JP2018189244A - おねじ部材 - Google Patents
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Abstract
Description
めねじ部材に螺合して締め付ける際には、先端の円筒状ガイドによって傾きが矯正されながら挿入されていき、続いて案内ねじ部が挿入され、案内ねじ山がめねじ部材のめねじ山と係合し、ピッチを整えながら通常ねじ山と螺合されるように案内されていく。
前記案内ねじ山と円筒状ガイドとの間にねじ無し領域を設け、前記案内ねじ山の先端と円筒状ガイドとの間に軸方向の隙間を形成したことを特徴とする。
このように、案内ねじ山の先端と円筒状ガイドとの間に軸方向の隙間を形成したことにより、案内ねじ山の先端と円筒状ガイドとの間にくさび状の段差がなくなり、転造時に案内ねじ山と円筒状ガイドの間に生じる加工応力を可及的に緩和することができる。
また、案内ねじ山と円筒状ガイドとの間に軸方向の隙間を設けることにより、案内ねじ
山がめねじ部材の入口に係合するまでの円筒状ガイドの進入量を長くすることができ、円筒状ガイドの外径の寸法精度を上げることなく、ボルト挿入時の傾きを可及的に小さくすることができるという効果も得られる。円筒状ガイドが短くなればなるほど、進入量による影響が大きい。
案内ねじ山の外径とめねじ部材の内径間の隙間は、プラス隙間とマイナス隙間が生じるが、寸法公差は同等でも、プラス隙間は従来よりも狭くすることができ、案内ねじ山をより確実にめねじ部材のねじ山に係合させてピッチを整えることができる。また、マイナス隙間が生じて、案内ねじ山の一部がめねじ部材のねじ山に引っ掛かっても、引っ掛かった分だけ180°反対側の部分はめねじから離間する方向となるので、干渉することなく傾きは吸収可能である。
また、本発明は、案内ねじ山の頂部断面形状を前記通常ねじ山の頂部断面形状と同一形状とすると共に、前記案内ねじ山のねじ山角を通常ねじ山のねじ山角と同一とすることができる。
案内ねじ山の頂部及びフランク面形状を案内ねじ山の頂部及びフランク面形状と同一形状とすることにより、案内ねじ山がめねじねじ山に確実に係合し、ピッチを整えることができる。また、案内ねじ山のフランク面が通常ねじ山のフランク面に連続しているので、案内ねじ山から通常ねじ山にスムースに案内することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るおねじ部材を示している。
図において、1はおねじ部材全体を示すもので、このおねじ部材1は、頭部10と軸部20とを備え、軸部20は、通常ねじ山21が形成された通常ねじ部22と、軸部先端側に設けられるパイロット部30と、を有している。
頭部10の形状については、図では鍔付きの六角形状を例示しているが、特に限定されるものはではなく、種々の形状の頭部形状が適用可能である。
案内ねじ山25は、通常ねじ山21より小径で、通常ねじ山21より山高さが低く設定されており、通常ねじ山21から案内ねじ山25に移行する移行領域28には、案内ねじ
山25から通常ねじ山21に連続して移行する移行ねじ山27が設けられている。
通常ねじ山21はJIS規格のメートルねじであり、断面形状は、円弧状の頂部21aを有する山形で、傾斜面となるフランク面21b、21cは、中心軸線N1に対して直交するねじ山中心線Mに対して、対称的に傾斜している。この例では、ねじ山角度θは60
°(左右のフランク角はθ/2で、共に30°)となっている。
案内ねじ山25も、通常ねじ山21と同一の曲率半径を有する頂部25aと、同一のねじ山角度θを有するフランク面25b、25cを備えた断面形状であるが、その山高さh5は通常ねじ山21の山高さh1よりも低く、通常ねじ山21の0.2〜0.3倍程度に設定されている。
案内ねじ山25の谷径は通常ねじ山21の谷径と同一であるが、その谷部25dの形状は、通常ねじ山21のアール形状の谷部21dと異なり、直線状の円筒面となっている。
この実施の形態では、案内ねじ山25から通常ねじ山21への移行は、1.5ピッチから2ピッチの間で移行する。移行長さが極端に短いと、斜め矯正が行われないうちに通常ねじ山21が嵌め合おうとするため、かじりが発生しやすくなる。移行長さが長すぎると、軽量化の観点から見て重量増につながるため不利となる。
