本開示の実施形態を詳細に説明する前に、本発明者の知見を説明する。
電荷蓄積領域に蓄積された電荷の読み出し回路として、画素内に3つのトランジスタを配置した構成が知られている。例えば特許文献2の図4には、出力トランジスタ、行選択トランジスタ、および、フローティングディフュージョンをリセットするリセットトランジスタを有する信号読み出し回路が記載されている。また、光電変換により生成した電荷をフローティングディフュージョンに転送する、転送トランジスタを画素内にさらに設けた読み出し回路も知られている。例えば特許文献2の図7における信号読み出し回路は、リセットトランジスタ、出力トランジスタ、行選択トランジスタおよび電荷転送のためのトランジスタの4つのトランジスタを有している。これらの4つのトランジスタのうち、第4のトランジスタは、画素電極とフローティングディフュージョンとの間に接続されている。この第4のトランジスタは、光電変換により生成して画素電極に収集された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタである。以下では、画素内に転送トランジスタを有する読み出し回路を「4Tr読み出し回路」と呼ぶことがある。また、画素内に転送トランジスタを有しない読み出し回路を「3Tr読み出し回路」と呼ぶことがある。参考のために、特開2011−228621号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
半導体基板にフォトダイオードが形成された、いわゆるCCDイメージセンサまたはCMOSイメージセンサにおいては、4Tr読み出し回路に相関二重サンプリング(correlated double sampling(CDS))を適用することにより、リセットkTCノイズの影響を除去し得ることが知られている。しかしながら、本発明者の検討によると、積層型の撮像装置では、上記の手法によってリセットkTCノイズの影響を除去することは困難である。
積層型の撮像装置は、典型的には、光電変換部と半導体基板との間の電気的な接続のために、光電変換部と半導体基板との間に金属配線または金属層が介在する。そのため、画素電極によって収集された電荷を、フローティングディフュージョンに完全に転送することが困難である。したがって、積層型の撮像装置においては、画素内に転送トランジスタを設けて相関二重サンプリングを適用する手法を単純に適用することは有効とはいえない。積層型の撮像装置においてkTCノイズを低減することが望まれている。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る撮像装置の、例示的な回路構成を模式的に示す。図1に示す撮像装置101は、複数の単位画素セル11と周辺回路とを備える。複数の単位画素セル11は、半導体基板上に2次元に配列されることにより、感光領域(画素領域)を形成している。半導体基板は、その全体が半導体である基板に限定されない。半導体基板は
、感光領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁性基板などであってもよい。
図示する例では、複数の単位画素セル11は、行方向および列方向に配列されている。本明細書において、行方向および列方向とは、行および列がそれぞれ延びる方向をいう。つまり、図面中、紙面における垂直方向が列方向であり、水平方向が行方向である。複数の単位画素セル11は、1次元に配列されていてもよい。言い換えれば、撮像装置101は、ラインセンサであり得る。
単位画素セル11の各々は、電源配線22に接続されている。各単位画素セル11には、電源配線22を介して所定の電源電圧が供給される。後に詳しく説明するように、単位画素セル11の各々は、半導体基板に積層された光電変換膜を有する光電変換部を含んでいる。また、図示するように、撮像装置101は、すべての光電変換部に同一の一定電圧を印加するための蓄積制御線17を有する。
撮像装置101の周辺回路は、垂直走査回路(「行走査回路」とも呼ばれる)16と、負荷回路19と、カラム信号処理回路(「行信号蓄積回路」とも呼ばれる)20と、水平信号読み出し回路(「列走査回路」とも呼ばれる)21と、反転増幅器24とを含む。図示する構成において、カラム信号処理回路20、負荷回路19および反転増幅器24は、2次元に配列された単位画素セル11の列毎に配置されている。つまり、この例では、周辺回路は、複数のカラム信号処理回路20と、複数の負荷回路19と、複数の反転増幅器24とを含む。
垂直走査回路16は、アドレス信号線30およびリセット信号線26に接続されている。垂直走査回路16は、アドレス信号線30に所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の単位画素セル11を行単位で選択する。これにより、選択された単位画素セル11の信号電圧の読み出しと、後述する画素電極のリセットとが実行される。
図示する例では、垂直走査回路16は、フィードバック制御線28および感度調整線32にも接続されている。後述するように、垂直走査回路16がフィードバック制御線28に所定の電圧を印加することにより、単位画素セル11の出力を負帰還させるフィードバック回路を形成することができる。また、垂直走査回路16は、感度調整線32を介して複数の単位画素セル11に所定の電圧を供給することができる。後に詳しく説明するように、本開示では、単位画素セル11の各々は、画素内に1以上の容量素子を有する。本明細書において、「容量素子(capacitor)」は、電極の間に絶縁膜などの誘電体が挟まれた構造を意味する。本明細書における「電極」は、金属から形成された電極に限定されず、ポリシリコン層などを広く含むように解釈される。本明細書における「電極」は、半導体基板の一部分であってもよい。
各列に配置された単位画素セル11は、各列に対応した垂直信号線18を介してカラム信号処理回路20に電気的に接続されている。垂直信号線18には、負荷回路19が電気的に接続されている。カラム信号処理回路20は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ−デジタル変換(AD変換)などを行う。単位画素セル11の列に対応して設けられた複数のカラム信号処理回路20には、水平信号読み出し回路21が電気的に接続されている。水平信号読み出し回路21は、複数のカラム信号処理回路20から水平共通信号線23に信号を順次読み出す。
図1に例示する構成では、複数の反転増幅器24が各列に対応して設けられている。反転増幅器24の負側の入力端子は、対応する垂直信号線18に接続されている。反転増幅器24の正側の入力端子には、所定の電圧(例えば1Vまたは1V近傍の正電圧)Vre
fが供給される。また、反転増幅器24の出力端子は、各列に対応して設けられたフィードバック線25を介して、その反転増幅器24の負側の入力端子との接続を有する複数の単位画素セル11に接続されている。反転増幅器24は、単位画素セル11からの出力を負帰還させるフィードバック回路の一部を構成する。反転増幅器24をフィードバックアンプと呼んでもよい。反転増幅器24は、反転増幅利得を変化させるためのゲイン調整端子24aを含む。反転増幅器24の動作は後述する。
図2は、図1に示す単位画素セル11の、例示的な回路構成を示す。単位画素セル11は、光電変換部15と、信号検出回路SCとを含む。
光電変換部15は、典型的には、第1電極15aと、第2電極(画素電極)15cとの間に光電変換膜15bが挟まれた構造を有する。後に図面を参照して説明するように、光電変換膜15bは、単位画素セル11が形成される半導体基板に積層されている。光電変換膜15bは、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成される。光電変換膜15bは、有機材料から構成される層と無機材料から構成される層とを含んでいてもよい。
光電変換膜15bの受光面側に、第1電極15aが設けられる。第1電極15aは、ITOなどの透明な導電性材料から形成される。光電変換膜15bを介して第1電極15aに対向する側に第2電極15cが設けられる。第2電極15cは、光電変換膜15bにおいて光電変換によって発生した電荷を収集する。第2電極15cは、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される。
図示するように、第1電極15aは、蓄積制御線17に接続されており、第2電極15cは、電荷蓄積ノード(「フローティングディフュージョンノード」とも呼ばれる)44に接続されている。蓄積制御線17を介して第1電極15aの電位を制御することにより、光電変換によって生じた正孔−電子対のうち、正孔および電子のいずれか一方を第2電極15cによって収集することができる。信号電荷として正孔を利用する場合、第2電極15cよりも第1電極15aの電位を高くすればよい。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。例えば10V程度の電圧が、蓄積制御線17を介して第1電極15aに印加される。これにより、信号電荷が電荷蓄積ノード44に蓄積される。もちろん、信号電荷として電子を利用してもよい。
単位画素セル11が有する信号検出回路SCは、増幅トランジスタ(第1のトランジスタ)34と、第1のリセットトランジスタ(第2のトランジスタ)36とを含む。また、単位画素セル11は、第1容量素子(第1容量)41および第2容量素子(第2容量)42が直列に接続された容量回路45を含む。図示する構成において、第2容量素子42は、第1容量素子41よりも大きな容量値を有する。図2に例示する構成において、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうちの一方、および、第1容量素子41の一方の電極は、電荷蓄積ノード44に接続されている。つまり、これらは、第2電極15cとの電気的な接続を有する。
第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうちの他方、および、第1容量素子41の他方の電極は、第2容量素子42の一方の電極に接続されている。つまり、この例では、第1容量素子41は、第1のリセットトランジスタ36に並列接続されている。第1容量素子41と、第1のリセットトランジスタ36とを並列接続することにより、電荷蓄積ノード44に対するトランジスタ接合リークを低減し得る。したがって、暗電流を低減し得る。以下では、第1容量素子41と第2容量素子42との接続点を含むノードをリセットドレインノード46と呼ぶことがある。
第2容量素子42の電極のうち、リセットドレインノード46に接続されていない方の電極は、感度調整線32に接続されている。感度調整線32の電位は、例えば0V(基準電位)に設定される。感度調整線32の電位は、撮像装置101の動作時において固定されている必要はない。例えば、垂直走査回路16からパルス電圧が供給されてもよい。後述するように、感度調整線32は、電荷蓄積ノード44の電位の制御に利用可能である。もちろん、撮像装置101の動作時において、感度調整線32の電位が固定されていてもよい。
