以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(部品実装装置の構成)
まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による部品実装装置100の全体構成について説明する。
部品実装装置100は、図1および図2に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、プリント基板などの基板Pに実装する装置である。
部品実装装置100は、基台1と、基板搬送部2と、ヘッドユニット3と、支持部4と、レール部5と、部品撮像部6と、マーク撮像部7と、制御部8と、記憶部9と、除電部10とを備えている。
基台1は、部品実装装置100において各構成要素を配置する基礎となる台である。基台1上には、基板搬送部2、レール部5および部品撮像部6が設けられている。また、基台1内には、制御部8および記憶部9が設けられている。また、基台1には、Y方向の両側(Y1方向側およびY2方向側)に、複数のテープフィーダ11を配置可能なフィーダ配置部1aがそれぞれ設けられている。なお、テープフィーダ11は、特許請求の範囲の「部品供給部」の一例である。
テープフィーダ11は、基板Pに実装される部品Eを供給する装置である。テープフィーダ11は、複数の部品Eを保持した部品供給テープ12(図3参照)が巻き回されたリール(図示せず)を保持している。また、テープフィーダ11は、ヘッドユニット3による部品Eの取出しのための部品保持動作に応じて、保持されたリールを回転させて部品供給テープ12を送り出すことにより、部品Eを供給するように構成されている。
部品供給テープ12は、図3に示すように、部品Eを配置することが可能な複数の凹部12aを有するキャリアテープ12bと、キャリアテープ12b上に配置されるカバーテープ12cとを含んでいる。部品供給テープ12では、部品Eは、カバーテープ12cにより覆われることにより、キャリアテープ12bの凹部12a内に封入されている。また、部品供給テープ12では、部品Eは、カバーテープ開き機構によりカバーテープ12cが開かれることにより、外部に露出して、ヘッドユニット3による取出しが可能な状態になる。カバーテープ開き機構は、カバーテープ12cを開くことにより、部品Eを取出し可能な状態にする機構である。たとえば、カバーテープ開き機構は、キャリアテープ12bからカバーテープ12cを剥がすことにより、カバーテープ12cを開く機構を有している。あるいは、カバーテープ開き機構は、キャリアテープ12b上のカバーテープ12cを切り開く機構を有している。なお、テープフィーダ11の供給位置11aでは、部品Eは、カバーテープ開き機構によりカバーテープ12cが開かれることにより、外部に露出して、ヘッドユニット3による取出しが可能な状態である。
図1および図2に示すように、基板搬送部2は、部品実装装置100の外部から実装前の基板Pを搬入し、基板Pを搬送方向(X方向)に搬送し、部品実装装置100の外部に実装後の基板Pを搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、搬入された基板Pを実装停止位置Aまで搬送するとともに、実装停止位置Aにおいて固定するように構成されている。基板搬送部2は、一対のコンベア部2aを有しており、一対のコンベア部2aにより、基板Pを搬送方向に搬送するように構成されている。一対のコンベア部2aは、それぞれ、コンベアベルトを有している。
ヘッドユニット3は、部品実装用のヘッドユニットであり、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pに部品Eを実装するように構成されている。具体的には、ヘッドユニット3は、複数(5つ)のヘッド(実装ヘッド)3aを含んでいる。複数のヘッド3aの各々は、真空発生装置(図示せず)に接続されており、真空発生装置から供給される負圧によって、先端に装着されたノズル3bに部品Eを保持(吸着)可能に構成されている。各ヘッド3aは、それぞれ、上下方向に移動可能に構成されている。これにより、各ヘッド3aは、部品Eを吸着するかまたは基板Pに部品Eを実装するために下降した位置と、水平面内で移動するために上昇した位置との間を移動可能に構成されている。
支持部4は、ヘッドユニット3を搬送方向(X方向)に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、支持部4は、搬送方向に延びるボールねじ軸41と、ボールねじ軸41を回転させるX軸モータ42とを含んでいる。ヘッドユニット3には、支持部4のボールねじ軸41と係合するボールナット(図示せず)が設けられている。ヘッドユニット3は、X軸モータ42によりボールねじ軸41が回転されることにより、ボールねじ軸41と係合するボールナットとともに、支持部4に沿って搬送方向に移動可能に構成されている。
一対のレール部5は、支持部4をY方向に移動可能に支持するように構成されている。具体的には、レール部5は、支持部4のX方向の両端部をY方向に移動可能に支持する一対のガイドレール51と、Y方向に延びるボールねじ軸52と、ボールねじ軸52を回転させるY軸モータ53とを含んでいる。支持部4には、レール部5のボールねじ軸52と係合するボールナット(図示せず)が設けられている。支持部4は、Y軸モータ53によりボールねじ軸52が回転されることにより、ボールねじ軸52と係合するボールナットとともに、一対のレール部5に沿ってY方向に移動可能に構成されている。
このような構成により、ヘッドユニット3は、基台1上を水平面内で(X方向およびY方向に)移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット3は、テープフィーダ11の上方に移動して、テープフィーダ11から供給される部品Eを保持(吸着)することが可能である。また、ヘッドユニット3は、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pの上方に移動して、保持(吸着)された部品Eを基板Pに実装することが可能である。
また、第1実施形態では、ヘッドユニット3には、部品Eおよび基板Pの帯電量(静電気量)を測定するための帯電量測定部13が設けられている。つまり、帯電量測定部13は、ヘッドユニット3とともに移動することにより、水平面内で移動可能に構成されている。また、帯電量測定部13は、帯電量として電位を測定する非接触式の表面電位計である。また、帯電量測定部13は、上下方向に移動可能に構成されている。これにより、帯電量測定部13は、部品Eの帯電量(電位)または基板Pの帯電量(電位)を測定するための下降した位置と、水平面内で移動するために上昇した位置との間を移動可能に構成されている。
部品撮像部6は、基板Pへの部品Eの実装に先立ってヘッド3aに保持(吸着)された部品Eを撮像する部品認識用のカメラである。部品撮像部6は、基台1の上面上に固定されており、部品Eの下方(Z2方向)から、ヘッド3aに保持(吸着)された部品Eを撮像するように構成されている。部品撮像部6による部品Eの撮像画像に基づいて、制御部8は、部品Eの吸着状態(回転姿勢およびヘッド3aに対する吸着位置)を取得(認識)するように構成されている。
