JP6150217B2 - 制御弁 - Google Patents

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Description

本発明は、クランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、カムシャフトに連結する従動側回転体とを備えた弁開閉時期制御装置の制御弁に関し、詳しくは、弁開閉時期制御装置の進角室と遅角室との一方に供給される流体を制御し、ロック機構に給排する流体を制御するための制御弁に関する。
上記のように構成された制御弁として特許文献1には、進角室と遅角室との一方に選択的に流体を供給することで相対回転位相を設定する位相制御弁(文献では相対回転用OCV)と、規制部材に流体を供給することで規制状態を解除するロック解除弁(文献では規制部用OCV)とを備えている。
この特許文献1では、相対回転制御弁を構成するスプールと、ロック制御弁を構成するスプールとが単一のバルブボディに収容され、このバルブボディの一部を弁開閉時期制御装置の従動側回転体に対して相対回転自在に嵌め込む形態で備えられている。
また、特許文献2には、バルブボディの内部にスプール(文献ではスプール弁体)をスライド移動自在に収容した制御弁が示されている。この制御弁は、六つのポジションに操作自在に構成され、六つのポジションの何れかを選択することにより、弁開閉時期制御装置(文献では、バルブタイミング制御装置)の相対回転位相を進角方向又は遅角方向に変位させ、ロック機構の制御も行えるように構成されている。
特開2011‐1852号公報 特開2013‐19282号公報
特許文献1に記載されるように、位相制御弁とロック解除弁とを備える構成では、2つのスプールを必要とするため部品点数が多く、大型化を招くだけでなく、コスト上昇を招くものであった。
特許文献2に記載される構成は、単一のスプールを用いることにより弁開閉時期制御装置の相対回転位相の制御と、ロック機構の制御とを行う構成であるため部品点数の低減が可能である。
特許文献1や特許文献2に示されるように、内燃機関で駆動させる流体圧ポンプからの流体を制御弁から弁開閉時期制御装置に供給する車両では、内燃機関を停止する場合にはロック機構をロック状態に移行する制御が行われている。このようにロック状態に移行することにより、この後に内燃機関を始動する場合には、流体圧ポンプから供給される流体圧が低い状況でも、弁開閉時期制御装置の相対回転位相を所定の位相(ロック位相)に維持して内燃機関の始動性を向上させている。
しかしながら、ロック部材をロック凹部に係合させる相対回転位相をロック位相に維持する構成のロック機構を備えている弁開閉時期制御装置では、内燃機関を停止する際に、弁開閉時期制御装置の相対回転位相の制御を行ってもロック状態に移行できないこともあった。その原因として、相対回転位相の変位が高速であることが考えられる。つまり、相対回転位相が高速で変位する場合には、ロック部材がロック凹部に係合可能な相対回転位相に達しても、ロック部材がロック凹部に係合できない現象を招くことも考えられたのである。
また、エンジンストールのようにロック機構がロック状態にない状況で内燃機関が停止し、この後に内燃機関を始動した場合にはカムシャフトから作用する反力により弁開閉時期制御装置の相対回転位相が短時間のうちに変動する不都合を招くものであった。この不都合を解消するためには、内燃機関の始動時には、ロック状態への迅速な移行を必要となるが、前述と同様に相対回転位相の変位が高速である場合には、ロック状態への移行を確実に行えず改善の余地がある。
本発明の目的は、内燃機関を停止する場合にはロック状態への移行を確実に行わせ、内燃機関の始動時にロック機構がロック状態にない場合にはロック状態への移行を確実に行わせる制御弁を合理的に構成する点にある。
本発明の特徴は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、前記内燃機関のカムシャフトと一体回転し前記駆動側回転体に対して相対回転する従動側回転体とを有し、進角室に流体が供給されることにより前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相が進角方向に変位し、遅角室に流体が供給されることにより前記相対回転位相が遅角方向に変位し、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との一方に形成された係合部に対し、他方に支持されたロック部材が係合することにより前記相対回転位相を所定のロック位相に保持するロック機構を備えた弁開閉時期制御装置に用いられる制御弁であって、当該制御弁は、
弁ケースと、この弁ケースに収容されるスプールと、このスプールがスプールの軸芯に沿って移動するようにスプールを駆動する電磁ソレノイドとを備えると共に、
前記弁ケースが、流体が供給されるポンプポートと、前記進角室に連通する進角ポートと、前記遅角室に連通する遅角ポートと、前記ロック部材のロック解除空間に連通するロック解除ポートと、流体の排出を許容するドレンポートとを備え、
前記スプールが、前記ロック解除ポートに流体が供給されるとき前記進角ポートと前記遅角ポートとに対する流体の給排を制御するために設定される複数の位相制御ポジションと、前記ロック解除ポートから流体が排出されるとき前記進角ポートと前記遅角ポートとに対して流体の給排を制御するために設定されるロック移行ポジションとの間を移動自在であり、前記スプールが、前記ロック移行ポジションに設定された場合に、前記ポンプポートに供給された流体の一部が前記ドレンポートに流入することを許容する連通路が形成されている点にある。
この構成では、スプールがロック移行ポジションに設定された場合にポンプポートからの流体の一部を連通路からドレンポートに排出する。具体構成として、ロック移行ポジションがポンプポートからの流体を進角ポートに供給するものでは、このポジションで、進角ポートに供給される流体の一部が連通路からドレンポートに排出される。これにより、進角室に供給される流体の単位時間あたりの供給量が減じられ駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相が進角方向への変位速度が減じられ、ロック機構のロック部材が係合部に係合しやすくなる。
