JP2018186841A - 殺菌システム - Google Patents
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Abstract
【課題】衛生管理区域内に入場することが不適切な人が当該衛生管理区域内に入場してしまうことを防止することによって、より信頼性の高い殺菌システムを提供する。【解決手段】衛生管理区域内に入場する際に、殺菌対象物品に殺菌を施すための殺菌装置10と、作業者の入場可否を作業者に指示する入場可否指示装置20とを備える殺菌システムであって、殺菌装置10は、殺菌対象物品に対して、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かを判定する殺菌状態判定部220と、殺菌状態判定部220によって所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定された場合には、衛生管理区域内への作業者の入場を許可する入場許可制御を入場可否指示装置20に対して行う機能を有する制御部260と、殺菌履歴を保存する記憶部230とを有する。【選択図】図1
Description
本発明は、殺菌システムに関する。
食品産業や医療などの現場では厳しい衛生管理が求められる。例えば、ノロウィルス、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、O157、ミュータンス菌などに対しては、注意深い衛生管理が必要とされる。特に、ノロウィルスは、大きさが他の菌等と比べても極めて微小であることや、ごく少量で感染することのほかに、従来の逆性石鹸やアルコール系などの消毒液による殺菌効果が期待できないことが知られている。このため、ノロウィルスに対しては、手洗いだけでない、より高い殺菌効果が得られる殺菌システムの構築が必要である。
ノロウィルスに対しても効果的であるとされる殺菌方法としては、紫外線による殺菌方法がある。例えば、下記特許文献1には、紫外線により殺菌を行う殺菌システムが開示されている。なお、紫外線による殺菌は、ノロウィルスだけでなく、上記した各種の菌などにも効果があることが知られている。但し、紫外線は、人間の皮膚に悪影響を与えるおそれがあることから、人間の皮膚に直接的に照射されないようにすることも重要な課題である。
このような課題に対処するために、特許文献1に開示されている殺菌システムは、殺菌対象となる物品(殺菌対象物品という。)を識別して、殺菌対象物品に対してのみに紫外線を照射するようにしている。すなわち、特許文献1に開示されている殺菌システムにおいては、殺菌対象物品には標示体が備えられ、当該標示体を検知して初めて紫外線の照射を行うようにしている。
例えば、殺菌対象物品が手袋であるとすれば、当該手袋に標示体を備えておき、作業者は、標示体を備えた手袋を手に装着した状態で殺菌装置内に挿入する。殺菌装置においては、標示体を検知した場合に紫外線を照射する。このため、たとえ、作業者が手袋を装着しないまま、手を殺菌装置内に挿入したとしても、標示体が検知されないため、作業者の手(皮膚)に紫外線が照射されることがなくなり、安全性が確保できる。
また、特許文献1に開示されている殺菌ステムによれば、記憶部を備えており、当該記憶部に個々の殺菌対象物品ごとの殺菌履歴を保存することを可能としている。このため、個々の殺菌対象物品ごとに過去に適切に殺菌されたか否かに関する情報を記録として残すことができる。したがって、個々の殺菌対象物品が過去に適切に殺菌を行われているか否かを客観的に証明できるため、高い信頼性を有する殺菌システムを構築できる。
上記したように、特許文献1に開示されている殺菌システムは、安全性が確保できるとともに高い信頼性を有する殺菌システムとすることができるが、さらなる改善の要望もある。
例えば、食品製造現場などの衛生管理区域内に入場することが不適切な人(例えば、殺菌対象物品に対して所定の殺菌条件を満たした殺菌を施さなかった作業者)が衛生管理区域内に入場してしまうことを防止するために、衛生管理区域内に入場する前の段階で、入場を許可してもよいか否かの判定(入場可否判定という。)を自動的に行い、当該入場可否判定を行った結果、適正と判断された場合のみに、衛生管理区域内に入場することを許可することによって、信頼性のより高い殺菌システムを構築したいといった要望もある。
そこで、本発明は、衛生管理区域内に入場することが不適切な人が当該衛生管理区域内に入場してしまうことを防止することによって、信頼性のより高い殺菌システムを提供することを目的とする。
[1]本発明の殺菌システムは、衛生管理が必要とされる衛生管理区域内で作業を行う作業者が当該衛生管理区域内に入場する際に、殺菌を必要とする殺菌対象物品に殺菌を施すための殺菌装置と、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場可否を当該作業者に指示する入場可否指示装置とを備える殺菌システムであって、前記殺菌装置は、前記殺菌対象物品に対して、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かを判定する殺菌状態判定部と、前記殺菌状態判定部によって前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定された場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能を有する制御部と、前記作業者に対応する殺菌履歴を保存する記憶部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、衛生管理区域内に入場することが不適切な人(例えば、殺菌対象物品に対して所定の殺菌条件を満たした殺菌を施さなかった作業者)が衛生管理区域内に入場してしまうことを確実に防止することができるため、信頼性のより高い殺菌システムを提供できる。
[2]本発明の殺菌システムにおいては、前記入場可否指示装置は、前記衛生管理区域内に前記作業者が入場する際に当該作業者の通行を許可又は不許可のいずれかに設定可能な開閉部を有する入場ゲートであり、前記制御部が行う前記入場許可制御は、前記入場ゲートに対し、前記開閉部を開とする制御であることが好ましい。
入場可否指示装置をこのような入場ゲートとすることによって、作業者が所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定された場合において、当該作業者は入場ゲートを通り抜けることができる。これにより、衛生管理区域内に入場することが不適切な人が衛生管理区域内に入場してしまうことを確実に防止することができる。
