JP2018182133A - ノイズフィルタ及びノイズ低減ユニット - Google Patents

Abstract

【課題】良好なノイズ低減効果を得ることができ、しかも、組立作業性に優れたノイズフィルタ及びそれを備えたノイズ低減ユニットを提供すること。【解決手段】巻回部２１を有する導体２０と、導体２０の巻回部２１に通される磁性体からなる環状コア３０と、を有するノイズフィルタ１０であって、環状コア３０は、両端の接合面４３，４４同士を接合させることで互いに組み合わされる一対の分割コア４１，４２から構成され、互いに接合される分割コア４１，４２の接合面４３，４４には、互いに係合する凹部４３ａ，４４ａ及び凸部４３ｂ，４４ｂの少なくとも一方が形成されている。【選択図】図４

Description

本発明は、ノイズフィルタ及びノイズ低減ユニットに関する。

電線を流れるサージ電流などのノイズを低減するノイズフィルタとして、電線を挿通させるための挿通孔を有する円形状の磁性体からなる環状コアを備え、この環状コアが一対の分割コアを互いに組み合わせて構成されるものが知られている（例えば、特許文献１参照）。

特許第４３６９１６７号公報

ところで、上記環状コアでは、分割コア同士に位置ずれが生じていると、環状の磁路を形成する断面積が互いの接合箇所において減少してしまう。すると、磁路における磁束の減少によってインピーダンス特性が低下し、ノイズ低減効果が低下してしまう。

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好なノイズ低減効果を得ることができ、しかも、組立作業性に優れたノイズフィルタ及びそれを備えたノイズ低減ユニットを提供することにある。

前述した目的を達成するために、本発明に係るノイズフィルタ及びノイズ低減ユニットは、下記（１）〜（７）を特徴としている。
（１） 巻回部を有する導体と、
前記導体の前記巻回部に通される磁性体からなる環状コアと、
を有するノイズフィルタであって、
前記環状コアは、
両端の接合面同士を接合させることで互いに組み合わされる一対の分割コアから構成され、
互いに接合される前記分割コアの前記接合面には、互いに係合する凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されている
ことを特徴とするノイズフィルタ。
（２） 前記分割コアは、少なくとも一方が直線状に形成され、
複数の前記導体は、前記巻回部に直線状の前記分割コアが通されて一列に配置されている
ことを特徴とする上記（１）に記載のノイズフィルタ。
（３） 前記凹部及び前記凸部は、互いに係合する溝及び突条からなり、
前記凹部及び前記凸部の形成方向が、前記分割コアの両端の前記接合面において異なる方向とされている
ことを特徴とする上記（１）または（２）に記載のノイズフィルタ。
（４） 前記凹部及び前記凸部は、互いに係合する穴及び突起からなる
ことを特徴とする上記（１）または（２）に記載のノイズフィルタ。
（５） 前記凹部は底部へ向かって次第に狭まるテーパ形状とされ、前記凸部は突出方向へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされている
ことを特徴とする上記（１）から（４）のいずれかに記載のノイズフィルタ。
（６） 前記分割コアの前記接合面同士は、磁性を有する接着部材によって互いに接着固定されている
ことを特徴とする上記（１）から（５）のいずれかに記載のノイズフィルタ。
（７） 上記（１）から（６）のいずれかに記載の前記ノイズフィルタがハウジング内に収容され、前記ハウジング内に引き込まれたワイヤハーネスの電線が前記導体に電気的に接続される
ことを特徴とするノイズ低減ユニット。

