JP2018183139A - アセチルトランスフェラーゼおよびカロテノイドを産生するためのそれらの使用 - Google Patents

アセチルトランスフェラーゼおよびカロテノイドを産生するためのそれらの使用 Download PDF

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Abstract

【課題】特定のアセチルトランスフェラーゼを発現し、特定の構造を有するカロテノイドを産生することができる微生物の提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列を有し、かつ、(a)少なくとも1つのβ−イオノンおよび/または少なくとも1つのε−イオノン環ならびに(b)少なくとも1つの環結合ヒドロキシル基を有するカロテノイド分子を、対応する、部分的にまたは完全にアセチル化されたカロテノイド分子に変換する活性を有する、アセチルトランスフェラーゼを発現することができる形質転換微生物。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の背景]
本発明は、新規なアセチルトランスフェラーゼ、そのためにコードする核酸配列、これらの配列を含む発現構築物およびベクター、それにより形質転換された微生物、ならびにゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、またはβ−クリプトキサンチンに関するカロテノイドの微生物学的産生のためのプロセスに関する。
カロテノイドは、光合成生物(たとえば植物、藻類、シアノバクテリア)およびいくつかの真菌を含む、ある生物によって天然に産生される黄色から赤色までの色の範囲にわたる有機顔料である。
ルテイン、ゼアキサンチン、またはアスタキサンチンなどのカロテノイドは、着色物質およびビタミンA誘導体の前駆物質としてヒトおよび家畜の食物において重要な添加物となる。そのうえ、カロテノイドは、免疫応答の増強などの健康促進作用と、それらの酸化防止特性により、栄養補助食品としてのそれらの使用を興味深いものにする癌予防作用とを有する。カロテノイドおよびカロテノイド含有量を増加させた食品を調製する実利的なプロセスは、そのため、非常に重要である。カロテノイドを調製するための、特に実利的なプロセスは、カロテノイド生成生物からの、カロテノイド生合成のためのタンパク質および生合成遺伝子を利用する生物工学的プロセスである。
[発明の概要]
本発明は、それぞれ、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号14のアミノ酸配列またはアミノ酸の置換、挿入、もしくは欠失によってこれらの配列から誘導され、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号14の配列とアミノ酸レベルで少なくとも50%の相同性を有する配列を含むタンパク質またはポリペプチドに関する。
本発明者らは、驚いたことに、たとえばゼアキサンチンまたはアスタキサンチンとして、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有する特定のカロテノイドを産生することができる宿主細胞への本発明によるアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子の組み込みが、宿主細胞におけるカロテノイドプロファイルを改変し、本発明によるタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子により形質転換されていない株と比較して、細胞におけるカロテノイド化合物(アセチル化および非アセチル化形態)の蓄積の増加または増強を可能にする、カロテノイドのアセチル化形態が産生されることを発見した。
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、組換え発現ベクター、および組換え宿主細胞、ならびにポリペプチドを産生するための方法にも関する。
本発明はまた、改善された系、特に、アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの異種ポリペプチドが発現される、カロテノイドの生物学的産生のための形質転換微生物をも提供する。
好ましい一実施例では、本発明は、1つ以上のカロテノイドを産生する油産生真菌(たとえば酵母を含む)を提供する。本発明はまた、そのような酵母および真菌を構築する方法、カロテノイドを産生するためにそのような酵母および真菌を使用する方法、ならびにそのような油産生酵母または真菌において産生されたカロテノイドを使用して食品添加物もしくは飼料添加物または栄養補給剤などのカロテノイド含有組成物を調製する方法をも提供する。特に、本発明は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有する酵母および真菌を生成するための系および方法を提供する。
[配列表の概要]
配列番号1は、S.セレビシエ(S.cerevisiae)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードする非最適化DNA配列である。
配列番号2は、S.バヤヌス(S.bayanus)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードする非最適化DNA配列である。
配列番号3は、S.ミカタエ(S.mikatae)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードする非最適化DNA配列である。
配列番号4は、S.クドリアブゼビ(S.kudriavzevii)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1の非最適化DNA配列である。
配列番号5は、配列番号1から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号6は、配列番号2から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号7は、配列番号3から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号8は、配列番号4から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号9は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)における発現のために最適化されるS.セレビシエ(S.cerevisiae)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードするDNA配列である。
配列番号10は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)における発現のために最適化されるS.バヤヌス(S.bayanus)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードするDNA配列である。
配列番号11は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)における発現のために最適化されるS.ミカタエ(S.mikatae)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードするDNA配列である。
配列番号12は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)における発現のために最適化されるS.クドリアブゼビ(S.kudriavzevii)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードするDNA配列である。
配列番号13は、S.アルボリコラス(S.arboricolus)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードする非最適化DNA配列である。
配列番号14は、配列番号13から推定されるアミノ酸配列である。
配列番号15は、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)における発現のために最適化されるS.アルボリコラス(S.arboricolus)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードするDNA配列である。
配列番号16は、P.デニトリフィカンス(P.denitrificans)PD1222コドン使用頻度表を使用して、パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens)における発現のために最適化されるS.バヤヌス(S.bayanus)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードするDNA配列である。
配列番号17は、P.デニトリフィカンス(P.denitrificans)PD1222コドン使用頻度表を使用して、パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens)における発現のために最適化されるS.セレビシエ(S.cerevisiae)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1をコードするDNA配列である。
配列番号18は、内部NdeI部位を除去した、S.セレビシエ(S.cerevisiae)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1の非最適化DNA配列である。
[定義]
単離ポリペプチド:用語「単離ポリペプチド」は、自然界に見つけられるそのポリペプチドに比べて、人の手によって修飾されるポリペプチドを意味する。一態様では、ポリペプチドが、SDS−PAGEによって決定されるように、少なくとも1%純粋、たとえば少なくとも5%純粋、少なくとも10%純粋、少なくとも20%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも80%純粋、および少なくとも90%純粋である。
実質的に純粋なポリペプチド:用語「実質的に純粋なポリペプチド」は、それが本来または組換えで関連している、多くても10重量%、多くても8重量%、多くても6重量%、多くても5重量%、多くても4重量%、多くても3重量%、多くても2重量%、多くても1重量%、および多くても0.5重量%の他のポリペプチド材料しか含有しない調製物を意味する。好ましくは、ポリペプチドは、調製物中に存在する総ポリペプチド材料のうちで、少なくとも92重量%純粋、たとえば少なくとも94重量%純粋、少なくとも95重量%純粋、少なくとも96重量%純粋、少なくとも97重量%純粋、少なくとも98重量%純粋、少なくとも99重量%純粋、少なくとも99.5重量%純粋、および100重量%純粋である。本発明のポリペプチドは、好ましくは、実質的に純粋な形態をしている。これは、たとえば、よく知られている組換え方法によってまたは古典的な精製方法によってポリペプチドを調製することによって達成することができる。