[3]本発明の殺菌システムにおいては、前記殺菌装置は、前記作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であるか否かを判定するために当該作業者の識別を行う作業者識別部をさらに有し、前記制御部は、前記殺菌状態判定部によって前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、前記作業者識別部によって当該作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であると判定された場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能をさらに有することが好ましい。
このようにすることによって、殺菌対象物品に対して所定の殺菌条件を満たした殺菌を施さなかった作業者だけでなく、部外者(衛生管理区域内で衛生管理区域内で作業を行うべき作業者として登録されていない人など)が衛生管理区域内に入場してしまうことを確実に防止することができるため、信頼性のより高い殺菌システムを提供できる。
[4]本発明の殺菌システムにおいては、前記作業者識別部が行う作業者の識別は、前記作業者の目の虹彩認証によって行うことが好ましい。
作業者の識別(作業者識別という場合もある。)を作業者の目の虹彩認証によって行うことにより、個々の作業者を高精度に識別することができる。また、バーコードなどによる識別と異なり、いわゆる「なりすまし」などを確実に防止することができる。例えば、バーコードなどが付されているIDカードによって作業者識別を行う場合においては、IDカードの貸し借りといったIDカードの悪用の可能性を否定できないが、作業者識別を目の虹彩認証により行うことにより、このような問題を確実に防止できる。
[5]本発明の殺菌システムにおいては、前記殺菌履歴には、前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かを示す情報が、前記登録作業者に対応付けられて書き込まれていることが好ましい。
これにより、管理者が当該殺菌履歴を参照することによって、各作業者が行った殺菌の状態を的確に把握することができ、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていなかった回数の多い作業者には注意を促すことができる。また、個々の作業者においても、自分の殺菌履歴を参照することにより、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていなかった回数が多いことを知れば、今後、殺菌の仕方などについて注意するようになる。
[6]本発明の殺菌システムにおいては、前記殺菌装置は、前記作業者の体温を当該作業者に非接触で計測可能な体温計測部をさらに有し、前記制御部は、前記殺菌状態判定部によって前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、前記体温計測部によって計測された当該作業者の体温が正常範囲である場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能をさらに有することも好ましい。
このようにすることによって、殺菌対象物品に対して所定の殺菌条件を満たした殺菌を施さなかった作業者だけなく、体温が正常範囲でない作業者は入場が許可されないこととなる。作業者の体温が正常範囲でないということは、当該作業者はその時点において、健康上に何らかの問題があると判断できる。健康上に何らかの問題がある作業者が衛生管理区域内に入場することは好ましいことではない。このため、このような作業者の衛生管理区域内への入場を不許可とすることによって、信頼性のより高い殺菌システムとすることができる。
なお、体温が正常範囲か否かは、個々の作業者によって個人差がある。このため、例えば、個々の作業者ごとの正常な体温の範囲を、個々の作業者の正常範囲として登録しておき、体温計測部によって計測された作業者の体温が、登録されている当該作業者の正常範囲にあるか否かを判定する。このようにすることによって、個々の作業者の個人差を考慮した判定を行うことができる。
[7]本発明の殺菌システムにおいては、前記殺菌履歴には、前記体温計測部によって計測された当該作業者の体温が正常範囲であるか否かを示す情報が、前記作業者に対応付けられて書き込まれていることが好ましい。
これにより、管理者が当該殺菌履歴を参照することによって、各作業者の健康状態の把握が可能となり、体温が正常でないことの多い作業者には健康に対する注意を促すことができる。また、個々の作業者においても、自分の殺菌履歴を参照することによって、体温が正常でないことが多いことを知れば、自分の健康に注意するようになる。
[8]本発明の殺菌システムにおいては、前記殺菌装置は、前記作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であるか否かを判定するために当該作業者の識別を行う作業者識別部と、前記作業者の体温を当該作業者に非接触で計測可能な体温計測部とをさらに有し、前記制御部は、前記殺菌状態判定部によって所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、前記作業者識別部によって作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であると判定され、かつ、前記体温計測部によって計測された当該作業者の体温が正常範囲である場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能をさらに有することも好ましい。
このようにすることにより、例えば、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、作業者が衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であると判定された場合であっても、当該作業者の体温が正常範囲でなければ、入場が許可されないこととなり、信頼性のより高い殺菌システムとすることができる。
[9]本発明の殺菌システムにおいては、前記殺菌対象物品は、作業者の手に装着されている手袋であることが好ましい。
これは、例えば、特に食品製造現場などにおいては、作業者は、ゴムや熱可塑性樹脂などからなる手袋を装着して作業することが一般的であり、手袋の殺菌は衛生管理上においては重要となるからである。
[10]本発明の殺菌システムにおいては、前記殺菌は、紫外線照射による殺菌であることが好ましい。