上記（１）の構成のノイズフィルタによれば、分割コアの接合面の凹部と凸部とを互いに係合させることで、分割コア同士を容易に位置決めして接合させて環状コアとすることができる。これにより、接合面での位置ずれによるインピーダンス特性の低下を抑制して良好なノイズ低減効果を得ることができ、しかも、組立作業性を向上させることができる。
上記（２）の構成のノイズフィルタによれば、直線状に形成された分割コアを複数の導体の巻回部へ通して分割コア同士を組み合わせることで、環状コアへ複数の導体を容易に装着させることができ、組立作業性をさらに向上させることができる。しかも、直線状の分割コアに導体が一列に配列された構造であるので、低背化を図ることができ、狭隘なスペースへの設置が可能である。
上記（３）の構成のノイズフィルタによれば、分割コアの両端の接合面で係合する凹部及び凸部によって、分割コアが複数方向へそれぞれ位置決めされる。したがって、分割コア同士をさらに高精度に位置合わせして良好なノイズ低減効果を得ることができ、また、組立作業性をさらに向上させることができる。
上記（４）の構成のノイズフィルタによれば、穴からなる凹部に突起からなる凸部が係合することで、分割コア同士をさらに高精度に位置合わせして良好なノイズ低減効果を得ることができ、また、組立作業性をさらに向上させることができる。
上記（５）の構成のノイズフィルタによれば、接合面同士を接合させる際に、凹部に凸部が案内されて嵌合される。これにより、分割コア同士を容易にかつ正確に位置合わせすることができる。
上記（６）の構成のノイズフィルタによれば、磁性を有する接着部材によって分割コアの接合面同士を固定して環状に連続した磁路を確実に形成し、良好なノイズ低減効果を得ることができる。また、流動性を有する接着部材を用いたとしても、接合面の凹部に接着部材が留まることとなるので、分割コア同士の接合作業を容易に行うことができる。
上記（７）の構成のノイズ低減ユニットによれば、例えば、インバータ及びモータから延びるワイヤハーネスの途中に取り付けることで、インバータにおける高速でのスイッチングによって発生するノイズを良好に低減することができる。また、高さ寸法が抑えられたノイズフィルタをハウジングに収容したことで低背化を図り、狭隘なスペースへ設置することができる。これにより、車両等のワイヤハーネスの途中に取り付けて車両のフロアパネルに固定することができる。また、磁性体からなる環状コアを有するノイズフィルタをハウジングによって保護することができる。

本発明によれば、良好なノイズ低減効果を得ることができ、しかも、組立作業性に優れたノイズフィルタ及びそれを備えたノイズ低減ユニットを提供できる。

以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態（以下、「実施形態」という。）を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。

図１は、本実施形態に係るノイズフィルタの斜視図である。 図２は、本実施形態に係るノイズフィルタの側面図である。 図３は、環状コアを端面側から視た側面図である。 図４は、本実施形態に係るノイズフィルタの分解斜視図である。 図５は、ノイズフィルタを備えたノイズ低減ユニットの斜視図である。 図６は、変形例１に係る環状コアの分解斜視図である。 図７は、変形例２に係る環状コアの分解斜視図である。 図８は、変形例３に係る環状コアの分解斜視図である。 図９は、変形例３に係る環状コアの分割コアを端面側から視た側面図である。

以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図１は、本実施形態に係るノイズフィルタの斜視図である。図２は、本実施形態に係るノイズフィルタの側面図である。

図１及び図２に示すように、ノイズフィルタ１０は、複数（本例では３つ）の導体２０と、環状コア３０とを有している。このノイズフィルタ１０は、例えば、電気自動車やハイブリッドカー等のインバータとモータとの間を接続するワイヤハーネスに設けられる。インバータは、電池等の電源の直流を交流に変換し、車輪を回転させるモータを駆動する。インバータは、直流を高速でスイッチングして交流に変換しているため、スイッチングで発生する高い周波数のサージ電流がノイズとしてワイヤハーネスの電線に流れることがある。ノイズフィルタ１０は、インバータとモータとの間を接続するワイヤハーネスに設けられることで、スイッチングで発生するノイズを低減する。

