JP2018181525A - 全固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】釘刺し時の短絡による温度上昇を抑制可能な全固体電池を開示する。【解決手段】少なくとも1つの短絡電流分散体と複数の発電要素とが積層された全固体電池であって、前記短絡電流分散体において、第1の集電体層と第2の集電体層と前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層の間に設けられた絶縁層とが積層されており、前記発電要素において、正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とが積層されており、前記第1の集電体層が前記正極集電体層と電気的に接続されており、前記第2の集電体層が前記負極集電体層と電気的に接続されており、複数の前記発電要素同士が電気的に並列に接続されており、前記負極材層が負極活物質として単体のSiを含む、全固体電池とする。【選択図】図1

Description

本願は全固体電池を開示する。
特許文献1には、積層電極群の外側に、絶縁体を介して2枚の金属板を配置してなる短絡形成兼放熱促進ユニットを備えた、積層型ポリマー電解質電池が開示されている。特許文献1に開示された電池によれば、電池の釘刺し試験時等において電極同士が短絡した場合に、短絡形成兼放熱促進ユニットに短絡電流を流すことで発電要素の電圧を低減することができ、且つ、当該ユニット等にて発生した熱を外部へとスムーズに放熱することができるものと考えられる。特許文献2、3にも、釘刺し等の電池の内部短絡による熱の発生を抑制するための種々の技術が開示されている。
特開2001−068156号公報 特開2001−068157号公報 特開2015−018710号公報
発電要素を複数積層しつつ電気的に並列に接続した全固体電池においては、釘刺し試験によって発電要素を短絡させると、短絡抵抗のバラつきによって、一部の発電要素から他の発電要素へと電子が流れ込み(以下、これを「回り込み電流」という場合がある。)、一部の発電要素の温度が局所的に上昇してしまうという課題が生じる。
本発明者らの新たな知見によれば、発電要素を複数積層しつつ電気的に並列に接続した全固体電池において、負極活物質として単体のSiを用いた場合、上記の釘刺し試験による発電要素の短絡抵抗のバラつきが大きくなる。すなわち、負極活物質として単体のSiを用いた場合、上記の釘刺し試験時の発電要素の温度上昇量が顕著に大きくなるという課題が生じる。
このような課題に対し、発電要素とは別に短絡電流分散体を設け、釘刺し試験において一部の発電要素とともに短絡電流分散体も短絡させ、短絡抵抗が大きい発電要素からの回り込み電流を、短絡抵抗が小さい発電要素だけでなく、短絡抵抗が小さい短絡電流分散体へと分散させることで、一部の発電要素の温度のみが局所的に上昇することを防止できるものと考えられる(図5)。本発明者らは、発電要素を複数積層しつつ電気的に並列に接続した全固体電池において、負極材料として単体のSiを用いた場合に、短絡電流分散体による効果が極めて顕著となり、釘刺し試験時の発電要素の温度上昇量を顕著に低減できることを見出した。
すなわち、本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、
少なくとも1つの短絡電流分散体と複数の発電要素とが積層された全固体電池であって、前記短絡電流分散体において、第1の集電体層と第2の集電体層と前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層の間に設けられた絶縁層とが積層されており、前記発電要素において、正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とが積層されており、前記第1の集電体層が前記正極集電体層と電気的に接続されており、前記第2の集電体層が前記負極集電体層と電気的に接続されており、複数の前記発電要素同士が電気的に並列に接続されており、前記負極材層が負極活物質として単体のSiを含む、全固体電池
を開示する。
本開示の全固体電池においては、発電要素とは別に短絡電流分散体を設け、釘刺し試験において一部の発電要素とともに短絡電流分散体も短絡させ、短絡抵抗が大きい発電要素からの回り込み電流を、短絡抵抗が小さい発電要素だけでなく、短絡抵抗が小さい短絡電流分散体へと分散させることで、一部の発電要素の温度のみが局所的に上昇することを防止できる。これにより、負極活物質として単体のSiを用いた場合に特有の温度上昇を顕著に抑制できる。
全固体電池100の層構成を説明するための概略図である。 短絡電流分散体10の層構成を説明するための概略図である。(A)が外観斜視図であり、(B)がIIB−IIB断面図である。 発電要素20の層構成を説明するための概略図である。(A)が外観斜視図であり、(B)がIIIB−IIIB断面図である。 実施例1に係る全固体電池の層構成を説明するための概略図である。 釘刺し時に生じる回り込み電流等について説明するための概略図である。
