JP3735351B2 - 複合材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、航空機または船舶の部品として使用され、FRP(繊維強化プラスチック)などのように繊維および樹脂を複合させて成る複合材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
複合材の製造方法には、2次元のプリプレグ(pre-impregnatedの省略形)を使用する方法、2次元の織物を使用する方法、3次元の織物を使用する方法などがある。2次元プリプレグを使用する方法では、2次元プリプレグを裁断し積み重ねることで適当な形状を形成しこれを硬化する。2次元の織物を使用する方法では、2次元の織物を裁断して積み重ねた状態で樹脂を含浸させ硬化する。また3次元の織物を使用する方法は、適当な形状の3次元の織物を織り、これに樹脂を含浸させて硬化するものである(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−29304号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
複合材を製造する工程において、2次元織物または3次元織物のドライ繊維に樹脂を含浸させるためには、金型内に配置したドライ繊維に樹脂を圧送するなどの大掛かりな設備が必要であり、このような設備が、複合材の製造工程を複雑にし、製造コストを引上げている。
【0005】
本発明の目的は、繊維部材に簡単に樹脂を含浸させる複合材の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、成型治具上に、2次元織物または3次元織物である織物部材を配置して、これを可撓性のバッグで覆う工程と、
熱硬化性の樹脂を織物部材に含浸させる工程と、
成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化する工程と、を含む複合材の製造方法であって、
前記樹脂を織物に含浸させる工程において、成型治具のバッグが覆う位置に予め窪みを設けておき、その窪みに樹脂を溜めた状態でバッグ内を脱気することによって、バッグを窪みに押圧させ、窪みに溜められた樹脂を押出して織物部材に含浸させることを特徴とする複合材の製造方法である。
【0007】
本発明に従えば、織物部材をバッグで覆い、バッグ内を脱気する。バッグは、脱気によって内側に引寄せられて、織物に密着するとともに、窪み内の樹脂を押圧する。バッグによって押圧された樹脂は、窪みから押出されて織物部材に含浸し、オートクレーブ内で加熱加圧されて硬化され、織物部材とともに複合材となる。
【0008】
このように、成型治具に窪みを設けて、その窪みに樹脂を溜めておくという簡単な方法で、織物部材に樹脂が含浸されるので、樹脂を圧送する大掛かりな設備が不要であり、複合材の製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0009】
また本発明は、成型治具上に熱硬化性の樹脂を溜める工程と、
貫通孔を有する板を樹脂上に浮かべる工程と、
2次元織物または3次元織物である織物部材を板上に設ける工程と、
織物部材を可撓性のバッグで覆う工程と、
バッグ内を脱気することで、樹脂を貫通孔から織物部材に含浸させる工程と、
成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化する工程と、を含むことを特徴とする複合材の製造方法である。
【0010】
本発明に従えば、バッグ内を脱気することによって、織物部材が下方に押圧され、さらに板が樹脂の方に押圧されて樹脂中に押し沈められ、貫通孔から樹脂が押出され、この樹脂は、織物部材に含浸し、オートクレーブ内で加熱加圧されて硬化され、織物部材とともに複合材となる。
【0011】
このように、溜めた樹脂の上に貫通孔を有する板を設け、その上に織物部材を設ける、という簡単な方法で、織物部材に樹脂が含浸されるので、樹脂を圧送する大掛かりな設備が不要であり、複合材の製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に関連する製造方法を示す断面図である。成型治具12aは土台部31および蓋部32を備え、土台部31の表面には、凹所31aが形成されている。その凹所31aに複数の2次元織物42および3次元織物43を並べて載置し、土台部31の上から蓋部32を被せて、ボルトなどで固定する。土台部31に蓋部32を固定したときに、蓋部32の下面と、土台部31の凹所31aとの間に形成された内部空間36は、密閉される。この内部空間36は、製品となる複合材に対応する形状を成し、内部空間36に載置された2次元織物42、および3次元織物43の形状を保持する。