紫外線照射による殺菌を行うことにより、逆性石鹸やアルコール系などの消毒液による殺菌効果が期待できない菌(例えば、ノロウィルスなど)に対しても、確実な殺菌効果を有する殺菌システムとすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る殺菌システム1を説明するために示す図である。図1においては実施形態1に係る殺菌システム1の各構成要素をブロックで示している。
図1は、実施形態1に係る殺菌システム1を説明するために示す図である。図1においては実施形態1に係る殺菌システム1の各構成要素をブロックで示している。
実施形態1に係る殺菌システム1は、作業者が衛生管理区域内に入場する際に、殺菌を必要とする殺菌対象物品に殺菌を施すための殺菌装置10と、衛生管理区域内への作業者の入場可否を当該作業者に示す入場可否指示装置20とを備える。
なお、実施形態1に係る殺菌システム1においては、殺菌対象物品は、作業者の手に装着されている手袋G(図3参照。)であるとする。ここで、手袋Gは、液体を透過させない性質を有するとともに、柔軟性を有するゴムや熱可塑性樹脂などからなるものとする。また、当該手袋Gは所定範囲の波長(例えば、185nm〜280nm)を有する紫外線を遮蔽できるような加工が施されている。
また、入場可否指示装置20は、衛生管理区域内に作業者が入場する際に当該作業者の通行を許可又不許可に設定可能な開閉部を有する入場ゲート(図5参照。)であるとする。このため、以下においては、入場可否指示装置20を「入場ゲート20」と表記する場合もある。
殺菌装置10は、殺菌装置本体100(詳細は後述する。)と、手袋Gを装着した状態の作業者の手が殺菌装置本体100内に挿入されたことを検知するセンサー150と、殺菌を行おうとする作業者に対して操作手順及び殺菌状態などの各種の情報を表示する表示部180と、作業者が衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であるか否かを識別する作業者識別部210と、手袋Gに対して所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かを判定する殺菌状態判定部220と、殺菌履歴など各種の情報を記憶する記憶部230と、時間を計測する時間計測部(タイマーという。)240と、他の情報処理機器(パーソナルコンピュータ、スマートホンなど)との間で通信が可能な通信部250と、各種の制御機能(後述する。)を有する制御部260と、を有する。
作業者識別部210による作業者識別は、作業者の生体認証によって行うことが可能である。生体認証としては、例えば、指紋認証、静脈認証及び目の虹彩認証など種々考えられるが、手袋を装着していても認証可能とするためには、虹彩認証を適用することが好ましい。このため、実施形態1に係る殺菌システム1においては、作業者識別部210は、虹彩認証によって作業者識別を行うものとする。
作業者識別部210は、作業者の目(虹彩)を撮影可能なカメラ211(図2参照。)を有し、当該カメラ211によって撮影された目(虹彩)の画像データと、予め登録されている各作業者の目(虹彩)の画像データとをマッチング処理することによって、当該作業者の識別を行う。
図2は、図1に示す殺菌装置10の構成を説明するための外観斜視図である。殺菌装置10は、実施形態1に係る殺菌システム1においては、殺菌対象となる手袋Gに紫外線を照射することによって殺菌を行うものである。
殺菌装置10は外観的には、図2に示すように、殺菌装置本体100と、当該殺菌装置本体100を支持する架台110と、殺菌を行おうとする作業者及びその近傍にいる作業者などに紫外線が直接的に照射されることを防止するための上面遮光板160及び側面遮光板170と、図1において示した表示部180と、作業者識別部210のカメラ211とを有している。
なお、表示部180は、作業者が殺菌装置本体100に対峙する位置(図3に示す正面側)に立ったときに、表示内容が見易いように、殺菌装置本体100の上方で、かつ、奥側に設けられている。また、表示部180のさらに後方には作業者識別部210のカメラ211を取り付けるための台座部212が設けられている。なお、カメラ211は、台座部212から、やや斜め前方に傾斜した状態で上方に延出しているアーム213の先端部に取り付けられている。カメラ211をこのように取り付けることにより、作業者が殺菌装置本体100に対峙する位置(図3に示す正面側)に立ったときに、作業者の目E(図3参照。)を撮影しやすくなる。
殺菌装置本体100は、殺菌室121(図3参照)を形成する殺菌室筐体120(殺菌室筐体120の内部構成については図3により後述する。)と、当該殺菌室筐体120の上面に設けられ、手袋Gを装着した状態の左右それぞれ手をそれぞれに挿入可能とする左右の挿入口130と、左右の挿入口130に設けられ、手袋Gを装着した手の挿入をガイドするガイド壁140とを有する。ガイド壁140には、図1において示したセンサー150が取り付けられている。なお、以下では、「手袋Gを装着した手」を「作業者の手」と表記する場合もあり、このように「作業者の手」と表記した場合には、「手袋Gを装着した手」を意味するものとする。
センサー150は、アームカバーAC(図3参照。)に付されているバーコードなどの識別子IDを検知すると、識別子IDを検知したことを示す検知信号を制御部260に出力する。なお、センサー150がアームカバーACに付されている識別子IDを検知できるようにするためには、識別子IDが、センサー150によって検知できる位置に存在することが必要である。
すなわち、センサー150がアームカバーACに付されている識別子IDを検知できるようにするためには、識別子IDが、センサー150にほぼ対向する位置となるように、作業者の手が殺菌室121内に存在している必要がある。
すなわち、センサー150がアームカバーACに付されている識別子IDを検知できるようにするためには、識別子IDが、センサー150にほぼ対向する位置となるように、作業者の手が殺菌室121内に存在している必要がある。
実施形態1に係る殺菌システム1においては、センサー150がアームカバーACに付されている識別子IDを検知できれば、「作業者の手が殺菌室121内において適切な位置に存在している」とする。すなわち、制御部260においては、センサー150から検知信号が出力されているときは、作業者の手が殺菌室121内において適切な位置に存在していると判定することができる。なお、「殺菌室121内において適切な位置」というのは、実施形態1に係る殺菌システム1においては、手袋Gの先端から手首付近までの間に満遍なく紫外線が照射される位置であるとする。
ところで、図1において示した各構成要素のうち、作業者識別部210、殺菌状態判定部220、記憶部230、タイマー240、通信部250、制御部260などは、それぞれがICチップなどとして電子回路基板上に搭載されており、当該電子回路基板は殺菌装置本体100内の所定位置に収納されている。
