴミ収集区間を識別できる。更に最近ではスマートフォンなどモーションセンサを用いて路面の劣化を検知するサービスが提供されつつあるため、これらのサービスと一つのハードウェアを使って同時にゴミ収集区間の識別が行える。ゴミ収集区間を識別できれば、細かな地区毎のゴミ収集量を推定できるようになり、以下のような効果(1)〜(3)が期待できる。
(1)地区毎のゴミ量の遷移を把握することによる、ゴミ収集計画の効率化。
(2)地区毎のゴミ量と人口推移からゴミ量の推移を予測することによる将来のゴミ収集計画の考案。
(3)地区毎のゴミ量を住民に示すことによる、ゴミ減量の効果。
(実施の形態のまとめ)
以上、説明したように、本実施の形態により、ゴミ収集区間を識別するゴミ収集区間識別装置であって、ゴミ清掃車に搭載されたモーションセンサにより収集されたセンサデータから特徴量を取得する特徴量取得手段と、前記特徴量に基づいて、前記ゴミ清掃車の回転板が動作中の時間を前記ゴミ収集区間として識別する識別手段とを備えることを特徴とするゴミ収集区間識別装置が提供される。
センサデータ前処理部23及び特徴量ベクトル生成部は、上記特徴量取得手段の例である。また、ゴミ収集イベント検出部25は、上記識別手段の例である。
前記識別手段は、回転板が動作中の特徴量に基づく教師あり学習により作成された識別モデルを用いて前記識別を実行することとしてもよい。
また、前記ゴミ収集区間識別装置は、前記識別手段により識別された前記ゴミ収集区間と、当該ゴミ収集区間に対応する前記ゴミ清掃車の位置と、前記ゴミ清掃車により収集されたゴミの総重量とに基づいて、位置別のゴミ量を推定する推定ゴミ量算出手段を更に備えることとしてもよい。推定ゴミ量算出部27は、上記の推定ゴミ量算出手段の例である。
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10、30 車載装置
11 センサ
12 センサデータ送信部
20、40 ゴミ量推定装置
21 センサデータ受信
22 センサデータ格納部
23 センサデータ前処理部
24 特徴量ベクトル生成部
25 ゴミ収集イベント検出部
26 ゴミ重量データ格納部
27 推定ゴミ量算出部
28 情報出力部
31 ゴミ収集イベント送信部
41 ゴミ収集イベント受信部
100 ドライブ装置
101 記録媒体
102 補助記憶装置
103 メモリ装置
104 CPU
105 インタフェース装置
106 表示装置
107 入力装置

Claims (7)

  1. ゴミ収集区間を識別するゴミ収集区間識別装置であって、
    ゴミ清掃車に搭載されたモーションセンサにより収集されたセンサデータから特徴量を取得する特徴量取得手段と、
    前記特徴量に基づいて、前記ゴミ清掃車の回転板が動作中の時間を前記ゴミ収集区間として識別する識別手段と
    を備えることを特徴とするゴミ収集区間識別装置。
  2. 前記識別手段は、回転板が動作中の特徴量に基づく教師あり学習により作成された識別モデルを用いて前記識別を実行する
    ことを特徴とする請求項1に記載のゴミ収集区間識別装置。
  3. 前記識別手段により識別された前記ゴミ収集区間と、当該ゴミ収集区間に対応する前記ゴミ清掃車の位置と、前記ゴミ清掃車により収集されたゴミの総重量とに基づいて、位置別のゴミ量を推定する推定ゴミ量算出手段
    を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴミ収集区間識別装置。
  4. ゴミ収集区間を識別するゴミ収集区間識別装置が実行するゴミ収集区間識別方法であって、
    ゴミ清掃車に搭載されたモーションセンサにより収集されたセンサデータから特徴量を取得する特徴量取得ステップと、
    前記特徴量に基づいて、前記ゴミ清掃車の回転板が動作中の時間を前記ゴミ収集区間として識別する識別ステップと
    を備えることを特徴とするゴミ収集区間識別方法。
  5. 前記識別ステップにおいて、前記ゴミ収集区間識別装置は、回転板が動作中の特徴量に基づく教師あり学習により作成された識別モデルを用いて前記識別を実行する
    ことを特徴とする請求項4に記載のゴミ収集区間識別方法。
  6. 前記識別ステップにより識別された前記ゴミ収集区間と、当該ゴミ収集区間に対応する前記ゴミ清掃車の位置と、前記ゴミ清掃車により収集されたゴミの総重量とに基づいて、位置別のゴミ量を推定する推定ゴミ量算出ステップ
    を更に備えることを特徴とする請求項4又は5に記載のゴミ収集区間識別方法。
  7. コンピュータを、請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載のゴミ収集区間識別装置における各手段として機能させるためのプログラム。
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