図示するように、増幅トランジスタ34のゲートは、電荷蓄積ノード44に接続されている。言い換えれば、増幅トランジスタ34のゲートは、第2電極15cとの電気的な接続を有する。増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方(NチャンネルMOSであればドレイン)は、電源配線(ソースフォロア電源)22に接続されており、他方は、垂直信号線18に接続されている。増幅トランジスタ34と、負荷回路19(図2において不図示、図1参照)とによって、ソースフォロア回路が形成される。増幅トランジスタ34は、光電変換部15によって生成された信号を増幅する。
図示するように、単位画素セル11は、アドレストランジスタ(第3のトランジスタ)40を含む。アドレストランジスタ40のソースまたはドレインは、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインのうち、電源配線22に接続されない側に接続されている。アドレストランジスタ40のゲートは、アドレス信号線30に接続されている。図2に例示する構成では、アドレストランジスタ40は、信号検出回路SCの一部を構成している。
電荷蓄積ノード44に蓄積された信号電荷の量に応じた電圧が増幅トランジスタ34のゲートに印加される。増幅トランジスタ34は、この電圧を増幅する。増幅トランジスタ34によって増幅された電圧が、信号電圧としてアドレストランジスタ40によって選択的に読み出される。
図2に例示する構成では、単位画素セル11は、ソースおよびドレインの一方がリセットドレインノード46に接続され、他方がフィードバック線25に接続された第2のリセットトランジスタ(第4のトランジスタ)38をさらに含んでいる。つまり、図示する構成では、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうちのリセットドレインノード46に接続されている側と、フィードバック線25とが、第2のリセットトランジスタ38を介して接続されている。第2のリセットトランジスタ38のゲートは、フィードバック制御線28に接続されている。後に詳しく説明するように、フィードバック制御線28の電圧を制御することにより、信号検出回路SCの出力をフィードバック(ここでは負帰還)させるフィードバック回路FCを形成することができる。
なお、増幅トランジスタ34、第1のリセットトランジスタ36、アドレストランジスタ40および第2のリセットトランジスタ38の各々は、NチャンネルMOSであってもよいし、PチャンネルMOSであってもよい。これらの全てがNチャンネルMOSまたはPチャンネルMOSのいずれかに統一されている必要もない。以下では、増幅トランジスタ34、第1のリセットトランジスタ36、アドレストランジスタ40および第2のリセットトランジスタ38がNチャンネルMOSである場合を例示する。トランジスタとして、電界効果トランジスタ(FET)のほか、バイポーラトランジスタも用い得る。
(撮像装置101の動作の概略)
次に、図面を参照しながら、撮像装置101の動作の一例を説明する。以下に説明するように、図2に例示する構成によれば、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38のゲート電圧を適切に制御することにより、感度の異なる2つの
動作モードを切り替えることが可能である。ここで説明する2つの動作モードは、比較的高い感度で撮像が可能な第1のモード、および、比較的低い感度で撮像が可能な第2のモードである。
まず、第1のモードにおける撮像装置101の動作の概略を説明する。第1のモードは、低照度のもとでの撮像に適したモードである。低照度のもとでは、感度が高いと有益である。しかしながら、感度が比較的高いと、ノイズも増幅されるおそれがある。本開示の実施形態によれば、比較的高い感度を実現しながら、kTCノイズの影響を低減および/または除去することが可能である。
図3は、第1のモードにおけるトランジスタの動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図3において、ADD、RST1、RST2、およびGCNTは、それぞれ、アドレストランジスタ40のゲート電圧、第1のリセットトランジスタ36のゲート電圧、第2のリセットトランジスタ38のゲート電圧および反転増幅器24のゲイン調整端子24aに印加される電圧の変化の一例を模式的に示す。図3に示す例では、時刻t0において、アドレストランジスタ40、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38は、いずれもOFFである。また、反転増幅器24のゲイン調整端子24aの電圧は、ある所定の値である。簡単のため、以下では、電子シャッタの動作の説明を省略する。
まず、アドレス信号線30の電位を制御することにより、アドレストランジスタ40をONにする(時刻t1)。このとき、電荷蓄積ノード44に蓄積されている信号電荷の読み出しを行う。
次に、リセット信号線26およびフィードバック制御線28の電位を制御することにより、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38をONにする(時刻t2)。これにより、電荷蓄積ノード44とフィードバック線25とが第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38を介して接続され、信号検出回路SCの出力を負帰還させるフィードバック回路FCが形成される。リセットドレインノード46とフィードバック線25との間に第2のリセットトランジスタ38を介在させることにより、リセットトランジスタ38によって選択的にフィードバック回路FCを形成して光電変換部15の信号をフィードバックさせることができる。
この例では、フィードバック回路FCの形成は、フィードバック線25を共有する複数の単位画素セル11のうちの1つに対して実行される。アドレストランジスタ40のゲート電圧の制御により、フィードバック回路FCの形成の対象となる単位画素セル11を選択し、所望の単位画素セル11に対して、後述するリセットおよび/またはノイズキャンセルを実行し得る。
ここでは、フィードバック回路FCは、増幅トランジスタ34、反転増幅器24および第2のリセットトランジスタ38を含む負帰還増幅回路である。時刻t1においてONとされたアドレストランジスタ40は、増幅トランジスタ34の出力をフィードバック回路FCに対する入力として供給する。
電荷蓄積ノード44とフィードバック線25とが電気的に接続されることにより、電荷蓄積ノード44がリセットされる。このとき、信号検出回路SCの出力が負帰還されることにより、垂直信号線18の電圧が、反転増幅器24の正側の入力端子に印加された電圧Vrefに収束する。つまり、この例では、リセットにおける基準電圧は、電圧Vrefである。図2に例示する構成においては、電源電圧(例えば3.3V)と接地(0V)との範囲内で電圧Vrefを任意に設定できる。言い換えれば、リセットにおける基準電圧
として、一定の範囲内であれば任意の電圧(例えば電源電圧以外の電圧)を利用できる。
また、時刻t2において、反転増幅器24のゲイン調整端子24aの電位を制御し、反転増幅器24のゲインを低下させる。反転増幅器24において、ゲインGと帯域Bの積G×Bは一定であるため、ゲインGを低下させると帯域Bは広く(カットオフ周波数が高く)なる。このため、負帰還増幅回路における、上述した収束を速めることが可能となる。
次に、第1のリセットトランジスタ36をOFFにする(時刻t3)。以下では、時刻t2において第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38をONしてから第1のリセットトランジスタ36をOFFにするまでの期間(図3中の時刻t2〜時刻t3)を「リセット期間」と呼ぶことがある。図3中、リセット期間を矢印Rstにより模式的に示す。時刻t3において第1のリセットトランジスタ36をOFFすることによりkTCノイズが発生する。そのため、リセット後における電荷蓄積ノード44の電圧にkTCノイズが加わる。
図2を参照すればわかるように、第2のリセットトランジスタ38がONである間は、フィードバック回路FCが形成された状態が継続している。そのため、時刻t3において第1のリセットトランジスタ36をOFFにすることによって生じたkTCノイズが、フィードバック回路FCの利得をAとすると、1/(1+A)の大きさまでキャンセルされる。
この例では、第1のリセットトランジスタ36をOFFする直前(ノイズキャンセル開始の直前)における垂直信号線18の電圧は、反転増幅器24の負側の入力端子に印加された電圧Vrefとほぼ等しい。このように、ノイズキャンセル開始時における垂直信号線18の電圧をノイズキャンセル後の目標電圧Vrefに近づけておくことにより、比較的短い時間でkTCノイズをキャンセルすることができる。以下では、第1のリセットトランジスタ36をOFFしてから第2のリセットトランジスタ38をOFFにするまでの期間(図3中の時刻t3〜時刻t4)を「ノイズキャンセル期間」と呼ぶことがある。図3中、ノイズキャンセル期間を矢印Nclにより模式的に示す。
また、時刻t3において、反転増幅器24のゲインは、低下させられた状態にある。このため、ノイズキャンセル期間の初期においては、高速に、ノイズのキャンセルを行うことができる。
続いて、時刻t3’において、反転増幅器24のゲイン調整端子24aの電位を制御し、反転増幅器24のゲインを高くする。これにより、ノイズレベルをより低下させる。この時、ゲインGと帯域Bの積G×Bは一定であるため、ゲインGを高めることにより、帯域Bは狭く(カットオフ周波数が低く)なる。つまり、負帰還増幅回路における収束に時間を要する。しかし、t3〜t3’の間において、既に垂直信号線18の電圧を収束レベル付近に制御しているため、収束すべき電圧の幅は小さくなっており、帯域が狭くなることによる収束時間の増大を抑制することができる。
このように、本開示の実施形態によれば、リセットトランジスタをOFFすることによって生じるkTCノイズを縮小し、かつ、発生したkTCノイズを比較的短い時間でキャンセルすることが可能である。
次に、第2のリセットトランジスタ38をOFFにし(時刻t4)、所定の期間、露光を実行する。時刻t4において第2のリセットトランジスタ38をOFFすることにより、kTCノイズが発生する。このとき電荷蓄積ノード44の電圧に加わるkTCノイズの大きさは、単位画素セル11中に第1容量素子41および第2容量素子42を設けず、第
2のリセットトランジスタ38を電荷蓄積ノード44に直接接続した場合の(Cfd/C2)1/2×(C1/(C1+Cfd))倍である。上記の式中、Cfd、C1およびC2
は、それぞれ、電荷蓄積ノード44の容量値、第1容量素子41の容量値および第2容量素子42の容量値を表す。なお、式中の「×」は乗算を表す。このように、第2容量素子42の容量値C2が大きいほど、発生するノイズ自体が小さく、第1容量素子41の容量値C1が小さいほど、減衰率が大きい。したがって、本開示の実施形態によれば、第1容量素子41の容量値C1および第2容量素子42の容量値C2を適切に設定することにより、第2のリセットトランジスタ38をOFFすることによって生じるkTCノイズを十分に縮小することが可能である。
図3中、露光の期間を矢印Expにより模式的に示す。露光の期間において所定のタイミングで、kTCノイズがキャンセルされたリセット電圧の読み出しを行う(時刻t5)。なお、リセット電圧の読み出しに要する時間は短時間であるので、アドレストランジスタ40のON状態が継続したままでリセット電圧の読み出しが実行されても構わない。