図3は、図2に示す殺菌室筐体120の内部構造を模式的に示す図である。なお、図3は図2に示す殺菌装置10をx軸に沿って矢印a方向に見た場合の側面図であり、殺菌室筐体120が断面図として示されている。なお、図3において図2と同一構成要素には同一符号が付されている。
殺菌室筐体120の内部構造は、図3に示すように、内部に殺菌室121が形成されており、当該殺菌室121の正面側内壁面及び背面側内壁面それぞれには反射板としてのアルミニウムシート122が貼着されている。そして、アルミニウムシート122の表側には管状の紫外線照射ランプ123がそれぞれ複数本ずつ対向配置されている。また、紫外線照射ランプ123の表側には、紫外線を透過可能な部材でなる保護シート124が設けられている。
なお、図3においては、図示されていないが、保護シート124の表側に保護網を設けるようにしてもよい。また、図3においては、反射板としての機能を持たせるために、アルミニウムシート122を殺菌室121の正面側内壁面及び背面側内壁面に貼着するようにしたが、アルミニウムシート122の代わりに、殺菌室121の正面側内壁面及び背面側内壁面にアルミニウム蒸着を施すようにしてもよく、このようにすることによっても、反射板としての機能を持たせることができる。
ところで、図3においては、作業者の手が殺菌装置10の挿入口130に挿入される前の状態が示されている。図3においては、作業者の一方の手のみが示されている。実施形態1に係る殺菌システム1においては、作業者は、手には手袋Gを装着していることは勿論、手首から肘までの間にはアームカバーACを装着しているものとする。当該アームカバーACにおける作業者の手首付近には、上記したように、センサー150により検知可能なバーコードなどの識別子IDが付されている。
このため、作業者の手が、左右の挿入口130からガイド壁140に沿って殺菌室121の適切な位置(手袋Gの先端から手首付近までの間に満遍なく紫外線が照射される位置)にまで挿入されると、センサー150がアームカバーACに付されている識別子IDを検知することができる。
図4は、実施形態1に係る殺菌システム1を衛生管理区域300の入口付近に設置した場合を模式的に示す平面図である。実施形態1に係る殺菌システム1は、図4に示すように、殺菌装置10が衛生管理区域300の入口310近傍に設置されているとともに、入場ゲート20が衛生管理区域300の入口310の直前に設置されている。なお、図4においては図示されていないが、衛生管理区域300の入口310には、人の存在を検知して自動的に開閉する自動開閉式ドアなどが設けられていてもよい。また、図4において、実線で示す矢印は、衛生管理区域300に入場しようとする作業者(Pの符号を付す。)の動線を示すものである。
図5は、入場ゲート20の一例を示す斜視図である。入場ゲート20は、図5に示すように、左右の支柱21,22を支点として開閉可能な左右2つのパネル状の開閉部23,24を有している。
このように構成されている入場ゲート20は、通常時においては、開閉部23,24が「開」となっていて、衛生管理区域300内への作業者Pの入場を不許可とする場合に「閉」となる形式でもよく、また逆に、通常時においては、開閉部23,24は「閉」となっていて、衛生管理区域300内への作業者Pの入場を許可する場合に「開」となる形式でもよい。このような開閉部23,24の開閉動作は、制御部260からの制御信号によって行われる。
なお、入場ゲート20は、図5に示すような構成に限られるものではなく、開閉部を開又は閉とすることが可能なものであればよい。また、開閉部23,24はパネル状の開閉部としたが、パイプ状のものであってもよい。
次に、実施形態1に係る殺菌システムの動作について説明する。衛生管理区域300に入場しようとする作業者が、図4の実線で示す矢印に示すように、殺菌装置10の場所に進み、殺菌装置10に対峙するように当該殺菌装置10の前(正面側)に立つと、作業者識別部210による作業者識別が行われる。
作業者識別部210による作業者識別は、カメラ211(図2参照。)が当該作業者の目(虹彩)を撮影し、撮影して得られた画像データと、予め登録されている複数の作業者の目(虹彩)の画像データとのマッチングを行い、マッチングの結果、当該作業者が衛生管理区域300内で作業を行うべき作業者であるか否かを識別する。なお、衛生管理区域300内で作業を行うべき作業者を以下では「登録作業者」と呼ぶ場合もある。
カメラ211が当該作業者の目(虹彩)を撮影する際は、作業者は目を開いた状態で、視線をカメラ211に向ける。このとき、表示部180においては、「目を開いてカメラを見てください」といった表示を行うようにすることが好ましい。これにより、作業者の目(虹彩)の撮影を適切に行うことができる。また、このような表示を行うことにより、作業者の視線がカメラ211に向けられるため、作業者の視線を殺菌室121内の方向から遠ざけることができる。これにより、紫外線の照射が行われた際に、作業者が紫外線を直視する可能性が低くなり、目の保護が可能となる。
作業者識別部210による作業者識別によって、当該作業者が登録作業者であると判定された場合には、当該作業者の個人情報(氏名とする。)が取得され、取得された氏名は記憶部230の殺菌履歴(図6参照)の各項目のうち作業者名の欄に書き込まれる。なお、殺菌履歴の項目としては、作業者名の他に、殺菌の順番、日付(年月日)、時刻(時分)、作業者コード、殺菌状態といった項目が存在する。なお、図6に示す殺菌履歴については後述する。
続いて、作業者は左右の手(手袋Gを装着した状態の左右の手)を左右の挿入口130にそれぞれ挿入する。なお、実施形態1に係る殺菌システム1においては、図3において示したように、作業者の手首から肘までの間にはアームカバーACが装着されており、当該アームカバーACには識別子IDが付されている。このため、作業者が左右の手を左右の挿入口130か挿入し、当該作業者の手が殺菌室121内において適切な位置に存在している状態となると、センサー150はアームカバーACの識別子IDを検知し、センサー150からの検知信号が制御部260に出力される。
センサー150から検知信号が制御部260に出力されると、制御部260は、紫外線照射ランプ123を点灯させる。これにより、手袋Gに紫外線が照射され、手袋Gの殺菌が行われる。このとき、紫外線照射は、実施形態1に係る殺菌システム1においては、手袋Gに対して、確実な殺菌を行うために必要とされる紫外線量の照射が可能な時間(規定時間という。)継続する。これは、制御部260が紫外線照射開始からの時間をタイマー240によって計測し、少なくとも規定時間、紫外線照射ランプ123を点灯させるように制御することにより実現できる。
