JP2018188518A - 顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物 - Google Patents

顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】顔料の平均分散粒子径が小さく、分散性に優れ、かつ、医薬品や食品等の錠剤等に対してインクジェット方式で直接印刷することが可能な可食性の顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る顔料組成物は、酸化チタン粒子、及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料と、質量平均分子量が10000以下の顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとを含み、前記酸化チタン粒子又は前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径と、分散した酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径D50の比が、1:0.3〜1:3の範囲内であることを特徴とする。また、本発明に係るインクジェット用水性インク組成物は前記顔料組成物を含み、かつ、可食性を有することを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物に関し、より詳細には、分散性に優れ、医薬品や食品等の錠剤等に対して、インクジェット方式で直接印刷することが可能な可食性の顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物に関する。
錠剤の医薬品やサプリメント等の食品に対しては、パッケージだけでなく錠剤本体にも製品情報を表示することによって、調剤ミスや誤飲防止などが図られている。表面がコーティングされた錠剤に対しては、グラビア印刷などの接触方式で印刷可能であるが、表面の平滑性が悪い素錠やOD(口腔内崩壊)錠では接触方式による印刷が困難となっている。そのため、これらの錠剤に対しては、簡単な文字しか表示できない刻印方式が主流となっている。従って、製薬業界では、素錠やOD錠等に対しても製品情報を表示することが可能な、新たな印刷方法に対するニーズが高まっている。
そのような印刷方法としては、例えば、染料を用いた水性インク組成物によるインクジェット方式の印刷が挙げられる(下記特許文献1参照)。しかしながら、従来の水性インク組成物においては、可食性の白色染料を用いたものが存在しない。そのため、酸化チタンなどの白色顔料を用いた水性インク組成物の使用が考えられる。しかし、酸化チタンは比重が重い無機顔料であるため、インクジェット用水性インクに適用することが可能な水準での分散性を確保することが困難である。また、酸化チタンを良好に分散させるための顔料分散剤についても、薬事法で定める医薬品添加物等の基準に適合したものを使用しなければならず、材料選定の困難さもある。その結果、現在までのところ、白色顔料を用いた水性インク組成物については、これらの課題を解決したものが上市されていない。
特開2011−236279号公報
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、顔料の平均分散粒子径が小さく、分散性に優れ、かつ、医薬品や食品等の錠剤等に対してインクジェット方式で直接印刷することが可能な可食性の顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物を提供することにある。
本願発明者等は、前記問題点を解決すべく、顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物について検討した結果、下記構成を採用することにより前記の問題点を解決できることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る顔料組成物は、前記の課題を解決する為に、酸化チタン粒子、及び/又は表面が親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料と、質量平均分子量が10000以下の顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとを含み、前記酸化チタン粒子又は前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径と、分散した酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径D50の比が、1:0.3〜1:3の範囲内であることを特徴とする。
前記の構成によれば、酸化チタン粒子及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料の顔料分散剤として、質量平均分子量が10000以下の範囲内のポリアクリル酸ナトリウムを用いることにより、酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径と、分散した酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径D50の比を1:0.3〜1:3の範囲内とし、顔料の平均分散粒子径を平均一次粒子径に近いレベルまで低減させることができる。これにより、前記顔料の再凝集を防止し、分散性に優れた顔料組成物を提供することができる。
また、前記の構成によれば、染料の代わりに酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子からなる顔料を用いるので、本発明の顔料組成物を、例えば、インクジェット用水性インク組成物に用いた場合には、染料を用いたインク組成物と比較して、耐光性の向上が図れる。