マーク撮像部7は、基板Pへの部品Eの実装に先立って基板Pの上面に付された位置認識マーク(フィデューシャルマーク)Fを撮像するマーク認識用のカメラである。位置認識マークFは、基板Pの位置を認識するためのマークである。位置認識マークFによる位置認識マークFの撮像結果に基づいて、制御部8は、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pの正確な位置および姿勢を取得(認識)するように構成されている。
制御部8は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などを含み、部品実装装置100の動作を制御する制御回路である。制御部8は、基板搬送部2、テープフィーダ11、X軸モータ42およびY軸モータ53などを生産プログラムに従って制御することにより、ヘッドユニット3により基板Pへの部品Eの実装を行わせるように構成されている。
記憶部9は、ハードディスクやフラッシュメモリなどにより構成されている。制御部8は、帯電量測定部13により測定された部品Eの帯電量(電位)および基板Pの帯電量(電位)を記憶部9に記憶させる制御を行うように構成されている。記憶部9には、帯電量測定部13により時間間隔を置いて測定された部品Eの複数の帯電量(電位)および基板Pの複数の帯電量(電位)が記憶されている。
除電部10は、部品Eおよび基板Pを除電するための装置である。具体的には、除電部10は、正または負のイオンを放出して電荷を中和することにより、部品Eおよび基板Pを除電するイオナイザである。除電部10は、電極針(図示せず)に高電圧を印加することにより生じるコロナ放電により、空気を電離させて正または負のイオンを発生させるように構成されている。また、除電部10は、発生された正または負のイオンを、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品E、および、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pの斜め上方から、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品E、および、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pに向けて放出するように構成されている(図3参照)。除電部10は、部品Eの実装動作が行われている間、正または負のイオンを放出するように構成されている。つまり、部品実装装置100では、部品Eの実装動作が行われている間、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品E、および、実装停止位置Aにおいて固定された基板Pの除電部10による除電が行われている。
(帯電量の測定に関する構成)
ここで、第1実施形態では、制御部8は、図4に示すように、帯電量測定部13により予め決められた測定対象の部品Eの帯電量(電位)、および、基板Pの測定点の帯電量(電位)を測定する制御を行うとともに、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定結果、および、基板Pの測定点の測定結果に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装するか否かを判断するように構成されている。
制御部8は、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定結果に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装可能ではないと判断される場合には、リトライ動作を行う制御を行うように構成されている。リトライ動作の詳細については、後述する。
また、制御部8は、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定結果に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装可能であると判断される場合には、実装可能であると判断された測定対象部の部品Eを、ヘッドユニット3により実装する制御を行うように構成されている。部品Eをヘッドユニット3により実装する制御は、ヘッドユニット3を水平面内で移動させることにより、ヘッドユニット3のヘッド3aをテープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品Eの上方に移動させる制御、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品Eの上方に配置されたヘッドユニット3のヘッド3aを、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品Eにおける上面の近傍まで下降させて、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品Eをヘッド3aにより保持(吸着)する制御、部品Eを保持(吸着)したヘッド3aを上昇させる制御、ヘッドユニット3を水平面内で移動させることにより、部品Eを保持(吸着)したヘッド3aを基板Pにおけるヘッド3aに保持(吸着)された部品Eの実装位置の上方に移動させる制御、および、基板Pの実装位置の上方に配置された部品Eを保持(吸着)したヘッド3aを基板Pの実装位置の上面の近傍まで下降させて、部品Eを実装位置に配置(実装)する制御を含んでいる。
また、制御部8は、測定対象の部品Eの帯電量(電位)と基板Pの測定点の帯電量(電位)との帯電量差(電位差)に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装するか否かを判断するように構成されている。具体的には、制御部8は、帯電量差(電位差)が予め決められた第1帯電量しきい値以上である場合には、基板Pに測定対象の部品Eを実装可能ではないと判断するとともに、帯電量差(電位差)が予め決められた第1帯電量しきい値未満である場合には、基板Pに測定対象の部品Eを実装可能であると判断するように構成されている。なお、第1帯電量しきい値は、部品E毎に耐電圧が異なるため、各部品Eの耐電圧に基づいて、部品E毎に設定されている。
なお、帯電量測定部13により予め決められた測定対象の部品Eの帯電量(電位)を測定する制御は、帯電量測定部13を水平面内で移動させることにより、帯電量測定部13を測定対象の部品Eの上方に移動させる制御、および、測定対象の部品Eの上方に配置された帯電量測定部13を、測定対象の部品Eの上面の近傍まで下降させる制御を含んでいる。また、帯電量測定部13により基板Pの測定点の帯電量(電位)を測定する制御は、帯電量測定部13を水平面内で移動させることにより、帯電量測定部13を基板Pの測定点の上方に移動させる制御、および、基板Pの測定点の上方に配置された帯電量測定部13を、基板Pの測定点における上面の近傍まで下降させる制御を含んでいる。制御部8は、たとえば、予め決められた測定対象の部品Eの帯電量(電位)を帯電量測定部13により測定した後、基板Pの測定点の帯電量(電位)を帯電量測定部13により連続して測定する制御を行う。