続いて、制御部260は、当該作業者に対して、衛生管理区域300内への作業者の入場可否を決定する。すなわち、制御部260は、作業者識別部210による作業者識別の結果、当該作業者が衛生管理区域300内で作業を行うべき作業者(登録作業者)であると判定し、かつ、殺菌状態判定部220による殺菌状態の判定の結果、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定した場合には、入場ゲート20に対して入場許可制御を行う。制御部260が行う入場ゲート20に対する入場許可制御は、入場ゲート20の開閉部23,24を開とする制御である。
なお、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かの判定は、例えば、規定時間が経過するまでの間、連続的に手袋Gに対して紫外線照射がなされたか否かによって行うことができる。
ところで、紫外線の殺菌作用は、260nm前後の波長を有する紫外線が高いとされている。実施形態1に係る殺菌システム1においては、紫外線照射ランプ123としては、260nmに近い254nmの波長を有する紫外線を発光する低圧水銀UVランプを使用している。このような紫外線照射ランプ123を使用した場合、手袋Gに対して紫外線を5秒間程度照射することによって適切な殺菌が可能となることが確かめられている。
このため、実施形態1に係る殺菌システム1においては、「所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かの判定」は、紫外線照射ランプ123が点灯してから、規定時間が経過するまでの間、連続的に手袋Gに対して紫外線照射がなされたか否かによって行うものとする。従って、紫外線照射ランプ123が点灯してから規定時間が経過する前に、作業者の手が殺菌室121から引き抜かれてしまったり、作業者の手の位置が殺菌室121内において不適切となってしまったりした場合などにおいては、「所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されている」との判定がなされないこととなる。
なお、作業者の手が殺菌室121から引き抜かれてしまったり、手の位置が殺菌室121内において不適切となってしまったりしたか否かは、制御部260がセンサー150の検知信号を監視することによって判定できる。すなわち、センサー150は、アームカバーACに付されている識別子IDを検知している間は、検知信号を出力し続けるため、殺菌途中において作業者の手が殺菌室121から引き抜かれてしまったり、手の位置が殺菌室121内において不適切となってしまったりした場合には、センサー150からの検知信号が途切れたりする。このような場合においては、制御部260は、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていないと判定する。
このように、実施形態1に係る殺菌システム1においては、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、作業者が衛生管理区域300内で作業を行うべき作業者(登録作業者)であると判定された場合に、制御部260は入場ゲート20の開閉部23,24を開として、衛生管理区域300内への作業者Pの入場を許可する。
制御部260がこのような制御を行うことにより、衛生管理区域300内に入場することが不適切な人として、この場合、例えば、殺菌対象物品に対して所定の殺菌条件を満たした殺菌を施さなかった作業者や部外者が無断で入場してしまうことを防止することができるため、信頼性のより高い殺菌システムとすることができる。
なお、作業者識別部210による作業者識別の結果、衛生管理区域300内で作業を行うべき作業者(登録作業者)ではないと判定された場合、表示部180において、例えば「登録されておりません」といった表示を行うことも可能である。また、この場合、登録作業者でなくても衛生管理区域300に入場する必要がある場合もあり得るため、登録作業者ではないと判定された場合でも、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていれば、衛生管理区域300内に入場可能とするように入場ゲート20の制御を行うようにすることもできる。
ところで、作業者が上記したような殺菌を施すための動作を行うと、各作業者が行った殺菌に関する情報が殺菌履歴として記憶部230に保存される。
図6は、記憶部230に保存されている殺菌履歴の一例を示す図である。殺菌履歴は、図6に示すように、殺菌の順番、日付(年月日)、時刻(時分)、作業者名、作業者コード、殺菌状態などの項目が存在し、これら各項目に対応する欄には、それぞれの項目ごとの情報が書き込まれている。
図6に示す殺菌履歴の例においては、「殺菌状態」の欄には、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かを示す情報が書き込まれる。なお、図6に示す殺菌履歴の場合、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されている場合には、当該「殺菌状態」の欄には、何も書き込まれていない場合が例示されているが、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていることを示す何らかの情報を書き込むようにしてもよい。
一方、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていない場合には、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていないことを示す情報が書き込まれている。例えば、「殺菌状態」の欄に「01」と書き込まれている場合には、当該作業者の右手側の殺菌が不適切であったことを示し、「殺菌状態」の欄に「02」と書き込まれている場合には、当該作業者の左手側の殺菌が不適切であったことを示し、「殺菌状態」の欄に「03」と書き込まれている場合には、当該作業者の左右両手の殺菌が不適切であったことを示している。
なお、殺菌が不適切であった場合には、殺菌をし直すことを促す表示が表示部180に表示される。例えば、ある作業者が殺菌を行った結果、当該作業者の右手側の殺菌が不適切であった場合には、「右手側の殺菌が不適切です」といった表示が表示部180になされ、作業者に殺菌のし直しを促すようにする。
記憶部230に保存されている殺菌履歴は、通信部250を介して外部の情報処理機器(例えば、パーソナルコンピュータ、スマートホンなど)に送信可能であり、記憶部230に保存されている殺菌履歴を外部の情報処理機器で閲覧することができる。