前記構成に於いては、前記酸化チタン粒子の表面が親水性であることが好ましい。これにより、酸化チタン粒子の平均一次粒子径と、分散した酸化チタン粒子の平均分散粒子径D50の比を1:0.3〜1:3の範囲内にすることができる。
前記構成に於いては、前記酸化チタン粒子又は前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径が20nm〜400nmの範囲内であることが好ましい。酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径を20nm以上にすることにより、印刷画像の耐光性の低下を抑制することができる。その一方、前記平均一次粒子径を400nm以下にすることにより、インク中での顔料の沈降やノズルの目詰まりを防止することができる。
高色彩化が図れる。
また、前記構成に於いては、前記分散した酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径D50が20nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。分散した酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子のD50を20nm以上にすることにより、保存安定性、耐光性及び吐出安定性の低下を抑制し、印刷濃度の低減も防止することができる。その一方、前記D50を500nm以下にすることにより、酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子からなる顔料の分離や沈降及び凝集を防止し、保存安定性の維持が図れる。
また、前記構成に於いては、前記酸化チタン粒子及び/又は前記酸化亜鉛粒子からなる顔料と前記ポリアクリル酸ナトリウムとの含有比が、質量基準で1:0.05〜1:1.5の範囲内であることが好ましい。これにより、顔料の分散性の低下を防止すると共に、ノズルの目詰まり等に起因する吐出安定性の低下も防止することができる。従って、前記構成の顔料組成物を水性インク組成物に適用した場合には、インクジェット方式での印刷を可能にする。また、上述の通り、耐光性にも優れているので、印刷画像の滲みの発生も防止することができる。
本発明に係るインクジェット用水性インク組成物は、前記の課題を解決する為に、前記顔料組成物を含み、かつ、可食性を有するものであることを特徴とする。
前記顔料組成物においては、薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準に適合したポリアクリル酸ナトリウムが顔料分散剤として含まれるので、当該顔料組成物を含むインクジェット用水性インク組成物は、医薬品や食品等の錠剤に対し、インクジェット方式で直接印刷するインク材料に好適に用いることができる。また、前記顔料組成物においては、染料の代わりに酸化チタン粒子及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料を用いているので、例えば、医薬品等の錠剤表面にインクジェット方式で印刷しても、印刷画像は耐光性に優れ、かつ、滲みの発生を防止することができる。尚、可食性とは、医薬品若しくは医薬品添加物として経口投与が認められている物質、及び/又は食品若しくは食品添加物として認められている物質のみからなることを意味する。
本発明によれば、薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準に適合し、かつ、酸化チタン粒子及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料に対し良好な分散性を付与するポリアクリル酸ナトリウムを含有させるので、医薬品や食品等の錠剤等に対し、インクジェット方式で、良好な吐出安定性にて直接印刷することが可能な顔料組成物及びインクジェット用水性インク組成物を提供することができる。また、酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子からなる顔料を用いたインクジェット用水性インク組成物は、染料等を用いたものと比較して耐光性に優れ、印刷画像の滲みも防止することができる。
(顔料組成物及びその製造方法)
本実施の形態に係る顔料組成物は、酸化チタン(TiO)粒子、及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化されていない酸化亜鉛(ZnO)粒子からなる顔料と、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとを少なくとも含む顔料分散体の組成物である(以下、「酸化チタン粒子、及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化されていない酸化亜鉛粒子を「酸化チタン粒子等」といい、酸化チタン粒子等からなる顔料を「顔料」という場合がある。)。
前記酸化チタン粒子からなる顔料は白色顔料であり、他の公知の白色顔料と比較して比重が小さく、屈折率が大きい。また、酸化チタンの顔料は化学的・物理的にも安定である。そのため、酸化チタン粒子からなる顔料は隠蔽性や着色性に優れ、更に酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。また、前記酸化亜鉛粒子からなる顔料も白色顔料であり、紫外線遮蔽性を有する無機顔料である。尚、本実施の形態の顔料組成物には前記顔料以外に、公知の顔料が含まれていてもよい。
本実施の形態において、酸化チタン粒子としては結晶構造がアナターゼ型(正方晶)、ルチル型(正方晶)又はブルーカイト型(斜方晶)の何れのものも使用可能である。但し、本実施の形態の顔料組成物をインクジェット用水性インク組成物に適用する場合、印刷画像の隠蔽性向上の観点からは、ルチル型結晶構造の酸化チタンが好ましい。これにより、印刷画像が、その被印刷(形成)面から目視にて観察されるのを防止することができる。また、ルチル型結晶構造の酸化チタンは可視光(波長域360nm〜830nm)の屈折率も高いため発色性の向上も図れる。一方、アナターゼ型結晶構造の酸化チタンは光触媒としての機能を有するため、これを本実施の形態の顔料組成物に用いた場合には、光触媒材のインクジェット方式による塗布を可能にする。その結果、従来のスプレー方式による光触媒材の塗布と比較して、噴霧された光触媒材の飛散によるロスを大幅に低減し、塗布精度の向上が図れる。尚、本発明に於いて酸化チタン粒子とは、特に断らない限り結晶性の酸化チタン粒子を意味する。
