以下の詳細な説明は、ソリッド・ステート・ドライブ(「SSD」)などの記憶装置における複数のバックアップキャパシタを、キャパシタの長寿命化のためにインテリジェントに管理するための方法、装置及びシステムに関する。SSD及びその他の記憶装置において、(本明細書中で、「バックアップキャパシタ」、「バックアップキャップ」、「バックアップキャパシタ/バンク」などとして互換可能に言及される)複数のバックアップキャパシタが、装置への電力の供給が遮断されている間の情報のバックアップのために使用される。複数のバックアップキャパシタは、(保留中のNANDトランザクションなどの)保留中のライトトランザクションを完了させるのに十分なエネルギーを記憶チャネルに供給して、安全な電源切断を実行する。SSDにおいて、これらのデータバックアップ動作及び電源切断動作は、僅か数ミリ秒で完了しうる。
複数のバックアップキャパシタ又はキャパシタバンクのキャパシタンスは、通常、記憶装置のワーストケースでのピーク動作電力要件に基づいて設計されている。加えて、1つ又は複数のキャパシタ/バンクが故障した場合においても、ピーク電力要件でのバックアップ動作及び電源切断に十分な電力が確保できるように、システムに追加された複数のバックアップキャパシタ/バンクが、ピーク要件を上回る余分な容量を有している場合もある。従来の記憶装置においては、記憶装置の動作時間全体にわたって、複数のバックアップキャパシタが「常時オン」状態であり、この長時間にわたる「オン時間」が、装置の動作寿命の間に、複数のバックアップキャパシタの信頼性を低下させてしまうおそれがある。
本明細書に記載の実施形態を用いることにより、複数のバックアップキャパシタ又はキャパシタバンクを組み込んだSSD又はその他の記憶装置であって、複数のバックアップキャパシタ/バンクとシステムとの接続が、記憶装置の任意の所与の時点における電力要件に基づいてオン及びオフに切り替えられることにより、複数のバックアップキャパシタの信頼性が向上するSSD又はその他の記憶装置が具現化されてもよい。電力喪失の場合にデータバックアップ動作及び電源切断動作を実行するのに要するエネルギーの量は、電力喪失時点における装置の動作電力によって左右される。装置が、その動作寿命の間、常にピーク動作電力で稼働しているのではないことから、全てのバックアップキャパシタを常時継続的に充電している必要はない。
複数の実施形態によれば、装置のコントローラ及び記憶チャネルの電力消費を測定する電力モニタが、SSD又はその他の記憶装置内に具現化されていてもよい。複数のバックアップキャパシタ/バンクは、従来の記憶装置におけるように、全てのバックアップキャパシタ/バンクが装置の動作の間接続されているのではなく、システムとの間の接続が、電力モニタからのリアルタイムの電力消費の詳細に基づいてオン又はオフに切り替えられる。電力消費がピーク未満である場合には、より少数のキャパシタ/バンクが「ターンオン」、即ち、装置の電源回路装置との間の接続がオンに切り替えられ、残りのキャパシタが「ターンオフ」、即ち、電源回路装置との間の接続がオフに切り替えられてもよい。このことにより、複数のキャパシタの総動作時間(及びこれらに加えられるストレス)が大幅に低減され、その結果、装置の動作寿命全体にわたる信頼性が向上する。幾つかの場合においては、装置の信頼できるバックアップキャパシタンスでの動作寿命を30〜40%延長することが可能である。
図1は、SSD装置などの記憶装置における複数のバックアップキャパシタを、キャパシタの長寿命化のためにインテリジェントに管理するための一方法を図示している。ルーチン100は、通常の動作中に実行されてもよいが、例えば装置の「ユーザモード」中に実行されてもよい。幾つかの実施形態によれば、ルーチン100が、記憶装置のコントローラのソフトウェア及び/又は回路装置内に実装されているバックアップキャパシタ管理モジュールによって実行されてもよい。ルーチン100は、装置の電源投入時に装置の全てのバックアップキャパシタ又はキャパシタバンクが容量100%まで充電されるステップ102を含む。幾つかの実施形態によれば、フル充電の間、キャパシタと電源回路装置との接続をオフに切り替えることで、キャパシタの信頼性及び動作寿命が更に向上する。別の複数の実施形態においては、ある数のキャパシタ/バンクが電源投入時にターンオンされ、経時的に充電されてもよい。
