JP2018184868A - 弁開閉時期制御装置用制御バルブおよび弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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Junki Hayashi
純輝 林
金田 洋治
Yoji Kaneda
洋治 金田
林 武志
Takeshi Hayashi
武志 林
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Abstract

【課題】弁開閉時期制御装置がどのような相対回転位相にあっても、迅速確実にロック状態に移行が可能な弁開閉時期制御装置用制御バルブを構成する。【解決手段】弁開閉時期制御装置用制御バルブCVは、ポンプポート、進角ポート、遅角ポート、ロック解除ポートが形成されたバルブハウジング40と、スプール50と、電磁ソレノイド60とを有する。スプール50が、進角ポジションから第1ロックポジションW1に移行する際に遅角ポート40Bから排出される流体の流れを制限する第1流量制限部R1を形成し、スプール50が、遅角ポジションから第2ロックポジションに移行する際に進角ポート40Aから排出される流体の流れを制限する第2流量制限部を形成した。【選択図】図5

Description

本発明は、弁開閉時期制御装置用制御バルブおよび弁開閉時期制御装置に関し、詳しくは流体圧で制御される弁開閉時期制御装置のロック機構のロック状態への移行を確実に行わせる技術に関する。
特許文献1には、制御バルブ(文献では制御弁)をロック移行ポジションに設定することにより、ロック機構から作動油を排出しつつ、進角室に作動油を供給して、相対回転位相を進角方向に変位させ、ロック位相に達したタイミングでロック機構をロック状態に移行する技術が記載されている。
特に、この特許文献1には、ロック移行ポジションでは遅角室から排出される作動油の単位時間あたりの排出量を制限することで相対回転位相の変位速度を低下させ、ロック部材がロック凹部に達したタイミングで、これらを確実に係合させ、相対回転位相がオーバーシュートする不都合を抑制している。
特開2016‐61175号公報
特許文献1に記載される電磁バルブでは、スプールを進角方向に制御する端部にロック移行ポジション(文献では第1ポジション)が設定され、スプールをロック移行ポジションに設定することでロック状態への移行が可能となる。特に、この構成では、相対回転位相がロック位相より進角側にある状況からロック状態に移行する場合には、スプールを遅角ポジションに設定して相対回転位相をロック方向より遅角側に変位させ、この後に制御バルブをロック移行ポジションに設定して進角方向に変位させてロック状態にする制御形態となる。
しかしながら、このようにロック移行ポジションが電磁バルブのスプール一方の端部に設定されたものでは、弁開閉時期制御装置の相対回転位相によってはロック状態への移行に無駄な時間を要する。
また、弁開閉時期制御装置では、内燃機関の停止時に進角室と遅角室の内部の流体が流路を介して排出されることも考えられる。従って、内燃機関の停止時に進角室と遅角室との一方から流体が排出された場合には、内燃機関を始動した直後にロック機構のロック状態を解除した際には、カム変動トルク等の作用により相対回転位相が進角側と遅角側とに交互に変動し、振動を招くこともあった。
このような理由から、弁開閉時期制御装置がどのような相対回転位相にあっても、ロック状態への移行が確実に行え、内燃機関の始動後にロック機構のロック状態を解除した場合には振動の抑制が可能な弁開閉時期制御装置用制御バルブおよび弁開閉時期制御装置が求められる。
本発明の特徴は、ポンプポート、進角ポート、遅角ポート、ロック解除ポートの各ポートが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジングに対し軸芯に沿って移動自在に収容されたスプールと、
供給される電力の増大又は低減により前記スプールを、第1ロックポジション、進角ポジション、中立ポジション、遅角ポジション、第2ロックポジションの順序で各ポジションに設定する電磁ソレノイドとを備えると共に、
前記スプールが、前記進角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記進角ポートとに流体を供給しつつ前記遅角ポートから流体を排出し、
前記スプールが、前記遅角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記遅角ポートとに流体を供給しつつ前記進角ポートから流体を排出し、
前記スプールが、前記中立ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートに流体を供給しつつ前記進角ポートと前記遅角ポートとを閉塞する流路構成を有し、
前記スプールが、前記進角ポジションから前記第1ロックポジションに設定変更された際に前記進角ポートに流体を供給しつつ前記遅角ポートから排出される流体の流れを制限する第1流量制限部を備え、前記スプールが、前記遅角ポジションから前記第2ロックポジションに設定変更された際に前記進角ポートから排出される流体の流れを制限する第2流量制限部を備えている点にある。
弁開閉時期制御装置として、例えば、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体とを備え、流体が供給されることにより駆動側回転体と従動側回転体と相対回転位相を進角方向に変位させる進角室と、遅角方向に変位させる遅角室とを備え、駆動側回転体と従動側回転体との一方に支持されたロック部材をバネ付勢力により他方に形成された係合部に係合するロック機構を備えた構成を想定する。
このような構成の弁開閉時期制御装置では、相対回転位相がロック位相より遅角側にある場合には、スプールを第1ロックポジションに設定することにより、進角室に流体を供給しつつ、ロック解除ポートから流体を排出し、遅角ポートから排出される流体の流量を第1流量制限部が制限する。これと同様に、相対回転位相がロック位相より進角側にある場合には、スプールを第2ロックポジションに設定することにより、遅角室に流体を供給しつつ、ロック解除ポートから流体を排出し、進角ポートから排出される流体の流量を第2流量制限部が制限する。つまり、弁開閉時期制御装置がどのような相対回転位相にあってもスプールを一方向に移動させるだけでロック状態への移行が可能となる。そして、第1流量制限部と第2流量制限部とにおいて流体の流量が制限されることで相対回転位相の変位速度が低下し、ロック部材が係合部に係合可能な回転位相に達したタイミングで付勢力の作用によるロック部材の係合部への係合を確実に行わせ、ロック状態への移行を実現する。