前記酸化チタン粒子の表面は親水性であることが好ましい。これにより、分散した酸化チタン粒子の平均分散粒子径を、当該酸化チタン粒子の平均一次粒子径に近づけることが可能になる(詳細については後述する。)。酸化チタン粒子の表面には、通常、ヒドロキシル基が存在しており、これにより酸化チタン粒子の表面は親水性を示す。尚、本発明において「親水性」とは、酸化チタン粒子の表面において水に対する親和性を有する官能基等が存在することをいう。
また、本発明に於いては、酸化チタン粒子の表面の親水性を向上させ、又は維持させるとの観点から、親水化処理を行ってもよい。酸化チタン粒子の表面を親水化処理する場合、例えば、無機化合物及び/又は有機化合物の表面処理剤を用いることが可能である。
前記無機化合物の表面処理剤としては特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、シリカ、酸化セリウム等が挙げられる。また、前記有機化合物の表面処理剤としては特に限定されず、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー、メチルフェニルシリコーン、アミノ変性シリコーン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン等のシリコーンオイル;ステアリン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、トリプロパノールエタン、ジトリメチロールプロパン、トリメチロールプロパンエトキシレート等の多価アルコール;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン等のアルカノールアミン、又はそれらの塩酸塩若しくは有機酸塩等の誘導体;カプリリルシラン、デシルシラン、パーフルオロオクチルシランといったアルキルシラン、アルキルチタネート、アルキルアルミネート、ポリオレフィン、ポリエステル、ラウロイルリシン等のアミノ酸;チタニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの有機化合物から選択される少なくとも1の化合物で表面処理を行うことができる。また、無機化合物と有機化合物を組み合わせて親水化処理を行ってもよい。
酸化チタン粒子としては市販品を用いることも可能であり、そのような市販品としては、例えば、STR−100N(商品名、堺化学工業(株)製、ルチル型)、TTO−51A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO−55A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO−55A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、TTO−80A(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MPT−140(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MPT−141(商品名、石原産業(株)、ルチル型)、MKR−1(商品名、堺化学工業(株)、ルチル型)、KA−10(商品名、チタン工業(株)、アナターゼ型)等が挙げられる。
本実施の形態において、酸化亜鉛粒子としてはその表面が二酸化ケイ素の水和物(含水シリカ)により親水化処理されていないものを用いる。すなわち、表面に二酸化ケイ素の水和物(含水シリカ)からなる被膜を形成して親水化処理した酸化亜鉛粒子を、顔料分散剤として後述のポリアクリル酸ナトリウムと共に用いた場合、当該酸化亜鉛粒子からなる顔料の平均分散粒子径は大きくなり、保存安定性が低下することがある。酸化亜鉛粒子として、その表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化処理されていないものを用いることにより、分散した酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径を、当該酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径に近づけることが可能になる。尚、本発明に於いて酸化亜鉛粒子とは、特に断らない限り結晶性の酸化亜鉛粒子を意味する。また、本発明の酸化亜鉛粒子においては、二酸化ケイ素の水和物以外の化合物により表面が被覆されて親水化処理されたものを含む。
酸化亜鉛粒子としては市販品を用いることも可能であり、そのような市販品としては、例えば、FINEX−50(商品名、堺化学工業(株)製)、FINEX−30(商品名、堺化学工業(株)製)、FINEX−25(商品名、堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
酸化チタン粒子及び/又は表面が親水化処理されていない酸化亜鉛粒子(以下、「酸化チタン粒子等」という場合がある。)の顔料は、本実施の形態の顔料組成物を医薬品やサプリメント等の錠剤表面への印刷用として用いる場合、薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準(以下、「薬事法等の基準」という。)に適合するものであることが好ましい。
