以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、管理コンピュータ(材料管理装置)、材料保管庫の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
まず図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を接合させる材料を管理、保管する機能と、基板に部品を実装して実装基板を生産する機能を有している。部品実装システム1は、管理コンピュータ2、生産計画装置3、保管エリア4、部品実装ライン5を主体として構成され、これらの各部は通信ネットワーク6によって接続されている。管理コンピュータ2は、部品実装システム1にて使用される材料の管理、実装基板の生産管理などを行う。生産計画装置3は、部品実装システム1において生産される基板に部品を実装した実装基板の基板種、生産枚数、生産時期などを含む生産計画情報を作成する。
保管エリア4には、通信ネットワーク6に接続されている複数(ここでは2台)の材料保管庫7が設置されている。材料保管庫7は、基板に部品を接合させるクリーム半田や接着剤などの材料を収容した収容体を保管する。部品実装ライン5は、ライン管理装置8、印刷機M1、実装機M2,M3を備えており、各装置は通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2に接続されている。印刷機M1は、印刷作業部によって上流側から搬入された基板にマスクを介してクリーム半田(材料)を印刷するはんだ印刷作業を実行する。
実装機M2,M3は、印刷機M1によりクリーム半田が印刷された基板に、部品実装作業部によって部品を実装する部品実装作業を実行して実装基板を生産する。また実装機M2,M3は、接着剤塗布装置を備えており、実装する部品の部品種に応じて、基板に接着剤(材料)を塗布した後に部品を実装する。なお、接着剤塗布装置は、実装機M2,M3に内蔵させずに、単体の接着剤塗布装置として実装機M2,M3の上流側に配設してもよい。ライン管理装置8は、部品実装ライン5の各装置間の作業を管理する他、実装基板の生産開始時刻、印刷機M1のクリーム半田、実装機M2,M3の接着剤など材料の残量、実装機M2,M3の部品供給装置が供給している部品の部品残数などの情報を収集する。
なお、部品実装ライン5が備える実装機M2,M3は2台である必要はなく、1台でも3台以上であってもよい。また、部品実装システム1が備える部品実装ライン5は、一つである必要はなく、部品実装システム1が複数の部品実装ライン5を備える構成でもよい。部品実装システム1が複数の部品実装ライン5を備えている場合、部品実装ライン5毎にライン管理装置8を配置しても、複数の部品実装ライン5に共通の1台のライン管理装置8を配置してもよい。すなわち、ライン管理装置8が収集する情報が、各部品実装ライン5の各装置を特定する情報に紐付けられて記憶されればよい。
ここで図2を参照して、材料保管庫7が保管する、基板に部品を接合させる材料(クリーム半田、接着剤)を収容した収容体の例として、クリーム半田Pを収容した半田ポット13について説明する。半田ポット13は、筒状で有底の本体部13aの内部にクリーム半田Pを収容し、蓋13bで本体部13aの上部を閉じる構成をしている。蓋13bの上面には、バーコードや2次元コードなどの識別コードCが貼付されている。識別コードCには、半田ポット13や収容されるクリーム半田Pを特定する情報などが記録されている。なお、識別コードCは、本体部13aの側面、または底面に貼付するようにしてもよい。
図1において、保管エリア4、部品実装ライン5などで各種作業を行う作業者は、携帯端末9を携帯している。携帯端末9は、管理コンピュータ2と無線で通信して情報の授受を行う端末側通信部10、表示機能と入力機能を有するタッチパネル11、コードリーダ12を備えている。携帯端末9は、管理コンピュータ2から受信した各種情報を表示処理してタッチパネル11に表示する。コードリーダ12は、半田ポット13に貼付された識別コードC(図2参照)をスキャンして、識別コードCに記録された各種情報を認識する。携帯端末9は、タッチパネル11から入力された各種情報の他、コードリーダ12によって認識された半田ポット13の情報などを管理コンピュータ2に送信する。
次に図3を参照して、材料保管庫7の構成について説明する。材料保管庫7は、基板に部品を接合させる材料(クリーム半田P、接着剤など)を収容した収容体(半田ポット13)を複数保管する。以下、半田ポット13を保管する材料保管庫7を例に説明する。材料保管庫7の前面には、出入口14、タッチパネル15が配設されている。半田ポット13(収容体)は、出入口14より材料保管庫7に出入庫される。タッチパネル15は表示機能と入力機能を有し、材料保管庫7が保管する半田ポット13の情報などが表示される他、作業者によって材料保管庫7に対する指示などが入力される。
