JP2018178828A - ディーゼルエンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】EGR装置を備えるディーゼルエンジンにおいて、排気ガス温度が上限を超えない燃料噴射を実現する。【解決手段】EGR装置60は、エンジン本体10を経由せずに排気通路を吸気通路と接続し、排気ガスの一部を吸気通路に還流するように構成される。ECU200は、EGR装置60による排気ガスの還流を行なわない場合の燃料噴射量の上限を示す基準上限噴射量を算出する。そして、ECU200は、EGR装置60による排気ガスの還流を行なう場合に、排気ガスの還流を行なわない場合に対する排気ガス温度の低下分に相当する燃料噴射量だけ、燃料噴射量の上限を基準上限噴射量よりも上昇させる。【選択図】図1
Description
本開示は、ディーゼルエンジンに関し、特に、EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置を備えるディーゼルエンジンの燃料噴射制御に関する。
特開平6−299894号公報(特許文献1)は、EGR装置を備えるディーゼルエンジンを開示する。このディーゼルエンジンにおいては、大気圧が所定圧力以下の場合に、EGRガス量(EGR装置によって吸気側に還流される排気ガス量)が減少側へ補正される。これにより、吸入空気量の低下による出力低下に対して新気の吸入量が確保され、出力の低下が防止される(特許文献1参照)。
燃料噴射量を増量することによってエンジンの出力を増加させることができるが、排気ポートに連結される排気マニホールドの耐熱性等の観点から、排気マニホールドに排出される排気ガスの温度が上限を超えないように燃料噴射量の上限を設定する必要がある。
ここで、EGR装置の作動中(EGR装置による排気ガスの還流を行なう)は、EGR装置の非作動時(EGR装置による排気ガスの還流を行なわない)に比べて、排気ガス成分を含む混合吸気ガスの比熱が大きくなるので、シリンダ吸入ガス温度が同じで、かつ、酸素と燃料との割合が同じ場合に、同じ燃料噴射量に対して燃焼後の排気ガス温度は低くなる。言い換えると、EGRガス量を減量すると、混合吸気ガスの比熱が小さくなるので、燃料噴射量が一定であれば排気ガス温度は上昇する。したがって、特許文献1に記載のように大気圧が低下した場合にEGRガス量を減少側へ補正すると、排気ガス温度が上昇して上限を超えてしまう可能性がある。このような問題について、上記の特許文献1では特に検討されていない。
本開示は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、EGR装置を備えるディーゼルエンジンにおいて、排気ガス温度が上限を超えない燃料噴射を実現することである。
本開示のディーゼルエンジンは、燃焼室を有するエンジン本体と、EGR装置と、燃料噴射装置と、制御装置とを備える。EGR装置は、エンジン本体を経由せずに排気通路を吸気通路と接続し、排気ガスの一部を吸気通路に還流するように構成される。燃料噴射装置は、燃焼室内に燃料を噴射するように構成される。制御装置は、EGR装置及び燃料噴射装置を制御する。制御装置は、EGR装置による排気ガスの還流を行なわない場合の燃料噴射量の上限を示す基準上限噴射量を算出する。そして、制御装置は、EGR装置による排気ガスの還流を行なう場合に、排気ガスの還流を行なわない場合に対する排気ガス温度の低下分に相当する燃料噴射量だけ、燃料噴射量の上限を基準上限噴射量よりも上昇させる。
燃料噴射量の上限の基準上限噴射量からの上昇量は、排気ガスの還流を行なわない場合に対する吸気ガスの比熱の増大による排気ガス温度の低下分に相当する燃料噴射量である。
制御装置は、空気の定積比熱を用いて、EGR装置による排気ガスの還流を行なわない場合における、燃焼によるガス温度の上昇を示す第1の温度上昇量を算出する。また、制御装置は、EGR装置による排気ガスの還流を行なう場合に、排気ガスを含む混合吸気ガスの定積比熱を用いて、燃焼によるガス温度の上昇を示す第2の温度上昇量を算出する。このとき、排気ガスを含む混合吸気ガスの比熱はEGR量で変化するので、現在のEGR量に応じた定積比熱を計算する。そして、制御装置は、第1の温度上昇量から第2の温度上昇量を差引くことによって得られる排気ガス温度の低下量と現在の比熱とに従って、基準上限噴射量に対する燃料噴射量の上限の増加量を算出する。
