JP2013216012A - 導電性複合材及び導電性複合材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性複合材の面積が大きな場合でも、強度の低下を起こすことなく金属製メッシュと繊維製プリフォームが一体化された導電性複合材を提供する。
【解決手段】導電性複合材11は、板状の繊維製プリフォーム12と板状の金属製メッシュ13とが積層された状態でマトリックス樹脂と複合化された導電性複合材である。繊維製プリフォーム12の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成され、金属製メッシュ13の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成されており、かつ金属製メッシュ13は開口率が25〜40%である。
【選択図】図1
【解決手段】導電性複合材11は、板状の繊維製プリフォーム12と板状の金属製メッシュ13とが積層された状態でマトリックス樹脂と複合化された導電性複合材である。繊維製プリフォーム12の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成され、金属製メッシュ13の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成されており、かつ金属製メッシュ13は開口率が25〜40%である。
【選択図】図1
Description
本発明は、導電性複合材及び導電性複合材の製造方法に係り、詳しくは、例えば航空機の構造部材あるいは構造部材の外面を覆う部材として使用され、避雷や電磁界干渉機能を備えた導電性複合材及び導電性複合材の製造方法に関する。
航空機の部材は避雷や電磁界干渉の機能を備える必要があり、一般に金属が使用されている。しかし、金属は軽量化の点で問題があるため、避雷や電磁界干渉の機能を備えた軽量の複合材が開発されている。そして、従来、導電性複合材製品の製造方法として、繊維製プリフォームと金属製メッシュ(金属ワイヤのメッシュ)とを成形型内に配置して、樹脂を含浸、硬化させる方法が提案されている(特許文献1参照)。この製造方法では、接着剤樹脂片を前記繊維製プリフォームに接着し、所望形状に裁断した金属製メッシュを前記繊維製プリフォーム上に配置する。
接着剤を使用して、金属製メッシュを繊維製プリフォームに一体化しているため、接着剤とマトリックス用樹脂との相性が悪いと、得られる複合材の強度が低下する場合がある。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、導電性複合材の面積が大きな場合でも、強度の低下を起こすことなく金属製メッシュと繊維製プリフォームが一体化された導電性複合材及び導電性複合材の製造方法を提供することにある。
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、板状の繊維製プリフォームと板状の金属製メッシュとが積層された状態でマトリックス樹脂と複合化された導電性複合材であって、前記繊維製プリフォームの表面を覆う前記マトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成され、前記金属製メッシュの表面を覆う前記マトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成されており、かつ前記金属製メッシュは開口率が25〜40%である。ここで、「金属製メッシュ」とは、金属製の網に限らず、パンチングメタルのように孔を開けた金属やエキスパンドメタルをも含む。「開口率」とは、金属板に孔が形成された金属製メッシュの場合は、孔の合計面積の、孔を形成する前の金属板の面積に対する割合を百分率で示し、金属製メッシュが網やエキスパンドメタルの場合は、金属製メッシュを垂直方向から見た状態で、空間部の合計面積の、金属メッシュの外形で囲まれる面積に対する割合を百分率で示したものを意味する。
この発明の導電性複合材は、金属製メッシュの開口率が25〜40%であるため、導電性複合材を製造する際に、金属製メッシュが、樹脂注入空間内に注入されるマトリックス用樹脂の流れに支障を来さず、マトリックス樹脂が型内に迅速に行き渡り、すみやかに織物へ含浸し、繊維製プリフォームと金属製メッシュの一体化が行われる。そのため、接着剤を使用せずに繊維製プリフォームと金属製メッシュの一体化が可能である。また、金属製メッシュが避雷や電磁界干渉機能を奏するため、導電性複合材は、航空機の構造材として適している。また、繊維製プリフォームの表面を覆う前記マトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成されているため、製品の表面研磨を省略して使用することができる。