つまり、内燃機関を停止する制御でロック機構をロック状態に移行するためにスプールがロック移行ポジションに操作された場合には相対回転位相の変位速度の低速化によりロック状態への移行を確実に行う。また、ロック機構がロック状態にない状況で内燃機関を始動する際にロック移行ポジションに操作された場合にも、相対回転位相の変位速度の低速化によりロック機構のロック状態への移行を確実にする。
尚、この相対回転位相の変位速度の低速化は、ロック移行ポジションが、流体を遅角ポートに供給するように構成されたものでも同様に行われ、ロック機構のロック状態への移行を確実にする。
従って、内燃機関を停止する場合にはロック状態への移行を確実に行わせ、内燃機関の始動時にロック機構がロック状態にない場合にはロック状態への移行を確実に行わせる制御弁が構成された。
更に、スプールがロック移行ポジションに設定された場合には、進角室と遅角室との一方がドレンポートに連通し、他方が連通路を介してドレンポートに連通する。従って、ロック機構がロック状態にない内燃機関の始動のためにセルモータを駆動する際には、スプールをロック移行ポジションに設定することにより、カムシャフトからの変動トルクにより進角室と遅角室とから流体を迅速に排出してロック機構を迅速にロック状態に移行することも可能となる。具体的な作動形態としては、変動トルクが作用することにより、進角室と遅角室との一方の容積増大時に他方の容積が減少する作動が呼吸するように反復して行われ、進角室と遅角室とに残留する流体に圧力を作用させて確実に排出することが可能となる。これにより、例えば、進角室又は遅角室に流体が残留する状態で相対回転位相をロック位相に変位させる場合と比較すると、流体の抵抗を排除した状態で相対回転位相をロック位相まで迅速に変位させ、ロック状態に移行することが可能となる。
本発明は、前記進角ポートに流体が供給される前記位相制御ポジションと隣接する位置に前記進角ポートに流体が供給される前記ロック移行ポジションが配置され、前記遅角ポートに流体が供給される前記位相制御ポジションと隣接する位置に前記遅角ポートに流体が供給される前記ロック移行ポジションが配置され、前記ロック移行ポジションのうち前記位相制御ポジションに隣接する領域では前記連通路が閉じられても良い。
弁開閉時期制御装置の相対回転位相を変更する場合には、スプールを、位相制御ポジションにおいて操作するため、ロック移行ポジションに操作することはない。また、スプールがロック移行ポジションに設定された場合にポンプポートからの流体の一部をドレンポートに排出する連通路が形成されたものを例に挙げると、例えば、位相制御ポジションからロック移行ポジションにスプールを操作した場合に、スプールがオーバーシュートしてロック移行ポジションの一部に達したとしても、進角ポート又は遅角ポートに供給される流体が連通路に排出されず、相対回転位相の変位速度を減ずることがない。
本発明は、前記ポンプポートから前記進角ポート及び前記遅角ポートに流体が供給されることを許容する位相制御流路が前記スプールに形成され、前記連通路の流路断面積が、前記位相制御流路の流路断面積よりも小さくても良い。
これによると、スプールがロック移行ポジションに設定された場合にポンプポートからの流体の一部を連通路によりドレンポートに排出することになるが、このように排出される流体の量は、進角ポート又は遅角ポートに供給される流体の量より少なく、相対回転位相の変位速度が大きく低下する不都合を抑制する。よって、弁開閉時期制御装置の相対回転位相を緩やかに変位させ、ロック状態への移行を確実にすることができる。
本発明は、前記ドレンポートが、前記ロック解除ポートからの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容するロック解除用ドレンポートと、前記連通路からの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容する位相制御用ドレンポートとを備えても良い。
これによると、ロック解除ポートからの流体がロック解除用ドレンポートから弁ケースの外部に送り出される状況において、流通路から流体が排出される場合には、位相制御用ドレンポートから弁ケースの外部に送り出される。このため、夫々の排出が影響し合うことはなく、連通路に流れる流体の流量は減じられない。更に、相対回転位相の変位速度を高速化させることがなく、ロック機構のロック状態の移行を良好に行わせることができる。
本発明は、前記位相制御用ドレンポートは、前記進角ポートからの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容する機能と、前記遅角ポートからの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容する機能とを兼用しても良い。
これによると、連通路からの流体を排出するための専用のドレンポートを形成しなくとも、ロック解除ポートから排出される流体の影響を解消することが可能となる。
弁開閉時期制御装置と制御弁との断面図である。 図1のII−II線の弁開閉時期制御装置の断面図である。 ロック解除状態の弁開閉時期制御装置の断面図である。 最遅角ロック位相の弁開閉時期制御装置の断面図である。 制御弁のポジションと作動油の給排パターンを示す図である。 制御弁の第1進角ポジションの断面図である。 制御弁の第2進角ポジションの断面図である。 制御弁のロック解除ポジションの断面図である。 制御弁の第2遅角ポジションの断面図である。 制御弁の第1遅角ポジションの断面図である。 ロック解除ポジションから第1進角ポジション又は第2進角ポジションに操作した場合の作動油圧等を示すチャートである。 別実施形態(b)において制御弁のポジションと作動油の給排パターンを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1及び図2に示すように、内燃機関としてのエンジンEに対して、吸気弁Vaの開閉時期(開閉タイミング)を設定する弁開閉時期制御装置Aが備えられている。この弁開閉時期制御装置Aは、電磁操作型の制御弁CVにより流体としての作動油が給排され、この給排により吸気弁Vaの開閉時期を設定するように構成されている。
エンジンE(内燃機関の一例)は、乗用車などの車両に備えられるものである。このエンジンEは、シリンダブロック2に形成されたシリンダボアの内部にピストン4を収容し、このピストン4とクランクシャフト1とをコネクティングロッド5で連結した4サイクル型に構成されている。