次に、ステップ104で、データバックアップ動作及び電源切断動作を実行するのに要するバックアップエネルギーを決定するために、記憶装置の電力消費が通常の動作の間監視される。幾つかの実施形態においては、バックアップエネルギー要件が、電力入力において測定された現在の電力消費から求められてもよい。例えば、あるSSD装置のバックアップ時間Tが、装置の設計中に決定されてもよく、数ミリ秒から数秒にわたってもよい。装置の瞬時電力消費PINSTが電力入力において電力モニタから取得された場合には、現在のバックアップエネルギー要件EREQが、EREQ=PINST *Tとして算出されてもよい。別の複数の実施形態においては、装置の現在のバックアップエネルギー要件が、装置の現在の電力消費、装置によって処理されている演算の割合、装置のキャッシュ内のNAND演算の数などのうちの1つ又は複数に基づいて算出されてもよい。
幾つかの実施形態によれば、装置のバックアップエネルギー要件が、周期的に求められてもよい。例えば、装置のバックアップエネルギー要件が、装置のバックアップ電力のために利用可能なキャパシタンスを実質的にリアルタイムで調整するために、1〜5マイクロ秒ごとに決定されてもよい。このことが、使用頻度が比較的低いコアを装置のバックアップエネルギー要件のほぼ継続的な監視のために利用可能なマルチコアプロセッサを有する記憶装置において望ましくてもよい。別の複数の例においては、バックアップエネルギー要件が、一日に1回から数回などのより低い頻度で求められてもよい。このことが、装置の電力要件が常に比較的一定である場合において望ましくてもよい。別の複数の実施形態においては、バックアップエネルギー要件が決定される頻度が、装置の動作条件に基づいて変化してもよい。例えば、装置のコントローラ内にアクティビティが存在する間は、バックアップエネルギー要件が、1〜5マイクロ秒ごとに1回などの第1の周期で決定されてもよい。コントローラ内のアクティビティが検出されない場合には、バックアップエネルギー要件が、例えば毎秒1回などのより低い頻度で決定されてもよい。バックアップエネルギー要件を求めるためにいかなる周期を使用してもよく、そのような周期の全てが本開示の範囲に含まれることは、当業者に理解されよう。
ルーチン100は、装置の複数のバックアップキャパシタ/バンクのうちの1つ又は複数が、装置のバックアップエネルギー要件に基づいてターンオン又はターンオフ、即ち記憶装置の電源回路装置との接続をオン又はオフに切り替えられるステップ106へと進む。複数の実施形態によれば、記憶装置の複数のバックアップキャパシタが、単一のキャパシタ又は複数のキャパシタからなるバンクに分割され、各キャパシタ/バンクが既知のエネルギー蓄積容量を有してもよい。バックアップキャパシタ/バンクが総キャパシタンスCを有する場合には、バックアップキャパシタによって供給されるバックアップエネルギーEBCは、EBC=0.5*C*V2によって算出されてもよく、式中、Vはキャパシタの両端の電圧である。例えば、最大バックアップエネルギー要件Nについては、記憶装置の複数のバックアップキャパシタが、エネルギー蓄積容量1/2N、1/2N、1/4N、及び1/4Nを有する4つのキャパシタ/バンクに分割されてもよい。各キャパシタ/バンクは、コントローラによって、記憶装置の電源回路装置との接続をオン又はオフに切り替えられることが可能である。
ステップ104で算出された装置のバックアップエネルギー要件EREQに基づき、コントローラが各キャパシタ/バンクのうちの1つ又は複数をターンオン又はターンオフしてもよい。例えば、利用可能な総バックアップエネルギーETOTALが、現在オン状態である全てのバックアップキャパシタの各バックアップエネルギーEBCを合計することで得られてもよい。ETOTAL>EREQである限り、停電時にデータバックアップ及び電源切断を行うのに十分なバックアップエネルギーが利用可能である一方で、不要なキャパシタ/バンクが継続的な充電サイクルに残存することが防止されることにより、これらの動作寿命が向上する。幾つかの実施形態によれば、接続を遮断されたキャパシタは、フル充電状態で開放されたままとなる。最大バックアップエネルギー要件が必要である場合には、全てのバックアップキャパシタ/バンクがターンオンされる。更なる複数の実施形態においては、ターンオン又はターンオフされる各キャパシタ/バンクが、各キャパシタ/バンクがオン(継続的な充電)状態である時間が実質的に均等化されるように構成されたローテーションスケジュールに基づいていることにより、複数のバックアップキャパシタの信頼性及び記憶装置の動作寿命が更に向上してもよい。
