JP2018175570A - 袋状構造体、カフ及び血圧計 - Google Patents

袋状構造体、カフ及び血圧計 Download PDF

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和義 西川
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修平 小代
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Abstract

【課題】柔軟性に優れ、高いクリープ耐性を有している袋状構造体を提供する。【解決手段】本発明は、内壁部221と、前記内壁部221と向き合った外壁部222とを備え、前記内壁部221及び前記外壁部222の少なくとも一方は、Shore A硬度が10乃至75の範囲内にあり且つ引張破断伸び率が1000%以上であるシリコーン樹脂からなるシートを含んだ袋状構造体22を提供する。また、本発明は、この袋状構造体22を含んだ血圧計用カフ及び血圧計も提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、袋状構造体、カフ及び血圧計に関する。
血圧の測定では、例えば、上腕や手首などにカフを巻きつけ、このカフが含んでいる袋状構造体を膨張させ、その後、袋状構造体の内圧を減少させる。そして、この内圧を減少させる過程で生じる脈波やコロトコフ音の変化に基づいて、最高血圧や最低血圧を決定する。
近年、血圧計の携帯性やユーザビリティを高めるために、血圧計の小型化が望まれている。それに伴い、血圧計のカフに用いられる袋状構造体の狭幅化が求められている。しかしながら、袋状構造体を狭幅化すると、血管圧迫面積が減少するため、脈波計測値のバラつきが大きくなり易いという問題があった。
特許文献1には、カフが1つ又は2つの流体袋を含んだ血圧計が記載されている。このカフが含んでいる流体袋は、カフを手首などの被測定部位に装着した場合に、この被測定部位の外周面のうち、動脈側の半面に対応した位置に第1流体袋領域を形成するとともに、その反対側の半面に対応した位置に第2流体袋領域を形成する。そして、このカフが含んでいる流体袋には、カフを手首などの被測定部位に装着し、流体袋に流体を供給した場合に、第2流体袋領域が第1流体袋領域よりも大きなストローク量で膨張する構成を採用する。
例えば、特許文献1には、流体袋のうち第2流体袋領域を形成する部分に、以下の構成を採用してもよいことが記載されている。即ち、この部分において袋状構造を形成するシートのうち、袋状構造の側部に対応した一対の第1シート部の硬度を、それら第1シート部の被測定部位から遠い側の端と端とをつなぐ第2シート部の硬度よりも小さくする。例えば、第1シート部の材料として硬度50度のシリコーン樹脂を使用し、第2シート部の材料として硬度80度のポリウレタン樹脂を使用する。
このような構成の袋状構造体を膨張させた場合、長掌屈腱と橈骨との間や浅指屈腱と尺骨との間への動脈の移動が抑制され、動脈を押しつぶすための余計な加圧量が不要となる。そのため、血圧の測定値を真の値に近づけることが可能となる。
特開2017‐6488号公報
柔軟な材料で袋状構造体を構成した場合、その繰り返しの膨張によるクリープ変形が生じ易い。特に、袋状構造体のうち血圧計の基材や生体面などが当接しない部分では、袋状構造体を膨張させた際に過剰膨張になり、他の部分よりもクリープ変形量が大きくなり易い。また、シート同士の接着部分では、クリープ変形によるクリープ破壊が生じ易い。このようなクリープ変形による袋状構造体のたるみや破れが生じると、精度の高い測定を行うことは困難となる。
本発明は、柔軟性に優れ、高いクリープ耐性を有している袋状構造体を提供することを目的とする。
本発明の第1側面によると、内壁部と、前記内壁部と向き合った外壁部とを備え、前記内壁部及び前記外壁部の少なくとも一方は、Shore A硬度が10乃至75の範囲内にあり且つ引張破断伸び率が1000%以上であるシリコーン樹脂からなるシートを含んだ袋状構造体が提供される。
ここで、引張破断伸び率は、JIS K6251:2010(「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム‐引張特性の求め方)において規定された、引張試験をダンベル状3号形試験片について行なって得られる切断時伸びである。また、Shore A硬度は、JIS K6253−3:2012(「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」)において規定された、タイプAデュロメータ硬さ試験によって得られるデュロメータ硬さである。
本発明の第2側面によると、前記シートの厚さは0.10mm乃至0.60mmの範囲内にある第1側面に係る袋状構造体が提供される。
本発明の第3側面によると、前記シリコーン樹脂はShore A硬度が15乃至70の範囲内にある第1又は第2側面に係る袋状構造体が提供される。
本発明の第4側面によると、第1乃至3側面の何れかに係る袋状構造体を、装着した場合に、前記シートの少なくとも一部が前記生体側に位置するように含んだカフが提供される。
本発明の第5側面によると、第4側面に係るカフを備えた血圧計が提供される。