これにより、作業現場から離れている場所(事務所など)で各作業者の殺菌履歴を管理することができる。例えば、管理者が当該殺菌履歴を参照することによって、各作業者が行った殺菌の状態を的確に把握することができ、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていなかった回数の多い作業者には注意を促すことができる。また、個々の作業者においても、自分の殺菌履歴を参照することにより、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていなかった回数が多いことを知れば、今後の反省材料とすることができる。
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る殺菌システム2を説明するために示す図である。図7においても、図1と同様に、実施形態2に係る殺菌システム2の各構成要素をブロックで示している。実施形態2に係る殺菌システム2が、実施形態1に係る殺菌システム1と異なるのは、図7に示すように、殺菌装置10が、体温計測部270を有している点である。
図7は、実施形態2に係る殺菌システム2を説明するために示す図である。図7においても、図1と同様に、実施形態2に係る殺菌システム2の各構成要素をブロックで示している。実施形態2に係る殺菌システム2が、実施形態1に係る殺菌システム1と異なるのは、図7に示すように、殺菌装置10が、体温計測部270を有している点である。
このように、実施形態2に係る殺菌システム2における殺菌装置10は、実施形態1に係る殺菌システム1における殺菌装置10に、体温計測部270を付け加えた点が実施形態1に係る殺菌システム1における殺菌装置10と異なるだけであり、その他の構成は、実施形態1に係る殺菌システム1における殺菌装置10と基本的には同様である。このため、実施形態2に係る殺菌システム2における殺菌装置10の外観構成は図示を省略する。
体温計測部270による体温計測は、種々の体温計測方法によって可能となるが、非接触で、かつ、高速に体温計測が可能な赤外線放射温度計を用いることが好ましいため、実施形態2に係る殺菌システム2においては、赤外線放射温度計によって作業者の体温を計測するものとする。なお、当該体温計測部270の取り付け位置は、作業者の体の一部(顔面とする。)の温度を適切に計測可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、図2において示した実施形態1に係る殺菌システム1における殺菌装置10において、アーム213が取り付けられている台座部212に設けることが可能である。
このように構成されている実施形態2に係る殺菌システム2においては、制御部260が行う入場ゲート20に対する入場許可制御は、作業者識別部210による識別結果と、殺菌状態判定部220による殺菌状態の判定結果に加えて、体温計測部270による体温計測の結果とに基づいて行う。
具体的には、制御部260は、作業者識別部210による作業者識別の結果、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、当該作業者が衛生管理区域300内で作業を行うべき作業者(登録作業者)であると判定され、かつ、体温計測部270による体温計測の結果、当該作業者の体温が正常範囲である場合には、衛生管理区域300内への作業者の入場を許可する入場許可制御を行う。衛生管理区域300内への作業者の入場を許可する入場許可制御としては、実施形態1に係る殺菌システム1と同様に、入場ゲート20の開閉部23,24を開として、衛生管理区域300内への作業者の入場を許可する。
なお、体温が正常範囲か否かは、個々の作業者によって個人差がある。このため、例えば、個々の作業者ごとの正常な体温の範囲を、個々の作業者の正常範囲として登録しておき、体温計測部270によって計測された作業者の体温が、登録されている当該作業者の正常範囲にあるか否かを判定する。このようにすることによって、個々の作業者の個人差を考慮した判定を行うことができる。
このように、実施形態2に係る殺菌システム2においては、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、当該作業者が衛生管理区域300内で作業を行うべき作業者(登録作業者)であると判定された場合に加えて、当該作業者の体温が正常範囲である場合に、入場ゲート20のゲートを開として、衛生管理区域300内への作業者の入場を許可する。
これにより、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、作業者が登録作業者であると判定された場合であっても、作業者の体温が正常範囲であると判定されなかった場合には、衛生管理区域300内への作業者の入場を不許可とする。
制御部260がこのような制御を行うことにより、体温が正常範囲でない作業者(健康上問題のある人)が衛生管理区域300内に入場してしまうことを防止することができ、信頼性のより高い殺菌システムとすることができる。
なお、実施形態2に係る殺菌システム2においても、記憶部230に保存する殺菌履歴は、図6に示すような内容とすることができるが、実施形態2に係る殺菌システム2においては、図示は省略するが、図6に示す各項目(殺菌の順番、日付(年月日)、時刻(時分)、作業者名、作業者コード、殺菌状態)の他に、「体温計測結果」という項目を設けて、当該体温計測結果の欄に、体温計測部270によって計測された当該作業者の体温が正常範囲であるか否かを示す情報(例えば、体温が適正でなかったことを示す情報として「001」など)を書き込むようにしてもよい。
このように、作業者の体温が正常範囲であるか否かを示す情報が殺菌履歴として書き込まれていることにより、例えば、管理者が当該殺菌履歴を参照することによって、各作業者の健康状態の把握が可能となり、体温が正常範囲でないことの多い作業者に対しては、健康に対して注意を促すことができる。また、個々の作業者においても、自分の殺菌履歴を参照することによって、体温が正常範囲でないことが多いことを知れば、自分の健康に注意するようにもなる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、下記に示すような変形実施も可能である。
(1)上記実施形態1においては、殺菌状態判定部220と、作業者識別部210とを有し、制御部260は、殺菌状態判定部220によって所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、作業者識別部210によって当該作業者が衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であると判定された場合には、衛生管理区域内への作業者の入場を許可するようにしたが、作業者識別を行うことは必須とせずに、殺菌状態判定部220によって所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定された場合に、衛生管理区域内への作業者の入場を許可するようにしてもよい。