弁開閉時期制御装置Aは、エンジンEのクランクシャフト1と同期回転する駆動側回転体としての外部ロータ20と、エンジンEの吸気弁Vaを制御する吸気カムシャフト7と一体回転する従動側回転体としての内部ロータ30とを備えている。外部ロータ20(駆動側回転体の一例)と内部ロータ30(従動側回転体の一例)との間には進角室Caと遅角室Cbとが形成されている。また、外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相を中間ロック位相にロック(固定)するロック機構Lを備えている。
エンジンEには、クランクシャフト1の駆動力で駆動される油圧ポンプPを備えている。この油圧ポンプPは、エンジンEのオイルパンに貯留される潤滑油を、作動油(流体の一例)として供給油路8から制御弁CVに供給する。この制御弁CVは、弁ケース40に一体形成した軸状部41を内部ロータ30に挿入する形態でエンジンEに支持されている。この制御弁CVは、軸状部41の内部に形成した流路を介して弁開閉時期制御装置Aに対し作動油の給排を行う。尚、供給油路8には作動油の逆流を阻止するチェック弁9が介装されている。
この構成から、制御弁CVは、進角室Caと遅角室Cbとの一方を選択して作動油を供給することにより外部ロータ20と内部ロータ30との相対回転位相(以下、相対回転位相と称する)を変更し、吸気弁Vaの開閉時期を設定する。更に、制御弁CVは作動油を供給することによりロック機構Lによるロック状態を解除する。
尚、この制御弁CVは、図1に示す位置に支持されるものに限るものではなく、弁開閉時期制御装置Aから離間する部材に支持されるものであっても良い。このように構成する場合には、制御弁CVと弁開閉時期制御装置Aとの間に流路が形成されることになる。
この実施形態では、吸気カムシャフト7に対して弁開閉時期制御装置Aを備えた構成を示しているが、排気シャフトに弁開閉時期制御装置Aを備えても良く、吸気カムシャフト7と排気カムシャフトとの双方に弁開閉時期制御装置Aを備えても良い。
〔弁開閉時期制御装置の具体構成〕
図1〜図4に示すように、弁開閉時期制御装置Aは、外部ロータ20に対し、内部ロータ30を内包し、これらを吸気カムシャフト7の回転軸芯Xと同軸芯上で相対回転自在に配置している。外部ロータ20に形成された駆動スプロケット22Sと、クランクシャフト1で駆動されるスプロケット1Sとに亘ってタイミングチェーン6が巻回されている。また、内部ロータ30は、吸気カムシャフト7に対して連結ボルト33により連結されている。
外部ロータ20は、円筒状となるロータ本体21を有すると共に、回転軸芯Xに沿う方向でロータ本体21の一方の端部に配置されるリヤブロック22と、回転軸芯Xに沿う方向でロータ本体21の他方の端部に配置されるフロントプレート23とが複数の締結ボルト24で締結されている。リヤブロック22の外周には、クランクシャフト1から回転力が伝達される駆動スプロケット22Sが形成され、ロータ本体21には円筒状の内壁面と、回転軸芯Xに近接する方向(径方向内側)に突出する複数の突出部21Tとが一体的に形成されている。
複数の突出部21Tの1つに対して回転軸芯Xから放射状となる姿勢で一対のガイド溝が形成されている。これらのガイド溝にプレート状のロック部材25が出退自在に挿入され、このロック部材25を回転軸芯Xに接近する方向(ロック方向)に付勢するロックスプリング26が備えられている。このように、ロック部材25と、これらを突出方向に付勢するロックスプリング26とでロック機構Lが構成されている。尚、ロック部材25の形状はプレート状に限るものではなく、例えば、ロッド状であっても良い。また、単一のロック部材25を備えてロック機構Lを構成しても良い。
内部ロータ30には、回転軸芯Xと同軸芯上でシリンダ内面状となる内周面30Sが形成され、回転軸芯Xを中心とする円柱状の外周面が形成されている。この内部ロータ30のうち回転軸芯Xに沿う方向での一方の端部には鍔状部32が形成され、この鍔状部32の内周位置の孔部に挿通する連結ボルト33により内部ロータ30が吸気カムシャフト7に連結されている。
また、内部ロータ30の外周面には外方に突出する複数のベーン31を備えている。この構成から、内部ロータ30を外部ロータ20に嵌め込む(内包する)ことでロータ本体21の内側表面(円筒状の内壁面及び複数の突出部21T)と内部ロータ30の外周面とで取り囲まれる領域に流体圧室Cが形成される。更に、この流体圧室Cをベーン31が仕切ることで進角室Caと遅角室Cbとが形成される。内部ロータ30には進角室Caに連通する進角流路34と、遅角室Cbに連通する遅角流路35と、ロック解除流路36とが形成されている。
この内部ロータ30の外周には、一対のロック部材25が係合・離脱可能な中間ロック凹部37(係合部・ロック解除空間の一例)が形成されている。また、内部ロータ30の外周には、一対のロック部材25が中間ロック凹部37に同時に係合する中間ロック位相より遅角方向Sbに変位した最遅角ロック位相において一方のロック部材25が係合する最遅角ロック凹部38が形成されている。中間ロック凹部37にはロック解除流路36が連通し、最遅角ロック凹部38には進角流路34が連通している。
中間ロック位相では、図2に示すように、一対のロック部材25が中間ロック凹部37に嵌り込むと共に、中間ロック凹部37の周方向の端面に各々のロック部材25が当接する。この中間ロック位相においてロック解除流路36に作動油が供給されることにより図3に示すように、ロックスプリング26の付勢力に抗して2つのロック部材25を回転軸芯Xから離間する方向に移動させ係合が解除される(ロック状態が解除される)。最遅角ロック位相では、図4に示すように、ロック部材25の一方が最遅角ロック凹部38に係合する状態においては、進角流路34に作動油が供給されることにより、ロックスプリング26の付勢力に抗してロック部材25を回転軸芯から離間する方向に移動させて係合が解除され(ロック状態が解除され)、このロック状態の解除の後に相対回転位相が進角方向Saに変位する。
また、ベーン31が進角方向Saの移動端(回転軸芯Xを中心にした回動限界)に達した状態での相対回転位相を最進角位相と称し、ベーン31が遅角側の移動端(回転軸芯Xを中心にした回動限界)に達した状態での相対回転位相を最遅角位相と称している。
中間ロック位相は、冷熱状態のエンジンEが始動する場合に弁開閉時期を最適に維持する位相であり、エンジンEを停止する場合には、相対回転位相を中間ロック位相に変位させてロック機構Lによるロック状態に移行し、この後にエンジンEを停止する制御が行われる。最遅角ロック位相は、エンジンEの始動負荷を軽減する位相であり、例えば、アイドルストップのように暖機状態にあるエンジンEを再始動する可能性が高い場合に、相対回転位相を最遅角ロック位相に変位させてロック機構Lによるロック状態に移行し、この後にエンジンEを停止する制御が行われる。