本開示のディーゼルエンジンにおいては、EGR装置の非作動時における燃料噴射量の上限を示す基準上限噴射量が算出される。そして、EGR装置を作動させて排気ガスの還流を行なう場合には、EGR装置の非作動時に対する排気ガス温度の低下分に相当する燃料噴射量だけ、燃料噴射量の上限を基準上限噴射量よりも上昇させる。これにより、排気ガス温度の上限を守りつつ最大限のエンジン出力を確保することが可能となる。このように、本開示のディーゼルエンジンによれば、排気ガス温度が上限を超えない燃料噴射を実現することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<ディーゼルエンジンの全体構成>
図1は、本開示の実施の形態に従うディーゼルエンジンの全体構成図である。図1を参照して、ディーゼルエンジン1は、エンジン本体10と、エアクリーナ20と、インタークーラ26と、吸気マニホールド28と、過給機30と、排気マニホールド50と、EGR装置60とを備える。
図1は、本開示の実施の形態に従うディーゼルエンジンの全体構成図である。図1を参照して、ディーゼルエンジン1は、エンジン本体10と、エアクリーナ20と、インタークーラ26と、吸気マニホールド28と、過給機30と、排気マニホールド50と、EGR装置60とを備える。
エンジン本体10は、複数の気筒12と、コモンレール14と、複数のインジェクタ16とを含む。以下では、一例として、ディーゼルエンジン1は、直列4気筒エンジンとして説明するが、ディーゼルエンジン1は、その他の気筒レイアウト(たとえばV型あるいは水平型)のエンジンであってもよく、また、気筒12の数もこれに限定されるものではない。各気筒12内には、ピストン(図示せず)が設けられ、気筒12とピストンとによって燃焼室が形成される。
複数のインジェクタ16は、複数の気筒12にそれぞれ設けられ、各インジェクタ16は、コモンレール14に接続される。燃料タンク(図示せず)に貯留された燃料は、サプライポンプ(図示せず)により所定圧に加圧されてコモンレール14に供給される。コモンレール14に供給された燃料は、各インジェクタ16から所定のタイミングで燃焼室内に噴射される。
エアクリーナ20は、第1吸気管22に設けられ、第1吸気管22の一方端に設けられる吸気口(図示せず)から吸入される空気に含まれている異物を除去する。第1吸気管22の他方端は、過給機30のコンプレッサ32の入口に接続され、コンプレッサ32の出口には、第2吸気管24の一方端が接続される。コンプレッサ32は、第1吸気管22を通じて吸入される空気を過給して第2吸気管24に供給する。
第2吸気管24の他方端には、インタークーラ26の一方端が接続される。インタークーラ26は、第2吸気管24を流通する空気を冷却する空冷式又は水冷式の熱交換器である。インタークーラ26の他方端には、第3吸気管27の一方端が接続され、第3吸気管27の他方端は、吸気マニホールド28に接続される。吸気マニホールド28は、エンジン本体10の各気筒12の吸気ポートに連結される。なお、吸気マニホールド28の上流に吸気絞り弁が設けられてもよい。
排気マニホールド50は、エンジン本体10の各気筒12の排気ポートに連結される。排気マニホールド50には、第1排気管52の一方端が接続され、第1排気管52の他方端は、過給機30のタービン36の入口に接続される。これにより、各気筒12の排気ポートから排出される排気ガスは、排気マニホールド50に集められた後、第1排気管52を経由してタービン36に供給される。
タービン36の出口には、第2排気管54の一方端が接続され、第2排気管54の他方端には、図示しない各種触媒(たとえば、NOx触媒、DPF(Diesel particulate filter)、DPNR(Diesel Particulate-NOx Reduction)等の触媒)やマフラー等が接続される。これにより、タービン36から排出された排気ガスは、第2排気管54、各種触媒及びマフラー等を経由して車外に排出される。
コンプレッサ32とタービン36とによって過給機30が構成される。コンプレッサ32のハウジング内にはコンプレッサホイール34が設けられ、タービン36のハウジング内にはタービンホイール38が設けられる。コンプレッサホイール34とタービンホイール38とは、連結軸42により連結されて一体的に回転する。これにより、コンプレッサホイール34は、タービンホイール38に供給される排気ガスの排気エネルギーによって回転駆動される。
