JP2018177296A - スリットバルブ付き注出具 - Google Patents
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Abstract
【課題】液切れ性を損なうことなく、操作性を向上させることができるスリットバルブを備えるスリットバルブ付き注出具を提供する。【解決手段】頂面部5aにスリットSが形成された非フッ素系エラストマーからなるスリットバルブ5を備えるスリットバルブ付き注出具1において、スリットバルブ5の少なくとも頂面部5aの外表面を撥液加工面とする。【選択図】図1
Description
本発明は、液切れ性に優れたスリットバルブを備えるスリットバルブ付き注出具に関する。
従来、十字状に直交する切り込みの組み合わせからなるスリットが頂面部に形成された、弾性材料からなるスリットバルブが知られている(特許文献1参照)。
かかるスリットバルブにあっては、それが装着された容器本体を圧搾して容器内圧を高めることで、内容物がスリットを押し開くようにして吐出されるが、その際、内容物がスリット周辺に付着したまま残ってしまうと不衛生である。そればかりか、そのまま放置され、乾燥固化した付着物によってスリットが固着してしまうと、次に内容物を吐出させようとしたときに、吐出操作が行い難くなってしまうという虞もある。
かかるスリットバルブにあっては、それが装着された容器本体を圧搾して容器内圧を高めることで、内容物がスリットを押し開くようにして吐出されるが、その際、内容物がスリット周辺に付着したまま残ってしまうと不衛生である。そればかりか、そのまま放置され、乾燥固化した付着物によってスリットが固着してしまうと、次に内容物を吐出させようとしたときに、吐出操作が行い難くなってしまうという虞もある。
このため、特許文献1では、十字状に直交するスリットの切り込みの一方が、内容物を吐出させる際に容器を傾動させる向きに合致するようにスリットバルブを取り付けることで、内容物を吐出させる際の液切れ性を改善し、上記したような不具合を回避しようとしている。
しかしながら、特許文献1が開示するようにしたのでは、スリットの位置合わせに煩雑な手間を要するだけでなく、使用者は、必ずしも常に一定の向きに容器を傾動させるとは限らないため、意図しない向きに容器が傾動されると、液切れ性の改善効果は全く期待できない。特許文献1では、容器を傾動させる向きを示すマークを設けることも提案するが(特許文献1の段落[0018]参照)、使用者がそれに従わなければ無意味である。
また、特許文献1の図2に示されているスリットバルブでは、二本の切り込みが、頂面部の中心を通って互いに二等分するように交わっており、それぞれの端部を結ぶ円の直径(これを、「スリット径」という)が、頂面部の直径の1/2程度しかなく、スリットの開口面積が小さい。このため、内容物がスリットを押し開いて吐出される際の抵抗が大きく、子供、女性、老人などの力の弱い人が容器本体を手指で圧搾して操作する場合には、十分な量の内容物を吐出できないことがある。
スリット径を大きくしたり、切り込みの数を増やして多重スリットとしたりするなどして、スリットの開口面積を大きくすれば、内容物がスリットを押し開いて吐出される際の抵抗を低減させて、力の弱い人でも容易に操作することができるようになる。
しかしながら、スリットの開口面積を大きくすると、吐出量が増えるとともに、同じ力で容器本体を圧搾したときに、その単位面積あたりに作用する圧力が小さくなり、スリットを通過する内容物の流速が遅くなってしまうことから、内容物がスリット周辺に回り込み易くなってしまう。そうすると、前述したような付着物による不具合が著しく悪化してしまう。このため、特許文献1では、スリット径を頂面部の直径の1/2程度にしかできなかったものと推測される。
しかしながら、スリットの開口面積を大きくすると、吐出量が増えるとともに、同じ力で容器本体を圧搾したときに、その単位面積あたりに作用する圧力が小さくなり、スリットを通過する内容物の流速が遅くなってしまうことから、内容物がスリット周辺に回り込み易くなってしまう。そうすると、前述したような付着物による不具合が著しく悪化してしまう。このため、特許文献1では、スリット径を頂面部の直径の1/2程度にしかできなかったものと推測される。
本発明は、上記したような事情に鑑みてなされたものであり、液切れ性を損なうことなく、操作性を向上させることができるスリットバルブを備えるスリットバルブ付き注出具の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係るスリットバルブ付き注出具は、頂面部にスリットが形成された非フッ素系エラストマーからなるスリットバルブを備えるスリットバルブ付き注出具であって、前記スリットバルブの少なくとも前記頂面部の外表面が撥液加工面とされている構成としてある。