請求項2に記載の発明は、成形面の算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである成形型の樹脂注入空間内に、繊維製プリフォームと開口率が25〜40%の金属製メッシュとを、繊維製プリフォームが前記成形型の成形面側となるように積層した状態で配置し、前記金属製メッシュの外面側からフィルムで覆った状態で前記金属製メッシュ側からマトリックス用樹脂を供給して前記繊維製プリフォーム及び前記金属製メッシュにマトリックス用樹脂をVaRTM法(真空RTM法)で含浸硬化させることで、前記金属製メッシュの表面を覆う前記マトリックス用樹脂の表面を全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成する。
この発明では、繊維製プリフォームと金属製メッシュとが積層された状態でマトリックス用樹脂が含浸される際、金属製メッシュの開口率が25〜40%であるため、金属製メッシュが樹脂注入空間内に注入されるマトリックス用樹脂の流れを助ける樹脂パスとなって樹脂が樹脂注入空間内に迅速に行き渡り、繊維製プリフォームに樹脂が均一に良好に含浸される。また、金属製メッシュの各開口内にマトリックス用樹脂が入り込み、接着剤を用いなくてもマトリックス用樹脂により金属製メッシュと繊維製プリフォームとを一体化できる。したがって、導電性複合材の面積が大きな場合でも、導電性複合材を製造する際に、金属製メッシュが樹脂注入空間内に注入されるマトリックス用樹脂の流れに支障を来さず、良好な導電性複合材を製造することができる。
マトリックス用樹脂の含浸硬化をRTM法で行う場合は、第1の成形型と第2の成形型が共に金属製であり、成形する製品が大型になると、製造コストが増大する。しかし、この発明では、マトリックス用樹脂の含浸硬化をVaRTM法で行うため、製品の形状に対応する形状の樹脂注入空間を構成する金型と、フィルムとによって成形型が構成されるため、製品の大型化に容易に対応することができる。また、マトリックス用樹脂の含浸硬化をVaRTM法で行う場合は、繊維強化樹脂を製造する樹脂注入空間の一部をフィルムで区画した状態で、樹脂注入空間に樹脂を注入するため、そのフィルム面が金型面のように平坦ではなく多少凹凸を有する状態になる。そのときの凹凸は、算術平均粗さRaが10μm以上になる。
本発明によれば、導電性複合材の面積が大きな場合でも、強度の低下を起こすことなく金属製メッシュと繊維製プリフォームが一体化された導電性複合材及び導電性複合材の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1(a)に示すように、導電性複合材11は、板状の繊維製プリフォーム12と板状の金属製メッシュ13とが積層された状態でマトリックス用樹脂(図示せず)と複合化されている。導電性複合材11は、繊維製プリフォーム12の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成され、金属製メッシュ13の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成されている。算術平均粗さRaとはJIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaである。なお、導電性複合材11の製造方法によっては、図1(a)において、金属製メッシュ13の外側にフメーメディアが積層された状態で導電性複合材11が形成されるが、図1(a)ではフローメディアの図示を省略している。また、図1(a)は導電性複合材11の形状の一例を示す。
図1(a)に示すように、導電性複合材11は、板状の繊維製プリフォーム12と板状の金属製メッシュ13とが積層された状態でマトリックス用樹脂(図示せず)と複合化されている。導電性複合材11は、繊維製プリフォーム12の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成され、金属製メッシュ13の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成されている。算術平均粗さRaとはJIS B 0601:2001 の表面粗さ規格による算術平均粗さRaである。なお、導電性複合材11の製造方法によっては、図1(a)において、金属製メッシュ13の外側にフメーメディアが積層された状態で導電性複合材11が形成されるが、図1(a)ではフローメディアの図示を省略している。また、図1(a)は導電性複合材11の形状の一例を示す。