また、予め決められた測定対象の部品Eは、たとえば、帯電しやすい部品Eや、耐電圧が低い部品E、高価な部品Eなどであり、ユーザにより任意に設定されている。また、部品実装装置100では、予め決められた測定対象の部品E以外の部品Eについては、帯電量測定部13による帯電量(電位)の測定は行われない。これにより、基板Pに実装される部品Eのうち特定の部品E(予め決められた測定対象の部品E)の帯電量(電位)のみが測定されるので、基板Pに実装される全部の部品Eについて帯電量測定部13による帯電量(電位)の測定を行う場合に比べて、帯電量(電位)の測定に要する時間を短縮することが可能である。
また、基板Pの測定点は、基板Pにおいて測定対象の部品Eが実装される位置である。これにより、基板Pにおいて実際に部品Eと接触する位置の帯電量(電位)が測定される。
また、第1実施形態では、制御部8は、予め決められた部品Eの実装順序に基づいて、ヘッドユニット3により測定対象の部品Eを保持(吸着)して実装する実装タイミングであると判断される場合に、テープフィーダ11を制御して、部品供給テープ12を送り出すことにより、部品供給テープ12に保持された部品Eを供給位置11aに移動させる制御を行うように構成されている。このため、制御部8は、予め決められた部品Eの実装順序に基づいて、実装タイミングであると判断される場合に、帯電量測定部13により、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された測定対象の部品Eの帯電量(電位)、および、この測定対象の部品Eに対応する基板Pの測定点の帯電量(電位)を測定する制御を行うように構成されている。
〈リトライ動作に関する構成〉
また、第1実施形態では、制御部8は、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定結果に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装可能ではないと判断される場合には、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定時から所定の時間だけ経過した後、所定の時間が経過する間に除電部10により除電された、実装可能ではないと判断された測定対象の部品Eと同じ測定対象の部品Eの帯電量(電位)を、帯電量測定部13により再度測定するリトライ動作を行う制御を行うように構成されている。
また、制御部8は、リトライ動作を行う場合に、測定対象の部品Eの帯電量(電位)と予め決められた部品帯電量しきい値との比較結果と、基板Pの測定点の帯電量(電位)と予め決められた基板帯電量しきい値との比較結果とに基づいて、測定対象の部品Eの帯電量(電位)のみを再測定するか、基板Pの測定点の帯電量(電位)のみを再測定するか、または、測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)の両方を再測定するかを判断して、リトライ動作を行う制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、測定対象の部品Eの帯電量(電位)が部品帯電量しきい値以上であり、かつ、基板Pの測定点の帯電量(電位)が基板帯電量しきい値未満である場合には、測定対象の部品Eの帯電量(電位)のみを再測定すると判断するとともに、測定対象の部品Eの帯電量(電位)のみの再測定を行うリトライ動作を行う制御を行うように構成されている。制御部8は、測定対象の部品Eの帯電量(電位)が部品帯電量しきい値未満であり、かつ、基板Pの測定点の帯電量(電位)が基板帯電量しきい値以上である場合には、基板Pの測定点の帯電量(電位)のみを再測定すると判断するとともに、基板Pの測定点の帯電量(電位)のみの再測定を行うリトライ動作を行う制御を行うように構成されている。また、制御部8は、測定対象の部品Eの帯電量(電位)が部品帯電量しきい値以上であり、かつ、基板Pの測定点の帯電量(電位)が基板帯電量しきい値以上である場合には、測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)の両方を再測定すると判断するとともに、測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)の両方の再測定を行うリトライ動作を行う制御を行うように構成されている。
また、第1実施形態では、制御部8は、図5に示すように、記憶部9に記憶された測定対象の部品Eの帯電量(電位)に基づいて、部品Eの帯電量(電位)が予め決められた第2帯電量しきい値になる時点を予測するとともに、予測された時点をリトライ動作を開始可能な時点(リトライ開始可能時点)として取得(算出)するように構成されている。制御部8は、測定対象の部品Eの帯電量(電位)が記憶部9に記憶された場合に、リトライ開始可能時点を取得するように構成されている。記憶部9には、測定対象の部品Eの種類毎に、測定対象の部品Eの帯電量(電位)の測定結果が、基準時間からの経過時間と関連付けて記憶されている。また、記憶部9には、現在帯電量(電位)の測定を行っている測定対象の部品Eの帯電量(電位)の測定結果(図5において、黒丸で示す)だけでなく、過去に帯電量(電位)の測定が行われた測定対象の部品Eの測定結果(図5において、黒三角および黒四角で示す)も記憶されている。なお、制御部8は、予め決められた数(たとえば、100個)よりも大きい数の測定対象の部品Eの測定結果が記憶部9に記憶される場合には、最も過去の測定対象の部品Eの測定結果を削除するように構成されている。これにより、常に新しい測定対象の部品Eの測定結果に基づいて、リトライ開始可能時点を取得することが可能である。
制御部8は、基準時間からの経過時間と関連付けて記憶部9に記憶された測定対象の部品Eの帯電量(電位)に基づいて、経過時間に応じた部品Eの帯電量(電位)の減少の度合いを示す相関式を取得するとともに、取得された相関式に基づいて、リトライ開始可能時点を取得するように構成されている。相関式は、たとえば、最小二乗法により取得することが可能である。なお、図5では、相関式が一次関数である例を図示しているが、これに限られず、相関式は二次以上の関数であっても良い。
制御部8は、取得されたリトライ開始可能時点の後に、リトライ動作を行う制御を行うように構成されている。また、第1実施形態では、制御部8は、リトライ動作が行われるまでの間、基板Pに測定対象以外の部品Eの実装動作を行う制御を行うように構成されている。また、制御部8は、リトライ開始可能時点の後であって、基板Pに測定対象以外の部品Eの実装動作を行っている場合には、測定対象以外の部品Eの実装動作を完了した後、リトライ動作を行うように構成されている。
また、第1実施形態では、制御部8は、予め決められた回数(たとえば、数回程度)を上限に、リトライ動作を行う制御を行うように構成されている。制御部8は、図6に示すように、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達した場合には、作業者(オペレータ)に報知する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、たとえば部品実装装置100の表示部100aに表示することにより、帯電量のエラーが生じたことを示す情報、帯電量のエラーが生じた場合における次の作業を示す情報を、作業者に報知する制御を行うように構成されている。あるいは、制御部8は、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達したことを示す情報を、作業者に報知する制御を行う。
