JP2018184633A - 多孔質アルミニウム合金及びその製造方法、並びに積層体 - Google Patents

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智子 藤井
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Abstract

【課題】アルミニウム合金と樹脂との接合強度を高くできる多孔質アルミニウム合金を提供する。【解決手段】表面に多孔質形状を有する多孔質アルミニウム合金であって、アルミニウム合金の表面を、下記式(1)で表される化合物、下記式(1)で表される化合物の水和物、及び下記式(1)で表される化合物と水和物又は無機酸との塩からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液と接触させることにより得られる、多孔質アルミニウム合金。(式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基である。)【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質アルミニウム合金及びその製造方法、並びに積層体に関する。
従来、金属合金と樹脂とを接合する様々な技術が知られている。その一つとして、接着剤を介してそれらを接合する方法が挙げられ、そのための多くの接着剤が開発されている。そのような接着剤として、例えば、常温において又は加熱によりそれらを接合可能になる接着剤が知られている。
一方、接着剤を用いることなく、金属合金と樹脂とを接合する技術も検討されている。例えば、マグネシウムやアルミニウムの軽金属合金、及びステンレスなどの鉄合金に対して、接着剤の介在なしで高強度の熱可塑性のエンジニアリング樹脂を射出等によって一体化する方法が知られている。
それらの接着剤を介した、あるいは接着剤を用いることなく、金属合金と樹脂とを接合する技術として、それらの接合性を高めるために金属合金の表面を多孔質化する技術も提案されている。例えば特許文献1では、金属合金と被着材が不飽和ポリエステル系接着剤を介して強固に接合された接合体等の提供を意図して、金属合金と被着材が接着剤を介して接合された接合体であって、前記金属合金の表面は、エッチングが施されることにより、山谷平均間隔(RSm)が0.8〜10μm、最大高さ粗さ(Rz)が0.2〜5μmであるミクロンオーダーの粗度を有し、且つ、その粗度を有する面内には5〜500nm周期の超微細凹凸が形成され、且つ、表層が金属酸化物又は金属リン酸化物の薄層であり、前記接着剤は、不飽和ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂を主成分とし、その接着剤が前記超微細凹凸に浸入していることにより前記金属合金と前記被着材が強固に接合されていることを特徴とする金属合金と被着材の接合体が開示されている。
国際公開第2009/093668号
しかしながら、引用文献1に記載のものを始めとする従来の技術では、アルミニウム合金のような金属合金と樹脂との接合強度が十分とはいえず、更に改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、アルミニウム合金と樹脂との接合強度を高くできる多孔質アルミニウム合金、及びその製造方法、並びにその多孔質アルミニウム合金を備える積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、表面における開気孔の平均開口径が所定の範囲にあると共に、比表面積及び孔容積が所定の範囲にある多孔質アルミニウム合金を樹脂層と接合すると、それらの間の接合強度を高くできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]表面に多孔質形状を有する多孔質アルミニウム合金であって、アルミニウム合金の表面を、下記式(1)で表される化合物、及び下記式(1)で表される化合物と無機酸との塩からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液と接触させることにより得られる、多孔質アルミニウム合金。
(式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
[2]表面に多孔質形状を有する多孔質アルミニウム合金であって、前記表面における開気孔の平均開口径が20nm以上50nm以下である、多孔質アルミニウム合金。
[3]pHが4以下の水溶液と接触させることにより粗化された表面を有する、[1]又は[2]に記載の多孔質アルミニウム合金。
[4]pHが8以上11以下の水溶液と接触させることにより粗化された表面を有する、[1]又は[2]に記載の多孔質アルミニウム合金。
[5]前記粗化された表面を形成する前に、前記アルミニウム合金の表面を水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウムを含む水溶液に接触させることにより、前記アルミニウム合金は酸化被膜が除去された表面を有する、[3]又は[4]に記載の多孔質アルミニウム合金。
[6]前記多孔質形状を有する前記表面における水との接触角が、20°以上80°以下である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の多孔質アルミニウム合金。