導体２０は、平板状のバスバーからなるもので、導電性金属板に対して打抜き加工等を施すことによって短冊状に形成したものである。導体２０は、曲げ加工等により中間部が環状に巻回された巻回部２１とされており、この巻回部２１は、上方側へ張り出すように巻回されている。巻回部２１は、平面視で斜めに傾斜されており、これにより、巻回部２１の両端部分の位置が平面視でずらされて互いに接触しないように離間されている。

環状コア３０は、例えば、フェライト等の磁性体から形成されている。環状コア３０は、長孔からなる挿通路３１を有する偏平な環状に形成されている。環状コア３０の挿通路３１は、導体２０の厚さよりも若干大きな高さ寸法を有している。

環状コア３０は、一対の分割コア４１，４２から構成されている。これらの分割コア４１，４２は、上下に配置されており、互いに組み合わされることで、挿通路３１を有する偏平形状の環状コア３０を構成する。

分割コア４１，４２は、それぞれ直線状に形成されている。上方に配置された一方の分割コア４１には、複数の導体２０が巻回された状態で一列に配列されている。そして、この分割コア４１に巻回された各導体２０における巻回部２１の両端部分が挿通路３１に挿通されている。

一方の分割コア４１は、両端における他方の分割コア側が接合面４３とされており、他方の分割コア４２は、両端における一方の分割コア４１側が接合面４４とされている。他方の分割コア４２の両端は、一方の分割コア４１側へ突出されており、この突出された部分の端面が接合面４４とされている。

図３は、環状コアを端面側から視た側面図である。
図３に示すように、一方の分割コア４１の接合面４３には、複数の溝からなる凹部４３ａが間隔をあけて形成されており、これらの凹部４３ａの間が突条からなる凸部４３ｂとされている。これらの凹部４３ａ及び凸部４３ｂは、分割コア４１の幅方向に配列されている。他方の分割コア４２の接合面４４には、複数の溝からなる凹部４４ａが間隔をあけて形成されており、これらの凹部４４ａの間が突条からなる凸部４４ｂとされている。これらの凹部４４ａ及び凸部４４ｂは、分割コア４２の幅方向に配列されている。

分割コア４１，４２は、その接合面４３，４４同士を突き合わせることで、互いに接合される。この状態において、一方の分割コア４１の接合面４３の凹部４３ａに、他方の分割コア４２の接合面４４の凸部４４ｂが嵌め込まれ、他方の分割コア４２の接合面４４の凹部４４ａに、一方の分割コア４１の接合面４３の凸部４３ｂが嵌め込まれている。

また、分割コア４１，４２の接合面４３，４４の間には、接着材または接着シートからなる接着部材６０が設けられており、分割コア４１，４２同士は、磁性を有する接着部材６０によって接合面４３，４４が互いに接着固定されている。この接着部材６０は、フェライト粉などの磁性材料を含有させることで磁性が付与されている。これにより、環状コア３０は、互いに接着固定された分割コア４１，４２によって環状の磁路が形成されている。

上記構成のノイズフィルタ１０を組み立てる場合について説明する。
図４は、本実施形態に係るノイズフィルタの分解斜視図である。

ノイズフィルタ１０を組み立てるには、まず、巻回部２１を有する複数の導体２０を用意する。

次に、図４に示すように、環状コア３０を構成する一方の分割コア４１に複数の導体２０を装着する。具体的には、巻回部２１を上方へ向けた姿勢のそれぞれの導体２０に対して、その巻回部２１に分割コア４１を挿し込む。これにより、一方の分割コア４１に導体２０が巻き付けられて一列に配置された状態とする。

その後、それぞれの分割コア４１，４２の接合面４３，４４同士を互いに突き合わせる。このようにすると、一方の分割コア４１の接合面４３の凹部４３ａに、他方の分割コア４２の接合面４４の凸部４４ｂが嵌め込まれるとともに、他方の分割コア４２の接合面４４の凹部４４ａに、一方の分割コア４１の接合面４３の凸部４３ｂが嵌め込まれる。これにより、分割コア４１，４２は、互いに位置決めされた状態で接合される。