〈ログに関する構成〉
また、第1実施形態では、制御部8は、記憶部9に記憶された測定対象の部品Eの帯電量(電位)を、ログ(測定した帯電量の記録)として出力する制御を行うように構成されている。制御部8は、作業者によるログ要求操作に応じて、記憶部9に記憶された測定対象の部品Eの帯電量(ログ)を、たとえば表示部100aまたは用紙などの媒体に出力する制御を行うように構成されている。この際、制御部8は、過去に帯電量(電位)の測定が行われた測定対象の部品Eの測定結果と基準時間からの経過時間とを関連付けた図形情報(たとえば、図5参照)を、ログとして出力する制御を行うように構成されている。
(帯電量測定処理)
次に、図7を参照して第1実施形態の部品実装装置100による帯電量測定処理をフローチャートに基づいて説明する。なお、フローチャートの各処理は、制御部8により行われる。
図7に示すように、まず、ステップS1では、測定対象の部品Eの実装順序であるか否かが判断される。測定対象の部品Eの実装順序ではない(測定対象の部品E以外の部品Eの実装順序である)と判断される場合には、ステップS2に進む。そして、ステップS2において、測定対象の部品E以外の部品Eの実装動作を行う制御が行われて、帯電量測定処理が終了される。そして、次の実装順序の部品Eについて、帯電量測定処理が開始される。なお、ステップS2の実装動作を行う制御では、実装順序の部品E以外に保持すべき部品Eがある場合には、実装順序の部品Eをヘッドユニット3により保持するだけで、基板Pへの実装までは行わない。また、ステップS2の実装動作を行う制御では、実装順序の部品E以外に保持すべき部品Eがない場合(保持すべき全ての部品Eを保持する場合)には、実装順序の部品Eをヘッドユニット3により保持するとともに、保持されている全ての部品Eの基板Pへの実装を行う。
また、ステップS1において、測定対象の部品Eの実装順序であると判断される場合には、ステップS3に進む。
そして、ステップS3において、帯電量測定部13により測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)を測定する制御が行われる。
次に、ステップS4では、放電により測定対象の部品Eが壊れそうか否かが判断される。つまり、ステップS4では、測定対象の部品Eの帯電量(電位)と基板Pの測定点の帯電量(電位)との帯電量差(電位差)が、第1帯電量しきい値以上であるか否かが判断される。帯電量差(電位差)が第1帯電量しきい値未満である(放電により測定対象の部品Eが壊れそうではない)と判断される場合には、ステップS2に進む。そして、ステップS2において、リトライ動作を行う制御が行われることなく、測定対象の部品Eの実装動作を行う制御が行われて、帯電量測定処理が終了される。そして、次の実装順序の部品Eについて、帯電量測定処理が開始される。
また、ステップS3において、帯電量差(電位差)が第1帯電量しきい値以上である(放電により測定対象の部品Eが壊れそうである)と判断される場合には、ステップS5に進む。
そして、ステップS5において、帯電量測定部13により測定された測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)を記憶部9に記憶する制御が行われる。また、ステップS5では、記憶部9に記憶された測定対象の部品Eの帯電量(電位)に基づいて、リトライ開始可能時点が取得される。
次に、ステップS6では、リトライ動作の回数がカウントされるとともに、カウントされたリトライ動作の回数が予め決められた回数に達したか否かが判断される。リトライ動作の回数が予め決められた回数に達したと判断される場合には、ステップS7に進む。そして、ステップS7において、たとえば表示部100aにリトライ動作の回数が予め決められた回数に達したことを示す情報および帯電量のエラーが生じたことを示す情報を表示することにより、作業者にエラーを通知する制御が行われる。
また、ステップS6において、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達していないと判断される場合には、ステップS8に進む。
そして、ステップS8において、ステップS5において取得されたリトライ開始可能時点を経過したか否かが判断される。リトライ開始可能時点を経過していないと判断される場合には、ステップS9に進む。そして、ステップS9において、測定対象の部品E以外の部品Eの実装動作を行う制御が行われる。なお、ステップS9における部品Eの実装動作が完了していなくても、ステップS8に戻り、適宜、リトライ開始可能時点を経過したか否かが判断される。
また、ステップS8において、リトライ開始可能時点を経過したと判断される場合には、ステップS10に進む。
そして、ステップS10において、測定対象の部品Eの帯電量(電位)と部品帯電量しきい値との比較結果と、基板Pの測定点の帯電量(電位)と基板帯電量しきい値との比較結果とに基づいて、測定対象の部品Eの帯電量(電位)のみを再測定するか、基板Pの測定点の帯電量(電位)のみを測定するか、または、測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)の両方を再測定するかが判断される。
ステップS10では、測定対象の部品Eの帯電量(電位)が部品帯電量しきい値以上であり、かつ、基板Pの測定点の帯電量(電位)が基板帯電量しきい値未満である場合には、測定対象の部品Eの帯電量(電位)のみを再測定すると判断される。この場合、ステップS11に進む。そして、ステップS11において、測定対象の部品Eの帯電量(電位)のみの再測定を行うリトライ動作を行う制御が行われる。
また、ステップS10では、測定対象の部品Eの帯電量(電位)が部品帯電量しきい値未満であり、かつ、基板Pの測定点の帯電量(電位)が基板帯電量しきい値以上である場合には、基板Pの測定点の帯電量(電位)のみを再測定すると判断される。この場合、ステップS12に進む。そして、ステップS12において、基板Pの測定点の帯電量(電位)のみの再測定を行うリトライ動作を行う制御が行われる。
また、ステップS10では、測定対象の部品Eの帯電量(電位)が部品帯電量しきい値以上であり、かつ、基板Pの測定点の帯電量(電位)が基板帯電量しきい値以上である場合には、測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)の両方を再測定すると判断される。この場合、ステップS13に進む。そして、ステップS13において、測定対象の部品Eの帯電量(電位)および基板Pの測定点の帯電量(電位)の両方の再測定を行うリトライ動作を行う制御が行われる。