本発明によれば、スリットバルブの少なくともスリットが形成された頂面部の外表面が撥液加工面とされており、内容物がスリット周辺に回り込んでも濡れ拡がらないようにすることができるため、液切れ性を損なうことなく、操作性を向上させることが可能である。
以下、本発明に係るスリットバルブ付き注出具の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に示す注出具1は、上蓋3とキャップ本体2とがヒンジ4で連結された、いわゆるヒンジキャップに本発明を適用した例であり、打栓又は螺着などによって、圧搾可能な容器本体の口部10に取り付けられるようになっている。
キャップ本体2の中央部には、容器本体に貯蔵された内容物の吐出口となる筒状の吐出口部20が形成されている。そして、吐出口部20には、筒状に形成された吐出口部20の内部に挿通された状態で、スリットバルブ5が取り付けられている。
図1に示す例において、スリットバルブ5は、筒状の側壁部5bと、側壁部5bの上端側に連接された円板状の頂面部5aとを有し、側壁部5bの下端側には、外方に張り出すフランジ部5cが形成されている。一方、吐出口部20の内周面には、スリットバルブ5のフランジ部5cが係止される係止段部20aが設けられているとともに、係止段部20aに近接した位置に、環状の押さえ部材6の周縁が嵌入される溝部20bが刻設されている。これにより、図1に示す例では、スリットバルブ5が、そのフランジ部5cが係止段部20aと押さえ部材6とに挟持されて吐出口部20に取り付けられるようにしているが、スリットバルブ5の具体的な構造や取り付け手段は、吐出口部20から容易に脱落しないように取り付けることができれば特に限定されない。例えば、スリットバルブ5は、必要に応じて、頂面部5aのみからなる構造としてもよい。
また、スリットバルブ5の頂面部5aには、頂面部5aを線状に切り込んでなるスリットSが形成されている。スリットSは、容器本体を圧搾して容器内圧を高めると、内容物がスリットSを押し開くようにして吐出されるように形成するが、かかるスリットSの例を図2及び図3に示す。
図2は、スリットSが、頂面部5aの中心を通って互いに二等分するように交わる複数(図2に示す例では二本)の切り込みS1,S2からなる例である。
このような態様でスリットSを形成する場合には、スリットSのスリット径dを、頂面部5aの直径Dの1/2以上とするのが好ましく、より好ましくは頂面部5aの直径Dの50〜70%、さらに好ましくは頂面部5aの直径Dの70〜90%として、スリットSの開口面積を大きくすることにより、内容物がスリットSを押し開いて吐出される際の抵抗を低減させて、吐出操作が容易に行えるようにすることができる。
ここで、スリットSのスリット径dは、スリットSを形成するそれぞれの切り込みの端部を結ぶ円の直径をいうものとし、当該円を図2中一点鎖線で示す。
このような態様でスリットSを形成する場合には、スリットSのスリット径dを、頂面部5aの直径Dの1/2以上とするのが好ましく、より好ましくは頂面部5aの直径Dの50〜70%、さらに好ましくは頂面部5aの直径Dの70〜90%として、スリットSの開口面積を大きくすることにより、内容物がスリットSを押し開いて吐出される際の抵抗を低減させて、吐出操作が容易に行えるようにすることができる。
ここで、スリットSのスリット径dは、スリットSを形成するそれぞれの切り込みの端部を結ぶ円の直径をいうものとし、当該円を図2中一点鎖線で示す。
図3は、スリットSが、頂面部5aの中心から周縁に向かって放射状に延在する五本以上(図3に示す例では八本)の切り込みS10〜S80からなる例である。スリットSを形成する切り込みの数を増やして開口面積を大きくすることによっても、内容物がスリットSを押し開いて吐出される際の抵抗を低減させて、吐出操作が容易に行えるようにすることができる。
なお、図3に示す例は、スリットSが、頂面部の中心を通って互いに二等分するように交わる四本の切り込みからなる例でもある。
なお、図3に示す例は、スリットSが、頂面部の中心を通って互いに二等分するように交わる四本の切り込みからなる例でもある。
スリットバルブ5は、スリットSの開閉動作が良好になされるように、好ましくは弾性率100MPa以下の非フッ素系エラストマーからなり、少なくとも頂面部5aの外表面が、撥液性を発現させる撥液加工が施された撥液加工面とされている。例えば、撥液性を発現させて液滴に対する転落性を付与する微細な凹凸形状からなる粗面100が形成されるように、スリットバルブ5の頂面部の外表面を粗面化することによって撥液性を発現させることができる。
図4に、スリットバルブ5の頂面部の外表面に形成される粗面100の一例を示すとともに、図5を参照して、凹凸面によって撥液性が発現する原理について説明する。