1.全固体電池100
図1に、全固体電池100の層構成を概略的に示す。図1においては、説明の便宜上、集電体層同士(集電タブ同士)の接続部分や、電池ケース等を省略して示している。図2に、全固体電池100を構成する短絡電流分散体10の層構成を概略的に示す。図2(A)が外観斜視図、図2(B)がIIB−IIB断面図である。図3に、全固体電池100を構成する発電要素20の層構成を概略的に示す。図3(A)が外観斜視図、図3(B)がIIIB−IIIB断面図、である。
図1〜3に示すように、全固体電池100は、少なくとも1つの短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…とを有する。短絡電流分散体10において、第1の集電体層11と第2の集電体層12と第1の集電体層11及び第2の集電体層12の間に設けられた絶縁層13とが積層されている。発電要素20において、正極集電体層21と正極材層22と固体電解質層23と負極材層24と負極集電体層25とが積層されている。全固体電池100においては、第1の集電体層11が正極集電体層21と電気的に接続されており、第2の集電体層12が負極集電体層25と電気的に接続されており、複数の発電要素20、20、…同士が電気的に並列に接続されている。全固体電池100においては、負極材層24が負極活物質として単体のSiを含んでいる。
1.1.短絡電流分散体10
短絡電流分散体10は、第1の集電体層11と、第2の集電体層12と、第1の集電体層11及び第2の集電体層12の間に設けられる絶縁層13と、を備える。このような構成を備えた短絡電流分散体10は、電池の通常使用時において第1の集電体層11と第2の集電体層12とが絶縁層13によって適切に絶縁される一方で、釘刺しによる短絡時には第1の集電体層11と第2の集電体層12とが接触して電気抵抗が小さくなる。
1.1.1.第1の集電体層11及び第2の集電体層12
第1の集電体層11及び第2の集電体層12は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。集電体層11、12を構成する金属としては、Cu、Ni、Al、Fe、Ti、Zn、Co、Cr、Au、Pt、ステンレス鋼等が挙げられる。集電体層11や集電体層12は、その表面に、接触抵抗を調整するための何らかのコート層を有していてもよい。例えば、導電材と樹脂とを含むコート層である。
第1の集電体層11及び第2の集電体層12の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。集電体層11、12の厚みをこのような範囲とした場合、釘刺し時、集電体層11、12を互いにより適切に接触させることができ、短絡電流分散体10をより適切に短絡させることができる。
図2に示すように、第1の集電体層11は集電タブ11aを備えており、当該集電タブ11aを介して発電要素20の正極集電体層21に電気的に接続されていることが好ましい。一方、第2の集電体層12は集電タブ12aを備えており、当該集電タブ12aを介して発電要素20の負極集電体層25に電気的に接続されていることが好ましい。集電タブ11aは第1の集電体層11と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。集電タブ12aは第2の集電体層12と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
1.1.2.絶縁層13
全固体電池100において、絶縁層13は、電池の通常使用時において、第1の集電体層11と第2の集電体層12とを絶縁するものであればよい。絶縁層13は、有機材料からなる絶縁層であっても、無機材料からなる絶縁層であっても、有機材料と無機材料とが混在する絶縁層であってもよい。特に、(1)全固体電池の拘束の際に割れる等して短絡しないこと、(2)釘を刺した時に安定して短絡し続けること、(3)熱安定性が高いことの3点を満たす材料によって絶縁層13を構成することが好ましい。
絶縁層13を構成し得る有機材料としては各種樹脂が挙げられる。例えば、各種熱可塑性樹脂や各種熱硬化性樹脂である。特にポリイミド等の熱硬化性樹脂が好ましい。通常、熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂よりも硬質で脆く、さらには、熱安定性が高い。すなわち、熱硬化性樹脂により絶縁層13を構成した場合において、短絡電流分散体10の釘刺しを行った場合、絶縁層13が容易に破断し、第1の集電体層11や第2の集電体層12の変形に対して絶縁層13が追従することを抑制でき、第1の集電体層11と第2の集電体層12とをより容易に接触させることができる。また、絶縁層13の温度が上昇したとしても熱分解を抑制できる。
絶縁層13を構成し得る無機材料としては各種セラミックが挙げられる。例えば、無機酸化物である。尚、表面に酸化物被膜を有する金属箔によって絶縁層13を構成してもよい。例えば、アルマイト処理によって、アルミニウム箔の表面に陽極酸化皮膜を形成することで、表面に酸化アルミニウム被膜を有するアルミニウム箔が得られる。この場合、酸化皮膜の厚みは0.01μm以上5μm以下であることが好ましい。下限がより好ましくは0.1μm以上であり、上限がより好ましくは1μm以下である。