この構成では、スプールを、中立ポジションや遅角ポジションから第1ロックポジションに操作した場合には第1流量制限部を通過し、スプールを中立ポジションや進角ポジションから第2ロックポジションに操作した場合には第2流量制限部を通過する。従って、何れの操作形態であっても相対回転位相の変位速度を低下させ、確実なロック状態への移行を実現する。また、この構成では、進角ポジションまたは遅角ポジションにスプールを設定した際の相対回転位相の変位速度より、第1流量制限部または第2流量制限部で流体の流れを制限するポジションにスプールを設定した際の相対回転位相の変位速度が低速であり、第1ロックポジション又は第2ロックポジションにスプールを設定した際の相対回転位相の変位速度が更に低速に設定されるため、相対回転位相がロック位相に達した際のロック状態への移行を確実に行わせる。
例えば、流体が低温で粘性が高い状況において、スプールを中間ポジションから第1ロックポジションに操作した場合には、操作の過程でスプールが進角ポジションを通過する際に相対回転位相が変位するものの、第1流量制御部を通過する際に相対回転位相の変位速度が大きく減じられるため、高い粘性により流体の流動性が低い状況であっても流体を、時間を掛けて排出させることが可能となり、ロック位相でロック状態に確実に移行できる。このようにロック位相でロック状態への確実な移行は、スプールを中間ポジションから第2ロックポジションに操作した場合にも同様に実現する。
更に、この構成では電磁ソレノイドに供給する電力を遮断した状態でスプールが第1ロックポジションと第2ロックポジションとの何れかに保持されるため、内燃機関が停止した状態でも進角室と遅角室との一方からの流体の排出を第1流量制限部と第2流量制限部との何れかが制限して進角室と遅角室との何れかに流体を残留させる。これにより、内燃機関の始動直後にロック機構のロック状態を解除した場合に、カム変動トルクの影響によって相対回転位相が大きく変動する不都合を抑制できる。
従って、弁開閉時期制御装置がどのような相対回転位相にあっても、ロック状態への移行が確実に行え、内燃機関の始動後にロック機構のロック状態を解除した場合には振動の抑制が可能な弁開閉時期制御装置用制御バルブが構成された。
本発明の特徴は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転し前記駆動側回転体と同軸芯上に配置される従動側回転体と、
前記駆動側回転体および前記従動側回転体の相対回転位相を進角方向に変位させる進角室および相対回転位相を遅角方向に変位させる遅角室と、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体との一方に形成された係合部に対して他方に支持されたロック部材がバネ付勢力で係合することにより前記相対回転位相を所定のロック位相に保持するロック機構とを備え、
前記進角室と、前記遅角室と、前記ロック部材にロック解除方向に圧力を作用させるロック解除空間とに対する流体の給排を制御する制御バルブを備えると共に、
前記制御バルブが、
ポンプポート、進角ポート、遅角ポート、ロック解除ポートの各ポートが形成されたバルブハウジングと、
前記バルブハウジングに対し軸芯に沿って移動自在に収容されたスプールと、
供給される電力の増大又は低減により前記スプールを、第1ロックポジション、第1ロック移行ポジション、進角ポジション、中立ポジション、遅角ポジション、第2ロック移行ポジション、第2ロックポジションの順序で各ポジションに設定する電磁ソレノイドとを備え、
前記スプールが、前記進角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記進角ポートとに流体を供給しつつ前記遅角ポートから流体を排出し、
前記スプールが、前記遅角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記遅角ポートとに流体を供給しつつ前記進角ポートから流体を排出し、
前記スプールが、前記中立ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートに流体を供給しつつ前記進角ポートと前記遅角ポートとを閉塞する流路構成を有し、
前記スプールが、前記進角ポジションから前記第1ロックポジションまたは第1ロック移行ポジションに設定変更された際に前記進角ポートに流体を供給しつつ前記遅角ポートから排出される流体の流れを制限する第1流量制限部、及び、前記スプールが、前記遅角ポジションから前記第2ロックポジションまたは第2ロック移行ポジションに設定変更された際に前記進角ポートから排出される流体の流れを制限する第2流量制限部を備え、
前記第1流量制限部は、前記第1ロックポジションにおける前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転速度が、前記第1ロック移行ポジションの場合よりも遅くなるように流体の流れを制御するように設定され、
前記第2流量制限部は、前記第2ロックポジションにおける前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相が、前記第2ロック移行ポジションの場合よりも遅くなるように流体の流れを制御するように設定され、
前記ポンプポートに供給される流体の温度を検知する流体温センサを備え、
前記駆動側回転体および前記従動側回転体の相対回転位相が前記ロック位相に移行する際に、前記流体温センサで検知される流体温が低いほど前記スプールが、前記第1ロックポジションまたは前記第2ロックポジションに位置する点にある。
ロック機構として、ロック凹部(係合部)に対してロック部材がバネ付勢力で係合し、ロック凹部に流体を供給し、流体の圧力でロック部材をロック凹部(係合部)から抜き出してロック解除を行うものでは、流体の粘性が高い場合にスプールの制御により流体を排出しても排出が円滑でなく、ロック状態に移行するまでに時間を要する。また、例えば、エンジンオイル等の一般的な流体は温度上昇に伴い粘性が低下し、温度低下に伴い粘性が上昇する。このような理由から、駆動側回転体および従動側回転体の相対回転位相がロック位相に移行する際にも、流体温センサで検知される流体温が低いほどスプールを第1ロックポジションまたは第2ロックポジションに位置させることによりロック部材に作用する流体の排出を、時間を掛けて行わせることが可能となり、ロック状態への移行を確実に行わせる。
