JP6759531B2 - ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、例えば目薬の点眼用容器の注出部分に備えられる、容器内の液体を少量ずつ滴下可能なノズルに関する。
一般に、目薬の点眼用容器などでは、容器内の液体(目薬)を少量ずつ滴下できるように注出部分にノズルが備えられている。
ここで、通常、人間の眼には約20μl程度の涙液を保持する容積があるが、従来の点眼用容器のノズルでは、1滴の滴下量が約30〜40μlというのが一般的となっており、滴下された目薬のほぼ半分が眼から溢れ出てしまうという問題があった。
そこで、このような人間の眼の涙液保持容積に対応した、より少量の滴下を可能とする点眼用容器のノズルに関する提案がなされている。
例えば、特許文献1には、容器から点眼液を滴下させる注出ノズルの先端に、外径が0.5mm以上2.5mm以下のニードル部を備えることにより、1滴の滴下量を約5〜25μl程度にすることができる「点眼用容器」が提案されている。
また、特許文献2には、薬液容器のキャップ内側のノズル先端封止部分に、撥液性のある物質を塗布しておき、閉栓すると、その撥液性物質がノズル側に転写されることにより、ノズル先端に撥液性を持たせて、1滴の滴下量をコントロールできるようにする「ノズルに撥水性をもたせた液体用容器」が提案されている。
国際公開第2014/123140号 特開2011−105339号公報
しかしながら、特許文献1記載の「点眼用容器」では、ノズルの先端に微細なニードル部を備えることで滴下量を小さくしようとするものであるが、ノードル部自体には撥液性能はなく、滴下が行われるうちに、ニードル部を含むノズル先端部分に液滴が付着したり残存してしまい、繰り返し使用されるに従って定量滴下が行えなくなるという問題があった。
また、0.5〜2.5mmという微細なニードルは、点眼を行うユーザにとって、先端が非常に尖って見えることから、眼に突き刺さるような恐怖心を与えるおそれもあった。
また、そのような微細なニードルによっても、滴下量はせいぜい10μl程度が限界であり、滴下量の少量性としても十分なものとは言えなかった。
一方、特許文献2記載の「液体用容器」では、キャップを介してノズル先端に撥液性物質を塗布するというもので、点眼用容器のノズル先端に目薬とは異なる物質が塗布されることによる、容器内への異物の流入によるコンタミネーションや人体への悪影響などの問題が容易に想起されるものであった。
このため、目薬の点眼用容器としては基本的に問題があり、現実の実施は不可能であると考えられ、上述のような従来の点眼用容器が有する課題を解決する手段とはなり得なかった。
本発明は、以上のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、点眼用容器における滴下量の少量化を実現するとともに、液だれやノズル天面の液残りを防止でき、ノズル先端の汚染、ノズルから容器本体内への液戻りによる異物や微生物の混入などもなくなり、繰り返しの使用によっても滴下性能の劣化等の問題が生じず、さらに、ノズル先端部をキャップによって確実に保護することができる、目薬の点眼用容器に好適なノズルの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のノズルは、非フッ素系樹脂よりなるプラスチック成形体で形成されるノズルであって、前記ノズルの先端部の開口が、内径0.5mm以下であり、前記ノズルの先端部が、表面に形成された凹凸によって粗面化されるとともに、前記ノズルの表面を構成する非フッ素系樹脂の分子鎖中に、フッ素原子が組み込まれ、前記ノズルの表面に形成された凹凸面上を液体が流れるときに、凹部にエアポケットが形成されることで、当該凹凸面と液体との接触状態が固液接触及び気液接触からなる混合接触状態となることにより、前記ノズルの先端部から滴下量10μL以下の液滴を滴下させ、当該ノズルの先端部表面に濡れ広がらせることなく、前記液滴をほぼ球体状にして前記ノズルの先端部表面から離脱させる構成としてある。
また、本発明のノズルは、前記ノズルの先端部が粗面化されてなる構成とすることができる。
そして、本発明のノズルは、点眼用容器のノズルとして構成とすることができる。
さらに、本発明のノズルは、前記ノズルの先端部に接することなく、当該ノズルを覆うキャップを備えることができる。
本発明によれば、点眼用容器における滴下量の少量化を実現するとともに、液だれやノズル天面の液残りを防止でき、ノズル先端の汚染、ノズルから容器本体内への液戻りによる異物や微生物の混入などもなくなり、繰り返しの使用によっても滴下性能の劣化等の問題が生じることも防止できる。また、ノズル先端部をキャップによって確実に保護することができ、目薬の点眼用容器に好適なノズルを実現することができる。
本発明の一実施形態に係るノズルを示す、(a)は点眼用容器全体の断面図、(b)は(a)に示すノズルの先端部分の拡大断面図である。 撥液加工の有無によるノズルの液滴の状態を模式的に示す説明図であり、(a)は撥液加工のあるノズルの場合、(b)は撥液加工のあるノズルの開口の周状突起部(バリ)がある場合、(c)は撥液加工のないノズルの場合である。 本発明の一実施形態に係るノズルの先端部に形成される撥液性の粗面の形態を模式的に示す説明図である。 図3に示す粗面での液滴の接触パターンをCassie−Baxterモデル及びWenzelモデルで模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るノズルの先端部に形成される粗面の他の形態を拡大して示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るノズルの先端部に形成される好適な粗面の形態を拡大して示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るノズルを覆うキャップを示す、(a)はキャップを装着した点眼用容器の要部断面図、(b)は(a)に示すキャップのノズル先端部分の拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係るノズルを覆うキャップの他の形態を示す、(a)はキャップを取り外した点眼用容器の要部断面図、(b)はキャップを装着した点眼用容器の要部断面図、(c)は(b)に示すキャップのノズル先端部分の拡大断面図である。 本発明の一実施形態に係るノズルの製造方法を模式的に示す説明図であり、(a)は一般的な射出成形を用いる場合、(b)は射出圧縮成形又はヒート&クール式射出成形を用いる場合である。 本発明の一実施形態に係るノズルの先端部に粗面を形成するためのフッ素プラズマエッチング処理の方法を模式的に示す説明図である。 本発明の一実施形態に係るノズルの開口の周囲に堤防部を設ける場合の先端部の平面図及びそのA−A線断面図であり、(a)はノズルの開口周囲に堤防部を設ける場合を、(b)は同じく堤防部を設けない場合を示している。 本発明の一実施形態に係るノズルの先端部の外縁に肉溜まり部を設ける場合のノズルの部分断面図であり、(a)は肉溜まり部の形状がノズル先端部の天面に対してオーバーハングしている場合を、(b)は肉溜まり部の形状がノズル先端部の天面に対してスラントしている場合を、(c)は肉溜まり部を設けていないノズルを、それぞれ示している。 ノズルの先端部の外縁にスラント形状の肉溜まり部を設けた場合の液切れ性能を説明するためのノズルの要部断面図である。 ノズルの先端部の外縁にオーバーハング形状の肉溜まり部を設けた場合の液切れ性能を説明するためのノズルの要部断面図である。 本発明の一実施形態に係るノズルに熱プレスにより肉溜まり部を形成する場合の製造方法を模式的に示す説明図であり、(a)はノズルの開口(吐出口)が熱プレスにより閉塞されないように開口を予め大きく形成した場合の熱プレス前の状態を、(b)は同じく熱プレス後の状態を、(c)は熱プレスによりノズルの開口が閉塞されてしまった状態を、それぞれ示している。