なお、図5(a)は、液滴と凹凸面の接触パターンをCassie−Baxterモデルで模式的に示しており、図5(b)は、液滴と凹凸面の接触パターンをWenzelモデルで模式的に示している。
なお、図5(a)は、液滴と凹凸面の接触パターンをCassie−Baxterモデルで模式的に示しており、図5(b)は、液滴と凹凸面の接触パターンをWenzelモデルで模式的に示している。
図5(a)に示すように、液滴が凹凸面上に載ったCassieモードでは、凹凸面の凹部がエアポケットとなっており、液滴は固体と気体(空気)との複合接触の状態となる。このような複合接触では、疎液性が最も高い空気に液滴が接触するため、高い撥液性が発現するとともに、液滴の接触界面での接触半径Rは小さく、液滴と凹凸面の密着力は低くなる。
Cassieモードでの凹凸面の接触角は、以下の理論式(1)に示す通りである。
cosθ*=(1−φS)cosπ+φScosθE
=φS−1+φScosθE (1)
θE:接触角
θ*:見かけの接触角
φS:面積比(単位面積当たりの固−液界面の投影面積)
この理論式(1)から理解されるように、面積比φSが小さいほど、見かけの接触角θ*は180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
Cassieモードでの凹凸面の接触角は、以下の理論式(1)に示す通りである。
cosθ*=(1−φS)cosπ+φScosθE
=φS−1+φScosθE (1)
θE:接触角
θ*:見かけの接触角
φS:面積比(単位面積当たりの固−液界面の投影面積)
この理論式(1)から理解されるように、面積比φSが小さいほど、見かけの接触角θ*は180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
一方、図5(b)に示すように、液滴が凹凸面の凹部に侵入した場合には、液滴は上記のような複合接触ではなく、固体のみとの接触となり、Wenzelモードで示される。このようなWenzelモードでは、液滴の接触界面での接触半径Rは大きく、液滴と凹凸面の密着力は高い。
Wenzelモードでの凹凸面の接触角は、以下の理論式(2)に示す通りである。
cosθ*=rcosθE (2)
θE:接触角
θ*:見かけの接触角
r:凹凸度(=実接触面積/液滴の投影面積)
この理論式(2)から理解されるように、凹凸度rが大きいほど、見かけの接触角θ*は180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
Wenzelモードでの凹凸面の接触角は、以下の理論式(2)に示す通りである。
cosθ*=rcosθE (2)
θE:接触角
θ*:見かけの接触角
r:凹凸度(=実接触面積/液滴の投影面積)
この理論式(2)から理解されるように、凹凸度rが大きいほど、見かけの接触角θ*は180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
このように、撥液性については、WenzelモードとCassieモードのいずれの状態においても撥液性が向上することが知られているが、Wenzelモードでは、液相と固相の界面が大きく、その結果、界面に働く物理的な吸着力も大きくなる。このため、接触角は大きく撥液はしているが、液滴が容易に転落しない。これに対して、Cassieモードでは、液相と固相の界面が小さいため、液滴が転落する際乗り越えなければならない密着力が低く、液滴は容易に転落し、何度でも繰り返し転落すると考えられる。
したがって、液滴と凹凸面との密着力を低減させ、液滴に対する転落性を高めるには、Wenzelモードではなく、Cassieモードを安定的に維持すること、すなわち、凹部のエアポケットを安定に維持することが必要となる。
したがって、液滴と凹凸面との密着力を低減させ、液滴に対する転落性を高めるには、Wenzelモードではなく、Cassieモードを安定的に維持すること、すなわち、凹部のエアポケットを安定に維持することが必要となる。
図4に示す例において、粗面100を形成する凹凸形状は、一次凹凸面101と、一次凹凸面101に形成された一次凹凸面101よりも微細な二次凹凸面102とを有している。
このような凹凸形状からなる粗面100によれば、一次凹凸面101の凹部101aがエアポケット(一次エアポケット)となり、前述したCassieモードによる撥液性が発現して、液滴に対する転落性、繰り返し転落性が良好に付与されることとなる。
このような凹凸形状からなる粗面100によれば、一次凹凸面101の凹部101aがエアポケット(一次エアポケット)となり、前述したCassieモードによる撥液性が発現して、液滴に対する転落性、繰り返し転落性が良好に付与されることとなる。