[7]前記多孔質形状における開気孔の数が、1215nm×845nmの面積当たり20以上500以下である、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の多孔質アルミニウム合金。
[8]表面に多孔質形状を有する多孔質アルミニウム合金の製造方法であって、アルミニウム合金の表面を、下記式(1)で表される化合物、及び下記式(1)で表される化合物と無機酸との塩からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液と接触させる工程を有する、製造方法。
(式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
[9][1]〜[7]のいずれか1つに記載の多孔質アルミニウム合金と、該多孔質アルミニウム合金の多孔質形状を有する表面に接合された樹脂層と、を備える積層体。
本発明によれば、アルミニウム合金と樹脂層との接合強度を高くできる多孔質アルミニウム合金、及びその製造方法、並びにその多孔質アルミニウム合金を備える積層体を提供することができる。
実施例1の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 実施例2の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 実施例3の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 実施例4の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 実施例5の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 実施例6の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 比較例1のアルミニウム合金を示すSEM画像である。 比較例2の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 比較例3の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 比較例4の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。 比較例5の多孔質アルミニウム合金を示すSEM画像である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金は、表面に多孔質形状を有するものである。
多孔質アルミニウム合金の材質であるアルミニウム合金は、アルミニウム合金であれば特に限定されない。アルミニウム合金としては、例えば、アルミニウムの含有量が99質量%以上の純アルミニウム系のアルミニウム合金、アルミニウム以外に主に銅を含むアルミニウム−銅系のアルミニウム合金、アルミニウム以外に主にマンガンを含むアルミニウム−マンガン系のアルミニウム合金、及びアルミニウム以外に主にマグネシウムを含むアルミニウム−マグネシウム合金が挙げられる。より具体的には、日本工業規格(JIS)で定められている展伸用アルミニウム合金である純アルミニウム系のA1100合金、A1085合金、A1050合金、アルミニウム−銅系のA2024合金、アルミニウム−マンガン系のA3003合金、アルミニウム−マグネシウム系のA5052合金など、A1000番台〜7000番台(耐食アルミニウム合金、高力アルミニウム合金、耐熱アルミニウム合金等)等の全ての合金、及びADC1〜12種(ダイカスト用アルミニウム合金)等の鋳造用アルミニウム合金が挙げられる。多孔質アルミニウム合金の原料となるアルミニウム合金は、表面に多孔質形状を有していないと好ましく、表面だけでなく内部も多孔質形状を有していない(すなわち非多孔質のアルミニウム合金である)とより好ましい。
アルミニウム合金の組成としては、例えば、それぞれの元素の含有量が、ケイ素(Si)について1.5質量%以下、鉄(Fe)について1.0質量%以下、銅(Cu)について8.0質量%以下、マンガン(Mn)について2.0質量%以下、マグネシウム(Mg)について6.0質量%以下、クロム(Cr)について0.50質量%以下、亜鉛(Zn)について8.0質量%以下、チタン(Ti)について0.30質量%以下、バナジウム(V)について0.25質量%以下、ビスマス(Bi)について1.0質量%以下、鉛(Pb)について1.0質量%以下であり、残部がアルミニウム(Al)及び不可避的不純物である。表1にアルミニウム合金の組成を例示するが、組成はこれらに限定されない。
また、多孔質アルミニウム合金としては、鋳造用合金であってもよく、ダイキャスト法により所定の形状に成形された部品、機械加工して所定の形状に成形された部品であってもよい。さらに展伸用合金では、中間材である板材など、それらを熱プレス加工などの機械加工により所定の形状に成形した部品であってもよい。また、多孔質アルミニウム合金の形状も特に限定されず、例えば、板状及び柱状、並びにその用途に適した任意の形状であってもよい。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金は、アルミニウム合金の表面を、下記式(1)で表される化合物、下記式(1)で表される化合物の水和物、及び下記式(1)で表される化合物と無機酸との塩からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液と接触させることにより得られるものである。