ステップS11〜S13のいずれの処理を行う場合にも、再測定後には、ステップS4に進む。そして、ステップS4において、放電により部品Eが壊れそうか否かが再び判断される。その後、ステップS4において、放電により部品Eが壊れそうではないと判断された後、ステップS2において、測定対象の部品Eの実装動作を行う制御が行われるか、または、ステップS6において、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達したと判断された後、ステップS7において、作業者にエラーを通知する制御が行われるまで、リトライ動作が繰り返される。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定結果に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装するか否かを判断するように制御部8を構成する。これにより、実際に部品Eが実装可能な帯電量(部品Eが静電破壊されない帯電量)であることを確認した上で基板Pに部品Eを実装することができるので、実装時に基板Pと部品Eとの間に高電圧で電流が流れることを抑制することができる。その結果、実装時に部品Eが静電破壊されることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部8を、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定結果に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装可能ではないと判断される場合には、帯電量測定部13による測定対象の部品Eの測定時から所定の時間だけ経過した後、所定の時間が経過する間に除電部10により除電された、実装可能ではないと判断された測定対象の部品Eと同じ測定対象の部品Eの帯電量を、帯電量測定部13により再度測定するリトライ動作を行う制御を行うように構成する。これにより、一度実装可能ではないと判断された部品Eであっても、除電部10により除電されることにより実装可能な帯電量になった部品Eについては、基板Pに実装することができる。つまり、実装可能ではないと一度判断されただけで部品Eを廃棄する場合と異なり、部品Eを有効に利用しつつ、実装時に部品Eが静電破壊されることを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部8を、予め決められた回数を上限に、リトライ動作を行う制御を行うように構成する。これにより、リトライ動作が過度に繰り返されることを抑制することができるので、リトライ動作を繰り返すことに起因して帯電量の測定に要する時間が増加することを抑制することができる。また、リトライ動作を繰り返すことに起因して帯電量の測定に要する時間が増加することを抑制することにより、リトライ動作が基板Pに部品Eを実装して基板Pを作成するときの時間(タクト)に影響することを抑えることもできる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部8を、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達した場合には、作業者に報知する制御を行うように構成する。これにより、作業者は、報知結果に基づいて、次の作業を容易に選択することができる。たとえば、作業者は、部品Eの値段などに応じて、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達した部品Eをさらに除電して実装するか、または、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達した部品Eを廃棄するかなどの次の作業を選択することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部8を、記憶部9に記憶された測定対象の部品Eの複数の帯電量に基づいて、部品Eの帯電量が所定の帯電量しきい値(第2帯電量しきい値)になる時点を予測するとともに、予測された時点をリトライ動作を開始可能な時点として取得するように構成する。これにより、部品Eの帯電量が所定の帯電量しきい値になると予測される時点の後にリトライ動作を行うことにより、部品Eの帯電量を極力実装可能な帯電量にした状態で、リトライ動作を行うことができるので、リトライ動作の回数が増加することを抑制することができる。その結果、リトライ動作を繰り返すことに起因して帯電量の測定に要する時間が増加することを効果的に抑制することができる。また、リトライ動作を繰り返すことに起因して帯電量の測定に要する時間が増加することを効果的に抑制することにより、リトライ動作が基板Pに部品Eを実装して基板Pを作成するときの時間(タクト)に影響することを効果的に抑えることもできる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部8を、リトライ動作が行われるまでの間、基板Pに測定対象の部品E以外の部品Eを実装する実装動作を行う制御を行うように構成する。これにより、リトライ動作が行われるまでの間の時間を、基板Pに測定対象の部品E以外の部品Eを実装する実装動作のための時間として有効に利用することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、ヘッドユニット3を、水平面内で移動可能に構成する。そして、帯電量測定部13を、ヘッドユニット3に設ける。これにより、ヘッドユニット3の移動機構を利用して、ヘッドユニット3とともに帯電量測定部13を移動させることができるので、装置構成が複雑化することを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部8を、帯電量測定部13により測定対象の部品Eの帯電量、および、基板Pの帯電量を測定する制御を行うとともに、測定対象の部品Eの帯電量と基板Pの帯電量との帯電量差に基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装するか否かを判断するように構成する。これにより、部品Eの帯電量だけでなく基板Pの帯電量にも基づいて、基板Pに測定対象の部品Eを実装するか否かを判断することができるので、実装時に基板Pと部品Eとの間に高電圧で電流が流れるか否かをより正確に判断することができる。その結果、実装時に部品Eが静電破壊されることを防止することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部8を、記憶部9に記憶された測定対象の部品Eの複数の帯電量を、ログとして出力する制御を行うように構成する。これにより、作業者は、出力されたログに基づいて、帯電量が小さくなりにくい部品Eや、帯電量が常に大きい部品Eなどを把握することができる。この場合、帯電量が小さくなりにくい部品Eや、帯電量が常に大きい部品Eなどの特定の部品Eのみを測定対象として設定すれば、測定対象の部品Eの種類を減少させることができるので、帯電量の測定に要する時間が増加することを抑制することができる。また、作業者は、出力されたログに基づいて、帯電量の減り方を確認することができる。もし、帯電量の減り方が遅くなっていれば、作業者は、除電部10の除電能力が減少していることを把握することができるので、除電部10のメンテナンス時期を把握することができる。
(第1実施形態の第1変形例)
次に、図8を参照して、第1実施形態の変形例について説明する。変形例では、帯電量測定部がヘッドユニットに設けられた上記第1実施形態と異なり、帯電量測定部がヘッドユニットとは独立して別個に設けられる例について説明する。なお、図8では、理解の容易のために、支持部4の図示を省略している。