配列同一性:2つのアミノ酸配列の間のまたは2つのヌクレオチド配列の間の関連性は、パラメーター「配列同一性」によって説明される。
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性の程度は、好ましくはバージョン3.0.0以降のEMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276−277)に実装されるNeedleman−Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443−453)を使用して決定される。使用される任意選択のパラメーターは、10のギャップオープンペナルティー、0.5のギャップエクステンションペナルティー、およびEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needleが表示する「最長の同一性(longest identity)」(−nobriefオプションを使用して得られる)の出力は、同一性パーセントとして使用され、以下のように計算される。
(同一残基×100)/(アライメントの長さ−アライメント中のギャップの総数)
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列の間の配列同一性の程度は、好ましくはバージョン3.0.0以降のEMBOSSパッケージのNeedleプログラム(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000、前掲)に実装されるNeedleman−Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970、前掲)を使用して決定される。使用される任意選択のパラメーターは、10のギャップオープンペナルティー、0.5のギャップエクステンションペナルティー、およびEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needleが表示する「最長の同一性」(−nobriefオプションを使用して得られる)の出力は、同一性パーセントとして使用され、以下のように計算される。
(同一デオキシリボヌクレオチド×100)/(アライメントの長さ−アライメント中のギャップの総数)
断片:用語「断片」は、成熟ポリペプチドのアミノおよび/またはカルボキシル末端から欠失した1つ以上の(いくつかの)アミノ酸を有するポリペプチドを意味する;ここで、断片はアセチルトランスフェラーゼ活性を有する。
対立遺伝子変異体:用語「対立遺伝子変異体」は、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の2つ以上の代替形態のいずれかを意味する。対立遺伝子の変異は、突然変異を通して天然に発生し、集団内で多型をもたらし得る。遺伝子突然変異は、サイレントとすることができ(コードポリペプチドにおいて変化はない)、または改変アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしてもよい。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によってコードされるポリペプチドである。
単離ポリヌクレオチド:用語「単離ポリヌクレオチド」は、自然界に見つけられるそのポリヌクレオチドに比べて、人の手によって修飾されるポリヌクレオチドを意味する。一態様では、単離ポリヌクレオチドが、アガロース電気泳動法によって決定されるように、少なくとも1%純粋、たとえば少なくとも5%純粋、少なくとも10%純粋、少なくとも20%純粋、少なくとも40%純粋、少なくとも60%純粋、少なくとも80%純粋、少なくとも90%純粋、および少なくとも95%純粋である。ポリヌクレオチドは、ゲノム、cDNA、RNA、半合成、合成起源、またはその任意の組み合わせであってもよい。
実質的に純粋なポリヌクレオチド:用語「実質的に純粋なポリヌクレオチド」は、他の外来のまたは望まれないヌクレオチドがない、遺伝子操作されたポリペプチド産生系内での使用に適した形態をしているポリヌクレオチド調製物を意味する。したがって、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、それが本来または組換えで関連している、多くても10重量%、多くても8重量%、多くても6重量%、多くても5重量%、多くても4重量%、多くても3重量%、多くても2重量%、多くても1重量%、および多くても0.5重量%の他のポリヌクレオチド材料しか含有しない。しかしながら、実質的に純粋なポリヌクレオチドは、プロモーターおよびターミネーターなど、天然に存在する5’および3’非翻訳領域を含んでいてもよい。好ましくは、ポリヌクレオチドは、少なくとも90重量%純粋、たとえば少なくとも92重量%純粋、少なくとも94重量%純粋、少なくとも95重量%純粋、少なくとも96重量%純粋、少なくとも97重量%純粋、少なくとも98重量%純粋、少なくとも99重量%純粋、および少なくとも99.5重量%純粋である。本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、実質的に純粋な形態をしている。
コード配列:用語「コード配列」は、ポリペプチドのアミノ酸配列を直接的に特定するポリヌクレオチドを意味する。コード配列の境界は、一般に、オープンリーディングフレームによって決定され、これは、通常、ATG開始コドンまたはGTGおよびTTGなどの代替の開始コドンで始まり、TAA、TAG、およびTGAなどの終止コドンで終了する。コード配列は、DNA、cDNA、合成、または組換えポリヌクレオチドであってもよい。
cDNA:用語「cDNA」は、真核細胞から得られる成熟、スプライス、mRNA分子から逆転写によって調製することができるDNA分子を意味する。cDNAは、対応するゲノムDNA中に存在し得るイントロン配列を欠く。最初の一次RNA転写物は、成熟スプライスmRNAとして現われる前に、スプライシングを含む一連のステップを通してプロセシングされる、mRNAに対する前駆物質である。
核酸構築物:用語「核酸構築物」は、天然に存在する遺伝子から単離されるもしくはそうでなければ自然界に存在しないであろう形で核酸のセグメントを含有するように修飾されるまたは合成である、一本鎖または二本鎖の核酸分子を意味する。核酸構築物という用語は、核酸構築物が本発明のコード配列の発現に必要とされるコントロール配列を含有する場合、用語「発現カセット」と同義となる。
コントロール配列:用語「コントロール配列」は、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの発現に必要な、すべての構成成分を意味する。それぞれのコントロール配列は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに対して本来のものもしくは外来性のものであってもよく、または互いに本来のものもしくは外来性のものであってもよい。そのようなコントロール配列は、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモーター、シグナルペプチド配列、および転写ターミネーターを含むが、これらに限定されない。最低でも、コントロール配列は、プロモーターならびに転写および翻訳終止シグナルを含む。コントロール配列は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのコード領域とのコントロール配列のライゲーションを容易にする特異的な制限部位を導入する目的のためにリンカーが提供されてもよい。
作動可能に連結された:用語「作動可能に連結された」は、コントロール配列がコード配列の発現を指示するように、コントロール配列がポリヌクレオチドのコード配列に関して適切な位置に配置される構成を意味する。
発現:用語「発現」は、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾、および分泌を含むが、これらに限定されない、ポリペプチドの産生に関与する任意のステップを含む。
発現ベクター:用語「発現ベクター」は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、その発現をもたらすさらなるヌクレオチドに作動可能に連結された直鎖または環状DNA分子を意味する。
宿主細胞:用語「宿主細胞」は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物または発現ベクターによる形質転換、トランスフェクション、形質導入、接合、およびその他同種のものに感受性の任意の細胞型を意味する。用語「宿主細胞」は、複製の間に起こる突然変異により親細胞と同一でない、親細胞の任意の子孫を包含する。
変異体:用語「変異体」は、1つ以上の(いくつかの)位置に1つ以上の(いくつかの)アミノ酸残基の改変、すなわち置換、挿入、および/または欠失を含む、アセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。置換は、ある位置を占めるアミノ酸の、異なるアミノ酸との置換を意味し;欠失は、ある位置を占めるアミノ酸の除去を意味し;挿入は、ある位置を占めるアミノ酸に隣接して1〜3つのアミノ酸を追加することを意味する。
株ML11218におけるゼアキサンチン産生が発酵の初期に急激に増加し、次いで、ゼアキサンチン産生が終わるにつれて横ばい状態になることを示す。 Sc−ATF1遺伝子のコピーを全く持たない株ML12562と比較して、株ML12707におけるアスタキサンチン産生の速度が、発酵の初期に、より高く、実行の終了時に、より高い力価に到達することを示す。 両方の株におけるゼアキサンチン産生が、発酵の初期に、類似する産生プロファイルを有するが、ML11218における産生が横ばい状態になり、ゼアキサンチン産生が終わることを示す。 Sb−ATF1遺伝子を持たない株ML12562と比較して、株ML12819におけるアスタキサンチン産生の速度が、類似するが、実行の終了時に、より高い力価に到達することを示す。 ATF1を内部に持つ株が約10%のモノアセチル化および約4%のジアセチル化ゼアキサンチンを産生したことを示す(全ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。 この方法を使用するゼアキサンチン関連化合物についての典型的なクロマトグラムを示す。 上記の方法を使用するアスタキサンチン関連化合物についての典型的なクロマトグラムを示す。
[発明の詳細な説明]
以後のアセチルトランスフェラーゼは、カロテノイドまたは少なくとも1つのヒドロキシル基を含有するカロテノイド誘導体、たとえばゼアキサンチンまたはアスタキサンチンにアセチル基を転移し、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号14のアミノ酸配列またはアミノ酸の置換、挿入、もしくは欠失によってこれらの配列から誘導され、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、もしくは配列番号14の配列とアミノ酸レベルで少なくとも50%の相同性を有する配列を含む本発明によるタンパク質または酵素を意味する。