絶縁層13の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。絶縁層13の厚みをこのような範囲とした場合、電池の通常使用時、第1の集電体層11と第2の集電体層12とをより適切に絶縁することができるとともに、釘刺し等の外部応力による変形によって第1の集電体層11と第2の集電体層12とをより適切に導通させて、内部短絡させることができる。
1.2.発電要素20
発電要素20は、正極集電体層21と正極材層22と固体電解質層23と負極材層24と負極集電体層25とが積層されてなる。すなわち、発電要素20は単電池として機能し得る。
1.2.1.正極集電体層21
正極集電体層21は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。正極集電体層21を構成する金属としては、Ni、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti、Zn、ステンレス鋼等が挙げられる。正極集電体層21は、その表面に、接触抵抗を調整するための何らかのコート層を有していてもよい。例えば、導電材と樹脂とを含むコート層等である。正極集電体層21の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
図3に示すように、正極集電体層21は外縁の一部に正極集電タブ21aを備えることが好ましい。タブ21aにより、第1の集電体層11と正極集電体層21とを容易に電気的に接続することができるとともに、正極集電体層21同士を容易に電気的に並列に接続することができる。
1.2.2.正極材層22
正極材層22は、少なくとも活物質を含む層である。正極材層22には、活物質に加えて、さらに任意に固体電解質、バインダー及び導電助剤等を含ませることができる。活物質は公知の活物質を用いればよい。公知の活物質のうち、所定のイオンを吸蔵放出する電位(充放電電位)の異なる2つの物質を選択し、貴な電位を示す物質を正極活物質とし、卑な電位を示す物質を後述の負極活物質として、それぞれ用いることができる。特に本開示の全固体電池100においては、負極活物質として単体のSiを用いることから、単体のSiよりも貴な電位を示す物質を正極活物質とすればよい。例えば、リチウムイオン電池を構成する場合は、正極活物質としてコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、マンガン酸リチウム、スピネル系リチウム化合物等の各種のリチウム含有複合酸化物を用いることができる。正極活物質は表面がニオブ酸リチウム層やチタン酸リチウム層やリン酸リチウム層等の酸化物層で被覆されていてもよい。また、固体電解質は無機固体電解質が好ましい。有機ポリマー電解質と比較してイオン伝導度が高いためである。また、有機ポリマー電解質と比較して、耐熱性に優れるためである。さらに、有機ポリマー電解質と比較して、釘刺し時に発電要素20に加わる圧力が高圧となり、短絡抵抗のバラつきが大きくなり易いところ、本開示の全固体電池100による効果が顕著とためである。例えば、ランタンジルコン酸リチウム等の酸化物固体電解質やLiS−P等の硫化物固体電解質が挙げられる。特に、LiS−Pを含む硫化物固体電解質が好ましく、LiS−Pを50モル%以上含む硫化物固体電解質がより好ましい。バインダーはブタジエンゴム(BR)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の種々のバインダーを用いることができる。導電助剤としてはアセチレンブラックやケッチェンブラック等の炭素材料やニッケル、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。正極材層22における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。正極材層22の形状も従来と同様とすればよい。特に、全固体電池100を容易に構成できる観点から、シート状の正極材層22が好ましい。この場合、正極材層22の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上150μm以下であることがより好ましい。
1.2.3.固体電解質層23
固体電解質層23は、少なくとも固体電解質を含む層である。固体電解質層23は、固体電解質以外に、任意にバインダーを含ませることができる。固体電解質は上述した無機固体電解質が好ましい。バインダーは正極材層22に用いられるバインダーと同様のものを適宜選択して用いることができる。固体電解質層23における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。固体電解質層23の形状も従来と同様とすればよい。特に、全固体電池100を容易に構成できる観点から、シート状の固体電解質層23が好ましい。この場合、固体電解質層23の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
