JP2018178721A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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孝 福永
幸弘 府川
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幸弘 府川
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Abstract

【課題】この発明は、内燃機関の制御装置に関し、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える内燃機関において、ピストンの頂面全体を効率良く冷却できるようにすることでノッキングを効果的に抑制できるようにすることを目的とする。【解決手段】燃焼室20の天井部の中央付近に配置され、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁32を備える内燃機関10において、ECU40は、ノッキングの発生を検知した場合に、吸気行程に設定された第1の噴射時期において、燃料噴射弁32から燃料を噴射させる第1の燃料噴射処理と、圧縮行程の後半に設定された第2の噴射時期において、燃料噴射弁32から燃料を噴射させる第2の燃料噴射処理とを実行する。【選択図】図1

Description

この発明は、内燃機関の制御装置に関し、より詳細には、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁が燃焼室の天井部の中央付近に配置された内燃機関を制御する制御装置に関する。
例えば、特許文献1には、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える内燃機関の燃料制御装置が開示されている。この燃料噴射弁は、燃焼室の天井部の周縁部に配置されている。また、この内燃機関では、気筒内にタンブル流(縦旋回流)が生成されるようになっている。そのうえで、この燃料噴射制御装置では、吸気行程中に設定された第1の噴射時期において上記燃料噴射弁による1回目の燃料噴射が行われる。さらに、圧縮行程後半に設定された第2の噴射時期において上記燃料噴射弁による2回目の燃料噴射が少量で行われる。そして、2回目の燃料噴射は、少量の燃料をタンブル流に対向する方向に噴射される。このような2回目の燃料噴射によれば、タンブル流の中にリッチ空燃比の混合気を形成することができる。そして、このリッチ空燃比の混合気は、タンブル流に伴って流動し、点火時期に点火プラグの周辺に運ばれる。これにより、点火プラグによる混合気の着火性を向上でき、また、火炎伝播速度の増大によって耐ノック性を向上させることができる。
特開2016−186260号公報 特開2014−206055号公報
気筒内のガスまたは壁面の温度が高いと、ノッキングが発生し易い。ノッキングの抑制には、噴射燃料の気化潜熱によるピストン冷却が有効である。しかしながら、特許文献1には、噴射燃料を利用してピストン冷却を向上させる点について開示されていない。この点において、特許文献1は、未だ改善の余地を残すものであった。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える内燃機関において、ピストンの頂面全体を効率良く冷却できるようにすることでノッキングを効果的に抑制できるようにした内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、燃焼室の天井部の中央付近に配置され、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える内燃機関を制御する。前記制御装置は、ノッキングの発生を検知した場合に、吸気行程に設定された第1の噴射時期において、前記燃料噴射弁から燃料を噴射させる第1の燃料噴射処理と、圧縮行程の後半に設定された第2の噴射時期において、前記燃料噴射弁から燃料を噴射させる第2の燃料噴射処理と、を実行する。
本発明によれば、ノッキングの発生が検知された場合には、吸気行程に設定された第1の噴射時期での第1の燃料噴射処理とともに、圧縮行程の後半に設定された第2の噴射時期での第2の燃料噴射処理が実行される。燃料噴射弁は、燃焼室の天井部の中央付近に配置されているので、燃料は、天井部の中央付近からピストンの頂面に向けて噴射される。このため、圧縮行程後半で行われる第2の燃料噴射処理によれば、燃料をピストンの頂面の中央に直接当てることができる。このため、微小な燃料噴射量であってもピストンの頂面全体を効率良く冷却することができる。そして、このようにピストン冷却が強化されることで、ノッキングを効果的に抑制できるようになる。
本発明の実施の形態に係るシステムの構成および動作を説明するための図である。 エンジン回転速度がピストン冷却に及ぼす影響を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係るシステムの構成および動作を説明するための図である。より詳細には、図1(A)〜(D)は、内燃機関10の気筒12を気筒中心軸に垂直な方向(側面方向)から見た図である。