配列番号5において示されるアミノ酸配列は、配列番号1において示されるcDNA配列の翻訳から誘導され、配列番号6において示されるアミノ酸配列は、配列番号2において示されるcDNA配列の翻訳から誘導され、配列番号7において示されるアミノ酸配列は、配列番号3において示されるcDNA配列の翻訳から誘導され、配列番号8において示されるアミノ酸配列は、配列番号4において示されるcDNA配列の翻訳から誘導され、配列番号14において示されるアミノ酸配列は、配列番号13において示されるcDNA配列の翻訳から誘導される。
置換は、1つ以上のアミノ酸による1つ以上のアミノ酸の交換を意味する。交換は、好ましくは、保存的と呼ばれるものであり、交換されるアミノ酸は、もとのアミノ酸に類似する特性を有し、たとえば、AspによるGlu、AsnによるGln、IleによるVal、IleによるLeu、ThrによるSerの交換である。
欠失は、直接的な連結によるアミノ酸の交換である。欠失のための好ましい位置は、ポリペプチドの末端および個々のタンパク質ドメインの間の連結である。
挿入は、ポリペプチド鎖の中へのアミノ酸の導入であり、その点で、形式上、1つ以上のアミノ酸による直接的な連結の交換となる。
2つのタンパク質の間の相同性は、それぞれのタンパク質の全長にわたるアミノ酸の同一性を意味し、これは、以下のパラメーターを設定して、コンピュータープログラムGAPの支援による比較によって計算される(UWGCG,University of Wisconsin,Genetic Computer Group,program algorithm of Needleman and Wunsch(J.Mol.Biol.1970,48:443−453)。
Gap Weight:12
Length Weight:4
Average Match:2.912
Average Mismatch:−2.003
配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、または配列番号14の配列とアミノ酸レベルで少なくとも50%の相同性を有するタンパク質は、上記のセットのパラメーターによる上記のプログラムアルゴリズムを使用する配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、または配列番号14の配列とのその配列の比較において、少なくとも50%、好ましくは60%、特に好ましくは70%の同一性を有するタンパク質を意味する。
アセチルトランスフェラーゼは、天然のまたは遺伝的に操作された生物からのこれらのタンパク質をコードする適切な核酸の遺伝子発現によって、以後説明されるように、調製することができる。
本発明は、カロテノイドまたはたとえばゼアキサンチン、[ベータ]−クリプトキサンチン、3’−ヒドロキシエキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、アドニキサンチン(4−ケトゼアキサンチン)、アスタキサンチン、フェニコキサンチン(アドニルビン)、[アルファ]−クリプトキサンチン、もしくはルテインまたは40個までのC原子を有するその誘導体など、少なくとも1つのヒドロキシル基を含有するカロテノイド誘導体にアセチル基を転移するプロセスにさらに関する。好ましくは、そのようなカロテノイドまたはカロテノイド誘導体は、たとえば3−ヒドロキシ−6−ビニル−[ベータ]−イオノン、3−ヒドロキシ−4−ケト−6−ビニル−[ベータ]−イオノン、3−ヒドロキシレチノール、3−ヒドロキシ−4−ケトレチノール、3−ヒドロキシレチナール、3−ヒドロキシ−4−ケトレチナール、3−ヒドロキシレチン酸、3−ヒドロキシ−4−ケトレチン酸、またはルテインなど、分子中に少なくとも1つの3−ヒドロキシ−[ベータ]−イオノンまたは少なくとも1つの3−ヒドロキシ−4−ケト−[ベータ]−イオノンまたは少なくとも1つの3−ヒドロキシ−[イプシロン]−イオノンまたは少なくとも1つの3−ヒドロキシ−4−ケト−[イプシロン]−イオノン構造エレメントを含有する。
本発明はまた、本発明によるアセチルトランスフェラーゼの1つをコードする核酸配列にも関する。好ましい核酸は、配列番号1、SQ ID NO:2、配列番号3、配列番号4、または配列番号13の配列を有する。
本発明は、個々のまたは複数のヌクレオチドの追加、置換、挿入、および/または欠失によって得られ、所望の特異性を有するアセチルトランスフェラーゼをさらにコードする、配列番号1、SQ ID NO:2、配列番号3、配列番号4、または配列番号13の配列による核酸の機能的なアナログにさらに関する。
本発明はまた、いわゆるサイレント突然変異を含むまたは特定の起源または宿主生物のコドン使用頻度に従って、特に言及される配列と比較して修飾される核酸配列およびそのような核酸配列の天然に存在する変異体をも包含する。
本発明はまた、遺伝子コードの縮退によって得られる、核酸配列の修飾体(すなわち対応するアミノ酸配列においていかなる変化をも伴わない)または保存的ヌクレオチド置換(すなわち、対応するアミノ酸が、電荷、サイズ、極性、および/もしくは溶解性が同じである他のアミノ酸と交換される)ならびにヌクレオチド追加、挿入、逆位、または欠失によって修飾される配列をも包含し、これらの配列は、「修飾基質プロファイル」を有する、本発明によるアセチルトランスフェラーゼおよび対応する相補的配列をコードする。
本発明は、調節核酸配列の遺伝的コントロール下に本発明による核酸配列を含む発現構築物、およびこれらの発現構築物の少なくとも1つを含むベクターにさらに関する。
本発明はまた、組換え核酸分子にも関する。「組換え核酸分子」は、主として、核酸分子を指すか、または核酸配列は、2つ以上の異なる遺伝的供給源由来の核酸分子を含む。本発明によれば、組換え核酸分子は、発現構築物、すなわち、発現コントロール配列に適切に作用するように連結された、本発明によるアセチルトランスフェラーゼを有するポリペプチドをコードする核酸配列または宿主染色体の中に統合された同じ核酸配列とすることができる。
好ましくは、本発明による構築物は、対象コード配列の5’上流のプロモーターおよび3’下流のターミネーター配列ならびに任意選択で、さらに通常の調節エレメントを包含し、それぞれのケースで、コード配列と適切に作用するように連結される。適切に作用する連結は、調節エレメントのそれぞれが、コード配列の発現に際してその意図される機能を果たすことができるような形をした、プロモーター、コード配列、ターミネーター、および適切な場合、他の調節エレメントの一連の配置を意味するとして理解されたい。適切に作用するように連結することができる配列の例は、標的配列またはその他には翻訳エンハンサー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、およびその他同種のものである。さらなる調節エレメントは、選択マーカー、増幅シグナル、複製開始点、およびその他同種のものを包含する。
人工調節配列に加えて、天然の調節配列は、実際の構造遺伝子の上流になお存在することができる。必要な場合、この天然の調節は、遺伝子修飾によってスイッチを切られてもよく、遺伝子の発現は、増強させてもよいまたは低下させてもよい。しかしながら、遺伝子構築物はまた、構造がより単純であってもよい、すなわち、さらなる調節シグナルは、構造遺伝子の上流に挿入されず、それを調節する天然のプロモーターは除去されない。その代わりに、調節がもはや起こらず、遺伝子発現を増加させるまたは低下させるように、天然の調節配列を突然変異させる。核酸配列の1つ以上のコピーが遺伝子構築物中に存在してもよい。
適したプロモーターの例は、グラム陰性菌において有利に用いられるcos、tac、trp、tet、trp−tet、Ipp、lac、Ipp−lac、laclq、T7、T5、T3、gal、trc、ara、SP6、l−PR、またはl−PLプロモーター;ならびにグラム陽性プロモーターamyおよびSPO2、酵母プロモーターADC1、MFa、Ac、P−60、CYC1、GAPDH、TEF1または植物プロモーターCaMV/35S、SSU、OCS、Iib4、usp、STLS1、B33、nosまたはユビキチンもしくはファゼオリンプロモーターである。特に好ましくは、PrP1プロモーターなどの誘発性プロモーター、たとえば光、特に、温度誘発性プロモーターの使用である。
原則として、それらの調節配列を有する天然のプロモーターはすべて使用することができる。そのうえ、合成プロモーターもまた、有利な方法で使用されてもよい。
上記に言及される調節配列は、核酸配列およびタンパク質発現の標的発現を可能にすることが意図される。宿主生物に依存して、これは、たとえば、誘発が起こった後のみ遺伝子が発現されるもしくは過剰発現されるまたはそれが即時におよび/もしくは恒常的に発現されるおよび/もしくは過剰発現されることを意味してもよい。
調節配列または因子は、好ましくは、発現に対して陽性の効果を有することができ、このように、後者を増加させるまたは低下させることができる。したがって、調節エレメントの増強は、プロモーターおよび/または「エンハンサー」などの強力な転写シグナルを使用することによって転写レベルで有利に行われてもよい。そのうえ、翻訳はまた、たとえばmRNA安定性を改善することによって増強されてもよい。
発現カセットは、適したアセチルトランスフェラーゼヌクレオチド配列およびターミネーターシグナルまたはポリアデニル化シグナルと適したプロモーターを融合することによって生成される。この目的のために、通常の組換えおよびクローニング技術は、たとえばT.Maniatis,E.F.Fritsch and J.Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)およびT.J.Silhavy,M.L.Berman and L.W.Enquist,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1984)およびAusubel,F.M.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience(1987)においてそれらが説明されるように、使用される。
適した宿主生物における発現については、組換え核酸構築物または遺伝子構築物は、宿主における最適な遺伝子発現を可能にする宿主特異的なベクターに有利に挿入される。ベクターは、当業者によく知られており、たとえば「Cloning Vectors」(Pouwels P.H.et al.,Ed.,Elsevier,Amsterdam−New York−Oxford,1985)において見ることができる。ベクターは、プラスミドだけではなく、たとえばファージ、SV40、CMV、バキュロウイルス、およびアデノウイルスなどのウイルス、トランスポゾン、ISエレメント、プラスミド、コスミド、ならびに直鎖または環状DNAなど、当業者に知られている他のすべてのベクターもまた意味するとして理解されたい。これらのベクターは、宿主生物においてまたは染色体で自律的に複製することができる。