材料保管庫7は、内部に低温保管部16、常温保管部17、攪拌部18、移送手段19、計量部20を備えている。低温保管部16は、半田ポット13(収容体)を低温で保管する複数の低温保管棚16a(ここでは9箇所)を備えている。常温保管部17は、半田ポット13(収容体)を低温保管部16より高い室温(常温)などの温度で保管する複数の常温保管棚17a(ここでは6箇所)を備えている。低温保管部16の温度と常温保管部17の温度は、保管する半田ポット13が収容するクリーム半田P(材料)の仕様に応じて適宜設定される。
図3において、攪拌部18は、半田ポット13(収容体)に収容されているクリーム半田P(材料)を攪拌させる。例えば攪拌部18は、半田ポット13を保持して旋回させて遠心力を発生させて、半田ポット13内でクリーム半田Pを攪拌させる。攪拌部18においてクリーム半田P(材料)を攪拌させる攪拌時間Tm、および攪拌させる強さは、半田ポット13が収容するクリーム半田P(材料)の仕様に応じて適宜設定される。
移送手段19は、半田ポット13を保持する移送ヘッド19a、移動ヘッド移動機構(図示省略)を備えている。移動ヘッド移動機構は、移送ヘッド19aを水平面内で直交するX方向とY方向、および水平面に直交するZ方向に移動させる。移送手段19は、移動ヘッド移動機構により移送ヘッド19aを移動させることにより、半田ポット13(収容体)を出入口14、低温保管棚16a(低温保管部16)、常温保管棚17a(常温保管部17)、攪拌部18の間で移送する。
図3において、出入口14より材料保管庫7に入庫させた半田ポット13を載置させる台の上面には、半田ポット13(収容体)の重量を計量する計量部20が配設されている。計量部20は、半田ポット13が出入口14より入庫した際に、半田ポット13の重量を計量する。
移送ヘッド19aの半田ポット13に貼付された識別コードCに対向する位置には、識別コードCに記録された各種情報を認識するコードリーダ21が備えられている。コードリーダ21は、半田ポット13が入庫される際、又は出庫される際に、識別コードCに記録された各種情報を認識する。すなわち、コードリーダ21は、半田ポット13(収容体)に示された(貼付された)識別コードC(収容体の識別情報)を認識する認識手段となる。なお、コードリーダ21が配設される位置は、半田ポット13に示された識別コードCの位置に対応して自由に変更することができる。
次に図4を参照して、部品実装システム1の制御系の構成について説明する。生産計画装置3は、生産制御部31、生産記憶部32、通信部33を備えている。通信部33は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2との間で信号、情報の授受を行う。生産制御部31はCPU機能を備える演算装置であり、生産計画作成部31aなどの内部処理部を有している。生産記憶部32は記憶装置であり、生産計画情報Ipaなどを記憶する。
生産計画作成部31aは、生産記憶部32が記憶する各種情報、通信ネットワーク6に接続されるデータベース(図示省略)から取得した各種情報に基づいて、部品実装ライン5において生産される実装基板の基板種、生産枚数、実装基板の生産に使用される材料(クリーム半田P、接着剤など)の材料種を含む生産計画情報Ipaを生成して生産記憶部32に記憶する。なお、実装基板の生産に使用される材料種は予め作業者が設定しても、対象の実装基板の生産に使用された実績に基づいて設定してもよい。また、過去に生産に使用された材料種にチキソ比等の特性が合致もしくは類似する材料種を、実装基板の生産に使用される材料種として設定してもよい。また、生産される実装基板に使用される材料情報を含んでいれば生産計画情報Ipaという用語には限定されない。
図4において、ライン管理装置8は、ライン制御部41、ライン記憶部42、通信部43を備えている。通信部43は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2との間で信号、情報の授受を行う。ライン制御部41はCPU機能を備える演算装置であり、ライン情報収集部41aなどの内部処理部を有している。ライン記憶部42は記憶装置であり、生産状況情報Ilaなどを記憶する。ライン情報収集部41aは、部品実装ライン5における実装基板の生産開始時刻、実装基板を生産する生産設備(印刷機M1、実装機M2,M3)で用いられている材料(クリーム半田P、接着剤)の残量、または実装基板の生産枚数(印刷枚数、実装枚数)などを収集して生産状況情報Ilaとしてライン記憶部42に記憶する。生産状況情報Ilaは、ライン情報収集部41aによって逐次更新される。