前記酸化チタン粒子等の平均一次粒子径(体積平均粒子径)としては、20nm〜400nmが好ましく、30nm〜200nmがより好ましく、40nm〜100nmが特に好ましい。前記平均一次粒子径を20nm以上にすることにより、印刷画像の耐光性の低下を抑制すると共に、顔料の濃度を大きくすることができ、透明性の向上が図れる。また、十分な隠蔽性を確保することもできる。その一方、前記平均一次粒子径を400nm以下にすることにより、高色彩化が図れると共に、酸化チタン粒子等の沈降やノズルの目詰まりの防止が可能になる。また、通常、平均一次粒子径が大きい顔料粒子を選択した場合、インクジェット方式での印刷に求められる平均分散粒子径のレベルでの顔料分散を可能にするために、顔料粒子を十分に摩砕するための工程時間が長くなる。しかし、上述の通り、前記平均一次粒子径を400nm以下にすることにより、工程時間の長期化も抑制することができる。
尚、本発明において前記「平均一次粒子径」とは一次粒子の平均粒子径を意味し、一次粒子とは一般的に粉末を構成する最も小さい粒子のことをいい、単結晶又はそれに近い結晶子が集まって形成している粒子を含む意味である。
また、前記平均一次粒子径は酸化チタン粒子等を電子顕微鏡で観察して求めた算術平均径である。本実施の形態に於いては、単分散の粒径分布を持つ酸化チタン粒子等を用いるが、本発明はこれに限定されず、多分散の粒径分布を持つ酸化チタン粒子等を用いてもよい。また、単分散の粒径分布を持つ顔料を2種以上混合して使用してもよい。
酸化チタン粒子等の形状は特に限定されず、球状、棒状、針状、紡錘状、板状等の任意の形状のものを使用することができる。本実施の形態においては同種の形状の酸化チタン粒子等を用いてもよく、2種以上の異なる形状のものを混合して用いてもよい。尚、棒状、針状、紡錘状粒子である場合の前記平均一次粒子径は長軸の長さ(又は高さ)と短軸の長さ(又は幅)の相乗平均値で規定する。
前記顔料の含有量は画像濃度に直接影響するものであり、後述の水性インク組成物の保存性や粘度、pH等に影響を及ぼすものであることから、これらの点を考慮して適宜設定すればよい。通常は、顔料組成物の全質量に対し2質量%〜20質量%の範囲内が好ましく、5質量%〜15質量%の範囲内がより好ましい。酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子からなる顔料の含有量を2質量%以上にすることにより、画像濃度の低下を抑制することができる。その一方、酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子からなる顔料の含有量を20質量%以下にすることにより、光沢性の低下やノズルの目詰まり、吐出安定性の低下を防止することができる。
前記ポリアクリル酸ナトリウムは、本実施の形態の顔料に対し顔料分散剤として機能する。ポリアクリル酸ナトリウムを配合することにより、顔料の分散性の向上が図れる。また、ポリアクリル酸ナトリウムは、薬事法等で定める基準に適合するものである。従って、ポリアクリル酸ナトリウムは、医薬品又は食品等の錠剤等への印刷に好適に用いることができる。
ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量は10000以下であり、好ましくは1500〜10000、より好ましくは2000〜8000である。ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量を10000以下にすることにより、酸化チタン粒子等の表面に吸着するポリアクリル酸ナトリウムの分子鎖が過度に長くなるのを防止する。その結果、酸化チタン粒子等からなる顔料同士が架橋されて凝集するのを低減することができる。尚、ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量を1500以上にすることにより、酸化チタン粒子等の表面に吸着したポリアクリル酸ナトリウムが立体障害等による反発力を十分に発揮させることを可能にする。その結果、酸化チタン粒子等同士が再凝集するのを抑制することができる。尚、ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量は、例えば、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値である。
本実施の形態の顔料と前記ポリアクリル酸ナトリウムとの含有比は、質量基準で1:0.05〜1:1.5であることが好ましく、1:0.1〜1:1であることがより好ましい。前記含有比を1:0.05以上にすることにより、酸化チタン粒子の顔料の分散性の低下を防止することができる。その一方、前記含有比を1:1.5以下にすることにより、例えば、インクジェット用水性インク組成物に用いた場合に、ノズルプレートの付着に起因する吐出安定性の低下を防止することができる。
尚、ポリアクリル酸ナトリウムは、例えば、後述する分散媒に添加する際に、他の従来の顔料分散剤と比べ、比較的気泡が発生しにくい。そのため、本実施の形態の顔料組成物においては消泡剤の添加を省略することができる。
本実施の形態に係る顔料組成物に於いては、酸化チタン粒子及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化処理されていない酸化亜鉛粒子の顔料を分散させるための分散媒が含まれる。分散媒としては水が挙げられ、より詳細には、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものが挙げられる。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間にわたってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、分散媒の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
