JP2018176452A - 複合材料の製造方法 - Google Patents

複合材料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018176452A
JP2018176452A JP2017074838A JP2017074838A JP2018176452A JP 2018176452 A JP2018176452 A JP 2018176452A JP 2017074838 A JP2017074838 A JP 2017074838A JP 2017074838 A JP2017074838 A JP 2017074838A JP 2018176452 A JP2018176452 A JP 2018176452A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
reinforcing material
composite material
reinforcing
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017074838A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018176452A5 (ja
JP6893634B2 (ja
Inventor
司 横山
Tsukasa Yokoyama
司 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagoya Fine Chem Co Ltd
Original Assignee
Nagoya Fine Chem Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagoya Fine Chem Co Ltd filed Critical Nagoya Fine Chem Co Ltd
Priority to JP2017074838A priority Critical patent/JP6893634B2/ja
Publication of JP2018176452A publication Critical patent/JP2018176452A/ja
Publication of JP2018176452A5 publication Critical patent/JP2018176452A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6893634B2 publication Critical patent/JP6893634B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】導電性を向上することができる複合材料を提供すること。【解決手段】絡み合った繊維状の金属又は焼結金属と、樹脂成分からなる強化材と、前記強化材の表面に前記繊維状の金属や焼結金属との間で導電性を有した状態で接着された金属板とを有する複合材料である。マトリックスとなる樹脂材料の量を最初は過剰に用いた後、加圧することで過剰な樹脂材料を排出することにより強化材中の空隙に樹脂材料を効率的に充填できる上に強化材を表面に露出することが可能になって、製造される複合材料に導電性が付与できる。前記強化材の前記空隙中に、前記樹脂材料の硬化前の樹脂前駆体を過剰量含浸させた硬化前材料を製造する含浸工程と、前記硬化前材料の表面を加圧して含浸された前記樹脂前駆体を前記強化材の前記空隙の外に押出して前記強化材が表面に露出した状態となるように排出しながら硬化させて複合材料とする硬化工程とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、強化材により強化された複合材料の製造方法に関する。
従来より、炭素繊維材料などを強化材とした複合材料が知られている。これらの複合材料は、比強度が高く、航空宇宙分野・自動車分野などの種々の分野で応用されている。
ところで、航空宇宙分野や自動車分野において複合材料は構造材料として用いられているが、そのような構造材料への応用に際して複合材料により導電性を要求される場合がある。また、複合材料に導電性があると放電加工などの精密加工性が向上できる。
従来、複合材料に導電性を付与する方法としては、マトリクスに導電性のフィラーを分散させたり(特許文献1)、銅製の金網を表層に配置したりしていた。
特開2015-178610号公報
しかしながら、これらの複合材料は充分な性能を発揮することは出来なかった。例えば、放電加工などの精密加工性は充分で無く、またコストも高いものであった。その理由を考察すると、炭素繊維材料などの配向に由来する導電性の異方性が原因であると推測される。