外部ロータ20のリヤブロック22と内部ロータ30とに亘ってトーションスプリング27が備えられている。このトーションスプリング27は、最遅角ロック位相にある状態から、相対回転位相を中間ロック位相の付近に変位させる付勢力を作用させる。
この弁開閉時期制御装置Aでは、タイミングチェーン6から伝えられる駆動力により外部ロータ20が駆動回転方向Sの方向に回転する。また、進角室Caに作動油が供給されることで相対回転位相を進角方向Saに変位させ、遅角室Cbに作動油が供給されることで相対回転位相を遅角方向Sbに変位させる。
外部ロータ20に対して内部ロータ30が駆動回転方向Sと同方向へ回転する方向を進角方向Saと称し、この逆方向への回転方向を遅角方向Sbと称している。尚、この弁開閉時期制御装置Aでは、相対回転位相が進角方向Saに変位するほど吸気タイミングを早め、相対回転位相が遅角方向Sbに変位するほど吸気タイミングを遅らせる。
〔制御弁〕
制御弁CVは、図1及び図6に示すように、弁ケース40と、スプール50と、電磁ソレノイド60と、スプールスプリング61とを備えて構成されている。スプール50は、弁ケース40のスプール収容空間に対してスプール軸芯Y(スプールの軸芯の具体例)に沿って移動自在に収容されている。電磁ソレノイド60は、スプール50に対してスプールスプリング61の付勢力に抗する方向に操作力を作用させる。尚、この実施形態では、制御弁CVが弁ケース40の上部位置に配置されたものとして説明する。
弁ケース40に形成された軸状部41を内部ロータ30に挿入する状態で、弁ケース40がブラケット等を介してエンジンEに対して支持されている。前述したように、軸状部41には、回転軸芯Xと同軸芯となる円柱状に成形され、流体の給排が可能な複数の流路が穿設されている。また、弁開閉時期制御装置Aが回転軸芯Xを中心に回転する際にも作動油の供給と排出とを可能にするため、軸状部41の外周と、内部ロータ30の内周面30Sとの間には複数のリング状のシール42が備えられている。
弁ケース40には、ポンプポート40Pと、進角ポート40Aと、遅角ポート40Bと、ロック解除ポート40Lと、第1ドレンポート40DA(位相制御用ドレンポートの一例)と、第2ドレンポート40DB(位相制御用ドレンポートの一例)と、第3ドレンポート40DC(ロック解除用ドレンポートの一例)とが形成されている。この実施形態では、スプール軸芯Yに沿う方向で第1ドレンポート40DAが電磁ソレノイド60に最も近い位置に配置され、これに続いて進角ポート40Aと、ポンプポート40Pと、遅角ポート40Bと、第2ドレンポート40DB、ロック解除ポート40Lと、第3ドレンポート40DCとが、この順序で電磁ソレノイド60から離れる方向に配置されている。尚、第3ドレンポート40DCは弁ケース40の下端部に配置されている。
ポンプポート40Pは、供給油路8を介して油圧ポンプPに連通している。進角ポート40Aは、進角流路34を介して進角室Caに連通している。遅角ポート40Bは、遅角流路35を介して遅角室Cbに連通している。ロック解除ポート40Lは、ロック解除流路36を介してロック部材25のロック解除空間としての中間ロック凹部37に連通している。
スプール50は、スプール軸芯Yの方向での中央位置で小径のポンプ側グルーブ部51Pが形成され、これより上側(電磁ソレノイド側)には小径でドレン用の第1グルーブ部51Aが形成され、ポンプ側グルーブ部51Pより下側には小径でドレン用の第2グルーブ部51Bが形成されている。
ポンプ側グルーブ部51Pの上側には、第1ランド部52Aが形成され、ポンプ側グルーブ部51Pの下側には、第2ランド部52Bが形成されている。第2グルーブ部51Bより下側に第3ランド部52Cが形成されている。尚、第1ランド部52Aと、第2ランド部52Bと、第3ランド部52Cとの外径は、弁ケース40のスプール収容空間に近接する値に設定されている。
ポンプ側グルーブ部51Pには、スプール軸芯Yに対して直交する姿勢で単一の位相制御流路53が形成され、この位相制御流路53の中間位置からスプール軸芯Yに沿う方向に分岐するロック制御流路54がスプール50の内部に形成されている。位相制御流路53は、進角ポート40Aと遅角ポート40Bとに対する作動油の供給を許容する。また、ロック制御流路54は、ロック解除ポート40Lへの作動油の供給を許容する。
第3ランド部52Cの外周部位に連通するように、スプール軸芯Yに直交する姿勢でロック操作流路56が形成され、このロック操作流路56はロック制御流路54に連通している。
〔連通路〕
特に、この制御弁CVでは、スプール50を第1進角ポジションPA1(ロック移行ポジションの一例)に操作した場合、及び、スプール50を第1遅角ポジションPB1(ロック移行ポジションの一例)に操作した場合には、作動油の一部を排出することで相対回転位相の変位速度を低下させることにより、ロック機構Lのロック状態への移行を確実に行わせる連通路Wを形成している。
弁ケース40のうち、スプール軸芯Yを挟んで進角ポート40Aと反対側となる領域の内周を拡大する加工が行われている。また、第1ランド部52Aの外周の一部の外周を小径化する加工により第1小径化部52Awが形成されている。これと同様に、スプール軸芯Yを挟んで遅角ポート40Bと反対側となる領域の内周を拡大する加工が行われている。また、第2ランド部52Bの外周の一部の外周を小径化する加工により第2小径化部52Bwが形成されている。この第1小径化部52Awと第2小径化部52Bwとで本発明の連通路Wが構成されている。
スプール50が第1進角ポジションPA1に操作された場合には、第2小径化部52Bwが図6に示す位置にあり、ポンプポート40Pから進角ポート40Aに供給される作動油の一部を、連通路Wとしての第2小径化部52Bwから第2ドレンポート40DBに排出できるように構成されている。
また、スプール50が第1遅角ポジションPB1に操作された場合には、第1小径化部52Awが図10に示す位置にあり、ポンプポート40Pから遅角ポート40Bに供給される作動油の一部を、連通路Wとしての第1小径化部52Awから第1ドレンポート40DAに排出できるように構成されている。つまり、第1ドレンポート40DAが遅角ポート40Bからの作動油を排出するドレンポートに兼用されているのである。