図4において、管理コンピュータ2は、管理制御部51、管理記憶部52、入力部53、表示部54、通信部55、無線通信部56を備えている。入力部53は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部54は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部53による操作のための操作画面などの各種画面の他、各種情報を表示する。通信部55は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して生産計画装置3、材料保管庫7、ライン管理装置8との間で信号、情報の授受を行う。無線通信部56は、携帯端末9と無線で通信して情報の授受を行う。
管理制御部51はCPU機能を備える演算装置であり、生産計画取得部51a、生産状況取得部51b、材料状況取得部51c、材料準備指示部51d、完了時刻算出部51eなどの内部処理部を有している。管理記憶部52は記憶装置であり、生産計画情報Ipb、生産状況情報Ilb、材料状況情報Isb、材料規格情報Ifa、準備指示情報Pea、準備完了時刻Tr、半田消費速度Rcなどを記憶する。
図4において、生産計画取得部51aは、生産計画装置3から生産計画情報Ipaを取得して、生産計画情報Ipbとして管理記憶部52に記憶させる。生産状況取得部51bは、ライン管理装置8から生産状況情報Ilaを取得して、生産状況情報Ilbとして管理記憶部52に記憶させる。材料状況取得部51cは、材料保管庫7から保管されている材料(クリーム半田P、接着剤)の材料状況情報Isaを取得して、材料状況情報Isbとして管理記憶部52に記憶させる。
ここで図7を参照して、半田ポット13を保管する材料保管庫7の材料状況情報Isb(Isa)の一例について説明する。この例では、材料状況情報Isbとして、「ポット番号」欄81に半田ポット13を特定するポット番号、「材料種」欄82に半田ポット13に収容されるクリーム半田Pの材料種、「半田重量」欄83に半田ポット13に収容されているクリーム半田Pの重量、「保管状態」欄84に半田ポット13の保管状態、「常温放置経過時間」欄85に半田ポット13が常温保管部17に移送されてから現在までの経過時間である常温放置経過時間The(図6参照)、「材料保管時間」欄86に半田ポット13が材料保管庫7に入庫して(低温保管部16に移送されて)から現在までの経過時間である材料保管時間Tse(図6参照)が含まれている。
「保管状態」欄84の保管状態は、材料保管庫7における半田ポット13(収容体)の保管状態であり、半田ポット13が低温保管部16にある「低温保管」、常温保管部17にある「常温保管」、攪拌部18にあるが攪拌前である「攪拌前」、攪拌中である「攪拌中」、攪拌後である「攪拌後」、出入口14にある「出入口」などが記憶される。
図4において、材料規格情報Ifaには、低温保管時の低温保管温度、常温保管時の常温保管温度、クリーム半田Pを低温保管から常温保管に移してから攪拌するまで放置する推奨時間である常温放置時間Th(図6参照)、クリーム半田Pを攪拌部18によって攪拌させる推奨時間である攪拌時間Tm(図6参照)などがクリーム半田Pの材料種毎に記憶されている。
材料準備指示部51dは、生産計画情報Ipbと材料状況情報Isbに基づいて、材料保管庫7より取り出す半田ポット13(収容体)の準備指示を作成し、準備指示情報Peaとして管理記憶部52に記憶させる。また、材料準備指示部51dは、作成した準備指示情報(準備指示)を材料保管庫7および携帯端末9に送信させる。より具体的には、材料準備指示部51dは、取り出す半田ポット13(収容体)の保管状態が低温保管である場合、半田ポット13を低温保管から常温保管に移す(低温保管部16から常温保管部17に移送する)ように指示する。
また材料準備指示部51dは、取り出す半田ポット13(収容体)の常温放置経過時間Theが所定の常温放置時間Thを経過している場合に、半田ポット13を攪拌する(常温保管部17から攪拌部18に移送して、攪拌部18によって攪拌時間Tmだけ攪拌する)ように指示する。また材料準備指示部51dは、材料保管庫7に保管されている複数の半田ポット13(収容体)のうち、材料保管時間Tseが長い半田ポット13を優先して取り出すように指示する。
なお、材料状況情報Isa(Isb)に半田ポット13の入庫時間を記憶させて、材料準備指示部51dは入庫時間が古い半田ポット13を優先して取り出すように指示するようにしてもよい。また、材料準備指示部51dは、材料保管庫7に保管されている複数の半田ポット13のうち、半田重量が軽い半田ポット13を優先して取り出すように指示するようにしてもよい。また、材料準備指示部51dは、材料の一部が使用された半田ポット13を未使用の半田ポット13より優先して取り出すように指示するようにしてもよい。半田ポット13の使用、未使用は、例えば、材料状況情報Isa(Isb)に記憶される当該半田ポット13の入庫、出庫の履歴より判断する。