ここで、式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基である。
上記式(1)で表される化合物として、より具体的には、ヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、N−プロピルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン一水和物、ヒドロキシルアミン塩酸塩及びヒドロキシルアミン硫酸塩が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、ヒドロキシルアミン一水和物及びジエチルヒドロキシルアミンが好ましい。
また、上記式(1)で表される化合物と塩を形成する無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸及び硝酸が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、塩酸及び硫酸が好ましい。
水溶液中の上記式(1)で表される化合物、その水和物及びその無機酸との塩の濃度は、本発明の課題を達成できる濃度であれば特に限定されないが、0.1質量%以上5.0質量%以下であると好ましい。その濃度が0.1質量%以上5.0質量%以下であると、開気孔の形成と開気孔以外の表面の粗化のバランスがより良好となり、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏すると共に、所望の平均開口径、比表面積及び孔容積を有する多孔質アルミニウム合金を更に得やすくなる。同様の観点から、上記濃度は、1.0質量%以上4.0質量%以下であるとより好ましい。
アルミニウム合金と上記水溶液とを接触させる際の水溶液のpHは、本発明の課題を達成できるpHであれば特に限定されないが、4以下であると好ましく、あるいは8以上11以下であると好ましい。pHが4以下あるいは8以上11以下であると、開気孔以外の表面の粗化がより良好に行われやすくなり、開気孔の形成と開気孔以外の表面の粗化とのバランスがより良好となる結果、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏すると共に、所望の平均開口径、比表面積及び孔容積を有する多孔質アルミニウム合金を更に得やすくなる。
アルミニウム合金と上記水溶液とを接触させる際の温度(液温)及び時間は、本発明の課題を達成できる温度及び時間であれば特に限定されないが、20℃以上70℃以下であり、1分間以上10分間以下であると好ましい。温度及び時間が上記下限値以上上限値以下であると、開気孔の形成と開気孔以外の表面の粗化とのバランスがより良好となり、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏すると共に、所望の平均開口径、比表面積及び孔容積を有する多孔質アルミニウム合金を更に得やすくなる。同様の観点から、上記温度は20℃以上40℃以下であるとより好ましく、上記時間は3分間以上10分間以下であるとより好ましい。
アルミニウム合金の表面と水溶液とを接触させる手段も特に限定されず、例えば、水溶液をアルミニウム合金の表面に向かって噴射(ジェット塗布)又は噴霧(スプレー塗布)する方法、水溶液をアルミニウム合金の表面に刷毛やブレードを用いて塗布する方法、水溶液をアルミニウム合金の表面に滴下しながらアルミニウム合金を回転させて、その遠心力を利用してアルミニウム合金の表面全体に水溶液を広げる方法(スピン塗布)、並びに、水溶液の浴にアルミニウム合金を浸漬する方法(ディップ塗布)が挙げられる。
本実施形態に係る水溶液は、本発明による効果を阻害しない範囲で、アルミニウム合金の表面処理に通常用いられる各種の添加剤を含んでもよい。そのような添加剤としては、例えば、界面添加剤、ハロゲン化物イオン、アゾール類、pH調整剤が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金はその表面に複数の開気孔、すなわち開口を有する孔を有するが、その開気孔の平均開口径は、20nm以上50nm以下である。このような平均開口径を有する多孔質アルミニウム合金は、樹脂層との接合強度を高くすることができる。その要因の一つとして下記のことが考えるが、要因はこれに限定されない。すなわち、平均開口径が20nm以上であると、その開気孔の内部に樹脂層の樹脂組成物が浸入しやすくなる結果、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との接合強度が高くなる。一方、平均開口径が50nm以下であると、開気孔の内部に浸入した樹脂組成物による多孔質アルミニウム合金との係合性がより優れたものとなる結果、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との接合強度が高くなる。かかる観点から、開気孔の平均開口径は、20nm以上50nm以下であるとより好ましく、23nm以上45nm以下であると更に好ましく、25nm以上40nm以下であると特に好ましい。