また、等方性の導電性を有する部材は宇宙線を防御することが可能になるため、軽量で等方性の導電性をもつ部材が望まれている。
本発明は上記実情に鑑み完成したものであり、等方性の導電性をもつ複合材料、及び従来の方法よりも導電性を向上することができる複合材料の製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
更に、上記課題の解決を目指す研究に付随して軽量且つ見栄えの良い複合材料を見出したのでここに提供する。
上記課題を解決するために本発明者は鋭意検討を行った結果、以下の発明を完成した。すなわち、上記課題を解決する本発明の複合材料は、絡み合った繊維状の金属、又は、粒子状もしくは繊維状の金属を焼結した焼結金属および必要に応じて有する樹脂成分からなる強化材と、前記強化材の表面に前記繊維状の金属や焼結金属との間で導電性を有した状態で接着された金属板と、を有し、金属板に対して水平方向だけでなく、垂直方向にも導電性を有する複合材料である。
粒子状又は繊維状の金属をそのまま、又は焼結させた強化材を採用することで強化材の導電性を確保することができる。その上で表面に金属板を導電性を確保した状態で接着することで、金属板と垂直方向にも導電性を実現することができた。また、付随的な効果として表面に接着した金属板により見栄えも良くなった。
更に、上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意検討を行った結果、以下の知見に想到した。マトリックスとなる樹脂材料の量を最初は過剰に用いた後、加圧することで過剰な樹脂材料を押し出して排出することにより強化材中の空隙に樹脂材料を効率的に充填できる上に強化材を表面に露出することが可能になって、製造される複合材料に従来の複合材では困難であった垂直方向への導電性が付与でき等方性導電複合材が可能となった。
なお、強化材としては、一体的な形態をもつものでも、もたないものでもよく、強化材全体として内部に空隙が存在するような形態をもつものであればよい。一体的になっているものとしては多数の孔を有するもの、繊維状のものや粒子状のものが焼結などにより固結されているものなどが挙げられる。一体的でないものとしては、繊維状の部材が束ねられたりまとめられたりしているもの、粒子状が集合しているものなどが挙げられる。
以上の知見に基づき本発明者らは以下の発明を完成した。すなわち、上記課題を解決する本発明の複合材料の製造方法は、導電性をもつ材料から形成され且つ内部に空隙が形成された強化材と前記強化材の前記空隙中に含浸して硬化された熱硬化性や熱可塑性の樹脂材料とを有する複合材料を製造する方法であって、
前記強化材の前記空隙中に、前記樹脂材料の硬化前の樹脂前駆体を過剰量含浸させた硬化前材料を製造する含浸工程と、
前記硬化前材料の表面を加圧して含浸された前記樹脂前駆体を前記強化材の前記空隙の外に押出して前記強化材が表面に露出した状態となるように排出しながら硬化させて複合材料とする硬化工程とを有する。一方、熱可塑性樹脂を用いる場合は射出成形やフィルム状樹脂などを既知の方法で用いてもよく、また、繊維状の樹脂を用いる場合は、より強度を上げるために繊維の向きを変化させて色々な方向に向けて配置したものを用いてもよい。それらを加熱プレスすることにより強化材の空隙に樹脂を含浸させることができる。その場合、樹脂の空隙への含浸率は必ずしも100%でなくてもよい。好ましい含浸率は複合材の使用方法によって決定できる。
上記複合材が発揮する付随的な効果に基づいて以下の発明を完成した。すなわち、繊維状の強化材と、前記強化材に含浸された樹脂材料と、前記強化材の表面に接着された金属板と、を有する複合材料である。また、互いに融着乃至絡み合った繊維状の強化材と、前記強化材の表面に接着された金属板と、を有する複合材料である。表面に接着された金属板の存在により導電性と見栄えが実現できる。なお、導電性は充分では無いものの宇宙線の遮蔽効果は充分に期待できる。
本発明の複合材料は、上記構成を有することで軽量であるにも関わらず、金属板に対して水平方向だけでなく垂直方向の導電性をも有することが可能になった。なお、本明細書において金属板に対して水平方向だけでなく垂直方向にも導電性を有するとは、金属板に対して垂直方向(金属板の積層方向)においても高い導電性を有することを意味し、例えば金属板に採用した金属、もしくは強化材に採用した金属を基準として導電性が同程度になっているもの(例えば少なくともその金属の10分の1程度の導電性をもつこと)を意味する。
本発明の複合材料の製造方法によれば、導電性をもつ強化材が表面に露出した複合材料を製造することができる。そして、この方法にて製造された複合材料は他の方法にて製造された導電性の複合材料とは異なり放電加工性に優れると共に等方性の導電性を示すという利点を有する。