時刻t1と時刻t2の間において読み出された信号と、時刻t5において読み出された信号との差分をとることにより、固定ノイズを除去した信号が得られる。このようにして、kTCノイズおよび固定ノイズが除去された信号が得られる。
なお、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38がOFFとされた状態において、第2容量素子42は、第1容量素子41を介して電荷蓄積ノード44に接続されている。ここで、第1容量素子41を介さずに電荷蓄積ノード44と第2容量素子42とを直接に接続した場合を想定する。この場合において、第2容量素子42を直接に接続したときにおける、信号電荷の蓄積領域全体の容量値は、(Cfd+C2)である。つまり、第2容量素子42が比較的大きな容量値C2を有すると、信号電荷の蓄積領域全体の容量値も大きな値となるので、高い変換ゲイン(高いSN比といってもよい)が得られない。そこで、本開示の実施形態では、第1容量素子41を介して第2容量素子42を電荷蓄積ノード44に接続している。このような構成における、信号電荷の蓄積領域全体の容量値は、(Cfd+(C1C2)/(C1+C2))と表される。ここで、第1容量素子41が比較的小さな容量値C1を有し、かつ、第2容量素子42が比較的大きな容量値C2を有する場合、信号電荷の蓄積領域全体の容量値は、おおよそ(Cfd+C1)となる。すなわち、信号電荷の蓄積領域全体の容量値の増加は小さい。このように、比較的小さな容量値を有する第1容量素子41を介して第2容量素子42を電荷蓄積ノード44に接続することにより、変換ゲインの低下を抑制することが可能である。
次に、図4を参照しながら、比較的低い感度で撮像が可能な第2のモードにおける撮像装置101の動作の概略を説明する。第2のモードは、高照度のもとでの撮像に適したモードである。高照度のもとでは、感度が低い方が有利である。比較的低い感度のもとでは、ノイズの影響が小さい反面、信号電荷の蓄積領域全体の容量が大きいことが要求される。
図4は、第2のモードにおけるトランジスタの動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図3を参照しながら説明した第1のモードでは、第1のリセットトランジスタ36を用いて電荷蓄積ノード44をリセットする。これに対し、第2のモードでは、以下に説明するように、第1のリセットトランジスタ36をONとしたまま、第2のリセットトランジスタ38を用いて電荷蓄積ノード44をリセットする。
図4に示すように、第2のモードでは、第1のリセットトランジスタ36は、常にONである。そして、時刻t1において、第1のモードと同様に、アドレストランジスタ40をONにする。このとき、電荷蓄積ノード44に蓄積されている信号電荷の読み出しを行
う。反転増幅器24のゲイン調整端子24aに印加される電圧は、ある所定の値である。
次に、第2のリセットトランジスタ38をONにする(時刻t2)。これにより、信号検出回路SCの出力を負帰還させるフィードバック回路FCが形成され、電荷蓄積ノード44がリセットされる。このとき、リセットにおける基準電圧は、反転増幅器24の正側の入力端子に印加された電圧Vrefである。
また、時刻t2において、反転増幅器24のゲイン調整端子24aの電位を制御し、反転増幅器24のゲインを低下させる。反転増幅器24において、ゲインGと帯域Bの積G×Bは一定であるため、ゲインGを低下させると帯域Bは広く(カットオフ周波数が高く)なる。このため、負帰還増幅回路における、上述した収束を速めることが可能となる。
次に、第2のリセットトランジスタ38をOFFにする(時刻t4)。第2のリセットトランジスタ38をOFFすることにより、kTCノイズが発生する。この例では、時刻t4において、反転増幅器24のゲインが低下させられた状態にある。このため、負帰還増幅回路における収束を高速で行うことができる。時刻t2において、反転増幅器24のゲイン調整端子24aの電位を制御することによって、反転増幅器24のゲインを高くしておいてもよい。この場合、負帰還増幅回路における収束に時間を要するが、帯域Bを狭く(カットオフ周波数を低く)することができる。ゲイン調整端子24aの電位(反転増幅器24のゲインといってもよい)は、ノイズの縮小に許容可能な時間を考慮して適切に設定されればよい。
その後、所定の期間、露光を実行する。露光の期間において所定のタイミングで、リセット電圧の読み出しを行う(時刻t5)。
第2のモードでは、ノイズキャンセル期間が存在していない。しかしながら、高照度のもとでの撮像に利用される第2のモードでは、ショットノイズが支配的であり、kTCノイズによる影響は小さい。時刻t1と時刻t2の間において読み出された信号と、時刻t5において読み出された信号との差分をとることにより、固定ノイズを除去した信号が得られる。
以上の説明からわかるように、図2に例示する構成では、第1のリセットトランジスタ36は、電荷蓄積ノード44をリセットするリセットトランジスタの機能と、第1のモードおよび第2のモードを切り替えるためのスイッチの機能とを兼ねている。このような構成によれば、比較的容易に単位画素セルを微細化し得る。
この例では、第1のリセットトランジスタ36におけるONおよびOFFの切り替えにより、第1のリセットトランジスタ36を介して第2容量素子42を電荷蓄積ノード44に接続するか、第1容量素子41を介して第2容量素子42を電荷蓄積ノード44に接続するかを切り替えることができる。すなわち、第1のリセットトランジスタ36をオン・オフすることによって、第2電極15cの電位の変化量を切り換えることが可能であり、第1のリセットトランジスタ36をオン・オフすることにより、撮像装置の感度を切り替えることが可能である。このように、図2に例示する構成において、第1のリセットトランジスタ36は、ゲイン切替用トランジスタとして利用可能である。
第2容量素子42は、第1のモードにおけるkTCノイズ縮小の機能と、信号電荷の蓄積領域全体の容量増大の機能とを兼ねている。本開示の実施形態によれば、画素内の素子数の増加を抑制しながら、簡易な構成でダイナミックレンジを拡大することが可能である。このことは、画素の微細化において特に有益である。
(単位画素セル11のデバイス構造および撮像装置101の製造方法)
次に、図5および図6を参照しながら、単位画素セル11のデバイス構造の一例を説明する。
図5は、単位画素セル11における各素子のレイアウトの一例を模式的に示す。図6は、図5に示すA−A’線断面を模式的に示す。既に説明したように、単位画素セル11は、半導体基板上に配列されている。ここでは、半導体基板2(図6参照)としてP型シリコン(Si)基板を用いる例を説明する。
図5に例示する構成では、単位画素セル11内に4つのトランジスタ、すなわち、増幅トランジスタ34、第1のリセットトランジスタ36、第2のリセットトランジスタ38およびアドレストランジスタ40が配置されている。単位画素セル11の各々は、半導体基板2に形成された素子分離領域2sによって分離されている。
ここでは、増幅トランジスタ34および第1のリセットトランジスタ36は、ともに半導体基板2上に形成されている。また、ここで説明する例では、第2のリセットトランジスタ38およびアドレストランジスタ40も半導体基板2上に形成されている。例えば第2のリセットトランジスタ38に注目すると、第2のリセットトランジスタ38は、半導体基板2内に形成された不純物領域(ここではN型領域)2dを含む。これらの不純物領域2dの各々は、第2のリセットトランジスタ38のソースまたはドレインとして機能する。不純物領域2dは、典型的には、半導体基板2内に形成された拡散層である。以下では、半導体基板2内の不純物領域2dを「ソース/ドレイン拡散層2d」と呼ぶことがある。図5に例示する構成において、第2のリセットトランジスタ38のソースおよびドレインを構成する2つのソース/ドレイン拡散層2dの一方は、ポリシリコンプラグsp1、ポリシリコン層s1およびコンタクトプラグcp1を介して、フィードバック線25(図5において不図示、図2参照)に接続される。
この半導体基板2上には、第1容量素子41および第2容量素子42も形成されている。図5に例示する構成において、第2容量素子42は、単位画素セル11内において比較的大きな面積を占める。これにより、比較的大きな容量値が実現される。ここで説明する実施形態では、図5に示すように、半導体基板の法線方向から見たときに、第2容量素子42と重なる位置に第1容量素子41が形成される。後に詳しく説明するように、第1容量素子41の上部電極41wは、第1のリセットトランジスタ36のソースまたはドレイン(ソース/ドレイン拡散層2d)と、増幅トランジスタ34のゲート電極34eとを電気的に接続する配線(導電層)の一部である。
図6を参照する。図6に示すように、単位画素セル11は、半導体基板2上に光電変換部15を有する。図示する例において、半導体基板2上には、層間絶縁層4s、4a、4bおよび4cが積層されており、それらの上に光電変換部15の光電変換膜15bが積層されている。光電変換膜15bにおいて被写体からの光が入射する側の受光面15h上に、第1電極15aが設けられている。受光面15hの反対側の面には、第2電極15cが配置されている。第2電極15cは、複数の単位画素セル11の間において電気的に分離されている。
図6に例示する構成において、半導体基板2は、比較的高いアクセプタ濃度を有するウェル2w(ここではP型不純物領域)と、ソース/ドレイン拡散層2d(ここではN型不純物領域)とを有している。図示するように、第2のリセットトランジスタ38は、2つのソース/ドレイン拡散層2dと、半導体基板2上に形成されたゲート絶縁膜38gと、ゲート絶縁膜38g上に形成されたゲート電極38eとを含む。ソースまたはドレインとしての2つのソース/ドレイン拡散層2dの間に、チャネル領域38cが形成される。同
様に、第1のリセットトランジスタ36は、2つのソース/ドレイン拡散層2dと、半導体基板2上に形成されたゲート絶縁膜36gと、ゲート絶縁膜36g上に形成されたゲート電極36eとを含む。ソースまたはドレインとしての2つのソース/ドレイン拡散層2dの間に、チャネル領域36cが形成される。図示する例では、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38は、ソース/ドレイン拡散層2dのうちの1つを共有している。また、増幅トランジスタ34も同様に、2つのソース/ドレイン拡散層2dと、半導体基板2上に形成されたゲート絶縁膜34gと、ゲート絶縁膜34g上に形成されたゲート電極34eとを含む。なお、図6では、増幅トランジスタ34における2つのソース/ドレイン拡散層2dは示されておらず、ゲート絶縁膜34g、ゲート電極34e、および、2つのソース/ドレイン拡散層2dの間に形成されるチャネル領域34cが示されている。アドレストランジスタ40(図5参照)も、増幅トランジスタ34とほぼ同様の構成を有し得る。
半導体基板2は、素子間の電気的な分離のための素子分離領域2sを有する。この例では、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38の組と、増幅トランジスタ34およびアドレストランジスタ40の組とが、素子分離領域2sによって分離されている(図5参照)。
半導体基板2は、素子分離領域2sで囲まれることによって単位画素セル11の4つのトランジスタ(増幅トランジスタ34、第1のリセットトランジスタ36、第2のリセットトランジスタ38およびアドレストランジスタ40)と電気的に分離された電極領域42cを有する。