第3吸気管27と排気マニホールド50とは、エンジン本体10を経由せずにEGR装置60によって接続される。EGR装置60は、排気ガスの一部を吸気通路に還流するように構成され、吸気ガスが排気ガスを含むことにより燃焼温度を低下させてNOxの発生を抑制するものである。
EGR装置60は、EGRバルブ62と、EGRクーラ64と、EGR通路66とを含む。EGR通路66の一方端は、第3吸気管27に接続され、EGR通路66の他方端は、排気マニホールド50に接続される。なお、EGR通路66の一方端は、吸気マニホールド28に接続されてもよく、EGR通路66の他方端は、第1排気管52に接続されてもよい。そして、EGR通路66には、EGRバルブ62と、EGRクーラ64とが設けられる。
EGRバルブ62は、EGR通路66を遮断してEGRガス(EGR装置60によって吸気側に還流される排気ガス)の流通を抑制する閉状態と、EGR通路66においてEGRガスの流通を許容する開状態とを切替えることができる切替弁である。EGRバルブ62は、さらに、開状態において、通路断面積(EGR開度)を変化させることによってEGRガス量を変化させることができる。EGRクーラ64は、EGR通路66を流通するEGRガスを冷却する水冷式又は空冷式の熱交換器である。
EGRバルブ62が開状態である場合には、排気マニホールド50に集められた排気ガスの一部がEGRガスとしてEGR通路66に導入され、EGRクーラ64において冷却された後に、EGRバルブ62により流量が調整されて第3吸気管27に供給される。EGRガスが第3吸気管27に供給されることで、燃焼室内における燃焼ガス温度を低下させてNOxの生成量を抑制することができる。一方、EGRバルブ62が閉状態である場合には、EGRガスの流通が遮断される。
ディーゼルエンジン1は、さらに、エアフローメータ102と、吸気温センサ104と、吸気圧センサ106と、回転数センサ108と、水温センサ110と、排気温センサ118と、アクセルペダルポジションセンサ112と、大気圧センサ114と、外気温センサ116と、ECU(Electronic Control Unit)200とを備える。
エアフローメータ102は、第1吸気管22を流通する吸入空気量FIを検出し、その検出値をECU200へ出力する。吸気温センサ104は、吸気マニホールド28に供給される吸気ガス(EGR装置60の非作動時はインタークーラ26から出力される空気であり、EGR装置60の作動時は空気と排気ガスとの混合ガス)の温度TIを検出し、その検出値をECU200へ出力する。吸気圧センサ106は、吸気マニホールド28に供給される吸気ガスの圧力PIを検出し、その検出値をECU200へ出力する。
回転数センサ108は、ディーゼルエンジン1の出力軸の回転速度(エンジン回転数)NEを検出し、その検出値をECU200へ出力する。水温センサ110は、ディーゼルエンジン1の冷却水の温度(エンジン冷却水温)TEを検出し、その検出値をECU200へ出力する。排気温センサ118は、排気マニホールド50に排出される排気ガスの温度T4を検出し、その検出値をECU200へ出力する。
アクセルペダルポジションセンサ112は、アクセルペダル(図示せず)の踏込量(以下「アクセル開度」とも称する。)APを検出し、その検出値をECU200へ出力する。大気圧センサ114は、大気圧Paを検出し、その検出値をECU200へ出力する。外気温センサ116は、外気温Taを検出し、その検出値をECU200へ出力する。
ECU200は、CPU(Central Processing Unit)、処理プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)等を含み、メモリ(ROM及びRAM)に記憶された情報や各種センサからの情報に基づいて、所定の演算処理を実行する。そして、ECU200は、演算処理の結果に基づいて、インジェクタ16及びEGR装置60等の各機器を制御する。