また、前記分散媒としては、前記水と水溶性有機溶剤の混合溶液を用いてもよい。前記水溶性有機溶剤としては特に限定されず、具体的には、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−へキサントリオール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどの多価アルコール類;N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらは一種単独で、又は二種以上を混合して用いてもよい。また、これらの水溶性有機溶剤のうち、薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準に該当するものとして、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンが好ましい。さらに、分散媒に水溶性有機溶剤を用いる場合の配合量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
分散状態にある酸化チタン粒子等の平均分散粒子径D50は、20nm〜500nmの範囲内が好ましく、40nm〜100nmの範囲内がより好ましい。また、前記顔料の分散粒子径D99(体積積算粒度分布における積算粒度で99%の粒径)は、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。前記D50を20nm以上にすることにより、保存安定性、耐光性及び吐出安定性の悪化を防止し、印刷濃度の低下も防止することができる。その一方、前記D50を500nm以下、又はD99を1000nm以下にすることにより、前記顔料の分離や沈降及び凝集を防止し、保存安定性の維持が図れる。尚、顔料の平均分散粒子径D50及びD99は、マイクロトラックUPA−EX150(商品名、日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定した値である。
また、酸化チタン粒子等の平均一次粒子径と、分散媒に分散した酸化チタン粒子等の平均分散粒子径D50の比は1:0.3〜1:3の範囲内である。本実施の形態においては、酸化チタン粒子等の顔料に対し、顔料分散剤として質量平均分子量が10000以下のポリアクリル酸ナトリウムを用いることにより、酸化チタン粒子等の平均分散粒子径を酸化チタン粒子等の平均一次粒子径とほぼ同様のレベルにすることができる。その結果、例えば、平均一次粒子径が小さい酸化チタン粒子等を用いた場合には、平均分散粒子径D50の小さい顔料組成物を得ることができ、顔料の分離や沈降及び凝集を防止し、保存安定性の維持が図れる。尚、前記酸化チタン粒子等の平均一次粒子径と、酸化チタン粒子等の平均分散粒子径D50の比は、好ましくは1:0.5〜1:2.5、より好ましくは1:0.8〜1:2である。
本実施の形態の顔料組成物の製造方法において、酸化チタン粒子及び/又は表面が親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料、ポリアクリル酸ナトリウム、分散媒及び必要に応じて配合するその他の添加剤の混合方法や添加順序は、特に限定されない。例えば、酸化チタン粒子及び/又は酸化亜鉛粒子の顔料、ポリアクリル酸ナトリウム及び分散媒としての水等を一度に混合し、この混合液に対し通常の分散機を用いて分散処理を施してもよい。
但し、本実施の形態に於いては、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムを用いることにより、顔料組成物に気泡が発生するのを抑制することができる。そのため、当該気泡を低減又は消失させるための消泡工程を省略することができ、製造効率の向上が図れる。また、消泡剤の含有も省略できるので、薬事法等の基準に適合した顔料組成物の製造が一層容易になる。
分散処理における分散時間は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。顔料の分散処理の際に使用される前記分散機としては、一般に使用される分散機であれば特に限定されない。具体的には、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、ナノマイザー等が挙げられる。
尚、本実施の形態の顔料組成物は、最終製品たるインクジェット用水性インク組成物(詳細については後述する)の形態のほか、当該水性インク組成物を調製するための顔料分散液の形態をも包含するものである。
(インクジェット用水性インク組成物及びその製造方法)
本実施の形態に係るインクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という。)は、少なくとも前記顔料組成物を含み、主溶媒が水である水性インクである。また、本実施の形態の水性インク組成物は可食性を有し、インクジェット記録用として好適に用いられるものである。さらに、水性インク組成物は色材として顔料が用いられることから、染料を用いたインク組成物と比較して発色性や耐光性、耐水性等の点で優れている。
前記顔料組成物の含有量は、水性インク組成物の全質量に対し顔料分換算で2質量%〜40質量%の範囲が好ましく、5質量%〜30質量%の範囲内がより好ましい。顔料組成物の含有量を2質量%以上にすることにより、着色力を向上させることができる。その一方、顔料組成物の含有量を40質量%以下にすることにより、分散性を向上させることができる。
本実施の形態に係る水性インク組成物に於いては、水(主溶媒としての水)を含有する。前記水としては、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水等のイオン性不純物を除去したものを用いるのが好ましい。特に、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間にわたってカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。また、水の含有量としては特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