なお、連通路Wの流路断面積は、位相制御流路53と、進角ポート40Aと、遅角ポート40Bとの何れの流路断面積より小さく設定されている。
〔制御弁の作動形態の概要〕
この実施形態の制御弁CVのスプール50の具体的な操作位置(ポジション)として、図6〜図10に示すように、第1進角ポジションPA1と、第2進角ポジションPA2と、ロック解除ポジションPLと、第2遅角ポジションPB2と、第1遅角ポジションPB1との五つのポジションに操作できるように構成されている。また、これらのポジションにおける給排パターンを図5に示している。
この構成では、第2進角ポジションPA2と、ロック解除ポジションPLと、第2遅角ポジションPB2とが、ロック解除ポート40Lに流体を供給する状態で進角ポート40Aと遅角ポート40Bとに対する作動油の給排を制御する位相制御ポジションである。また、第1進角ポジションPA1と、第1遅角ポジションPB1とが、ロック解除ポート40Lから作動油を排出する状態で進角ポート40Aと遅角ポート40Bとの一方に対する作動油の供給を制御するロック移行ポジションである。
この制御弁CVでは、電磁ソレノイド60に電力を供給しない状態においてスプール50は、第1進角ポジションPA1にあり、電磁ソレノイド60に供給する電力を所定値増大させることにより第2進角ポジションPA2、ロック解除ポジションPL、第2遅角ポジションPB2、第1遅角ポジションPB1の順序で切り換えられる。
特に、エンジンEが稼働する状況において、吸気弁Vaの開閉時期を調節する場合には、ロック解除ポジションPLと、第2遅角ポジションPB2と、第2進角ポジションPA2との間でスプール50を操作する制御が行われ、第1進角ポジションPA1と、第1遅角ポジションPB1とに操作されることはない。
〔第1進角ポジション〕
電磁ソレノイド60に電力が供給されない状態では、スプール50は図6に示す第1進角ポジションPA1にある。このポジションでは、第1ランド部52Aと進角ポート40Aとの位置関係から、ポンプポート40Pに供給された作動油が、位相制御流路53とポンプ側グルーブ部51Pとを介して進角ポート40Aに供給される。また、第2ランド部52Bと遅角ポート40Bとの位置関係から、遅角ポート40Bからの作動油が、第2グルーブ部51Bを介して第2ドレンポート40DBに排出される。
この第1進角ポジションPA1では、ポンプポート40Pから位相制御流路53に流れる作動油の一部を、連通路W(第2小径化部52Bw)を介して第2ドレンポート40DBに排出する。この連通路Wから作動油が排出される場合には、相対回転位相が進角方向Saに低速で変位することになり、ロック機構Lのロック状態への移行を確実にする。
つまり、相対回転位相が進角方向Saに低速で変位するため、中間ロック位相に達すると、一対のロック部材25がロックスプリング26の付勢力により中間ロック凹部37に係合して中間ロック位相でロック状態に移行できる。
〔第2進角ポジション〕
図7に示す第2進角ポジションPA2では、第1ランド部52Aと進角ポート40Aとの位置関係から、第1進角ポジションPA1と同様に、ポンプポート40Pに供給された作動油が、位相制御流路53とポンプ側グルーブ部51Pとを介して進角ポート40Aに供給される。また、第2ランド部52Bと遅角ポート40Bとの位置関係から、遅角ポート40Bからの作動油が、第2グルーブ部51Bを介して第2ドレンポート40DBに排出される。
更に、この第2進角ポジションPA2では、ロック操作流路56がロック解除ポート40Lに連通する位置関係にあるため、位相制御流路53から分岐するロック制御流路54に作動油圧が作用し、ロック解除ポート40Lに作動油が供給される。
これにより、相対回転位相は進角方向Saに変位する。また、相対回転位相が中間ロック位相にある場合には、ロック解除ポート40Lからの作動油圧がロック操作流路56から一対のロック部材25に作用するため、ロックスプリング26に抗してロック部材25をシフトさせロック機構Lのロック状態を解除し、ロック解除状態が維持される。
〔ロック解除ポジション〕
図8に示すロック解除ポジションPLでは、第1ランド部52Aが進角ポート40Aを閉塞し、第2ランド部52Bが遅角ポート40Bを閉塞する位置関係になる。これと同時にロック操作流路56がロック解除ポート40Lに連通する位置関係になる。つまり、進角ポート40Aと遅角ポート40Bとで作動油が遮断され、位相制御流路53から分岐するロック制御流路54に作動油圧が作用し、ロック解除ポート40Lに作動油が供給される。
これにより、相対回転位相が中間ロック位相にある場合には、ロックスプリング26に抗してロック部材25をシフトさせロック機構Lのロック状態を解除する状態が維持される。
〔第2遅角ポジション〕
図9に示す第2遅角ポジションPB2では、第2ランド部52Bと遅角ポート40Bとの位置関係から、ポンプポート40Pに供給された作動油が、位相制御流路53を介して遅角ポート40Bに供給される。また、第1ランド部52Aと進角ポート40Aとの位置関係から、進角ポート40Aからの作動油が、第1グルーブ部51Aを介して第1ドレンポート40DAに排出される。
更に、この第2遅角ポジションPB2では、ロック操作流路56がロック解除ポート40Lに連通する位置関係にあるため、位相制御流路53から分岐するロック制御流路54に作動油圧が作用し、ロック解除ポート40Lに作動油が供給される。
これにより、相対回転位相は遅角方向Sbに変位する。また、相対回転位相が中間ロック位相にある場合には、ロック解除ポート40Lからの作動油がロック操作流路56から一対のロック部材25に作用し、ロックスプリング26に抗してロック部材25をシフトさせロック機構Lのロック状態を解除し、ロック解除状態が維持される。
〔第1遅角ポジション〕
図10に示す第1遅角ポジションPB1では、第2ランド部52Bと遅角ポート40Bとの位置関係から、第1遅角ポジションPB1と同様に、ポンプポート40Pに供給された作動油が、位相制御流路53とポンプ側グルーブ部51Pとを介して遅角ポート40Bに供給される。また、第1ランド部52Aと進角ポート40Aとの位置関係から、進角ポート40Aからの作動油が、第1グルーブ部51Aを介して第1ドレンポート40DAに排出される。更に、ロック解除ポート40Lからの作動油が第2ドレンポート40DBに排出される。
この第1遅角ポジションPB1では、ポンプポート40Pから位相制御流路53に流れる作動油の一部を、連通路W(第1小径化部52Aw)を介して第1ドレンポート40DAに排出する。この連通路Wから作動油が排出される場合には、相対回転位相が遅角方向Sbに低速で変位することになり、ロック機構Lのロック状態への移行を確実にする。