硬化工程における加圧を行う一形態を示す模式図である。 硬化工程における強化材(繊維状の部材)の様子を示す模式図である。 円筒形の複合材料を製造する方法の模式図である。 実施例の試料1における表面の一方のSEM写真である(倍率500倍)。 実施例の試料1における表面の他方のSEM写真である(倍率500倍)。 実施例の試料1における断面のSEM写真である(倍率200倍)。 実施例の試料1における断面のSEM写真である(倍率500倍)。 実施例の試料2における表面の一方(アルミニウム側)のSEM写真である(倍率500倍)。 実施例の試料2における表面の他方(ポリアミド側)のSEM写真である(倍率500倍)。 実施例の試料2における断面のSEM写真である(倍率200倍)。 実施例の試料2における断面のSEM写真である(倍率500倍)。
以下、本発明の複合材料及び複合材料の製造方法について実施形態に基づき詳細に説明を行う。
(複合材料)
本実施形態の複合材料は、航空機・宇宙船・自動車などの構造材に好適に用いることができる材料である。本実施形態の複合材料は、強化材とその表面に接着された金属板とからなる。金属板を表面に有することで電磁波・宇宙線などからのシールド性が向上したり、導電性が向上したり、金属光沢をもつことによる外観向上が期待できたりする。
強化材は金属から構成され、焼結金属又は絡み合った金属繊維である。焼結金属は粒子状又は繊維状の金属を集合させたものを焼結させたものである。焼結にあたって焼結される金属間の導電性を確保できるように酸化皮膜などが生成しない条件下にて焼結を行うのが好ましい。
焼結金属を構成する金属は特に限定されない。例えば、アルミニウム、銅、鉄、チタン、マグネシウム、及びそれらの合金が挙げられる。焼結前の金属の形態は粒子状又は繊維状であってもよい。粒子径、繊維径は特に限定されず、1μm程度から数mm程度まで採用することができる。絡み合った繊維としては、不織布、フェルト状にしたものが挙げられる。
強化材には樹脂材料を含浸させることができる。樹脂材料は強化材がもつ空隙の体積を基準として0超100%以下の範囲で含浸させることができる。100%未満の量を含浸させる方法としては特に限定しないが液体状の樹脂材料(硬化前の樹脂材料である樹脂前駆体でも良い)をそのまま含浸させても、何らかの溶媒に溶解させた後に含浸させても良い。含浸は強化材全体に均一に行っても良いし、不均一に行っても良い。例えば強化材の表面近くに集中するように樹脂材料を含浸させることで軽量且つ高い強度を実現できる。また、溶媒に溶解させた後に含浸させると、その溶液を空隙の100%に含浸させても、その後に溶媒を蒸発除去することにより強化材内部に空隙に均一に樹脂材料を含浸させることが可能になる。
含浸させる樹脂材料としては特に限定しないが、熱硬化性樹脂材料、熱可塑性樹脂材料が挙げられる。熱硬化性樹脂材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性樹脂材料としては、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が例示できる。エポキシ樹脂としては2液型、1液型など特に限定しない。また、樹脂材料には強化材に加えて何らかのフィラーを含有させることができる。フィラーを含有していても流動性を有していれば前述した樹脂前駆体に当てはまる。フィラーとしては、シリカ、アルミナ、炭素材料などが挙げられる。カーボンブラック・ケッチェンブラック・黒鉛などの炭素材料を含有させると製造される複合材料の導電性が向上できる。
金属板は強化材(樹脂材料が含浸されているものも含む)の表面に接着されている。表面への接着法は特に限定されない。例えば、強化材に樹脂材料を含浸させる場合には、含浸させた樹脂材料をそのまま接着剤として利用しても良い。また、別の接着剤を用いても良い。
金属板としては特に限定しない。例えば厚みが1μm程度のものから数mm程度のものまで採用することができる。材質としては前述した強化材を構成する金属と必ずしも同じものでなくてもよいものを採用できる。金属板の厚みは、組み合わせられる強化材の厚みよりも薄いことが望ましいがその限りでない。
・別の実施形態の複合材料として、繊維状の強化材と、強化材に含浸された樹脂材料と、強化材の表面に接着された金属板とを有するものが挙げられる。更に別の実施形態の複合材料として、互いに融着乃至接着された繊維状の強化材と、前記強化材の表面に接着された金属板とを有するものが挙げられる。
繊維状の強化材としては長繊維をその方向を変化させながら重ね合わせたものが好ましい。繊維状の強化材を構成する材料は、特に限定しないが、樹脂材料(アクリル、ポリエステル、ポリビニールなどの合成繊維、綿、絹などの天然繊維)、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックス繊維などがある。前述の繊維は、中空繊維も採用できる。