図1に示すように、バックアップエネルギー要件を監視し、適切なバックアップキャパシタ/バンクをオン又はオフに切り替えるプロセスが、記憶装置の通常の動作の間、継続的に反復される。しかしながら、ステップ108に示すように停電が発生した場合には、ルーチン100が、記憶装置が必要なデータバックアップ動作を実行するステップ110へと進む。このことが、例えば、SSDにおける全てのキャッシュされたNAND演算を処理することを含んでもよい。別の複数の記憶装置においては、このことが、ライトキャッシュを記憶媒体にフラッシュすることを含んでもよい。複数の実施形態によれば、記憶装置が、データバックアップ動作を完了させて、全てのデータが保全されるグレースフルな電源切断を行うために、現在オン状態である複数のバックアップキャパシタ/バンクからの十分なエネルギーを有してもよい。ルーチン100はステップ110で終了する。
図2及び以下の記載は、本明細書に記載の複数の実施形態を実施可能な好適な環境を概略的に説明することを意図されている。詳細には、図2は、本明細書に記載の複数の実施形態に基づく、装置の複数のバックアップキャパシタをインテリジェントに管理するための、ハードウェア、ソフトウェア及び複数の部品を有するSSD装置などの記憶装置200の一例を図示している。記憶装置200が、記憶装置の動作を制御するコントローラ/プロセッサ210を有してもよい。記憶装置200が、記憶装置200と通信可能に結合され、記憶装置との間でデータの格納及び検索を行うことの可能なホスト装置又はその他の、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(「PC」)、ラップトップ、タブレット、ゲームコンソール、セットトップボックス又は任意のその他の電子機器などの部品と通信を行うことを可能にするホストインターフェース212を、記憶装置200が更に有してもよい。コントローラ210が、ホスト装置からの読み出し/書き込み命令を、ソリッド・ステート媒体、磁気的媒体、光学的媒体及び/又はこれらの及びその他の当業者で周知のデータ記憶媒体任意の組み合わせを含んでもよい記憶チャネル214を介して処理してもよい。
コントローラ/プロセッサ210が、プロセッサ実行可能な命令、データ構造及びその他の情報を記憶するためのコンピュータ可読記憶媒体又は「メモリ」210を更に有してもよい。メモリ210が、読み出し専用メモリ(「ROM」)及び/又はFLASHメモリなどの不揮発性メモリ並びに、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(「DRAM」)又は同期ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(「SDRAM」)などのランダムアクセスメモリ(「RAM」)を備えてもよい。メモリ210が、記憶装置200の記憶チャネル214内に記憶媒体の一部を更に備えてもよい。例えば、メモリ216が、記憶装置200の動作を実行するのに必要な命令及びデータを備えたファームウェアを記憶してもよい。幾つかの実施形態によれば、メモリ216が、プロセッサによって実行された時に、記憶装置200の複数のバックアップキャパシタをインテリジェントに管理するための本明細書に記載のルーチン100のステップ102〜110の一部又は全てを実行する、プロセッサ実行可能な複数の命令を記憶してもよい。
環境が、メモリ216に加えて、記憶装置200内の複数の電圧源間で電力負荷を分担するためのプログラムモジュール、データ構造及びその他の本明細書に記載のデータを記憶しているその他のコンピュータ可読媒体を有してもよい。コンピュータ可読媒体が、コンピュータ可読記憶媒体及び通信媒体を含む演算システムによってアクセス可能なコントローラ/プロセッサ210又はその他のいかなる利用可能な媒体であってもよいことが、当業者に理解されよう。通信媒体は、一時的な信号を含む。コンピュータ可読記憶媒体は、情報の非一時的な記憶のための任意の方法又は技術において具現化される揮発性の及び不揮発性の、リムーバブルな及び非リムーバブルな記憶媒体を含む。例えば、コンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、消去可能プログラマブルROM(「EPROM」)、電子的消去可能プログラマブルROM(「EEPROM」)FLASHメモリ又はその他のソリッド・ステート・メモリ技術、コンパクトディスクROM(「CD−ROM」)、デジタルバーサタイルディスク(「DVD」)、高精細DVD(「HD−DVD」)、BLU−RAY(登録商標)又はその他の光学的な記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置又はその他の磁気記憶装置などを非限定的に含む。