ここで図8を参照して、準備指示情報Peaの第1実施例(以下、「第1準備指示情報Pea1」と称す。)の一例について説明する。この例では、第1準備指示情報Pea1として、「ポット番号」欄91にポット番号、「作業内容」欄92に材料保管庫7における作業内容が含まれている。ここでは、材料保管庫7に保管されている半田ポット13(図7参照)のうち、ポット番号がA001、B001、A002の半田ポット13が取り出される(出庫させる)。なお、材料準備指示部51dは、低温保管されている材料種が同じ半田ポット13(A002)と半田ポット13(A003)のうち、材料保管時間Tseが20時間の半田ポット13(A003)より長い48時間の半田ポット13(A002)を、取り出す対象として選択している。
材料準備指示部51dは、取得された材料状況情報Isbに含まれる保管状態に基づいて、作業対象の半田ポット13が作業可能な状態になると準備指示を送信させる。より具体的には、まず材料準備指示部51dは、保管状態が攪拌中である半田ポット13(A001)(図7参照)の攪拌作業が終了すると(保管状態が攪拌後になると)、材料準備指示部51dは、半田ポット13(A001)を「出入口に移送」させる作業内容の準備指示を送信させる(図8参照)。次いで材料準備指示部51dは、保管状態が常温保管で常温放置経過時間Theが1時間と常温放置時間Th(例えば1時間)を経過している半田ポット13(B001)(図7参照)を、「攪拌部に移送」させる作業内容の準備指示を送信させる(図8参照)。
次いで半田ポット13(B001)が攪拌部18に移送されると(保管状態が攪拌前になると)、「攪拌実行」させる作業内容の準備指示を送信させる(図8参照)。次いで半田ポット13(B001)の攪拌作業が終了すると(保管状態が攪拌後になると)、材料準備指示部51dは、半田ポット13(B001)を「出入口に移送」させる作業内容の準備指示を送信させる(図8参照)。次いで保管状態が低温保管である半田ポット13(A002)(図7参照)を、「常温保管部に移送」させる作業内容の準備指示を送信させる(図8参照)。
図4において、完了時刻算出部51eは、生産状況情報Ilbに含まれる生産開始時刻、材料の残量、または生産枚数(印刷枚数)に基づいて、材料保管庫7より半田ポット13(収容体)を取り出す準備を完了させる準備完了時刻Tr(図6参照)を算出する。より具体的には、完了時刻算出部51eは、部品実装ライン5の印刷機M1で用いられているクリーム半田Pの残量(又は実装機M2,M3で用いられている接着剤の残量)と、管理記憶部52に記憶されている半田消費速度Rc(又は接着剤消費速度)に基づいて、補給用のクリーム半田P(又は接着剤)の準備を完了させる準備完了時刻Trを算出する。または、完了時刻算出部51eは、生産枚数(印刷枚数)と半田消費速度Rc(又は接着剤消費速度)に基づいて、補給用のクリーム半田P(又は接着剤)の準備を完了させる準備完了時刻Trを算出する。
半田消費速度Rcは、単位時間あたり又は実装基板の1枚あたりのクリーム半田Pの消費量であり、過去の生産実績やマスクの開口面積、マスクの厚さに基づいて求められる。すなわち、完了時刻算出部51eは、生産される実装基板の生産枚数と生産される実装基板の1枚あたりに消費される材料の消費量(半田消費速度Rc)に基づいて、材料保管庫7より収容体(半田ポット13)を取り出す準備を完了させる準備完了時刻Trを算出する準備完了時刻算出部となる。
または、完了時刻算出部51eは、過去の生産実績により半田ポット13を印刷機M1にセット、または半田ポット13が収容するクリーム半田Pを印刷機M1に補給してから消費され尽くすまでの消費時間が分かっている場合は、生産開始時間と消費時間に基づいて、準備完了時刻Trを算出する。算出された準備完了時刻Trは、管理記憶部52に記憶される。準備完了時刻Trが算出される場合、材料準備指示部51dは、取り出す半田ポット13(収容体)の準備が準備完了時刻Trの前に完了するように指示するようにしてもよい。
ここで図9を参照して、準備指示情報Peaの第2実施例(以下、「第2準備指示情報Pea2」と称す。)の一例について説明する。この例では、第2準備指示情報Pea1として、「ポット番号」欄101にポット番号、「準備完了時刻」欄102に準備完了時刻Trが含まれている。例えば、ポット番号が「A001」の半田ポット13(A001)の準備指示は、準備完了時刻Trである「2017/02/20 10:15」までに取り出し準備が完了するように作成されている。