以下、本発明に係るノズルの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るノズルを示す、(a)は点眼用容器全体の断面図、(b)は(a)に示すノズルの先端部分の拡大断面図である。
[点眼用容器]
同図に示すように、本実施形態に係るノズルは、目薬の点眼用容器1の注出口となるノズル10を構成している。
具体的には、点眼用容器1は、内部に目薬となる液体を収容・貯留可能な容器本体2と、この容器本体2の上面(滴下使用時の底面)のほぼ中心から突出した、液体の注出手段となるノズル10を備えている。容器本体2とノズル10とは連通しており、容器本体2に貯留された目薬がノズル10の先端部11の開口11aから、容器外部に注出・滴下されるようになっている。
[ノズル]
ノズル10は、図1に示すように、容器本体2とは別体に形成されており、容器本体2に形成されたノズル取付用の突出部分に挿入・嵌合されて容器本体2と一体となって、点眼用容器1を構成する。
具体的には、ノズル10は、例えば円筒形状に形成され、容器本体2の液体の貯留空間と連通するようになっている。そして、その筒状のノズル10の先端部11の開口11aを介して、容器本体2の内部から液体が注出・滴下される。
また、ノズル10を含む容器本体2には、後述するキャップ20が着脱可能に装着されるようになっており(図7,8参照)、キャップ20によって、ノズル10が覆われ、容器本体2の内部が密閉されるとともに、ノズル10の先端部11が保護されるようになっている。
具体的には、ノズル10が装着される容器本体2の突出部表面には、キャップ20の内面との間で互いに螺合する螺子構造が備えられ、容器本体2に対してキャップ20が螺合により着脱可能に装着され、キャップ20が装着された状態で容器本体2が密封されるようになっている。
また、本実施形態では、図1に示すように、ノズル10の先端部11に連続する側面部12が、先端部11に向かって傾斜するテーパ形状に形成されており、この側面部12が、キャップ20の内面のライナー21に当接・押圧されて、容器本体2が密閉されるようになっている。
キャップ20の詳細については、図7,8を参照して後述する。
ここで、容器本体2及びノズル10は、後述するキャップ20を含めて、所定のプラスチック材料により形成される。
容器本体2・ノズル10を形成するプラスチック材料としては、特に制限されず、公知の点眼用容器やプラスチックボトル等と同様、各種の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル樹脂で形成することができる。
特に、ノズル10については、後述するように、先端部11の表面に凹凸面からなる粗面100を形成することから、凹凸面100の形態安定性、強度等の観点から、非フッ素系樹脂であるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を採用することが好ましい。
このようなプラスチック樹脂材料を用いて、射出成形等の公知の技術を用いて、容器本体2及びノズル10を形成することができる。
なお、容器本体2とノズル10とは別体(別部品)として形成されることから、容器本体2を非プラスチック材料、例えばガラスや金属によって形成することもできる。また、容器本体2とノズル10とを、一体成形により一体的に構成することも可能である。
本実施形態のノズル10の成形方法については、図9,10を参照しつつ後述する。
そして、本実施形態では、このようなノズル10の先端部11の表面を、所定の方法によりフッ素化・粗面化するようにしてある。
まず、非フッ素系樹脂よりなるプラスチック成形体で形成されるノズル10について、プラスチック成形体を構成する非フッ素系樹脂の分子鎖中に、フッ素原子が組み込まれるようにしてある。
さらに、そのようにフッ素化されるノズル10の先端部11は、必要に応じて表面を粗面化することができる。
このようにして、ノズル10の先端部11をフッ素化・粗面化することにより、ノズル10の撥液性を高めて、容器本体2から注出される液体(目薬)がノズル10の先端部11に対して広範囲に濡れることを防ぎ、開口11aの内径を調整・設定することで、ノズル10から注出される液体の滴下量を任意に設定することができる。
図2は、撥液加工の有無によるノズルの液滴の状態を模式的に示す説明図であり、(a),(b)は撥液加工のあるノズルの場合、(c)は撥液加工のないノズルの場合である。
図2(a)に示すように、ノズルの先端部に撥液加工を施した場合には、ノズルから注出される液滴はノズル先端に濡れ拡がることなく、ほぼ球体状となる。そして、液滴とノズル先端の密着力より液滴の重量が上回ったタイミングで、液滴はノズル表面から離脱して転落・滴下されるようになる。液滴は濡れ拡がっていないので密着力は小さく、滴下する液滴は少量となる。また、ノズルの内径を所定の寸法に設定することで、所望の滴下量の液滴を注出・滴下させることができる。
また、このようにノズルの先端部に撥液加工を施す場合に、さらに、図2(b)に示すように、ノズル先端の開口の外周に、先端面よりも突出する突出部分(図2(b)に示す周状突起部(バリ)13)を備えることができる。このような周状突起部13が存在することで、ノズルから注出された液滴はノズル先端には接触せずに、周状突起部13の先端部のみと接触した状態で球体状になる。このため、液滴がノズル先端面の偏った位置に注出されることが防止され、また、注出される液滴内に気泡等が存在することによって液滴が複数に分離して注出されることが防止され、図2(a)に示した場合と比較して、より確実かつ安定して、所望の滴下量の液滴を注出・滴下させることができる。
なお、このようなノズル先端の開口から突出する周状突起部13は、例えばドリル等によってノズルに開口を穿設する場合に自然に形成される「バリ」によって構成することができ、また、ノズル開口内にさらに小径・肉薄の管状部材を挿入することによって構成することもできる。
これに対して、図2(c)に示すように、ノズルの先端部に撥液加工を施していない場合には、ノズルから注出された液滴はノズル先端の表面に付着して広がり、ほぼ半球体状に広がってしまう。そして、ノズル先端に広がった液体は、相当量にならないとノズル表面から離脱せず、その結果、所望したよりも大量の液滴が滴下され、かつ、ノズルの内径を無視できるほど拡がった場合は、ノズルの内径によっては液滴量を制御することが困難となる。
そこで、本実施形態では、容器本体20から液体を注出させるノズル10の先端部に所定の撥液加工・撥液構造を付与するようにしてある。
ここで、液体に対する撥液性を向上させるには、一般に、プラスチックとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの含フッ素樹脂を用いることが考えられる。しかしながら、PTFEの水に対する接触角は高々115°程度であり、アルコール、油など表面張力の小さい物質が含有された液体に対しては、撥液性を示すことはない。また、含フッ素樹脂は非常に高価であり、しかも成形が困難であるため、その用途等が非常に限定されてしまうという問題がある。
このため、ポリオレフィンやポリエステルなどのフッ素を含んでいない非フッ素系樹脂を用いて形成されているプラスチック成形体について、撥液性を向上させることが課題となる。
また、液体の撥液性を高めるための手段としては、ノズル等の表面に撥液性の被膜を設けるという手段や、凹凸を形成するという手段が考えられる。