本発明によるベクターは、たとえば、本発明による少なくとも1つのベクターにより形質転換され、および突然変異体を産生するために使用することができる組換え微生物の生成を可能にする。本発明による上記の組換え構築物は、適した宿主生物の中に有利に導入され、発現される。対象の発現系における上述の核酸の発現をもたらすために当業者に知られている通常のクローニングおよびトランスフェクション方法を使用することが好ましい。適した系は、たとえばcurrent protocols in molecular biology,F.Ausubel et al.,Ed.,Wiley Interscience,New York 1997において記載される。
適した宿主生物は、原則として、本発明による核酸、それらの対立遺伝子変異体、およびそれらの機能的均等物または誘導体の発現を可能にするすべての生物である。好ましい出発生物(initial organism)は、カロテノイドを天然に合成することができる生物である。しかしながら、カロテノイド生合成遺伝子の導入のためにカロテノイドを合成することができる出発生物もまた、適している。出発生物は、たとえば微生物または植物などの原核生物または真核生物を意味する。好ましい微生物は、細菌、酵母、藻類、または真菌である。
そのため、本発明は、下記に記載される遺伝子修飾生物を調製するためのプロセスにさらに関し、本発明によるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子は、出発生物のゲノムの中に導入される。出発生物とは、本発明による遺伝子修飾の前の生物を意味する。
本発明によるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子は、原則として、下記に記載される出発生物の中に、当業者に知られているすべての方法によって導入することができ、これらはそれによって遺伝子修飾される。
それらは、形質転換、トランスフェクション、接合、エレクトロポレーションによって、いわゆる粒子銃を使用して、またはマイクロインジェクションによって、出発生物またはその細胞の中に有利に導入される。
当業者は、テキストブックSambrook,J.et al.(1989)Molecular cloning:A laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press、F.M.Ausubel et al.(1994)Current protocols in molecular biology,John Wiley and Sons、D.M.Glover et al.,DNA Cloning Vol.1 ,(1995),IRL Press(ISBN 019−963476−9)、Kaiser et al.(1994)Methods in Yeast Genetics,Cold Spring Harbor Laboratory Press、またはGuthrie et al.Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology,Methods in Enzymology,1994,Academic Pressにおいて微生物についての適切な方法を見つけることができる。
言及されてもよい有利な方法の例は、独国特許出願公開第19801 120.2号明細書において記載されるように、たとえばURA3遺伝子、特にアシュビア(Ashbya)由来のURA3遺伝子を使用する相同もしくは非相同組換えによるおよび/または下記に記載されるREMI方法(=「制限酵素媒介性の統合」)によるDNAの導入などの方法である。
REMI技術は、ある生物の中への、DNA構築物のこの制限(restriction)に使用された制限エンドヌクレアーゼとの、同じ制限エンドヌクレアーゼにより両端でカットされた直鎖DNA構築物の同時形質転換に基づく。次いで、制限エンドヌクレアーゼは、DNA構築物が制限酵素と一緒に導入された生物のゲノムDNAをカットする。これは細胞自体の修復メカニズムの活性化に至る。これらの修復メカニズムは、エンドヌクレアーゼによって引き起こされたゲノムDNA中の鎖の切れ目を修復し、この間に、ゲノムの中に、ある頻度で、同時形質転換DNA構築物をさらに組み込む。通常、制限切断部位は、この間にDNAの両端に保持される。
この技術は、真菌の挿入突然変異誘発についてBoelker et al.(Mol.Gen.Genet.1995,248:547−552)によって記載された。この方法は、非相同組換えがサッカロミセス(Saccharomyces)にあるかどうかを見つけ出すために、Von Schiestl and Petes(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1991,88:7585−7589)によって使用された。この方法は、誘発性レポーター遺伝子の安定した形質転換および発現の調節について、Brown et al.(Mol.Gen.Genet.1996,251:75−80)によって記載された。
REMI方法を使用して、ゲノム中の転写活性部位に本発明による核酸断片または本発明による前述のアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を位置させることが可能である。
ゲノムの中に導入されるDNA構築物の中に少なくとも1つのレポーター遺伝子と一緒に核酸をクローニングすることが可能であり、また、有利である。このレポーター遺伝子は、成長、蛍光、化学、もしくは生物発光アッセイによってまたは光度測定によって、検出性を容易にするはずである。レポーター遺伝子について言及されてもよい例は、抗生物質抵抗性遺伝子、ヒドロラーゼ遺伝子、蛍光タンパク質遺伝子、生物発光遺伝子、グルコシダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、[ベータ]−ガラクトシダーゼ遺伝子、gfp遺伝子、リパーゼ遺伝子、エステラーゼ遺伝子、ペルオキシダーゼ遺伝子、[ベータ]−ラクタマーゼ遺伝子、アセチル−、ホスホ−、またはアデニルトランスフェラーゼ遺伝子である。これらの遺伝子は、転写活性、したがって遺伝子の発現を容易に測定し、定量化するのを可能にする。これは、生産性が2倍まで異なる、ゲノム中の部位を同定することが可能であることを意味する。
生物の中に、たとえば、カロテノイド生合成のさらなる遺伝子などの複数の遺伝子を導入することが意図される場合、それらはすべて、単一のベクター中にレポーター遺伝子と一緒に導入することができ、またはレポーター遺伝子を有するそれぞれの個々の遺伝子は、生物の中に、それぞれのケースで1つのベクター中に導入することができ、様々なベクターを同時にまたは連続的に導入することができる。REMI技術を使用して、それぞれの活性をコードする遺伝子断片を挿入することもまた可能である。
出発生物のゲノムの中に本発明によるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子または核酸構築物を統合するのに原則として適した制限酵素はすべて、当業者に知られている。制限切断部位として4つの塩基対しか認識しない制限酵素は、それらが、ゲノムまたは統合されることになっているベクターをあまりに頻繁に切り込むため、それほど好ましくなく、好ましい酵素は、可能な酵素のうちのほんの一部しか言及しないが、BamHI、EcoRI、BglII、SphI、SpeI、XbaI、XhoI、NcoI、SalI、ClaI、KpnI、HindIII、SacI、PstI、BpnI、NotI、SrfI、またはSfiIなど、切断部位として6つ、7つ、8つ、またはそれを超える塩基対を認識する。使用される酵素が、導入されることになっているDNA中に切断部位をもはや有しない場合、有利であり、これは統合の効率を増加させる。通常、5〜500U、好ましくは10〜250、特に好ましくは10〜100Uの酵素が、REMI混合物中に使用される。酵素は、スクロース、トレハロース、もしくはグルコースなどの糖、グリセロールもしくはポリエチレングリコールなどのポリオール、tris、MOPS、HEPES、MES、もしくはPIPESなど、pH5〜9、好ましくは6〜8、特に好ましくは7〜8の範囲の有利な緩衝作用を有するバッファーなど、浸透圧の安定化のための物質および/またはMg、Cu、CO、Fe、Mn、もしくはMoの無機もしくは有機塩などの核酸を安定化する物質を含有する水溶液中で有利に用いられる。適切な場合、EDTA、EDDA、DTT、[ベータ]−メルカプトエタノール、またはヌクレアーゼ阻害剤などの他の物質が存在することもまた、可能である。しかしながら、これらの追加を伴うことなくREMI技術を実行することもまた可能である。
プロセスは、5〜80℃、好ましくは10〜60℃、特に好ましくは20〜40℃の範囲の温度で実行される。細胞膜を不安定化するための他の知られている方法は、たとえばエレクトロポレーション、負荷された小胞との融合、またはリチウム塩が好ましいが、リチウム塩、ルビジウム塩、もしくはカルシウム塩などの様々なアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩による不安定化などのプロセスに適している。
本発明は、同様に遺伝子修飾された生物にさらに関し、本発明によるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子の発現は、遺伝子修飾によって、出発生物がアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含有するケースにおいて野生型生物と比較して増加しているか、または出発生物がアセチルトランスフェラーゼ遺伝子を含有しないケースで引き起こされる。
遺伝子修飾生物は、本発明によるアセチルトランスフェラーゼ遺伝子または核酸構築物が、好ましくは上記に記載される方法のうちの1つによって挿入された生物を意味する。
遺伝子修飾生物は、本発明による少なくとも1つのアセチルトランスフェラーゼ遺伝子または本発明による少なくとも1つの核酸構築物を含有する。出発生物に依存して、核酸は染色体の内部にまたは外部に存在してもよい。
遺伝子修飾生物におけるカロテノイド代謝は、好ましくは、野生型と比較して改変される。
