JP2018179503A - レーダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車高が変化しても対象物を確実に検出することができるレーダ装置を提供する。【解決手段】車両に搭載可能で、車両に近接する対象物の検出を行なうためのレーダ装置100であって、送信波を生成して出力する送信部25と、送信波を放射すると共に送信波の対象物からの反射波を受信するアンテナ30と、アンテナ30を介して反射波が入力される受信部20と、受信部20からの信号に基づいて対象物の検出を行なう検出部10と、アンテナ30の指向性を変化させる指向性可変手段15と、送信部25と受信部20と検出部10と指向性可変手段15とを制御する制御部70と、を備え、指向性可変手段15は、車両の車高の変化に基づいてアンテナ30の指向性を変化させる。【選択図】図3

Description

本発明は、車両に搭載されて車両周辺を監視する車両周辺監視装置のためのレーダ装置に関し、特に車高を変更可能な車両に対応することのできるレーダ装置に関する。
従来から、車両に搭載して車両周辺を監視する車両周辺監視装置のためのレーダ装置が提案されている。このような従来のレーダ装置として、下記の特許文献1に記載の車両周辺監視装置900が知られている。図11を用いて、車両周辺監視装置900について説明する。
車両周辺監視装置900は、図11に示すように、送信波を発生する送信回路903と、車両のドアミラーの周辺あるいは内部に搭載されて、送信回路903から発生する送信波を自車両の側方から後方にかけて隣車線の領域に広がる範囲に伝搬させる指向性を持つ成形ビームとして放射するアンテナ904と、車両周辺の対象物からの反射波をアンテナ905によって受信する受信回路906と、送信回路903により発生した送信波がアンテナ904から放射されて、対象物により反射されて受信に至るまでの時間により対象物と間の距離を演算すると共に、受信される反射波のドップラー周波数から相対速度を演算し、それらの演算結果に基づいて対象物との衝突に対する危険度を判定する演算回路902と、演算回路902の判定結果を危険度に応じて運転者に報知するLED907及びLED908と、を備える。尚、図11ではアンテナ904やアンテナ905の具体的な構造は示されていないが、複数のアンテナ素子を用いたアレイアンテナ構造として、アンテナの指向性を特定の方向に向けることによって、対象物の検出における位置精度を高めることができる。そして、このようなアレイアンテナ構造では、アンテナの指向性が水平方向に向けられる場合が多い。
このような構成によって、車両周辺の対象物との衝突に対する危険度を比較的近距離から比較的遠距離の全域にわたって監視することができる車両周辺監視装置を提供することができる。
特開平2001−141813号公報
近年、走行状況に応じて車高を変化させることのできる車両が開発されてきているが、このような車高を変化させることのできる車両に上述した車両周辺監視装置900のようなレーダ装置を搭載した場合、車高が基準の車高であるときには、対象物に向かって放射波を効率良く放射したり、対象物からの反射波を効率良く受信したりすることができるが、車高を変更したときには、放射波の効率良い放射や反射波の効率良い受信ができなくなり、車高が基準の車高であるときに検出できていた対象物を検出できなくなってしまうという可能性があった。
本発明はこのような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、車高が変化しても対象物を確実に検出することができるレーダ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明のレーダ装置は、車両に搭載可能で、前記車両に近接する対象物の検出を行なうためのレーダ装置であって、送信波を生成して出力する送信部と、前記送信波を放射すると共に前記送信波の前記対象物からの反射波を受信するアンテナと、前記アンテナを介して前記反射波が入力される受信部と、前記受信部からの信号に基づいて前記対象物の検出を行なう検出部と、前記アンテナの指向性を変化させる指向性可変手段と、前記送信部と前記受信部と前記検出部と前記指向性可変手段とを制御する制御部と、を備え、前記指向性可変手段は、前記車両の車高の変化に基づいて前記アンテナの指向性を変化させる、という特徴を有する。