(複合材料の製造方法)
本実施形態の複合材料の製造方法にて製造される複合材料は、導電性を有する材料である。航空機・宇宙船・自動車の構造材などに好適に用いることができる材料である。この複合材料は、強化材と樹脂材料とからなる。そして、その他の部材として金属製の板状部材(金属板)を表面に有していても良い。金属板としては箔状のものからある程度の厚みがあるものまで用いることができる。金属板を表面に有することで電磁波・宇宙線などからのシールド性が向上したり、導電性が向上したり、金属光沢をもつことによる外観向上が期待できたりする。金属板の厚みは特に限定されない。例えば1μm程度から数mm程度まで選択できる。特に金属板の厚みとしては、組み合わせられる強化材の厚みよりも薄いことが望ましいがその限りでない。
強化材は内部に空隙をもち導電性を持つ材料である。空隙は強化材の外部と連通する空間で有り、空隙には樹脂材料が含浸される。例えば炭素繊維、金属繊維などの繊維状の部材を束ねたもの、フェルト状にしたもの、織物、編み物、紐としたもの、粉末を焼結などにより固化したもの(焼結金属など)が挙げられる。また、多孔質材料が挙げられる。多孔質材料は先述の繊維状の部材を束ねたり、フェルト状にしたり、織物・編み物・紐とした後に固化したもの、パンチングメタル、エクスパンドメタルのような加工品が挙げられる。繊維状の部材は、中空のものにすることができる。中空のものを採用する場合には、繊維状の部材内部の中空部分には樹脂前駆体を充填しないようにすれば得られる複合材料の軽量化を実現できる。中空の繊維状の部材としては、例えば繊維径が1μm〜500μm程度のものを採用することができる。
更に、強化材は金属板を内部に有することも出来る。金属板を内部に有することにより表面に金属板をもつ場合と同様に電磁波・宇宙線などからのシールド性向上が期待できたり、導電性向上が期待できたりする。
樹脂材料は、反応により固化する熱硬化性樹脂材料、又は、熱可塑性樹脂材料である。後述する硬化工程における「硬化」とは、熱硬化性樹脂材料の重合反応前の化合物が反応して硬化する場合と、加熱により溶融している熱可塑性樹脂材料が冷えて固化した場合も含む概念である。従って、樹脂前駆体とは、「硬化する前の状態の材料」を意味する語句で有り、後述の硬化工程の初期段階において液体状(流動性があればよい)になる材料である。つまり、熱硬化性樹脂材料の重合前の化合物、溶融状態の熱可塑性樹脂材料を示す。なお、樹脂材料としては熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂材料を採用することが好ましい。熱硬化性樹脂材料としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂、熱可塑性樹脂材料としては、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂が例示できる。エポキシ樹脂やシリコーン樹脂どの熱硬化性樹脂としては2液型、1液型など特に限定しない。また、樹脂材料には強化材に加えて何らかのフィラーを含有させることができる。フィラーを含有していても流動性を有していれば前述した樹脂前駆体に当てはまる。フィラーとしては、シリカ、アルミナ、炭素材料などが挙げられる。カーボンブラック・ケッチェンブラック・黒鉛などの炭素材料を含有させると製造される複合材料の重量を殆んど変化させずに導電性を向上させることが可能である。
本実施形態の複合材料の製造方法は、含浸工程と硬化工程とを有する。含浸工程は強化材の内部に形成された空隙に対して硬化前の樹脂材料である樹脂前駆体を含浸・充填して硬化前材料とする工程である。含浸する樹脂材料の量は空隙の体積よりも過剰な量とする。硬化前材料の表面には金属板を配設することができる。
硬化工程は、硬化前材料に対して型によって加圧しながら硬化を行う工程で有り、含浸工程にて含浸させた樹脂材料のうち過剰な量を加圧により押し出して排出しながら樹脂材料の硬化を行う工程である。加圧と共に硬化を進行させるためには樹脂前駆体の種類毎に適正な方法を採用する。
例えば、樹脂前駆体として熱硬化性樹脂材料を採用する場合には熱硬化性樹脂材料が硬化する程度の温度にまで加熱を行い、硬化するまでに過剰な樹脂前駆体を排出した後に硬化させることが好ましい。加熱する温度は、最初は硬化しない程度の温度で排出が終わった後に硬化する温度にまで上昇させたり、最初から硬化が進行する温度で加熱してその温度が硬化前材料に伝導して熱硬化性樹脂材料が硬化する前に過剰な樹脂前駆体を排出したりできる。
樹脂前駆体として熱可塑性樹脂材料を採用する場合には、加圧による過剰な樹脂前駆体の排出が完了するまでは樹脂前駆体の流動性を確保するため、採用した熱可塑性樹脂材料の融点、軟化点などの押出し可能な流動性をもつだけの温度にまで加熱を行う。その後、排出が完了したら硬化前材料の温度を下降させて熱可塑性樹脂材料を硬化させることで硬化工程が完了する。