記憶装置200が、ホスト装置により、SATA電力コネクタ、Molex(登録商標)電力コネクタ、シリアルアタッチドSCSI(「SAS」)コネクタなどの標準的な電力コネクタ220を介して動作用の電力を供給されてもよい。幾つかの実施形態においては、ホストが、装置の様々な部品を動作させるために、記憶装置200の電源回路装置に複数の電圧を供給してもよい。例えば、SSD記憶装置200が、SATA電力コネクタ220で供給される+5Vを利用してコントローラ/プロセッサ210を動作させ、+3.3Vを利用して記憶チャネル214内のNANDフラッシュメモリを動作させてもよい。幾つかの実施形態によれば、記憶装置200の電源回路装置が、様々な部品に電力を分配すると共に装置の複数の部品を電源に起因する損傷から保護して、本明細書中に記載するように複数のバックアップキャパシタを用いて停電中にバックアップ電力を使用することを可能にする電子ヒューズ回路又は電子ヒューズ222を有する。
更なる複数の実施形態によれば、記憶装置200の電源回路装置が、記憶装置200の瞬時電力消費を監視することの可能な電力モニタ224を更に有する。幾つかの実施形態においては、電力モニタ224が、電子ヒューズ222内に実装された、又は電子ヒューズ222と電力コネクタ220との間に組み込まれた回路装置を備えてもよい。電力モニタ224が、本明細書中に記載する複数のバックアップキャパシタの管理のために、電力消費データをコントローラ/プロセッサ210に供給するように構成されていてもよい。
記憶装置200の電源回路装置は、(本明細書中では概略的に複数のバックアップキャパシタ226と呼ぶ)複数のバックアップキャパシタ226A〜226Nを更に有する。バックアップキャパシタ226Aなどの各バックアップキャパシタが、所定量のエネルギーを蓄積するように設計された単一のキャパシタ部品又は並列に接続された複数のキャパシタ部品からなるバンクを備えてもよい。複数のキャパシタ部品が、タンタルキャパシタ、ニオビウムキャパシタ、スーパーキャパシタ及び/又は任意のこれらの組み合わせ並びにその他の当業で周知のキャパシタ部品を備えてもよい。各バックアップキャパシタ226A〜226Nのエネルギー蓄積容量が、電力遮断時に記憶装置200に適切かつ強靭なバックアップエネルギーを供給するが、複数のキャパシタの管理に使用されるスイッチング制御は最小限とするように選択されてもよい。例えば、最大バックアップエネルギー要件Nについては、記憶装置の複数のバックアップキャパシタが、エネルギー蓄積容量1/2N、1/2N、1/4Nと1/4Nをそれぞれ有する4個のバックアップキャパシタ226を有してもよい。このことにより、最大バックアップエネルギー要件が150%となる一方で、バックアップキャパシタ226の数が4個に限定されることから、本明細書の複数の実施形態に基づく複数のバックアップキャパシタのインテリジェントな管理に要するスイッチング部品が4個のみとなる。バックアップキャパシタ226の種類、数、容量及び構成は、本開示によって限定されることは意図されておらず、記憶装置200又は一群の記憶装置の設計及び製造の間に、装置の電力要件、装置によって使用される記憶チャネル214の種類、装置によってキャッシュされる動作の数及び種類に基づいてなしうる設計上の選択の結果であることが理解されよう。
複数の実施形態によれば、各バックアップキャパシタ226A〜226Nが、(本明細書中では概略的にスイッチング部品228と呼ぶ)対応するスイッチング部品228A〜228Nによって、記憶装置200の電源回路装置との接続を、本明細書中ではそれぞれ「ターンオンされる」又は「ターンオフされる」とも呼ばれてもよいが、オン又はオフに切り替えられてもよい。スイッチング部品228が、1つ又は複数のバックアップキャパシタの充電及び放電のために、対応するバックアップキャパシタ226A〜226Nと電源バスとを接続又は切断するためのソリッド・ステート・リレー、トランジスタなどを備えてもよい。幾つかの実施形態においては、スイッチング部品228が記憶装置のコントローラ/プロセッサ210によって制御されてもよい。例えば、コントローラ/プロセッサ210が、スイッチング部品228を直接に又はマルチプレクサ回路(MUX)(図示せず)を介して制御するために、入手可能な多目的I/O(GPIO)ピンを利用してもよい。別の複数の実施形態においては、スイッチング部品228が専用の回路装置によって制御されてもよい。