本実施の形態においては、ECU200は、アクセル開度APやエンジン回転数NE等に基づいて各インジェクタ16からの燃料噴射量を算出する。また、ECU200は、エンジン回転数NE、燃料噴射量、環境情報(大気圧Pa、外気温Ta、エンジン冷却水温TE)等に基づいて、EGR装置60によるEGR率(エンジン本体10に供給される吸気ガス中に占めるEGRガス量の割合)を決定し、そのEGR率が実現されるようにEGRバルブ62の開度を制御する。
<燃料噴射量の上限設定>
インジェクタ16からの燃料噴射量を増量することによってディーゼルエンジン1の出力を増加させることができるが、排気マニホールド50や過給機30のタービン36等の耐熱性の観点から、排気マニホールド50に排出される排気ガスの温度が上限を超えないように燃料噴射量の上限を設定する必要がある。
インジェクタ16からの燃料噴射量を増量することによってディーゼルエンジン1の出力を増加させることができるが、排気マニホールド50や過給機30のタービン36等の耐熱性の観点から、排気マニホールド50に排出される排気ガスの温度が上限を超えないように燃料噴射量の上限を設定する必要がある。
ここで、EGR装置60の作動中は、EGR装置60の非作動時に比べて、排気ガス成分を含む混合吸気ガスの比熱が大きくなるので、同じ燃料噴射量に対して排気ガス温度は低くなる。言い換えると、EGR装置60によるEGR率を低下させると、混合吸気ガスの比熱が小さくなるので、燃料噴射量が一定であれば排気ガス温度は上昇する。したがって、たとえば、大気圧が低下する高地においてEGR率を低下させると、排気ガス温度が上昇して上限を超えてしまう可能性がある。この点について以下に詳しく説明する。
図2は、EGR装置60によるEGR率と吸気ガスの比熱との関係を例示した図である。この図2では、空燃比(吸入空気量と燃料噴射量との比)は一定であるものとする。図2を参照して、横軸はEGR率を示し、縦軸は吸気ガスの定積比熱を示す。なお、EGR率が0の場合(EGR装置60の非作動時)は、吸気ガスは空気であり、EGR率が非零の場合(EGR装置60の作動時)は、吸気ガスは排気ガス成分を含む混合ガスである。
EGR装置60によって還流される排気ガスは、窒素、酸素、二酸化炭素、水分等を含むので、空燃比が一定の下では、図示されるように、EGR率の増大に従って吸気ガスの定積比熱は大きくなる。言い換えると、空燃比が一定の下では、EGR率の低下に従って吸気ガスの定積比熱は小さくなる。
図3は、吸気ガスの比熱と排気ガス温度T4との関係を例示した図である。この図3では、燃料噴射量は一定であるものとする。図3を参照して、横軸は吸気ガスの定積比熱を示し、縦軸は排気温センサ118によって検出される排気ガス温度T4を示す。
図示されるように、燃料噴射量が一定の下では、吸気ガスの定積比熱が大きくなるに従って排気ガス温度T4は低くなる。言い換えると、燃料噴射量が一定の下では、吸気ガスの定積比熱が小さくなるに従って排気ガス温度T4は高くなる。
ここで、図2で説明したEGR率と吸気ガスの比熱との関係から、燃料噴射量が一定の下では、図3から、EGR率の増大に従って排気ガス温度T4は低くなることが理解される。言い換えると、燃料噴射量が一定の下では、EGR率の低下に従って排気ガス温度T4は高くなることが理解される。その結果、EGR率の低下(EGRガス量の減量)に従って排気ガス温度が上昇し、排気ガス温度が上限を超えてしまう可能性がある。
そこで、EGR装置60の非作動時(EGR率0)は、EGR装置60の作動時よりも排気ガス温度T4が高くなるところ、この実施の形態に従うディーゼルエンジン1では、EGR装置60の非作動時における燃料噴射量の上限を示す基準上限噴射量が算出され、EGR装置60が作動するときは、EGR装置60の非作動時に対する排気ガス温度T4の低下分に相当する燃料噴射量だけ、燃料噴射量の上限を基準上限噴射量よりも上昇させる。
図4は、本実施の形態に従うディーゼルエンジン1における燃料噴射量の上限の設定例を示した図である。図4を参照して、縦軸は燃料噴射量の上限の設定値を示し、横軸はEGR率を示す。
点P0は、EGR装置60が非作動であるとき(EGR無)の燃料噴射量の上限値を示し、すなわち、基準上限噴射量QUbseを示す。点P1は、全負荷時の最大EGR率(egrbse)でEGR装置60が作動するとき(EGR有)の燃料噴射量の上限値を示す。EGR率の増大に従う、基準上限噴射量QUbseからの燃料噴射量上限の上昇量は、EGR装置60の非作動時に対する吸気ガスの比熱増大による排気ガス温度T4の低下分に相当する燃料噴射量である。これにより、排気ガス温度T4の上限を守りつつ最大限のエンジン出力を確保することができる。