加圧は、硬化前材料全体に圧力が加わるように行うことが好ましい。圧力が加わわることで過剰な樹脂前駆体を排出し、内部に有する強化材に対しても充分な力が加わることで強化材を外部に露出させることが可能になり、更には強化材同士の接触を促進できる。例えば加圧の方向は、硬化前材料における厚みが薄い部分を挟み込む方向に行うことが好ましい。
用いる型としてはプレス金型に類するものや、ローラ型などがある。硬化工程における加圧は、含浸された樹脂前駆体が硬化して露出した強化材がそのまま露出状態を保つようになるまで行う。更には繊維状の部材からなる強化材については、強化材が加圧されて互いに接している状態を保持できる程度まで樹脂前駆体が硬化するまで加圧を継続することが好ましい。強化材が露出しているかどうかは、得られた複合材料の導電率を測定することで判断する。強化材が導電性を有する繊維状物又は焼結金属物のような金属の場合は導電率が10−1Ω・cm以下(好ましくは10−3Ω・cm以下、さらに好ましくは10−4 Ω・cm以下)であれば金属強化材が露出していると判断する。また、強化材が導電性を持つカーボンファイバーなどの繊維状物の場合は、10Ω・cm以下、好ましくは 10Ω・cm以下であれば強化材が露出していると判断する。
過剰な量の樹脂材料を排出するためには、加圧を行う型に排出のための機構を設けることが望ましい。例えば、硬化前材料を加圧するときに型に隙間を設け、加圧時にその隙間から樹脂前駆体を排出したり、型に樹脂前駆体が通過できる排出路を設けて加圧時にその排出路から樹脂前駆体を排出したりできる。簡便法としては隙間を設けなくても、加圧度合いにより樹脂前駆体が四方に拡散排出させる方法が採用できる。
例えば、図1に示すように、上型11と下型12との間に硬化前材料20を介装した状態で加圧する装置が挙げられる。この装置では上型11と下型12との間の隙間Dから樹脂前駆体のうちの過剰なものが排出されたり、型(図1では下型12)に設けられた排出路121のEの方向に樹脂前駆体のうちの過剰なものが排出されたりするようになっている。隙間Dと排出路121とは両方設けても良いし、どちらか一方のみを設けても良い。排出路を設ける場合には製造される複合材料に当接する部位に一端が開口するように形成され、特にその開口部分は最終的な複合材料の形状・美観などに影響を与えない部位に設けることが好ましい。
硬化工程では、加圧に用いる型が硬化前材料に当接する部分を硬化前材料内に包含された強化材に当接して加圧されることで強化材の外形に倣って変形可能な材料から形成されるような材料から構成するか、又は、そのような材料を介在させることが好ましい。変形可能な材料としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂や、シリコーン樹脂が例示できる。変形可能な材料を用いた場合には、硬化工程として、強化材が当接して加圧されることで強化材の外形に倣って変形可能な材料から形成された型を用い且つ前記型が変形するように加圧し、完全に硬化する前に型による硬化前材料への圧力を放圧することが好ましい。硬化前に放圧することにより強化材を構成する繊維などの部材の表面への露出を促進することができる。
強化材として導電性をもつ材料から形成された繊維状の部材(例えば炭素繊維)を採用し、硬化工程においてその強化材を構成する繊維状の部材が互いに接するまで加圧する。繊維状の部材が互いに接する状態になるまで加圧すると、樹脂前駆体は過剰に含浸されているので型外に排出される。従って、強化材を構成する繊維状の部材の間は接した状態になり且つその繊維状の部材の間にて形成された空隙内には確実に樹脂前駆体を充填することができる。また、強化材を構成する導電性をもつ繊維状の部材が互いに接しているために製造された複合材料の内部についても導電性が発現される。
図2(a)に示すように、上型11と下型12との間で加圧される硬化前材料20は、強化材としての炭素繊維材料22と樹脂前駆体からなるマトリクス21とから構成される。加圧により炭素繊維材料22が加圧されて間に存在するマトリクス21が押し出される。炭素繊維材料22は最終的に密着する状態(図2(b))にまで加圧する。図2(b)では、強化材(炭素繊維材料22)よりも撓み易い材料(例えばポリテトラフルオロエチレン)にて内面11aが形成された型を用いた場合を例示しており、加圧により内面11aが炭素繊維材料22の外形に倣って変形している。この変形により強化材を構成する炭素繊維材料22の一本一本の表面の形状に倣って内面11aが変形するため、炭素繊維材料22の表面に存在した樹脂前駆体が除かれて炭素繊維材料22が露出する。内面11aが変形しない場合には炭素繊維材料22は露出するものの、露出する面積は小さくなるが、内面11aが変形する場合には露出する面積を大きくすることができる。露出する面積が大きくなると、製造される複合材料の導電性も必然的に大きくなる。