このように構成されたレーダ装置では、指向性可変手段が車両の車高の変化に基づいてアンテナの指向性を変化させるので、車高を変更可能な車両であっても対象物を確実に検出することができる。
また、上記の構成において、前記指向性可変手段は、前記アンテナから前記対象物までの想定距離と前記車高の変化量とによって決定される角度に対応して、前記車両の高さ方向に対する前記アンテナの指向性を変化させる、という特徴を有する。
このように構成されたレーダ装置では、アンテナから対象物までの想定距離と車高の変化量とによって決定される角度に対応して、車両の高さ方向に対するアンテナの指向性を変化させるので、車高の変化量に合わせた指向性の変化が可能である。
また、上記の構成において、所定の間隔を隔てて前記車両の高さ方向に沿って配設された複数の前記アンテナを有し、前記指向性可変手段は、複数の前記アンテナにそれぞれ接続された移相器を有し、前記想定距離と前記車高の変化量とによって決定される角度に対応して、前記移相器の位相シフト量を変化させる、という特徴を有する。
このように構成されたレーダ装置では、移相器の位相シフト量によってアンテナの指向性を変化させるので、アンテナの傾きを調整するための複雑な駆動装置が不要になり、指向性の調整が簡単になる。
また、上記の構成において、前記車両の高さ方向に対する傾斜角度が互いに異なる複数の前記アンテナを有し、前記想定距離と前記車高の変化量とによって決定される角度に対応して、前記検出部と複数の前記アンテナとの接続状態を切り替える、という特徴を有する。
このように構成されたレーダ装置では、検出部と複数のアンテナとの接続状態を切り替えることによってアンテナの指向性を変化させるので、複雑な駆動装置や複雑な位相シフト処理が不要になり、回路構成が簡単になる。
本発明のレーダ装置では、指向性可変手段が車両の車高の変化に基づいてアンテナの指向性を変化させるので、車高を変更可能な車両であっても対象物を確実に検出することができる。
本発明の実施形態におけるレーダ装置と車両及び対象物を示す平面図である。 レーダ装置と車両及び対象物との関係を示す立面図である。 レーダ装置の構成を示すブロック図である。 受信アンテナ及び送信アンテナの配置を示す側面図である。 受信アンテナと対象物との関係を示す模式図である。 受信アンテナの基準の高さ時における反射波の変化を示す模式図である。 受信アンテナの変更後の高さ時における反射波の変化を示す模式図である。 本発明の変形例のレーダ装置の構成を示すブロック図である。 変形例の受信アンテナ及び送信アンテナの配置を示す側面図である。 変形例の受信アンテナの配置を示す立面図である。 従来例に係るレーダ装置を示す模式図である。
[実施形態]
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態であるレーダ装置100は、車両に搭載可能で、車両に近接する対象物の検出を行なうためのレーダ装置であって、ドライバーアシスト等のために使用される。本発明のレーダ装置の用途については、以下説明する実施形態に限定されるものではなく適宜変更が可能である。尚、本明細書では、各図面に対する説明の中で便宜上、上側、下側と記載している場合があるが、これらは、それぞれ各図面内で+Z側、−Z側を示すものであり、製品の設置方向や使用時の方向をこれらに限定するものではない。また、本明細書では、受信アンテナの指向性を変化させる方法に限定して説明するが、同様の技術を送信アンテナの指向性を変化させる方法や、送受信共用のアンテナの指向性を変化させる方法に応用することは容易である。
最初に、図1乃至図4を参照して、レーダ装置100の構成について説明する。図1は、本発明の実施形態におけるレーダ装置100と車両90及び対象物95とを示す平面図である。図2は、車両90の後ろ側から見たレーダ装置100と車両90及び対象物95との関係を示す立面図であり、図2(a)は、車両90の車高が基準の車高HC1の場合を示し、図2(b)は、車高HC1よりも低い車高HC2の場合を示す。また、図3は、レーダ装置100の構成を示すブロック図であり、図4は、送受信アンテナ装置30における、車両90の左側から見た受信アンテナ31及び送信アンテナ35の配置を示す側面図である。