また、この構成では、進角ポジションまたは遅角ポジションにスプールを設定した際の相対回転位相の変位速度より、第1ロック移行ポジションまたは第2ロック移行ポジションで流体の流れを制限するポジションにスプールを設定した際の相対回転位相の変位速度が低速であり、第1ロックポジション又は第2ロックポジションにスプールを設定した際の相対回転位相の変位速度が更に低速に設定されるため、相対回転位相がロック位相に達した際のロック状態への移行を確実に行わせる。
例えば、流体が低温で粘性が高い状況において、スプールを中間ポジションから第1ロックポジションに操作した場合には、操作の過程でスプールが進角ポジションを通過する際に相対回転位相が変位するものの、第1ロック移行ポジションを通過する際に相対回転位相の変位速度が大きく減じられるため、高い粘性により流体の流動性が低い状況であっても流体を、時間を掛けて排出させることが可能となり、ロック位相でロック状態に確実に移行できる。このようにロック位相でロック状態への確実な移行は、スプールを中間ポジションから第2ロックポジションに操作した場合にも同様に実現する。
更に、この構成では電磁ソレノイドに供給する電力を遮断した状態でスプールが第1ロックポジションと第2ロックポジションとの何れかに保持されるため、内燃機関が停止した状態でも進角室と遅角室との一方からの流体の排出を第1流量制限部と第2流量制限部との何れかが制限して進角室と遅角室との何れかに流体を残留させる。これにより、内燃機関の始動直後にロック機構のロック状態を解除した場合に、カム変動トルクの影響によって相対回転位相が大きく変動する不都合を抑制できる。
従って、どのような相対回転位相にあっても、ロック状態への移行が確実に行え、内燃機関の始動後にロック機構のロック状態を解除した場合には振動の抑制が可能な弁開閉時期制御装置が構成された。
他の構成として、前記第1ロックポジションに位置する前記制御バルブは、前記第1ロック移行ポジションに位置する前記制御バルブよりも前記ロック解除空間の流体の排出量が大きくなるように設定され、
前記第2ロックポジションに位置する前記制御バルブは、前記第2ロック移行ポジションに位置する前記制御バルブよりも前記ロック解除空間の流体の排出量が大きくなるように設定されても良い。
この構成によると、スプールが、第1ロックポジションと第2ロックポジションとの何れに設定された場合でも、ロック部材に作用する流体を短時間で排出できるため、ロック部材の係合部に対する係合を迅速に行わせ、ロック状態への移行を確実に行わせる。
他の構成として、前記ロック機構によって前記相対回転位相が前記ロック位相にある場合に、前記進角室と前記遅角室とを連通させる連通路が形成されても良い。
この構成によると、内燃機関の始動直後にロック機構のロック状態を解除して相対回転位相を変位させるために進角室と遅角室との一方に流体を供給した場合には、その流体の一部が連通路を介して進角室と遅角室との他方に供給される結果、進角室と遅角室とに対して流体を供給し、カム変動トルクの影響によって相対回転位相が大きく変動する不都合を抑制できる。
制御バルブを備えた弁開閉時期制御装置の断面図である。 図1のII−II線の弁開閉時期制御装置の断面図である。 ロック解除状態の弁開閉時期制御装置の断面図である。 スプールのポジションと作動油の給排パターンを示す図である。 スプールが第1ロックポジションにある制御バルブの断面図である。 スプールが第1ロック移行ポジションにある制御バルブの断面図である。 スプールが進角ポジションにある制御バルブの断面図である。 スプールが中立ポジションにある制御バルブの断面図である。 スプールが遅角ポジションにある制御バルブの断面図である。 スプールが第2ロック移行ポジションにある制御バルブの断面図である。 スプールが第2ロックポジションにある制御バルブの断面図である。 スプールのポジションと各ポートの開度とを示すチャートである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1には内燃機関としてのエンジンEに対して吸気弁Vaの開閉時期(開閉タイミング)を設定する弁開閉時期制御装置Aが示されている。この弁開閉時期制御装置Aは、電磁操作型の制御バルブCVを備えており、位相制御装置10が制御バルブCVを制御することによりエンジンEの吸気弁Vaの開閉時期を設定する。
エンジンE(内燃機関の一例)は、乗用車などの車両に備えられるものである。このエンジンEは、シリンダブロック2のシリンダボアにピストン4を収容し、このピストン4とクランクシャフト1とをコネクティングロッド5で連結した4サイクル型に構成されている。
図1、図2に示すように、弁開閉時期制御装置Aは、エンジンEのクランクシャフト1と同期回転する駆動側回転体としての外部ロータ20と、エンジンEの吸気弁Vaを制御する吸気カムシャフト7と一体回転する従動側回転体としての内部ロータ30とを備えている。
弁開閉時期制御装置Aは、外部ロータ20(駆動側回転体の一例)と内部ロータ30(従動側回転体の一例)との間には進角室Caと遅角室Cbとが形成されている。また、この弁開閉時期制御装置Aは、外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相(以下、相対回転位相と称する)を中間ロック位相Mにロック(固定)するロック機構Lを備えている。
エンジンEには、クランクシャフト1の駆動力で駆動される油圧ポンプPを備えている。この油圧ポンプPは、エンジンEのオイルパンに貯留される潤滑油を作動油(流体の一例)として供給油路8から制御バルブCVに供給する。この制御バルブCVは、スリーブ40(バルブハウジングの一例)を支持する軸状部41を内部ロータ30に挿入する形態でエンジンEに支持されている。この制御バルブCVは、軸状部41の内部に形成した流路を介して弁開閉時期制御装置Aに対して作動油を給排する。尚、供給油路8には作動油の逆流を阻止するチェック弁9が介装されている。
位相制御装置10はECUとして機能するものであり、外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相を検知する位相センサ11と、油圧ポンプPから送り出される作動油の油温を検知する油温センサ12(流体温センサの一例)からの信号とが入力する。