図6に例示する構成において、第2容量素子42は、電極領域42c上に設けられた誘電体層(第1誘電体層)42gと、誘電体層42gを介して半導体基板2の一部に対向する上部電極42eを含む。上部電極42eは、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうち、電荷蓄積ノード44に接続されていない側と電気的に接続されている。
ここで説明する実施形態において、第2容量素子42は、いわゆるMISキャパシタである。ただし、後述するように、ここでは、第2容量素子42の上部電極42eは、金属から形成された電極ではなくポリシリコンから形成された電極である。半導体基板2のうち上部電極42eに対向する部分は、第2容量素子42における電極の1つとして機能する。
電極領域42cは、感度調整線32(図2参照)と電気的に接続される。電極領域42cには、感度調整線32を介して、電圧源(ここでは垂直走査回路16)から所定の電圧が印加される。電極領域42cの電位を制御することにより、電荷蓄積ノード44の電位を制御し得る。言い換えれば、感度調整線32を介して電極領域42cに供給される電圧を調整することにより、撮像装置101の感度を調整し得る。
なお、半導体基板2の法線方向から見たとき、誘電体層42gの形状および面積は、電極領域42cの形状および面積と一致している必要はない。誘電体層42gが電極領域42cの全体を覆っている必要はない。誘電体層42gが、電極領域42cを囲む素子分離領域2s上にも形成されていてもよい。例えばイオン注入により、ウェル2wの部分よりも不純物濃度の高い領域として電極領域42cを形成してもよい。あるいは、ウェル2wの導電型とは異なる導電型の領域として電極領域42cを形成してもよい。
図6に示すように、上部電極41wは、第1のリセットトランジスタ36のソースまたはドレイン(ソース/ドレイン拡散層2d)と、増幅トランジスタ34のゲート電極34
eとを電気的に接続している。図6に例示する構成において、上部電極41wは、コンタクトプラグcpa、配線層6s、ビアva、配線層6a、ビアvb、配線層6bおよびビアvcを介して、第2電極15cと電気的に接続されている。典型的には、コンタクトプラグcpa、配線層6s、6aおよび6b、ならびに、ビアva〜vcは、銅などの金属から形成される。ポリシリコンプラグsp2、上部電極41w、コンタクトプラグcpa、配線層6s、6aおよび6b、ビアva〜vc、ならびに、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインの一方(ここではドレイン)は、電荷蓄積領域として機能する。
図示するように、上部電極41wは、第2容量素子42の上部電極42eの上まで延びている。上部電極41wと、上部電極42eと、これらの間に挟まれた絶縁膜(第2誘電体層)41gとから、第1容量素子41が形成される。別の言い方をすれば、第1容量素子41は、第2容量素子42の上部電極42eと、上部電極42e上に形成された誘電体層41gと、光電変換部15の第2電極15cに接続された上部電極41wとを含んでいる。第1容量素子41の上部電極41wは、半導体基板2の法線方向から見たとき、その少なくとも一部が誘電体層41gを介して上部電極42eと重なっている。
この例では、第1容量素子41と第2容量素子42とは、容量素子を形成するための2つの電極のうちの1つを共有している。なお、誘電体層41gは、層間絶縁層4sの一部であり得る。このように、誘電体層41gは、半導体基板2上に形成された層間絶縁層の一部であってもよいし、層間絶縁層とは異なる別個の絶縁膜(または絶縁層)であってもよい。
ここでは、第1容量素子41の上部電極41wは、第2容量素子42の上部電極42eと同様に、ポリシリコンから形成される。ポリシリコンから形成された2つの電極の間に誘電体を挟んだ構造を有する容量素子のCVカーブは、比較的広い電圧範囲においてフラットな部分を有する。光量に応じて電荷蓄積ノード44の電圧が変化することに伴って、第1容量素子41の電極間の電圧は、比較的大きな変動を示す。第1容量素子41を構成する2つの電極をポリシリコンから形成すると、素子サイズの増大を抑制しつつ、フラットなCV特性を有する高精度な容量素子を実現し得るので有益である。また、後述するように、撮像装置の製造工程における工程の数の増大を抑制するという利点も得られる。
ここで、図7および図8を参照して、第1の実施形態におけるデバイス構造の他の例を説明する。
図7は、単位画素セル11における各素子のレイアウトの他の一例を模式的に示す。図8は、図7に示すB−B’線断面を模式的に示す。図7および図8に例示する構成と、図5および図6を参照して説明した構成との相違点は、図7および図8に示す単位画素セル11が、第3容量素子43をさらに有する点である。
図7および図8に示すように、第3容量素子43は、第2容量素子42の上部電極42e上に配置された上部電極43eを含んでいる。図7および図8に例示する構成では、上部電極43eは、第2容量素子42の一部を構成する、半導体基板2の電極領域42cと、コンタクトプラグcp3を介して電気的に接続されている。後述するように、第3容量素子43の上部電極43eは、誘電体層43gを介して第2容量素子42の上部電極42eと対向する。つまり、第3容量素子43と第2容量素子42とは、容量素子を形成するための2つの電極のうちの1つを共有し、かつ、電気的に並列に接続されている。したがって、リセットドレインノード46と感度調整線32との間に接続される容量素子の容量値を増大させることができる(図2参照)。これにより、より効果的にkTCノイズを縮小することが可能である。
(撮像装置101の製造方法)
次に、図9〜図12を参照しながら、撮像装置101の製造方法の一例を説明する。図9〜図11は、図5に示すA−A’線断面図に対応する図である。図12は、図7に示すB−B’線断面図に対応する図である。
まず、半導体基板2を用意する。ここでは、P型シリコン基板を用いる。次に、リソグラフィを用いて、パターニングされたレジストのマスクを半導体基板2上に形成する。その後、所定の注入条件のもとでアクセプタ(例えばホウ素(B))をイオン注入することにより、ウェル2wを形成する。
次に、リソグラフィを用いて、単位画素セル11に配置すべきトランジスタのチャネル領域を形成するためのレジストマスク(レジストパターン)を形成する。ここでは、単位画素セル11内に、増幅トランジスタ34、第1のリセットトランジスタ36、第2のリセットトランジスタ38およびアドレストランジスタ40の4つのトランジスタを形成する。レジストマスクは、各トランジスタのチャネル領域となるべき部分以外の部分を覆うように形成される。その後、所定の注入条件のもとでアクセプタまたはドナーをイオン注入することにより、各トランジスタのチャネル領域を形成する。図9では、増幅トランジスタ34のチャネル領域34c、第1のリセットトランジスタ36のチャネル領域36cおよび第2のリセットトランジスタ38のチャネル領域38cが図示されている。イオン注入を用いることにより、各トランジスタにおいて所望の閾値電圧を実現し得る。
また、ここでは、半導体基板2の所定の領域に開口を有するレジストマスクを使用して、半導体基板2の所定の領域にドナー(例えば砒素(As))をイオン注入する。つまり、この例では、半導体基板2の所定の領域にイオン注入を実行することによって電極領域42cが形成される。
次に、例えばISSG(In Situ Steam Generation)によりゲート酸化を行い、半導体基板2の主面上にゲート酸化物の膜を形成する。典型的には、ゲート酸化物は、二酸化シリコン(SiO2)である。次に、化学的気相堆積(Chem
ical Vapor Deposition(CVD))により、ゲート電極を形成するための材料をゲート酸化物上に堆積する。ここでは、ゲート酸化物上にポリシリコンの膜を形成する。
次に、リソグラフィによりポリシリコン膜の上にレジストマスクを形成し、ドライエッチングを実行することにより、ゲート酸化物の膜およびポリシリコンの膜から、それぞれ、ゲート絶縁膜(ゲート絶縁膜34g、36g、38g)およびゲート電極(ゲート電極34e、36e、36e)を形成する。このとき、半導体基板2のうち、4つのトランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極が形成される領域とは異なる領域の上にも、ゲート酸化物の膜およびポリシリコンの膜の積層体が形成されるようにパターニングを実行する。これにより、半導体基板2の一部上に第1誘電体層42gおよび上部電極42eが順に積層された構造を形成することができる。つまり、4つのトランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極の形成と並行して、MISキャパシタとしての第2容量素子42を形成することができる(図9参照)。このように、本開示の実施形態によれば、工程を増加させることなく、単位画素セル11内に第2容量素子42を形成することが可能である。
次に、リソグラフィにより、各トランジスタのソース領域およびドレイン領域となるべき部分を覆うレジストマスクを形成する。その後、所定の注入条件のもとでアクセプタのイオン注入を行うことにより、素子分離領域2sを形成する。このとき、素子分離領域2sを形成するためのアクセプタは、各トランジスタのゲート電極(ゲート電極34e、3
6e、36e)および第2容量素子42の上部電極42eの直下には直接には打ち込まれない。ここでは、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38の組、増幅トランジスタ34およびアドレストランジスタ40の組、ならびに、第2容量素子42を囲むように素子分離領域2sが形成される(図5参照)。素子分離領域2sの形成後、レジストマスクを除去する。
次に、リソグラフィにより、各トランジスタのソース領域およびドレイン領域となるべき部分に開口を有するレジストマスクを形成する。その後、所定の注入条件のもとでドナーのイオン注入を行うことにより、ソース/ドレイン拡散層2dを形成する(図9参照)。このとき、単位画素セル11内のトランジスタのゲート電極および/または第2容量素子42の上部電極42eに、いわゆるゲート注入を適用してドナーをイオン注入してもよい。
次に、各トランジスタのゲート電極および第2容量素子42の上部電極42eを構成するポリシリコン層と、半導体基板2とを覆う絶縁膜をCVDによって形成する。典型的には、このとき形成される絶縁膜は、二酸化シリコン膜である。
次に、リソグラフィにより、ポリシリコン層および半導体基板2を覆う絶縁膜上に、コンタクトホール形成のためのレジストマスクを形成する。その後、ドライエッチングにより、各トランジスタのゲート電極上およびソース/ドレイン拡散層2d上に、コンタクトホールchgおよびコンタクトホールchsをそれぞれ形成することにより、絶縁層48を形成する(図10参照)。なお、コンタクトホールは、第2容量素子42の上部電極42e上にも形成される。上部電極42e上のコンタクトホールは、上部電極42eをリセットドレインノード46に電気的に接続するために設けられる(図5参照)。
次に、絶縁層48に形成されたコンタクトホールchsおよびコンタクトホールchgを介してドナーのイオン注入を行うことにより、各トランジスタのゲート電極およびソース/ドレイン拡散層2dに、比較的高い不純物濃度を有する領域を形成する(図10において不図示)。その後、アニールによって注入された不純物の活性化を行うことにより、比較的高い不純物濃度を有する領域を低抵抗化する。