1.2.4.負極材層24
負極材層24は負極活物質として単体のSiを含む層である。本発明者らの新たな知見によれば、負極材層24が負極活物質として単体のSiを含む場合にのみ、上記した課題が生じる。尚、負極活物質は単体のSi以外に上記の顕著な効果を発揮できる範囲で他の活物質が含まれていてもよい。単体のSi以外の負極活物質としては、例えば、グラファイトやハードカーボン等の炭素材料や、チタン酸リチウム等の各種酸化物、Si合金、金属リチウム、リチウム合金が挙げられる。短絡電流分散体10による効果がより顕著となる観点から、負極活物質は単体のSiからなる(ただし不可避不純物は許容する。)ことがより好ましい。負極材層24には、負極活物質に加えて、さらに任意に固体電解質、バインダー及び導電助剤等を含ませることができる。固体電解質、バインダー及び導電助剤は正極材層22に用いられる固体電解質と同様のものを適宜選択して用いることができる。負極材層24における各成分の含有量は従来と同様とすればよい。負極材層24の形状も従来と同様とすればよい。特に、全固体電池100を容易に構成できる観点から、シート状の負極材層24が好ましい。この場合、負極材層24の厚みは、例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。ただし、負極の容量が正極の容量よりも大きくなるように、負極材層24の厚みを決定することが好ましい。
1.2.5.負極集電体層25
負極集電体層25は、金属箔や金属メッシュ等により構成すればよい。特に金属箔が好ましい。負極集電体層25を構成する金属としては、Cu、Ni、Fe、Ti、Co、Zn、ステンレス鋼等が挙げられる。負極集電体層25は、その表面に、接触抵抗を調整するための何らかのコート層を有していてもよい。例えば、導電材と樹脂とを含むコート層等である。負極集電体層25の厚みは特に限定されるものではない。負極集電体25の厚みは特に限定されるものではない。例えば0.1μm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。
図3に示すように、負極集電体層25は外縁の一部に負極集電タブ25aを備えることが好ましい。タブ25aにより、第2の集電体層12と負極集電体層25とを容易に電気的に接続することができるとともに、負極集電体層25同士を容易に電気的に並列に接続することができる。
1.4.短絡電流分散体及び発電要素の配置や接続形態
1.4.1.発電要素の配置
全固体電池100において、発電要素20の積層数は特に限定されるものではなく、目的とする電池の出力に応じて、適宜決定すればよい。この場合、複数の発電要素20が互いに直接接触するように積層されていてもよいし、複数の発電要素20が何らかの層(例えば絶縁層)や間隔(空気層)を介して積層されていてもよい。電池の出力密度を向上させる観点からは、図1に示すように、複数の発電要素20が互いに直接接触するように積層されていることが好ましい。また、図1、3に示すように、2つの発電要素20a、20bが、負極集電体25を共用していることが好ましい。このようにすることで、電池の出力密度が一層向上する。さらに、図1に示すように、全固体電池100においては、複数の発電要素20の積層方向と、発電要素20における各層21〜25の積層方向とを一致させることが好ましい。このようにすることで、全固体電池100の拘束が容易となり、電池の出力密度が一層向上する。
1.4.2.発電要素同士の電気的接続
全固体電池100においては、複数の発電要素20、20、…同士が電気的に並列に接続される。このように並列に接続された発電要素においては、一の発電要素が短絡した場合に、他の発電要素から当該一の発電要素へと集中して電子が流れ込む。すなわち、電池短絡時にジュール発熱が大きくなり易い。言い換えれば、このように並列接続された複数の発電要素20、20、…を備える全固体電池100において、短絡電流分散体10を設けることによる効果がより顕著となる。発電要素20同士を電気的に接続するための部材としては、従来公知の部材を用いればよい。例えば、上述したように、正極集電体層21に正極集電タブ21aを設け、負極集電体層25に負極集電タブ25aを設け、当該タブ21a、25aを介して発電要素20同士を電気的に並列に接続することができる。
1.4.3.短絡電流分散体と発電要素との電気的接続
全固体電池100において、短絡電流分散体10の第1の集電体層11が発電要素20の正極集電体層21と電気的に接続されており、短絡電流分散体10の第2の集電体層12が発電要素20の負極集電体層25と電気的に接続されている。このように、短絡電流分散体10と発電要素20とを電気的に接続することで、例えば、短絡電流分散体10及び一部の発電要素(例えば、発電要素20a)の短絡時に、他の発電要素(例えば発電要素20b)からの回り込み電流を短絡電流分散体10へと分散させることができる。短絡電流分散体10と発電要素20とを電気的に接続するための部材としては、従来公知の部材を用いればよい。例えば、上述したように、第1の集電体層11に第1の集電タブ11aを設け、第2の集電体層12に第2の集電タブ12aを設け、当該タブ11a、12aを介して短絡電流分散体10と発電要素20とを電気的に接続することができる。