レーダ装置100は、図1及び図2に示すように、車両90の前後左右それぞれの複数の箇所に取り付けられ、車両90に近接する対象物95の検出を行なうために、送信波TR1を、車両90の前後方向(Y方向)及び上下方向(Z方向)への所定の放射角度を有して、所定の方向(例えば図1及び図2のように−X方向)へ放射する。また、対象物95からは反射波RE1がレーダ装置100に返ってくる。対象物95としては、例えば、歩行又は静止している人、自転車やバイク、又は当該車両90に近接して走行又は静止している車両である。
レーダ装置100が搭載された車両90は、車高を変更可能な車両である。車両90は、道路91の状況によって図2に示すように、基準の車高HC1(図2(a)参照)にしたり、車高HC1よりも低い車高HC2(図2(b)参照)としたりすることができる。また、車高を、例えば、基準の車高HC1よりも高くするようにしても良い。尚、レーダ装置100が搭載された車両90では、説明を簡略にするため、車高HC1と車高HC2の2通りの車高だけが選択可能であるものとする。
レーダ装置100は、図3に示すように、送信波TR1を生成して出力する送信部25と、この送信部25に接続され送信波TR1を所定の方向に放射する送信アンテナ35と、送信波TR1の対象物95からの反射波RE1を受信する複数の受信アンテナ31と、この受信アンテナ31に接続され受信アンテナ31を介して反射波RE1が入力される受信部20と、受信部20に接続され受信部20からの信号に基づいて対象物95の検出を行なう検出部10と、受信アンテナ31の指向性を変化させる指向性可変手段15と、送信部25と受信部20と検出部10と指向性可変手段15とを制御する制御部70と、を備えている。
尚、複数の受信アンテナ31は、第1受信アンテナ31a、第2受信アンテナ31b、第3受信アンテナ31c及び第4受信アンテナ31dから成り、また、受信アンテナ31に接続されている受信部20は、内部に4つの受信増幅器21を備えている。
送信部25には、送信波TR1を生成する信号生成回路26と生成された送信波TR1を増幅する送信増幅器27とが設けられており、送信増幅器27で増幅された送信波TR1は送信アンテナ35に出力される。送信アンテナ35からは、対象物95に向けて送信波TR1が放射される。尚、図示しないが、生成された送信波TR1の一部を受信部20側でミキシング用の信号として使用しても構わない。
受信アンテナ31には、送信波TR1の対象物95からの反射波RE1が入射し、受信アンテナ31で受信した反射波RE1は、受信部20に入力される。受信部20に設けられている受信増幅器21が反射波RE1を増幅した後、指向性可変手段15を介して検出部10に出力する。
送信アンテナ35と受信アンテナ31とは、送受信アンテナ装置30を構成している。送受信アンテナ装置30は、図4に示すように、基板39上に形成されている。送信アンテナ35及び受信アンテナ31は、それぞれ、複数のアンテナ素子30aで形成されている。アンテナ素子30aは、送信アンテナ35又は受信アンテナ31の両方の機能を有しており、送信アンテナ35用としても、受信アンテナ31用としても使用可能である。
送受信アンテナ装置30を形成している基板39は、図2(a)及び図2(b)に示すように、送受信アンテナ装置30が形成されている面を車両90の外側に向けて、車両90の高さ方向(Z方向)に沿って立てて取付けられている。
図4に示すように、各受信アンテナ31、即ち第1受信アンテナ31a、第2受信アンテナ31b、第3受信アンテナ31c、及び第4受信アンテナ31dは、それぞれ複数(レーダ装置100では4個)のアンテナ素子30aがY方向に配置されて構成されている。即ち、アンテナアレイを形成している。送受信アンテナ装置30内では、これらのアンテナアレイによって受信アンテナ群37を形成している。
アンテナ素子30aをY方向に複数配置することによって、車両90の前後方向における対象物95の検出性を高めることができる。尚、各受信アンテナ31は、アンテナアレイを形成していなくて、それぞれが1個のアンテナ素子30aで構成されていても良い。