次に、CVDなどにより、高濃度のN型不純物を含むポリシリコンの膜を絶縁層48上に堆積する。このとき、絶縁層48に設けられたコンタクトホール(コンタクトホールchs、chg)の内部にもポリシリコンを堆積する。
次に、リソグラフィにより、レジストマスクを形成する。レジストマスクの形成後、ドライエッチングにより、絶縁層48上にポリシリコン層を形成するとともに、絶縁層48上のポリシリコン層とソース/ドレイン拡散層2dとを接続するポリシリコンプラグ(ポリシリコンプラグsp1、sp2)、および、絶縁層48上のポリシリコン層と各トランジスタのゲート電極(ゲート電極34e、36e、38e)とを接続するポリシリコンプラグ(ポリシリコンプラグsp3)を形成する。なお、電荷蓄積ノード44(例えば図5参照)の一部を構成するソース/ドレイン拡散層2dとのコンタクトとして、ポリシリコンから形成されたプラグを用いることにより、金属プラグを用いたときのような金属/半導体界面に起因する結晶欠陥の影響を回避し得るので、暗電流を抑制するという利点が得られる。その後、絶縁層48上のポリシリコン層表面をシリサイド化によって低抵抗化し、導電層としてのポリシリコン層s1を形成する(図11参照)。
このとき、ポリシリコンのパターニングによって、第1のリセットトランジスタ36のソースまたはドレインと、増幅トランジスタ34のゲート電極34eとを接続する導電部(ポリシリコン配線)を形成する。パターニングは、この導電部の少なくとも一部が、絶
縁層48を介して第2容量素子42の上部電極42eに重なるように行う。これにより、絶縁膜が2つのポリシリコン層に挟まれた構造を有する第1容量素子41を形成することができる。上記から明らかなように、第1容量素子41の上部電極41wは、ポリシリコン層s1の一部であり得る。また、第1容量素子41が有する第2誘電体層41gは、絶縁層48の一部であり得る。本開示の第1の実施形態によれば、工程を増加させることなく、単位画素セル11内に第1容量素子41を形成することが可能である。
また、図12に示すように、第2容量素子42の上部電極42eに重なる位置に、上部電極41wとは別の導電部を形成するようにポリシリコンのパターニングを実行してもよい。この導電部と、半導体基板2の電極領域42cとを電気的に接続することにより、この導電部を第3容量素子43の上部電極43eとして機能させ得る。第3容量素子43が有する誘電体層43gは、第1容量素子41が有する第2誘電体層41gと同様に、絶縁層48の一部であり得る。このように、本開示の実施形態によれば、専用の工程を付加することなく、比較的広い電圧範囲においてフラットなCV特性を示す第3容量素子43を、単位画素セル11内に形成することが可能である。また、画素サイズの拡大を抑制しながら、第2容量素子42および第3容量素子43の合成容量を増大することができる。
ポリシリコン層s1の形成後、層間絶縁層4s、配線層6sと上部電極41wとの間の接続のためのコンタクトプラグcpa、配線層6s、層間絶縁層4a、ビアva、配線層6a、層間絶縁層4b、ビアvb、配線層6b、層間絶縁層4cおよびビアvcを順次形成する。なお、層間絶縁層の数などは、任意に設定可能であり、4層である必要はない。層間絶縁層4c上に光電変換部15を形成することにより、図6または図8に示す単位画素セル11が得られる。
以上に説明したように、撮像装置101は、公知の半導体製造技術を用いて製造することが可能である。このようにして得られた撮像装置101と、光電変換膜15bの受光面15h上に被写体の像を結像させる光学系とにより、カメラシステムを構成できる。光電変換部15の第1電極15a上に、保護膜、カラーフィルタおよびレンズ(マイクロレンズ)などをさらに形成してもよい。
(第1の実施形態の変形例)
図13を参照しながら、本開示の第1の実施形態による撮像装置の変形例を説明する。
図13は、第1の実施形態の撮像装置における単位画素セル12の、例示的な回路構成を模式的に示す。図13に例示する構成と、図2に例示する構成との相違点は、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうち、第2電極15c(電荷蓄積ノード44)に接続されていない側が、リセットドレインノード46ではなくフィードバック線25に接続されている点である。
図13に例示する構成においては、図3および図4を参照して説明した、第1のモードと第2のモードの切り替えは行えない。しかしながら、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうち、電荷蓄積ノード44に接続されていない側をフィードバック線25に直接に接続するので、第1のリセットトランジスタ36の駆動力を確保するための不純物プロファイルの設計の自由度が向上するという利点が得られる。なお、図13に例示する構成における、各トランジスタの動作タイミングは、上述の第1のモードと同様である。
図2を参照して説明した構成では、第1容量素子41の電極のうちの一方が、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうちの一方に直接に接続されており、かつ、第1容量素子41の電極のうちの他方が、第1のリセットトランジスタ36のソー
スおよびドレインのうちの他方に直接に接続されている。しかしながら、図13に示すように、第1のリセットトランジスタ36は、第1容量素子41と必ずしも並列接続でなくてもよい。
図13に示す単位画素セル12における各素子のレイアウトおよびデバイス構造は、図5および図7を参照して説明したレイアウト、ならびに、図6および図8を参照して説明したデバイス構造とほぼ同様であるので、説明を省略する。図13に示す単位画素セル12の製造方法も、図9〜図12を参照して説明した製造方法と同様であり得る。
(第2の実施形態)
図14は、第2の実施形態に係る撮像装置における単位画素セル13の、例示的な回路構成を模式的に示す。図14に例示するように、第2の実施形態の撮像装置は、単位画素セル13の各列に反転増幅器24(図2および図13参照)の代わりに切替回路50が設けられている点で、第1の実施形態の撮像装置101と異なる。このため、第2の実施形態に係る撮像装置の各列を構成している複数の単位画素セル13において、フィードバック線25は、単位画素セル13間を接続していない。
各単位画素セル13において、フィードバック線25は、第2のリセットトランジスタ38のソースまたはドレインのうち、リセットドレインノード46に接続されていない側と接続されている。アドレストランジスタ40は、増幅トランジスタ34のソースまたはドレインの一方とフィードバック線25との間に設けられている。アドレストランジスタ40のフィードバック線25に接続されたソースまたはドレインは、垂直信号線18に接続されている。以下、第1の実施形態の撮像装置101と異なる点を主として説明する。
切替回路50は、電源配線22に並列に接続されたスイッチ素子51、51’と、垂直信号線18に並列に接続されたスイッチ素子52’、52とを含む。スイッチ素子51、51’はそれぞれ、電源電圧(AVDD)および基準電位(AVSS)に接続される。また、スイッチ素子52’、52はそれぞれ、定電流源27’、27を介して、電源電圧(AVDD)および基準電位(AVSS)に接続される。
単位画素セル13において、信号読み出し時には、アドレストランジスタ40のゲートにアドレス信号線30を介して電圧を印加することによって各列の単位画素セル13の1つを選択する。また、切替回路50のスイッチ素子51およびスイッチ素子52をオンにすることによって、例えば、増幅トランジスタ34からアドレストランジスタ40へ向かう向きに定電流源27から電流が流れ、増幅トランジスタ34で増幅された電荷蓄積ノード44の電位が検出される。
一方、リセット動作には、切替回路50のスイッチ素子51’およびスイッチ素子52’をオンにすることによって、アドレストランジスタ40および増幅トランジスタ34には信号読み出し時とは逆向きの電流が流れる。これにより増幅トランジスタ34、アドレストランジスタ40、フィードバック線25、第2のリセットトランジスタ38および第1のリセットトランジスタ36を含むフィードバック回路FCが構成される。この時、アドレストランジスタ40および増幅トランジスタ34がカスコード接続されているため、大きなゲインを得ることができる。そのため、フィードバック回路FCは、大きな利得でノイズキャンセルを行うことができる。
本実施形態の撮像装置は、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38を制御することによって、第1の実施形態の撮像装置と同様、比較的高い感度で撮像が可能な第1のモード、および、比較的低い感度で撮像が可能な第2のモードで動作させることができる。また、本実施形態の撮像装置は、第1の実施形態と同様に、k
TCノイズを低減することが可能である。
また、本実施形態の撮像装置によれば、反転増幅器24を備えておらず、アドレストランジスタ40および増幅トランジスタ34は、信号検出回路SCと、フィードバック回路FCのアンプとを兼ねている。このため、撮像装置の回路を構成する面積を小さくすることができる。また、撮像装置の消費電力を低減することができる。さらに、カスコード接続によって大きなゲインを得ることができるため、第1容量素子41および第2容量素子42の容量が小さい場合でも、kTCノイズを低減することが可能となる。
図14に示す単位画素セル13における各素子のレイアウトは、図5および図7を参照して説明した、単位画素セル11におけるレイアウトとほぼ同様であり得る。また、単位画素セル13における各素子のデバイス構造は、図6および図8を参照して説明した、単位画素セル11におけるデバイス構造とほぼ同様であり得る。したがって、単位画素セル13における各素子のレイアウトおよびデバイス構造の説明を省略する。単位画素セル13の製造方法は、図9〜図12を参照して説明した、単位画素セル11の製造方法と同様であり得る。したがって、単位画素セル13の製造方法の説明を省略する。
(第3の実施形態)
図15は、第3の実施形態に係る撮像装置における、単位画素セル14の、例示的な回路構成を示す。第2の実施形態と同様、第3の実施形態の撮像装置は、単位画素セル14の各列に、反転増幅器24(図2および図13参照)に代えて切替回路50’が設けられている点で、第1の実施形態の撮像装置101と異なる。また各列を構成している複数の単位画素セル14において、フィードバック線25は、単位画素セル14間を接続していない。
各単位画素セル14において、フィードバック線25は、第2のリセットトランジスタ38のソースまたはドレインのうち、リセットドレインノード46に接続されていない側と接続されている。アドレストランジスタ40のソースまたはドレインの一方は、垂直信号線18を介して定電流源27に接続されている。アドレストランジスタ40のソースまたはドレインの他方は、フィードバック線25および増幅トランジスタ34のソースまたはドレインの一方と接続されている。増幅トランジスタ34のソースまたはドレインの他方は、電源配線22を介して切替回路50’に接続されている。
切替回路50’は、並列に接続されたスイッチ素子51、51’を含み、スイッチ素子51、51’はそれぞれ、電源電圧(AVDD)および基準電位(AVSS)に接続される。