1.4.4.短絡電流分散体と発電要素との位置関係
短絡電流分散体10と発電要素20、20、…とは互いに積層されていればよい。この場合、短絡電流分散体10と発電要素とを直接積層してもよいし、上記の課題を解決できる範囲において他の層(絶縁層や断熱層等)を介して間接的に積層してもよい。また、短絡電流分散体10は、複数の発電要素20、20、…の外側に積層されていてもよいし、複数の発電要素20、20、…の間に積層されていてもよいし、複数の発電要素20、20、…の外側と複数の発電要素20、20、…の間との双方に積層されていてもよい。特に、図1に示すように、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…とを積層した場合において、短絡電流分散体10が複数の発電要素20、20、…よりも外側に少なくとも設けられていることが好ましい。これにより、釘刺し時、短絡電流分散体10が発電要素20、20、…よりも先に短絡し、発電要素20から短絡電流分散体10へと回り込み電流を発生させることができ、さらには、発電要素20の内部における発熱を抑制できる。
釘刺しによる電池の短絡が発生し易いのは、釘が発電要素20の正極集電体層21から負極集電体層25に向かって(或いは、負極集電体層25から正極集電体層21に向かって)刺された場合である。この点、全固体電池100においては、釘刺し方向と、各層の積層方向とが一致することが好ましい。より具体的には、全固体電池100において、発電要素20における正極集電体層21と正極材層22と電解質層23と負極材層24と負極集電体層25との積層方向、複数の発電要素20の積層方向、短絡電流分散体10における第1の集電体層11と絶縁層13と第2の集電体層12との積層方向、及び、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…との積層方向、が同じ方向であることが好ましい。
1.4.5.短絡電流分散体と発電要素との大きさの関係
全固体電池100においては、短絡電流分散体10が、発電要素20のできるだけ多くの部分を覆っていることで、釘刺し時に、発電要素20よりも先に短絡電流分散体10を短絡させ易くなる。この観点からは、例えば、全固体電池100においては、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…との積層方向から見た時に、短絡電流分散体10の外縁が発電要素20、20、…の外縁よりも外側に存在していることが好ましい。或いは、図1に示すように、複数の発電要素20、20、…の積層方向と発電要素20における各層21〜25の積層方向とが同じである場合において、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…との積層方向から見た時に、短絡電流分散体10の外縁が正極材層22、電解質層23及び負極材層24の外縁よりも外側に存在することが好ましい。ただし、この場合、短絡電流分散体10の第1の集電体層11と発電要素20の負極集電体層25とが短絡しないようにする。すなわち、短絡電流分散体10と発電要素20との間に絶縁体等を設け、短絡電流分散体10を大きくしても、短絡電流分散体10と発電要素20との短絡を防止する。
一方で、電池のエネルギー密度をより高める観点及び上記した短絡電流分散体10と発電要素20との短絡を容易に防止できる観点からは、短絡電流分散体10をできるだけ小さくするとよい。すなわち、この観点からは、全固体電池100においては、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…との積層方向から見た時に、短絡電流分散体10の外縁が発電要素20、20、…の外縁よりも内側に存在することが好ましい。或いは、複数の発電要素20、20、…の積層方向と発電要素20における各層21〜25の積層方向とが同じである場合において、短絡電流分散体10と複数の発電要素20、20、…との積層方向から見た時に、短絡電流分散体10の外縁が正極材層22、固体電解質層23及び負極材層24の外縁よりも内側に存在することが好ましい。
以上の通り、全固体電池100においては、釘刺しによる短絡電流分散体10及び一部の発電要素(例えば、発電要素20a)の短絡時に、他の発電要素(例えば発電要素20b)からの回り込み電流を短絡電流分散体10へと分散させることができ、負極活物質として単体のSiを含む全固体電池特有の発電要素の温度上昇を抑制できる。
2.全固体電池の製造方法