複数の受信アンテナ31(第1受信アンテナ31a、第2受信アンテナ31b、第3受信アンテナ31c、及び第4受信アンテナ31d)は、それぞれの中心点が所定の間隔d1を隔てて、基板39上で配置されている。即ち、複数の受信アンテナ31それぞれは、所定の間隔d1を隔てて、車両90の高さ方向に沿って上下に配設されている。当該所定の間隔d1は、送信波TR1の波長及び検出精度を考慮して決められる。
送信アンテナ35は、図4に示すように、それぞれ複数(レーダ装置100では4個)のアンテナ素子30aがZ方向に配置されて、アンテナアレイを構成している。尚、送信アンテナ35は、複数のアンテナ素子30aでなく、1個のアンテナ素子30aだけで構成されていても良い。また、本実施形態では、送信アンテナ35には急峻な指向性が設定されておらず、送信波TR1が水平方向を中心として比較的広範囲に放射されるようになっているものとする。
検出部10は、図3に示すように、指向性可変手段15を介して受信部20に接続された演算回路10aを有しており、演算回路10aには受信部20からの信号が指向性可変手段15を介して入力されるようになっている。
指向性可変手段15は、複数の移相器15aと複数の移相器15aが接続された合成器15bとで構成されている。複数の移相器15aは、各受信アンテナ31に対応してそれぞれ設けられる。
複数の移相器15aそれぞれは、各受信アンテナ31から伝送される反射波RE1それぞれの位相を変更するように構成されており、その際の位相シフト量は変更可能となっている。複数の移相器15aそれぞれの出力信号は、合成器15bに入力され、合成器15bで合成される。尚、指向性可変手段15の詳細な動作については、後に説明する。
合成器15bからの出力信号は、検出部10の演算回路10aに入力される。演算回路10aでは、合成器15bからの出力信号に基づいた演算処理によって対象物95までの距離や対象物95の形状等を検知することができる。尚、図示しないが、送信波TR1の一部を演算回路10aに入力して送信波TR1と反射波RE1とを比較して演算処理をしても構わない。
制御部70は、上述した送信部25、受信部20、検出部10、及び指向性可変手段15を制御する。特に、車両90の車高を変更した場合に、車両90内の車高変更機構(図示せず)からの情報が制御部70に入力され、その情報によって検出部10内の指向性可変手段15を制御する。
次に、図2乃至図7を参照して、レーダ装置100における対象物95の検出方法について説明する。図5は、受信アンテナ31と対象物95との関係を示す模式図であり、図6は、受信アンテナ31の基準の高さHA1時、即ち基準の車高HC1時における反射波RE1の変化を示す模式図であり、図7は、受信アンテナ31の変更後の高さHA2時、即ち変更後の車高HC2時における反射波RE1の変化を示す模式図である。
前述したように、車両90は、車高を変更可能な車両である。車高が基準の車高HC1である場合、図2(a)に示すように、送受信アンテナ装置30内の送信アンテナ35から放射された送信波TR1のうち、検出しようとする対象物95の高さ方向の中心に向けて水平方向に放射された送信波TR1が、対象物95から水平方向に反射し、反射波RE1として送受信アンテナ装置30内の受信アンテナ31に入射する。
一方、車高が基準の車高HC1より低い車高HC2である場合、送受信アンテナ装置30の高さも低くなるため、図2(b)に示すように、送受信アンテナ装置30内の送信アンテナ35から、検出しようとする対象物95の高さ方向の中心に対して、ある角度θ1だけ上向きに放射された送信波TR1が、対象物95の高さ方向の中心から角度θ1だけ下向きに車両90へ向かって反射し、反射波RE1として送受信アンテナ装置30内の受信アンテナ31に入射する。
図5に、受信アンテナ31の高さと対象物95との関係を示している。車高が基準の車高HC1である場合、受信アンテナ31は、基準の高さHA1に位置しており、反射波RE1は、受信アンテナ31の面へ垂直に入射する。また、車高が車高HC2である場合、受信アンテナ31は、変更後の高さHA2に位置しており、反射波RE1は、受信アンテナ31の面へ角度θ1だけ傾斜した状態で入射する。尚、受信アンテナ31の基準の高さHA1と変更後の高さHA2との差ΔH1は、車両90の基準の車高HC1と変更後の車高HC2との差、即ち車高の変化量と同一である。