なお、分割コア４１，４２を組み合わせる際に、分割コア４１，４２の接合面４３，４４のいずれか一方または両方に接着部材６０を塗布しておく。これにより、各分割コア４１，４２は、接合面４３，４４同士が接着部材６０によって接着され、分割コア４１，４２が一体化されて環状コア３０とされる。

これにより、一対の分割コア４１，４２からなる環状コア３０に複数の導体２０が装着されたノイズフィルタ１０が得られる。このようにして得られたノイズフィルタ１０では、導体２０に電流が流された際に、環状の磁路を有する環状コア３０によってノイズを低減させることができる。

以上、説明したように、本実施形態に係るノイズフィルタ１０によれば、分割コア４１，４２の接合面４３，４４の凹部４３ａ，４４ａと凸部４３ｂ，４４ｂとを互いに係合させることで、分割コア４１，４２同士を容易に位置決めして接合させて環状コア３０とすることができる。これにより、接合面４３，４４での位置ずれによるインピーダンス特性の低下を抑制して良好なノイズ低減効果を得ることができ、しかも、組立作業性を向上させることができる。

また、直線状に形成された分割コア４１を複数の導体２０の巻回部２１へ通して分割コア４１，４２同士を組み合わせることで、環状コア３０へ複数の導体２０を容易に装着させることができ、組立作業性をさらに向上させることができる。しかも、直線状の分割コア４１に複数の導体２０が一列に配列された構造であるので、低背化を図ることができ、狭隘なスペースへの設置が可能である。

また、磁性を有する接着部材６０によって分割コア４１，４２の接合面４３，４４同士を固定して環状に連続した磁路を確実に形成し、良好なノイズ低減効果を得ることができる。しかも、流動性を有する接着部材６０を用いたとしても、接合面４３，４４の凹部４３ａ，４４ａに接着部材６０が留まることとなるので、分割コア４１，４２同士の接合作業を容易に行うことができる。

なお、ノイズフィルタ１０の導体２０としては、バスバーに限らず芯線を外被で被覆した絶縁電線等でもよい。

また、環状コア３０は、少なくとも導体２０の巻回部２１に通される一方の分割コア４１が直線状であればよく、下方側の分割コア４２は、必ずしも直線状に限らず、湾曲形状等であってもよい。

また、上記実施形態では、環状コア３０が上下に分割された一対の分割コア４１，４２を組み合わせた構成を例示したが、環状コア３０は、左右に分割された一対の分割コアを組み合わせた構成でもよい。この場合も、それぞれの分割コアの接合面に、互いに係合する凹部及び凸部を形成することで、良好なノイズ低減効果が得られ、しかも、組立作業性に優れたノイズフィルタ１０とすることができる。

次に、このノイズフィルタ１０を備えるノイズ低減ユニットについて説明する。
図５は、ノイズフィルタを備えたノイズ低減ユニットの斜視図である。

図５に示すように、ノイズ低減ユニット８０は、ハウジング８１を備えており、ノイズフィルタ１０は、ハウジング８１に収容されている。

ハウジング８１は、絶縁性を有する合成樹脂から形成されたもので、底板部８２と、底板部８２の両側部に立設された側壁部８３とを有している。そして、ハウジング８１は、上方側が開放された収容空間を有する矩形箱状に形成されている。ハウジング８１は、収容空間の中央部分がコア保持部８４とされており、このコア保持部８４にノイズフィルタ１０が収容されている。ハウジング８１に収容されるノイズフィルタ１０には、導体２０の両端に端子２２が固定されている。端子２２は、ボルト挿通孔２３を有しており、それぞれ導体２０に圧着等によって固定されて電気的に接続されている。

ハウジング８１は、その両端部が電線導入部８５とされており、これらの電線導入部８５からワイヤハーネスの電線１が導入される。各電線導入部８５には、Ｕ字状の電線保持溝８６が形成されている。また、各電線導入部８５とコア保持部８４との間には、端子台８７が設けられている。端子台８７には、例えば、インサート成形によってインサートナット（図示略）が埋め込まれている。端子台８７には、その上部にノイズフィルタ１０の導体２０に固定された端子２２が載置され、それぞれインサートナットの上部に配置される。