円筒形の複合材料を製造する際の硬化工程の一例を図3に示す。図3(a)に示すように、内型13と外型14との間に円筒形に成形された硬化前材料25を介装して加圧する。内型13の外形と外型14の内形は、それぞれ円錐形の一部で有り円錐形の角度は必要に応じ任意の角度がとれる(図3(a)では角度を強調して記載している)、両者の間に硬化前材料25を介装し、それぞれの型13及び14を円筒軸方向(図面に矢印で記載した上下方向:内型13は図面下方、外型14は図面上方)に相対移動させることで硬化前材料25を加圧できる。円筒形のパイプ状複合材料を製造する簡便法としては芯材として必要な大きさをもつ、樹脂製・段ボール製・木製の丸棒などを用い、芯材を取り外すか否かは必要に応じて行う。取り外さない場合は芯材ごと本実施形態の複合材料に接着すればよいし、取り外す場合は芯材にフッ素樹脂やシリコーン樹脂などからなる離型材を巻つけ、その、芯材の外側に製造する複合材料の元になる硬化前材料を配置するように、別に用意したアルミニウムなどの金属板に離型材としてフッ素樹脂片側粘着フィルムを貼ったものを内面にして外側から巻きつけて硬化工程に供して複合材料を製造することができる。外側から加圧する方法としては強靱な線状部材(針金・繊維など)を何重にも巻き付けることで圧力を調整することが可能である。それを加熱硬化することによって簡単に軽量の複合材料を製造することができる。簡便法の場合はエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いると簡単に製造可能である。また、パイプなどの場合、離型材を周囲に巻きつけることで取り外しを簡単にすることができる。熱可塑性樹脂を用いパイプ状物を製造する場合はフィルム状の樹脂を重ねて用いることができる。軽さを要求する場合には空隙率を大きくすることが必要であるが、使用樹脂量を調節することによって実現可能である。
・試料1(ホットプレス法)
強化材としての炭素繊維束に、樹脂前駆体としての熱硬化性樹脂材料(エポキシ樹脂:ビスフェノールA、ビスフェノールF、硬化剤)を含浸させて板状の硬化前材料を得た(含浸工程)。含浸させる量は、炭素繊維束内の空隙の体積よりも充分に過剰な量とした。
得られた硬化前材料を型内に収め、最初は気泡予防のため 200MPaの比較的低圧状態の150℃で 5分間加圧、その後、 450MPaに加圧し150℃で15分間加圧した後、放圧・取出し、さらに温風乾燥機で180℃×2時間加熱した(硬化工程)。用いた型は、硬化前材料に接する部分にフッ素樹脂で被覆されており、硬化前材料を挟んだ状態で隙間を形成する。硬化工程では、加圧により硬化前材料に含まれる樹脂前駆体のうち過剰なものが排出された。この場合に型と硬化前材料との間に金属箔(金属板)を挟持することにより表面に金属板をもつ複合材料が製造できる。
・試料2(VaRTM法)
強化材及び樹脂前駆体としては試料1と同じものを採用してVaRTM法にて強化材に樹脂前駆体を含浸させた後、まず120℃で60分間反応後、さらに、150℃で4時間かけ硬化を完了させた。板状の硬化前材料に接する面は、一面側がアルミニウム材、他面側がポリアミド材から構成した。
・SEMによる観察
得られた試料を切断し、型に接触した面と、断面とをSEMにより観察した。結果を図4(試料1:表面の一方:倍率500倍)、図5(試料1:表面の他方:倍率500倍)、図6(試料1:断面:倍率200倍)、図7(試料1:断面:倍率500倍)、図8(試料2:表面の一方、アルミニウム側:倍率500倍)、図9(試料2:表面の他方、ポリアミド側:倍率500倍)、図10(試料2:断面:倍率200倍)、図11(試料2:断面:倍率500倍)に示す。なお、試料1については概ね等方性の導電性を示しており、試料2については断面など炭素繊維材料が露出している部分について炭素繊維の方向に沿った導電性が観測されたのみであった。
図面から明らかなように、試料1では型により加圧された表面はどちらも炭素繊維材料が露出しており且つ気泡の存在も認められなかった。それに対して試料2では表面は気泡が多く樹脂の浸透が充分で無いことに加え、樹脂に覆われてしまっていることが分かった(特にポリアミドに接した側)。断面においては、試料1では強化材が圧縮され均一になっているのに対して試料2では炭素繊維材料のそれぞれの間に隙間が有りまた、気泡も存在することが分かった。
以上の結果から、試料1では含有する強化材同士が充分に接しており、更に表面に露出していることが分かった。そして、等方性の導電性を示すことが分かった。
11、12。13、14…型
20、25…硬化前材料
21…マトリックス 22…炭素繊維材料