【0013】
土台部31には、内部空間36とレジンポット33とを連結する樹脂注入管34が設けられており、レジンポット33には、液状の熱硬化性樹脂が溜められている。このレジンポット33に、窒素ガスを送込むことによって、レジンポット33内が加圧され、液状の熱硬化型樹脂が内部空間36に向かって送出される。なお、レジンポット33内の加圧は、ピストン等の機械的作動によるものであっても良い。内部空間36に送られた樹脂は、内部空間36に配置された2次元織物42および3次元織物43に含浸する。一方、蓋部32には樹脂排出管35が設けられており、内部空間36から外部に、内部空間36に存在した空気および余分な樹脂を排出する。
【0014】
また、成型治具12aには、樹脂を加熱するためのヒータが設けられており、2次元織物42および3次元織物43に樹脂を含浸させた後、成型治具12aを介して樹脂を加熱して、硬化する。これによって、2次元織物42と3次元織物43とは一体となり、複合材が完成する。
【0015】
図2(a)は図1の2次元織物42を示す平面図であり、図2(b)はその断面図であり、図3は図1の3次元織物43を示す斜視図である。図2に示す2次元織物42は、長い繊維を2次元の互いに直交するX方向およびY方向に織込んだ織物であり、一般に、クロスと呼ばれるものである。図3に示す3次元織物53は、長い繊維を互いに直交するX方向、Y方向で形成される面内およびその面に直交するZ方向に織込んだ織物である。
【0016】
なお、図1では複数の部材として、ドライ繊維の2次元織物42および3次元織物53を用いているが、第1実施形態では、2次元織物および3次元織物のいずれかの代わりに、プリプレグまたはプリキュア部材などの他の部材を使用してもよい。
【0017】
図4は、本発明に関連する他の製造方法を示す断面図である。図4の成型治具12bは、図1の成型治具12aのうちの土台部31に相当する土台部のみで構成される。この成型治具12b上に、3次元織物43および複数のプリプレグ52を積重ねたものが並べて載置される。プリプレグ52は、図2に示した構造の2次元織物42に樹脂を含浸させて半硬化させて成る。3次元織物43およびプリプレグ52は、シリコンマンドレル24によって覆われ、さらにその上方から可撓性のバッグ25によって覆われる。バッグ25の周縁部と、成型治具12bの上面とは、シール57によって密着され、バッグ25の内部は密閉される。
【0018】
成型治具12bには、レジンポット11に接続された樹脂注入管55が設けられており、このレジンポット11から樹脂注入管55を介して成型治具12bに樹脂が送られ、3次元織物43に樹脂が含浸する。このとき、樹脂の注入圧力はオートクレーブ内圧よりも低くする。なお、レジンポット11内の加圧は、ピストン等の機械的作動によるものでも良い。
【0019】
また、成型治具12bには、樹脂排出管56も設けられており、3次元織物43内に存在した空気および余分な樹脂を排出する。樹脂の注入後の成型治具12bは、オートクレーブ58内で加熱加圧される。これによって、3次元織物43に含浸した樹脂は、硬化されて3次元織物43およびプリプレグ52を一体化させる。
【0020】
図の方法では、3次元織物43の代わりに、2次元織物を複数積重ねたものを用いてもよい。また、プリプレグ52として、複数の繊維を1方向に平行に束ねて樹脂を含浸させて半硬化されたものを用いてもよいし、3次元織物に樹脂を含浸させて半硬化させたものを用いてもよい。さらに、プリプレグ52に代わって、繊維に含浸させた樹脂を完全に硬化して成るプリキュアを用いてもよい。さらに、シリコンマンドレル24を使用しない方法も可能であり、その場合、3次元織物43およびプリプレグ52は、直接バッグ25によって覆われる。
【0021】
図5は本発明に関連するさらに他の製造方法を示す平面図であり、図6(a)および図6(b)はドライ繊維に樹脂を含浸させる工程を示す断面図である。図5の成型治具12eは、図4の成型治具12bと同様に、図1の成型治具12aのうちの土台部31に相当する土台部のみで構成される。この成型治具12e上に、3次元織物43および複数のプリプレグ52を積重ねたものが並べて載置される。プリプレグ52は、2次元織物に樹脂を含浸させて半硬化させて成る。この3次元織物43およびプリプレグ52は、可撓性のバッグ53によって覆われる。バッグ53の周縁部と、成型治具12eの上面とは、シール57によって密着される。