好ましい生物は、組換え細菌、植物、真菌、または酵母である。特定の実施形態では、組換え真菌は、それがその乾燥細胞重量の少なくとも約20%まで脂質を蓄積することができるという点で油産生真菌であり;アンテラキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプソルビン、β−クリプトキサンチン、α−カロテン、δ−カロテン、ε−カロテン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、γ−カロテン、ψ−カロテン、4−ケト−γ−カロテン、ζ−カロテン、α−クリプトキサンチン、β−クリプトキサンチン、デオキシフレキシキサンチン、ジアトキサンチン、7、8−ジデヒドロアスタキサンチン、ジデヒドロリコペン、フコキサンチン、フコキサンチノール、イソレニエラテン、β−イソレニエラテン、ラクツカキサンチン、ルテイン、リコピン、ミクソバクトン(myxobactone)、ネオキサンチン(neoxanthin)、ノイロスポレン、ヒドロキシノイロスポレン、ペリジニン、フィトエン、ロドピン、ロドピングルコシド、4−ケトン−ルビキサンチン、シホナキサンチン、スフェロイデン、スフェロイデノン、スピリロキサンチン、トルレン、4−ケトン−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケトン−トルレン、ウリオリド、ウリオリドアセタート、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン−β−ジグルコシド、ゼアキサンチン、C30カロテノイド、およびその組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのカロテノイドを産生し、その乾燥細胞重量の少なくとも約1%まで、産生カロテノイドを蓄積することができる。さらにより好ましくは、組換え真菌は、アスペルギルス(Aspergillus)、ブラケスレア(Blakeslea)、ボトリチス(Botrytis)、カンジダ(Candida)、セルコスポラ(Cercospora)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クスダマカビ(Cunninghamella)、フザリウム(Fusarium)(ジベレラ(Gibberella))、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、リポマイセス(Lipomyces)、モルティエラ(Mortierella)、ケカビ(Mucor)、ニューロスポラ(Neurospora)、ペニシリウム(Penicillium)、ヒゲカビ(Phycomyces)、ピキア(Pichia)(ハンゼヌラ(Hansenula))、プクキニア(Puccinia)、フハイカビ(Pythium)、ロドスポリディウム(Rhodosporidium)、ロドトルラ(Rhodotorula)、サッカロミセス(Saccharomyces)、スクレロティウム(Sclerotium)、トリコデルマ(Trichoderma)、トリコスポロン(Trichosporon)、キサントフィロマイセス(Xanthophyllomyces)(ファフィア(Phaffia))、およびヤロウイア(Yarrowia)からなる群から選択される属のメンバーであり、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、ブラケスレア・トリスポラ(Blakeslea trispora)、灰色かび病菌(Botrytis cinerea)、カンジダ・ジャポニカ(Candida japonica)、カンジダ・プルチェリマ(Candida pulcherrima)、カンジダ・レブカウフィ(Candida revkaufi)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、セルコスポラ・ニコチアナエ(Cercospora nicotianae)、クリプトコッカス・カルバタス(Cryptococcus curvatus)、クンニンハメラ・エキヌラタ(Cunninghamella echinulata)、クンニンハメラ・エレガンズ(Cunninghamella elegans)、フザリウム・フジクロイ(Fusarium fujikuroi)(ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae))、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、リポマイセス・スターキー(Lipomyces starkeyi)、リポマイセス・リポフェラス(Lipomyces lipoferus)、モルティエラ・アルピナ(Mortierella alpina)、モルティエラ・ラマニアナ(Mortierella ramanniana)、モルティエラ・イザベリナ(Mortierella isabellina)、モルティエラ・ビナセア(Mortierella vinacea)、ムーコル・シルシネロイデス(Mucor circinelloides)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、フィコマイセス・ブラケスレアヌス(Phycomyces blakesleanus)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、プクキニア・ディスティンクタ(Puccinia distincta)、フィチウム・イレギュラレ(Pythium irregulare)、ロドスポリディウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ロドトルラ・グラミニス(Rhodotorula graminis)、ロドトルラ・ムチラギノーザ(Rhodotorula mucilaginosa)、ロドトルラ・ピニコーラ(Rhodotorula pinicola)、ロドトルラ・グラシリス(Rhodotorula gracilis)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、白絹病菌(Sclerotium rolfsii)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、トリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulans)、キサントフィロマイセス・デンドロアス(Xanthophyllomyces dendrorhous)(ファフィア・ロドザイマ(Phaffia rhodozyma))、およびヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)からなる群から選択される種である。
これらの天然に油産生の株のうちで、いくつかはまたカロテノイドをも天然に産生し、いくつかは産生しない;これらの株は、そのうえ、米国特許第7851199号明細書において開示されるカロテノイド生合成遺伝子の導入によって宿主細胞として利用されてもよい。
特定の実施形態では、組換え細菌が、グラム陰性または陽性である。グラム陽性細菌宿主は、バチルス(Bacillus)、ブレビバチルス(Brevibacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、ゲオバチルス(Geobacillus)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、パエニバチルス(Paenibacillus)、およびストレプトマイセス(Streptomyces)を含むが、これらに限定されない。グラム陰性菌は、大腸菌(E.coli)、シュードモナス(Pseudomonas)、およびパラコッカス(Paracoccus)を含むが、これらに限定されない。組換え細菌宿主は、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、ブレビバチルス・ブレビス(Brevibacillus brevis)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)、およびバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)を含むが、これらに限定されない、任意のバチルス目(Bacillales)であってもよい。組換え細菌宿主はまた、ストレプトマイセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトマイセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、およびストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)を含むが、これらに限定されない、任意のストレプトマイセス(Streptomyces)であってもよい。組換え細菌宿主はまた、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)、パラコッカス・ベルスタス(Paracoccus versutu)、パラコッカス・カロチニファシエンス(Paracoccus carotinifaciens)、パラコッカス・マルクシイ(Paracoccus marcusii)、およびパラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens)を含むが、これらに限定されない、任意のパラコッカス(Paracoccus)であってもよい。組換え細菌は、アンテラキサンチン、アドニルビン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプソルビン、β−クリプトキサンチン、α−カロテン、δ−カロテン、ε−カロテン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、γ−カロテン、ψ−カロテン、4−ケト−γ−カロテン、ζ−カロテン、α−クリプトキサンチン、デオキシフレキシキサンチン、ジアトキサンチン、7、8−ジデヒドロアスタキサンチン、ジデヒドロリコペン、フコキサンチン、フコキサンチノール、イソレニエラテン、β−イソレニエラテン、ラクツカキサンチン、ルテイン、リコピン、ミクソバクトン(myxobactone)、ネオキサンチン(neoxanthin)、ノイロスポレン、ヒドロキシノイロスポレン、ペリジニン、フィトエン、ロドピン、ロドピングルコシド、4−ケトン−ルビキサンチン、シホナキサンチン、スフェロイデン、スフェロイデノン、スピリロキサンチン、トルレン、4−ケトン−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケトン−トルレン、ウリオリド、ウリオリドアセタート、ビオラキサンチン、ゼアキサンチン−β−ジグルコシド、ゼアキサンチン、C30カロテノイド、およびその組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのカロテノイドを産生する。
他の実施形態では、本発明は、カロテノイドを産生するための方法であって、カロテノイドの産生を可能にする条件下で真菌または細菌を培養するステップ;および産生されたカロテノイドを単離するステップを含む方法を提供する。
本発明による遺伝子修飾生物の培養は、適切な野生型の培養など、たとえば微生物の場合には、たとえば寒天プレート上などの適した培地においてもしくは浮遊培養においてまたは植物の場合には、土壌もしくは適宜適した培養液において、それ自体知られている方法で行われる。採取とは、微生物の場合には、微生物の単離および植物の場合には、植物または適切な場合、カロテノイドを含有する特定の植物の一部の切り取りを意味する。カロテノイドは、たとえば生物細胞の破壊、カロテノイドの抽出および抽出またはクロマトグラフィーなどの化学的または物理的分離方法によるカロテノイドの続く精製によって、それ自体知られている方法で単離される。
以下の実施例は、本発明を例証する。
[実施例]
下記の表1は、以下の例証において使用される、あるヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)株を記載する。