図3及び図4に示したように、レーダ装置100では、受信アンテナ31は、第1受信アンテナ31a、第2受信アンテナ31b、第3受信アンテナ31c、及び第4受信アンテナ31dで構成されている。そして、車高が基準の車高HC1である場合、図6に示すように、各受信アンテナ31それぞれで受信した反射波RE1は、それぞれ受信部20内の受信増幅器21で増幅されて指向性可変手段15内の移相器15aに入力される。
その後、図3に示したように、指向性可変手段15内では、反射波RE1の位相がそれぞれ移相器15aによって変更される。その後、位相が変更された各反射波RE1が合成器15bで合成され、演算回路10aに入力される。
しかし、車高が基準の車高HC1である場合、各反射波RE1は、図5及び図6に示すように、各受信アンテナ31の面に垂直に入射する。従って、各反射波RE1は、各受信アンテナ31の面それぞれにおいて、その位相が揃っている。そのため、各反射波RE1は、指向性可変手段15内で位相を変更されることなく、合成器15bでそのまま合成される。
一方、車高が変更後の車高HC2である場合、各反射波RE1は、図5及び図7に示すように、各受信アンテナ31に、角度θ1だけ傾斜した状態で入射する。ここで、受信アンテナ31から対象物95までの想定距離をL1とした場合、角度θ1は、想定距離L1と前述した車高の変化量ΔH1とを用いて次のように表される。
θ1=arctan(ΔH1/L1)
このような場合には、各反射波RE1は、各受信アンテナ31の面において、それぞれの位相が異なっている。即ち、図7に示すように、第2受信アンテナ31bに入射した反射波RE1は、第1受信アンテナ31aに入射した反射波RE1に対して間隔d1に相当する分だけ位相がずれている。第3受信アンテナ31c及び第4受信アンテナ31dに入射した各反射波RE1についても同様である。
指向性可変手段15内では、第2受信アンテナ31b、第3受信アンテナ31c、及び第4受信アンテナ31dに入射した各反射波RE1の位相が各移相器15aによって変更され、第1受信アンテナ31aに入射した反射波RE1と位相を一致させる。即ち、指向性可変手段15は、前述した想定距離L1と車高の変化量ΔH1とによって決定される角度θ1に対応して、各反射波RE1の位相が一致するように、車両90の高さ方向に対する受信アンテナ31の指向性を変化させる。その後、第1受信アンテナ31aに入射した反射波RE1と同一の位相とされた各反射波RE1は、合成器15bで合成されて、演算回路10aに出力される。
このように、レーダ装置100では、複数の受信アンテナ31で受信した反射波RE1それぞれの位相を一致させた後に合成して演算を行うので、各反射波RE1の進行方向が受信アンテナ31の面に対して垂直でなくても、受信アンテナ31の指向性を変化させることによって反射波RE1を効率良く受信することができ、演算するために十分なレベルの信号を演算回路10aに入力することができる。
[変形例の実施形態]
次に、本発明の変形例の実施形態であるレーダ装置110について、図1、図2、図5及び図8乃至図10を参照して説明する。図8は、レーダ装置110の構成を示すブロック図である。また、図9は、車両90の左側から見たレーダ装置110の受信アンテナ51及び送信アンテナ55の配置を示す側面図であり、図10は、車両90の後ろ側から見たレーダ装置110の受信アンテナ51の配置を示す立面図である。レーダ装置110とレーダ装置100との相違点は、レーダ装置110の送受信アンテナ装置50における受信アンテナ51及び送信アンテナ55の配置の仕方がレーダ装置100のそれと異なること、及びレーダ装置100の指向性可変手段15とレーダ装置110の指向性可変手段60の構成が異なることだけであるので、この相違点以外については、その説明を省略する。
レーダ装置110は、図1及び図2に示すように、車両90の前後左右それぞれの複数の箇所に取り付けられ、車両90に近接する対象物95の検出を行なう。また、レーダ装置110が搭載された車両90は、レーダ装置100の場合と同様に、車高を変更可能な車両である。車両90は、道路91の状況によって図2に示すように、基準の車高HC1(図2(a)参照)にしたり、車高HC1よりも低い車高HC2(図2(b)参照)としたりすることができる。尚、レーダ装置110が搭載された車両90では、車高HC1と車高HC2の2通りの車高以外に、車高HC1より高い車高とすることもできる。