【0022】
成型治具12eの上面のうち、3次元織物43とシール57との間の領域に予め窪み71を設けておき、バッグ53で覆う前に窪み71に樹脂を溜めておく。これによってバッグ53は、3次元織物43とプリプレグ52とともに窪み71の口を覆う。この状態でバッグ53内を脱気することによって、バッグ53は内側に引寄せられて、3次元織物43とプリプレグ52とに密着するとともに、窪み71内の樹脂を押圧する。バッグ53によって押圧された樹脂は、窪み71から押出されて3次元織物43に含浸する。このとき、含浸した樹脂は、プリプレグ52に接触する。
【0023】
バッグ53内を脱気した後に、成型治具12eは、オートクレーブ58内で加熱加圧される。これによって、3次元織物43に含浸した樹脂は、硬化されて3次元織物43およびプリプレグ52を一体化させる。
【0024】
なお、図5および図6では、複数の部材として3次元織物43とプリプレグ52とを使用しているが、第3実施形態では、3次元織物43の代わりに2次元織物を使用してもよく、プリプレグ52の代わりに繊維に樹脂を含浸させて完全に硬化したプリキュア部材を使用してもよい。また、複数の部材を使用しているが、ドライ繊維の2次元織物または3次元織物を単独で使用しただけで、複合材を製造してもよい。
【0025】
図7は、本発明に関連するさらに他の製造方法を示す断面図である。成型治具12f上にロケータ60を置き、ロケータ60に囲まれた部分に樹脂を入れ、樹脂の上に単孔あるいは多孔板61を置き、多孔板61上に3次元織物43およびプリプレグ52を並べる。この上部全体に、周囲がシール57にて封印され、一端に真空引き用の金具が設けられたバッグ53を被せる。樹脂を含浸させる工程は、真空ポンプなどを使用してバッグ53で覆われた内部を真空引きし、3次元織物43に樹脂が浸透してゆく。
【0026】
バッグ53内を脱気した後に、成型治具12fは、オートクレーブ58内で加熱加圧される。これによって、3次元織物43に含浸した樹脂は、硬化されて3次元織物43およびプリプレグ52を一体化させる。
【0027】
なお、図7の方法においても、3次元織物43の代わりに2次元織物を使用してもよく、プリプレグ52の代わりに繊維に樹脂を含浸させて完全に硬化したプリキュア部材を使用してもよい。また、複数の部材を使用しているが、ドライ繊維の2次元織物または3次元織物を単独で使用しただけで、複合材を製造してもよい。
【0028】
さらに、上述の各製造方法において繊維として、無機系のガラス、炭素、ボロン、アルミナ、チタン酸カリウム、シリカなど、または有機系のアラミド、ビニロン、アクリルなどが使用され、樹脂としては、熱硬化性の不飽和ポリエステル、エポキシ、フェノール、シリコン、アクリルなどが使用される。
【0029】
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)成型治具内に、2次元織物または3次元織物を含む複数の部材を並べて、内部を密閉する工程と、
成型治具内に熱硬化性の樹脂を注入して、織物に樹脂を含浸させる工程と、
成型治具を加熱することによって、樹脂を硬化して織物およびそれ以外の部材を一体化させる工程と、を含むことを特徴とする複合材の製造方法。
【0030】
たとえば、ドライ繊維の2次元織物または3次元織物と、繊維に樹脂を含浸させて半硬化させて成るプリプレグと、が並べられると、成型治具に密閉された内部空間のうち、プリプレグに既に含まれている樹脂によって繊維の隙間は占有され、2次元織物の繊維の隙間は空の状態のままである。この状態の成型治具内に樹脂が注入されるので、2次元織物にのみ樹脂は含浸する。含浸した樹脂は、プリプレグに接触するので、それを硬化すれば、2次元織物とプリプレグとを一体化させることができる。
【0031】
このように、複数の部材の中にドライ繊維の2次元織物または3次元織物が含まれるので、そこに含浸して硬化される樹脂によって、各部材同士を一体化させた複合材を製造することができる。複雑な形状を有する部分には、複雑な形状を形成しやすい2次元織物を、高い強度を必要とする部分には3次元織物を、平面的形状で面内に高い強度が必要な部分には、2次元プリプレグを適用することで、2次元織物、3次元織物、2次元プリプレグの特徴を生かした一体成型部品を低コストで製造することができる。
【0032】