つまり、相対回転位相が遅角方向Sbに低速で変位するため、中間ロック位相に達すると、一対のロック部材25がロックスプリング26の付勢力により中間ロック凹部37に係合し、また、最遅角ロック位相に達すると一方のロック部材25が最遅角ロック凹部38に係合してロック状態に移行できる。
〔ロック作動〕
エンジンEを停止する場合には、相対回転位相を中間ロック位相まで変位させロック機構Lをロック状態に移行させる制御が実行される。
〔遅角側から中間ロック位相への移行〕
スプール50がロック解除ポジションPLにあり、相対回転位相がロック位相より遅角側にある状況から、制御によって相対回転位相を中間ロック位相に移行させる場合には、制御弁CVが、ロック解除ポジションPLから第1進角ポジションPA1に操作される。この操作に伴い、作動油圧と、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相が図11の左側のチャートに示されるように変位する。
同図において「進角作動油圧」とあるのは進角ポート40Aから進角室Caに亘る領域の圧力であるが、進角ポート40Aの圧力として説明する。また、「遅角作動油圧」とあるのは遅角ポート40Bから遅角室Cbに亘る領域の圧力であるが、遅角ポート40Bの圧力として説明する。「ロック解除圧」とあるのはロック解除ポート40Lから中間ロック凹部37に亘る領域の圧力であるが、ロック解除ポート40Lの圧力として説明する。
つまり、この操作の初期には進角室Caに作動油が封入されているため、進角ポート40Aの圧力は高い値にある。また、制御弁CVが第1進角ポジションPA1に操作され、相対回転位相の変位が開始すると進角室Caの容積拡大に伴い進角ポート40Aの圧力は一旦低下する。この圧力低下時には進角ポート40Aに供給される作動油の一部が連通路W(第2小径化部52Bw)から排出されるため、進角ポート40Aの圧力は低い値に維持される。尚、連通路Wが形成されない構成では進角ポート40Aの圧力は仮想線で示す比較的高い値に維持される。
制御弁CVが第1進角ポジションPA1に操作された場合には、遅角室Cbの作動油が第2ドレンポート40DBに排出される。この場合、連通路Wが形成されない構成では、仮想線で示すように零圧まで低下する。しかし、この第2ドレンポート40DBには、連通路Wを介してポンプポート40Pからの流体の一部が排出されるため、遅角ポート40Bの圧力は零圧とはならず、零圧より少し高い値に維持される。
制御弁CVが第1進角ポジションPA1に操作された場合には、中間ロック凹部37の作動油がロック解除ポート40Lから第3ドレンポート40DCに排出され、この排出の際に流路抵抗が作用するため、このロック解除ポート40Lの圧力は、同図に示す特性で低下する。
このように制御弁CVが操作された場合には、相対回転位相は遅角側から中間ロック位相の方向に変位を開始する。前述したように進角ポート40Aから進角室Caに供給される作動油の一部が連通路Wから第2ドレンポート40DBに排出されるため、相対回転位相の変位速度は減速される。尚、連通路Wが形成されない構成では、相対回転位相の変位速度が同図に仮想線で示す勾配で上昇することになる。また、相対回転位相が中間ロック位相に達した時点では、ロック解除油圧が零圧まで低下する。
この構成では、遅角ポート40Bの圧力が零圧より高い値となるため、この遅角ポート40Bから作動油を排出する際の抵抗が増大することになる。これによっても相対回転位相が進角方向Saに変位する場合の変位速度が減じられることになる。
これにより、相対回転位相の変位が減速した状態で、先ず一方のロック部材25がロックスプリング26の付勢力により中間ロック凹部37に係入する。この後に、相対回転位相が中間ロック位相に達した時点では、ロック解除油圧が零圧まで低下しており、この零圧状態の中間ロック凹部37に対して他方のロック部材25がロックスプリング26の付勢力で係入し、中間ロック状態に確実に移行できる。
〔進角側から中間ロック位相への移行〕
スプール50がロック解除ポジションPLにあり、相対回転位相がロック位相より進角側にある状況から制御によって相対回転位相を中間ロック位相に移行させる場合には、制御弁CVが、ロック解除ポジションPLから第1遅角ポジションPB1に操作される。この操作に伴い、作動油圧と、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相が図11の右側のチャートに示されるように変位する。
この制御では、前述した遅角側から中間ロック位相への移行と比較すると、相対回転位相の変位の方向が逆向きであるため、これに対応して「進角作動油圧」と「遅角作動油圧」が変位する。
つまり、この操作の初期には遅角室Cbに作動油が封入されているため、遅角ポート40Bの圧力は高い値にある。また、制御弁CVが第1遅角ポジションPB1に操作され、相対回転位相の変位が開始すると遅角室Cbの容積拡大に伴い遅角ポート40Bの圧力は一旦低下する。この圧力低下時には遅角ポート40Bに供給される作動油の一部が連通路W(第1小径化部52Aw)から排出されるため、遅角ポート40Bの圧力は低い値に維持される。尚、連通路Wが形成されない構成では遅角ポート40Bの圧力は仮想線で示す比較的高い値に維持される。
制御弁CVが第1遅角ポジションPB1に操作された場合には、進角室Caの作動油が第1ドレンポート40DAに排出される。この場合、連通路Wが形成されない構成では、仮想線で示すように零圧まで低下する。しかし、この第1ドレンポート40DAには、連通路Wを介してポンプポート40Pからの流体の一部が排出されるため、進角ポート40Aの圧力は零圧とはならず、零圧より高い値に維持される。
制御弁CVが第1遅角ポジションPB1に操作された場合には、中間ロック凹部37の作動油がロック解除ポート40Lから第2ドレンポート40DBに排出され、この排出の際に流路抵抗が作用するため、ロック解除ポート40Lの圧力は、同図に示す特性で低下する。
このように制御弁CVが操作される場合には、相対回転位相は進角側から中間ロック位相の方向に変位を開始する。前述したように遅角ポート40Bから遅角室Cbに供給される作動油の一部が連通路Wから第1ドレンポート40DAに排出されるため、相対回転位相の変位速度は減速され、ロック状態への移行を確実にする。尚、連通路Wが形成されない構成では、相対回転位相の変位速度が同図に仮想線で示す勾配で上昇することになる。また、相対回転位相が中間ロック位相に達した時点では、ロック解除油圧が零圧まで低下する。