なお、EGR装置60の作動時(たとえばEGR率が値egrbseである点P1)における燃料噴射量の上限を基準とし、EGR率の低下に従って燃料噴射量の上限を基準から低下させることも考えられる。しかしながら、EGR装置60の作動時は、EGR率に応じて空燃比が変化すると、空燃比の変化に応じて吸気ガスの比熱も変化するので、排気ガス温度T4の上限を守るための燃料噴射量上限の基準として用いることは難しい。一方、EGR装置60の非作動時(点P0)は、吸気ガスの比熱は基本的に一定(空気の比熱)であるので、本実施の形態では、EGR装置60の非作動時における燃料噴射量の上限を基準(基準上限噴射量)とし、EGR率の増大に従って燃料噴射量の上限を基準から上昇させることとしたものである。
<燃料噴射量の設定処理>
図5は、図1に示したECU200により実行される燃料噴射量の設定処理を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、ディーゼルエンジン1の作動中に繰り返し実行される。
図5は、図1に示したECU200により実行される燃料噴射量の設定処理を説明するフローチャートである。なお、このフローチャートに示される処理は、ディーゼルエンジン1の作動中に繰り返し実行される。
図5を参照して、ECU200は、アクセルペダルポジションセンサ112からアクセル開度APの検出値を取得し、回転数センサ108からエンジン回転数NEの検出値を取得する。ECU200は、さらに、吸気圧センサ106から吸気ガスの圧力PIの検出値を取得し、吸気温センサ104から吸気ガスの温度TIの検出値を取得する(ステップS10)。
次いで、ECU200は、取得されたアクセル開度AP及びエンジン回転数NEに基づいて、燃料噴射量の要求値を示す要求噴射量Qrを算出する(ステップS20)。アクセル開度AP及びエンジン回転数NEに基づく要求噴射量Qrの算出には、公知の種々の手法を採用することができる。たとえば、ECU200は、等アクセル開度に対してエンジン回転数NEの上昇に従って燃料噴射量を減少させる「ガバナ制御」や、ジャーク(加加速度或いは躍度)に合わせて燃料噴射量を制御する「ジャーク制御」、急峻なアクセル開度APの変化に対して燃料噴射量の変化をなまらせる「なまし制御」等を実行し得る。
そして、アクセル開度AP及びエンジン回転数NEに基づく要求噴射量Qrが算出されると、ECU200は、EGR装置60の非作動時における燃料噴射量の上限を示す基準上限噴射量を算出する(ステップS30)。一例として、ECU200は、エンジン回転数NEに従って決定されるベース上限噴射量に対して、吸気ガスの圧力PI及び温度TIに基づく所定の補正を行なうことによって、EGR装置60の非作動時における基準上限噴射量を算出する。
基準上限噴射量が算出されると、ECU200は、EGR装置60の作動に伴なう吸気ガスの比熱増大による比熱加算噴射量を算出する(ステップS40)。より詳しくは、この比熱加算噴射量は、EGR装置60の非作動時に対する吸気ガスの比熱増大による排気ガス温度T4の低下分に相当する燃料噴射量である。この比熱加算噴射量の具体的な算出処理については、後ほど詳しく説明する。
比熱加算噴射量が算出されると、ECU200は、ステップS30において算出された基準上限噴射量に、ステップS40において算出された比熱加算噴射量を加算することによって、燃料噴射量の上限を算出する(ステップS50)。そして、ECU200は、ステップS20において算出された要求噴射量Qrを、ステップS50において算出された燃料噴射量上限と比較する(ステップS60)。
要求噴射量Qrが燃料噴射量上限よりも大きいと判定されると(ステップS60においてYES)、ECU200は、要求噴射量Qrに燃料噴射量上限の値を設定する(ステップS70)。一方、要求噴射量Qrは燃料噴射量上限以下であると判定されると(ステップS60においてNO)、ECU200は、ステップS70を実行することなくステップS80へ処理を移行する。