例えば、表面に母材とは別の撥液性の薄膜(例えばフッ素やケイ素などを含む化合物もしくは樹脂を含有する膜)を表面に設けることにより、撥液性の向上を図ることができる。しかしながら、このような方法では、母材との密着性が不十分なり易く、繰り返し滴下を行った場合、撥液性の薄膜等が剥離・脱落してしまい、撥液性が失われるだけでなく、内溶液にコンタミするリスク等がある。
これに対して、ノズル等の表面に凹凸を設けるという手段は、表面形状により物理的に撥液性を付与するというものであり、上記のような薄膜等による問題は発生しない。
すなわち、ノズル等の表面に形成された凹凸面上を液が流れるときには、凹部にエアポケットが形成され、凹凸面と液体との接触状態が固液接触及び気液接触からなる混合接触状態となり、しかも、気体(空気)は最も疎水性の高い物質である。このため、凹凸の粗密を適宜設定することにより、著しく高い撥液性を発現させることができる。
但し、凹凸面状に液体が繰り返し流れた場合に、次第に凹部に液が溜まっていき、エアポケットの機能が徐々に失われていき、撥液性が次第に低下していくことに考慮する必要がある。
そこで、本実施形態では、まず、ノズル10の先端部11を構成するプラスチック成形体の非フッ素系樹脂の分子鎖中に、フッ素原子が組み込まれるようにする。
また、そのようにフッ素化されたノズル10の先端部11の表面を、さらに凹凸部が形成されるように粗面化するようにしてある。
また、粗面化構造の一環として、粗面化されたノズル10の開口11aの外縁に、先端面よりも突出する周状突起部13(図2(b)参照)を備えるようにすることもできる。
このようにノズル10の撥液性を高めて、ノズル10の開口11aの内径に応じて所望の滴下量(例えば10μl以下)の液体を注出・滴下させることができるようにしてある。
さらに、そのように撥液加工されたノズル10は、後述するキャップ20によって保護されるようになっており、ノズル10の先端部11の粗面化構造の破損・劣化等が生じないようになっている。
なお、以下に示すように、ノズル10の先端部11は、フッ素化され、かつ、先端部11の表面が粗面化されることが、撥液性を向上させることから好ましい。
但し、ノズル10の先端部11は、少なくともフッ素化されていれば、非フッ素系樹脂からなるノズル10に撥液性能を付与することができる。また、後述するように、先端部11をフッ素化するためのプラズマ処理(図10参照)は、非常にアタック性の強いもので、プラズマ処理によってノズル10の先端部11の表面には微細な凹凸が形成されて粗面化される。
従って、本実施形態に係るノズル10は、先端部11が少なくともフッ素化されていればよく、必要に応じて、さらに先端部11の表面を粗面化するものであれば良い。
[撥液構造の動作原理]
以下、本実施形態に係るノズル10の先端部11のフッ素化・粗面化による撥液構造の動作原理について、図3〜6を参照しつつ説明する。
本実施形態に係るノズル10を構成するプラスチック成形体において、先端部11の表面に形成される粗面の形態を図3に示す。同図において、先端部11の表面は、非フッ素系の樹脂から形成されているが、この表面には、微細な凹凸からなる粗面100が形成されるようになっている(図3において、粗面100中の凸部の頂部はSで示されている)。
そして、この粗面100を形成する非フッ素系樹脂の分子鎖中には、後加工によりフッ素原子が組み込まれるようになっている。例えば、非フッ素系樹脂の分子鎖を−(CH)n−で表すと、この分子鎖の一部にはフッ素原子が組み込まれ、例えば−CHF−或いは−CF−などの含フッ素部分が生成されている。このようなフッ素原子を組み込むための後加工は、後述するフッ素プラズマエッチングにより行うことができる(図10参照)。
上記のような粗面100での液の撥液性について、図4を参照して説明する。
図4(a)に示すように、上記のような粗面100での液滴の接触パターンは、液滴が粗面100上に載ったCassieモードでは、粗面100中の凹部がエアポケットとなっており、液滴は固体と気体(空気)との複合接触の状態となる。このような複合接触では、液滴の接触界面での接触半径Rは小さく、液滴と粗面の密着力は低く、疎液性が最も高い空気に液体が接触するため、高い撥液性が発現する。このようなCassieモードでの粗面100の接触角は、以下の理論式(1)に示す通りである。
cosθ=(1−φ)cosπ+φcosθ
=φ−1+φcosθ (1)
θ:接触角
θ:見かけの接触角
φ:面積比(単位面積当たりの固−液界面の投影面積)
この理論式(1)から理解されるように、φが小さいほど、見かけの接触角θは180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
一方、図4(b)に示すように、液滴が粗面100中の凹部に侵入した場合には、液滴は上記のような複合接触ではなく、固体のみとの接触となり、Wenzelモードで示される。このようなWenzelモードでは、液滴の接触界面での接触半径Rは大きく、液滴と粗面の密着力は高い。その凹凸表面の接触角は、以下の理論式(2)に示す通りである。
cosθ=rcosθ (2)
θ:接触角
θ:見かけの接触角
r:凹凸度(=実接触面積/液滴の投影面積)
この理論式(2)から理解されるように、rが大きいほど、見かけの接触角θは180度に近づき、超撥液性を示すようになる。
ここで、撥液性については、上記の通り、WenzelモードとCassieモードのいずれの状態においても撥液性が向上することが知られているが、粗面100と液滴との密着力を低減させ、少量の液滴を滴下させるには、Wenzelモードではなく、Cassieモードを安定的に維持すること、すなわち、凹部のエアポケットを安定に維持することが必要であると考えられる。
すなわち、Wenzelモードでは、液相と固相の界面が大きく、その結果、界面に働く物理的な吸着力も大きくなるため、接触角は大きく撥液はしているが、液滴が容易に滴下・転落することはない。
これに対して、Cassieモードでは、界面が小さいため、液滴が滴下する際乗り越えなければならない密着力が低く、容易に滴下・転落し、何度でも繰り返し滴下すると考えられる。
そこで、本実施形態においては、上記のCassieモードでの液滴の接触を有効に維持するために、ノズル10の先端部11の粗面100を形成している非フッ素系樹脂の分子鎖中にフッ素原子を組み込むことにより、化学的に撥液性を付与するようにしている。
すなわち、粗面100中の凹部に液体が侵入してしまうと、液滴の接触パターンはWenzelモードとなってしまい、この結果、Cassieモードによる超撥液性は損なわれてしまうが、本実施形態では、粗面100を形成する非フッ素系樹脂の分子鎖中にフッ素原子を組み込むことにより、粗面100に対して化学的に撥液性を付与することができ、これによって凹部内への液体の侵入が有効に抑制され、Cassieモードによる超撥液性が安定に維持されることとなる。
特に、本実施形態では、粗面100の少なくとも一部分、例えば、凸部の頂部や凹部の底部において、この面を形成する非フッ素系樹脂の分子鎖中に、化学的撥液性を発現させるためのフッ素原子が組み込まれるようになっている。このため、この粗面100に液が繰り返し接触した場合にも、このフッ素原子が取り除かれることはなく、化学的撥液性が安定して維持され、結果として、Cassieモードによる超撥液性が低下することなく、初期段階と同様に高いレベルに維持されるようになる。
さらに、フッ素原子を含む膜を形成するのではなく、表面の非フッ素系樹脂の分子鎖中にフッ素原子を組み込んでいるため、フッ素膜の剥離や脱落などの問題も一切生じない。