この位相制御装置10では、エンジンEの稼動状況に対応して相対回転位相を設定すると共に、中間ロック位相Mにおいてロック機構Lをロック状態に移行する制御を実現するためのソフトウエアと、メモリ等のハードウエアとを備えている。更に、PWM制御により制御バルブCVの電磁ソレノイド60に対して目標とする電力を供給する電力制御回路を備えている。
この構成から、外部からの制御信号に基づきエンジンEの稼動状況に対応して制御バルブCVを制御することで外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相を変更して吸気弁Vaの開閉時期を設定する。更に、制御バルブCVでの作動油の給排によりロック機構Lのロック状態の解除又はロック状態への移行が行われる。
尚、制御バルブCVは、図1に示す位置に配置されるものに限らず、弁開閉時期制御装置Aから離間する位置に配置するものでも良い。このように離間配置する場合には、制御バルブCVと弁開閉時期制御装置Aとの間に作動油の給排を行う流路が形成される。
この実施形態では、吸気カムシャフト7に対して弁開閉時期制御装置Aを備えた構成を示しているが、排気シャフトに弁開閉時期制御装置Aを備えても良く、吸気カムシャフト7と排気カムシャフトとの双方に弁開閉時期制御装置Aを備えても良い。
〔弁開閉時期制御装置の具体構成〕
図1〜図3に示すように、弁開閉時期制御装置Aは、外部ロータ20に対し、内部ロータ30を内包し、これらが吸気カムシャフト7の回転軸芯Xと同軸芯上で相対回転自在に配置されている。内部ロータ30は、吸気カムシャフト7に対して連結ボルト33により連結されている。外部ロータ20に形成された駆動スプロケット22Sと、クランクシャフト1に形成したスプロケット1Sとに亘ってタイミングチェーン6(タイミングベルトでも良い)が巻回されている。
外部ロータ20は、円筒状となるロータ本体21を有すると共に、回転軸芯Xに沿う方向でロータ本体21の一方の端部に配置されるリヤブロック22と、回転軸芯Xに沿う方向でロータ本体21の他方の端部に配置されるフロントプレート23とが複数の締結ボルト24で締結されている。リヤブロック22の外周には駆動スプロケット22Sが形成され、このロータ本体21の内周側には回転軸芯Xに近接する方向(径方向内側)に突出する複数の突出部21Tが形成されている。
内部ロータ30には、回転軸芯Xと同軸芯の内周面30Sが形成されると共に、回転軸芯Xを中心とする円柱状の外周面が形成されている。この内部ロータ30の中央位置で回転軸芯Xに沿う方向での一方の端部には鍔状部32が形成され、この鍔状部32の内周位置の孔部に挿通する連結ボルト33により内部ロータ30が吸気カムシャフト7に連結されている。
また、内部ロータ30の外周面には外方に突出する複数のベーン31を備えている。この構成から、内部ロータ30を外部ロータ20に嵌め込む(内包する)ことでロータ本体21の内側面(円筒状の内壁面及び複数の突出部21T)と内部ロータ30の外周面とで取り囲まれる領域に流体圧室Cが形成される。更に、この流体圧室Cをベーン31が仕切ることで進角室Caと遅角室Cbとが形成され、内部ロータ30には進角室Caに連通する進角流路34と、遅角室Cbに連通する遅角流路35と、ロック解除流路36とが形成される。
この弁開閉時期制御装置Aでは、タイミングチェーン6から伝えられる駆動力により外部ロータ20が駆動回転方向Sの方向に回転する。また、進角室Caに作動油が供給されることで相対回転位相を進角方向Saに変位させ、遅角室Cbに作動油が供給されることで相対回転位相を遅角方向Sbに変位させる。
外部ロータ20に対して内部ロータ30が駆動回転方向Sと同方向へ回転する方向を進角方向Saと称し、この逆方向への回転方向を遅角方向Sbと称している。尚、この弁開閉時期制御装置Aでは、相対回転位相が進角方向Saに変位するほど吸気タイミングを早め、相対回転位相が遅角方向Sbに変位するほど吸気タイミングを遅らせる。
複数の突出部21Tの1つに対して回転軸芯Xから放射状となる姿勢で一対のガイド溝が形成されている。これらのガイド溝にプレート状のロック部材25が出退自在に挿入され、各々のロック部材25は、これらを回転軸芯Xに接近する方向(ロック方向)に付勢するロックスプリング26を備えている。また、内部ロータ30の外周には一対のロック部材25の係合が可能なロック凹部37(係合部の一例)が形成され、これにロック解除流路36が連通している。
このように、ロック部材25と、これらを突出方向に付勢するロックスプリング26と、ロック凹部37とでロック機構Lが構成されている。中間ロック位相Mでは、図2に示すように、一対のロック部材25がロック凹部37に嵌り込むと共に、ロック凹部37の周方向の端面に各々のロック部材25が当接することにより相対回転位相を中間ロック位相Mに拘束する。
そして、相対回転位相が中間ロック位相Mに拘束される状態においてロック解除流路36に作動油を供給することで、図3に示すようにロックスプリング26の付勢力に抗して2つのロック部材25をロック凹部37からロック部材25を抜き出すように移動させてロック状態が解除される。
尚、ロック部材25の形状はプレート状に限るものではなく、例えば、ロッド状であっても良い。また、単一のロック部材25と単一のロックスプリング26とでロック機構Lを構成しても良い。更に、ロック機構Lは、回転軸芯Xに沿う方向に作動するロック部材25を備え、このロック部材25が係合するロック凹部を備えた構成のものでも良い。
ベーン31が進角方向Saの移動端(回転軸芯Xを中心にした回動限界)に達した状態での相対回転位相を最進角位相と称し、ベーン31が遅角側の移動端(回転軸芯Xを中心にした回動限界)に達した状態での相対回転位相を最遅角位相と称している。
中間ロック位相Mは、最進角位相と最遅角位相との中間となる位相であり、冷熱状態のエンジンEを良好に始動する位相である。このような理由からエンジンEを停止する場合には、エンジンEが完全に停止する以前に相対回転位相を中間ロック位相に変位させてロック機構Lによるロック状態に移行する制御が行われる。
図1に示すように、外部ロータ20のリヤブロック22と内部ロータ30とに亘ってトーションスプリング27が備えられている。このトーションスプリング27は、相対回転位相が最遅角位相にある状態から最進角位相の方向に向かう付勢力を作用させる。
〔弁開閉時期制御装置:連通路〕
図2、図3に示すように、この弁開閉時期制御装置Aでは、相対回転位相が中間ロック位相Mにある状況において、所定の突出部21T(図2では右下)を挟む位置の進角室Caと遅角室Cbとを連通させるように内部ロータ30の外周の一部を凹状の溝状に成形することで連通路39が形成されている。