一次凹凸面101は、Cassieモードによる撥液性が十分に発揮されるように、前記式(1)中の面積比φSが0.05以上の範囲にあることが好ましく、0.08以上の範囲にあることがより好ましい。さらに、成形性や機械的強度の観点から、面積比φSは0.8以下、特に0.5以下の範囲にあることが好ましい。
また、一次凹凸面101における深さdは、5〜200μm、特に10〜50μmの範囲にあることが好適である。
また、一次凹凸面101における深さdは、5〜200μm、特に10〜50μmの範囲にあることが好適である。
また、一次凹凸面101は、その凹部101aのエアポケットを安定に維持するという観点から、図1に示すように、凹部101a及び凸部101bが矩形状に形成されているのが好ましいが、一次凹凸面101のみでは、液滴が一次凹凸面101の凹部101aに侵入し、前述したWenzelモードに遷移してしまうこともある。そうすると、一次エアポケットが消失して液相と固相の界面が大きくなり、界面に働く物理的な吸着力も大きくなってしまうため、液滴に対する転落性、繰り返し転落性が低下することになる。
このため、図4に示す例では、一次凹凸面101に、微細な二次凹凸面102が形成されており、液滴と二次凹凸面102との間にもエアポケット(二次エアポケット)が形成されるようにしている。このようにすることで、液滴と二次凹凸面102との間の二次エアポケットが、一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入を阻止し、これによって、Cassieモードによる撥液性がより安定に発現されるようにすることができる。その結果、液滴に対する転落性を確保し、しかも、転落動作が繰り返し行われても、一次エアポケットが安定に維持されるため、繰り返し転落性も向上する。
一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入を阻止する二次エアポケットが、液滴と二次凹凸面102との間に形成されるようにするには、二次凹凸面102の表面粗さは、例えば、算術平均粗さRaが100nm〜1μmであるのが好ましい。
また、二次凹凸面102は、繊毛状のような高いアスペクト比の形状であると、強力な負の向きの毛管力が発生し、容易には二次凹凸面102の凹部に液滴が侵入できなくなって、二次凹凸面102自体の撥液性が向上し、一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入をより有効に阻止することができる。
また、二次凹凸面102は、繊毛状のような高いアスペクト比の形状であると、強力な負の向きの毛管力が発生し、容易には二次凹凸面102の凹部に液滴が侵入できなくなって、二次凹凸面102自体の撥液性が向上し、一次凹凸面101の凹部101aへの液滴の侵入をより有効に阻止することができる。
また、スリットバルブ5を形成する非フッ素系エラストマーの分子鎖中に、フッ素原子を組み込んで、例えば、非フッ素系エラストマーの分子鎖を−(CH2)n−で表すと、この分子鎖の一部にフッ素原子が組み込まれ、例えば、−CHF−或いは−CF2−などの含フッ素部分が生成されるようにフッ素化することによっても、化学的に撥液性を発現させることができる。
非フッ素系エラストマーの分子鎖中への組み込みは、フッ素プラズマを用いたエッチングにより行うことができる。例えば、CF4ガスやSiF4ガスなどを使用し、フッ素化する対象を、一対の電極間に配置し、高周波電界を印加することにより、フッ素原子のプラズマ(原子状フッ素)を生成させ、これを撥液加工を施す面に衝突させることによって、撥液加工面における非フッ素系エラストマーの分子鎖中にフッ素原子を組み込むことができる。すなわち、非フッ素系エラストマーが気化乃至分解し、同時に、フッ素原子が組み込まれることとなる。したがって、フッ素原子が組み込まれている領には、エッチングにより、超微細な凹凸が形成されることとなる。この超微細な凹凸での算術平均粗さRaは、一般に、100nm以下であり、Ra/RSm≧5×10−3である。
撥液加工は、粗面化とフッ素化の両方の処理を含んでいるのが好ましく、特に、前述した粗面100において、一次凹凸面101の凸部101bの頂面や凹部101aの底面を形成する非フッ素系エラストマーの分子鎖中に、化学的に撥液性を発現させるためのフッ素原子が組み込まれるようにするのが好ましい。このようにすることで、粗面100に液滴が繰り返し接触した場合にも、組み込まれたフッ素原子が取り除かれることはなく、その撥液性が安定して維持され、結果として、Cassieモードによる撥液性が低下することなく、初期段階と同様に高いレベルに維持されるようになる。
なお、前述したように、フッ素化するためのプラズマ処理は、非常にアタック性の強いもので、プラズマ処理によって、その処理面には微細な凹凸が形成されて粗面化される。このため、フッ素化は、実質的に粗面化を含むことになるが、所望の撥液性を発現できれば、撥液加工は、粗面化とフッ素化の少なくともいずれか一方の処理を含んでいればよい。