上記構成のノイズ低減ユニット８０には、インバータ及びモータから延びるワイヤハーネスの電線１が接続される。これらの電線１には、その端部にボルト挿通孔２を有する端子３が接続されている。各電線１は、ハウジング８１の電線導入部８５から引き込まれ、電線保持溝８６に配置されて保持される。これらの電線１の端子３は、端子台８７の上部に載置された導体２０の端子２２に重ね合わされ、これにより、ボルト挿通孔２，２３が連通される。この状態で、互いに連通されたボルト挿通孔２，２３にボルト４を挿通し、端子台８７のインサートナットにねじ込むことで、電線１の端子３とノイズフィルタ１０の導体２０の端子２２とが端子台８７に締結固定されて互いに電気的に接続される。これにより、インバータ及びモータから延びるワイヤハーネスの電線１が、ノイズ低減ユニット８０に接続され、インバータにおける高速でのスイッチングによって発生するノイズがノイズ低減ユニット８０のノイズフィルタ１０によって低減される。

このように、ノイズフィルタ１０を備えたノイズ低減ユニット８０によれば、例えば、インバータ及びモータから延びるワイヤハーネスの途中に取り付けることで、インバータにおける高速でのスイッチングによって発生するノイズを良好に低減することができる。また、高さ寸法が抑えられたノイズフィルタ１０をハウジング８１に収容したことで低背化を図り、狭隘なスペースへ設置することができる。これにより、車両等のワイヤハーネスの途中に取り付けて車両のフロアパネルに固定することができる。また、磁性体からなる環状コア３０を有するノイズフィルタ１０をハウジング８１によって保護することができる。

なお、ノイズ低減ユニット８０のハウジング８１には、エポキシ樹脂等の合成樹脂からなる封止材（図示せず）が充填される。このように、ハウジング８１に封止材を充填することにより、磁性体からなる環状コア３０を有するノイズフィルタ１０を確実に固定して保護し、耐衝撃性を高めることができるとともに、複雑な防水構造を設計する必要がなくなり、小型化も実現できる。また、ハウジング８１の上方に蓋体を取り付けることで、ノイズ低減ユニット８０の防水性をさらに高めて車体外に配置することもできる。

尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。

例えば、ノイズフィルタ１０を構成する環状コア３０は、上記の実施形態のものに限らない。
ここで、ノイズフィルタ１０の変形例について説明する。

（変形例１）
図６は、変形例１に係る環状コアの分解斜視図である。

図６に示すように、変形例１に係る環状コア３０Ａでは、一方の分割コア４１の接合面４３に、溝からなる凹部４３ａが形成され、他方の分割コア４２の接合面４４に、突条からなる凸部４４ｂが形成されている。

分割コア４１のそれぞれの接合面４３に形成された凹部４３ａは、一方が分割コア４１の幅方向に沿って形成され、他方が分割コア４１の長手方向に沿って形成されている。また、分割コア４２のそれぞれの接合面４４に形成された凸部４４ｂは、一方が分割コア４２の幅方向に沿って形成され、他方が分割コア４２の長手方向に沿って形成されている。

この変形例１の環状コア３０Ａでは、各分割コア４１，４２同士を突き合わせることで、分割コア４１，４２は、接合面４３の凹部４３ａと接合面４４の凸部４４ｂとが互いに嵌合することで位置決めされる。このとき、分割コア４１の接合面４３の凹部４３ａの方向が直交する方向に異なり、また、分割コア４２の接合面４４の凸部４４ｂの方向が直交する方向に異なっている。したがって、互いの分割コア４１，４２を突き合わせて接合させる際に、分割コア４１，４２が幅方向及び長手方向の両方向へ位置決めされることとなる。