(2)成型治具上に、2次元織物または3次元織物を含む複数の部材を並べて、これらを可撓性のバッグで覆う工程と、
バッグ内に熱硬化性の樹脂を注入して、織物に樹脂を含浸させる工程と、
成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化して織物およびそれ以外の部材を一体化させる工程と、を含むことを特徴とする複合材の製造方法。
【0033】
たとえば、ドライ繊維の2次元織物または3次元織物と、繊維に樹脂を含浸させて半硬化させて成るプリプレグと、が並べられると、成型治具上でバッグに覆われた内部空間のうち、プリプレグに既に含まれている樹脂によって繊維の隙間は占有され、2次元織物または3次元織物の繊維の隙間は空いた状態のままである。この状態のバッグ内に樹脂が注入されるので、2次元織物または3次元織物にのみ樹脂は含浸する。含浸した樹脂は、プリプレグに接触するので、それを硬化すれば、プリプレグと2次元織物または3次元織物とを一体化させることができる。
【0034】
このように、複数の部材の中にドライ繊維の2次元織物または3次元織物が含まれるので、そこに含浸して硬化される樹脂によって、各部材同士を一体化させた複合材を製造することができる。よって、上記の密閉した成型治具を使用した方法と同様に、複雑な形状を有する部分には、複雑な形状を形成しやすい2次元織物を、高い強度を必要とする部分には3次元織物を、平面的形状で面内に高い強度が必要な部分には、2次元プリプレグを適用することで、2次元織物、3次元織物、2次元プリプレグの特徴を生かした一体成型部品を低コストで製造することができる。
【0035】
(3)成型治具上に、2次元織物または3次元織物を配置して、これを可撓性のバッグで覆う工程と、
熱硬化性の樹脂を織物に含浸させる工程と、
成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化する工程と、を含む複合材の製造方法であって、
前記樹脂を織物に含浸させる工程において、成型治具上のバッグが覆う位置に予め窪みを設けておき、その窪みに樹脂を溜めた状態でバッグ内を脱気することによって、バッグを窪みに押圧させ、窪みに溜められた樹脂を押出して織物に含浸させることを特徴とする複合材の製造方法。
【0036】
単独の2次元織物または3次元織物をバッグで覆い、バッグ内を脱気する。バッグは、脱気によって内側に引寄せられて、織物に密着するとともに、窪み内の樹脂を押圧する。バッグによって押圧された樹脂は、窪みから押出されて織物に含浸し、オートクレーブ内で加熱加圧されて硬化され、織物とともに複合材となる。
【0037】
このように、成型治具に窪みを設けて、その窪みに樹脂を溜めておくという簡単な方法で、2次元織物または3次元織物に樹脂が含浸されるので、樹脂を圧送する大掛かりな設備が不要であり、複合材の製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0038】
(4)成型治具上に、2次元織物または3次元織物を含む複数の部材を並べて、これらを可撓性のバッグで覆う工程と、
熱硬化性の樹脂を織物に含浸させる工程と、
成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化して織物およびそれ以外の部材を一体化させる工程と、を含む複合材の製造方法であって、
前記樹脂を織物に含浸させる工程において、成型治具上のバッグが覆う位置に予め窪みを設けておき、その窪みに樹脂を溜めた状態でバッグ内を脱気することによって、バッグを窪みに押圧させ、窪みに溜められた樹脂を押出して織物に含浸させることを特徴とする複合材の製造方法。
【0039】
2次元織物または3次元織物を含む複数の部材をバッグで覆い、バッグ内を脱気する。バッグは、脱気によって内側に引寄せられて、部材に密着するとともに、窪み内の樹脂を押圧する。バッグによって押圧された樹脂は、窪みから押出されて部材のうちの織物に含浸する。このとき、含浸した樹脂は、織物以外の部材に接触するので、オートクレーブ内で加熱加圧されるときに、織物とその織物以外の部材とを一体化させる。
【0040】
このように、上記の単独の織物に樹脂を含浸させる場合と同様に、成型治具に窪みを設けて、その窪みに樹脂を溜めておくという簡単な方法で、2次元織物または3次元織物に樹脂が含浸されるので、樹脂を圧送する大掛かりな設備が不要であり、複合材の製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0041】