1.システム構成の説明
まず、主に図1(A)を参照して、本実施形態に係るシステム構成について説明する。このシステムは、車両に搭載される内燃機関10を備えている。内燃機関10は、火花点火式の4ストロークエンジンである。
内燃機関10は、気筒12が形成されたシリンダブロック14と、シリンダブロック14上に配置されるシリンダヘッド16と、を有している。気筒12内にはその軸方向に往復動するピストン18が配置されている。内燃機関10の燃焼室20は、少なくともシリンダブロック14の壁面と、シリンダヘッド16の下面(燃焼室20の天井面)と、ピストン18の頂面とによって画定されている。
シリンダヘッド16には、燃焼室20に連通する吸気ポート22および排気ポート24が形成されている。吸気ポート22の燃焼室20に連通する開口部には吸気バルブ26が設けられ、排気ポート24の燃焼室20に連通する開口部には排気バルブ28が設けられている。
また、シリンダヘッド16における燃焼室20の天井部の中央付近には、点火装置の点火プラグ30が設けられている。さらに、燃焼室20の天井部の中央付近(より詳細には、一例として、点火プラグ30が設けられた位置よりも吸気バルブ26の側の位置)には、気筒12(燃焼室20)内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁32が設けられている。燃料噴射弁32は、その先端が燃焼室20内に突き出すように(より詳細には、ピストン18の頂面と対向するように)配置されている。そして、燃料噴射弁32の先端には、複数の噴孔(図示省略)が放射状に形成されている。このため、燃料噴射弁32が開くと、これらの噴孔から燃料が高圧状態で噴射される。より具体的には、燃料噴射弁32は、燃焼室20の天井部の中央付近に配置されているので、燃料は、天井部の中央付近からピストン18の頂面に向けて放射状に噴射されることになる。
本実施形態に係るシステムは、電子制御ユニット(ECU)40を備えている。ECU40には、内燃機関10の運転状態を検知するための各種センサと、内燃機関10の運転を制御するための各種アクチュエータとが電気的に接続されている。各種センサは、クランク角に応じた信号を出力するクランク角センサ42と、ノッキングを検出するためのノックセンサ44とを含む。ECU40は、クランク角センサ42を用いてエンジン回転速度を取得できる。また、上記の各種アクチュエータは、上述した点火プラグ30を有する点火装置と燃料噴射弁32とを含む。
ECU40は、プロセッサ、メモリおよび入出力インターフェースを備えている。入出力インターフェースは、上記の各種センサからセンサ信号を取り込むとともに、上記の各種アクチュエータに対して操作信号を出力する。メモリには、各種アクチュエータを制御するための各種の制御プログラムおよびマップが記憶されている。プロセッサは、制御プログラムをメモリから読み出して実行する。これにより、本実施形態に係る「内燃機関の制御装置」の機能が実現される。
2.実施の形態に係るノッキング抑制制御
気筒内のガスまたは壁面の温度が高いと、ノッキングが発生し易い。燃料噴射弁32のように気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える内燃機関においてノッキングを抑制するためには、噴射燃料の気化潜熱によってピストン18を冷却することが有効である。ECU40が実行するエンジン制御には、噴射燃料によるピストン冷却によってノッキングを抑制するためのノッキング抑制制御が含まれている。
2−1.ピストン冷却によるノッキング抑制制御の課題
図2は、エンジン回転速度がピストン冷却に及ぼす影響を説明するための図である。図2(A)および図2(B)は、本実施形態において前提として使用される燃料噴射時期(以下、「通常噴射時期制御」とも称する)を表している。より詳細には、低エンジン回転速度時には、図2(B)に示すように、燃料噴射は吸気行程の後半において開始および終了される。一方、高エンジン回転速度時には、図2(A)に示すように、燃料噴射は吸気行程の前半において開始され、吸気行程の後半において終了される。さらに付け加えると、この前提の下では、エンジン回転速度が低くなるにつれ、燃料噴射の開始時期が遅角されていく。
図2中に示す「ピストン冷却適切期間」は、ピストン18が上死点(TDC)と下死点(BDC)との中点およびそれよりも上死点側に位置する期間に相当する。このようなピストン冷却適切期間であれば、燃料噴射弁32による噴射燃料がピストン18の頂面に当たり易くなるので、ピストン冷却を効率的に行うことができるといえる。一方、同図中に示す「ピストン冷却不適切期間」は、ピストン18が上記中点よりも下死点側に位置する期間に相当する。ピストン冷却不適切期間では、噴射燃料がピストン18の頂面に当たりにくくなるので、ピストン冷却を効率的に行うことが難しくなる。
高エンジン回転速度時であれば、上記の通常噴射時期制御であっても、燃料の噴き始めには図2(A)に示すようにピストン18が上方(図2中に示す上死点(TDC側))に位置している(すなわち、ピストン冷却適切期間内にある)ので、ピストン冷却を効率的に行うことができる。これに対し、低エンジン回転速度時には、上記の通常噴射時期制御では、燃料の噴き始めには図2(B)に示すようにピストン18が下方(下死点側)に位置している(すなわち、ピストン冷却不適切期間内にある)ので、ピストン冷却を効率的に行うことが難しくなる。