本実施形態の撮像装置も第1の実施形態の撮像装置101と同様、比較的高い感度で撮像が可能な第1のモード、および、比較的低い感度で撮像が可能な第2のモードで動作させることができる。
図16は、第1のモードにおけるトランジスタの動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。図16において、ADD、RST1およびRST2は、それぞれ、アドレストランジスタ40のゲート電圧、第1のリセットトランジスタ36のゲート電圧および第2のリセットトランジスタ38のゲート電圧の変化の一例を模式的に示す。図16に示す例では、時刻t0において、アドレストランジスタ40、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38は、いずれもOFFである。簡単のため、以下では、電子シャッタの動作の説明を省略する。
まず、アドレス信号線30の電位を制御することにより、アドレストランジスタ40を
ONにする(時刻t1)。このとき、電荷蓄積ノード44に蓄積されている信号電荷の読み出しを行う。
次に、アドレストランジスタ40をOFFにする(時刻t1’)。その後、リセット信号線26およびフィードバック制御線28の電位を制御することにより、第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38をONにする(時刻t2)。また、切替回路50’を制御し、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方に基準電位(AVSS)を印加する。この時アドレストランジスタ40はOFFのままである。これにより、単位画素セル14内において、電荷蓄積ノード44とフィードバック線25とが第1のリセットトランジスタ36および第2のリセットトランジスタ38を介して接続され、増幅トランジスタ34を含む信号検出回路SCの出力を負帰還させるフィードバック回路FCが形成される。
時刻t3において、第1のリセットトランジスタ36をOFFにする(時刻t3)。時刻t3において第1のリセットトランジスタ36をOFFにすることによりkTCノイズが発生する。そのため、リセット後における電荷蓄積ノード44の電圧にkTCノイズが加わる。第1のリセットトランジスタ36をOFFにすることによって生じたkTCノイズは、フィードバック回路FCの利得をAとすると、1/(1+A)の大きさまでキャンセルされる。第2のリセットトランジスタ38の動作帯域が、広帯域である第1の帯域となるようにフィードバック制御線28の電位を設定することにより、ノイズを高速に抑制できる。
続いて、時刻t3’において、フィードバック制御線28の電位をハイレベルとローレベルの中間の電位に設定する。これにより、第2のリセットトランジスタ38の動作帯域は第1の帯域よりも狭い第2の帯域となる。
ここで、時刻t4において、第2のリセットトランジスタ38をOFFにすることによりkTCノイズが発生する。そのため、リセット後における電荷蓄積ノード44の電圧にkTCノイズがさらに加わる。生じたkTCノイズは、第2の帯域が増幅トランジスタ34の動作帯域よりも低い状態においては、フィードバック回路FCにより抑制され、1/
(1+A)1/2の大きさまでキャンセルされる。
続いて、時刻t5において、アドレストランジスタ40をONにする。また、切替回路50’を制御し、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方を電源電圧(AVDD)に接続させる。これによって、例えば、増幅トランジスタ34からアドレストランジスタ40へ向かう向きに定電流源27から電流が流れ、増幅トランジスタ34で増幅された、電荷蓄積ノード44の電位が検出される。検出された電位は垂直信号線18を介して定電流源27(カラム信号処理回路20、図1参照)に出力される。図16中、露光の期間を矢印Expにより模式的に示す。露光の期間において所定のタイミングで、kTCノイズがキャンセルされたリセット電圧の読み出しを行う(時刻t5’)。なお、リセット電圧の読み出しに要する時間は短時間であるので、アドレストランジスタ40のON状態が継続したままでリセット電圧の読み出しが実行されても構わない。
時刻t1と時刻t1’の間において読み出された信号と、時刻t5’において読み出された信号との差分をとることにより、固定ノイズを除去した信号が得られる。このようにして、kTCノイズおよび固定ノイズが除去された信号が得られる。
図17は、比較的低い感度で撮像が可能な第2のモードにおけるトランジスタの動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。第1の実施形態で説明したように、第1のリセットトランジスタ36が常にONであることを除いて、第1のモードと同様に駆
動され、各単位画素セル14内でフィードバック回路により、kTCノイズが抑制される。
本実施形態の撮像装置も第1の実施形態と同様、第1のリセットトランジスタ36は、電荷蓄積ノード44をリセットするリセットトランジスタの機能と、第1のモードおよび第2のモードを切り替えるためのスイッチの機能とを兼ねている。また、第2容量素子42は、第1のモードにおけるkTCノイズ縮小の機能と、信号電荷の蓄積領域全体の容量増大の機能とを兼ねている。本実施形態によれば、画素内の素子数の増加を抑制しながら、簡易な構成でダイナミックレンジを拡大することが可能である。このことは、画素の微細化において特に有益である。
(第3の実施形態の変形例)
図18は、第3の実施形態の変形例に係る撮像装置における単位画素セル14aの、例示的な回路構成を模式的に示す。図18に示すように、この例においても、反転増幅器24(図2および図13参照)が省略されており、フィードバック線25は、第2のリセットトランジスタ38のソースまたはドレインのうち、リセットドレインノード46に接続されていない側と、増幅トランジスタ34のソースまたはドレインとを接続している。図18に例示する構成では、増幅トランジスタ34の出力がリセットにおける基準電圧として利用される。
図示する構成において、電源配線22には、電圧切替回路54が接続されている。電圧切替回路54は、第1スイッチ53aおよび第2スイッチ53bの組を有する。電圧切替回路54は、電源配線22に対して第1の電圧Va1および第2の電圧Va2のいずれを供給するかを切り替える。第1の電圧Va1は、例えば0V(接地)であり、第2の電圧Va2は、例えば電源電圧である。電圧切替回路54は、画素毎に設けられてもよいし、複数の画素間で共有されてもよい。
このような回路構成によっても、第1の実施形態と同様に、kTCノイズを縮小し得る。
図19は、第3の実施形態の他の変形例に係る撮像装置における単位画素セル14bの、例示的な回路構成を模式的に示す。図19に例示する構成では、図13を参照して説明した回路構成と同様に、第1のリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうち、電荷蓄積ノード44に接続されていない側が、リセットドレインノード46ではなくフィードバック線25に接続されている。このような回路構成によっても、第1の実施形態と同様に、kTCノイズを縮小し得る。
図15に示す単位画素セル14、図18に示す単位画素セル14aおよび図19に示す単位画素セル14bにおける各素子のレイアウトは、図5および図7を参照して説明した、単位画素セル11におけるレイアウトとほぼ同様であり得る。また、単位画素セル14、14aおよび14bにおける各素子のデバイス構造は、図6および図8を参照して説明した、単位画素セル11におけるデバイス構造とほぼ同様であり得る。したがって、単位画素セル14、14aおよび14bにおける各素子のレイアウトおよびデバイス構造の説明を省略する。図15に示す単位画素セル14、図18に示す単位画素セル14aおよび図19に示す単位画素セル14bの製造方法は、図9〜図12を参照して説明した、単位画素セル11の製造方法と同様であり得る。したがって、単位画素セル14、14aおよび14bの製造方法の説明を省略する。
(第4の実施形態)
上述の実施形態では、半導体基板2に電極領域42cを設け、いわゆるMISキャパシ
タとして第2容量素子42を形成している。しかしながら、信号検出回路SCにおける高容量の容量素子の構成は、上述した例に限定されない。以下に説明するように、金属または金属化合物から形成された2つの電極の間に誘電体が挟まれた構造を有する容量素子を、半導体基板2と光電変換部15との間に設けられた層間絶縁層内に配置してもよい。以下では、金属または金属化合物から形成された2つの電極の間に誘電体が挟まれた構造を「MIM(Metal−Insulator−Metal)構造」と呼ぶことがある。半導体基板2と光電変換部15との間の層間絶縁層内に配置される容量素子を、いわゆるMIM構造を有する容量素子として形成することにより、より大きな容量値を得やすい。以下に説明するデバイス構造は、上述の第1〜第3の実施形態のいずれにも適用可能である。
図20は、単位画素セルのデバイス構造の他の一例を模式的に示す。なお、図20に示す単位画素セル60Aにおける、半導体基板2上の各素子のレイアウトは、図5に例示する、単位画素セル11におけるレイアウトと同様であり得る。図20は、図5に示すC−C’線断面図に対応する図である。
図20に示す単位画素セル60Aは、半導体基板2と第2電極15cとの間に配置された容量素子62を有する。容量素子62は、上部電極62uと、下部電極62bと、上部電極62uおよび下部電極62bの間に配置された誘電体層62dとを含む。図示するように、下部電極62bは、上部電極62uよりも第2電極15cから遠くに(つまり、上部電極62uよりも半導体基板2の近くに)配置されている。なお、本明細書における「上部」および「下部」の用語は、部材間の相対的な配置を示すために用いられており、本開示の撮像装置の姿勢を限定する意図ではない。
ここでは、層間絶縁層4c上に下部電極62bが形成されており、容量素子62は、層間絶縁層4cと光電変換膜15bとの間に設けられた層間絶縁層4dに覆われている。このように、光電変換部15と増幅トランジスタ34のゲート電極34eとの間に下部電極62bおよび上部電極62uを配置することにより、増幅トランジスタ34のゲート電極34eを含む配線層と、下部電極62bおよび上部電極62uとの間の干渉を抑制し得る。したがって、比較的大きな電極面積を有する容量素子62を形成することが可能である。
下部電極62bは、典型的には、金属電極または金属窒化物電極である。下部電極62bを形成するための材料の例は、Ti、TiN、Ta、TaN、Mo、RuおよびPtである。下部電極62bは、層間絶縁層4d内に設けられた配線層の一部であってもよい。
下部電極62b上には、誘電体層62dが積層されている。この例では、誘電体層62dは、下部電極62bにおいて第2電極15cに対向する側の表面と、側面とを覆っている。