(2)上記実施形態2においては、殺菌状態判定部220と、作業者識別部210と、体温計測部270とを有し、制御部は260は、殺菌状態判定部220によって所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、作業者識別部210によって作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であると判定され、かつ、体温計測部270によって計測された当該作業者の体温が正常範囲である場合には、衛生管理区域内への作業者の入場を許可するようにしたが、作業者識別を行うことは必須とせずに、殺菌状態判定部220によって所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、体温計測部270によって計測された当該作業者の体温が正常範囲である場合に、衛生管理区域内への作業者の入場を許可するようにしてもよい。
(3)上記各実施形態においては、衛生管理区域300内への作業者の入場可否を当該作業者に指示する入場可否指示装置は、入場ゲート20(図5参照。)としたが、入場可否指示装置は入場ゲートに限られるものではない。例えば、作業者の入場の可否を照明の点灯/消灯などによって表示可能な照明装置を入場可否指示装置として用い、当該照明装置を衛生管理区域300の入口付近に設置し、当該照明装置の点灯/消灯によって作業者に入場可否を指示するようにしてもよい。また、作業者の入場の可否を音声によって報知可能な音声発生装置を入場可否指示装置として用い、当該音声発生装置を衛生管理区域300の入口付近に設置し、当該音声発生装置から音声を発することによって作業者に入場可否を指示するようにしてもよい。
例えば、照明装置を入場可否指示装置として用いる場合は、作業者に入場を許可する場合においては、「入場許可」の文字を青色表示し、入場を不許可とする場合においては、「入場不許可」の文字を赤色表示する。なお、入場不許可を表示する際には、例えば「ブー、ブー」といった警報音を発するようにしてもよい。
また、音声発生装置を入場可否指示装置として用いる場合には、作業者に入場を許可する場合においては、例えば、「入場できます」といった内容の音声出力を行い、入場を不許可とする場合においては、例えば、「入場できません」といった内容の音声出力を行う。また、照明装置と音声発生装置とを併用してもよく、さらに、上記各実施形態で説明した入場ゲート20と、照明装置と、音声発生装置とを併用してもよい。
また、衛生管理区域300の入口に自動開閉式ドアが存在する場合には、当該自動開閉式ドアを入場ゲートとして用いてもよい。この場合、自動開閉式ドアに対する開閉制御は、制御部260によって上記各実施形態における入場ゲート20と同様に行うことができる。
(4)上記各実施形態では、作業者の手が、適切に殺菌可能となる状態にあるか否かは、アームカバーACに付された識別子IDをセンサー150が検知することによって判定するようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、殺菌室121内を撮影可能なカメラを設け、当該カメラによって、殺菌室121内における作業者の手を撮影し、それによって得られた画像データに基づいて、当該作業者の手が適切に殺菌可能となる状態にあるか否かを判定するようにしてもよい。また、識別子IDをセンサー150が検知することによる判定と、画像データに基づく判定との両方を用いて、適切に殺菌可能となる状態にあるか否かを判定するようにしてもよい。
(5)上記各実施形態においては、入場可否指示装置としての入場ゲート20を衛生管理区域300の入口の直前に設けて、衛生管理区域300の入口の直前で、当該衛生管理区域300への作業者の入場を許可又は不許可とするようにしたが、当該入場ゲート20とは別のゲート部(予備入場ゲートとする。)を、殺菌装置10が設置されている場所の前段に設けるとともに、当該予備入場ゲートに作業者の目(虹彩)を撮影可能なカメラを設け、作業者が殺菌装置10の設置位置に到達する前の段階で、まずは、当該作業者が登録作業者であるか否かを判定する。また、予備入場ゲートには、作業者の体温を非接触で計測可能な体温計測部を設け、作業者の体温が正常であるか否かを判定する。
そして、これらの少なくとも一方が不適切であると判定された場合には、作業者は殺菌装置10の設置位置にまで到達できないようにししてもよい。このようにすることで、作業者が登録作業者でなかったり、体温が正常でなかったりした場合には、当該予備ゲートの段階で当該作業者の入場を不許可とすることができる。
(6)上記各実施形態においては、作業者識別部210による作業者識別は、虹彩認証によって行うようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、アームカバーAC又は手袋Gなどに当該作業者の氏名などの個人情報を表すバーコードを付しておき、当該バーコードをバーコードリーダーによって読み取ることによって、作業者識別を行うようにしてもよく、また、各作業者の氏名や所属などの個人情報が書き込まれているIDカードなどを各作業者が所持するようにし、当該IDカードをカードリーダーによって読み取ることによって、作業者識別を行うようにしてもよい。
(7)上記各実施形態においては、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かの判定は、規定時間が経過するまでの間、連続的に手袋Gに対して紫外線照射がなされたか否かによって行うこととしたが、これ以外の要素を、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かの判定要素に加えてもよい。
例えば、上記(2)と同様に、殺菌室121内を撮影可能なカメラを設け、当該カメラによって、殺菌室121内における作業者の手を撮影し、それによって得られた画像データに基づいて、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かの判定を行うようにし、その判定結果を、判定要素に加えてもよい。
具体的には、予め設定された時間が経過するまでの間、連続的に手袋Gに対して紫外線照射がなされたか否かの判定結果と、当該作業者の手の各々の指が開いた状態となっているか否かの判定結果とを判定の要素としてもよい。
具体的には、予め設定された時間が経過するまでの間、連続的に手袋Gに対して紫外線照射がなされたか否かの判定結果と、当該作業者の手の各々の指が開いた状態となっているか否かの判定結果とを判定の要素としてもよい。