ここで、上記のような粗面100の凹凸の程度は、Cassieモードによる撥液性が十分に発揮されるように、粗面100中の単位面積当たりの凸部頂部Sの面積で表される面積比φsが0.05以上、好ましくは0.08以上の範囲にあることが好ましい。
さらに、成形性や機械的強度の観点から、面積比Φは0.8以下、特に0.5以下の範囲にあることが好ましい。
また、粗面100における深さdは、5〜200μm、特に10〜50μmの範囲にあることが好適である。
また、粗面100としては、図5のような凹凸構造をとることもできる。
すなわち、表面張力がγであり、初期の接触角がθである液滴は、以下の式(3)に示すように、凹凸先端角αと凹凸の1/2ピッチRで表されるラプラス圧(Δp)によって支えられて、エアポケットを形成する。つまり、凹凸先端角αが小さくなり、1/2ピッチRが小さくなり、凹凸構造が剣山状になると、ラプラス圧が大きくなるので、液滴は凹凸に侵入し難くなり、撥液性が発揮される。
従って、図5より、凹凸構造の振幅を表す算術平均粗さRaが大きく、1/2ピッチRに対応する平均長さRSmが小さい方が、ラプラス圧が大きく撥液性が発揮されるので、Ra/RSmが50×10−3以上であることが好ましい。特に、200×10−3以上であることが好ましい。
Δp=−γcos(θ−α)/(R+hcosα) (3)
また、本実施形態において、上記のような微細な凹凸からなる粗面100の形成は、一般に、金属製のスタンパを用いての転写法により容易に形成することができる。例えば、レジスト法等により上述した微細な凹凸に対応する粗面部を有するスタンパを適宜の温度に加熱し、これをプラスチック成形体の表面の所定部分に押し当てて粗面部を転写することにより、上記のような粗面100をプラスチック成形体からなるノズル10の先端部11の表面に形成することができる。従って、スタンパの凹凸面は、凹凸が逆転した状態でノズル10の先端部11の表面に形成されることとなる。
また、このようなスタンパによる粗面化処理により、同時に、ノズル10の先端部11の外縁に後述する肉溜まり部15を同時に形成することができる(図12〜15参照)。
なお、本実施形態において、ノズル10の先端部11に形成される粗面は、図3や図5に示した粗面100の凹凸形状に限定されないが、エアポケットを安定に形成するという観点からは、図3に示したような凸部及び凹部が矩形状に形成されていることが好ましい。例えば、凹部がV字形状のような形態となっていると、液滴が凹部内に入り込みやすくなるからである。
また、ノズル10の表面を形成する非フッ素系樹脂の分子鎖中への組み込みは、フッ素プラズマを用いたエッチングにより行うことができる。
ここで、フッ素プラズマエッチングは、公知の方法を用いて行うことができる(後述する図10参照)。例えば、CFガスやSiFガスなどを使用し、粗面100を形成するプラスチック成形体の表面を、一対の電極間に配置し、高周波電界を印加することにより、フッ素原子のプラズマ(原子状フッ素)を生成させ、これを粗面100を形成する部分に衝突させることによって、フッ素原子は表面(粗面100)を形成している非フッ素樹脂の分子鎖中に組み込まれる。すなわち、表面の樹脂が気化乃至分解し、同時に、フッ素原子が組み込まれることとなる。
従って、フッ素原子が組み込まれている領域には、エッチングにより、超微細な凹凸が形成されることとなる。この超微細な凹凸での算術平均粗さRaは、一般に、100nm以下であり、Ra/RSm≧5×10−3である。
また、印加する高周波電圧やエッチング時間等の条件は、粗面100の粗度(面積比φs)に応じて適宜の範囲に設定することができる。
例えば、滴下耐久試験において、液滴(目薬)を100回繰り返し滴下しノズル先端を汚染させた後に滴下量を測定した場合において、滴下量≦10μLの性能が示されるようなものとすればよく、このような条件を、予めのラボ試験等によって設定しておけばよい。
粗面100の粗度によっても異なるが、一般に、単位面積当たりのフッ素原子とカーボンとの元素比(F/C)が40%以上、特に50〜300%の範囲にあるとき、表面強度を損なわずに、上記のような安定した超撥液性を確保することができる。元素比は、X線光電子分光装置を用い、表面の元素組成を分析することにより算出することができる。
また、本実施形態において、ノズル10の先端部11に形成する粗面100としては、上述した図3や図5に示されている形態に限定されず、例えば図6に示すような、フラクタル的な階層構造により粗面100を形成することもできる。
具体的には、図6に示すように、相対的に大きな凸部160aと凹部160bとから形成されている一次凹凸160の上に、微細な二次凹凸を形成することができる。このようにすると、二次凹凸上に液滴170が載った状態となるため、液滴170と二次凹凸との間にもエアポケット(二次エアポケット)が形成される。そして、液滴170と二次凹凸との間の二次エアポケットが、一次凹凸160の凹部160b内への液滴170の侵入を阻止し、一次凹凸160と液滴170との間に形成されるエアポケットの消失を一層効果的に防止することができるようになる。これによって、Cassieモードでの状態がより安定に保持されることとなり、撥液性をより安定に維持することができる。
なお、上記のような階層構造を有する粗面100において、一次凹凸160の表面部分にある二次凹凸は、この二次凹凸上の液滴が一次凹凸160の凹部160b内への侵入を阻止するような二次エアポケットが形成される大きさの表面粗さを有していればよく、例えば、算術平均粗さと平均長さの比、Ra/RSmが50×10−3以上であることが好ましく、特に、200×10−3以上であることが好ましい。
また、一次凹凸160としては、図3に示した形態の粗面100と同様の面積比Φや凹凸の深さdを有していればよく、これにより、Cassieモードによる撥液性が十分に発揮される。
また、二次凹凸は、一次凹凸160の凹部160b内への液滴170の侵入をより効果的に防止するという点では、一次凹凸160の表面全体に形成されていることが最適であるが、少なくとも一次凹凸160の凸部160aの上端に形成されていてもよい。
なお、上記のような階層構造を有する粗面100は、一次凹凸を形成用スタンパの凹凸面に、例えばブラスト処理,エッチング処理等によって微細な二次凹凸面を形成しておき、かかるスタンパを用いての転写により形成することができる。
また、本実施形態においては、上記のように二次凹凸が形成されている一次凹凸160上の少なくとも一部分、特に一次凹凸160の凸部160aの頂部となる部分や凹部160bの底部となる部分には、フッ素プラズマエッチングにより、表面を形成している非フッ素系樹脂の分子鎖中にフッ素原子が組み込まれることとなるが、かかる領域には、フッ素原子が組み込まれる際のエッチングにより、二次凹凸がさらに微細化された三次凹凸が形成されることとなる。かかる三次凹凸の算術平均粗さRaは、一般に、先に述べたエッチングにより形成される超微細な凹凸と同様、100nm以下であり、Ra/RSm≧5×10−3である。
また、本実施形態に係るノズル10は、非フッ素系樹脂を用いて形成されるが、このような非フッ素系樹脂、すなわち、フッ素を含有していない樹脂としては、上述した凹凸からなる粗面100を形成でき、かつ、フッ素プラズマエッチングによりフッ素原子の分子鎖中への組み込みが可能である限り、任意の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などを挙げることができ、ノズル10の成形条件等に応じて、適宜の樹脂を選択すればよく、多層構造とすることも可能である。