多孔質アルミニウム合金の平均開口径を上記の範囲内に制御するには、例えば、上述の所定の化合物及び/又はその所定の化合物と無機酸との塩をアルミニウム合金の表面と所定の温度、濃度及び時間にて接触させる等すればよいが、制御する方法はこれに限定されない。多孔質アルミニウム合金の平均開口径は、多孔質アルミニウム合金表面に形成された開気孔を任意に十点選択し、それらの開気孔の開口径を相加平均したものである。開口径は、多孔質アルミニウム合金表面のSEM画像を、画像処理ソフト(例えば、アメリカ国立衛生研究所製、製品名「Image J」)により二値化して、円相当径として測定することができる。
開気孔は、その開口径がその開気孔の孔径よりも小さいと好ましく、例えば、その平均孔径が平均開口径よりも大きいことが好ましい。これにより、一旦開気孔に浸入した樹脂組成物の部分が開気孔により強固に係合するため、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との間の接合強度が更に高まりやすくなる。開口径が孔径よりも小さいか否かは、多孔質アルミニウム合金表面のSEM画像を観察することで判断できる。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金の多孔質形状における開気孔の数は、1215nm×845nmの面積当たり20以上500以下であると好ましい。このような開気孔の数である多孔質アルミニウム合金は、更に所定の平均開口径、比表面積及び孔容積を有することにより、樹脂層との接合強度を高くすることができる。その要因の一つとして下記のことが考えるが、要因はこれに限定されない。すなわち、開気孔の数が上記面積当たり20以上であると、開気孔が多く存在しやすくなり、樹脂層における樹脂組成物が浸入する開気孔の数が多くなる傾向にある結果、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との接合強度が高くなる。一方、開気孔の数が上記面積当たり500以下であると、開気孔を包囲する多孔質アルミニウム合金の機械的強度が高まる結果、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との接合強度が高くなる。同様の観点から、多孔質アルミニウム合金の多孔質形状における開気孔の数は、1215nm×845nmの面積当たり20以上450以下であるとより好ましく、30以上425以下であると更に好ましく、50以上400以下であると特に好ましい。
多孔質アルミニウム合金の多孔質形状における開気孔の数を上記の範囲内に制御するには、例えば、上述の所定の化合物及び/又はその所定の化合物と無機酸との塩をアルミニウム合金の表面と接触させればよい。多孔質アルミニウム合金の開気孔の数を決定するには、多孔質アルミニウム合金表面のSEM画像を観察すればよい。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金は、多孔質形状を有する表面における水との接触角が、20°以上80°以下であると好ましく、20°以上70°以下であるとより好ましい。水との接触角が20°以上であることにより、樹脂層が多孔質アルミニウム合金の表面上にある程度残存するため、樹脂層に求められる機能、例えば樹脂層が接着剤として機能する場合は接着剤としての機能、をより有効かつ確実に発揮することが可能となる。また、水との接触角が80°以下であることにより、多孔質アルミニウム合金に対する樹脂層の濡れ性が高まりやすくなるため、それらの接合強度が更に高まる傾向にある。水との接触角は、実施例に記載の方法に準拠して測定することができる。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金は、その多孔質形状の表面において、特定のシリコーン樹脂系接着剤との引張強度が、1.5MPa以上であると好ましく、3.0MPa以上であるとより好ましい。この引張強度が1.5MPa以上であると、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との間の接合強度がより高くなる傾向にある。この引張強度の上限は特に限定されず、例えば6.0MPa以下である。この引張強度は、実施例に記載の方法に準拠して測定することができ、上記特定のシリコーン樹脂系接着剤としては、例えば、変性シリコーンを含む樹脂組成物を含有する接着剤が挙げられ、当該接着剤には、その他の樹脂、例えばアクリル樹脂、が含まれてもよい。より具体的には、実施例で用いられているセメダイン株式会社製の製品名「スーパーXクリア」が挙げられる。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金の製造方法は、アルミニウム合金の表面を、上記式(1)で表される化合物、上記式(1)で表される化合物の水和物、及び上記式(1)で表される化合物と無機酸との塩からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液と接触させる工程(以下、「アミン処理工程」ともいう。)を有するものである。アルミニウム合金の表面を上記水溶液に接触させること、すなわちアミン処理工程については、既に詳述したので、ここでは説明を省略する。
本実施形態の多孔質アルミニウム合金の製造方法は、アミン処理工程を有するものであれば特に限定されないが、酸化被膜除去工程、脱脂工程、酸洗工程、水洗工程及び乾燥工程からなる群より選ばれる1種以上の工程を更に有すると好ましい。以下、各工程について詳述する。