そして、ECU200は、ステップS60において要求噴射量Qrが燃料噴射量上限よりも大きいと判定された場合には、ステップS70おいて燃料噴射量上限に置換された要求噴射量Qrをインジェクタ16の燃料噴射量指令値として設定し、ステップS60において要求噴射量Qrが燃料噴射量上限以下であると判定された場合には、ステップS20おいて算出された要求噴射量Qrを燃料噴射量指令値として設定する(ステップS80)。
図6は、図5のステップS40において実行される比熱加算噴射量の算出処理の一例を説明するフローチャートである。図6を参照して、ECU200は、図5のステップS10において取得された吸気ガスの圧力PI(ガス圧)及び温度TI(ガス温度)に基づいて、エンジン本体10に供給される吸気ガスの量(ガス量)を算出する(ステップS110)。具体的には、ガス温度が一定の下では、ガス圧とガス量とは所定の関係を有しており、圧力PI(ガス圧)に対応するガス量を温度TI(ガス温度)で補正することによってガス量を算出することができる。
次いで、ECU200は、空気の定積比熱を用いて、EGR装置60の非作動時(EGR無)における、燃焼によるガス温度の上昇量ΔTLを算出する(ステップS120)。詳しくは、ECU200は、次式を用いてガス温度上昇量ΔTLを算出する。
ΔTL=発熱量/(ガス量×空気定積比熱)×排気損失 …(1)
ここで、発熱量=燃料の重量×低位発熱量であり、燃料重量は、燃料噴射量から算出することができ、燃料の低位発熱量は、燃料によって決まる定数である。また、排気損失は、エンジンの運転状態に基づいて、公知の種々の手法を用いて算出することができる。なお、空気定積比熱は定数である。
ここで、発熱量=燃料の重量×低位発熱量であり、燃料重量は、燃料噴射量から算出することができ、燃料の低位発熱量は、燃料によって決まる定数である。また、排気損失は、エンジンの運転状態に基づいて、公知の種々の手法を用いて算出することができる。なお、空気定積比熱は定数である。
続いて、ECU200は、現在のEGR率を取得する(ステップS130)。EGR率は、たとえば、ガス量から吸入空気量を差引いた値をガス量で除算することによって算出することができる。そして、ECU200は、EGR率に基づいて、混合吸気ガス(空気と排気ガスとの混合ガス)の定積比熱を算出する(ステップS140)。たとえば、排気ガスの各成分の比熱及び成分比と、混合ガス中の排気ガスと空気との割合を示すEGR率とから、混合ガスの定積比熱を算出することができる。
そして、ECU200は、ステップS140において算出された混合ガスの定積比熱を用いて、EGR装置60の作動時における、燃焼によるガス温度の上昇量ΔTWを算出する(ステップS150)。詳しくは、ECU200は、次式を用いてガス温度上昇量ΔTWを算出する。
ΔTW=発熱量/(ガス量×混合ガス定積比熱)×排気損失 …(2)
発熱量及び排気損失については、式(1)で説明したとおりである。
発熱量及び排気損失については、式(1)で説明したとおりである。
続いて、ECU200は、次式によって、EGR装置60の作動に伴なう吸気ガスの比熱の増大による排気ガス温度T4の低下量ΔT4を算出する(ステップS160)。
ΔT4=ΔTL−ΔTW …(3)
ΔTLは、EGR装置60の非作動時における、燃焼によるガス温度上昇量であり(式(1))、ΔTWは、EGR装置60の作動時における、燃焼によるガス温度上昇量である(式(2))。
ΔTLは、EGR装置60の非作動時における、燃焼によるガス温度上昇量であり(式(1))、ΔTWは、EGR装置60の作動時における、燃焼によるガス温度上昇量である(式(2))。
図7は、EGR装置60の作動に伴なう吸気ガスの比熱増大による排気ガス温度T4の低下量ΔT4を概念的に示した図である。図7を参照して、温度TLは、EGR装置60の非作動時(EGR無)における排気ガス温度であり、吸気ガスの温度TIにΔTLを加算した温度である。温度TWは、EGR装置60の作動時(EGR有)における排気ガス温度であり、吸気ガスの温度TIにΔTWを加算した温度である。図示されるように、TL−TW(=ΔTL−ΔTW)が、EGR装置60の作動に伴なう吸気ガスの比熱増大による排気ガス温度T4の低下量である。