更なる複数の実施形態においては、記憶装置がバックアップキャパシタ管理モジュール230を有してもよい。バックアップキャパシタ管理モジュール230が、記憶装置200のバックアップキャパシタ226を、キャパシタの信頼性向上及び長寿命化のためにインテリジェントに管理するための方法及びプロセスを実行してもよい。例えば、バックアップキャパシタ管理モジュール230が、周期的に電力モニタ224から電力消費データを受信し、電力消費データの少なくとも一部に基づいて記憶装置200の瞬時バックアップエネルギー要件を算出し、装置の現在のバックアップエネルギー要件に基づいて、適切なバックアップキャパシタ226をオン又はオフに切り替えるためのスイッチング部品228を利用してもよい。幾つかの実施形態によれば、バックアップキャパシタ管理モジュール230が、コントローラ/プロセッサ210内で実行されるソフトウェアとして具現化され、記憶装置200のファームウェアの一部としてメモリ216内に記憶されてもよい。更なる複数の実施形態においては、バックアップキャパシタ管理モジュール230が、記憶装置200の電源回路装置内のハードウェア部品及びコントローラ/プロセッサ210内のソフトウェアとの組み合わせとして具現化されてもよい。
バックアップキャパシタ管理モジュール230が、様々なバックアップキャパシタ管理パラメータ232を、バックアップキャパシタ226のインテリジェントな管理のために利用してもよい。幾つかの実施形態によれば、バックアップキャパシタ管理パラメータ232が、記憶装置200のメモリ216内に記憶されてもよい。例えば、図3に示すように、バックアップキャパシタ管理モパラメータ232が、(本明細書中では概略的にバックアップエネルギー要件しきい値302と呼ぶ)複数のバックアップエネルギー要件しきい値302A〜302Nを含んでもよい。各バックアップエネルギー要件しきい値302が、バックアップエネルギー要件を満たすためのバックアップエネルギー要件しきい値及び、バックアップキャパシタ管理モジュール230によってターンオンされなければならないバックアップキャパシタ226の数又は大きさの詳細を特定してもよい。現在のバックアップエネルギーがしきい値を上回るか又は下回ると、これに応じて特定されたバックアップキャパシタがターンオン又はターンオフされ、装置への電力の供給が遮断された場合に記憶装置200への十分なバックアップエネルギーが確保されてもよい。
バックアップキャパシタ管理パラメータ232が、バックアップキャパシタローテーションスケジュール304を更に含んでもよい。バックアップ・キャパシタ・ローテーション・スケジュール304が、いずれか一つのバックアップキャパシタのみがほぼ常時オン状態、即ち継続的な充電状態とならないように、バックアップキャパシタ管理モジュール230によって利用されるバックアップキャパシタ226用のローテーションスケジュールを、様々なバックアップエネルギー要件しきい値302ごとに異なるバックアップキャパシタ/バンクをオン又はオフに切り替えるように指定することにより、様々なバックアップキャパシタの動作寿命を均等化してもよい。例えば、充電時間とも呼ばれる、各バックアップキャパシタ226が「オン状態」である時間が、カウンタによって監視されてもよい。あるバックアップキャパシタのカウンタが何らかのしきい時間値T,を超えると、バックアップキャパシタがターンオフされ、同じエネルギー容量の次の1つ又は複数のバックアップキャパシタがターンオンされてもよい。次に、このバックアップキャパシタ用のタイマがリセットされてもよい。バックアップキャパシタ226のためのこの充電時間情報が、その他のバックアップキャパシタ管理パラメータ232と共に、例えばコントローラ210のメモリ216の不揮発性の領域内に記憶されてもよい。装置の瞬時電力消費に基づいてターンオンするバックアップキャパシタを選択するために、充電時間情報の周期的な読み出し及び更新を用いることにより、複数のバックアップキャパシタの動作寿命を均等化してもよい。バックアップキャパシタ226のインテリジェントな管理のために、図面に図示し、本明細書中に記載するもの以外の数多くのその他のバックアップキャパシタ管理パラメータ232も、バックアップキャパシタ管理モジュール230によって更に又は代わりに利用されてもよいことが理解されよう。