算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmの面は、例えば、航空機の繊維強化樹脂製構造材をRTM法で製造する際に使用される金型のキャビィティ面と同程度の粗さの面を意味する。また、導電性複合材11をVaRTM法(真空RTM法)で製造する際に、樹脂注入空間を構成するフィルム面は金型面のように平坦ではなく多少凹凸を有する状態でマトリックス用の樹脂を封入するため、その凹凸に対応して金属製メッシュ13の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上になる。
金属製メッシュ13としては、図1(b)に示すように、金属板に多数の孔13aが開けられた構造のものが使用されている。金属製メッシュ13は開口率が25〜40%であり、孔13aは全て同じ大きさに形成されている。この実施形態では、金属製メッシュ13として、金属板を多数の針でプレスすることにより孔13aを形成したパンチングメタルが使用されている。孔13aの大きさは0.3〜1.0mm程度が好ましい。金属板としては、例えば、銅板が使用される。
繊維製プリフォーム12は、強化繊維からなる繊維束層が複数積層されて、全体として擬似等方性となる積層繊維束層で構成されている。例えば、繊維配向角度が0°、90°及び±45°の4種類の繊維束層が複数積層されて、全体として擬似等方性となる4軸配向の積層繊維束層が構成されている。強化繊維としては、例えば、炭素繊維が使用される。マトリックス用の樹脂としてはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ナイロンやPBT等の熱可塑性樹脂が使用される。
前記のように構成された導電性複合材11は、例えば、航空機の構造部材あるいは構造部材の外面を覆う部材として使用される。導電性複合材11を構成する金属製メッシュ13は、避雷や電磁界干渉機能を奏する。
次に前記のように構成された導電性複合材11の製造方法について説明する。
導電性複合材11の製造は、RTM法の一種であるVaRTM法(真空RTM法)を用いて行う。図2にVaRTM法で用いる製造装置の構成を示す。製造装置は、成形型20と、成形型20の成形面21側を覆うバッグフィルム22とを備えている。成形型20には成形面21の周囲を囲繞するシール部23が設けられ、バッグフィルム22はその周縁部がシール部23に押圧された状態で成形面21を覆うようになっている。成形面21は、算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである。成形型20は図示しない加熱装置によって温度調整が可能に構成されている。
導電性複合材11の製造は、RTM法の一種であるVaRTM法(真空RTM法)を用いて行う。図2にVaRTM法で用いる製造装置の構成を示す。製造装置は、成形型20と、成形型20の成形面21側を覆うバッグフィルム22とを備えている。成形型20には成形面21の周囲を囲繞するシール部23が設けられ、バッグフィルム22はその周縁部がシール部23に押圧された状態で成形面21を覆うようになっている。成形面21は、算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである。成形型20は図示しない加熱装置によって温度調整が可能に構成されている。
製造装置は真空ポンプ24を備え、真空ポンプ24にはシール部23を貫通する減圧配管25の一端が連結され、減圧配管25の途中には樹脂回収タンク(トラップ)26及び開閉弁27が設けられている。製造装置はマトリックス用樹脂の貯留部としての樹脂貯留タンク28を備え、樹脂貯留タンク28にはシール部23を貫通する樹脂供給配管29の一端が連結されている。樹脂供給配管29の途中には開閉弁30が設けられている。
次に、前記の製造装置を用いた導電性複合材11の製造方法について説明する。
導電性複合材11を製造する場合、先ず、成形型20の成形面21上に繊維製プリフォーム12及び金属製メッシュ13を、繊維製プリフォーム12が成形面21側になるように積層配置する。次に、金属製メッシュ13の上にフローメディア14を配置した後、バッグフィルム22をその周縁部がシール部23と対応する状態に配置する。即ち、金属製メッシュ13の外面側からフィルムで覆った状態で金属製メッシュ13側からマトリックス用樹脂を供給可能な状態に配置する。その状態で、開閉弁30を閉鎖し、開閉弁27を開放した状態で真空ポンプ24を駆動して成形面21及びバッグフィルム22により区画された空間(以下、樹脂注入空間と記載する)内を真空に近い状態まで減圧する。繊維製プリフォーム12の上に積載された金属製メッシュ13は、樹脂注入空間の減圧に伴い、バッグフィルム22によりフローメディア14を介して繊維製プリフォーム12に押圧された状態となり、その状態でマトリックス用樹脂の注入が行われる。そのため、従来技術と異なり、接着剤を用いなくても繊維製プリフォーム12と金属製メッシュ13との位置関係が一定の状態でマトリックス用樹脂の含浸が行われることになる。