レーダ装置110は、図8に示すように、送信波TR1を生成して出力する送信部25と、この送信部25に接続され送信波TR1を所定の方向に放射する送信アンテナ55と、送信波TR1の対象物95からの反射波RE1を受信する受信アンテナ51と、この受信アンテナ51に接続され受信アンテナ51を介して反射波RE1が入力される受信部20と、受信部20に接続され受信部20からの信号に基づいて対象物95の検出を行なう検出部10と、受信アンテナ51の指向性を変化させる指向性可変手段60と、送信部25と受信部20と検出部10と指向性可変手段60とを制御する制御部70と、を備えている。
受信アンテナ51は、第1受信アンテナ51a、第2受信アンテナ51b、及び第3受信アンテナ51cから成り、また、受信アンテナ51に接続されている受信部20は、内部に3つの受信増幅器21を備えている。
検出部10は、図8に示すように、指向性可変手段60を介して受信部20に接続された演算回路10aを有しており、演算回路10aには受信部20からの信号が指向性可変手段60を介して入力されるようになっている。
指向性可変手段60は、切換回路60aで構成されており、切換回路60aは、3つの入力端と1つの出力端を有している。当該3つの入力端が受信部20内部の3つの受信増幅器21それぞれに接続されており、出力端が検出部10の演算回路10aに接続されている。
送信アンテナ55と受信アンテナ51とは、送受信アンテナ装置50を形成している。送受信アンテナ装置50は、図9に示すように、複数の基板59上に形成されている。送信アンテナ55及び受信アンテナ51は、それぞれ、複数のアンテナ素子50aで構成されており、アンテナ素子50aは、送信アンテナ55又は受信アンテナ51の両方の機能を有しており、送信アンテナ55用としても、受信アンテナ51用としても使用可能である。
複数の受信アンテナ51は、前述したように、第1受信アンテナ51a、第2受信アンテナ51b、及び第3受信アンテナ51cから成る。各受信アンテナ51は、それぞれ複数(レーダ装置110では4個)のアンテナ素子50aがY方向に並べて配置されて形成されている。即ち、アンテナアレイを形成している。送受信アンテナ装置50内では、これらのアンテナアレイによって受信アンテナ群57を形成している。尚、各受信アンテナ51は、それぞれが1個のアンテナ素子50aで構成されていても良い。
送信アンテナ55は、図9に示すように、複数(レーダ装置110では3個)のアンテナ素子50aがZ方向に並べて配置されてアンテナアレイを構成している。尚、送信アンテナ55は、複数のアンテナ素子50aでなく、1個のアンテナ素子50aだけで形成されていても良い。
第1受信アンテナ51a、第2受信アンテナ51b、及び第3受信アンテナ51cそれぞれが形成されている複数の基板59は、図9及び図10に示すように、保持部材58の上に取り付けられている。即ち、複数の受信アンテナ51それぞれを車両90の高さ方向に沿って上下に配置するように取り付けられている。
複数の受信アンテナ51のうち、基準となる第1受信アンテナ51aが形成されている基板59は、図10に示すように、第1受信アンテナ51aが形成される面の向きが車両90の高さ方向(Z方向)と垂直な方向となるように取付けられている。第1受信アンテナ51aは、車両90の車高が基準の車高HC1のとき、即ち受信アンテナ51の高さが基準の高さHA1のときに用いられる。
また、第2受信アンテナ51bが形成されている基板59は、図5に示した、受信アンテナ51から対象物95までの想定される距離L1と車高の変化量ΔH1とによって決定される角度θ1に合わせて、第2受信アンテナ51bが形成される面の向きが車両90の高さ方向(Z方向)と垂直な方向に対して上向きに傾斜するように取付けられている。第2受信アンテナ51bは、車両90の車高が基準の車高HC1より低い車高HC2のとき、即ち受信アンテナ51の高さが変更後の高さHA2のときに用いられる。