上記のように、本実施の形態の管理コンピュータ2は、生産計画情報Ipa(Ipb)を取得する生産計画取得部51aと、材料状況情報Isa(Isb)を取得する材料状況取得部51cと、生産計画情報Ipbと材料状況情報Isbを記憶する管理記憶部52と、生産計画情報Ipbと材料状況情報Isbに基づいて、材料保管庫7より取り出す半田ポット13(収容体)の準備指示を作成して送信させる材料準備指示部51dとを備える、材料管理装置となる。これによって、基板に部品を接合させる材料(クリーム半田P、接着剤)の準備作業を考慮して効率的に材料を管理することができる。
図4において、材料保管庫7は、保管庫制御部61、保管庫記憶部62、タッチパネル15、低温保管部16、常温保管部17、攪拌部18、移送手段19、計量部20、コードリーダ21、通信部63を備えている。通信部63は通信インターフェースであり、通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ2との間で信号、情報の授受を行う。保管庫制御部61はCPU機能を備える演算装置であり、準備指示取得部61a、移送制御部61b、更新部61c、作業手順作成部61dなどの内部処理部を有している。
保管庫記憶部62は記憶装置であり、材料状況情報Isa、準備指示情報Peb、材料識別情報Ii、材料規格情報Ifb、作業手順情報Prなどを記憶する。材料状況情報Isaには、収容体(半田ポット13)が入庫してからの経過時間である材料保管時間Tseなど、材料保管庫7が保管している材料(クリーム半田P、接着剤)の状況が記憶されている(図7参照)。
材料規格情報Ifbには、低温保管時の低温保管温度、常温保管時の常温保管温度、クリーム半田Pを低温保管から常温保管に移してから攪拌するまで放置する推奨時間である常温放置時間Th(図6参照)、クリーム半田Pを攪拌部18によって攪拌させる推奨時間である攪拌時間Tm(図6参照)などがクリーム半田Pの材料種毎に記憶されている。すなわち、保管庫記憶部62には、収容体(半田ポット13)を常温保管部17に放置させる常温放置時間Th、前記攪拌部において前記材料を攪拌させる攪拌時間が記憶されている。
図4において、準備指示取得部61aは、管理コンピュータ2から準備指示情報Pea(第1準備指示情報Pea1、又は第2準備指示情報Pea2)を取得して、準備指示情報Peb(第1準備指示情報Peb1、又は第2準備指示情報Peb2)(図8、又は図9参照)として保管庫記憶部62に記憶させる。すなわち、準備指示取得部61aは、準備する材料の材料種と準備作業の内容を含む準備指示を取得する。第2準備指示情報Peb2の準備指示には、保管している半田ポット13(収容体)を出庫させる準備を完了させる準備完了時刻Trが含まれている。
移送制御部61bは、準備指示情報Pebに含まれる準備指示および材料状況情報Isaに基づいて、移送手段19を制御する制御部である。より具体的には、移送制御部61b(制御部)は、第1準備指示情報Peb1に含まれる準備指示(作業内容)に従って、半田ポット13(収容体)を、出入口14、低温保管部16、常温保管部17、攪拌部18のいずれかに移送させる。移送制御部61bは、半田ポット13を攪拌部18に移送させる際には、半田ポット13(収容体)が常温保管部17に少なくとも常温放置時間Thは放置されるように移送手段19を制御する。
また、移送制御部61b(制御部)は、低温保管部16または常温保管部17に保管されている複数の半田ポット13(収容体)のうち材料保管時間Tseが長い半田ポット13を優先して移送させるように移送手段19を制御する。これによって、材料保管時間Tseが長くて使用期限までの時間が短いクリーム半田Pを優先的に出庫させることができる。なお、材料状況情報Isaに使用期限を記憶させ、移送制御部61bは、使用期限までの時間が短い半田ポット13(クリーム半田P)を優先して移送させるように移送手段19を制御するようにしてもよい。
図4において、攪拌部18は、移送された半田ポット13(収容体)に収容されているクリーム半田P(材料)を攪拌時間Tmだけ攪拌させる。更新部61cは、半田ポット13(収容体)が移送されると材料状況情報Isaの保管状態(図7参照)を更新させる。また更新部61cは、攪拌部18がクリーム半田P(材料)を攪拌させると材料状況情報Isaの保管状態(図7参照)を更新させる。
計量部20は、半田ポット13(収容体)の重量を計量し、更新部61cは、計量された半田ポット13の重量に基づいて材料状況情報Isaの半田重量(図7参照)を更新させる。この例では、材料状況情報Isaの半田重量には、計量された半田ポット13の重量から空の半田ポット13の重量を引いて得られる半田ポット13に収容されるクリーム半田P(材料)の重量が記録されている。また、材料保管庫7から出庫された半田ポット13が再入庫した場合、更新部61cは、更新前(出庫時)の半田重量と更新後(入庫時)の半田重量との差分を使用された半田重量として算出して材料状況情報Isaに記憶させる。使用された半田重量は、次回の生産のための半田消費速度Rcの予測に用いられる。