第1側面によれば、袋状構造体は、内壁部と、この内壁部と向き合った外壁部とを備え、内壁部及び外壁部の少なくとも一方は、Shore A硬度が10乃至75の範囲内にあり且つ引張破断伸び率が1000%以上であるシリコーン樹脂からなるシートを含んでいる。そのようなシートは、柔軟であるにも拘らず、高いクリープ耐性を有している。従って、第1側面によると、高いクリープ耐性と優れた柔軟性との両立が可能である。
第2側面によれば、シートの厚さは0.10mm乃至0.60mmの範囲内にあるため、破れ等のリスクが小さく、また、例えば、袋状構造体をカフに使用した場合には、特に優れた動脈閉塞特性が得られる。
第3側面によれば、シリコーン樹脂はShore A硬度が15乃至70の範囲内にあるため、特に優れたクリープ耐性を達成できる。
第4側面によれば、第1乃至第3側面の何れかに係る袋状構造体を装着した場合に、シートの少なくとも一部が前記生体側に位置するように含んだ血圧計用カフにおいて使用するため、高いクリープ耐性と優れた動脈閉塞特性との両立が可能である。
第5側面によれば、第4側面に係るカフを血圧計において使用するため、高い耐久性を達成できるのに加え、高い精度で血圧値を測定することが可能である。
本発明の一実施形態に係る血圧計を概略的に示す斜視図。 図1に示す血圧計が含んでいる袋状構造体を概略的に示す断面図。 図1に示す血圧計が含んでいる袋状構造体を概略的に示す破断斜視図。 図1に示す血圧計が含んでいるカフを生体に装着させた状態を概略的に示す断面図。 カフが含んでいる袋状構造体を膨張させたこと以外は図4と同様の状態を概略的に示す断面図。 繰返し使用に伴うクリープ変形の一例を示すグラフ。 クリープ変形に起因して袋状構造体の接合部において生じ得る破壊の一例を概略的に示す斜視図。 本発明の一実施形態に係る袋状構造体を形成するシートの構造を概略的に示す拡大図。 比較例に係るシートの構造を概略的に示す拡大図。 本発明の一実施形態に係る袋状構造体に使用可能なシート及び比較例に係る袋状構造体に使用可能なシートの応力歪線図。 図2及び図3に示す袋状構造体の一変形例を概略的に示す断面図。 図11に示す袋状構造体を概略的に示す破断斜視図。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同様又は類似した機能を有する要素については、同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
<血圧計>
図1は、本発明の一実施形態に係る血圧計を概略的に示す斜視図である。図2は、図1の血圧計が含んでいるカフを概略的に示す断面図である。
図1に示す血圧計1は、生体に、具体的には手首に装着する電子血圧計である。血圧計1は、生体の他の部位に装着するものであってもよい。
この血圧計1は、装置本体11と、カフ20とを含んでいる。
装置本体11は、ケース111と、表示部112と、操作部113と、図示しない流路と、ポンプ114と、弁115と、圧力センサ116と、電力供給部117と、制御部118とを含んでいる。
ケース111は、表示部112及び操作部113のための開口を上部に有している。ケース111は、ここでは、後で詳述するカフ12の基材121と一体の部品である。ケース111は、基材121とは別々の部品であってもよい。
表示部112は、ケース111内であって、その上部に設けた開口の位置で画像を表示するように設置されている。表示部112は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。表示部112は、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を含む各種情報を表示する。
操作部113は、使用者が、測定の開始/停止、電源のON/OFF、機能選択、及び各種設定などを行うための釦を有している。操作部113は、これら釦が上記の開口の位置でケース111の外部空間に露出するように、ケース111内に設置されている。操作部113は、釦を介して入力された指令又は情報に対応した電気信号を出力する。なお、表示部112にタッチパネル式のディスプレイを使用した場合には、これを操作部として利用してもよい。
流路は、ケース111内に設置されている。流路は、一例によれば、四方に分岐した構造を有しており、4つの開口を有している。これら開口の1つは、カフ20が含んでいる袋状構造体22の吸排気口に接続されている。
ポンプ114は、ケース111内に設置されている。ポンプ114の排気口は、流路が含んでいる開口の他の1つに接続されている。ポンプ114は、例えば、ローリングポンプである。ポンプ114は、その排気口から圧縮空気を排出する。
弁115は、ケース111内に設置されている。弁115は、流路が含んでいる開口の更に他の1つに接続されている。弁115は、電力を利用して動作を制御可能な弁、例えば電磁弁である。弁115は、これが取り付けられている開口を開閉する。
圧力センサ116は、ケース111内に設置されている。圧力センサ116は、流路が含んでいる開口の残りの1つに接続されている。圧力センサ116は、例えば、ピエゾ抵抗型の圧力センサである。圧力センサ116は、流路内の圧力を検知して、この圧力に対応した電気信号を出力する。