案内ねじ山25は、2.5〜4ピッチ程度の長さに設定され、その先端側部分は、頂部25aの形状とねじ山角度θを維持したまま山高さを低くし、先端25eにて円筒状の谷部25dに収束させている。不完全山としないことで、めねじピッチとのピッチ合わせが容易となり、かじりの発生を起こさせない機構となる。このねじ山形状は、斜めねじ込み特性に大きく影響するもので、不完全山となると、外径が張らず、狙いの外径まで出すことができなくなる。この先端25eから案内ねじ山25の正規の山高さh5までの立ち上がり範囲については、0.2〜0.4ピッチ程度かけて立ち上がるようになっている。
このように、案内ねじ山25の先端と円筒状ガイド24との間に軸方向の隙間gを形成したことにより、案内ねじ山25の先端と円筒状ガイド24との間にくさび状の段差がなくなり、転造時に案内ねじ山25と円筒状ガイド24の間に生じる加工応力を可及的に緩和することができ、転造工具の命数を増加させることができる。
転造工具の命数増加の観点では、隙間gが大きい方が好ましいが、隙間gを大きくすると、案内ねじ山25の長さが短くなり、ピッチ合わせの観点では、隙間gが小さい方が好ましい。
また、あまり隙間gを小さくすると、ねじ無領域29があっても、転造時に、円筒状ガイド24の付け根と案内ねじ部26の円筒状の谷部25dとの段差24bと案内ねじ25
の先端25eの間の加工応力が高くなるので、隙間gは0.1〜0.2mm程度が好適
である。
案内ねじ山25の外径d5は、めねじ部材110の内径規格範囲の中央から下限値の間で設定され(図3)、円筒状ガイド24がめねじ部材110に挿入された後に、めねじピッチとのピッチ合わせを行う役割を果たす。このピッチ合わせによって、後続する通常ねじ山21の齧りや焼き付きが防止される。
より詳細には、案内ねじ山25の外径d5の寸法公差は、めねじ部材110の規格範囲(寸法公差)の中央から下限値の範囲に設定される。中央値で比較すると、めねじ部材110の内径Dよりも案内ねじ山25の外径の方が小さくなるように設定されている。
一方、円筒状ガイド24の外径d1は、めねじ部材110の内径Dよりも小さい。実際には、内径規格下限値と(めねじ部材内径規格下限値―α[mm])の範囲に設定されるαとしては、0.5[mm]程度に設定され、クリアランスの小さい状態でめねじ部材110へ挿入して傾きが補正される。案内ねじ山25の山高さにすれば、通常ねじ山21の0.2〜0.3倍程度となる。
締め付け作業に当たって、まず、パイロット部30の円筒状ガイド24がめねじ部材110のねじ穴112に挿入される。円筒状ガイド24の外径d1はめねじ部材110の内径Dよりも小径となっているので、円筒状ガイド24がねじ穴112内周面に案内されながら、ねじ穴112内に挿入され、おねじ部材1の軸部20とめねじ部材110との心合わせがなされる。
しかし、円筒状ガイド24とねじ穴112内周面との間に隙間があるので、案内ねじ山25の先端25eがねじ穴112の入口にてめねじ部材110のねじ山114に係合した場合、係合部に対して180°反対側にて円筒状ガイド24の先端部24aがねじ穴112内周に係合して傾く。円筒状ガイド24とねじ穴112間の隙間が小さいほど傾きを小さくできるが、寸法精度を高くする必要がある。
さらに、本実施の形態では、案内ねじ山25は、先端から徐々に所定の山高さまで立ち上がるので、先端から所定量は案内ねじ山25がねじ穴112の入口のねじ山114に係合することなく、案内ねじ部26が所定量挿入されることとなり、傾き矯正効果が高くなっている。
特に、案内ねじ山25の谷部25dは円筒面となっており、この円筒面状の谷部25dがめねじ部材110の内周面に係合するので、これによっても傾き矯正がなされる。
特に、案内ねじ山25は通常ねじ山21と同じ頂部形状とねじ山角を有しているので、めねじ部材110のねじ山114に、より確実に係合し、ピッチを正確に合わせることが