酸化被膜除去工程は、アミン処理工程に先立ち、アルミニウム合金の表面を、水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウムを含む水溶液と接触させ、アルミニウム合金の表面の酸化被膜を除去する工程である。アミン処理工程に先立ち、アルミニウム合金の表面に存在する酸化被膜を除去する酸化被膜除去工程を経ることにより、開気孔以外の表面の粗化がより良好に行われやすくなり、開気孔の形成と開気孔以外の表面の粗化とのバランスがより良好となる。その結果、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏すると共に、所望の平均開口径、比表面積及び孔容積を有する多孔質アルミニウム合金を更に得やすくなる。同様の観点から、上記水溶液中の水素化ホウ素ナトリウム及び水酸化ナトリウムの合計の濃度は、0.1質量%以上5.0質量%以下であると好ましい。
酸化被膜除去工程において、アルミニウム合金と上記水溶液とを接触させる際の温度及び時間は、本発明の課題を達成できる温度及び時間であれば特に限定されないが、20℃以上40℃以下であり、1分間以上10分間以下であると好ましい。温度及び時間が上記下限値以上上限値以下であると、開気孔の形成と開気孔以外の表面の粗化とのバランスがより良好となり、本発明による作用効果をより有効かつ確実に奏すると共に、所望の平均開口径、比表面積及び孔容積を有する多孔質アルミニウム合金を更に得やすくなる。
酸化被膜除去工程において、アルミニウム合金の表面と上記水溶液とを接触させる手段も特に限定されず、例えば、上記水溶液をアルミニウム合金の表面に向かって噴射(ジェット塗布)又は噴霧(スプレー塗布)する方法、上記水溶液をアルミニウム合金の表面に刷毛やブレードを用いて塗布する方法、上記水溶液をアルミニウム合金の表面に滴下しながらアルミニウム合金を回転させて、その遠心力を利用してアルミニウム合金の表面全体に水溶液を広げる方法(スピン塗布)、並びに、上記水溶液の浴にアルミニウム合金を浸漬する方法(ディップ塗布)が挙げられる。
脱脂工程は、多孔質アルミニウム合金の原料であるアルミニウム合金の表面に油脂が存在する場合、その油脂を取り除く工程であり、上記酸化被膜除去工程よりも前の段階に採用され得る。例えば市販されているアルミニウム合金用脱脂剤の水溶液をアルミニウム合金の表面と接触させることで、アルミニウム合金の表面に存在する油脂を取り除くことができる。アルミニウム合金の表面と接触させる脱脂剤の水溶液の温度は、例えば50℃以上80℃以下、接触させる時間は、例えば5分間以上10分間以下である。アルミニウム合金の表面に脱脂剤の水溶液を接触させる方法としては、例えば、ジェット塗布、スプレー塗布、刷毛やブレードを用いた塗布、スピン塗布及びディップ塗布が挙げられる。
酸洗工程は、脱脂工程を経たアルミニウム合金の表面を酸性水溶液に接触させる工程であり、上記酸化被膜除去工程よりも前の段階に採用され得る。酸洗工程において予めアルミニウム合金の表面に酸成分を吸着させることにより、アミン処理工程において所望の平均開口径、表面積及び孔容積を一層得やすくなる。酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硝酸及び硫酸の希薄水溶液が挙げられる。アルミニウム合金の表面と接触させる酸性水溶液の温度は、例えば15℃以上40℃以下、接触させる時間は、例えば5分間以上10分間以下である。アルミニウム合金の表面に酸性水溶液を接触させる方法としては、例えば、ジェット塗布、スプレー塗布、刷毛やブレードを用いた塗布、スピン塗布及びディップ塗布が挙げられる。
水洗工程は、アルミニウム合金を水洗する工程であり、上記の各工程の間及びアミン処理工程の後のいずれか1つ以上に設けられる。これにより、前の工程でアルミニウム合金の表面に付着した不要な成分を適宜取り除くことができる。また、乾燥工程は、アルミニウム合金の乾燥する工程であり、上記の各工程の間及びアミン処理工程の後のいずれか1つ以上に設けられる。乾燥工程における乾燥温度は、例えば、40℃以上80℃以下であってもよい。
本実施形態の積層体は、上述の本実施形態の多孔質アルミニウム合金と、その多孔質アルミニウム合金の多孔質形状を有する表面に接合された樹脂層とを備える積層体である。この積層体における樹脂層は接着剤として機能するものであってもよく、接着剤として機能しないものであってもよい。樹脂層は樹脂組成物からなるものであり、樹脂組成物は樹脂からなるものであってもよく、樹脂に加えて、種々の添加剤を含むものであってもよい。
樹脂層が接着剤として機能する場合、樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂及びウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本実施形態の多孔質アルミニウム合金との接合性が特に良好である観点から、シリコーン樹脂及びエポキシ樹脂が好ましい。
樹脂層が接着剤として機能しない場合、樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリアミドのような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本実施形態の多孔質アルミニウム合金との接合性が特に良好である観点から、ポリフェニレンスルフィドが好ましい。