誘電体層62dは、層間絶縁層4dを構成する材料(典型的には二酸化シリコン)とは異なる材料(例えば金属酸化物または金属窒化物)から形成されてもよい。半導体基板2と光電変換部15との間に設けられた層間絶縁層内に容量素子62を配置すると、誘電体層62dを形成するための材料として、比較的高い誘電率を有する材料を採用することが比較的容易である。そのため、比較的大きな容量値を実現しやすい。誘電体層62dを形成するための材料の例は、Zr、Al、La、Ba、Ta、Ti、Bi、Sr、Si、YおよびHfからなる群から選択された1種以上を含有する酸化物または窒化物である。誘電体層62dを形成するための材料は、2元系化合物であってもよいし、3元系化合物または4元系化合物であってもよい。誘電体層62dを形成するための材料として、例えば、HfO2、Al2O3、ZrO2、TiO2、SrTiO3など、比較的高い誘電率を有する
材料を用い得る。誘電体層62dが、互いに異なる材料から形成された2以上の層を含んでいてもよい。
誘電体層62d上には、上部電極62uが積層されている。この例では、上部電極62uは、誘電体層62dにおいて第2電極15cに対向する側の表面と、側面とを覆っている。上部電極62uは、典型的には、金属電極または金属窒化物電極である。すなわち、ここでは、容量素子62は、いわゆるMIM構造を有する。上部電極62uを形成するための材料としては、下部電極62bを形成するための材料と同様の材料を用い得る。上部電極62uは、層間絶縁層4d内に設けられた配線層の一部であってもよい。
上部電極62uと誘電体層62dとの間に、Cu、Alなどの金属またはポリシリコンなどから形成された保護層を配置してもよい。上部電極62uと誘電体層62dとの間に保護層を配置することにより、製造工程における誘電体層62dの損傷を抑制し得るので、上部電極62uと下部電極62bとの間におけるリーク電流の発生を抑制し得る。
上部電極62uは、開口APを有する。開口AP内には、ビアvd、接続部66uおよび接続部66bが配置されている。接続部66uおよび接続部66bは、上部電極62uおよび下部電極62bとそれぞれ同層である。図示するように、ビアvd、接続部66uおよび接続部66bを介して、光電変換部15の第2電極15cと、増幅トランジスタ34のゲート電極34eとの接続を有するビアvcとが接続される。ビアvdは、銅などの金属から形成され得る。ビアvd、接続部66uおよび接続部66bは、単位画素セル60Aにおける電荷蓄積領域の一部を構成する。
図20に例示する構成において、下部電極62bのうち、ビアvdの右側に示す部分は、ビアvc1、配線層6b、ビアvb1、配線層6a、ビアva1、配線層6s、および、層間絶縁層4s内に設けられたコンタクトプラグcpbを介して、第2容量素子42の上部電極42eに接続されている。すなわち、下部電極62bは、図20において不図示のリセットドレインノード46との接続を有する。ここでは、下部電極62bは、単位画素セル60Aごとに設けられた単一の電極であり(後述する図21参照)、図20において開口APの左右に分離して示す、下部電極62bの2つの部分は、等電位である。
この例では、上部電極62uは、下部電極62bと同層に形成された接続部64bを覆っている。この接続部64bは、ビアvc3、配線層6b、ビアvb3、配線層6aおよびビアva3を介して、配線層6sの一部である配線6zに接続されている。この配線6zは、図20において不図示の感度調整線32との接続を有する。すなわち、容量素子62は、上述の第2容量素子42と電気的に並列に接続されており、第2容量素子42と同様に機能する。すなわち、この例では、単位画素セル60Aは、第1容量素子41と、容量素子62および第2容量素子42とが直列に接続された容量回路を有している。
単位画素セル内に容量素子62を形成することにより、第2容量素子42を省略可能である。第2容量素子42を省略した場合には、電極領域42cのための領域を半導体基板2において確保する必要がない。そのため、半導体基板2における素子レイアウトの設計の自由度が向上する。例えば、電極領域42cの省略により、画素サイズを低減し得る。あるいは、半導体基板2上のトランジスタ(例えば増幅トランジスタ34)のサイズを拡大し得る。トランジスタのサイズの拡大により、トランジスタの特性のバラつきを低減し得るので、単位画素セル間における感度バラつきを低減し得る。また、トランジスタのサイズの拡大により、駆動能力が向上(相互コンダクタンスgmの向上といってもよい)す
るので、ノイズをより低減し得る。
なお、この例では、上部電極62uは、光電変換部15の第2電極15cに対向する面
とは反対側の面において、ビアvc3に電気的に接続されている。このように、上部電極62uと感度調整線32との間の電気的接続のためのコンタクトを半導体基板2に近い側の面に設けることにより、配線の複雑化を回避し得る。また、上部電極62uと光電変換部15の第2電極15cとの間の距離を縮小し得るので、互いに隣接する画素間における、電荷蓄積領域同士の寄生容量を低減し得る。
撮像装置101の動作時、上部電極62uには、感度調整線32を介して所定の電圧が印加される。なお、ここでは、上部電極62uは、下部電極62bと同様に、単位画素セル60Aごとに設けられた単一の電極であり(後述する図21参照)、図20において開口APの左右に分離して示す、上部電極62uの2つの部分は、等電位である。
図21は、単位画素セル60Aを半導体基板2の法線方向から見たときの、上部電極62u、誘電体層62dおよび下部電極62bの配置の一例を示す。図21には、図5と同様にC−C’切断線も示されている。図21に示すように、半導体基板2の法線方向から見たときにおける上部電極62uの形状と、下部電極62bの形状とが一致している必要はない。半導体基板2の法線方向から見たとき、上部電極62uが、下部電極62bの少なくとも一部と対向する部分を含んでいればよい。
この例では、下部電極62bおよび上部電極62uは、単位画素セル60Aにおいて大きな領域を占めている。そのため、下部電極62bおよび/または上部電極62uの少なくとも一方を遮光性の電極として形成することにより、下部電極62bまたは上部電極62uを遮光層として機能させ得る。例えば上部電極62uを遮光層として機能させることにより、第2電極15c間に形成された間隙を通過した光を上部電極62uによって遮ることが可能である。これにより、第2電極15c間に形成された間隙を通過した光が半導体基板2上のトランジスタ(例えば増幅トランジスタ34)のチャネル領域に入射することを抑制し得る。例えば、上部電極62uとして、厚さが100nmのTaN電極を形成することにより、十分な遮光性を実現し得る。
第4の実施形態によれば、半導体基板2上のトランジスタのチャネル領域への迷光の入射を抑制してトランジスタの特性のシフト(例えば閾値電圧の変動)を抑制し得る。半導体基板2上のトランジスタのチャネル領域への迷光の入射を抑制することにより、各画素のトランジスタの特性が安定化し、複数の画素間でのトランジスタの動作のバラつきを低減し得る。このように、半導体基板2上のトランジスタのチャネル領域への迷光の入射を抑制することは、撮像装置の信頼性の向上に貢献する。
図21に例示する構成では、上部電極62uが空間的に分離されることにより、単位画素セル60Aの間で上部電極62uが電気的に分離されている。つまり、この例では、互いに隣接する上部電極62uの間には、わずかな間隙が存在する。しかしながら、ここでは、上部電極62uの各々は、感度調整線32を介して所定の電圧が供給されるように構成されている。そのため、互いに隣接する上部電極62u間の距離を、互いに隣接する第2電極15c間の距離と比較して十分に小さくし得る。したがって、第2電極15c間に形成された間隙を通過した光の大部分を上部電極62uによって遮ることが可能である。なお、図1に例示する回路構成では、同一の行に属する単位画素セル中の上部電極62uに共通の電圧が印加される。したがって、複数の列にわたって行方向に延びる複数の帯状の電極を上部電極62uとして用いてもよい。もちろん、図21に示すように上部電極62uを単位画素セル60Aごとに空間的に分離し、上部電極62uごとに独立した電圧を供給してもよい。
この例では、上部電極62uの開口APは、図面中において単位画素セル60Aの下方に形成されている。しかしながら、開口APの配置は、この例に限定されない。例えば、
単位画素セル60Aの中央に開口APを配置し、接続部66uおよび接続部66bを取り囲むように上部電極62uを形成してもよい。単位画素セル60Aの中央に開口APを配置し、上部電極62uの形状を接続部66uに関して対称性の高い形状とすると、単位画素セル60A内における容量の偏りを低減し得るので有益である。半導体基板2の法線方向から見たときにおける、上部電極62uの形状は、図21に示す形状に限定されない。例えば、上部電極62uが複数の部分を含んでいてもよい。誘電体層62dおよび下部電極62bについても同様である。
上述したように、この例では、上部電極62uは、感度調整線32との接続を有するので、感度調整線32を介して一定の電圧を上部電極62uに供給することにより、撮像装置101の動作時における上部電極62uの電位を一定とできる。したがって、接続部66uおよび接続部66bを取り囲むように上部電極62uを形成し、一定の電圧を上部電極62uに印加することにより、上部電極62uをシールド電極として機能させ得る。上部電極62uがシールド電極として機能することにより、電荷蓄積ノード44へのノイズ混入を抑制し得る。
以上に説明したように、第4の実施形態では、リセットドレインノード46と感度調整線32との間に接続される容量素子として、容量素子62を、上部電極41wと光電変換部15の第2電極15cとの間に配置している。図20に例示するように、この容量素子62は、単位画素セルの層間絶縁層(例えば層間絶縁層4d)内に配置される。したがって、いわゆるMIM構造を有する容量素子として容量素子62を形成することが可能である。つまり、容量素子62において比較的大きな容量値を得やすい。このような構成によっても、上述の第1〜第3の実施形態と同様に、信号電荷の蓄積領域全体の容量値の増加を抑制しながら、リセットに伴って生じるkTCノイズを縮小することが可能である。また、容量素子62が高容量であると、信号電荷の蓄積領域全体の容量を大きくできるので、高照度のもとでの撮影に有利である。
(容量素子62の形成方法)
以下、単位画素セル60Aを有する撮像装置の製造方法の概略を説明する。ビアvcを形成するまでの製造工程は、第1の実施形態とほぼ同様であり得るので説明を省略する。図12を参照して説明したように、第2容量素子42の上部電極42eに重なる位置に、電極領域42cに電気的に接続された上部電極43eを形成してもよい。ここでは、ビアvcの形成と並行して、ビアvc1およびvc3も形成される。
ビアvc、vc1およびvc3の形成後、層間絶縁層4c上に下部電極62b、接続部66bおよび接続部64bを形成する。下部電極62b、接続部66bおよび接続部64bを形成するための材料として、ここでは、TaNを用いる。層間絶縁層4c上への下部電極62b、接続部66bおよび接続部64bの形成には、一般的な半導体プロセスで導入されているフォトリソグラフィを適用できる。その後、誘電体層62dの材料を堆積することによって誘電体膜を形成し、誘電体膜のパターニングを実行する。
誘電体膜の形成には、例えば原子層堆積法(Atomic Layer Deposition(ALD))を適用できる。ALDによれば、互いに異なる原子を数原子ずつ積層することが可能である。ここでは、誘電体膜として、Hfの酸化物の膜を形成する。Hfの酸化物の膜の形成においては、テトラキスエチルメチルアミドハフニウムをプリカーサとして用い、プリカーサの導入後にプラズマ放電を行う。酸素雰囲気においてプラズマ放電を行うことにより、Hfの酸化が促される。上述の工程を繰り返すことにより、HfO2を一層ずつ積層する。例えば、ガス状のプリカーサの導入とプラズマ放電とを250