Figure 2018183139
ヤロウイア(Yarrowia)株ML9863およびML9335は、米国特許第7,851,199号明細書において記載されるように、ML350およびATCC201249から始めて、数世代の異種交配を伴う、恒常的プロモーターのコントロール下での異種遺伝子の導入によって構築した。GGS遺伝子および切断型HMG遺伝子(「HMG−tr」)は、ヤロウイア(Yarrowia)配列に由来し、天然のゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼおよびヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ遺伝子にそれぞれ対応する。carRPおよびcarB遺伝子は、ムーコル・シルシネロイデス(Mucor circinelloides)に由来し、それらは、二機能性のフィトエンシンターゼ/リコピンシクラーゼおよびフィトエンデヒドロゲナーゼをそれぞれコードする。crtW遺伝子は、パルブラルキュラ・ベルムデンシス(Parvularcula bermudensis)のカロテンケトラーゼをコードするように合成した。crtZ遺伝子は、キサントバクター・オートトロフィカス(Xanthobacter autotrophicus)(Xa)から増幅し、またはクロノバクター・パルベリス(Cronobacter pulveris)(以前はエンテロバクター・パルベリス(Enterobacter pulveris)として知られていた)(Ep)またはエンテロバクテリアセアエ・バクテリウム(Enterobacteriaceae bacterium)DC404(Dc)のカロテンヒドロキシラーゼをコードするように合成した。これらの遺伝子は、常にではないが、時に、栄養要求性マーカー(URA3、LEU2、URA2、LYS1、ADE1)またはloxP部位、HygもしくはNatマーカーの残りに関連する。
Figure 2018183139
本明細書において記載される基本的な分子生物学およびDNA操作手順はすべて、全般的に、Sambrook et al.またはAusubel et al.(J.Sambrook,E.F.Fritsch,T.Maniatis(eds).1989.Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press:New York;F.M.Ausubel,R.Brent,R.E.Kingston,D.D.Moore,J.G.Seidman,J.A.Smith,K.Struhl(eds.).1998.Current Protocols in Molecular Biology.Wiley:New York)に従って実行する。
[実施例1a:S.セレビシエ(S.cerevisiae)アセチルトランスフェラーゼATF1をコードするpMB6532の産生。]
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のATF1遺伝子は、ヤロウイア(Yarrowia)コドンバイアスに従ってコドン最適化し、配列番号9において指定されるDNA断片をデノボ合成した。デノボ合成の間に、NheI制限部位を含有する配列5’−TGCTAGCCACAAAAおよび効率的な翻訳を可能にするための典型的なコザック配列を、ATGのすぐ上流に追加した。MluI制限部位を含む配列ACGCGT−3’を、終止コドンのすぐ下流に追加した。この配列は、NheIおよびMluIを使用して切断し、NheIおよびMluIによりカットしたpMB6157にライゲーションし、pMB6532を産生した。pMB6532のSc−ATF1遺伝子によってコードされる、結果として生じるタンパク質は、配列番号5において指定される。このプラスミドは、EcoRVにより続いて切断し、Sc−ATF1含有カセットを、同じプラスミド由来の2.35kb SspI−PvuII断片の挿入によって二倍にして、Hygマーカーの側面に位置するSc−ATF1の一点に集中する転写物をコードするpMB6563を作った。ノーセオトリシン(nourseothricin)抵抗性を与えるNatマーカーは、SspIおよびBamHIによりpMB6563を切断し、pMB6200由来の1.3kb SspI−BamHI断片にそれをライゲーションすることによって、このプラスミドにおけるHygを交換するために使用し、pMB6608を作った。
[実施例1b:ゼアキサンチンを産生することができるヤロウイア(Yarrowia)株の中へのS.セレビシエ(S.cerevisiae)アセチルトランスフェラーゼATF1の導入]
株ML11218は、恒常的プロモーターおよびハイグロマイシン抵抗性についての選択可能マーカー、Hygのコントロール下にSc−ATFIの2つのコピーを含むMB6563のPvuII断片により形質転換した。10個のハイグロマイシン抵抗性形質転換体を、30℃での成長の3〜4日後に形質転換プレート(YPD+100mg/L ハイグロマイシン)から選んだ。ほとんどの形質転換体は、30℃で4日間YPD中で成長させた場合に、14〜17%のモノアセチル化ゼアキサンチンおよび42〜57%のジアセチル化ゼアキサンチンを産生した(全ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。遊離ゼアキサンチン産生は、全ゼアキサンチンの27〜42%の範囲にあった。ある株、ML12641をさらなる遺伝子操作のために選んだ。
株ML12641は、恒常的プロモーターおよびノーセオトリシンについての選択可能マーカー、Natのコントロール下にSc−ATFIの2つのコピーを含むXbaI処理MB6608により形質転換した。10個のノーセオトリシン抵抗性形質転換体を、30℃での成長の3〜4日後に形質転換プレート(YPD+100mg/L ノーセオトリシン)から選んだ。いくつかの形質転換体は、30℃で4日間YPD中で成長させた場合に、9〜16%のモノアシル化および56〜80%のジアセチル化ゼアキサンチンを産生した(全ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。遊離ゼアキサンチン産生は、全ゼアキサンチンの11〜28%の範囲にあった。ある株、ML12735は、流加発酵槽におけるさらなる分析および培養のために選んだ。
株ML12735は、流加プロセスを使用して発酵槽において成長させた。全(遊離プラスエステル化)ゼアキサンチン産生は、Sc−ATF1遺伝子のコピーを全く持たない株ML11218と比較した場合に、2倍増加した。そのうえ、図1は、株ML11218におけるゼアキサンチン産生が発酵の初期に急激に増加し、次いで、ゼアキサンチン産生が終わるにつれて横ばい状態になることを示す。対照的に、株ML12735は、発酵プロセスの初期に、類似する産生プロファイルを有するが、ゼアキサンチン産生は、ML11218が到達した限界を通り過ぎて増加し続け、発酵は、株ML11218と異なり、長期間、その生産性を維持する。
[実施例1c:アスタキサンチンを産生することができるヤロウイア(Yarrowia)株の中へのS.セレビシエ(S.cerevisiae)アセチルトランスフェラーゼATF1の導入]
株ML12526は、XbaIにより処理したMB6563(Hygマーカーの側面に位置するATF1の一点に集中する転写物を含有する)により形質転換した。5個のハイグロマイシン抵抗性形質転換体を、30℃での成長の3〜4日後に形質転換プレート(YPD+100mg/L ハイグロマイシン)から選んだ。30℃でのYPD振盪フラスコにおける3〜4日間の続く成長の後に、形質転換体は、22〜29%のモノアセチル化および16〜56%のジアセチル化アスタキサンチンを産生した(全アスタキサンチンのパーセンテージとして)。遊離アスタキサンチン産生は、全アスタキサンチンの19〜59%の範囲にあった。ある株、ML12707は、流加発酵槽におけるさらなる分析および培養のために選んだ。
株ML12707は、流加プロセスを使用して発酵槽において成長させた。図2は、Sc−ATF1遺伝子のコピーを全く持たない株ML12562と比較して、株ML12707におけるアスタキサンチン産生の速度が、発酵の初期に、より高く、実行の終了時に、より高い力価に到達することを示す。
[実施例2a:S.バヤヌス(S.bayanus)、S.クドリアブゼビ(S.kudriavzevii)、およびS.アルボリコラス(S.arboricolus)アセチルトランスフェラーゼATF1をそれぞれコードするpMB6732、pMB6733、およびpMB6812の産生。]
プラスミドは、表2において記載されるように、様々なサッカロミセス(Saccharomyces)種由来のATF1遺伝子の発現のために生成した。サッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)(Sb)、サッカロミセス・クドリアブゼビ(Saccharomyces kudriavzevii)(Sk)、およびサッカロミセス・アルボリコラス(Saccharomyces arboricolus)(Sk)のATF1遺伝子は、ヤロウイア(Yarrowia)コドンバイアスに従ってコドン最適化し、配列番号10、12、および15においてそれぞれ指定されるDNA断片を、デノボ合成した。様々なATF1遺伝子のデノボ合成の間に、NheI制限部位を含有する配列5’−TGCTAGCCACAAAAおよび効率的な翻訳を可能にするための典型的なコザック配列を、ATGのすぐ上流に追加した。MluI制限部位を含む配列ACGCGT−3’を、終止コドンのすぐ下流に追加した。配列は、NheIおよびMluIを使用して切断し、NheIおよびMluIによりカットしたpMB6157にライゲーションし、pMB6732、pMB6733、およびpMB6812をそれぞれ産生した。pMB6732、pMB6733、およびpMB6812のATF1遺伝子によってコードされる、結果として生じるタンパク質は、配列番号6、8、および14においてそれぞれ指定される。
[実施例2b:S.バヤヌス(S.bayanus)アセチルトランスフェラーゼATF1の2つのコピーを内部に持つpMB6832の産生]
S.バヤヌス(S.bayanus)ATF1はまた、恒常的プロモーターを持つ2つの他のベクター(pMB6655およびpMB6674)の中にも、上記に記載されるように挿入し、pMB6769およびpMB6771を作り、一方のカセットを持つpMB6769由来のPvuII−SspI断片の、他方のカセットおよびハイグロマイシン抵抗性マーカーを持つEcoRV切断pMB6771の中への移転を介して、2つの別個のカセットを組み合わせ、pMB6832を得た。
[実施例2c:ゼアキサンチンを産生することができるヤロウイア(Yarrowia)株の中へのS.バヤヌス(S.bayanus)、S.クドリアブゼビ(S.kudriavzevii)、およびS.アルボリコラス(S.arboricolus)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1遺伝子の導入]