また、スリットバルブ5は、射出成形、圧縮成形などによって所望の形状に成形することができる。スリットバルブ5の少なくとも頂面部5aの外表面を粗面化して、前述したような微細な凹凸形状からなる粗面100が形成されるようにするには、成形型のキャビティ面に、対応する凹凸形状を刻設しておいて、これが転写されて粗面100が形成されるようにすることができる。このようにして粗面化する場合には、微細な凹凸形状を精密に転写形成できることから、スリットバルブ5を形成する非フッ素系エラストマーとしては、シリコーンゴム,ウレタンゴム等の熱硬化性エラストマーを用いるのが好ましい。これらのなかでも、食品衛生性に優れる点から、シリコーンゴムが好ましい。
また、スリットバルブ5を所望の形状に成形した後に、対応する凹凸形状が刻設されたスタンパを適宜加熱して、その頂面部5aに押し当てることによって、粗面100を転写形成するようにしてもよい。このようにして粗面化する場合には、スリットバルブ5を形成する非フッ素系エラストマーとして、オレフィン系,スチレン系,塩化ビニル系,ポリウレタン系,ポリエステル系,ポリアミド系,ブタジエン系等の熱可塑性エラストマーを用いることができる。これらのなかでも、食品衛生性に優れる点から、スチレン系、オレフィン系の熱可塑性エラストマーが好ましい。
以上のように、本実施形態によれば、注出具1が備えるスリットバルブ5は、スリットSが形成された頂面部5aの外表面が撥液加工面とされているため、内容物を吐出するに際し、スリットSを通過した内容物がスリットSの周辺に回り込んでも濡れ拡がらないようにすることができる。その結果、内容物がスリットSを押し開いて吐出される際の抵抗を低減させて操作性を向上させるために、スリットSの開口面積を大きくしても、液切れ性が損なわれることがない。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る注出具は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
前述した実施形態では、本発明をヒンジキャップに適用した例を挙げて説明したが、本発明の適用対象は、これに限定されない。キャップ状の形態の注出具の他、ノズル状の形態の注出具などにも広く適用することができる。特に図示しないが、例えば、ノズル先端部にスリットバルブ5を備え、スリットSから内容物を滴下するようにした注出具にも応用可能であり、このような態様とした場合にあっても、内容物はスリット周辺に濡れ拡がることがない。このため、一定の滴下量で内容物を少量滴下することが可能になる。
本発明は、例えば、醤油、ソース、ドレッシング等の調味料類、洗剤、化粧品等の薬液類などを注出(吐出又は滴下)するための注出具として利用することもできる。
1 注出具
5 スリットバルブ
5a 頂面部
S スリット
S1,S2 切り込み
S10〜S80 切り込み
100 粗面
101 一次凹凸面
102 二次凹凸面
5 スリットバルブ
5a 頂面部
S スリット
S1,S2 切り込み
S10〜S80 切り込み
100 粗面
101 一次凹凸面
102 二次凹凸面
Claims (8)
- 頂面部にスリットが形成された非フッ素系エラストマーからなるスリットバルブを備えるスリットバルブ付き注出具であって、
前記スリットバルブの少なくとも前記頂面部の外表面が撥液加工面とされていることを特徴とするスリットバルブ付き注出具。 - 前記スリットが、前記頂面部の中心を通って互いに二等分するように交わる複数の切り込み線からなり、当該スリットのスリット径が、前記頂面部の直径の1/2以上である請求項1に記載のスリットバルブ付き注出具。
- 前記スリットが、前記頂面部の中心から周縁に向かって放射状に延在する五本以上の切り込み線からなる請求項1に記載のスリットバルブ付き注出具。
- 前記撥液加工面が粗面化されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のスリットバルブ付き注出具。
- 粗面化された前記撥液加工面が、一次凹凸面と、前記一次凹凸面に形成された前記一次凹凸面よりも微細な二次凹凸面とを有している請求項4に記載のスリットバルブ付き注出具。
- 前記撥液加工面において、前記非フッ素系エラストマーの分子鎖中に、フッ素原子が組み込まれている請求項1〜5のいずれか一項に記載のスリットバルブ付き注出具。
- 前記非フッ素系エラストマーが、熱硬化性エラストマーである請求項1〜6のいずれか一項に記載のスリットバルブ付き注出具。
- 前記非フッ素系エラストマーが、熱可塑性エラストマーである請求項1〜6のいずれか一項に記載のスリットバルブ付き注出具。
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