短絡電流分散体10は、第1の集電体層11(例えば、金属箔)と第2の集電体層12(例えば、金属箔)との間に絶縁層13(例えば、絶縁フィルム)を配置することで、容易に作製できる。図2に示すように、第2の集電体層12の両面に絶縁層13、13を配置し、さらに絶縁層13、13の第2の集電体層12とは反対側の面に第1の集電体層11、11を配置してもよい。ここで、短絡電流分散体10は、その形状を保持するために、接着剤や樹脂などを用いて各層を互いに貼り合わせてもよい。この場合、接着剤等は、各層の全面に塗布する必要はなく、各層の表面の一部に塗布すればよい。
発電要素20については、公知の方法により作製できる。例えば、正極集電体層21の表面に正極材を湿式にて塗工して乾燥させることで正極材層22を形成し、負極集電体層25の表面に負極材を湿式にて塗工して乾燥させることで負極材層24を形成し、正極材層21と負極材層24との間に固体電解質等を含む固体電解質層23を転写し、プレス成形して一体化することで発電要素20を作製できる。この時のプレス圧は特に限定されるものではないが、例えば2ton/cm以上とすることが好ましい。尚、これらの作製手順はあくまでも一例であり、これ以外の手順によっても発電要素20を作製可能である。例えば、湿式法に替えて乾式法によって正極材層等を形成することも可能である。
このようにして作製した短絡電流分散体10を複数の発電要素20に対して積層するとともに、第1の集電体層11に設けられたタブ11aを正極集電体層21のタブ21aと接続し、第2の集電体層12に設けられたタブ12aを負極集電体層25のタブ25aと接続し、正極集電体層21のタブ21a同士を接続し、負極集電体層25のタブ25a同士を接続することで、短絡電流分散体10と発電要素20とを電気的に接続するとともに、複数の発電要素20同士を電気的に並列に接続することができる。このようにして電気的に接続された積層体をラミネートフィルムやステンレス鋼缶等の電池ケース内に真空封入することによって、全固体電池を作製できる。尚、これらの作製手順はあくまでも一例であり、これ以外の手順によっても全固体電池を作製可能である。
以上の通り、従来の全固体電池の製造方法を応用することで、本開示の全固体電池100を容易に製造することができる。
4.補足事項
上記説明においては、2つの第1の集電体層と2つの絶縁層と1つの第2の集電体層とによって短絡電流分散体が構成される形態について示したが、本開示の全固体電池はこの形態に限定されるものではない。短絡電流分散体は、第1の集電体層と第2の集電体層との間に絶縁層を有するものであればよく、各層の数は特に限定されない。
上記説明においては、2つの発電要素が、1つの負極集電体層を共用する形態について示したが、本開示の全固体電池はこの形態に限定されるものではない。発電要素は単電池として機能するものであればよく、正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とが積層されていればよい。
上記説明においては、全固体電池において短絡電流分散体が複数の発電要素の積層方向の両外側に一つずつ備えられる形態について示したが、短絡電流分散体の数はこれに限定されるものではない。全固体電池において外側に複数の短絡電流分散体が備えられていてもよい。また、複数の発電要素の積層方向外側に限らず、短絡電流分散体が複数の発電要素の間に設けられていてもよい。
上記説明においては、複数の発電要素が積層された形態について示したが、全固体電池において発電要素が複数積層されていない形態(単電池のみからなる形態)においても、ある程度の効果が奏されるものと考えられる。ただし、釘刺し時等の短絡によるジュール発熱は、一つの発電要素よりも、複数の発電要素が積層された形態において大きくなりやすい。すなわち、複数の発電要素が積層された形態において、短絡電流分散体を設けることによる効果がより顕著となるといえ、この点が、本開示の全固体電池における優位な点の一つである。
上記説明においては、短絡電流分散体や発電要素から集電タブが突出するものとして説明した。しかしながら、本開示の全固体電池において集電タブはなくてもよい。例えば、面積の大きな集電体層を用い、短絡電流分散体と発電要素との積層体において、複数の集電体層の外縁を突出させるものとし、当該突出させた集電層の間に導電材を挟みこむことで、タブを設けずとも、集電体層同士の電気的な接続が可能である。或いは、タブではなく、導線等によって集電体層同士を電気的に接続してもよい。
本開示の全固体電池は電解液系電池に比べて発電要素内の隙間が少なく、釘刺し時に釘が発電要素を貫通する際、発電要素にかかる圧力が高い。よって、発電要素の短絡抵抗が小さくなり、発電要素間の短絡抵抗のバラつきも大きくなるものと考えられ、短絡抵抗の小さな一部の発電要素へと多くの回り込み電流が流れ込むこととなると考えられる。さらに、全固体電池においては、発電要素内の内部抵抗を低減すべく、発電要素に対して拘束圧力を付与する場合がある。この場合、発電要素の積層方向(正極集電体層が負極集電体層に向かう方向)に拘束圧力が付与されることとなり、釘刺し時、釘による圧力と拘束圧力とが加算されて発電要素に印加されることから、正極集電体層と負極集電体層とが接触して短絡し易く、また、発電要素の短絡抵抗が小さくなり易いものと考えられる。そのため、短絡電流分散体を設けて回りこみ電流を分散させることによる効果が顕著となるものと考えられる。一方、電解液系電池は、通常、電池ケース内が電解液で満たされ、各層が電解液に浸漬されて、各層の隙間に電解液が供給されるものであり、釘刺し時に釘によって印加される圧力が、全固体電池の場合と比較して小さくなる。また、釘刺し時、釘を刺し込んでいる最中の荷重と釘貫通後の荷重との差も小さい。そのため、短絡電流分散体を設ける効果が、全固体電池の場合と比べて、相対的に小さくなるものと考えられる。