この連通路39は、ロック機構Lがロック状態にある場合に、進角室Caと遅角室Cbとを連通させる。従って、弁開閉時期制御装置Aが中間ロック位相Mでロック状態にある状況においてエンジンEを始動させ、例えば、始動後に相対回転位相を進角方向Saに変位させるために進角室Caに作動油を供給した場合には、遠心力の作用により作動油が進角室Caの外周側に貯留され、進角室Caに作動油が充填した(満杯状態に達した)後に連通路39を介して遅角室Cbに供給される。
これにより、進角室Caにだけ作動油を供給する制御を所定時間だけ維持するだけで複数の進角室Caと、1つの遅角室Cbとに作動油を充填することが可能となる。従って、この後にロック機構Lのロック状態を解除しても、解除された時点では、進角室Caと遅角室Cbとに作動油が充填されているため、カム変動トルクの作用によって相対回転位相が変動することはなく、ベーン31が突出部21Tに接触する等の衝撃音の発生を招くこともない。
〔制御バルブ〕
本発明の制御バルブCVは、図1及び図5に示すように、スリーブ40と、スプール50と、電磁ソレノイド60と、スプールスプリング61とを備えて構成されている。スプール50は、スリーブ40のスプール収容空間に対してスプール軸芯Yに沿って移動自在に収容されている。電磁ソレノイド60は、スプール50に対してスプールスプリング61の付勢力に抗する方向に操作力を作用させる。
この制御バルブCVでは、スプール50が、スプール軸芯Yを中心として全体的に円柱状であり、このスプール50を摺動自在に収容できるようにスリーブ40がスプール軸芯Yと同軸芯の円筒状に成形されている。尚、この実施形態では、図1に示す如く、電磁ソレノイド60を上方に配置した縦長姿勢で使用され、この姿勢を基準に各部の配置等を説明する。
この制御バルブCVでは、前述した軸状部41が回転軸芯Xと同軸芯となる円柱状に成形され、この軸状部41を内部ロータ30に相対回転自在に挿入し、スリーブ40をエンジンEに支持している。また、弁開閉時期制御装置Aが回転軸芯Xを中心に回転する際にも作動油の供給と排出とを可能にするため、軸状部41の外周と、内部ロータ30の内周面30Sとの間には複数のリング状のシール42が備えられている。
電磁ソレノイド60は、鉄等の磁性体で構成されるプランジャ60Aの外周にソレノイドコイル60Bを配置して構成されている。この電磁ソレノイド60は、ソレノイドコイル60Bに供給される電力が増大するほどスプールスプリング61の付勢力に抗してスプール50を下方に変位させるように磁力を作用させる。
スリーブ40には、スプール軸芯Yに沿う方向で電磁ソレノイド60に近い位置から、進角ドレンポート40Adと、進角ポート40Aと、第1ポンプポート40Paと、遅角ポート40Bと、遅角ドレンポート40Bdと、第2ポンプポート40Pbと、ロック解除ポート40Lと、ロックドレンポート40Ldとが、この順序で形成されている。また、スリーブ40の下端には補助ドレンポート40dが形成されている。
スプール50は、上端位置の小径となる連結筒部50Sを電磁ソレノイド60のプランジャ60Aに連結し、これより下側には後述する複数のランド部を形成しており、内部にはスプール軸芯Yに沿ってドレン流路50dが孔状に形成されている。
スプール50には、電磁ソレノイド60に近い位置から、第1ランド部51と、第2ランド部52と、第3ランド部53と、第4ランド部54と、第5ランド部55と、第6ランド部56とが、この順序で形成されている。また、これらのランド部に挟まれる位置にグルーブ部が形成されている。
〔スプールのポジション〕
制御バルブCVは、図4に示すようにソレノイドコイル60Bに電力が供給されない状態でスプール50が第1ロックポジションW1に保持され、供給される電力の増大に伴い、スプールスプリング61の付勢力に抗してスプール50が、第1ロック移行ポジションW2、進角ポジションW3、中立ポジションW4、遅角ポジションW5、第2ロック移行ポジションW6、第2ロックポジションW7に順次設定される。
また、これらのポジションにおける進角ポート40Aと、進角ドレンポート40Adと、遅角ポート40Bと、遅角ドレンポート40Bdとの開口面積を図12の上段に示している。更に、これらのポジションにおけるロック解除ポート40Lと、ロックドレンポート40Ldとの開口面積を図12の下段に示している。
尚、これらのポジションは実施形態の一例であり、ソレノイドコイル60Bに電力が供給されない状態でスプール50が第2ロックポジションW7に設定されるように構成しても良い。このように構成した場合には、供給される電力の増大に伴い、第2ロック移行ポジションW6、遅角ポジションW5、中立ポジションW4、進角ポジションW3、第1ロック移行ポジションW2、第1ロックポジションW1の順に設定される。
〔中立ポジション〕
弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相を維持する場合には、図4、図8に示すようにスプール50が中立ポジションW4に維持される。この中立ポジションW4では、進角ポート40Aが第2ランド部52で閉じられ、遅角ポート40Bが第3ランド部53で閉じられる。これと同時に、第5ランド部55がロック解除ポート40Lを開放するため第2ポンプポート40Pbからの作動油がロック凹部37に供給される。
これにより、進角室Caと遅角室Cbとには作動油の給排は行われず、ロック機構Lのロック状態が解除された状態で相対回転位相は維持される。
〔進角ポジション〕
電磁ソレノイド60に供給する電力を、中立ポジションW4に保持する電力より低減することでスプール50が図4、図7に示す進角ポジションW3に設定される。この進角ポジションW3では、第2ランド部52が進角ポート40Aを開放し、第3ランド部53が遅角ポート40Bを遅角ドレンポート40Bdに連通させる。
このため、第1ポンプポート40Paからの作動油が進角室Caに供給され、遅角室Cbの作動油が遅角ドレンポート40Bdから排出される。更に、この進角ポジションW3では、第5ランド部55がロック解除ポート40Lを開放すると同時に、第6ランド部56がロックドレンポート40Ldを閉塞するため第2ポンプポート40Pbからの作動油がロック凹部37に供給される。
これにより、相対回転位相は進角方向Saに変位する。尚、図12の上段に示すように、進角ポート40Aは、進角ポジションW3において第1ロック移行ポジションW2に近付くほど拡大するため、進角ポジションW3においては、第1ロック移行ポジションW2に近付く領域において相対回転位相を高速で変位させる。
〔第1ロック移行ポジションと第1ロックポジション〕