一般に、液体容器の分野では、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンもしくはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体などに代表されるオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルが表面形成用の樹脂として代表的である。
そして、以上のような本実施形態に係るノズル10は、粗面100が有する長寿命でかつ優れた撥液性を活かして、種々の容器のノズル・注出手段として適用することができるが、特に液の転落性や液切れ性が良好となり、液だれやノズル天面への液残りも抑制されるため、目薬の点眼用容器1のように、各種薬液を収容する容器・包装体のノズルとして効果的に使用することができる。
[キャップ]
以上のように撥液加工されるノズル10を含む容器本体2には、着脱可能にキャップ20が装着されるようになっており、キャップ20によって、ノズル10が覆われ、容器本体2の内部が密閉されるとともに、ノズル10の先端部11が保護されるようになっている。
図7は、本実施形態に係るノズル10を覆うキャップ20を示す図であり、(a)はキャップを装着した点眼用容器の要部断面図、(b)は(a)に示すキャップのノズル先端部分の拡大断面図である。
また、図8は、本実施形態に係るキャップ20の他の形態を示す図であり、(a)はキャップを取り外した点眼用容器の要部断面図、(b)はキャップを装着した点眼用容器の要部断面図、(c)は(b)に示すキャップのノズル先端部分の拡大断面図である。
これらの図に示すように、キャップ20は、ノズル10を含む容器本体2の突出部分を覆うように装着可能な有底筒状体によって構成されており、筒状体の内部底面には、ノズル10の側面部12に当接する密封用のライナー21が設けられている。このライナー21がノズル10の側面部12に当接・圧接されることで、ノズル10及び容器本体2が外部から遮蔽・密閉され、容器本体2内に貯留された液体(目薬)が漏れ出すことが防止される。
また、キャップ20の内部側面には、ノズル10が装着される容器本体2の突出部表面と互いに螺合する螺子構造が備えられる。これによって、キャップ20は、容器本体2に螺合により着脱可能に装着され、キャップ20が装着された状態ではノズル10の側面部12にライナー21が密着して、容器内が密封されることになる。
ここで、キャップ20は、容器本体2・ノズル10と同様にプラスチック材料により形成される。キャップ20を形成するプラスチック材料としては、特に限定されず、上述した容器本体2・ノズル10と同様に、各種の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル樹脂で形成することができる。
また、キャップ20の内面に設けられるライナー21は、公知の弾性材料、例えばエチレン−プロピレン共重合体エラストマーやスチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーによって形成することができる。
さらに、キャップ20は、プラスチック材料以外にも、例えばガラスや金属製のキャップとすることもできる。また、キャップ20はヒンジ等を介して容器本体2と一体成形されていてもよい。
そして、本実施形態に係るキャップ20は、ノズル10の先端部11に接することなく、ノズル10を含む容器本体2の突出部分を覆うように構成されている。
これによって、上述の通りフッ素化・粗面化が施されるノズル10の先端部11にキャップ20が接触することなく、ノズル10をキャップ20で保護することができ、ノズル10の先端部11の撥液性能・撥液構造が損なわれることがない。
具体的には、本実施形態にノズル10は、図1に示したように、先端部11に連続する側面部12が、先端部11に向かって先細りになるように傾斜するテーパ形状に形成されている。
そして、キャップ20の内面に備えられるライナー21は、図7,8に示すように、ノズル10の側面部12のテーパ形状に対応したすり鉢形状に形成されている。このような構成により、キャップ20は、ライナー21がノズル10の側面部12に当接し、かつ、先端部11にはキャップ20のいずれの部分も接触しないようになる。
これによって、キャップ20は、ライナー21がノズル10の側面部12に当接・押圧されて容器本体2を密閉でき、かつ、ノズル10の先端部11の撥液構造自体は、いずれの部分にも接触せずに保護されるようになる。
ここで、図7に示すキャップ20では、容器本体2に装着されてノズル10の側面部12にライナー21が当接した状態において、ノズル10の先端部11の開口11aは開いたままの状態である。この状態でも、ライナー21によって開口11aは外部から遮断・密閉されており、開口11aから液体がキャップ20の外部に漏れ出すことはない。
但し、この場合には、開口11aの内径を小さくすると圧力損失が増大するため、内容液の自重による吐出圧力程度では、開口11aからキャップ20のライナー21の内側面に液体が滲み出すことは起こり得ないが、何らかの外力により容器1が潰され、内圧が高まった際に、内容液が滲み出すことは起こり得る。
その場合、ノズル10の先端部11に滲出した液体が付着するため、本来の滴下動作を行う場合に、付着した液体が影響を及ぼすことが考えられる。
そこで、そのような開口11aからの液体の滲出を防止するように、キャップ20を構成することができる。
例えば、図8に示すように、キャップ20内面に配設されるライナー21が、ノズル10の先端部11に連続する側面部12を押圧することにより、先端部11の開口11aを閉鎖するように構成することができる。
具体的には、図8に示すキャップ20では、ノズル10の側面部12に当接するライナー21が、側面部12の先細りテーパ形状よりもきつい傾斜のすり鉢形状に形成されており、ライナー21に当接したノズル10の側面部12が、ノズル中心に向かって押圧されるようになっている。これによって、ノズル10は、プラスチック成形体が有する弾性により、ノズル中に向かって撓んで、開口11aが閉鎖・閉塞されるようになる。
これによって、キャップ20が装着された状態では、ノズル10の開口11aが閉じられた状態となり、開口11aから容器本体2内の液体が滲み出すことがなくなり、上述したような問題が解消されることになる。なお、キャップ20はヒンジ等を介して容器本体2と離脱しないように係合・連結されていてもよい。
[ノズルの製造方法]
次に、上記のように先端部11がフッ素化・粗面かされる本実施形態に係るノズル10の製造方法について、図9,10を参照しつつ説明する。
図9は、本実施形態に係るノズル10の製造方法を模式的に示す説明図であり、(a)は一般的な射出成形を用いる場合、(b)は射出圧縮成形又はヒート&クール式射出成形を用いる場合を示している。
また、図10は、本実施形態に係るノズル10の先端部に粗面を形成するためのフッ素プラズマエッチング処理の方法を模式的に示している。
図9(a)に示すように、ノズル10は、例えば射出成形を用いて、まず先端部11がフッ素化・粗面化されていないノズル10を形成することができる。
この場合図9(a)の(1)に示すように、射出成形用の金型を用いて、溶融した所定のプラスチック樹脂を充填・固化・脱型・取出することにより、ノズル10を形成することができる。
ここで、金型の寸法や形状に応じて、ノズル10を所定の形状・寸法に形成することができ、ノズル10の開口11aの内径を所望の大きさ、例えば0.5mm以下(0.1mm,0.2mm,0.4mm等)に形成することができる。
その後、図9(a)の(2)に示すように、ノズル10の先端部11の表面に、所定のスタンパを押し当てて所定の凹凸を形成することができる。
さらに、図9(a)の(3)に示すように、ノズル10に先端部11の表面に対して、フッ素プラズマエッチングを行う。