変形例では、図8に示すように、帯電量測定部13aは、ヘッドユニット3とは独立して別個に設けられ、ヘッドユニット3とは独立して別個に水平面内で移動可能に構成されている。具体的には、帯電量測定部13aは、Y1方向側のテープフィーダ11に対応して設けられた帯電量測定部13bと、Y2方向側のテープフィーダ11に対応して設けられた帯電量測定部13cと、基板Pに対応して設けられた帯電量測定部13dとを含んでいる。
帯電量測定部13bは、帯電量測定部支持部4aに支持されている。帯電量測定部13bおよび帯電量測定部支持部4aは、共に、テープフィーダ11の上方に設けられている。帯電量測定部支持部4aは、帯電量測定部13bをテープフィーダ11の配列方向(X方向)に移動可能に支持するように構成されている。これにより、帯電量測定部13bは、任意のテープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品Eの上方に移動可能に構成されている。また、帯電量測定部支持部4aは、水平面内でテープフィーダ11の配列方向とは直交する方向(Y方向)に移動可能に構成されている。これにより、帯電量測定部13bおよび帯電量測定部支持部4aは、測定対象の部品Eの帯電量(電位)を測定するための測定位置と、ヘッドユニット3による部品Eの保持(吸着)を阻害しないための退避位置との間で移動可能に構成されている。また、これらの結果、帯電量測定部13bは、水平面内で移動可能に構成されている。また、帯電量測定部13bは、上記第1実施形態の帯電量測定部13と同様に、上下方向に移動可能に構成されている。
帯電量測定部13cは、帯電量測定部支持部4bに支持されている。帯電量測定部13cおよび帯電量測定部支持部4bは、共に、テープフィーダ11の上方に設けられている。帯電量測定部支持部4bは、帯電量測定部13cをテープフィーダ11の配列方向(X方向)に移動可能に支持するように構成されている。これにより、帯電量測定部13cは、任意のテープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品Eの上方に移動可能に構成されている。また、帯電量測定部支持部4bは、水平面内でテープフィーダ11の配列方向とは直交する方向(Y方向)に移動可能に構成されている。これにより、帯電量測定部13cおよび帯電量測定部支持部4bは、測定対象の部品Eの帯電量(電位)を測定するための測定位置と、ヘッドユニット3による部品Eの保持(吸着)を阻害しないための退避位置との間で移動可能に構成されている。また、これらの結果、帯電量測定部13cは、水平面内で移動可能に構成されている。また、帯電量測定部13cは、上記第1実施形態の帯電量測定部13と同様に、上下方向に移動可能に構成されている。
帯電量測定部13dは、帯電量測定部支持部4cに支持されている。帯電量測定部13dおよび帯電量測定部支持部4cは、共に、基板Pの上方に設けられている。帯電量測定部支持部4cは、帯電量測定部13dを、水平面内で基板Pの搬送方向と直交する方向(Y方向)に移動可能に支持するように構成されている。また、帯電量測定部支持部4cは、基板Pの搬送方向(X方向)に移動可能に構成されている。これらの結果、帯電量測定部13dは、基板Pの上面の任意の位置の帯電量(電位)を測定可能なように、水平面内で移動可能に構成されている。また、帯電量測定部13dは、上記第1実施形態の帯電量測定部13と同様に、上下方向に移動可能に構成されている。
(第1実施形態の変形例の効果)
第1実施形態の変形例では、上記のように、帯電量測定部13a(13b〜13d)を、ヘッドユニット3とは独立して別個に設け、ヘッドユニット3とは独立して別個に水平面内で移動可能に構成する。これにより、帯電量測定部13a(13b〜13d)をヘッドユニット3とは独立して別個に移動させることができるので、帯電量測定部13a(13b〜13d)による部品Eの帯電量の測定と、ヘッドユニット3による部品Eの実装とを互いに並行して行うことができる。
なお、第1実施形態の第1変形例のその他の構成および効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第2実施形態]
次に、図1、図2、図3および図9を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、実装タイミングであると判断される場合に、帯電量測定部による帯電量の測定を行う上記第1実施形態と異なり、実装タイミングであるか否かに関わらず、帯電量測定部による帯電量の測定を行う例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
(部品実装装置の構成)
本発明の第2実施形態による部品実装装置200は、図1および図2に示すように、制御部208を備える点で、上記第1実施形態の部品実装装置100と相違する。
第2実施形態では、制御部208は、実装タイミングであるか否かに関わらず、テープフィーダ11を制御して、部品供給テープ12(図3参照)を送り出すことにより、部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eを、除電部10から放出されるイオンが当たりやすい位置である供給位置11aに予め移動させる先送り動作を行う制御を行うとともに、部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eを除電部10により所定の除電時間だけ除電する制御を行うように構成されている。
先送り動作を行う制御は、以下に説明する第1制御および第2制御の2つの制御を含んでいる。
第1制御は、基板Pに最初の部品Eが実装される前に行われる先送り動作を行う制御である。具体的には、第1制御は、基板Pが部品実装装置200内に搬入された場合に、部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eを、供給位置11aに予め移動させる先送り動作を行う制御である。第1制御では、測定対象の部品Eを保持する部品供給テープ12を保持する全部のテープフィーダ11において、部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eが、供給位置11aに予め移動される。これにより、除電部10による所定の除電時間を確保可能であるとともに、基板Pが実装停止位置Aに搬送されるまでの間に、基板Pが搬入された時点で測定可能な測定対象の部品Eの帯電量(電位)の測定動作を開始することが可能である。
第2制御は、実装期間中に行われる先送り動作を行う制御である。具体的には、第2制御は、実装タイミングであるか否かに関わらず、ヘッドユニット3により部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eを保持(吸着)してから実装するまでの間に、同じ部品供給テープ12における次の測定対象の部品Eを、供給位置11aに予め移動させる先送り動作を行う制御である。第2制御では、実装タイミングであるか否かに関わらず、ヘッドユニット3により部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eを保持(吸着)した直後に、同じ部品供給テープ12における次の測定対象の部品Eが、供給位置11aに予め移動される。これにより、除電部10による所定の除電時間を確保可能であるとともに、測定対象の部品Eを迅速に測定可能な状態にすることが可能である。