この弁開閉時期制御装置Aでは、電磁ソレノイド60に供給する電力を、前述したようにスプール50を進角ポジションW3に設定する値より低減することにより、スプール50を、図4、図6に示す第1ロック移行ポジションW2を通過させ、図4、図5に示す第1ロックポジションW1に移行させるように構成されている。
この構成から、相対回転位相を進角方向Saに変位させつつロック状態に移行する際には、スプール50を第1ロックポジションW1に設定する制御形態となるが、この第1ロックポジションW1に達する以前に第1ロック移行ポジションW2を通過する際には、相対回転位相の進角方向Saへの変位速度を減ずることにより、中間ロック位相Mに達したタイミングで一対のロック部材25をロック凹部37に確実に係合させる作動を実現している。
つまり、第5ランド部55とロック解除ポート40Lとの位置関係から、図12の下段に示すように、ロック解除ポート40Lの開度はスプール50が中立ポジションW4にある際に最大となり、進角ポジションW3の方向に変位するほど開度が小さくなる。そして、スプール50が第1ロック移行ポジションW2と第1ロックポジションW1とにある場合に完全に閉じた状態を維持する。
同図に示すように、ロックドレンポート40Ldは、スプール50が、第1ロック移行ポジションW2から第1ロックポジションW1に移行するほど開度が拡大する。このような理由から、スプール50が、第1ロック移行ポジションW2から第1ロックポジションW1に亘る領域ではロック凹部37に作動油の圧力は作用しない状態となる。
また、スプール50が第1ロック移行ポジションW2から第1ロックポジションW1に移行する際には、第2ランド部52と進角ポート40Aとの位置関係から、図12の上段に示すように、第1ロックポジションW1に近付くほど進角ポート40Aの開度は拡大する。これに対して、スプール50が第1ロック移行ポジションW2から第1ロックポジションW1に移行する際には、第4ランド部54と遅角ドレンポート40Bdとの位置関係から、図12の上段に示すように、第1ロックポジションW1に近付くほど開度が縮小する。
このように開度が縮小する部位を第1流量制限部R1と称しており、スプール50が第1ロック移行ポジションW2から第1ロックポジションW1に移行することにより、第4ランド部54の端部と遅角ドレンポート40Bdの開口縁との間が第2間隙a2から第1間隙a1に縮小する(第1流量制限部R1が縮小)。これにより遅角室Cbから排出される作動油の流量を制限し、進角方向Saへの相対回転位相の変位速度を低下させている。このような変位速度の低下により、中間ロック位相Mに達したタイミングにおいてロック機構Lのロック状態への移行を確実に行わせる。
〔遅角ポジション〕
電磁ソレノイド60に供給する電力を、中立ポジションW4に保持する電力より増大することでスプール50が図4、図9に示す遅角ポジションW5に設定される。この遅角ポジションW5では、第3ランド部53が遅角ポート40Bを開放し、第2ランド部52が進角ポート40Aを進角ドレンポート40Adに連通させる。
このため、第1ポンプポート40Paからの作動油が遅角室Cbに供給され、進角室Caの作動油が進角ドレンポート40Adから排出される。更に、この遅角ポジションW5では、第5ランド部55がロック解除ポート40Lを開放すると同時に、第6ランド部56がロックドレンポート40Ldを閉塞するため第2ポンプポート40Pbからの作動油がロック凹部37に供給される。
これにより、相対回転位相は遅角方向Sbに変位する。尚、図12の上段に示すように、遅角ポート40Bは、遅角ポジションW5において第2ロック移行ポジションW6に近付くほど拡大するため、遅角ポジションW5においては、第2ロック移行ポジションW6に近付く領域において相対回転位相を高速で変位させる。
〔第2ロック移行ポジションと第2ロックポジション〕
この弁開閉時期制御装置Aでは、電磁ソレノイド60に供給する電力を、前述したようにスプール50を遅角ポジションW5に設定する値より増大することにより、スプール50を、図4、図10に示す第2ロック移行ポジションW6を通過させ、図4、図11に示す第2ロックポジションW7に移行させるように構成されている。
この構成から、相対回転位相を遅角方向Sbに変位させつつロック状態に移行する際には、スプール50を第2ロックポジションW7に設定する制御形態となる。そして、この第2ロックポジションW7に設定することで相対回転位相の遅角方向Sbへの変位速度を減ずることが可能となり、中間ロック位相Mに達したタイミングで一対のロック部材25をロック凹部37に確実に係合させる作動を実現している。
つまり、第5ランド部55とロック解除ポート40Lとの位置関係から、図12の下段に示すように、ロック解除ポート40Lの開度はスプール50が中立ポジションW4にある際に最大となり、遅角ポジションW5の方向に変位するほど開度が小さくなる。そして、スプール50が第2ロック移行ポジションW6と第2ロックポジションW7とにある場合に完全に閉じた状態を維持する。
同図に示すように、ロックドレンポート40Ldは、スプール50が、第2ロック移行ポジションW6から第2ロックポジションW7に移行するほど開度が拡大する。このような理由から、スプール50が、第2ロック移行ポジションW6から第2ロックポジションW7に亘る領域ではロック凹部37に作動油の圧力は作用しない状態となる。
また、スプール50が第2ロック移行ポジションW6から第2ロックポジションW7に移行する際には、第3ランド部53と遅角ポート40Bとの位置関係から、図12の上段に示すように、第2ロックポジションW7に近付くほど遅角ポート40Bの開度は拡大する。これに対して、スプール50が第2ロック移行ポジションW6から第2ロックポジションW7に移行する際には、第1ランド部51と進角ドレンポート40Adとの位置関係から、図12の上段に示すように、第2ロックポジションW7に近付くほど開度が縮小する。
このように開度が縮小する部位を第2流量制限部R2と称しており、スプール50が第2ロック移行ポジションW6から第2ロックポジションW7に移行することにより、第1ランド部51の端部と進角ドレンポート40Adの開口縁との間が第6間隙a6から第7間隙a7に縮小(第2流量制限部R2が縮小)することにより進角室Caから排出される作動油の流量を制限し、遅角方向Sbへの相対回転位相の変位速度を低下させている。このような変位速度の低下により、中間ロック位相Mに達したタイミングにおいてロック機構Lのロック状態への移行を確実に行わせている。
〔制御形態〕