ここで、図9(a)の(3)に示すフッ素プラズマエッチングは、例えば図10に示すように、ノズル10の先端部11に一方の電極200を固定し、先端部11が間に位置するように他方の電極201を対向させ、この電極間に含フッ素ガスを流しながら、高周波電界を印加することにより行うことができる。
以上により、上述した図3〜6で示したような粗面100を形成することができ、ノズル10の先端部11をフッ素化・粗面化することができる。
また、図9(a)に示すような一般的な射出成形ではなく、特殊な射出圧縮成形又はヒート&クール式射出成形を用いることにより、先端部11の表面に所定の凹凸を備えたノズル10を一体成形によって形成することができる。
特殊な射出圧縮成形又はヒート&クール式射出成形技術を用いることで、成形品の所望の部分に微細な凹凸加工・粗面加工を成形工程で施すことが可能となり、図9(b)の(1)に示すように、ノズル10の成形工程と、先端部11の表面の粗面化工程とを、一つの工程として処理することができ、一工程を省くことが可能となる。すなわち、図9(b)の(2)に示すように、図9(a)の(2)で示したスタンパ等を用いた凹凸加工・粗面化工程を省略することができる。
その後は、図9(b)の(3)に示すように、ノズル10に先端部11の表面に対してフッ素プラズマエッチングを行うことで(図10参照)、フッ素化・粗面化処理が完了する。
[堤防部]
以上のように先端部11にフッ素プラズマ加工や粗面加工が施されて撥液性が向上されたノズル10に対しては、さらに、堤防部14を設けることができる。
図11は、本発明の一実施形態に係るノズルの開口の周囲に堤防部を設ける場合の先端部の平面図及びそのA−A線断面図であり、(a)はノズルの開口周囲に堤防部を設ける場合を、(b)は同じく堤防部を設けない場合を示している。
上述の通り、フッ素化・粗面化されたノズル10の先端部11は、高い撥液性能が付与されることで、容器本体2から注出した液滴はノズル10の先端部11の開口11aから容易に転落・滴下されるようになる。ただ、ノズル10の先端部11が粗面化されることで、粗面化された凹凸構造とノズル10の開口11aとが、図11(b)に示すように空間的に連続・連通する場合がある。
このような場合、容器本体2から注出された液滴の一部が、開口11aと空間的に連通する凹凸構造内に浸入・含浸することが起こり得る。
そして、そのように凹凸構造内に内容液が浸入・含浸すると、凹凸構造による撥液性能が低下したり、ノズル10の先端部11(天面)に液残りが生じるおそれがあり、結果として、ノズル10の少量滴下性能・液だれ防止性能が損なわれることがあり得る。
そこで、図11(a)に示すように、ノズル10の先端部11に、開口11aの周囲を取り囲むように立設される堤防部14を設けることができる。
このような堤防部14を備えることで、粗面化された先端部11の凹凸構造と開口11aとが連通することを遮蔽・遮断し、開口11aから注出された液滴が凹凸構造内に浸入・含浸することを防止することができる。これによって、粗面化された先端部11の撥液性能の低下や、先端部11への液残りの発生を防止して、ノズル10の少量滴下性能、液だれ防止性能を長期間維持することができる。
このような堤防部14は、図11(a)に示すように、先端部11の開口11aの周辺に形成される階層凹凸構造(図3〜6参照)によって構成することができ、また、開口11aに突設される周状突起部13(図2(b)参照)によって構成することもできる。
[肉溜まり部]
以上のように先端部11が撥液加工されたノズル10に対しては、さらに、肉溜まり部15を設けることができる。
図12は、本実施形態に係るノズル10の先端部の外縁に肉溜まり部15を設ける場合のノズルの部分断面図であり、(a)は肉溜まり部15の形状がノズル先端部の天面に対してオーバーハングしている場合を、(b)は肉溜まり部15の形状がノズル先端部の天面に対してスラントしている場合を、(c)は肉溜まり部15を設けていないノズルを、それぞれ示している。
図12(a),(b)に示すように、肉溜まり部15とは、ノズル10の先端部11の外周縁から外側に突出する突出部である。このような肉溜まり部15を備えることにより、先端部11の外周縁側に回った液体の液切れ性、すなわち、ノズル10の外縁から落下する液滴とノズル10側に残る液体との分離性を向上させることができる。これによって、ノズル10の先端部11に連続する側面側に液体がたれ落ちることがなくなり、先端部11の高い撥液性能と相俟って、ノズル10の開口11aから注出された液滴の液だれの発生を抑制乃至防止することができるようになる。
以下、肉溜まり部15の液切れ性能のメカニズムについて、図13,14を参照しつつ説明する。
図13は、ノズル10の先端部11の外縁にスラント形状の肉溜まり部を設けた場合の液切れ性能を説明するためのノズルの要部断面図であり、図14は、ノズル10の先端部11の外縁にオーバーハング形状の肉溜まり部を設けた場合の液切れ性能を説明するためのノズルの要部断面図である。
これらの図に示す肉溜まり部15は、ノズル10の先端部(天面)11が、例えば熱プレスされることにより、先端部11の表層の樹脂が溶融し、溶融した樹脂の一部が当該先端部11の外周縁から径方向外方に押し出されて、そのまま固化することで形成される。
また、肉溜まり部15の形状は、例えば、図13に示すように、先端が鋭角状に突出した形状(スラント形状)としたり、図14に示すように、先端が液滴状に突出した形状(オーバーハング形状)としたりすることができる。
このような肉溜まり部15を備えることで、開口11aから注ぎ出された内容液のノズル10の外縁における液切れ性を良くして、内容液がノズル10の外縁から側面側に液だれするのを有効に抑止することができる。以下、そのメカニズムを説明する。
[スラントモード]
まず、図13に示すように、肉溜まり部15をノズル10の天面(先端部11の表面)とほぼ面一に鋭角に突出させる場合(スラントモード)、接触角θで進行してきた液体が先端部11の外縁(エッジ部)に達すると(図13(a)参照)、液体の進行面(先端部11の天面)とエッジ部の外側の面とのなす角をαとしたときに、前進角(エッジ部の臨界接触角)θが、θ=θ+(π−α)となるまで、液体はエッジ部に留まるようになる(図13(b)参照)。
これは液体の表面張力と接触角との関係において、ピニング効果として知られている現象であるが、図13に示すように先端が鋭角(α<90°)に突出するように肉溜まり部15を形成すると(スラントモード)、ピニング効果によって前進角が大きくなり、表面張力によって内容液が肉溜まり部15に留まり易くなる。
これにより、先端部11の外縁側に回った液体の液切れ性、すなわち、ノズル10の外縁から落下する液滴とノズル10の天面側に残る液体との分離性を向上させることができ、その結果、ノズル10から注出された液体がノズル側面側に液だれするのを抑止することができる。
なお、図13に示す例では、肉溜まり部15の上面は、ノズル10の天面(先端部11の表面)と面一になっているが、先端が鋭角状に突出した形状となるように肉溜り部15を形成する場合、特に図示しないが、肉溜まり部15の上面がノズル10の天面に対して直線状又は曲線状に傾斜(スラント)するように形成してもよい。
[オーバーハングモード]
次に、図14に示すように、肉溜まり部15の先端を液滴状に突出した形状として、内容液の進行面が円弧状に下向きに湾曲(オーバーハング)するようにした場合には(オーバーハングモード)、肉溜まり部15の最下点を越えて根本側に回り込んだ内容液は、表面張力によって臨界接触角θで肉溜まり部15に留まる。