第2実施形態では、先送り動作が行われて供給位置11aに配置された測定対象の部品Eであれば、実装タイミングであるか否かに関わらず、帯電量(電位)の測定動作を行うことが可能である。したがって、第2実施形態では、制御部208は、図9に示すように、所定の測定タイミングであると判断される場合には、実装タイミングであるか否かに関わらず、帯電量測定部13により、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された測定可能な測定対象の部品Eの帯電量(電位)、および、この測定可能な測定対象の部品Eに対応する基板Pの測定点の帯電量(電位)を測定する制御を行うように構成されている。
具体的には、制御部208は、第1制御が行われた場合には、基板Pが実装停止位置Aにおいて固定されるまでの間の所定の測定タイミングにおいて、測定可能な測定対象の部品E(図9では、5つの部品E)を測定グループとして、この測定グループに属する測定対象の部品Eの帯電量(電位)を帯電量測定部13により連続して測定する制御を行うように構成されている。また、制御部208は、第1制御が行われた場合には、基板Pが実装停止位置Aにおいて固定された後であって最初の部品Eがヘッドユニット3により保持される前の所定の測定タイミングにおいて、帯電量(電位)が測定された測定対象の部品Eに対応する基板Pの測定点(図9では、5つの測定点)を測定グループとして、この測定グループに属する基板Pの測定点の帯電量(電位)を帯電量測定部13により連続して測定する制御を行うように構成されている。
また、制御部208は、実装期間中であって第2制御が行われている場合には、予め決められた所定の測定タイミングにおいて、測定可能な測定対象の部品E(たとえば、5つの部品E)を測定グループとして、この測定グループに属する部品Eの帯電量(電位)を帯電量測定部13により連続して測定する制御を行うように構成されている。また、制御部208は、帯電量(電位)が測定された測定対象の部品Eに対応する基板Pの測定点(たとえば、5つの測定点)を測定グループとして、この測定グループに属する基板Pの測定点の帯電量(電位)を帯電量測定部13により連続して測定する制御を行うように構成されている。
また、制御部208は、測定グループに属する複数の測定対象の部品E、または、測定グループに属する複数の基板Pの測定点を測定する制御を行う場合には、移動距離が最小となるように、帯電量測定部13を移動させる制御を行うように構成されている。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、制御部208を、テープフィーダ11を制御して、部品供給テープ12を送り出すことにより、部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eを、除電部10から放出されるイオンが当たりやすい位置に予め移動させる先送り動作を行う制御を行うとともに、部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eを除電部により所定の除電時間だけ除電する制御を行うように構成する。これにより、部品供給テープ12に保持された測定対象の部品Eの除電を効果的に行うことができるので、部品Eの帯電量を容易に実装可能な帯電量にすることができる。
また、第2実施形態では、上記のように、制御部208を、所定の測定タイミングであると判断される場合には、実装タイミングであるか否かに関わらず、帯電量測定部13により、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された測定可能な測定対象の部品Eの帯電量(電位)を測定する制御を行うように構成する。これにより、所定の測定タイミングで測定可能な複数の測定対象の部品Eの帯電量の測定を連続して行うことができるので、実装タイミング毎に1つずつ測定対象の部品Eの帯電量の測定を行う場合に比べて、帯電量の測定を効率良く行うことができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図10および図11を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第2実施形態に加えて、部品実装装置が除電ステーションをさらに備える例について説明する。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
(部品実装装置の構成)
本発明の第3実施形態による部品実装装置300は、図10に示すように、制御部308と除電ステーション314とを備える点で、上記第2実施形態の部品実装装置200と相違する。
除電ステーション314は、テープフィーダ11とは異なる位置に配置され、テープフィーダ11の供給位置11aよりも除電部10から放出されるイオンが当たりやすい位置に配置されている。具体的には、除電ステーション314は、Y1方向側のテープフィーダ11と基板搬送部2との間、および、Y2方向側のテープフィーダ11と基板搬送部2との間にそれぞれ設けられている。
また、図11に示すように、除電ステーション314は、部品Eを配置可能な部品配置面314aを有している。また、除電ステーション314は、除電部10から放出されるイオンが部品配置面314aに届くことが阻害されないように、部品配置面314aの周囲が開放される形状を有している。これにより、除電ステーション314では、テープフィーダ11の供給位置11aに配置されている場合に比べて、除電部10から放出されるイオンが部品Eに当たりやすくなっている。また、除電ステーション314を設ける場合には、たとえば、除電ステーション314の位置に対応する位置に位置する除電部10のイオン放出口の大きさを、除電ステーション314の位置に対応する位置以外の位置に位置するイオン放出口の大きさに比べて、大きくしてもよい。あるいは、除電ステーション314の位置に対応する位置に位置する除電部10のイオン放出口から放出されるイオンの放出速度を、除電ステーション314の位置に対応する位置以外の位置に位置するイオン放出口から放出されるイオンの放出速度に比べて、大きくしてもよい。これにより、除電部10から放出されるイオンが、除電ステーション314に配置された部品Eにより当たりやすくなるので、除電ステーション314に配置された部品Eの除電をより促進することが可能である。
また、第3実施形態では、制御部308は、テープフィーダ11の供給位置11aから除電ステーション314に測定対象の部品Eを移動させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部308は、測定された測定対象の部品Eの帯電量(電位)が、所定の値以上である場合に、テープフィーダ11の供給位置11aから除電ステーション314に測定対象の部品Eを移動させる制御を行うように構成されている。テープフィーダ11の供給位置11aから除電ステーション314に測定対象の部品Eを移動させる制御は、移動先が除電ステーション314の部品配置面314aであることを除いて、部品Eをヘッドユニット3により実装する制御と同様であるので、詳細な説明は省略する。つまり、テープフィーダ11の供給位置11aに配置された部品Eは、ヘッドユニット3のヘッド3aにより保持された状態で、除電ステーション314の部品配置面314aに移動される。