この構成では、進角ポート40Aの圧力が零圧より高い値となるため、この進角ポート40Aから作動油を排出する際の抵抗が増大することになる。これによっても相対回転位相が遅角方向Sbに変位する場合の変位速度が減じられることになる。
これにより、相対回転位相の変位が減速した状態で、先ず一方のロック部材25がロックスプリング26の付勢力により中間ロック凹部37に係入する。この後に、相対回転位相が中間ロック位相に達した時点では、ロック解除油圧が零圧まで低下しており、この零圧状態の中間ロック凹部37に対して他方のロック部材25がロックスプリング26の付勢力で係入し、中間ロック状態に確実に移行できる。
〔エンジンの始動時におけるロック状態への移行〕
エンジンEは過負荷によりストールすることがあり、前述したようにエンジンEを停止する場合に相対回転位相を中間ロック位相まで変位させても、ロック機構Lによるロック状態に移行する制御が適正に行われない場合もある。このように弁開閉時期制御装置Aがロック状態にない状況でエンジンEが停止し、この後に、エンジンEを始動する場合には、弁開閉時期制御装置Aの相対回転位相を中間ロック位相に移行してロック機構Lをロック状態に移行する制御が行われる。
この制御においても、スプール50が第1進角ポジションPA1又は第1遅角ポジションPB1に操作されるため、連通路Wにより相対回転位相の変位速度を減じてロック状態への確実な移行を実現する。
特に、エンジンEが停止する状態では、電磁ソレノイド60に電力が供給されないため、制御弁CVのスプール50は第1進角ポジションPA1にある。また、遅角ポート40Bが第2ドレンポート40DBに連通し、ポンプポート40Pと進角ポート40Aとが位相制御流路53を介して連通している。
これにより、遅角室Cbの作動油は連通路Wを介して第2ドレンポート40DBに排出され、進角室Caの作動油は、第2ドレンポート40DBに排出される。このように進角室Caと遅角室Cbとの作動油が排出される結果、進角室Caと遅角室Cbとの何れにも作動油が残留しない状態となる。
更に、スプール50が第1進角ポジションPA1又は第1遅角ポジションPB1に設定された場合には、進角室Caと遅角室Cbとが連通する状態となる。従って、ロック機構Lがロック状態にないエンジンEの始動のためにセルモータを駆動する際には、スプール50を第1進角ポジションPA1又は第1遅角ポジションPB1に設定することにより、吸気カムシャフト7から作用する変動トルクにより進角室Caと遅角室Cbとから作動油を迅速に排出してロック機構Lを迅速にロック状態に移行することも可能となる。
具体的な作動形態としては、セルモータの駆動時に吸気カムシャフト7から変動トルクが作用することにより、進角室Caと遅角室Cbとの一方の容積増大時に他方の容積が呼吸するように減少する作動が反復し、作動油の排出が行われる。これにより進角室Caと遅角室Cbとに残留する作動油に圧力を作用させて作動油を確実に排出することが可能となる。例えば、進角室Ca又は遅角室Cbに作動油が残留する状態で相対回転位相を中間ロック位相に変位させる場合と比較すると、この構成では、作動油の抵抗を排除した状態で相対回転位相をロック位相まで迅速に変位させ、ロック状態に移行することが可能となる。
特に、この構成では、温度低下により作動油の粘性が高まる状況にあっても、エンジンEの始動時には、作動油を強制的に送り出し、相対回転位相の変位時間を短縮してロック状態への移行を迅速に行える。
〔制御弁の変形例〕
この実施形態では、上側に進角ポート40Aを配置し、この下側に遅角ポート40Bを配置していたが、これに代えて、制御弁CVの構成を変更することなく、上側に遅角ポート40B配置し、この下側に進角ポート40Aを配置しても良い。
つまり、電磁ソレノイド60に電力が供給されない状態でスプール50が第1遅角ポジションPB1にあり、電力を増大させることにより、第2遅角ポジションPB2、ロック解除ポジションPL、第2進角ポジションPA2、第1進角ポジションPA1の順序でポジションが切換わるように制御弁CVを構成する。
この変形例においても、ポンプポート40Pから供給される作動油の一部を連通路Wからドレンポート(例えば、第2ドレンポート40DB)に排出することも可能となり、相対回転位相の減速によりロック機構Lのロック状態への移行を確実に行える。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
(a)本発明では、スプール50が第1進角ポジションPA1に操作された場合に進角ポート40Aに供給される作動油の一部を連通路Wに排出する構成と、スプール50が第1遅角ポジションPB1に操作された場合に遅角ポート40Bに供給される作動油の一部を連通路Wに排出する構成との何れか一方の構成だけを備えても良い。
この別実施形態(a)の構成は、〔制御弁の変形例〕として説明したように電磁ソレノイド60に電力が供給されない状態では、スプール50が第1遅角ポジションPB1にあるように構成された制御弁CVに適用することも可能である。
(b)図12に示すように、スプール50を、第1進角ポジションPA1と、第2進角ポジションPA2と、ロック解除ポジションPLと、第2遅角ポジションPB2と、第1遅角ポジションPB1との五つのポジションに操作した際の作動油の給排パターンを設定しても良い。
この給排パターンでは、スプール50が第1進角ポジションPA1から第2進角ポジションPA2の方向に変位した場合には第2進角ポジションPA2に達する以前に連通路Wが閉じられるように構成されている。また、スプール50が第1遅角ポジションPB1から第2遅角ポジションPB2の方向に変位した場合には第2遅角ポジションPB2に達する以前に連通路Wが閉じられる。
つまり、進角ポート40Aに作動油を供給する第2進角ポジションPA2(位相制御ポジション)と隣接する位置に進角ポート40Aに作動油を供給する第1進角ポジションPA1(ロック移行ポジション)が配置され、遅角ポート40Bに作動油を供給する第2遅角ポジションPB2(位相制御ポジション)と隣接する位置に遅角ポート40Bに作動油を供給する第1遅角ポジションPB1(ロック移行ポジション)が配置されている。そして、ロック移行ポジションのうち位相制御ポジションに隣接する領域では連通路Wが閉じられるように構成されているのである。