図4において、コードリーダ21は、半田ポット13(収容体)に示された半田ポット13の識別コードC(識別情報)を認識する認識手段であり、更新部61cは、認識された半田ポット13の識別情報に基づいて材料状況情報Isaのポット番号、材料種(図7参照)などを更新させる。作業手順作成部61dは、第2準備指示情報Peb2の作業指示に含まれる準備完了時刻Tr、材料規格情報Ifbに含まれる常温放置時間Th、攪拌時間Tmに基づいて、作業対象の半田ポット13(収容体)に対する作業内容と作業開始時刻が含まれる作業手順情報Prを作成し、管理記憶部52に記憶させる。
ここで図10を参照して、作業手順情報Prの一例について説明する。この例では、作業手順情報Prとして、「ポット番号」欄111にポット番号、「作業開始時刻」欄112に各作業を開始する作業開始時刻、「作業内容」欄113に作業内容が含まれている。作業手順作成部61dは、出庫させる半田ポット13が準備完了時刻Trに出庫できる(出入口14に移送できる状態になる)ように、各作業の作業開始時刻を作成する。
例えば、ポット番号がA002の半田ポット13(A002)は、準備完了時刻Trである「2017/02/20 19:30」(図9参照)までに準備を完了(攪拌作業が終了)するように、「2017/02/20 18:00」に「常温保管部に移送」を開始し、常温保管部17に常温放置時間Th(ここでは1時間とする)放置した後、「2017/02/20 19:05 」に「攪拌部に移送」を開始し、「2017/02/20 19:15」に「攪拌実行」を開始するように作業手順が指示されている。
この作業手順に従い、移送制御部61bが移送手段19を制御し、攪拌部18が攪拌時間Tm(ここでは15分とする)だけ攪拌すると、準備完了時刻Trに準備が完了する。すなわち、作業手順情報Prに基づいて、移送制御部61b(制御部)は、準備完了時刻Trまでに、常温保管部17において半田ポット13(収容体)が少なくとも常温放置時間Thは放置され、攪拌部18において半田ポット13に収容されるクリーム半田P(材料)が攪拌時間Tmだけ攪拌されるように移送手段19を制御する。
なお、管理コンピュータ2が、材料保管庫7が備える作業手順作成部61dと同様の機能を管理制御部51が内部処理部として備え、管理コンピュータ2が作業手順情報Prを作成して材料保管庫7に作業手順として送信するようにしてもよい。
上記のように、本実施の形態の材料保管庫7は、準備指示(準備指示情報Pea(Peb))を取得する準備指示取得部61aと、材料状況情報Isaを記憶する保管庫記憶部62と、出入口14と、低温保管部16と、常温保管部17と、移送手段19と、準備指示および材料状況情報Isaに基づいて、移送手段を制御する移送制御部61bと、材料状況情報Isaを更新させる更新部61cとを備え、基板に部品を接合させる材料(クリーム半田P、接着剤)を収容した収容体(半田ポット13)を保管している。これによって、材料の準備作業を考慮して効率的に材料を保管することができる。
なお、材料保管庫7は、管理コンピュータ2が備える生産計画取得部51a、生産状況取得部51b、完了時刻算出部51eと同様の機能を保管庫制御部61が内部処理部として備え、管理記憶部52が記憶する生産計画情報Ipb、生産状況情報Ilbを保管庫記憶部62が記憶する構成でもよい。
すなわち、材料保管庫7は、基板に部品を実装した実装基板の基板種を含む生産計画情報、生産開始時刻または材料の残量を含む生産状況取得部から、保管している収容体(半田ポット13)を出庫させる準備を完了させる準備完了時刻Trを算出する準備完了時刻算出部を備えてもよい。その場合、移送制御部61b(制御部)は、準備完了時刻Trまでに、常温保管部17において収容体が少なくとも常温放置時間Thは放置され、攪拌部18において収容体に収容される材料(クリーム半田P)が攪拌時間Tmだけ攪拌されるように19移送手段を制御する。
次に図5を参照して、携帯端末9の制御系の構成について説明する。携帯端末9は、端末制御部71、端末記憶部72、端末側通信部10、タッチパネル11、コードリーダ12を備えている。端末側通信部10は、無線通信によって管理コンピュータ2との間で情報の授受を行う。端末制御部71はCPU機能を備える演算装置であり、指示取得部71a、表示処理部71bなどの内部処理部を有している。端末記憶部72は記憶装置であり、準備指示情報Pecなどを記憶する。指示取得部71aは、管理コンピュータ2から準備指示情報Pea(第1準備指示情報Pea1、又は第2準備指示情報Pea2)を取得して、準備指示情報Pec(第1準備指示情報Pec1、又は第2準備指示情報Pec2)(図8、又は図9参照)として端末記憶部72に記憶させる。