位相制御装置10は、前述したようにエンジンEの稼動状況に対応した最適な弁開閉時期を設定する制御だけでなく、エンジンEの停止に先立ってロック機構Lをロック状態に移行する制御を行う。また、ロック機構Lをロック状態に移行する制御では、油温センサ12で検知される作動油の温度に基づいて、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相の変位速度を設定する。
つまり、作動油は温度上昇に伴い粘性が低下し、温度低下に伴い粘性が上昇する。従って、低温時には、制御バルブCVを、第1ロック移行ポジションW2に設定してもロック凹部37から作動油を排出してロック部材25の係合を可能にするまでの時間が長くなる。このような理由から、ロック機構Lをロック状態に移行する制御では、油温センサ12で検知される油温が低温であるほど、第1ロックポジションW1と第2ロックポジションW7との継続時間を延長する制御が実行される。
このような制御が行われることにより、作動油の油温が低温であってもロック部材25を確実にロック凹部37に係合させることが可能となる。
〔実施形態の作用効果〕
このような構成から、相対回転位相が中間ロック位相Mより遅角側にある場合には、スプール50を第1ロックポジションW1に設定し、相対回転位相が中間ロック位相Mより進角側にある場合には、スプール50を第2ロックポジションW7に設定することでロック状態への移行が可能となる。
つまり、弁開閉時期制御装置Aがどのような相対回転位相にあってもスプール50を1度操作するだけでロック状態への移行が可能となる。また、例えば、スプール50を第1ロックポジションW1に設定した場合には、進角ポート40Aから進角室Caに作動油を送り出し、ロック解除ポート40Lから作動油をロックドレンポート40Ldに排出し、遅角ポート40Bから遅角ドレンポート40Bdに排出される作動油の流量を第1流量制限部R1が制限する。このように作動油の排出を制限するため、弁開閉時期制御装置Aの進角方向Saへの変位速度が低下する。
これと同様にスプール50を第2ロックポジションW7に設定した場合には、遅角ポート40Bから遅角室Cbに作動油を送り出し、ロック解除ポート40Lから作動油をロックドレンポート40Ldに排出し、進角ポート40Aから進角ドレンポート40Adに排出される作動油の流量を第2流量制限部R2が制限し、弁開閉時期制御装置Aの遅角方向Sbへの変位速度が低下する。
そして、相対回転位相の変位速度が低下することにより、ロック部材25がロック凹部37に係合可能な回転位相に達したタイミングで付勢力の作用によるロック部材25のロック凹部37への係合を確実に行わせ、相対回転位相をオーバーシュートさせることなくロック状態への移行を実現する。
更に、制御バルブCVでは、第1ロックポジションW1を基準にして中立ポジションW4に近い位置に第1ロック移行ポジションW2を配置し、第2ロックポジションW7を基準にして中立ポジションW4に近い位置に第2ロック移行ポジションW6を配置している。スプール50を制御する際には、この第1ロック移行ポジションW2と第2ロック移行ポジションW6でスプール50の作動を停止することはないが、これらポジションでスプール50が移行する際には、相対回転位相の変位速度を確実に低減してロック状態への移行を確実に行わせる。
尚、弁開閉時期制御装置Aでは、一対のロック部材25を備えているため、相対回転位相が中間ロック位相Mに達する以前にロック解除ポート40Lから作動油が排出された場合には、一方のロック部材25が他方のロック部材25に先行してロック凹部37に係合する。この後に、相対回転位相の変位速度が低下することにより他方のロック部材25が確実にロック凹部37に係合することになり、ロック状態への移行を容易に行わせる。
また、この構成では、電磁ソレノイド60に供給する電力を低減した状態でスプール50が第1ロックポジションW1に保持されるため、エンジンEが停止した状態でも遅角室Cbの流体の排出を第1流量制限部R1が制限する。これにより、エンジンEの始動直後にロック機構Lのロック状態を解除しても、遅角室Cbに作動油を残留させることが可能となりカム変動トルクの影響によって相対回転位相が大きく変動する不都合を抑制する。
特に、弁開閉時期制御装置Aに、ロック機構Lがロック状態にある場合に、進角室Caと遅角室Cbとを連通させる状態に維持させる連通路39を形成している。これにより、弁開閉時期制御装置Aが中間ロック位相MでエンジンEを始動させる際に、例えば、相対回転位相を進角方向Saに変位させる制御を行った場合には、進角室Caに供給される作動油の一部を遅角室Cbに供給できる。そして、この後にロック機構Lのロック状態を解除しても、ロック状態が解除された時点では、進角室Caと遅角室Cbとに作動油が充填されているため、カム変動トルクが作用しても相対回転位相が変動することはなく、ベーン31が突出部21Tに接触する等の衝撃音の発生を招くことがなく、相対回転位相の安定を実現する。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)実施形態に示した制御バルブCVの基本的な構成を変更することなく、進角ポート40Aと遅角ポート40Bの位置を入れ換えて制御バルブCVを構成する。このように構成したものは相対回転位相の変位方向が逆向きになるものの、実施形態と同様の作用効果を奏する。
(b)第1流量制限部R1あるいは第2流量制限部R2を作り出すために、ランド部の外周に溝を形成することや、スリーブ40の内周に溝を形成し、これらの溝に作動油が流れる際に流量を規制するように構成する。このように構成するものでは、スリーブ40とランド部との精度を高めずとも溝の幅や深さの設定により作動油の流量を決めることが可能となる。
(c)第1ロックポジションW1においては、遅角ポート40Bとスプール50のランド部との間隙を小さくすることで作動油(流体)の流れを制限するように第1流量制限部R1を構成する。これと同様に、第2ロックポジションW7においては、進角ポート40Aとスプール50のランド部との間隔を小さくすることで作動油(流体)の流れを制限するように第2流量制限部R2を構成する。
このように構成することによっても、相対回転位相の変位速度を低減してロック機構Lのロック状態への移行を確実に行わせる。
本発明は、ロック位相でロック可能な弁開閉時期制御装置用制御バルブおよびロック位相でロック可能な弁開閉時期制御装置に利用することができる。
1 クランクシャフト
7 吸気カムシャフト
12 油温センサ(流体温センサ)
20 外部ロータ(駆動側回転体)