できる。さらに、案内ねじ山25のフランク面25b、25c及び移行ねじ山27のフランク面27b、27cが通常ねじ山21のフランク面21b、21cに連続しているので、案内ねじ山25から通常ねじ山21にスムースに案内される。したがって、円筒状ガイド24及び案内ねじ山25を安定して案内でき、従来よりもパイロット部30の長さを短くして軽量化を図ることができる。
この先端ガイド部50の形状は円錐台状に傾斜する構成で、図示例では傾斜角βは90°で、先端径は円筒状ガイド24の径の1/3程度となっている。傾斜角βは90°に限定されず、傾斜面は直線に限定されず円弧状等の曲線でもよい。このように先端ガイド部50を設ければ、重量は増大するものの、ねじ穴への挿入時に、ねじ穴とねじ軸の軸心がずれていても、先端ガイド部50でねじ穴を探ることができ、穴探り性が向上する。進入角度が大きくなるものの、その後の円筒状ガイド24及び案内ねじ山25によって自動的にピッチ合わせが行われるので、利便性が高い。
上記実施の形態では、円筒状ガイド24の軸方向長さLを、通常ねじ部22の呼び径(外径)dの0.25〜0.20程度の長さに設定しているが、穴探り性を優先する分だけ、傾き補正のために、上記した実施の形態よりも円筒ガイド24の軸方向長さを長くしている。この長さは、通常ねじ部22の呼び径(外径)dの0.35〜0.6倍程度とすることが好ましい。
また、上記実施の形態では、案内ねじ山25を通常ねじ山21と同一の頂部断面形状及び同一のねじ山角度のフランク面を有する形状としているが、完全に同一ではなく多少の相違があってもよいし、場合によっては、不完全なねじ山形状となっていてもよい。
また、上記実施の形態では、案内ねじ山25が徐々に収束していく範囲を1.5〜2ピッチとしているが、この範囲に限定されるものではなく、短くてもよいし、長くなっていてもよい。
また、案内ねじ山25の先端は、頂部断面形状を保ちながら、所定高さから徐々に低くなって円筒状谷部の円筒面に収束する形状となっているが、収束途中段階の案内ねじ山25の形状は、必ずしも頂部断面形状を保っていなくてもよく、たとえば不完全ねじ山の形状でもよい。
10 頭部
20 軸部
21 通常ねじ山
21a 頂部、21b,21c フランク面
22 通常ねじ部
24 円筒状ガイド、24e 先端
25 案内ねじ山
25a 頂部、25d 円筒状谷部、25e 先端
26 案内ねじ部
27 移行ねじ山
29 ねじ無し領域
30 パイロット部
50 先端ガイド部
110 めねじ部材、112 ねじ穴、114 ねじ山
D めねじ部材の内径
M ねじ山中心線
N1 中心軸線
d 通常ねじ山21の外径(呼び径)
d1 円筒状ガイドの外径
d2 案内ねじ山の外径
g 隙間
θ ねじ山角度
Claims (5)
- 頭部と軸部とを備え、前記軸部は、めねじ部材と締結を行う通常ねじ山を形成した通常ねじ部と、該通常ねじ部に対して軸部先端側に設けられ前記通常ねじ山より小径で同一ピッチの案内ねじ山が形成された案内ねじ部と、案内ねじ部のさらに軸部先端側に設けられた外周面が円筒状で外径がめねじ部材の内径より小さいガイドと、を有するおねじ部材において、
前記案内ねじ山と前記ガイドとの間にねじ無し領域を設け、前記案内ねじ山の先端と前記ガイドとの間に軸方向の隙間を形成し、
前記案内ねじ山の谷部の外周面は、通常ねじ山の谷径と同一径で、前記ガイドのより小径の円筒面となっていることを特徴とするおねじ部材。 - 前記案内ねじ山の径の寸法公差を、めねじ部材の内径の寸法公差範囲の中央から下限値の範囲に設定した請求項1に記載のおねじ部材。
- 前記案内ねじ山は、通常ねじ山と同一の頂部断面形状及び同一のねじ山角度のフランク面を有している請求項1又は2に記載のおねじ部材。
- 前記通常ねじ山から案内ねじ山に移行する移行ねじ山は、前記通常ねじ山と同一の頂部断面形状及び同一のねじ山角度のフランク面を有している請求項1乃至3のいずれかの項に記載のおねじ部材。
- 前記案内ねじ山の先端は、頂部断面形状を保ちながら、所定高さから徐々に低くなって円筒状谷部の円筒面に収束する形状となっている請求項1乃至4のいずれかの項に記載のおねじ部材。
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