尚、バイポーラ電極を介して発電要素同士を電気的に直列に接続した場合は、一部の発電要素に釘を刺すと、他の発電要素から当該一部の発電要素へと釘を介して回り込み電流が流れるものと考えられる。すなわち、接触抵抗の高い釘を介して回り込むこととなり、その電流量は小さい。また、バイポーラ電極を介して発電要素同士を電気的に直列に接続した場合、発電要素のすべてに釘が刺さった場合に回り込み電流が最も大きくなると考えられるが、このような場合、発電要素の放電が既に十分に進行しているものと考えられ、一部の発電要素の温度が局所的に上昇するといったことは生じ難い。この点、発電要素を電気的に並列に接続した場合と比較して、短絡電流分散体による効果が小さくなるものと考えられる。よって、本開示の技術は、発電要素同士を電気的に並列に接続した電池において特に顕著な効果を発揮するものといえる。
1.評価用の全固体電池の作製
1.1.実施例1
(短絡電流分散体の作製)
第1の集電体層として厚み15μmのアルミニウム箔を、第2の集電体層として厚み15μmの銅箔を用い、当該アルミニウム箔と銅箔との間に絶縁層としてポリイミドフィルム(東レ社製)を挟み込んで、接着材で固定し、短絡電流分散体を得た。
(正極活物質の作製)
転動流動式コーティング装置(パウレック製)を用いて、大気環境においてLi1.15Ni1/3Co1/3Mn1/30.005粒子にLiNbOをコーティングし、大気雰囲気下で焼成して正極活物質を得た。
(正極材層の作製)
ポリプロピレン製容器に、酪酸ブチル、PVDF系バインダー(クレハ社製)の5wt%酪酸ブチル溶液、上記正極活物質、及び、硫化物固体電解質(平均粒子径0.8μm、LiI、LiBrを含むLiS−P系ガラスセラミック)を加え、さらに導電助剤としてVGCF(昭和電工社製)を加え、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学社製TTM−1)で3分間振とうさせた後で、超音波分散装置で30秒間攪拌した。さらに、振とう器で3分間振とうした後、得られたペーストをアプリケーターを使用してブレード法にてアルミニウム箔(日本製箔社製)上に塗工した。自然乾燥後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることで、アルミニウム箔(正極集電体層)上に正極材層を形成した。
(負極材層の作製)
ポリプロピレン製容器に、酪酸ブチル、PVDF系バインダー(クレハ社製)の5wt%酪酸ブチル溶液、負極活物質として平均粒子径5μmのシリコン(単体のSi、高純度化学社製)、及び、硫化物固体電解質(平均粒子径0.8μm、LiI、LiBrを含むLiS−P系ガラスセラミック)を加え、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学社製TTM−1)で30分間振とうさせた後で、超音波分散装置で30秒間攪拌した。さらに、振とう器で3分間振とうした後、得られたペーストをアプリケーターを使用してブレード法にて銅箔上に塗工した。自然乾燥後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることで、銅箔(負極集電体層)の両面に負極材層を形成した。
(固体電解質層の作製)
ポリプロピレン製容器に、ヘプタン、BR系バインダー(JSR社製)の5wt%ヘプタン溶液、及び、硫化物固体電解質(平均粒子径2.5μm、LiI、LiBrを含むLiS−P系ガラスセラミック)を加え、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)で30秒間攪拌した。次に、容器を振とう器(柴田科学社製TTM−1)で30分間振とうさせた後で、超音波分散装置で30秒間攪拌した。さらに、振とう器で3分間振とうした後、得られたペーストをアプリケーターを使用してブレード法にてアルミニウム箔上に塗工した。自然乾燥後、100℃のホットプレート上で30分間乾燥させることで、アルミニウム箔(基材)の上に固体電解質層を形成した。
(発電要素の作製)
各層を電池形状に裁断後、負極材層の両表面に固体電解質層を重ね合わせ、CIP(神戸製鋼所社製)にて4ton/cm相当の圧力をかけてプレスした。その後、固体電解質層の表面からアルミニウム箔を剥がし、ここに、正極材層を重ね合わせ、同じく4ton/cm相当の圧力をかけてプレスし、アルミニウム箔(正極集電体層)/正極材層/固体電解質層/負極材層/銅箔(負極集電体層)/負極材層/固体電解質層/正極材層/アルミニウム箔(正極集電体層)の9層構成を備える発電要素(2つの発電要素が一つの負極集電体層を共用)を得た。