25 ロック部材
30 内部ロータ(従動側回転体)
37 ロック凹部(係合部)
40 スリーブ(バルブハウジング)
40A 進角ポート
40B 遅角ポート
40L ロック解除ポート
40Pa 第1ポンプポート
40Pb 第2ポンプポート
50 スプール
60 電磁ソレノイド
Ca 進角室
Cb 遅角室
CV 制御バルブ
E エンジン(内燃機関)
Y スプール軸芯
L ロック機構
R1 第1流量制限部
R2 第2流量制限部
W1 第1ロックポジション
W3 進角ポジション
W4 中立ポジション
W5 遅角ポジション
W7 第2ロックポジション

Claims (4)

  1. ポンプポート、進角ポート、遅角ポート、ロック解除ポートの各ポートが形成されたバルブハウジングと、
    前記バルブハウジングに対し軸芯に沿って移動自在に収容されたスプールと、
    供給される電力の増大又は低減により前記スプールを、第1ロックポジション、進角ポジション、中立ポジション、遅角ポジション、第2ロックポジションの順序で各ポジションに設定する電磁ソレノイドとを備えると共に、
    前記スプールが、前記進角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記進角ポートとに流体を供給しつつ前記遅角ポートから流体を排出し、
    前記スプールが、前記遅角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記遅角ポートとに流体を供給しつつ前記進角ポートから流体を排出し、
    前記スプールが、前記中立ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートに流体を供給しつつ前記進角ポートと前記遅角ポートとを閉塞する流路構成を有し、
    前記スプールが、前記進角ポジションから前記第1ロックポジションに設定変更された際に前記進角ポートに流体を供給しつつ前記遅角ポートから排出される流体の流れを制限する第1流量制限部を備え、前記スプールが、前記遅角ポジションから前記第2ロックポジションに設定変更された際に前記進角ポートから排出される流体の流れを制限する第2流量制限部を備えている弁開閉時期制御装置用制御バルブ。
  2. 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
    前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと一体回転し前記駆動側回転体と同軸芯上に配置される従動側回転体と、
    前記駆動側回転体および前記従動側回転体の相対回転位相を進角方向に変位させる進角室および相対回転位相を遅角方向に変位させる遅角室と、
    前記駆動側回転体と前記従動側回転体との一方に形成された係合部に対して他方に支持されたロック部材がバネ付勢力で係合することにより前記相対回転位相を所定のロック位相に保持するロック機構とを備え、
    前記進角室と、前記遅角室と、前記ロック部材にロック解除方向に圧力を作用させるロック解除空間とに対する流体の給排を制御する制御バルブを備えると共に、
    前記制御バルブが、
    ポンプポート、進角ポート、遅角ポート、ロック解除ポートの各ポートが形成されたバルブハウジングと、
    前記バルブハウジングに対し軸芯に沿って移動自在に収容されたスプールと、
    供給される電力の増大又は低減により前記スプールを、第1ロックポジション、第1ロック移行ポジション、進角ポジション、中立ポジション、遅角ポジション、第2ロック移行ポジション、第2ロックポジションの順序で各ポジションに設定する電磁ソレノイドとを備え、
    前記スプールが、前記進角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記進角ポートとに流体を供給しつつ前記遅角ポートから流体を排出し、
    前記スプールが、前記遅角ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートと前記遅角ポートとに流体を供給しつつ前記進角ポートから流体を排出し、
    前記スプールが、前記中立ポジションに設定された際には前記ロック解除ポートに流体を供給しつつ前記進角ポートと前記遅角ポートとを閉塞する流路構成を有し、
    前記スプールが、前記進角ポジションから前記第1ロックポジションまたは第1ロック移行ポジションに設定変更された際に前記進角ポートに流体を供給しつつ前記遅角ポートから排出される流体の流れを制限する第1流量制限部、及び、前記スプールが、前記遅角ポジションから前記第2ロックポジションまたは第2ロック移行ポジションに設定変更された際に前記進角ポートから排出される流体の流れを制限する第2流量制限部を備え、
    前記第1流量制限部は、前記第1ロックポジションにおける前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転速度が、前記第1ロック移行ポジションの場合よりも遅くなるように流体の流れを制御するように設定され、
    前記第2流量制限部は、前記第2ロックポジションにおける前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相が、前記第2ロック移行ポジションの場合よりも遅くなるように流体の流れを制御するように設定され、
    前記ポンプポートに供給される流体の温度を検知する流体温センサを備え、
    前記駆動側回転体および前記従動側回転体の相対回転位相が前記ロック位相に移行する際に、前記流体温センサで検知される流体温が低いほど前記スプールが、前記第1ロックポジションまたは前記第2ロックポジションに位置する弁開閉時期制御装置。
  3. 前記第1ロックポジションに位置する前記制御バルブは、前記第1ロック移行ポジションに位置する前記制御バルブよりも前記ロック解除空間の流体の排出量が大きくなるように設定され、
    前記第2ロックポジションに位置する前記制御バルブは、前記第2ロック移行ポジションに位置する前記制御バルブよりも前記ロック解除空間の流体の排出量が大きくなるように設定される請求項2に記載の弁開閉時期制御装置。
  4. 前記ロック機構によって前記相対回転位相が前記ロック位相にある場合に、前記進角室と前記遅角室とを連通させる連通路が形成される請求項2または3に記載の弁開閉時期制御装置。
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