再び図6を参照して、ステップS160において、比熱の増大による排気ガス温度T4の低下量ΔT4が算出されると、ECU200は、算出された温度低下量ΔT4に基づいて、比熱加算噴射量、すなわち、比熱の増大による排気ガス温度T4の低下量ΔT4だけ排気ガス温度T4を上昇させるのに必要な燃料噴射量を算出する(ステップS170)。たとえば、実験やシミュレーション等によって、燃料噴射量の増減と排気ガス温度T4の増減との関係を噴射量換算係数として予め求めておき、ステップS160において算出された温度低下量ΔT4に噴射量換算係数を乗算することによって、比熱加算噴射量を算出することができる。或いは、式(2)を用いて、温度低下量ΔT4から燃料重量を逆算し、燃料噴射量に換算して比熱加算噴射量を求めてもよい。
以上のように、この実施の形態においては、EGR装置60の非作動時における燃料噴射量の上限を示す基準上限噴射量が算出され、EGR装置60が作動するときは、EGR装置60の非作動時に対する排気ガス温度T4の低下量ΔT4に相当する燃料噴射量(比熱加算噴射量)だけ、燃料噴射量の上限を基準上限噴射量よりも上昇させる。したがって、この実施の形態によれば、排気ガス温度T4の上限を守りつつ最大限のエンジン出力を確保することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 エンジン、10 エンジン本体、12 気筒、14 コモンレール、16 インジェクタ、20 エアクリーナ、22,24,27 吸気管、26 インタークーラ、28 吸気マニホールド、30 過給機、32 コンプレッサ、34 コンプレッサホイール、36 タービン、38 タービンホイール、42 連結軸、50 排気マニホールド、52,54 排気管、60 EGR装置、62 EGRバルブ、64 EGRクーラ、66 EGR通路、102 エアフローメータ、104 吸気温センサ、106 吸気圧センサ、108 回転数センサ、110 水温センサ、112 アクセルペダルポジションセンサ、114 大気圧センサ、116 外気温センサ、118 排気温センサ。
Claims (3)
- 燃焼室を有するエンジン本体と、
前記エンジン本体を経由せずに排気通路を吸気通路と接続し、排気ガスの一部を前記吸気通路に還流するように構成されたEGR装置と、
前記燃焼室内に燃料を噴射するように構成された燃料噴射装置と、
前記EGR装置及び前記燃料噴射装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記EGR装置による排気ガスの還流を行なわない場合の燃料噴射量の上限を示す基準上限噴射量を算出し、
前記EGR装置による排気ガスの還流を行なう場合に、排気ガスの還流を行なわない場合に対する排気ガス温度の低下分に相当する燃料噴射量だけ、前記燃料噴射量の上限を前記基準上限噴射量よりも上昇させる、ディーゼルエンジン。 - 前記燃料噴射量の上限の前記基準上限噴射量からの上昇量は、排気ガスの還流を行なわない場合に対する吸気ガスの比熱の増大による排気ガス温度の低下分に相当する燃料噴射量である、請求項1に記載のディーゼルエンジン。
- 前記制御装置は、
空気の定積比熱を用いて、前記EGR装置による排気ガスの還流を行なわない場合における、燃焼によるガス温度の上昇を示す第1の温度上昇量を算出し、
前記EGR装置による排気ガスの還流を行なう場合に、排気ガスを含む混合吸気ガスの定積比熱を用いて、燃焼によるガス温度の上昇を示す第2の温度上昇量を算出し、
前記第1の温度上昇量から前記第2の温度上昇量を差引くことによって得られる前記排気ガス温度の低下量に従って、前記基準上限噴射量に対する前記燃料噴射量の上限の増加量を算出する、請求項2に記載のディーゼルエンジン。
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JP2017078144A JP2018178828A (ja) | 2017-04-11 | 2017-04-11 | ディーゼルエンジン |
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Country | Link |
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2017
- 2017-04-11 JP JP2017078144A patent/JP2018178828A/ja active Pending
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