樹脂組成物に含まれる添加剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、クレー、ガラスフレーク、シリカ及びアルミナのような無機充填材、未加硫ゴム、ポリオレフィン系樹脂粒子、ポリアミド粒子、炭素繊維、炭素粒子及びセルロース繊維のような有機充填材が挙げられる。樹脂組成物は、更に溶剤を含んでもよい。
樹脂組成物における樹脂の含有量は特に限定されないが、樹脂層としての機能をより有効かつ確実に奏する観点から、樹脂組成物の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であると好ましく、95質量%以上100質量%以下であるとより好ましい。
本実施形態の積層体は、上述の多孔質アルミニウム合金と樹脂層とを備えるものであれば、それ以外のものを更に積層したものであってもよい。特に、樹脂層が接着剤として機能する場合、積層体は、多孔質アルミニウム合金と、樹脂層(すなわち接着剤)と、その樹脂層を介して多孔質アルミニウム合金と接合される部材(被接合部材)とを備えると好ましい。これにより、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との間での高い接合強度に起因して、多孔質アルミニウム合金と上記被接合部材との接合強度もより高めることができる。被接合部材としては、例えば、金属製、セラミックス製、プラスチック製、及びガラス製、並びにそれらの複合材料の部材が挙げられる。本実施形態の多孔質アルミニウム合金を用いることで、その多孔質アルミニウム合金との間で、いわゆる無機−有機接合をより高い接合強度でなし得る観点から、被接合部材は、プラスチック製の部材、並びに、プラスチックと、セラミック、ガラス又は金属との複合部材であると好ましい。複合部材としては、例えば、プリプレグ、並びに、ガラス繊維強化プラスチック、炭素繊維強化プラスチック、及び金属繊維強化プラスチックのような繊維強化プラスチックが挙げられる。
本実施形態の積層体において、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との間の引張強度は、1.5MPa以上であると好ましく、3.0MPa以上であるとより好ましい。この引張強度が3.5MPa以上であると、多孔質アルミニウム合金と樹脂層との間の接合強度がより高くなる。引張強度の上限は特に限定されず、例えば6.0MPa以下である。引張強度は、実施例に記載の方法に準拠して測定することができる。
本実施形態の積層体は、樹脂層が接着剤として機能する場合、多孔質アルミニウム合金の多孔質形状を有する表面に、液状又はペースト状の樹脂組成物又はその樹脂組成物の溶液を塗布した後、樹脂を硬化させたり、溶液を乾燥させたりすることで得られる。また、樹脂層が接着剤として機能しない場合は、樹脂層に含まれる樹脂組成物を射出等することにより多孔質アルミニウム合金と接合して、本実施形態の積層体が得られる。
本実施形態によると、多孔質アルミニウム合金において、表面における開気孔の平均開口径が20nm以上50nm以下であることにより、その多孔質アルミニウム合金と樹脂層との間の接合強度を高くすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種の評価方法は下記のとおりである。
(平均開口径及び開気孔の数の測定試験)
多孔質アルミニウム合金表面に形成された開気孔を任意に十点選択し、それらの開気孔の開口径を相加平均した。開口径は、多孔質アルミニウムの多孔質形状を有する表面のSEM画像を撮影し、そのSEM画像を画像処理ソフト(アメリカ国立衛生研究所製、製品名「Image J」)により二値化して、円相当径として測定した。また、開気孔の数は、SEM画像の1215nm×845nmの面積当たりの数として求めた。結果を表2に示す。
(引張試験)
多孔質アルミニウム合金(500mm×250mm)の多孔質形状を有する表面に、シリコーン樹脂系接着剤(セメダイン株式会社製、製品名「スーパーXクリア」)を、多孔質アルミニウム合金の端部から10mm×25mmの範囲に塗布した。次いで、シリコーン樹脂系接着剤を塗布した多孔質アルミニウム合金をクリップで挟み、24時間室温で硬化させ試験片を作製した。その試験片について、引張試験機(島津製作所製、製品名「AGS−100G」)を用いて、JIS K 6850に準拠して引張強度を測定した。結果を表2に示す。
(接触角測定試験)
接触角計(製品名「DropMaster」、共和界面科学社製)を用いて、25℃における、多孔質アルミニウム合金の多孔質形状を有する表面と水との接触角を測定した。結果を表2に示す。
(実施例1)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ヒドロキシルアミン一水和物(和光純薬株式会社製、50%水溶液)をイオン交換水に添加して、ヒドロキシルアミン一水和物の濃度が3.0質量%である水溶液80mL(pH:10)を得た。さらに、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬株式会社製)の3質量%水溶液80mL(pH:9)を準備した。上記アルミニウム合金片を、まず、液温30℃の水素化ホウ素ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗した。そのアルミニウム合金片を、次に、液温30℃のヒドロキシルアミン一水和物水溶液に5分間浸漬させた後、水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、多孔質アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図1に示す。