また、制御部308は、上記第2実施形態と同様に、帯電量測定部13により測定グループの測定対象の部品Eの帯電量(電位)を測定する制御を行うように構成されている。したがって、第3実施形態では、制御部308は、測定グループの測定対象の部品Eのうち、帯電量(電位)が所定の値以上である測定対象の部品Eを、テープフィーダ11の供給位置11aから除電ステーション314に移動させる制御を行うように構成されている。また、第3実施形態では、除電ステーション314に移動された測定対象の部品Eに関するリトライ動作を行う場合には、除電ステーション314に移動された測定対象の部品Eを測定グループとして、この測定グループに属する測定対象の部品Eに関するリトライ動作を連続して行うことが可能である。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記のように、部品実装装置300は、テープフィーダ11とは異なる位置に配置され、テープフィーダ11よりも除電部10から放出されるイオンが当たりやすい位置に配置された除電ステーション314、を備える。そして、制御部308を、テープフィーダ11から除電ステーション314に測定対象の部品Eを移動させる制御を行うように構成する。これにより、除電ステーション314において除電部10による部品Eの除電を効果的に行うことができるので、部品Eの帯電量を容易に実装可能な帯電量にすることができる。
また、第3実施形態では、上記のように、制御部308を、帯電量測定部13により測定された測定対象の部品Eの帯電量が、所定の値以上である場合に、テープフィーダ11から除電ステーション314に測定対象の部品Eを移動させる制御を行うように構成する。これにより、測定対象の全部の部品Eをテープフィーダ11から除電ステーション314に移動させる場合と異なり、帯電量が比較的大きい測定対象の部品Eのみをテープフィーダ11から除電ステーション314に移動させることができる。その結果、帯電量の測定に要する時間が増加することを抑制しつつ、除電ステーション314において除電部10による部品Eの除電を効果的に行うことができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、本発明の部品供給部としてテープフィーダを用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品供給部として、トレイ上に部品を保持するトレイフィーダを用いてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、部品実装装置が、イオンを放出することにより除電を行う除電部を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が、除電部を備えていなくてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、帯電量測定部が、帯電量として電位を測定する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、帯電量測定部が、帯電量として電荷量を測定してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、帯電量測定部により測定対象の部品の帯電量、および、この測定対象の部品に対応する基板Pの測定点の帯電量の両方を測定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、帯電量測定部により測定対象の部品の帯電量を測定していれば、この測定対象の部品に対応する基板Pの測定点の帯電量を測定しなくてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、部品実装装置が、帯電量を再測定するリトライ動作を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が、一度の帯電量の測定のみで、基板に測定対象の部品を実装するか否かを判断する場合には、帯電量を再測定するリトライ動作を行わなくてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、予め決められた回数を上限に、リトライ動作を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リトライ動作の上限回数を設けなくてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達した場合に、帯電量のエラーが生じたことを示す情報、帯電量のエラーが生じた場合における次の作業を示す情報を、作業者に報知する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リトライ動作の回数が予め決められた回数に達したことを作業者が認識可能であれば、どのような情報を作業者に報知してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、記憶部に記憶された測定対象の部品の帯電量に基づいて、リトライ開始可能時点を取得(算出)するとともに、取得されたリトライ開始可能時点の後に、リトライ動作を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、リトライ開始可能時点を取得(算出)することなく、予め決められた時間の後に、リトライ動作を行ってもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、リトライ動作が行われるまでの間、測定対象の部品以外の部品を実装する実装動作を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リトライ動作が行われるまでの間、ヘッドユニットが待機していてもよい。
また、上記第2実施形態では、測定対象の部品について先送り動作を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定対象の部品だけでなく、測定対象の部品以外についても先送り動作を行ってもよい。また、第1実施形態の構成において、先送り動作を行ってもよい。
また、上記第3実施形態では、測定対象の部品の帯電量が所定の値以上である場合に、テープフィーダ(部品供給部)から除電ステーションに測定対象の部品を移動させる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、測定対象の部品の帯電量に関わらず、測定時点で測定可能な測定対象の部品の全部を、テープフィーダ(部品供給部)から除電ステーションに移動させてもよい。この場合、帯電量の測定後に、テープフィーダ(部品供給部)から除電ステーションに測定対象の部品を移動させてもよいし、帯電量の測定前に、テープフィーダ(部品供給部)から除電ステーションに測定対象の部品を移動させてもよい。