本実施の形態の水性インク組成物においては、その他の添加剤が配合されていてもよい。但し、医薬品等の錠剤に対するインクジェット用インクとして用いる場合には、薬事法等の基準に適合するものであることが好ましい。また、本実施の形態に於いては、顔料分散剤であるポリアクリル酸ナトリウムの添加により気泡の発生を抑制することができることから、消泡剤の添加を省略することができる。さらに、インクジェットヘッドから本実施の形態の水性インク組成物を吐出させる際には、当該気泡が当該水性インク組成物中に存在しないことから、ノズル抜けや吐出不良、オープンタイムの低下も抑制することができる。
前記添加剤としては、表面張力調整剤、湿潤剤(乾燥防止剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、粘度調整剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤の含有量は特に限定されず、適宜必要に応じて設定することができる。
前記表面張力調整剤としては、薬事法等の基準に適合するものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、グリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。前記グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、カプリル酸デカグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル等が挙げられる。
前記表面張力調整剤の添加量は、水性インク組成物の表面張力を25〜40mN/mに調整できる範囲が好ましく、27〜36mN/mに調整できる範囲がより好ましい。添加量が前記範囲内であると、インクジェット方式での印刷の際の吐出安定性の確保等が図れる。
前記湿潤剤としては、薬事法等の基準に適合するものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
前記湿潤剤の添加量は、水性インク組成物の全質量に対し、3質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。
本実施の形態の水性インク組成物の粘度は、インクジェットノズルからの吐出安定性を考慮すると、インクジェットノズル吐出時において、2mPa・s〜7mPa・sが好ましく、3mPa・s〜5mPa・sがより好ましい。水性インク組成物の粘度を前記数値範囲内にすることにより、インクジェットノズルでの目詰まりの発生を抑制して良好な吐出安定性の維持が図れ、飛翔性の低下を抑制することができる。尚、水性インク組成物の粘度は、例えば、粘度計(商品名:VISCOMATE MODEL VM−10A、(株)セコニック製)を用いて、測定温度25℃の条件下で測定することにより得られる。
本実施の形態の水性インク組成物は、前述の各成分を適宜な方法で混合することよって製造することができる。即ち、例えば、顔料組成物の分散液に、別途前記添加剤等を加え、更に水にて希釈する。その後、十分に撹拌し、必要に応じて目詰まりの原因となる粗大粒子及び異物を除去するための濾過を行う。これにより、本実施の形態に係る水性インク組成物を得ることができる。
また、本実施の形態に於いては、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムを用いることにより、水性インク組成物に気泡が発生するのを抑制することができる。そのため、当該気泡を低減又は消失させるための消泡工程を省略することができ、製造効率の向上が図れると共に、消泡剤の含有も省略できるので、薬事法等の基準に適合した水性インク組成物の製造が一層容易になる。
尚、各材料の混合方法としては特に限定されず、例えば、メカニカルスターラー、マグネチックスターラー等の撹拌装置を備えた容器に順次材料を添加して撹拌混合を行う。また、濾過方法としては特に限定されず、例えば、遠心濾過、フィルター濾過等を採用することができる。
本実施の形態の水性インク組成物は、インクや塗料に適用することができる。また、本実施の形態の水性インク組成物は、酸化チタン粒子、及び/又は表面が親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料の分散性に優れているので、インクジェット用インクに好適に使用することができる。特に、本実施の形態の水性インク組成物は、薬事法等の基準に適合した顔料及び顔料分散剤を用いているので、可食性を有しており、医薬品やサプリメント等の錠剤の表面に直接印刷することが可能である。また、素錠やOD錠など表面の平滑性が悪い錠剤に対しても、インクジェット方式による非接触印刷を可能にする。さらに、水性インク組成物は耐光性にも優れているので、医薬品やサプリメント等の錠剤の表面に直接印刷しても滲みの発生を防止することができる。
(固体製剤)
本実施の形態の錠剤は、前記水性インク組成物からなるインクジェット用水性インクを用いて、インクジェット記録方法により、その表面に直接印刷されたものである。上述の通り、水性インク組成物は耐光性に優れ、滲みの発生もないので、錠剤には、製品情報など使用者の識別性を向上させるための各種情報を印刷することでき、その結果、調剤ミスや誤飲の防止が可能になる。
錠剤は常温下において固体状であり、例えば、有効成分を含む錠剤材料を一定の形状に圧縮及び/又は成形により製造されたものが好ましい。錠剤の形状は特に限定されず、任意の形状を採用することができる。また、錠剤は、医薬品用途の錠剤であってもよく、食品用途の錠剤であってもよい。食品用途の錠剤の例としては、錠菓やサプリメント等の健康食品が挙げられる。
錠剤の表面に対するインクジェット記録方法については、特に限定されない。具体的には、例えば、微細なノズルより前記水性インク組成物を液滴として吐出し、その液滴を錠剤表面に付着させることにより行うことができる。吐出方法として特に限定されず、例えば、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型等)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等)等の公知の方法を採用することができる。