2−2.実施の形態に係るノッキング抑制制御
そこで、本実施形態では、ノッキングの発生が検知された場合に、エンジン回転速度が所定回転速度以下となる低エンジン回転速度時であれば、図2(C)に示すような態様で微量の燃料噴射が追加的に実行される。すなわち、ECU40は、吸気行程(より詳細には、吸気行程後半)に設定された第1の噴射時期において、燃料噴射弁32から燃料を噴射させる第1の燃料噴射処理を実行し、さらに、圧縮行程の後半に設定された第2の噴射時期において、燃料噴射弁32から微量の燃料を噴射させる第2の燃料噴射処理を実行する。なお、上述のように、通常噴射時期制御によれば、エンジン回転速度が低くなるにつれ、燃料噴射の開始時期が遅角されていく。このため、上記の所定回転速度は、一例として、燃料噴射の開始時期がピストン冷却不適切期間に該当するエンジン回転速度の上限値に相当する。
次に、図1(A)〜(D)を参照して、本実施形態に係るノッキング抑制制御(上述の2回噴射制御)をより具体的に説明する。
図1(A)は、ノックセンサ44を用いてノッキングの発生が検知されたタイミングを示している。なお、ノッキングの発生の検知のためには、ノックセンサ44に限らず、例えば、筒内圧センサを使用してもよい。
図1(A)に示すようにノッキングの発生が検知されると、ノッキングの解消要求が出される。ノッキング解消要求が出されたときにエンジン回転速度が上記所定回転速度以下である場合には、次の燃焼サイクルからノッキング抑制制御が実行される。図1(B)および図1(C)は、このようなノッキング抑制制御である2回噴射制御が行われている様子を表している。まず、図1(B)に示すように、ピストン18が下降している吸気行程の後半において(すなわち、通常噴射時期制御と同様の態様で)、1回目の燃料噴射が実行される。次いで、図1(C)に示すように、ピストン18が上昇している圧縮行程の後半において、2回目の燃料噴射が実行される。
図1(D)は、上記のノッキング抑制制御の実施によってノッキングの発生が検知されることなく点火が実行され、かつ、その後に膨張行程に進んでいる様子を表している。このように、ノッキングの発生が検知されなくなると、ノッキング抑制制御(2回噴射制御)が終了され、燃料噴射制御が次の燃焼サイクルから通常噴射時期制御に戻される。
2−3.実施の形態に係るノッキング抑制制御の効果
以上説明したように、本実施形態では、ノッキングの発生が検知されたときにエンジン回転速度が上記所定回転速度以下である場合には、上述の2回噴射制御がノッキング抑制制御として実行される。2回噴射制御における2回目の燃料噴射は、圧縮行程後半、すなわち、ピストン冷却適切期間において行われる。燃料噴射弁32は、燃焼室20の天井部の中央付近に配置されているので、燃料は、天井部の中央付近からピストン18の頂面に向けて(より詳細には、放射状に)噴射される。そして、圧縮行程後半で行われる2回目の燃料噴射によれば、図1(C)に示すように、燃料をピストン18の頂面の中央に直接当てることができる(より詳細には、頂面の中央を中心として燃料を当該頂面に放射状に当てることができる)。このため、微小な燃料噴射量であってもピストン18の頂面全体を効率良く冷却することができる。そして、このようにピストン冷却が強化されることで、ノッキングを効果的に抑制できるようになる。
また、2回目の燃料噴射によりピストン18の頂面に当てられた燃料は、ピストン18からの受熱によって気化する。このため、第2の燃料噴射は、混合気形成の強化にも寄与する。
ところで、上述した実施の形態においては、エンジン回転速度が上記所定回転速度以下であるときに限って、上述のノッキング抑制制御(2回噴射制御)が実行される。しかしながら、吸気行程に設定された燃料噴射の開始時期がすべてのエンジン回転速度範囲においてピストン冷却不適切期間に該当するように通常噴射時期制御が前提として構成されている場合には、上述のノッキング抑制制御は、エンジン回転速度に関係なく実施されてもよい。
10 内燃機関
12 気筒
14 シリンダブロック
16 シリンダヘッド
18 ピストン
20 燃焼室
30 点火プラグ
32 燃料噴射弁
40 電子制御ユニット(ECU)
42 クランク角センサ
44 ノックセンサ

Claims (1)

  1. 燃焼室の天井部の中央付近に配置され、気筒内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁を備える内燃機関を制御する制御装置であって、
    前記制御装置は、ノッキングの発生を検知した場合に、
    吸気行程に設定された第1の噴射時期において、前記燃料噴射弁から燃料を噴射させる第1の燃料噴射処理と、
    圧縮行程の後半に設定された第2の噴射時期において、前記燃料噴射弁から燃料を噴射させる第2の燃料噴射処理と、
    を実行することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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