(実施例2)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ヒドロキシルアミン塩酸塩(東京化成工業社製)をイオン交換水に添加して、ヒドロキシルアミン塩酸塩の濃度が3.0質量%である水溶液80mL(pH:6)を得た後、そこに0.1mol/L塩酸(和光純薬株式会社製)を更に添加してpHを調整したヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液を得た(pH:3)。さらに、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬株式会社製)の3質量%水溶液80mL(pH:9)を準備した。上記アルミニウム合金片を、まず、液温30℃の水素化ホウ素ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗した。そのアルミニウム合金片を、次に、液温30℃のヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液に5分間浸漬させた後、水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、多孔質アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図2に示す。
(実施例3)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ヒドロキシルアミン硫酸塩(東京化成工業社製)をイオン交換水に添加して、ヒドロキシルアミン硫酸塩の濃度が3.0質量%である水溶液80mL(pH:5)を得た後、そこに硫酸(和光純薬株式会社製)を更に添加してpHを調整したヒドロキシルアミン硫酸塩水溶液を得た(pH:3)。さらに、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬株式会社製)の3質量%水溶液80mL(pH:9)を準備した。上記アルミニウム合金片を、まず、液温30℃の水素化ホウ素ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗した。そのアルミニウム合金片を、次に、液温30℃のヒドロキシルアミン硫酸塩水溶液に5分間浸漬させた後、水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、多孔質アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図3に示す。
(実施例4)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ヒドロキシルアミン塩酸塩(東京化成工業社製)をイオン交換水に添加して、ヒドロキシルアミン塩酸塩の濃度が3.0質量%である水溶液80mL(pH:6)を得た。さらに、水酸化ナトリウム(和光純薬株式会社製)の3質量%水溶液80mL(pH:9)を準備した。上記アルミニウム合金片を、まず、液温30℃の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗した。そのアルミニウム合金片を、次に、液温30℃のヒドロキシルアミン塩酸塩水溶液に5分間浸漬させた後、水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、多孔質アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図4に示す。
(実施例5)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ジエチルヒドロキシルアミン(和光純薬株式会社製)をイオン交換水に添加して、ヒドロキシルアミン一水和物の濃度が3.0質量%である水溶液80mL(pH:8)を得た。さらに、水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬株式会社製)の3質量%水溶液80mL(pH:9)を準備した。上記アルミニウム合金片を、まず、液温30℃の水素化ホウ素ナトリウム水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗した。そのアルミニウム合金片を、次に、液温30℃のジエチルヒドロキシルアミン水溶液に5分間浸漬させた後、水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、多孔質アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図5に示す。
(実施例6)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ヒドラジン一水和物(和光純薬株式会社製)の5質量%水溶液80mL(pH:11)を準備した。上記アルミニウム合金片を、液温60℃のヒドラジン一水和物水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図6に示す。