(その他の事項)
本実施の形態においては、顔料組成物をインクジェット用水性インク組成物に適用する場合を例にして説明したが、本発明はこの適用例に限定されるものではない。本実施の形態の顔料組成物は、薬事法で定める医薬品添加物、日本薬局方又は食品添加物公定書の基準に適合した成分で全て構成することができ、生体為害性が低いため、例えば、本実施の形態の顔料組成物を化粧料等に適用することもできる。具体的には、前記酸化チタンや酸化亜鉛は紫外線遮蔽剤としても機能するため、本実施の形態の顔料組成物をO/W(Oil in Water)処方の日焼け止め剤等に配合することができる。さらに、本実施の形態の顔料組成物を、紫外線遮蔽機能を備えた経口投与剤として適用することも可能である。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、下記の実施例に記載されている材料や含有量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
(顔料)
各実施例及び比較例では、顔料として各種の酸化チタンナノ粒子又は酸化亜鉛ナノ粒子を用いた。それらの詳細は下記表1及び表2に示す通りである。尚、酸化チタンナノ粒子1においては、形状が棒状のものを用いた。また、酸化チタンナノ粒子2〜9及び酸化亜鉛ナノ粒子1〜5においては、形状が略球状のものを用いた。また、酸化亜鉛ナノ粒子4及び5における含水シリカとは、親水化処理により酸化亜鉛の表面に形成された二酸化ケイ素の水和物からなる膜を意味し、これにより酸化亜鉛ナノ粒子4及び5においては表面が親水性となっている。
Figure 2018188518
Figure 2018188518
(実施例1〜8)
実施例1〜8においては、顔料、顔料分散剤及び分散媒としての純水が下記表3に示す配合割合となる様に、各材料を容器に入れ、分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工株式会社製)にて、常温下で24時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズを混合させて行った。尚、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとしては、Evonik社製のTEGO Dispers 715W(質量平均分子量3000)を用いた。また、下記表3中の数値は、特に表記がない限り、顔料組成物の全質量に対する質量%で表したものである。さらに、各材料は何れも薬事法等の基準に適合するものである。
(比較例1)
本比較例においては、顔料、顔料分散剤及び分散媒としての純水が下記表3に示す配合割合となる様にした。それ以外は前記実施例1等と同様にして、本比較例に係る顔料組成物を作製した。
Figure 2018188518
(実施例9〜11)
実施例9〜11においては、顔料、顔料分散剤及び分散媒としての純水が下記表4に示す配合割合となる様に、各材料を容器に入れ、分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工株式会社製)にて、常温下で24時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズを混合させて行った。尚、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとしては、Evonik社製のTEGO Dispers 715W(質量平均分子量3000)を用いた。また、下記表4中の数値は、特に表記がない限り、顔料組成物の全質量に対する質量%で表したものである。さらに、各材料は何れも薬事法等の基準に適合するものである。
(比較例2、3)
比較例2及び3においては、顔料、顔料分散剤及び分散媒としての純水が下記表4に示す配合割合となる様にした。それ以外は前記実施例9等と同様にして、これらの比較例に係る顔料組成物を作製した。
Figure 2018188518
(実施例12〜22)
実施例12〜22においては、顔料、顔料分散剤及び分散媒としての純水を容器に入れ、分散機(ペイントシェーカー、浅田鉄工株式会社製)にて、常温下で24時間(分散時間)分散させた。また、分散の際にはジルコニアビーズを混合させて行った。これにより、各実施例に係る顔料組成物を作製した。尚、顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとしては、Evonik社製のTEGO Dispers 715W(質量平均分子量3000)を用いた。
次に、各顔料組成物に、表面張力調整剤、湿潤剤としてのプロピレングリコール及び純水を加え、表5及び表6に示す配合割合となる様に、インクジェット用水性インク組成物(以下、「水性インク組成物」という。)を調製し、ディスパーにて撹拌した。これにより、各実施例の水性インク組成物を作製した。尚、顔料組成物及び水性インク組成物の作製過程においては、いずれも気泡が発生しなかったことから消泡剤の添加による消泡工程は行わなかった。また、下記表5及び表6中の数値は、特に表記がない限り、水性インク組成物の全質量に対する質量%で表したものである。また、各材料は何れも薬事法等の基準に適合するものである。
Figure 2018188518
Figure 2018188518
(ポリアクリル酸ナトリウムの質量平均分子量の測定)
アルギン酸ナトリウムの質量平均分子量は、ポリエチレンオキサイド(PEO)/ポリエチレングリコール(PEG)を標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる値である。
(酸化チタンナノ粒子及び酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒子径及び平均分散粒子径の測定)