再び図2を参照すると、記憶装置200の構成及び/又は機能が、図面に図示し本明細書中に記載するものとは異なってもよいことが理解されよう。例えば、記憶装置200のコントローラ/プロセッサ210、ホストインターフェース212、記憶チャネル214の複数の部品、メモリ216、電子ヒューズ222、電力モニタ224、バックアップキャパシタ226、スイッチング部品228及びその他の複数の部品及び回路装置が、システムオンチップ(「SoS」)などの共通の集積回路パッケージ内に組み込まれていてもよいが、これらが複数の集積回路パッケージ間に分散されていてもよい。同様に、図示された接続経路は限定ではなく例示を目的として記載されており、幾つかの部品及び/又は相互接続が明瞭化のために省略されてもよい。記憶装置200が、図2に図示する全ての部品を有する必要はなく、図2に明示されていないその他の部品を有してもよく、図2に図示するものとは全く異なる構成を採用してもよいことが更に理解されよう。
実際の利用率は、インテリジェント管理及びバックアップキャパシタのローテーションアルゴリズムの実装及び効率によって左右されうるが、本明細書中に記載の技術を用いることにより、典型的なエンタープライズSSD装置における任意の一バックアップキャパシタ226の利用率(オン/充電/放電状態である時間)を35%まで減少させることが可能であることが、シミュレーションでは示されている。このことは、単一のバックアップキャパシタ及び、これに対応して1つ又は複数のバックアップキャパシタバンクの信頼性を向上させるであろう。加えて、本明細書中に記載の複数の部品を、既存のドライブ設計及び構成に、ドライブのパフォーマンス又は動作を劣化又は変化させることなく加えてもよい。
以上の記載から、記憶装置におけるバックアップキャパシタを、キャパシタの長寿命化のためにインテリジェントに管理する方法及び装置が本明細書で示されていることが理解されよう。本明細書に示す複数の実施形態は、記憶装置、より詳細にはSSDに関連させながら記載されているが、本明細書に記載の方法、装置及びシステムが、装置の主電源の遮断中にバックアップ電力用のバックアップキャパシタを使用するいかなる装置に利用されてもよいことが理解されよう。これには、ハードディスクドライブ(「HDD」)装置、ソリッド・ステート・ハイブリッド・ドライブ(「SSHD」)装置、光学的記憶装置、通信及びネットワーキング装置、サーバコンピュータ装置などが含まれる。これらのような装置の全てが本開示の範囲に包含されることが意図されている。
本明細書中で、方法、プロセス又はルーチンの一部として記載されている論理的ステップ、関数又は演算が、(1)相互接続された複数のデジタル回路又は部品として、及び/又は(2)プロセッサにより実行される一連の動作、複数のソフトウェアモジュール或いはコントローラ又は演算システム上で実行しているコードの複数の部分として具現化されてもよい。具現化は、システムのパフォーマンス及びその他の要件に基づいて選択される。関連する機能により、演算、関数又はステップが全く含まれないか又は実行されなくてもよいか、或いは、図示又は記載された順序とは異なる、実質的に同時か又は逆を含む順序で実行されてもよい複数の代替的な具現化が包含されることが、本開示の当業者によって容易に理解されるであろう。
更に、「可能である」、「可能であろう」、「してもよい」、「であってもよい」などの条件的な語句は、特に別に記載されない限り、又は用いられる文脈から特に別に解釈されない限り、ある特徴、要素及び/又はステップが幾つかの実施形態には含まれ、その他の実施形態には含まれないことを意味するものとして一般的には意図されていることも理解されるであろう。従って、そのような条件的な語句は、特徴、要素及び/又はステップが1つ又は複数の特定の実施形態に必要であるか、或いは1つ又は複数の特定の実施形態が、これらの特徴、要素及び/又はステップが任意の特定の実施形態に含まれるのか否か、又はそのような実施形態において実行されるのか否かを、ユーザによる入力又は働きかけの有無にかかわらず決定するための論理を必然的に含むことを意味するものとしては一般的には意図されていない。
上述の実施形態に、本開示の趣旨及び原理から実質的に逸脱することなく数多くの変更及び修正を加えることが可能である。更に、本開示の範囲は、上述の全ての要素、特徴及び局面の任意の及び全ての組み合わせ及び部分集合を含むことを意図されている。そのような変更及び修正は全て、本開示の範囲に包含されることを意図されており、また、複数の要素又はステップの各局面又は組み合わせに関する全ての可能性のある請求項は、本開示によって裏付けられることを意図されている。