このように、変形例１に係る環状コア３０Ａによれば、分割コア４１，４２の両端の接合面４３，４４で係合する凹部４３ａ及び凸部４４ｂによって、分割コア４１，４２が複数方向へそれぞれ位置決めされる。したがって、分割コア４１，４２同士をさらに高精度に位置合わせして良好なノイズ低減効果を得ることができ、また、組立作業性をさらに向上させることができる。

（変形例２）
図７は、変形例２に係る環状コアの分解斜視図である。

図７に示すように、変形例２に係る環状コア３０Ｂでは、一方の分割コア４１の接合面４３に、穴からなる凹部４３ａが形成され、他方の分割コア４２の接合面４４に、突起からなる凸部４４ｂが形成されている。

この変形例２の環状コア３０Ｂでは、各分割コア４１，４２同士を突き合わせることで、分割コア４１，４２は、接合面４３の凹部４３ａに接合面４４の凸部４４ｂが嵌合することで、接合方向と直交する方向へ位置決めされる。

このように、変形例２に係る環状コア３０Ｂによれば、穴からなる凹部４３ａに突起からなる凸部４４ｂが係合することで、分割コア４１，４２同士をさらに高精度に位置合わせして良好なノイズ低減効果を得ることができ、また、組立作業性をさらに向上させることができる。

（変形例３）
図８は、変形例３に係る環状コアの分解斜視図である。図９は、変形例３に係る環状コアの分割コアを端面側から視た側面図である。

図８及び図９に示すように、変形例３に係る環状コア３０Ｃでは、一方の分割コア４１の接合面４３に、溝からなる凹部４３ａが形成され、他方の分割コア４２の接合面４４に、突条からなる凸部４４ｂが形成されている。凹部４３ａは、底部へ向かって次第に狭まるテーパ形状とされており、凸部４４ｂは、突出方向へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされている。

この変形例３の環状コア３０Ｃでは、各分割コア４１，４２同士を突き合わせることで、分割コア４１，４２は、接合面４３の凹部４３ａに接合面４４の凸部４４ｂが嵌合し、互いに位置決めされる。ここで、凹部４３ａは、底部へ向かって次第に狭まるテーパ形状とされており、凸部４４ｂは、突出方向へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされているので、凹部４３ａに凸部４４ｂが案内されて嵌合されることとなる。これにより、分割コア４１，４２同士を容易にかつ正確に位置合わせすることができる。

なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。

例えば、変形例１〜３では、一方の分割コア４１の両端の接合面４３に凹部４３ａを設け、他方の分割コア４２の両端の接合面４４に凸部４４ｂを設けたが、一方の分割コア４１の両端の接合面４３に凸部４３ｂを設け、他方の分割コア４２の両端の接合面４４に凸部４３ｂが嵌合する凹部４４ａを設けてもよく、さらには、一方の分割コア４１の一端の接合面４３に凹部４３ａを設けるとともに他端の接合面４３に凸部４３ｂを設け、他方の分割コア４２の一端の接合面４４に凹部４３ａへ嵌合する凸部４４ｂを設けるとともに他端の接合面４４に凸部４３ｂが嵌合する凹部４４ａを設けてもよい。