このとき、その端点における肉溜まり部15との接線Lとノズル10の天面(先端部11)とのなす角をαとしたときに、前進角(エッジ部の臨界接触角)θは、θ=θ+(2π−α)となり、エッジ部における見かけ上の大きな表面張力に支えられて、内容液がたれ落ちなくなる。
そして、内容液がたれ落ちるときには、表面張力で支えられなくなった大きな液滴が分離・落下することになり、液体はノズル10の側面側にたれ流れることなく、ノズル10の外縁から分離されて落下することになる。
従って、このオーバーハングモードの場合にも、先端部11の外縁側に回った液体の液切れ性、すなわち、ノズル10の外縁から落下する液滴とノズル10の天面側に残る液体との分離性を向上させることができ、ノズル10から注出された液体がノズル側面側に液だれするのを抑止することができるようになる。
このように、本実施形態にあっては、射出成形などによって所定形状に成形されるノズル10に、熱プレス等によって肉溜まり部15を形成することができ、ピニング効果によって説明される液体の表面張力を見かけ上増大させることで、容器から注出された内容液の残液を肉溜まり部15に留まり易くして、液切れ性を向上させることが可能になる。
その結果、ノズル10の先端部11の外縁側に回った液体の液切れ性を向上させることができ、フッ素化・粗面化された先端部11の高い撥液性能(液滴の転落性)と相俟って、ノズル10から注出された液体がノズル側面側に液だれするのを効果的に防止することができる。
[肉溜まり部の製造方法]
次に、以上のようにノズル10の先端部11に備えられる肉溜まり部15の製造方法について、図15を参照して説明する。
図15は、本実施形態に係るノズル10に熱プレスにより肉溜まり部15を形成する場合の製造方法を模式的に示す説明図であり、(a)はノズルの開口(吐出口)が熱プレスにより閉塞されないように開口を予め大きく形成した場合の熱プレス前の状態を、(b)は同じく熱プレス後の状態を、(c)は熱プレスによりノズルの開口が閉塞されてしまった状態を、それぞれ示している。
図15(a)に示すように、ノズル10に備えられる肉溜まり部15は、先端部11の表面(天面)に熱プレスを行うための熱板Pを押し当てて加熱・加圧することによって、ノズル10の先端部の外周縁から径方向外側に突出する肉溜まり部15を形成することができる。
このように熱プレスで形成される肉溜まり部15の形状や大きさ等は、ノズル10の先端部11を熱プレスする熱板Pを押し当てる際の熱板Pの温度、熱板Pを押し当てる押圧力、熱板Pを押し当てる時間などを適宜調整することにより、所望の肉溜まり部15を形成することができる。
ここで、肉溜まり部15を形成するための熱プレスは、上述した図9(a)の(2)に示したノズル10の先端部11の表面にスタンパにより所定の凹凸を形成する工程と同時に行うことができる。
具体的には、ノズル10の先端部11に凹凸を形成するスタンパ(図9(a)(2)参照)を、図15(a)に示す熱板Pにより構成し、熱板P(スタンパ)による熱プレスによって、先端部11の天面に凹凸を形成すると同時に、先端部11の外縁に肉溜まり部15を形成することができる。
また、肉溜まり部15を熱プレスにより形成する場合には、樹脂が溶融・膨出する大きさや形状を予測・推定して、熱プレスにかける前のノズル10について、ノズル長や開口10aを予め大きく設計して形成しておくことが好ましい。
目薬の点眼用容器などの少量滴下用のノズル10の場合、特に液滴を注出させる開口10aは微小なサイズとなっており、熱プレスによって開口(吐出口)が細くなったり閉塞されたりすることがあり得る(図15(c)参照)。
そこで、図15(a)に示すように、ノズル10の開口(吐出口)10aが熱プレスにより閉塞されないように、開口10aを予め大きく形成しておくことで、熱プレスして肉溜まり部15を形成しても、開口10aが所定の大きさ・長さとなるようにすることができる(図15(b)参照)。
なお、肉溜まり部15は、熱プレスによって形成することができるので、ノズル10を製造するにあたって、既存の成形型を変更することなく、また、型から取り出す際の変形などの不具合を考慮する必要もないので、金型コストを低く抑えることができるというメリットもある。
以上説明したように、本実施形態のノズルによれば、ノズル10の先端部11に、フッ素プラズマ加工や粗面加工を施すことにより、ノズル10の先端部11の撥液性を向上・維持させることができる。
すなわち、ノズル10を構成するプラスチック成形体は、ポリオレフィンやポリエステルなどの非フッ素系樹脂から形成されているが、先端部11の表面には、非フッ素系樹脂の分子鎖中にフッ素原子が組み込まれるようにしてある。
また、フッ素化された先端部11の表面には、必要に応じて微細な凹凸からなる粗面が形成されるようになっている。
このようにフッ素化・粗面化されたノズル10の先端部11は、容器内から液体が注出されると、フッ素原子による撥液性向上と、微細な凹凸からなる粗面によるエアポケットの存在(気−液接触)により、更なる高い撥液性が確保される。
このように撥液性が付与されたノズル10は、先端部11の天面の撥液性によって液滴の転落性が高められ、また、ノズル天面への液残りの発生も抑制乃至防止できる。
また、先端部11に堤防部14を形成することで、先端部11の天面への液滴の含浸を防止して、撥液性能の劣化を防止して、ノズル10の少量滴下性能、液だれ防止性能を長期間維持することができる。
さらに、ノズル10の先端部11の外縁に肉溜まり部15を形成することで、注出された液滴の液切れ性を向上させることができ、フッ素化・粗面化による高い撥液性能(液滴の転落性)と相俟って、液だれの発生を抑制乃至防止することができる。
また、先端部11のフッ素化は、フッ素原子が先端部11表面の非フッ素系樹脂の分子鎖中に組み込まれているため、表面(粗面)から脱落することなく、安定的に先端部11の表面(粗面)に存在することになる。このため、繰り返し液体を注出させた場合でも、撥液性が損なわれることがない。
すなわち、先端部11がフッ素化・粗面化されたノズル10は、優れた撥液性が長期間にわたって維持され、液体が繰り返し接触した場合にも、初期段階と同程度の撥液性が保持されるようになるため、少量の滴下が可能となる。
従って、ノズル10の内径を所定の大きさに設定することで、ノズル10から注出される液体(目薬)の滴下量を、例えば10μl以下等の任意の量に設定することができ、滴下量の少量化・最適化が可能となり、人間の眼に最適な点眼量・滴下量を実現することができる。
また、フッ素化・粗面化されたノズル10の先端部11は、キャップ20によって保護されるが、その場合に、キャップ20の内面がノズル10の先端部11に当接・接触するようなことはなく、キャップ20が先端部11に非接触の状態で、ノズル10がキャップ20によって覆われ、容器内が密閉状態で保護されるようになる。
従って、キャップ20が繰り返し着脱されても、ノズル10の先端部11のフッ素化・粗面化性能が損なわれることがなく、容器内の液体(目薬)が無くなる最後まで、ノズル10の少量滴下性を発揮させることができるようになる。
以上のように、本実施形態に係るノズル10によれば、点眼用容器1における滴下量の少量化を実現するとともに、液だれやノズル天面の液残りを防止でき、ノズル先端の汚染、ノズルから容器本体内への液戻りによる異物や微生物の混入などもなくなり、繰り返しの使用によっても滴下性能の劣化等の問題が生じることも有効に防止できる。
さらに、キャップ20によってノズル10の先端部11を、その機能が損なわれることのないように確実に保護することで、本発明に係るノズル性能を安定的に維持させることができ、点眼用容器1内の目薬を使い切るまで、良好な点眼動作が行えるようになる。
以下、本発明に係るノズルの一実施例を説明する。