株ML11218は、XbaIにより処理したMB6732(Sb−ATF1)、MB6733(Sk−ATF1)、およびMB6812(Sa−ATF1)により独立して形質転換した。それぞれのプラスミドの10個のハイグロマイシン抵抗性形質転換体を、30℃での成長の3〜4日後に形質転換プレート(YPD+100mg/L ハイグロマイシン)から選んだ。30℃でのYPD振盪フラスコにおける3〜4日間の続く成長の後に、形質転換体はゼアキサンチン産生について分析し、コントロール株、ML11218と比較した。S.バヤヌス(S.bayanus)ATF1(pMB6732)を内部に持つ形質転換体は、4〜16%のモノアセチル化ゼアキサンチンおよび46〜85%のジアセチル化ゼアキサンチンを産生した(全ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。遊離ゼアキサンチン産生は、全ゼアキサンチンの8〜38%の範囲にあった。S.クドリアブゼビ(S.kudriavzevii)ATF1(pMB6733)を内部に持つある形質転換体は、約3%のモノアセチル化ゼアキサンチンを産生し、ジアセチル化ゼアキサンチンは産生しなかった(全ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。S.アルボリコラス(S.arboricolus)ATF1(pMB6812)を内部に持つ形質転換体は、20〜22%のモノアセチル化ゼアキサンチンおよび30〜45%のジアセチル化ゼアキサンチンを産生した(全ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。遊離ゼアキサンチン産生は、全ゼアキサンチンの34〜49%の範囲にあった。
S.バヤヌス(S.bayanus)ATF1は、さらなる研究のためにおよび発酵槽におけるそのアセチル化能力を調査するために選んだ。株ML11218は、S.バヤヌス(S.bayanus)ATF1の2つのコピーを内部に持つpMB6832のPvuII断片により形質転換した。6個のハイグロマイシン抵抗性形質転換体を、30℃での成長の3〜4日後に形質転換プレート(YPD+100mg/L ハイグロマイシン)から選んだ。30℃でのYPD振盪フラスコにおける3〜4日間の続く成長の後に、形質転換体は、5〜6%のモノアセチル化ゼアキサンチンおよび83〜90%のジアセチル化ゼアキサンチンを産生した(ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。遊離ゼアキサンチン産生は、全ゼアキサンチンの4〜14%の範囲にあった。ある株、ML13129は、流加発酵槽におけるさらなる分析および培養のために選んだ。
株ML13129は、流加プロセスを使用して発酵槽において成長させた。全(遊離プラスエステル化)ゼアキサンチン産生は、Sb−ATF1遺伝子のコピーを全く持たない株ML11218と比較した場合に、1.8倍増加した。そのうえ、図3は、両方の株におけるゼアキサンチン産生が、発酵の初期に、類似する産生プロファイルを有するが、ML11218における産生が横ばい状態になり、ゼアキサンチン産生が終わることを示す。対照的に、ゼアキサンチン産生は、ML11218が到達した限界を通り過ぎて株ML13129において増加し続け、そのレベルのほぼ2倍に近づく。
[実施例2d:アスタキサンチンを産生することができるヤロウイア(Yarrowia)株の中へのS.バヤヌス(S.bayanus)およびS.クドリアブゼビ(S.kudriavzevii)由来のアセチルトランスフェラーゼATF1遺伝子の導入]
株ML12526は、XbaIにより処理したMB6732(SbATF1)およびMB6733(Sk−ATF1)により独立して形質転換した。それぞれのプラスミドの10個のハイグロマイシン抵抗性形質転換体を、30℃での成長の3〜4日後に形質転換プレート(YPD+100mg/L ハイグロマイシン)から選んだ。30℃でのYPD振盪フラスコにおける3〜4日間の続く成長の後に、形質転換体はアスタキサンチン産生について分析し、コントロール株、ML12526と比較した。Sb−ATF1プラスミドpMB6732を内部に持つ形質転換体は、16〜30%のモノアセチル化アスタキサンチンおよび57〜76%のジアセチル化アスタキサンチン(全アスタキサンチンのパーセンテージとして)を産生した。遊離アスタキサンチン産生は、全アスタキサンチンの8〜37%の範囲にあった。Sk−ATF1プラスミドpMB6733を内部に持つ形質転換体は、9〜24%のモノアセチル化アスタキサンチンおよび1〜6%のジアセチル化アスタキサンチンを産生した(全アスタキサンチンのパーセンテージとして)。遊離アスタキサンチン産生は、全アスタキサンチンの70〜90%の範囲にあった。Sb−ATF1プラスミドpMB6732を内部に持つある株、ML12819は、流加発酵槽におけるさらなる分析および培養のために選んだ。株ML12819は、流加プロセスを使用して発酵槽において成長させた。図4は、Sb−ATF1遺伝子を持たない株ML12562と比較して、株ML12819におけるアスタキサンチン産生の速度が、類似するが、実行の終了時に、より高い力価に到達することを示す。
[実施例3a:天然のおよびコドン最適化S.バヤヌス(S.bayanus)およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)ATF1をコードするpMB6976、pMB6977、pMB6978、およびpMB6979の産生]
S.バヤヌス(S.bayanus)およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)ATF1遺伝子は、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccous denitrificans)PD1222コドン使用頻度表を使用してパラコッカス(Paracoccus)種株R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−crtER114における発現のためにコドン最適化し(米国特許出願公開第20070202579 A1号明細書、米国特許第7232679 B2号明細書)、配列番号16および配列番号17においてそれぞれ指定されるDNA断片を、デノボ合成した。配列番号2および配列番号18において指定される非コドン最適化S.バヤヌス(S.bayanus)およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)ATF1遺伝子もまた、デノボ合成した。野生型S.セレビシエ(S.cerevisiae)ATF1遺伝子は、デノボ合成の間に除去されたNdeI部位を含有する。デノボ合成の間に、配列5’−CATは、NdeI制限部位を作るためにATGのすぐ上流に追加した。HindIII制限部位を含む配列AAGCTT−3’は、終止コドンのすぐ下流に追加した。S.バヤヌス(S.bayanus)およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)ATF1のコドン最適化および非コドン最適化バージョンの両方は、NdeIおよびHindIIIにより切断したプラスミドpRK−PcrtE−crtE(pRK415に由来、Keen,et al.,Gene.1988,70:191−197)を使用して、パラコッカス(Paracoccus)のcrtEプロモーターのコントロール下にクローニングし、pMB6976(Sb−ATF1野生型)、pMB6977(Sc−ATF1野生型)、pMB6978(コドン最適化Sb−ATF1)、およびpMB6979(コドン最適化Sc−ATF1)を産生した。pMB6976およびpMB6978におけるSb−ATF1遺伝子によってコードされる、結果として生じるタンパク質は、配列番号6において指定される。pMB6977およびpMB6979におけるSc−ATF1遺伝子によってコードされる、結果として生じるタンパク質は、配列番号5において指定される。
下記の表3は、以下の例証において使用される大腸菌(E.coli)株を記載する。
Figure 2018183139
下記の表4は、以下の例証において使用されるパラコッカス(Paracoccus)株を記載する。
Figure 2018183139
[実施例3b:接合を介した、ゼアキサンチンを産生することができるパラコッカス(Paracoccus)株の中へのS.バヤヌス(S.bayanus)およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)ATF1の導入]
プラスミドpMB6975(pRK415コントロールプラスミド)ならびに異なるATF1遺伝子を内部に持つプラスミドpMB6976、pMB6977、pMB6978、およびpMB6979は、大腸菌(E.coli)株S17−1に形質転換し、株MB7706、MB7007、MB7708、MB7709、およびMB7710を産生した。大腸菌(E.coli)株S17−1はその染色体中に伝達遺伝子を含有する動員宿主(mobilization host)である。ベクターpRK415は、発現プラスミドとして使用され、パラコッカス(Paracoccus)の中にそれを移動させるのに必要な伝達遺伝子を内部に持つ。プラスミドpMB6975〜pMB6979は、大腸菌(E.coli)株MB7706〜MB7710との接合ならびに100mg/L リファンピシンおよび2.5mg/L テトラサイクリンに対する選択を介してパラコッカス(Paracoccus)種株R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−crtER114(Rif)の中に個々に導入した。作られたパラコッカス(Paracoccus)接合完了体は、R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrfE−crfER114+pMB7006、R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−crtER114+pMB7007、R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−crtER114+pMB7008、R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−crtER114+pMB7009、およびR114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrtE−crtER114+pMB7010と命名した。
異なるATF1遺伝子を内部に持つ6つのパラコッカス(Paracoccus)接合完了体およびコントロールプラスミドを内部に持つ6つの接合完了体を選択し、F−培地(10g/lトリプトン、10g/l酵母抽出物、30g/l NaCl、10g/l D−グルコース、5g/l MgSO4・7H2O、pH7.0)上で24時間、200rpmで28℃で成長させ、カロテノイド産生について分析した。1ミリリットルのブロスを採取し、遠心沈殿し、細胞ペレットは、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)サンプルについて記載されるようにカロテノイドを抽出した。最適化および非最適化S.バヤヌス(S.bayanus)およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)ATF1遺伝子を内部に持つすべてのパラコッカス(Paracoccus)株は、遊離ゼアキサンチン、β−クリプトキサンチン、およびカロテンに加えて、アセチル化ゼアキサンチンおよびβ−クリプトキサンチンを産生した。コントロール株、ATF1を有していないR114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrfE−crfER114+pMB7006は、アセチル化ゼアキサンチンもアセチル化β−クリプトキサンチンも産生しない。