更に、第3受信アンテナ51bが形成されている基板59は、同様に、受信アンテナ51から対象物95までの想定距離L1と車高の変化量ΔH1とによって決定される角度θ1に合わせて、第2受信アンテナ51bが形成される面の向きが車両90の高さ方向(Z方向)と垂直な方向に対して下向きに傾斜するように取付けられている。第3受信アンテナ51cは、車両90の車高が基準の車高HC1より高い車高のときに用いられる。
前述したように、指向性可変手段60は、切換回路60aで構成されており、切換回路60aは、検出部10の演算回路10aに接続された出力端と、受信部20内部の3つの受信増幅器21それぞれに接続された3つの入力端と、を有している。そして、切換回路60aは、出力端と3つの入力端との接続状態を切り替えることによって、演算回路10aの接続先を第1受信アンテナ51a、第2受信アンテナ51b、及び第3受信アンテナ51cに切り換え可能である。
従って、受信アンテナ51の高さが基準の高さHA1のときに第1受信アンテナ51aを選択し、受信アンテナ51の高さが基準の高さHA1より低い変更後の高さHA2のときに第2受信アンテナ51bを選択し、受信アンテナ51の高さが基準の高さHA1より高い高さのときに第3受信アンテナ51cを選択することによって、車両90の車高の変更に対応することができる。言い換えれば、レーダ装置110は、想定距離L1と車高の変化量ΔH1とによって決定される角度θ1に対応して、検出部10と複数の受信アンテナ51との接続状態を切り替えることができる。
従って、受信アンテナ51の高さが基準の高さHA1のときに図10で示した第1受信アンテナ51aを選択すると、対象物95から水平方向に反射する反射波RE1を、第1受信アンテナ51aの面に対して垂直に入射させることができる。
また、受信アンテナ51の高さが基準の高さHA1より低い変更後の高さHA2のときに図10で示した第2受信アンテナ51bを選択すると、対象物95から水平方向に対して下方へ角度θ1だけ傾斜した方向に反射する反射波RE1を、第2受信アンテナ51bの面に対して垂直に入射させることができる。受信アンテナ51の高さが基準の高さHA1より高い高さのときも同様である。
このように、レーダ装置110では、車両90の高さ方向に対する傾斜角度が互いに異なる複数の受信アンテナ51を有し、想定距離L1と車高の変化量ΔH1とによって決定される角度θ1に対応して、検出部10と複数の受信アンテナ51との接続状態を切り替えて、受信アンテナ51の指向性を変化させることができ、演算するために十分なレベルの信号を演算回路10aに入力することができる。
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
レーダ装置100では、指向性可変手段15が車両90の車高の変化に基づいて受信アンテナ31の指向性を変化させるので、車両90が車高を変更可能な車両であっても対象物95を確実に検出することができる。
また、レーダ装置100では、受信アンテナ31から対象物95までの想定距離L1と車高の変化量ΔH1とによって決定される角度θ1に対応して、車両90の高さ方向に対する受信アンテナ31の指向性を変化させるので、車高の変化量ΔH1に合わせた指向性の変化が可能である。
また、レーダ装置100では、移相器15aの位相シフト量によって受信アンテナ31の指向性を変化させるので、受信アンテナ31の傾きを調整するための複雑な駆動装置が不要になり、指向性の調整が簡単になる。
また、レーダ装置110では、検出部10と複数の受信アンテナ51との接続状態を切り替えることによって受信アンテナ51の指向性を変化させるので、複雑な駆動装置や複雑な位相シフト処理が不要になり、回路構成が簡単になる。
以上説明したように、本発明のレーダ装置では、指向性可変手段が車両の車高の変化に基づいてアンテナの指向性を変化させるので、車高を変更可能な車両であっても対象物を確実に検出することができる。
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば、レーダ装置110では、第2受信アンテナ51b及び第3受信アンテナ51cを、角度θ1に合わせて最初から傾斜させて取り付けるようにしたが、機構設計上の制約が無い場合には、第2受信アンテナ51b及び第3受信アンテナ51cを、アクチュエータ等によって、車高に合わせて自動的に傾斜させるようにしても良い。また、レーダ装置100及びレーダ装置110では、傾斜させる角度θ1を段階的に設定したが、傾斜させる角度θ1が連続的に変化するようにしても良い。