なお、本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明は下記実施例により何らかの制限を受けるものではない。
下記の表1に、本発明に係るノズルの実施例1〜3及び比較例1〜3を示す。
Figure 0006759531
表1に示す実施例1〜3、比較例1〜3は以下の条件により行った。
(1)供試サンプル
§ノズル本体
・材料
・低密度ポリエチレン
・グレード:LJ8041
・大きさ:直径10mm×長さ10mm
・開口径:0.1 , 0.2 , 0.3 , 0.4mm
・ノズル本体製造方法
・射出成形法により上記開口を持つノズルを得た。
§スタンパ
○階層凹凸スタンパ(一次凹凸+二次凹凸が形成されたスタンパ)の製造方法
・フォトリソグラフィー法によりマスタを製作し、Cu電鋳により一次凹凸が刻設されたCuマスタを得た。
・Cuマスタ表面に対してウェットエッチングを行い、粗面を形成した後、Ni電鋳により二次凹凸が刻設されたスタンパを得た。
・一次凹凸パターン
・φs=0.1(s=20μm、d=30μm、ピッチ=200μm)
・二次凹凸パターン
・Ra/RSm=264×10−3(Ra=933μm、RSm=3.5μm)
○二次凹凸スタンパの製造方法
・平板Cuマスタ表面に対してウェットエッチングを行い、粗面を形成した後、Ni電鋳により二次凹凸が刻設されたスタンパを得た。
・Ra/RSm=264×10−3(Ra=933μm、RSm=3.5μm)
§転写成形
・ハロゲンランプによる赤外線輻射加熱によりスタンパを230℃に加熱し、ノズル先端に1秒間押し付け、その後冷却することにより、スタンパに刻設された凹凸をノズル先端に転写成形した。
§フッ化炭素プラズマ処理
・転写成形の後、下記の条件でフッ化炭素プラズマ処理を行った。
・装置
・放電方式:低気圧表面波プラズマ
・電源:1500W@2.45GHz
・条件
・真空度:4Pa
・原料ガス:CF4 100sccm
・プラズマ処理時間:20秒
(2)性能評価
§凹凸形状評価
・測定方法
・凹凸が転写されたノズル先端に対して、一次凹凸及び二次凹凸は白色干渉計を用いて、三次凹凸は原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定し、面積比φs、算術平均粗さRa、平均長さRSmを算出した。
・白色干渉計の測定条件
・測定装置:ZYGO社NewView7300
・対物レンズ50倍
・接眼レンズ2.0倍
・長波長カットオフ値λc=13.846155μm
・短波長カットオフ値λs=346.155nm
・AFMの測定条件
・測定装置:Veeco社NanoScopeIII
・長波長カットオフ値λc=0.0824μm
§フッ素原子含有量評価
・測定方法
・X線光電子分光装置(XPS)を用いて、基板表面のワイドバンドスペクトル解析を行い、表面に存在する元素量を測定し、フッ素原子と炭素原子量の比(F/C)を算出した。
・測定装置:ThermoFisherScientific社K−Alpha
§少量滴下性能、及び、滴下量制御性能評価
・試験方法
・目薬容器本体に実液を充填し、フッ化炭素プラズマ処理、及び、転写成形したノズルで打栓した。
・電子天秤に置いた紙皿に実液を10滴以上滴下して重量を測定した。
・滴下した重量を滴下数で割って、1滴当たりの滴下量を算出した。
・実液
・ロート社 Cキューブ
・測定装置:メトラー社上皿天秤ML802
・評価基準
・開口径と滴下量の関係に正の相関があり、相関係数r2≧0.7の場合、滴下量制御性があると判断した。
・滴下量≦10μLの場合、少量滴下性があると判断した。
§滴下耐久性能評価
・試験方法
・100回滴下して、表面を汚染させた。
・汚染したノズルに対して滴下量を測定した。
・実液
・ロート社 Cキューブ
・評価基準
・滴下量≦10μLの場合、滴下耐久性があると判断した。
以上、本発明のノズルについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るノズルは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明のノズルの適用対象として目薬の点眼用容器を例にとって説明したが、本発明の適用対象は、点眼用容器に限定されるものではない。すなわち、容器内の流体を、所定量ずつ滴下させることが望まれる容器のノズル・注出口であれば、点眼用容器以外に適用することも可能であり、例えば目薬以外の薬品用の容器、醤油やソースなどの調味料用の容器、洗剤や化粧品などの化学製品用の容器等、各種の容器のノズルとして用いることが可能である。
本発明は、例えば目薬の点眼用容器などの少量滴下用のノズルとして好適に利用することができる。
1 点眼用容器
2 容器本体
10 ノズル
11 先端部
11a 開口
12 側面部
13 周状突起部(バリ)
14 堤防部
15 肉溜まり部
20 キャップ
21 ノズル当接部
100 粗面
160 一次凹凸
160a 凹部
160b 凸部
165 二次凹凸
170 液滴

Claims (12)

  1. 非フッ素系樹脂よりなるノズルであって、
    前記ノズルの先端部の開口が、内径0.5mm以下であり、
    前記ノズルの先端部が、表面に形成された凹凸によって粗面化されるとともに、
    前記ノズルの表面を構成する非フッ素系樹脂の分子鎖中に、フッ素原子が組み込まれ、
    前記ノズルの表面に形成された凹凸面上を液体が流れるときに、凹部にエアポケットが形成されることで、当該凹凸面と液体との接触状態が固液接触及び気液接触からなる混合接触状態となることにより、
    前記ノズルの先端部から滴下量10μL以下の液滴を滴下させ、当該ノズルの先端部表面に濡れ広がらせることなく、前記液滴をほぼ球体状にして前記ノズルの先端部表面から離脱させる
    ことを特徴とするノズル。
  2. 記粗面は、一次凹凸面と、該一次凹凸面内に形成された該一次凹凸よりも微細な二次凹凸面を有しており、該二次凹凸面を形成している非フッ素系樹脂の分子鎖中に前記フッ素原子が組み込まれている粗面からなる、請求項記載のノズル。
  3. 前記二次凹凸面内には、さらに微細な三次凹凸面が形成されており、該三次凹凸面を形成している非フッ素系樹脂の分子鎖中に前記フッ素原子が組み込まれている請求項記載のノズル。
  4. 面積比(単位面積当たりの固−液界面の投影面積);φSとしたとき、前記粗面が、0.05≦φs≦0.8、である請求項記載のノズル。
  5. 前記粗面が矩形凹凸構造である、請求項記載のノズル。
  6. 凹凸構造の振幅を表す算術平均粗さ;Ra、1/2ピッチR0に対応する平均長さ;RSmとしたとき、前記粗面が、Ra/RSm≧50×10−3を満足する請求項記載のノズル。
  7. 前記ノズルの内側先端部に周状突起部を有する請求項1乃至のいずれか一項記載のノズル。
  8. 前記ノズルが、点眼用容器のノズルからなる請求項1乃至のいずれか一記載のノズル。
  9. 前記ノズルの先端部に接することなく、当該ノズルを覆うキャップを備える請求項1乃至のいずれか一項記載のノズル。
  10. 前記キャップの内面が、前記ノズルの先端部に連続する側面に当接することにより、当該ノズルの先端部を覆う請求項記載のノズル。
  11. 前記キャップの内面が、前記ノズルの先端部に連続する側面を押圧することにより、当該ノズルの先端部開口を閉鎖する請求項又は10記載のノズル。
  12. 前記ノズルの先端部の外周縁から外側に突出する肉溜まり部を有し、
    前記肉溜まり部が、前記ノズルの先端部が熱プレスされることによって形成される請求項1乃至10のいずれか一項記載のノズル。
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