(短絡電流分散体と発電要素との積層)
図5に示すように、作製した短絡電流分散体10個と発電要素10個(単電池20個分)とを、短絡電流分散体(5個)、発電要素(10個)、短絡電流分散体(5個)の順番で積層するとともに、不図示の集電タブ同士を超音波溶接して接合することで、短絡電流分散体の第1の集電体層と発電要素の正極集電体層とを電気的に接続し、短絡電流分散体の第2の集電体層と発電要素の負極集電体層とを電気的に接続し、複数の発電要素同士を電気的に並列に接続した。これをラミネートパック内に入れ、真空引きしながら、熱溶着によってラミネート開封部を封止し、評価用の全固体電池を得た。
1.2.比較例1
短絡電流分散体を設けなかったこと以外は、実施例1と同様にして評価用の全固体電池を得た。
1.3.比較例2
負極活物質としてシリコン(Si)に替えて平均粒子径10μmの天然黒鉛(C)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして評価用の全固体電池を得た。
1.4.比較例3
短絡電流分散体を設けなかったこと以外は、比較例2と同様にして評価用の全固体電池を得た。
2.全固体電池の評価
2.1.釘刺し試験時の温度上昇測定
実施例1及び比較例1に係る全固体電池を0Vから4.55Vまで充電し、4.55Vから3Vまで放電し、さらに4.35Vまで充電した。また、比較例2及び比較例3に係る全固体電池を0Vから4.37Vまで充電し、4.37Vから3Vまで放電し、さらに4.37Vまで充電した。
充電後、全固体電池に釘(φ8mm、先端角度60度)を25mm/secの速度で刺し込み、釘刺し後2秒経過時の電池の温度上昇量を測定した。温度はラミネートパック表面の、釘刺し中心から12.5mmの位置に熱電対を貼って測定した。下記表1に、比較例1における温度上昇(TC1)と実施例1における温度上昇量(TE1)との比(TC1/TE1)、及び、比較例3における温度上昇(TC3)と比較例2における温度上昇量(TC2)との比(TC3/TC2)を示す。この比(TC1/TE1、TC3/TC2)の値が大きいほど、短絡電流分散体による温度上昇抑制効果が大きいものといえる。
表1に示す結果から明らかなように、負極活物質としてシリコンを用いた全固体電池においては、短絡電流分散体を設けることで、釘刺し試験時の電池の温度上昇を119分の1と顕著に抑制することができた。一方、負極活物質として炭素を用いた全固体電池においては、短絡電流分散体の有無に関わらず、釘刺し試験時の電池の温度上昇量はほぼ同じであった。
2.2.釘刺し試験時の短絡抵抗測定
比較例1(Si系、短絡電流分散体無し)及び比較例2(C系、短絡電流分散体無し)に係る全固体電池に対して、直流抵抗器を用いて、釘刺し試験時の各発電要素の短絡抵抗を測定した。
その結果、負極活物質としてシリコンを用いた全固体電池においては、複数の発電要素の短絡抵抗のうちの最小値を1とした場合、複数の発電要素の短絡抵抗が最小値1から最大値約60万までと、大きくバラついた。一方、負極活物質として天然黒鉛を用いた全固体電池においては、複数の発電要素の短絡抵抗のうちの最小値を1とした場合、複数の発電要素の短絡抵抗が最小値1から最大値約150までとバラつきが小さかった。以上の通り、負極活物質としてシリコンを用いた全固体電池においては、釘刺し試験時、発電要素間の短絡抵抗が大きくバラつき、一部の発電要素に大きな回り込み電流が流れて、ジュール発熱が大きくなり易いことが分かった。そのため、上述したように、短絡電流分散体を設けて回り込み電流を分散させたことで、温度上昇を顕著に抑制できたと考えられる。
本発明に係る全固体電池は、例えば、車搭載用の大型電源として好適に利用できる。
10 短絡電流分散体
11 第1の集電体層
11a 第1の集電タブ
12 第2の集電体層
12a 第2の集電タブ
13 絶縁層
20 発電要素
21 正極集電体層
21a 正極集電タブ
22 正極材層
23 固体電解質層
24 負極材層
25 負極集電体層
25a 負極集電タブ
100 全固体電池

Claims (1)

  1. 少なくとも1つの短絡電流分散体と複数の発電要素とが積層された全固体電池であって、
    前記短絡電流分散体において、第1の集電体層と第2の集電体層と前記第1の集電体層及び前記第2の集電体層の間に設けられた絶縁層とが積層されており、
    前記発電要素において、正極集電体層と正極材層と固体電解質層と負極材層と負極集電体層とが積層されており、
    前記第1の集電体層が前記正極集電体層と電気的に接続されており、
    前記第2の集電体層が前記負極集電体層と電気的に接続されており、
    複数の前記発電要素同士が電気的に並列に接続されており、
    前記負極材層が負極活物質として単体のSiを含む、
    全固体電池。
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