また、レーダ装置100及びレーダ装置110では、受信アンテナの高さに基づいて受信アンテナの指向性だけを変化させていたが、同様の技術を用いて送信アンテナの高さに基づいて送信アンテナの指向性を変化させても同様の効果を得ることができる。また、レーダ装置のアンテナが送受信共用のアンテナである場合には、そのアンテナの指向性を変化させれば、対象物への放射波の効率良い放射と対象物からの反射波の効率良い受信とを同時に実現できるようになる。
また、レーダ装置100及びレーダ装置110では、車両90内の車高変更機構からの情報によって受信アンテナの指向性を制御するようになっていたが、車両90にレーザやミリ波等を用いた車高検出手段が設置されていた場合には、その車高検出手段からの情報に基づいて検出部10内の指向性可変手段15を制御しても構わない。そして、悪路等を走行する際等に、車高検出手段からの情報に基づく車高の変化に合わせて持続的に受信アンテナの指向性を変化させても構わない。このような構成とすることにより、路面状態に影響されることなく、常に同じ高さの対象物を検出することができる。
10 検出部
10a 演算回路
15 指向性可変手段
15a 移相器
15b 合成器
20 受信部
21 受信増幅器
25 送信部
26 信号生成回路
27 送信増幅器
30 送受信アンテナ装置
30a アンテナ素子
31 受信アンテナ
31a 第1受信アンテナ
31b 第2受信アンテナ
31c 第3受信アンテナ
31d 第4受信アンテナ
35 送信アンテナ
37 受信アンテナ群
39 基板
50 送受信アンテナ装置
50a アンテナ素子
51 受信アンテナ
51a 第1受信アンテナ
51b 第2受信アンテナ
51c 第3受信アンテナ
55 送信アンテナ
57 受信アンテナ群
58 保持部材
59 基板
60 指向性可変手段
60a 切換回路
70 制御部
90 車両
91 道路
95 対象物
100 レーダ装置
110 レーダ装置
TR1 送信波
RE1 反射波
HC1 基準の車高
HC2 変更後の車高
HA1 基準の高さ
HA2 変更後の高さ
ΔH1 車高の変化量
L1 想定距離
d1 間隔
θ1 角度

Claims (4)

  1. 車両に搭載可能で、前記車両に近接する対象物の検出を行なうためのレーダ装置であって、
    送信波を生成して出力する送信部と、前記送信波を放射すると共に前記送信波の前記対象物からの反射波を受信するアンテナと、前記アンテナを介して前記反射波が入力される受信部と、前記受信部からの信号に基づいて前記対象物の検出を行なう検出部と、前記アンテナの指向性を変化させる指向性可変手段と、前記送信部と前記受信部と前記検出部と前記指向性可変手段とを制御する制御部と、を備え、
    前記指向性可変手段は、前記車両の車高の変化に基づいて前記アンテナの指向性を変化させる、
    ことを特徴とするレーダ装置。
  2. 前記指向性可変手段は、前記アンテナから前記対象物までの想定距離と前記車高の変化量とによって決定される角度に対応して、前記車両の高さ方向に対する前記アンテナの指向性を変化させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載のレーダ装置。
  3. 所定の間隔を隔てて前記車両の高さ方向に沿って配設された複数の前記アンテナを有し、
    前記指向性可変手段は、複数の前記アンテナにそれぞれ接続された移相器を有し、前記想定距離と前記車高の変化量とによって決定される角度に対応して、前記移相器の位相シフト量を変化させる、
    ことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。
  4. 前記車両の高さ方向に対する傾斜角度が互いに異なる複数の前記アンテナを有し、
    前記想定距離と前記車高の変化量とによって決定される角度に対応して、前記検出部と複数の前記アンテナとの接続状態を切り替える、
    ことを特徴とする請求項2に記載のレーダ装置。

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