Claims (11)

  1. 絡み合った繊維状の金属、又は、粒子状もしくは繊維状の金属を焼結した焼結金属からなる強化材と、
    前記強化材の表面に前記焼結金属との間で導電性を有した状態で接着された金属板と、
    を有し、
    金属板に対し、垂直方向にも導電性を有する複合材料。
  2. 前記強化材に含浸された樹脂材料を有する請求項1に記載の複合材料。
  3. 導電性をもつ材料から形成され且つ内部に空隙が形成された強化材と前記強化材の前記空隙中に含浸して硬化された樹脂材料とを有する複合材料を製造する方法であって、
    前記強化材の前記空隙中に、前記樹脂材料の硬化前の樹脂前駆体を過剰量含浸させた硬化前材料を製造する含浸工程と、
    前記硬化前材料の表面を加圧して含浸された前記樹脂前駆体を前記強化材の前記空隙の外に押出して前記強化材が表面に露出した状態となるように排出しながら硬化させて複合材料とする硬化工程と、
    を有する複合材料の製造方法。
  4. 前記硬化工程は、前記強化材が当接して加圧されることで前記強化材の外形に倣って変形可能な材料から形成された型を用い且つ前記型が変形するように加圧し、完全に硬化する前に繊維が表面に露出する程度に放圧する請求項3に記載の複合材料の製造方法。
  5. 前記型はフッ素樹脂やシリコーン樹脂で表面が被覆されている請求項4に記載の複合材料の製造方法。
  6. 前記強化材は、金属製の板状体を有する請求項3〜5のうちの何れか1項に記載の複合材料の製造方法。
  7. 前記樹脂前駆体は、表面が金属製の板状部材にて被覆されており、
    前記硬化工程は、前記板状部材が前記強化材に接触するように加圧した状態で行われる請求項3〜6のうちの何れか1項に記載の複合材料の製造方法。
  8. 前記強化材は、炭素繊維材料であり、
    前記硬化工程は、加圧方向にて導電性を示すまで前記炭素繊維材料間が接触するまで加圧して行う請求項3〜7のうちの何れか1項に記載の複合材料の製造方法。
  9. 繊維状の強化材と、前記強化材に含浸された樹脂材料と、前記強化材の表面に接着された金属板と、を有する複合材料。
  10. 互いに融着乃至絡み合った繊維状の強化材と、前記強化材の表面に接着された金属板と、を有する複合材料。
  11. 前記強化材は、中空繊維である請求項9又は10に記載の複合材料。
JP2017074838A 2017-04-04 2017-04-04 複合材料の製造方法 Active JP6893634B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017074838A JP6893634B2 (ja) 2017-04-04 2017-04-04 複合材料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017074838A JP6893634B2 (ja) 2017-04-04 2017-04-04 複合材料の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2018176452A true JP2018176452A (ja) 2018-11-15
JP2018176452A5 JP2018176452A5 (ja) 2020-09-17
JP6893634B2 JP6893634B2 (ja) 2021-06-23