導電性複合材11を製造する場合、先ず、成形型20の成形面21上に繊維製プリフォーム12及び金属製メッシュ13を、繊維製プリフォーム12が成形面21側になるように積層配置する。次に、金属製メッシュ13の上にフローメディア14を配置した後、バッグフィルム22をその周縁部がシール部23と対応する状態に配置する。即ち、金属製メッシュ13の外面側からフィルムで覆った状態で金属製メッシュ13側からマトリックス用樹脂を供給可能な状態に配置する。その状態で、開閉弁30を閉鎖し、開閉弁27を開放した状態で真空ポンプ24を駆動して成形面21及びバッグフィルム22により区画された空間(以下、樹脂注入空間と記載する)内を真空に近い状態まで減圧する。繊維製プリフォーム12の上に積載された金属製メッシュ13は、樹脂注入空間の減圧に伴い、バッグフィルム22によりフローメディア14を介して繊維製プリフォーム12に押圧された状態となり、その状態でマトリックス用樹脂の注入が行われる。そのため、従来技術と異なり、接着剤を用いなくても繊維製プリフォーム12と金属製メッシュ13との位置関係が一定の状態でマトリックス用樹脂の含浸が行われることになる。
成形型20の温度を所定温度に維持した状態で、開閉弁30を開放し、樹脂貯留タンク28内のマトリックス用樹脂を樹脂注入空間へ注入する。
樹脂注入空間内に注入されたマトリックス用樹脂は、フローメディア14の作用により金属製メッシュ13全面に沿うように拡がった後、金属製メッシュ13の孔13aを通って繊維製プリフォーム12側へ移動し、繊維製プリフォーム12全体に均一に含浸される。樹脂注入空間内に注入されたマトリックス用樹脂が繊維製プリフォーム12及び金属製メッシュ13全体に含浸された後、樹脂注入空間内に注入されて樹脂注入空間から溢れたマトリックス用樹脂は、減圧配管25を経て樹脂回収タンク26に回収される。予め設定された所定時間経過後、開閉弁27が閉鎖され、真空ポンプ24の駆動が停止される。また、開閉弁30が閉鎖される。そして、成形型20の温度が予め設定された所定温度に所定時間上昇され、マトリックス用樹脂が硬化することにより導電性複合材11が形成される。樹脂が完全に硬化した後、樹脂注入空間内を大気圧に戻し、バッグフィルム22を成形型20から取り外し、導電性複合材11を成形面21から取り外した後、バリを除去すると導電性複合材11が完成する。
樹脂注入空間内に注入されたマトリックス用樹脂は、フローメディア14の作用により金属製メッシュ13全面に沿うように拡がった後、金属製メッシュ13の孔13aを通って繊維製プリフォーム12側へ移動し、繊維製プリフォーム12全体に均一に含浸される。樹脂注入空間内に注入されたマトリックス用樹脂が繊維製プリフォーム12及び金属製メッシュ13全体に含浸された後、樹脂注入空間内に注入されて樹脂注入空間から溢れたマトリックス用樹脂は、減圧配管25を経て樹脂回収タンク26に回収される。予め設定された所定時間経過後、開閉弁27が閉鎖され、真空ポンプ24の駆動が停止される。また、開閉弁30が閉鎖される。そして、成形型20の温度が予め設定された所定温度に所定時間上昇され、マトリックス用樹脂が硬化することにより導電性複合材11が形成される。樹脂が完全に硬化した後、樹脂注入空間内を大気圧に戻し、バッグフィルム22を成形型20から取り外し、導電性複合材11を成形面21から取り外した後、バリを除去すると導電性複合材11が完成する。
繊維製プリフォーム12の上に積層された金属製メッシュ13の開口率及び孔13aのサイズによって、樹脂注入空間内に注入されたマトリックス用樹脂の流れの状態が異なり、得られる製品の品質に影響を及ぼすことがわかった。
図3に開口率とフローメディアウェットアウト時間との関係を示す。図3から、樹脂の流れは、開口率の影響を受け、開口率が大きい方がフローメディアウェットアウト時間が短くなることが分かる。フローメディアウェットアウト時間が短過ぎるとキャビテイションが発生し、樹脂が繊維製プリフォーム12の繊維の隙間に均一に含浸せず、ボイド(空隙)の部分が発生し易くなることが観察された。なお、図3の結果は、金属製メッシュ13の孔13aとして口径が同じで開口率を変更したものではなく、口径を変えて開口率を変えた場合の結果である。