これにより、例えば、第2遅角ポジションPB2から第2進角ポジションPA2へのスプールの操作時に、スプール50がオーバーシュートして第1進角ポジションPA1の端部に達した場合でも、位相制御流路53に供給されている作動油の一部が連通路Wに排出されず、相対回転位相の変位速度を減ずることがない。これと同様に、第2進角ポジションPA2から第2遅角ポジションPB2へのスプールを操作の操作時に、スプール50がオーバーシュートして第1遅角ポジションPB1の端部に達した場合でも、位相制御流路53に供給されている作動油の一部が連通路Wに排出されず、相対回転位相の変位速度を減ずることがない。
(c)実施形態と同様に第1ドレンポート40DAと第2ドレンポート40DBとが形成された制御弁CVにおいて、例えば、スプール50が第1進角ポジションPA1に操作された場合に、第1ドレンポート40DAに対してポンプポート40Pからの作動油の一部を排出するように連通路Wを形成する。これと同様に、スプール50が第1遅角ポジションPB1に操作された場合に、第2ドレンポート40DBに対してポンプポート40Pからの作動油の一部を排出するように連通路Wを形成する。
このように構成することにより、作動油が排出されない状態のドレンポートに対して、連通路Wから作動油を排出することが可能となる。この構成では、例えば、作動油が排出される状態のドレンポートに対して連通路Wが接続される構成と比較すると、ドレンポートに流れる作動油からの圧力の作用が無く相対回転速度の値を所望の値に減速することが可能となる。
(d)スプール50が第1進角ポジションPA1又は第1遅角ポジションPB1に操作された場合に、ポンプポート40Pからの作動油の一部を制御弁CVの外部に対して直接的に排出する流路によって連通路Wを構成する。この構成では、ドレンポートに対して連通路Wからの作動油を排出する構成と比較すると、ドレンポートに流れる作動油に影響されることなく連通路Wから作動油の排出を行えるため、相対回転速度の値を所望の値に減速することが可能となる。
本発明は、単一のスプールの作動により弁開閉時期制御装置Aの進角方向への変位と、遅角方向への変位と、ロック解除とを行う制御弁に利用することができる。
1 クランクシャフト
7 カムシャフト(吸気カムシャフト)
20 駆動回転体(外部ロータ)
25 ロック部材
30 従動回転体(内部ロータ)
37 係合部・ロック解除空間(中間ロック凹部)
40 弁ケース
40A 進角ポート
40B 遅角ポート
40DA ドレンポート・位相制御用ドレンポート(第1ドレンポート)
40DB ドレンポート・位相制御用ドレンポート(第2ドレンポート)
40DC ドレンポート・ロック解除用ドレンポート(第3ドレンポート)
40P ポンプポート
40L ロック解除ポート
50 スプール
53 位相制御流路
60 電磁ソレノイド
A 弁開閉時期制御装置
E 内燃機関
Ca 進角室
Cb 遅角室
L ロック機構
Y スプールの軸芯(スプール軸芯)
W 連通路
PL ロック解除ポジション

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、前記内燃機関のカムシャフトと一体回転し前記駆動側回転体に対して相対回転する従動側回転体とを有し、進角室に流体が供給されることにより前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相が進角方向に変位し、遅角室に流体が供給されることにより前記相対回転位相が遅角方向に変位し、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との一方に形成された係合部に対し、他方に支持されたロック部材が係合することにより前記相対回転位相を所定のロック位相に保持するロック機構を備えた弁開閉時期制御装置に用いられる制御弁であって、当該制御弁は、
    弁ケースと、この弁ケースに収容されるスプールと、このスプールがスプールの軸芯に沿って移動するようにスプールを駆動する電磁ソレノイドとを備えると共に、
    前記弁ケースが、流体が供給されるポンプポートと、前記進角室に連通する進角ポートと、前記遅角室に連通する遅角ポートと、前記ロック部材のロック解除空間に連通するロック解除ポートと、流体の排出を許容するドレンポートとを備え、
    前記スプールが、
    前記ロック解除ポートに流体が供給されるとき前記進角ポートと前記遅角ポートとに対する流体の給排を制御するために設定される複数の位相制御ポジションと、前記ロック解除ポートから流体が排出されるとき前記進角ポートと前記遅角ポートとに対して流体の給排を制御するために設定されるロック移行ポジションとの間を移動自在であり、
    前記スプールが、前記ロック移行ポジションに設定された場合に、前記ポンプポートに供給された流体の一部が前記ドレンポートに流入することを許容する連通路が形成されている制御弁。
  2. 前記進角ポートに流体が供給される前記位相制御ポジションと隣接する位置に前記進角ポートに流体が供給される前記ロック移行ポジションが配置され、前記遅角ポートに流体が供給される前記位相制御ポジションと隣接する位置に前記遅角ポートに流体が供給される前記ロック移行ポジションが配置され、
    前記ロック移行ポジションのうち前記位相制御ポジションに隣接する領域では前記連通路が閉じられる請求項1記載の制御弁。
  3. 前記ポンプポートから前記進角ポート及び前記遅角ポートに流体が供給されることを許容する位相制御流路が前記スプールに形成され、
    前記連通路の流路断面積が、前記位相制御流路の流路断面積よりも小さい請求項1又は2記載の制御弁。
  4. 前記ドレンポートが、前記ロック解除ポートからの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容するロック解除用ドレンポートと、前記連通路からの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容する位相制御用ドレンポートとを備えている請求項1〜3のいずれか一項に記載の制御弁。
  5. 前記位相制御用ドレンポートは、前記進角ポートからの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容する機能と、前記遅角ポートからの流体が前記弁ケースの外部に排出されることを許容する機能とを兼用する請求項4記載の制御弁。
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