Family

ID=64280724

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017074838A Active JP6893634B2 (ja) 2017-04-04 2017-04-04 複合材料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6893634B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP6893634B2 (ja) 2021-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6353042B2 (ja) 熱可塑性サンドイッチ構造
JP5901518B2 (ja) 高度複合構成要素の製造方法
US10099432B2 (en) Manufacturing method for fiber-reinforced resin sheet and manufacturing device therefor
JP6213673B2 (ja) 複合材料成形体及びその製造方法
JPWO2005095079A1 (ja) プリフォーム、frpおよびそれらの製造方法
DE102014100035A1 (de) Verbundwerkstoff-Konstruktionsplatte mit metallischem Schaumkern
JP6615497B2 (ja) 樹脂複合材料、その硬化方法、および樹脂成形品
JP5819896B2 (ja) 繊維強化部材の製造方法
KR101961103B1 (ko) 탄소섬유 원단과 금속 그물 구조물을 밀착가공한 탄소섬유 원단 프리프레그 및 그 제조방법
JP2015083365A (ja) サンドイッチ構造体およびその製造方法、ならびにサンドイッチ構造体を加工してなる構造体
JP2015078260A (ja) 高導電性炭素繊維素材及びそれを用いた成形方法
DE102013219765A1 (de) Wärmeleitfähiger, faserverstärkter Kunststoff für Elektromotorengehäuse sowie Verfahren zur Herstellung und Verwendung dazu
EP0185460A2 (en) Reformable composites and methods of making same
KR101447136B1 (ko) 섬유 강화 복합재의 성형방법
JP5655386B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形体の製造方法
JP2018176452A (ja) 複合材料の製造方法
WO2020031771A1 (ja) 強化繊維テープ材料およびその製造方法、強化繊維テープ材料を用いた強化繊維積層体および繊維強化樹脂成形体
JP2020063334A (ja) 炭素繊維プリプレグの製造方法、炭素繊維強化樹脂成形品の製造方法、及び、炭素繊維強化樹脂成形品
CN117355414A (zh) 压制用层叠体及压制后层叠体
JP7030622B2 (ja) 複合材料構造体及びその形成方法
CN107972206B (zh) 树脂浸渍前将催化剂插入干纤维
JP2018144274A (ja) 成形品の製造方法および成形品 本発明は、金属と繊維強化複合材料からなる成形品の製造方法および成形品に関する。
JP2019194018A (ja) 鏡筒部品、光学機器、および鏡筒部品の製造方法
US11383460B2 (en) Method for producing composite material
JP2013216012A (ja) 導電性複合材及び導電性複合材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190809

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200330

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200330

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200807

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200924

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201208

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210203

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210406

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210518

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210519

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6893634

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150