表示処理部71bは、準備指示情報Pec、コードリーダ12により認識された収容体(半田ポット13)の各種情報に基づいて、作業者が収容体を材料保管庫7に出入庫させるための画面表示を作成してタッチパネル11に表示させる。例えば、入庫処理の場合、表示処理部71bは、作業者が運搬して材料保管庫7の出入口14に挿入する収容体を特定する情報を作業順番に従って表示する。また、出庫処理の場合、表示処理部71bは、作業者が材料保管庫7の出入口14から取り出す収容体を特定する情報と、その収容体を使用する印刷機M1、実装機M2,M3を特定する情報を作業順番に従って表示する。
次に図11のフローに沿って、管理コンピュータ2(材料管理装置)による材料準備方法について説明する。まず、生産計画取得部51aは、実装基板の生産に使用されるクリーム半田P(材料)の材料種を含む生産計画情報Ipa(Ipb)を取得する(ST1:生産計画取得工程)。次いで材料状況取得部51cは、材料保管庫7において保管されている材料の材料状況情報Isa(Isb)を取得する(ST2:材料状況取得工程)。次いで材料準備指示部51dは、生産計画情報Ipbと材料状況情報Isbに基づいて、材料保管庫7より取り出す半田ポット13(収容体)の準備指示(準備指示情報Pea)を作成して送信させる(ST3:材料準備指示工程)。これによって、基板Bに部品Dを接合させる材料の準備作業を考慮して効率的に材料を管理することができる。
次に図12のフローに沿って、材料保管庫7における第1の材料保管方法について説明する。材料保管庫7の出入口14に半田ポット13(収容体)が挿入されると、移送制御部61bは移送手段19を制御して、半田ポット13を出入口14から低温保管部16に移送させる(ST11:低温保管部移送工程)。次いで準備指示取得部61aは、管理コンピュータ2より準備する材料の材料種と準備作業の内容を含む準備指示(第1準備指示情報Pea1(Peb1))(図8参照)を取得する(ST12:第1の準備指示取得工程)。
移送制御部61bは準備指示の作業内容が「常温保管部に移送」の場合(図8参照)、移送手段19を制御して、指示された半田ポット13(収容体)を低温保管部16から常温保管部17に移送させる(ST13:第1の常温保管部移送工程)。また移送制御部61bは準備指示に基づいて、常温保管部17に移送された半田ポット13を常温放置時間Thだけ放置させる(ST14:第1の常温放置工程)。
また移送制御部61bは準備指示の作業内容が「攪拌部に移送」の場合(図8参照)、移送手段19を制御して、半田ポット13を常温保管部17から攪拌部18に移送させる(ST15:第1の攪拌部移送工程)。次いで攪拌部18は準備指示の作業内容が「攪拌実行」の場合(図8参照)、攪拌部18に移送された半田ポット13に収容されるクリーム半田P(材料)を攪拌時間Tmだけ攪拌させる(ST16:第1の攪拌工程)。これによって、半田ポット13を出入口14に移送させて出庫させる準備が完了する。
このように、本実施の形態の材料保管庫7における第1の材料保管方法は、低温保管部移送工程(ST11)と、準備指示取得工程(ST12)と、第1の常温部移送工程(ST13)と、第1の常温放置工程(ST14)とを含んでいる。これによって、基板に部品を接合させる材料(クリーム半田P、接着剤)の準備作業を考慮して効率的に材料を保管することができる。
次に図13のフローに沿って、材料保管庫7における第2の材料保管方法について説明する。第2の材料保管方法は、管理コンピュータ2から取得する準備指示に準備完了時刻Trが含まれているところが第1の材料保管方法と異なる。以下、同じ工程には同じ符号を付して重複する説明は省略する。まず、材料保管庫7の出入口14に半田ポット13(収容体)が挿入されると、低温保管移送工程(ST11)が実行されて、半田ポット13が低温保管部16に移送される。
次いで準備指示取得部61aは、管理コンピュータ2より保管している半田ポット13を出庫させる準備を完了させる準備完了時刻Trを含む準備指示(第2準備指示情報Pea2(Peb2))(図9参照)を取得する(ST21:第2の準備指示取得工程)。次いで作業手順作成部61dは、準備完了時刻Trに基づいて、作業手順情報Pr(図10参照)を作成する(ST22:作業手順作成工程)。
移送制御部61bは作業手順の作業内容が「常温保管部に移送」の場合(図10参照)、移送手段19を制御して、指示された半田ポット13(収容体)を低温保管部16から常温保管部17に移送させる(ST23:第2の常温保管部移送工程)。また移送制御部61bは作業手順に基づいて、常温保管部17に移送された半田ポット13を常温放置時間Thだけ放置させる(ST24:第2の常温放置工程)。