また、開口率やフローメディアウェットアウト時間と成型品(導電性複合材11)の品質との関係を調べた。その結果、開口率がある程度の大きさまでは、品質は良好であるが、開口率が大きくなると品質が悪くなった。また、フローメディアウェットアウト時間が短いと品質が悪くなり、ある程度以上長くなると品質が良くなることが確認された。図3の結果から、開口率が大きくなるとフローメディアウェットアウト時間は短くなる関係があるため、この結果と対応している。試験を行った範囲では、孔13aの口径が0.5Φ、即ち直径500μmのときが総合的に最良であったが、0.75Φでも良好な結果が得られた。
この実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)導電性複合材11は、板状の繊維製プリフォーム12と板状の金属製メッシュ13とが積層された状態でマトリックス樹脂と複合化された導電性複合材であって、金属製メッシュ13は開口率が25〜40%である。したがって、導電性複合材11を製造する際に、金属製メッシュ13が、樹脂注入空間内に注入されるマトリックス樹脂の流れに支障を来さず、良好な導電性複合材11を得ることができる。また、金属製メッシュ13が避雷や電磁界干渉機能を奏するため、導電性複合材11は、航空機の構造材として適している。
(1)導電性複合材11は、板状の繊維製プリフォーム12と板状の金属製メッシュ13とが積層された状態でマトリックス樹脂と複合化された導電性複合材であって、金属製メッシュ13は開口率が25〜40%である。したがって、導電性複合材11を製造する際に、金属製メッシュ13が、樹脂注入空間内に注入されるマトリックス樹脂の流れに支障を来さず、良好な導電性複合材11を得ることができる。また、金属製メッシュ13が避雷や電磁界干渉機能を奏するため、導電性複合材11は、航空機の構造材として適している。
(2)導電性複合材11は、繊維製プリフォーム12の表面を覆うマトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成され、金属製メッシュ13の表面を覆う前記マトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成されている。したがって、製品の表面研磨を省略して使用することができる。
(3)導電性複合材11の製造方法は、成形面21の算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである成形型20の樹脂注入空間内に、繊維製プリフォーム12と開口率が25〜40%の金属製メッシュ13とを、繊維製プリフォーム12が成形型20の成形面21側となるように積層した状態で配置する。そして、金属製メッシュ13の外面側からフィルムで覆った状態で金属製メッシュ13側からマトリックス用樹脂を供給して繊維製プリフォーム12及び金属製メッシュ13にマトリックス用樹脂をVaRTM法(真空RTM法)で含浸硬化させることで、金属製メッシュ13の表面を覆うマトリックス用樹脂の表面を全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成する。したがって、導電性複合材11の面積が大きな場合でも、導電性複合材11を製造する際に、金属製メッシュ13が樹脂注入空間内に注入されるマトリックス用樹脂の流れに支障を来さず、良好な導電性複合材11を製造することができる。また、金属製メッシュ13の各開口(孔13a)内にマトリックス用樹脂が入り込み、接着剤を用いなくてもマトリックス用樹脂により金属製メッシュ13と繊維製プリフォーム12とを一体化することができる。また、一般的に使われるフィルム状接着剤又はフォーム接着剤は高価なため、接着剤を用いる必要がないことにより、製品のコスト削減効果も期待できる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 前記実施形態では、導電性複合材11として断面形状が屈曲部を2箇所有するチャネル状で、屈曲部の内側に繊維製プリフォーム12が配置されるものについて説明したが、導電性複合材11の形状はこれに限らない。例えば、断面形状L字状のように屈曲部を1箇所有する形状としたり、屈曲部のない平板状としたり、あるいは湾曲板状としたりしてもよい。また、屈曲部を有する形状の場合、屈曲部の外側に繊維製プリフォーム12が配置され、屈曲部の内側に金属製メッシュ13が配置される構成としてもよい。また、湾曲板状の場合も使用箇所によって、繊維製プリフォーム12を内側に配置するか、外側に配置するかを選択してもよい。