(比較例1)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)に対して、上記の各種評価を行った。また、そのアルミニウム合金片のSEM画像を図7に示す。
(比較例2)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ヒドラジン一水和物(和光純薬株式会社製)の3.5質量%水溶液80mL(pH:11)を準備した。上記アルミニウム合金片を、液温60℃のヒドラジン一水和物水溶液に2分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図8に示す。
(比較例3)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、モノエタノールアミン(東京化成工業社製)の3.0質量%水溶液80mL(pH:12)を準備した。上記アルミニウム合金片を、液温60℃のモノエタノールアミン水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図9に示す。
(比較例4)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、ジエタノールアミン(和光純薬工業株式会社製)の3.0質量%水溶液80mL(pH:11)を準備した。上記アルミニウム合金片を、液温60℃のジエタノールアミン水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図10に示す。
(比較例5)
厚さ1.0mm、大きさ50mm×25mmのアルミニウム合金片(JIS A5052−H34)を準備した。また、トリエタノールアミン(和光純薬工業株式会社製)の3.0質量%水溶液80mL(pH:9)を準備した。上記アルミニウム合金片を、液温60℃のトリエタノールアミン水溶液に5分間浸漬させた後、その水溶液から取り出し、イオン交換水で十分に水洗し、50℃に設定した温風乾燥機内で1時間乾燥させて、アルミニウム合金を得た。その多孔質アルミニウム合金のSEM画像を図11に示す。
以上の実施例及び比較例の結果から明らかなように、本発明に係る多孔質アルミニウム合金は、樹脂層との間の接合強度を高くすることができるものである。
本発明によれば、アルミニウム合金と樹脂層との接合強度を高くできる多孔質アルミニウム合金、及びその製造方法、並びにその多孔質アルミニウム合金を備える積層体を提供することができる。したがって、本発明は、そのような特性が求められる多孔質アルミニウム合金、及びそれを用いた積層体の分野に産業上の利用可能性がある。

Claims (9)

  1. 表面に多孔質形状を有する多孔質アルミニウム合金であって、
    アルミニウム合金の表面を、下記式(1)で表される化合物、下記式(1)で表される化合物の水和物、及び下記式(1)で表される化合物と水和物又は無機酸との塩からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液と接触させることにより得られる、多孔質アルミニウム合金。
    (式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
  2. 表面に多孔質形状を有する多孔質アルミニウム合金であって、
    前記表面における開気孔の平均開口径が20nm以上50nm以下である、多孔質アルミニウム合金。
  3. pHが4以下の水溶液と接触させることにより粗化された表面を有する、請求項1又は2に記載の多孔質アルミニウム合金。
  4. pHが8以上11以下の水溶液と接触させることにより粗化された表面を有する、請求項1又は2に記載の多孔質アルミニウム合金。
  5. 前記粗化された表面を形成する前に、前記アルミニウム合金の表面を水素化ホウ素ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウムを含む水溶液に接触させることにより、前記アルミニウム合金は酸化被膜が除去された表面を有する、請求項3又は4に記載の多孔質アルミニウム合金。
  6. 前記多孔質形状を有する前記表面における水との接触角が、20°以上80°以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質アルミニウム合金。
  7. 前記多孔質形状における開気孔の数が、1215nm×845nmの面積当たり20以上500以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多孔質アルミニウム合金。
  8. 表面に多孔質形状を有する多孔質アルミニウム合金の製造方法であって、
    アルミニウム合金の表面を、下記式(1)で表される化合物、下記式(1)で表される化合物の水和物、及び下記式(1)で表される化合物と無機酸との塩からなる群より選ばれる1種以上を含む水溶液と接触させる工程を有する、製造方法。
    (式(1)中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基又はエチル基である。)
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の多孔質アルミニウム合金と、該多孔質アルミニウム合金の多孔質形状を有する表面に接合された樹脂層と、を備える積層体。
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