各実施例及び比較例における酸化チタンナノ粒子及び酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒子径、並びに平均分散粒子径D50及びD99は、マイクロトラックUPA−EX150(商品名、日機装(株)製)を用いて動的光散乱法により測定した。尚、実施例1及び9で用いた酸化チタンナノ粒子1については、その形状が棒状であるため、その平均一次粒子径は長軸の長さ(高さ)と短軸の長さ(幅)の相乗平均値とした。
(粘度の測定)
実施例12〜22の水性インク組成物について、それぞれ粘度を測定した。粘度の測定には、粘度計(VISCOMATE MODEL VM−10A、(株)セコニック製)を用いて、測定温度25℃の条件下で行った。結果を前記表5及び6に示す。
(吐出安定性(飛翔性))
記録媒体としてマット紙(商品名:スーパーファイン紙、エプソン(株)製)を用意し、実施例12〜22で調製した水性インク組成物をそれぞれ用いて印刷を行った。印刷は、インクジェットプリンタ(KC 600dpiヘッド搭載印字治具)を用いて、シングルパス(ワンパス)方式にて行った。
ノズル欠け増加数及び寝ぼけの評価は、ヘッドから水性インク組成物を吐出させた後、インクジェットプリンタを停止させ、その後、再度印刷したときの印刷画像にノズル欠けがどれくらい増加したか、及び寝ぼけが観察されたか否かにより行った。尚、ノズル欠けとは目詰まりが発生したノズルから水性インク組成物からなるインク滴が吐出されないことを意味する。寝ぼけとは、印刷の初期において、印刷画像がぼやけ不鮮明となることを意味する。
ノズル増加数の評価は、下記の基準を用いて行った。
○:オープンタイム15分におけるノズル抜け増加数が0
×:オープンタイム15分におけるノズル抜け増加数が1本以上
また、寝ぼけの評価は、下記の基準を用いて行った。
○:オープンタイム15分における画像の書き出し部分の擦れが1mm未満
×:オープンタイム15分における画像の書き出し部分の擦れが1mm以上
また、オープンタイムの評価は、最初にヘッドから水性インク組成物を吐出させた後に停止し、15分経過後に再度印刷して、その際の印刷画像にノズル抜け及び書き出しの擦れの有無を評価したものである。表5及び6中の○はノズル抜け及び書き出しの擦れが何れもない場合を意味する。尚、擦れとは、印刷の初期において、印刷画像が擦れることを意味する。
(結果)
表3に示す実施例1〜8の実験結果から分かる通り、表面が親水性の酸化チタンナノ粒子1〜8からなる顔料に対し、質量平均分子量が3000のポリアクリル酸ナトリウムを顔料分散剤として配合させた場合には、酸化チタンナノ粒子の平均一次粒子径の値や結晶構造に関わらず、酸化チタンナノ粒子の平均一次粒子径と分散した酸化チタンナノ粒子の平均分散粒子径との比が1:0.3〜1:3の範囲内となった。また、表4に示す実施例9〜11の実験結果から分かる通り、表面が親水化していない酸化亜鉛ナノ粒子1〜3からなる顔料に対しても、前記ポリアクリル酸ナトリウムを顔料分散剤として配合させると、酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒子径の値に関わらず、酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒子径と分散した酸化亜鉛ナノ粒子の平均分散粒子径との比が前記数値範囲内となった。これにより、本実施例1〜11に係る顔料組成物においては、平均一次粒子径に近いレベルで酸化チタンナノ粒子又は酸化亜鉛ナノ粒子を分散できることが示された。
その一方、表面が疎水性処理されている酸化チタンナノ粒子を顔料に用いた比較例1では、平均分散粒子径が大きくなり、保存安定性の低下の可能性が示された。また、比較例2及び3では、表面が親水性処理されている酸化亜鉛ナノ粒子を顔料に用いたものの、平均分散粒子径が大きくなり、保存安定性の低下の可能性を示す結果となった。
また、表5及び表6に示す実施例12〜22の実験結果から分かる通り、顔料組成物を含む水性インク組成物においても、酸化チタンナノ粒子又は酸化亜鉛ナノ粒子の平均一次粒子径と平均分散粒子径との比を前記数値範囲内に維持することができ、良好な顔料分散性が維持された。また、吐出安定性(飛翔性)についても優れた水性インク組成物が得られていることが確認された。

Claims (6)

  1. 酸化チタン粒子、及び/又は表面が二酸化ケイ素の水和物により親水化されていない酸化亜鉛粒子からなる顔料と、質量平均分子量が10000以下の顔料分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウムとを含み、
    前記酸化チタン粒子又は前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径と、分散した酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径D50の比が、1:0.3〜1:3の範囲内である顔料組成物。
  2. 前記酸化チタン粒子の表面が親水性である請求項1に記載の顔料組成物。
  3. 前記酸化チタン粒子又は前記酸化亜鉛粒子の平均一次粒子径が20nm〜400nmの範囲内である請求項1又は2に記載の顔料組成物。
  4. 前記分散した酸化チタン粒子又は酸化亜鉛粒子の平均分散粒子径D50が20nm〜500nmの範囲内である請求項1〜3の何れか1項に記載の顔料組成物。
  5. 前記酸化チタン粒子及び/又は前記酸化亜鉛粒子からなる顔料と前記ポリアクリル酸ナトリウムとの含有比が、質量基準で1:0.05〜1:1.5の範囲内である請求項1〜4の何れか1項に記載の顔料組成物。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の顔料組成物を含み、かつ、可食性を有するインクジェット用水性インク組成物。
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