回繰り返すことにより、22nmの厚さを有する膜を形成する。
誘電体膜のパターニングには、一般的な半導体プロセスで導入されているフォトリソグラフィを適用できる。誘電体膜のパターニングにより、誘電体層62dが形成される。誘電体層62dは、連続した単一の膜であってもよいし、下部電極62b上の互いに異なる箇所に配置された複数の部分を含んでいてもよい。
誘電体層62dの形成後、下部電極62bと同様にして上部電極62uおよび接続部66uを形成する。その後、層間絶縁層4dおよびビアvdを形成し、層間絶縁層4d上に光電変換部15を形成することにより、図20に示すデバイス構造が得られる。
TiN、TaN、WNなどの金属窒化物を用いて、光電変換部15の第2電極15cを形成してもよい。金属窒化物は、緻密性に優れ、高温下においても不純物元素の移動および/または混入が起こりにくい性質を有している。そのため、誘電体層62dの上方に位置する上部電極62uを金属窒化物(ここではTaN)を用いて形成し、かつ、第2電極15cを金属窒化物を用いて形成することにより、不純物に起因するキャリアの誘電体層62dへの混入を抑制し得る。誘電体層62dへの不純物の混入を抑制することにより、容量素子62における上部電極62uと下部電極62bとの間のリーク電流を低減し得る。
また、金属窒化物は、スパッタリングにおいてマイグレーションを生じにくいので、平坦な表面を形成しやすい。金属窒化物を用いて光電変換部15の第2電極15cを形成すると、平坦な界面を介した接合を実現し得る。第2電極15cの表面の凹凸を抑制することにより、第2電極15cと光電変換膜15bとの間の円滑な電荷輸送を実現し得る。また、界面欠陥に起因する準位の発生を抑制して、暗電流を抑制し得る。このように、容量素子62の上部電極62uおよび光電変換部15の第2電極15cの両方を金属窒化物から形成すると、リーク電流および暗電流低減の観点から有益である。さらに、金属窒化物を用いて容量素子62の下部電極62bを形成すれば、上部電極62uの平坦性をより向上させ得るので有益である。また、誘電体層62dの酸化を抑制し得るので有益である。
(第4の実施形態の第1の変形例)
図22は、単位画素セルのデバイス構造のさらに他の一例を模式的に示す。図23は、図22に示す単位画素セル60Bを半導体基板2の法線方向から見たときの、上部電極62u、誘電体層62dおよび下部電極62bの配置の一例を示す。図22は、図23に示すC−C’線断面図に対応する図である。図22および図23に示す単位画素セル60Bと、図20および図21を参照して説明した単位画素セル60Aとの間の主な相違点は、上部電極62uおよび下部電極62bが、それぞれ、リセットドレインノード46および感度調整線32に接続されている点である。
図22に示すように、この例では、接続部64b、ビアvc2、配線層6b、ビアvb2、配線層6aおよびビアva2を介して、上部電極62uが、配線層6sの一部である配線6wに接続されている。この配線6wは、リセットドレインノード46との接続を有する。すなわち、上部電極62uは、リセットドレインノード46との接続を有する。一方、下部電極62bは、ビアvc3、配線層6b、ビアvb3、配線層6aおよびビアva3を介して、配線6zに接続されている。上述したように、この配線6zは、感度調整線32(図22において不図示)との接続を有する。すなわち、下部電極62bは、感度調整線32との接続を有する。つまり、容量素子62は、この例においても、リセットドレインノード46と感度調整線32との間に接続されている。したがって、容量素子62は、上述の第2容量素子42と同様に機能する。また、この例では、下部電極62bが感度調整線32との接続を有するので、感度調整線32を介して下部電極62bの電位を制御可能である。下部電極62bの電位を制御することにより、電荷蓄積ノード44の電位を制御して、撮像装置の感度を調整し得る。また、撮像装置の動作時に感度調整線32を
介して一定の電圧を下部電極62bに供給すれば、下部電極62bをシールド電極として機能させ得る。
図22に示すように、この例では、第1のリセットトランジスタ36のソースまたはドレイン(ソース/ドレイン拡散層2d)と、増幅トランジスタ34のゲート電極34eとを接続する上部電極41xは、第2容量素子42の上部電極42eの上まで延びていない。換言すれば、上部電極41xは、半導体基板2の法線方向から見たとき、上部電極42eと重なりを有していない。したがって、単位画素セル60Bは、層間絶縁層4s内に、互いに対向する2つのポリシリコン層と、それらに挟まれた絶縁膜とから構成された第1容量素子41を有しない。
ここで、光電変換部15および容量素子62に注目すると、光電変換部15の第2電極15cと、容量素子62の上部電極62uとは、層間絶縁層4dを介して対向している。上述したように、この例では、上部電極62uがリセットドレインノード46との接続を有する。すなわち、第2電極15c、上部電極62uおよび層間絶縁層4dによって形成される容量素子41Bは、電荷蓄積ノード44とリセットドレインノード46の間に接続された容量素子とみなすことができる。例えば図2に示す回路構成からわかるように、この容量素子41Bは、上述の第1容量素子41と同様に機能する。すなわち、この例では、容量素子41Bと、容量素子62および第2容量素子42とが直列に接続されることにより、容量回路が形成されている。
このように、第1容量素子41に代えて、光電変換部15の第2電極15cと、容量素子62の上部電極62uとの間に形成された容量を低容量の容量素子として利用してもよい。このような構成においても、容量素子62によって十分に大きな容量値を得られていれば、いわゆるMISキャパシタとして形成された第2容量素子42を省略可能である。
なお、例えば図20に示す上部電極41wのように、上部電極41xを第2容量素子42の上部電極42eの上まで延ばしてもよい。ただし、ノイズの縮小および変換ゲインの低下の抑制の観点からは、上部電極41xが第2容量素子42の上部電極42eとの重なりを有しない方が有利である。
単位画素セル60Bの製造方法は、上部電極41xを形成するためのレジストマスクのパターン、および、配線層6sを形成するためのレジストマスクのパターンが異なる点以外は、単位画素セル60Aの製造方法とほぼ同様であり得る。したがって、単位画素セル60Bの製造方法の説明を省略する。
(第4の実施形態の第2の変形例)
図24は、単位画素セルのデバイス構造のさらに他の一例を模式的に示す。図25は、図24に示す単位画素セル60Cを半導体基板2の法線方向から見たときの、上部電極62u、誘電体層62dおよび下部電極62bの配置の一例を示す。図24は、図25に示すC−C’線断面図に対応する図である。図24および図25に示す単位画素セル60Cと、図20および図21を参照して説明した単位画素セル60Aとの間の主な相違点は、第1容量素子41に代えて、下部電極62bを一方の電極として有する低容量の容量素子41Cを層間絶縁層内に形成している点である。
図24に例示する単位画素セル60Cでは、図20を参照して説明した単位画素セル60Aと同様に、下部電極62bおよび上部電極62uは、それぞれ、リセットドレインノード46および感度調整線32に接続されている。単位画素セル60Cは、図22を参照して説明した単位画素セル60Bと同様に、層間絶縁層4s内に第1容量素子41を有しない。
図24に例示する構成において、層間絶縁層4b内に形成された配線層6bは、ビアvcとビアvbとの間に配置された電極6bxを含んでいる。図24および図25に模式的に示すように、この電極6bxは、半導体基板2の法線方向から見たときに、下部電極62bと重なる部分を有している。すなわち、電極6bxの少なくとも一部は、層間絶縁層4cの少なくとも一部を介して下部電極62bの少なくとも一部と対向している。これにより、容量素子62と、層間絶縁層(ここでは層間絶縁層4c)内に配置された配線層(ここでは電極6bx)との間で容量素子41Cが形成される。層間絶縁層4cのうち、下部電極62bおよび電極6bxに挟まれた部分は、容量素子41Cにおける誘電体層として機能する。下部電極62bがリセットドレインノード46との接続を有し、電極6bxが第2電極15cとの接続を有するので、容量素子41Cは、上述の第1容量素子41と同様に機能する。すなわち、この例では、容量素子41Cと、容量素子62および第2容量素子42とが直列に接続されることにより、容量回路が形成されている。
このように、容量素子62と、層間絶縁層内に配置された配線層との間に容量素子を形成してもよい。このような構成によれば、低容量(例えば0.5fF程度)の容量素子を比較的容易に単位画素セル内に配置し得る。この例では、配線層6bの一部(ここでは電極6bx)を低容量の容量素子における一方の電極として用いているが、低容量の容量素子における一方の電極は、配線層6aまたは6sなど、他の配線層の一部であってもよい。図24および図25を参照して説明した構成においても、容量素子62によって十分に大きな容量値を得られていれば、いわゆるMISキャパシタとして形成された第2容量素子42を省略可能である。
単位画素セル60Cの製造方法は、上部電極41xを形成するためのレジストマスクのパターン、および、電極6bxを形成するためのレジストマスクのパターンが異なる点以外は、単位画素セル60Aの製造方法とほぼ同様であり得る。したがって、単位画素セル60Cの製造方法の説明を省略する。
(第5の実施形態)
図26を参照して、本実施形態によるカメラシステム105を説明する。
図26は、本実施形態によるカメラシステム105の構成例を模式的に示す。カメラシステム105は、レンズ光学系601と、撮像装置602と、システムコントローラ603と、カメラ信号処理部604とを備えている。
レンズ光学系601は、例えばオートフォーカス用レンズ、ズーム用レンズおよび絞りを含んでいる。レンズ光学系601は、撮像装置602の撮像面に光を集光する。撮像装置602として、上述した第1から第4の実施形態による撮像装置を広く用いることができる。
システムコントローラ603は、カメラシステム105全体を制御する。システムコントローラ603は、例えばマイクロコンピュータによって実現され得る。
カメラ信号処理部604は、撮像装置602からの出力信号を処理する信号処理回路として機能する。カメラ信号処理部604は、例えばガンマ補正、色補間処理、空間補間処理、およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。カメラ信号処理部604は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などによって実現され得る。
本実施形態によるカメラシステムによれば、第1から第4の実施形態による撮像装置を
利用することによって、読出時のリセットノイズ(kTCノイズ)を適切に抑制することができる。その結果、電荷を正確に読み出すことができ、良好な画像を取得できる。
また、第1の実施形態で詳述したように、被写体が明るく低い感度で撮像が可能なモードと、被写体が暗く、比較的高い感度で撮像が可能なモードとを切り替えて撮影することが可能なカメラシステムを実現することが可能である。
本開示の実施形態によれば、kTCノイズを低減し得る。また、簡易な構成によってダイナミックレンジの拡大を実現し得るので、デジタルカメラなどに有用である。