また移送制御部61bは作業手順の作業内容が「攪拌部に移送」の場合(図10参照)、移送手段19を制御して、半田ポット13を常温保管部17から攪拌部18に移送させる(ST25:第2の攪拌部移送工程)。次いで攪拌部18は作業手順の作業内容が「攪拌実行」の場合(図10参照)、攪拌部18に移送された半田ポット13に収容されるクリーム半田P(材料)を攪拌時間Tmだけ攪拌させる(ST26:第2の攪拌工程)。これによって、準備完了時刻Trまでに、半田ポット13を出入口14に移送させて出庫させる準備が完了する。
このように、本実施の形態の材料保管庫7における第2の材料保管方法は、第2の準備指示取得工程(ST21)において取得された準備指示(第2準備指示情報Pea2(Peb2))には、保管している収容体を出庫させる準備を完了させる準備完了時刻Trが含まれており、準備完了時刻Trまでに、第2の常温放置工程(ST24)、又は第2の攪拌工程(ST26)を完了させている。これによって、基板に部品を接合させる材料(クリーム半田P、接着剤)の準備作業、準備完了時刻Trを考慮して効率的に材料を保管することができる。
次に図14のフローに沿って、完了時刻算出部51eを備える材料保管庫7における第3の材料保管方法について説明する。第3の材料保管方法は、材料保管庫7において準備完了時刻Trを算出しているところが第2の材料保管方法と異なる。以下、同じ工程には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。まず、材料保管庫7の出入口14に半田ポット13(収容体)が挿入されると、低温保管移送工程(ST11)が実行されて、半田ポット13が低温保管部16に移送される。
次いで完了時刻算出部51eは、基板に部品を実装して生産される実装基板の基板種を含む生産計画情報Ipa(Ipb)から、保管している半田ポット13を出庫させる準備を完了させる準備完了時刻Trを算出する(ST31:準備完了時刻算出工程)。次いで準備完了時刻算出工程(ST31)において算出された準備完了時刻Trに基づいて、作業手順作成工程(ST22)が実行されて作業手順情報Pr(図10)が作成される。
次いで作成された作業手順に基づいて、第2の常温保管移送工程(ST23)、第2の常温放置工程(ST24)、第2の攪拌部移送工程(ST25)、第2の攪拌工程(ST26)が実行される。これによって、準備完了時刻Trまでに、半田ポット13を出入口14に移送させて出庫させる準備が完了する。
このように、本実施の形態の完了時刻算出部51eを備える材料保管庫7における第3の材料保管方法は、生産計画情報Ipa(Ipb)から準備完了時刻Trを算出する準備完了時刻算出工程(ST31)を含み、準備完了時刻Trまでに、第2の常温放置工程(ST24)、又は第2の攪拌工程(ST26)を完了させている。これによって、基板に部品を接合させる材料(クリーム半田P、接着剤)の準備作業、準備完了時刻Trを考慮して効率的に材料を保管することができる。
以上、本発明の一実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
上述では材料管理装置(管理コンピュータ2)は材料保管庫7に対して材料の準備指示をすることを例として説明したが、材料保管庫7ではなく作業者が所持する携帯端末9に対して材料の準備指示をしてもよい。携帯端末9に対して材料の準備指示をした場合、携帯端末9のタッチパネル11に表示された準備指示に沿って作業者は材料を準備する。そのため、作業経験の浅い作業者であっても容易に作業することができ作業性が向上する。
また、材料保管庫7は常温保管部17を備えていなくてもよく、保管エリア4に材料保管庫7とは別途設けられた材料保管棚を設けてもよい。また、材料保管庫7は材料を攪拌する機能を有していなくてもよく、保管エリア4に材料保管庫7とは別途設けられた攪拌装置を設けてもよい。なお、常温保管部17または攪拌機能を材料保管庫7と別途設ける場合、材料保管棚または攪拌装置に移送させる前後に携帯端末9のコードリーダ12で識別コードCを認識することで、材料状況情報を更新させることができる。
また、低温保管を必要としない接着剤等に関しては、低温保管部16に保管せずに常温保管部17に保管するようにしてもよい。また、湿度管理が必要な材料に関して、材料保管庫7に防湿保管部を設けて材料の保管をしてもよい。また、生産計画情報Ipb、常温保管部17の保管状況、または移送手段19の稼働状況に基づいて複数の材料に対して準備作業を同時におこなってもよい。また、割り込み生産等で生産計画情報Ipbの変更があった場合、生産計画情報Ipbの変更前に準備をしていた材料を生産計画情報Ipbの変更後の別の生産に準備できる場合はその材料を用いてもよい。