ここで、上述した本発明に係るノイズフィルタ及びノイズ低減ユニットの実施形態の特徴をそれぞれ以下［１］〜［７］に簡潔に纏めて列記する。
［１］ 巻回部（２１）を有する導体（２０）と、
前記導体（２０）の前記巻回部（２１）に通される磁性体からなる環状コア（３０；３０Ａ〜３０Ｃ）と、
を有するノイズフィルタ（１０）であって、
前記環状コア（３０；３０Ａ〜３０Ｃ）は、
両端の接合面（４３，４４）同士を接合させることで互いに組み合わされる一対の分割コア（４１，４２）から構成され、
互いに接合される前記分割コア（４１，４２）の前記接合面（４３，４４）には、互いに係合する凹部（４３ａ，４４ａ）及び凸部（４３ｂ，４４ｂ）の少なくとも一方が形成されている
ことを特徴とするノイズフィルタ。
［２］ 前記分割コア（４１，４２）は、少なくとも一方が直線状に形成され、
複数の前記導体（２０）は、前記巻回部（２１）に直線状の前記分割コア（４１）が通されて一列に配置されている
ことを特徴とする上記［１］に記載のノイズフィルタ。
［３］ 前記凹部（４４ａ）及び前記凸部（４３ｂ）は、互いに係合する溝及び突条からなり、
前記凹部（４４ａ）及び前記凸部（４３ｂ）の形成方向が、前記分割コア（４１，４２）の両端の前記接合面（４３，４４）において異なる方向とされている
ことを特徴とする上記［１］または［２］に記載のノイズフィルタ。
［４］ 前記凹部（４３ａ）及び前記凸部（４４ｂ）は、互いに係合する穴及び突起からなる
ことを特徴とする上記［１］または［２］に記載のノイズフィルタ。
［５］ 前記凹部（４３ａ）は底部へ向かって次第に狭まるテーパ形状とされ、前記凸部（４４ｂ）は突出方向へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされている
ことを特徴とする上記［１］から［４］のいずれかに記載のノイズフィルタ。
［６］ 前記分割コア（４１，４２）の前記接合面（４３，４４）同士は、磁性を有する接着部材（６０）によって互いに接着固定されている
ことを特徴とする上記［１］から［５］のいずれかに記載のノイズフィルタ。
［７］ 上記［１］から［６］のいずれかに記載の前記ノイズフィルタ（１０）がハウジング（８１）内に収容され、前記ハウジング（８１）内に引き込まれたワイヤハーネスの電線（１）が前記導体（２０）に電気的に接続される
ことを特徴とするノイズ低減ユニット。

１：電線
１０：ノイズフィルタ
２０：導体
２１：巻回部
３０：環状コア
４１，４２：分割コア
４３，４４：接合面
４３ａ，４４ａ：凹部
４３ｂ，４４ｂ：凸部
６０：接着部材
８０：ノイズ低減ユニット
８１：ハウジング

Claims (7)

1. 巻回部を有する導体と、
   前記導体の前記巻回部に通される磁性体からなる環状コアと、
   を有するノイズフィルタであって、
   前記環状コアは、
   両端の接合面同士を接合させることで互いに組み合わされる一対の分割コアから構成され、
   互いに接合される前記分割コアの前記接合面には、互いに係合する凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されている
   ことを特徴とするノイズフィルタ。
2. 前記分割コアは、少なくとも一方が直線状に形成され、
   複数の前記導体は、前記巻回部に直線状の前記分割コアが通されて一列に配置されている
   ことを特徴とする請求項１に記載のノイズフィルタ。
3. 前記凹部及び前記凸部は、互いに係合する溝及び突条からなり、
   前記凹部及び前記凸部の形成方向が、前記分割コアの両端の前記接合面において異なる方向とされている
   ことを特徴とする請求項１または請求項２に記載のノイズフィルタ。
4. 前記凹部及び前記凸部は、互いに係合する穴及び突起からなる
   ことを特徴とする請求項１または請求項２に記載のノイズフィルタ。
5. 前記凹部は底部へ向かって次第に狭まるテーパ形状とされ、前記凸部は突出方向へ向かって次第に窄まるテーパ形状とされている
   ことを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載のノイズフィルタ。
6. 前記分割コアの前記接合面同士は、磁性を有する接着部材によって互いに接着固定されている
   ことを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載のノイズフィルタ。
7. 請求項１〜６のいずれか一項に記載の前記ノイズフィルタがハウジング内に収容され、前記ハウジング内に引き込まれたワイヤハーネスの電線が前記導体に電気的に接続される
   ことを特徴とするノイズ低減ユニット。

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