(8)上記各実施形態においては、殺菌を必要とする殺菌対象物品は手袋であるとしたが、手袋に限られるものではなく、衣服、履物及び衛生管理区域内で行う作業に使用する道具や器具などであってもよい。
(9)上記各実施形態においては、紫外線照射ランプ123は、低圧水銀UVランプとしたが、紫外線照射ランプ123にはLEDを用いたものであってもよい。
(10)上記実施形態2においては、個々の作業者ごとに正常な体温の範囲を正常範囲として登録しておき、体温計測部270によって計測された作業者の体温が当該作業者の正常範囲にあるか否かを判定するようにしたが、これに限られることなく、例えば、体温の上限値(例えば、37℃)を一律に設定しておき、当該上限値を超えたら正常範囲ではないと判定するようにしてもよい。
1,2・・・殺菌システム、10・・・殺菌装置、20・・・入場ゲート(入場可否指示装置)、23,24・・・開閉部、100・・・殺菌装置本体、110・・架台、120・・・殺菌室筐体、121・・・殺菌室、122・・・アルミニウムシート、123・・・紫外線照射ランプ、124・・・保護シート、130・・・挿入口、140・・・ガイド壁、150・・・センサー、160・・・上面遮光板、170・・・側面遮光板、180・・・表示部、210・・・作業者識別部、211・・・カメラ、212・・・台座部、213・・・アーム部、220・・・殺菌状態判定部、230・・・記憶部、240・・・タイマー、250・・・通信部、260・・・制御部、270・・・体温計測部、300・・・衛生管理区域、AC・・アームカバー、G・・・手袋(殺菌対象物品)、P・・・作業者
Claims (10)
- 衛生管理が必要とされる衛生管理区域内で作業を行う作業者が当該衛生管理区域内に入場する際に、殺菌を必要とする殺菌対象物品に殺菌を施すための殺菌装置と、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場可否を当該作業者に指示する入場可否指示装置とを備える殺菌システムであって、
前記殺菌装置は、
前記殺菌対象物品に対して、所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かを判定する殺菌状態判定部と、
前記殺菌状態判定部によって前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定された場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能を有する制御部と、
前記作業者に対応する殺菌履歴を保存する記憶部と、
を有することを特徴とする殺菌システム。 - 請求項1に記載の殺菌システムにおいて、
前記入場可否指示装置は、前記衛生管理区域内に前記作業者が入場する際に当該作業者の通行を許可又は不許可のいずれかに設定可能な開閉部を有する入場ゲートであり、
前記制御部が行う前記入場許可制御は、前記入場ゲートに対し、前記開閉部を開とする制御であることを特徴とする殺菌システム。 - 請求項1又は2に記載の殺菌システムにおいて、
前記殺菌装置は、
前記作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であるか否かを判定するために当該作業者の識別を行う作業者識別部をさらに有し、
前記制御部は、
前記殺菌状態判定部によって前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、前記作業者識別部によって当該作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であると判定された場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能をさらに有することを特徴とする殺菌システム。 - 請求項3に記載の殺菌システムにおいて、
前記作業者識別部が行う作業者の識別は、前記作業者の目の虹彩認証によって行うことを特徴とする殺菌システム。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の殺菌システムにおいて、
前記殺菌履歴には、前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されているか否かを示す情報が、前記作業者に対応付けられて書き込まれていることを特徴とする殺菌システム。 - 請求項1又は2に記載の殺菌システムにおいて、
前記殺菌装置は、
前記作業者の体温を当該作業者に非接触で計測可能な体温計測部をさらに有し、
前記制御部は、
前記殺菌状態判定部によって前記所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、前記体温計測部によって計測された当該作業者の体温が正常範囲である場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能をさらに有することを特徴とする殺菌システム。 - 請求項6に記載の殺菌システムにおいて、
前記殺菌履歴には、前記体温計測部によって計測された当該作業者の体温が正常範囲であるか否かを示す情報が、前記作業者に対応付けられて書き込まれていることを特徴とする殺菌システム。 - 請求項1又は2に記載の殺菌システムにおいて、
前記殺菌装置は、
前記作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であるか否かを判定するために当該作業者の識別を行う作業者識別部と、前記作業者の体温を当該作業者に非接触で計測可能な体温計測部とをさらに有し、
前記制御部は、
前記殺菌状態判定部によって所定の殺菌条件を満たした殺菌が施されていると判定され、かつ、前記作業者識別部によって作業者が前記衛生管理区域内で作業を行うべき作業者であると判定され、かつ、前記体温計測部によって計測された当該作業者の体温が正常範囲である場合には、前記衛生管理区域内への前記作業者の入場を許可する入場許可制御を前記入場可否指示装置に対して行う機能をさらに有することを特徴とする殺菌システム。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の殺菌システムにおいて、
前記殺菌対象物品は、作業者の手に装着されている手袋であることを特徴とする殺菌システム。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の殺菌システムにおいて、
前記殺菌は、紫外線照射による殺菌であることを特徴とする殺菌システム。
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