S.セレビシエ(S.cerevisiae)由来の野生型およびコドン最適化ATF1遺伝子をそれぞれ内部に持つ2つの典型的なパラコッカス(Paracoccus)接合完了体、R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrfE−crfER114+pMB7008−11およびR114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrfE−crfER114+pMB7010−9は、より詳細な分析およびコントロール株、R114/pBBR−K−mev−op−R114−PcrfE−crfER114+pMB7006−10に対する比較のために選んだ。株は、上記に記載されるようにF−培地上で成長させた。500マイクロリットルの全ブロスを採取し、48時間、凍結乾燥させた。カロテノイドは、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)サンプルについて記載されるように抽出し、分析した。図5は、ATF1を内部に持つ株が約10%のモノアセチル化および約4%のジアセチル化ゼアキサンチンを産生したことを示す(全ゼアキサンチンのパーセンテージとして)。ATF1を内部に持つ株はまた、コントロール株よりも74%および65%のより多くのヒドロキシル化産物(アセチル化および遊離ゼアキサンチンおよびβ−クリプトキサンチン)を産生した(55%および43%のより多くの全ゼアキサンチン)。
[実施例4:ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)およびパラコッカス(Paracoccus)細胞からの抽出およびHPLCによるカロテノイド産生の定量化]
生成された株の振盪フラスコ試験およびカロテノイド分析は、米国特許第7,851,199 B2号明細書において以前に記載される方法に従って実行した。
HPLCおよびHPLC DAD MSによるヤロウイア(Yarrowia)およびパラコッカス(Paracocus)由来のアセチル化カロテノイドの定量化のために、以下の方法を使用した。
[順相カロテノイド方法]
Waters 717オートサンプラーに付けられたWaters 1525バイナリポンプは、サンプルを注入するために使用した。セキュリティーシリカガードカラムキットを有するPhenomenex Luna 3μ Silica(2)、150×4.6mmカラムは、カロテノイドを分離するために使用した。CaroteNature(GmbH、Im Budler 8、CH−4419 Lupsingen、Switzerland)から購入したまたはDSM Nutritional Products Ltd.から得た合成カロテノイドサンプルは、標準試料として使用した。アスタキサンチンおよびゼアキサンチンのアセチル化化合物は、Kaewkoola and Krisnangkura,Chem Phys Lipids.2010,163:685−688およびKaewkool,et al.,Eur.J.Lipid Sci.Technol.2009,111:474−480において概説される実験に基づいて合成した。およそ100mg/Lのカロテノイドを酢酸エチル中に溶解し、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムのいずれかの過剰塩基を追加した。サンプルは、室温で暗中に置き、1〜5日間、定期的に分析した。次いで、合成アセチル化構成成分は、保持時間マーカーとして使用したが、定量化は、非アセチル化化合物に基づく。ゼアキサンチンおよびアスタキサンチン以外の他のすべてのアセチル化化合物は、UVスペクトルの特徴のみによって同定した。移動相は、アスタキサンチン関連化合物については、1000mLヘキサン、30mLイソプロパノール、および0.1mL酢酸からなったまたはゼアキサンチン関連化合物については、1000mLヘキサン、60mLイソプロパノール、および0.1mL酢酸からなった。それぞれの実行についての流速は、毎分0.6mLとした。カラム温度は、外界温度とした。注入体積は20μLとした。検出器は、210〜600nmを収集するフォトダイオードアレイ検出器とした。
この方法を使用するゼアキサンチン関連化合物についての典型的なクロマトグラムを図6に示す。
1:カロテン
2:アセチル化β−クリプトキサンチン
3:ジアセチル化ゼアキサンチン
4:β−クリプトキサンチン
5:モノアセチル化ゼアキサンチン
6:ゼアキサンチン
上記の方法を使用するアスタキサンチン関連化合物についての典型的なクロマトグラムを図7に示す。
1:カロテン
2:ジアセチル化アドニキサンチン
3:モノアセチル化アドニキサンチン
4:ジアセチル化アスタキサンチン
5:アドニルビン
6:モノアセチル化アスタキサンチン
7:アスタキサンチン
[HPLC DAD MS法]
HPLC DAD MSによるアセチル化ゼアキサンチンの決定のために、サンプルは、氷冷抽出溶媒(0.01%ブチル−ヒドロキシ−トルエン(BHT)を含有する、ヘキサンおよび酢酸エチルの50/50 v/vミックス中に再懸濁した。Waters X−Bridge C18カラム(3.5μm、2.1×50mm)を備えたAlliance 2795 HPLC(Waters)システムおよびThermo Basic 8ガードカラム(2.1×10mm)を25℃でカロテノイドを分離するために使用した。標準カロテノイドサンプルを標準物質として使用した。移動相および流速を下記に示す(溶媒A=酢酸エチル;溶媒B=水;溶媒C=メタノール;溶媒D=アセトニトリル)。注入体積は10μLとした。検出器は、Micro Mass Quattro Micro質量分析計と縦一列に並んだWaters 996フォトダイオードアレイ検出器とした。質量分析計は、正イオンモードでのシングルイオンモニタリングのためにデフォルト設定で実行した。使用するコーン電圧は35Vとした。ゼアキサンチンについての保持時間は、1.09分であり、450nmの最大吸光度、正イオンモードにおいてモノアイソトピック質量569.4であった。モノアセチル化ゼアキサンチンの保持時間は、2.68分であり、450nmの最大吸光度、正イオンモードにおいてモノアイソトピック質量611.4であった。ジアセチル化ゼアキサンチンの保持時間は、3.08分であり、450nmの最大吸光度、正イオンモードにおいてモノアイソトピック質量653.4であった。他のカロテノイドについての保持時間は:β−クリプトキサンチン、3.2分、リコピン、3.6分、γ−カロテン、3.8分、およびβ−カロテン、3.95分であった。
Figure 2018183139

Claims (15)

  1. a.配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、または配列番号14のポリペプチド;
    b.アミノ酸の置換、挿入、または欠失によって、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、または配列番号14から誘導され、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、または配列番号14の配列とアミノ酸レベルで少なくとも50%の相同性を有するポリペプチド
    からなる群から選択されるアセチルトランスフェラーゼ活性を有するポリペプチド。
  2. タンパク質が、(a)少なくとも1つのβ−イオノンおよび/または少なくとも1つのε−イオノン環ならびに(b)少なくとも1つの環結合ヒドロキシル基を有するカロテノイド分子を、対応する、部分的にまたは完全にアセチル化されたカロテノイド分子に変換するための酵素活性を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記タンパク質が、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、ルテイン、およびβ−クリプトキサンチンを、ゼアキサンチンモノまたはジアセタート、アスタキサンチンモノまたはジアセタート、ルテインモノまたはジアセタート、およびβ−クリプトキサンチンアセタートにそれぞれ変換するための酵素活性を有する、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 請求項1に記載のポリペプチドをコードする単離核酸。
  5. 配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号13において示される配列からなる、請求項4に記載の単離核酸。
  6. 発現宿主細胞における前記ポリペプチドの産生を指示する1つ以上の(いくつかの)コントロール配列に作動可能に連結された、請求項4または5に記載のポリヌクレオチドを含む核酸構築物または発現ベクター。
  7. アセチルトランスフェラーゼ活性を有する少なくとも1つの異種ポリペプチドが発現される、カロテノイドを産生することができる形質転換微生物。
  8. 請求項4もしくは5に記載の核酸または請求項6に記載の核酸構築物が発現される、請求項7に記載の形質転換微生物。
  9. カロテノイド代謝が野生型のものとは異なる、カロテノイドの産生のための請求項7または8に記載の形質転換微生物。
  10. 前記微生物が、油産生株である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の形質転換微生物。
  11. 前記油産生株が、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)の株である、請求項10に記載の形質転換微生物。
  12. 前記微生物が、細菌である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の形質転換微生物。
  13. 前記細菌株が、パラコッカス・ゼアキサンチニファシエンス(Paracoccus zeaxanthinifaciens)の株である、請求項12に記載の形質転換微生物。
  14. 請求項7〜13のいずれか一項に記載の形質転換微生物を産生するためのプロセスであって、1つ以上の調節シグナルに機能的に連結された、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、または配列番号13において示される配列からなる核酸または核酸構築物を導入するステップを含むプロセス。
  15. カロテノイドの産生のための、請求項7〜13のいずれか一項に記載の形質転換微生物の使用。
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