(5)成型治具上に熱硬化性の樹脂を溜める工程と、
貫通孔を有する板を樹脂上に浮かべる工程と、
2次元織物または3次元織物を含む複数の部材を板上に並べる工程と、
複数の部材を可撓性のバッグで覆う工程と、
バッグ内を脱気することで、樹脂を貫通孔から織物に含浸させる工程と、
成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化して織物およびそれ以外の部材を一体化させる工程と、を含むことを特徴とする複合材の製造方法。
【0042】
バッグ内を脱気することによって、複数の部材が下方に押圧され、さらに板が樹脂の方に押圧されて樹脂中に押し沈められ、貫通孔から樹脂を織物に含浸させることができる。このように、簡単な方法で、2次元織物または3次元織物に樹脂が含浸されるので、樹脂を圧送する大掛かりな設備が不要であり、複合材の製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0043】
(6)前記複数の部材は、繊維に樹脂を含浸させて半硬化させたプリプレグを含むことを特徴とする複合材の製造方法。
【0044】
比較的汎用的な材料であるプリプレグを使用するので、さらに汎用的な複合材の製造方法を実現することができる。
【0045】
(7)前記複数の部材は、繊維に樹脂を含浸させて硬化させたプリキュア部材を含むことを特徴とする複合材の製造方法。
【0046】
樹脂が完全に硬化されたプリキュア部材を使用するので、単独で製品となる資源を利用でき、さらに汎用的な複合材の製造方法を実現して、製造コストを低減することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、成型治具に窪みを設けて、その窪みに樹脂を溜めておくという簡単な方法によって、複合材の製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【0048】
また、成型治具上の樹脂、貫通孔を有する板、織物部材を可撓性のバッグで覆って、バッグ内を脱気するという簡単な方法によって、複合材の製造工程を大幅に簡略化することができ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関連する製造方法を示す断面図である。
【図2】図2(a)は図1の2次元織物42を示す平面図であり、図2(b)はその断面図である。
【図3】図1の3次元織物43を示す斜視図である。
【図4】本発明に関連する他の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明に関連するさらに他の製造方法を示す平面図である。
【図6】ドライ繊維に樹脂を含浸させる様子を示す断面図である。
【図7】本発明に関連するさらに他の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
11,33 レジンポット
12a,12b,12e,12f 成型治具
24 シリコンマンドレル
25 バッグ
31 土台部
32 蓋部
36 内部空間
42 2次元織物
43 3次元織物
52 プリプレグ
58 オートクレーブ
71 窪み

Claims (2)

  1. 成型治具上に、2次元織物または3次元織物である織物部材を配置して、これを可撓性のバッグで覆う工程と、
    熱硬化性の樹脂を織物部材に含浸させる工程と、
    成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化する工程と、を含む複合材の製造方法であって、
    前記樹脂を織物に含浸させる工程において、成型治具のバッグが覆う位置に予め窪みを設けておき、その窪みに樹脂を溜めた状態でバッグ内を脱気することによって、バッグを窪みに押圧させ、窪みに溜められた樹脂を押出して織物部材に含浸させることを特徴とする複合材の製造方法。
  2. 成型治具上に熱硬化性の樹脂を溜める工程と、
    貫通孔を有する板を樹脂上に浮かべる工程と、
    2次元織物または3次元織物である織物部材を板上に設ける工程と、
    織物部材を可撓性のバッグで覆う工程と、
    バッグ内を脱気することで、樹脂を貫通孔から織物部材に含浸させる工程と、
    成型治具をオートクレーブ内で加熱加圧することによって、樹脂を硬化する工程と、を含むことを特徴とする複合材の製造方法。
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