○ 前記実施形態では、導電性複合材11として断面形状が屈曲部を2箇所有するチャネル状で、屈曲部の内側に繊維製プリフォーム12が配置されるものについて説明したが、導電性複合材11の形状はこれに限らない。例えば、断面形状L字状のように屈曲部を1箇所有する形状としたり、屈曲部のない平板状としたり、あるいは湾曲板状としたりしてもよい。また、屈曲部を有する形状の場合、屈曲部の外側に繊維製プリフォーム12が配置され、屈曲部の内側に金属製メッシュ13が配置される構成としてもよい。また、湾曲板状の場合も使用箇所によって、繊維製プリフォーム12を内側に配置するか、外側に配置するかを選択してもよい。
○ VaRTM法においても、導電性複合材11の面積や繊維製プリフォーム12の厚さ及び繊維体積含有率によっては、金属製メッシュ13の開口率と孔13aの大きさを調整することにより、フローメディア14を省略できる場合もある。
○ 金属製メッシュ13はパンチングメタルに限らず、例えば、金属板にエッチングで孔13aを開けたものや、エキスパンドメタル、あるいは金網を用いても良い。
○ 金属製メッシュ13は同じ大きさの孔13aが形成されたものに限らず、大きさの異なる孔13aが混在してもよい。また、大きさの異なる孔13aがほぼ均一に混在するのではなく、マトリックス用樹脂の注入口に近い位置に存在する孔13aと、遠い位置に存在する孔13aとで大きさが異なるようにしてもよい。また、孔13aは円形に限らず、楕円や長円あるいは多角形であってもよい。
○ 金属製メッシュ13は同じ大きさの孔13aが形成されたものに限らず、大きさの異なる孔13aが混在してもよい。また、大きさの異なる孔13aがほぼ均一に混在するのではなく、マトリックス用樹脂の注入口に近い位置に存在する孔13aと、遠い位置に存在する孔13aとで大きさが異なるようにしてもよい。また、孔13aは円形に限らず、楕円や長円あるいは多角形であってもよい。
○ 金属製メッシュ13は銅製に限らず、電気抵抗の小さな金属、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金を材料に使用しても良い。
○ 導電性複合材11の形状が複雑な場合は、導電性複合材11を製造する際、金属製メッシュ13の一部を未硬化のマトリックス用樹脂で繊維製プリフォーム12に仮止めした状態で積層してもよい。
○ 導電性複合材11の形状が複雑な場合は、導電性複合材11を製造する際、金属製メッシュ13の一部を未硬化のマトリックス用樹脂で繊維製プリフォーム12に仮止めした状態で積層してもよい。
○ 導電性複合材11は航空機の構造部材あるいは構造部材の外面を覆う部材として使用されるものに限らず、他の用途に使用しても良い。例えば、電磁界干渉機能を必要とする空間を区画する区画部材として使用しても良い。
11…導電性複合材、12…繊維製プリフォーム、13…金属製メッシュ、20…成形型、21…成形面。
Claims (2)
- 板状の繊維製プリフォームと板状の金属製メッシュとが積層された状態でマトリックス樹脂と複合化された導電性複合材であって、
前記繊維製プリフォームの表面を覆う前記マトリックス樹脂の表面は算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmに形成され、前記金属製メッシュの表面を覆う前記マトリックス樹脂の表面は全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成されており、かつ前記金属製メッシュは開口率が25〜40%であることを特徴とする導電性複合材。 - 成形面の算術平均粗さRaが0.1〜1.0μmである成形型の樹脂注入空間内に、繊維製プリフォームと開口率が25〜40%の金属製メッシュとを、繊維製プリフォームが前記成形型の成形面側となるように積層した状態で配置し、前記金属製メッシュの外面側からフィルムで覆った状態で前記金属製メッシュ側からマトリックス用樹脂を供給して前記繊維製プリフォーム及び前記金属製メッシュにマトリックス用樹脂をVaRTM法(真空RTM法)で含浸硬化させることで、前記金属製メッシュの表面を覆う前記マトリックス用樹脂の表面を全体として算術平均粗さRaが10μm以上に形成することを特徴とする導電性複合材の製造方法。
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JP2019098743A (ja) * | 2017-11-30 | 2019-06-24 | エアバス オペレーションズ ゲーエムベーハーAirbus Operations GmbH | 複合材部品を製造する方法 |
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2012
- 2012-04-10 JP JP2012089244A patent/JP2013216012A/ja active Pending
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