電力供給部117は、ケース111内に設置されている。電力供給部117はバッテリ、例えば、リチウムイオン二次電池を含んでいる。電力供給部117は、制御部118に電気的に接続されている。電力供給部117は、制御部118へ電力を供給する。
制御部118は、ケース111内に設置されている。制御部118は、表示部112、操作部113、ポンプ114、弁115、及び圧力センサ116に電気的に接続されている。
制御部118は、例えば、プロセッサ(CPU)と、一次記憶装置(RAM)と、二次記憶装置(ROM等)とを含んでいる。二次記憶装置は、例えば、プロセッサが解釈及び実行するプログラムを記憶している。一次記憶装置は、例えば、二次記憶装置が記憶しているプログラムやプロセッサが演算処理によって生成したデータ等を一次記憶する。プロセッサは、一次記憶装置が記憶しているプログラムを解釈及び実行する。即ち、制御部118は、二次記憶装置が記憶しているプログラムを実行する際、これを一次記憶装置へ展開する。次いで、制御部118は、プロセッサにプログラムを解釈及び実行させ、これにより、以下の処理を実行する。
即ち、制御部118は、表示部112、操作部113、ポンプ114、弁115、及び圧力センサ116に電力を供給する。また、制御部118は、操作部113及び圧力センサ116が出力する電気信号に基づいて、表示部112、ポンプ114、及び弁115の動作を制御する。
例えば、制御部118は、測定開始に対応した電気信号が操作部113から供給されると、弁115が閉じ、続いて、ポンプ114が駆動を開始するように、それらの動作を制御する。次いで、制御部118は、圧力センサ116が出力する電気信号に基づいて、ポンプ114の動作を停止させるタイミングを判断し、このタイミングでポンプが動作を停止し、次いで、弁115が徐々に開くように、それらの動作を制御する。その後、制御部118は、圧力センサ116が出力する電気信号から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を表示部112へ出力する。
カフ20は、装置本体11と一体化されている。カフ20は、図2に示すように基材21と、図示しない留め具と、袋状構造体22と、接合層23とを含んでいる。なお、カフ20は、装置本体11と別体であってもよい。
基材21は、帯形状を有している低伸縮性の部材である。基材21は、例えば、樹脂からなる。基材21は、図2に示すように袋状構造体22を支持するとともに、図1から分かるように、カフ20を生体に対して巻きつけ可能とする。また、基材21は、袋状構造体22を膨張させたときに、生体側への膨張を妨げることなしに、生体と反対側への膨張を抑制する。
基材21は、ここでは、その一端においてケース111と一体化されており、他端が留め具等に接合されている。上記の通り、ケース111と基材121とは別々の部品であってもよい。また、基材21は、カフ20の生体への装着を容易にするべく、カフ20を装着する部位の形状に沿って湾曲した形状に賦形されていてもよい。
留め具は、基材21の上記他端をケース111に対して固定可能とする。留め具は、例えば、一端が基材21の上記他端に支持され、他端がケース111に支持された三折れバックルである。
袋状構造体22は、基材21によって支持されている。上記の通り、袋状構造体22は吸排気口を有しており、この吸排気口は、装置本体11が含んでいる流路の開口の1つに接続されている。なお、袋状構造体22は、吸排気口の代わりに、吸気口と排気口とを有していてもよい。
カフ20を生体に装着させ且つ弁115を閉じた状態でポンプ114を駆動すると、袋状構造体22は膨張し、その結果、カフ20は生体の動脈を閉塞させる。次いで、ポンプ114の駆動を停止し、弁115を開くと、袋状構造体22は収縮し、その結果、カフ20が生体に加える圧力が弱まり、血流が再開する。袋状構造体22の詳細については後述する。
接合層23は、基材21の主面のうち、カフ20を生体へ装着させた場合に生体と向き合う面に支持されている。接合層23は、基材21と袋状構造体22とを接合している。接合層23は、例えば、接着剤層又は両面粘着テープである。
<袋状構造体>
次に、袋状構造体22について、図2及び図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は、図2のカフが含んでいる袋状構造体の破断斜視図である。
図3に示すように、袋状構造体22は、内壁部221と、外壁部222と、接続チューブ228とを備えている。袋状構造体22は、接続チューブ228を間に挟んで内壁部221及び外壁部222の周縁部を接合することで構成される。
内壁部221は、袋状構造体22のうち、カフ20を生体へ装着させた場合に生体側に位置する部分である。また、外壁部222は、袋状構造体22のうち、カフ20を生体へ装着させた場合に生体側とは反対側に位置する部分である。内壁部221は、カフ20を生体へ装着させた場合に、生体側に位置する部分であり、生体と接触してもよく、他の部材を介して生体と接触してもよい。
内壁部221及び外壁部222は、矩形状であり、互いに向き合っている。内壁部221及び外壁部222の長さ方向は、図1及び図2に示す基材21の長さ方向と同一である。なお、内壁部221及び外壁部222の長さ方向は、基材21の長さ方向と異なっていてもよい。但し、内壁部221及び外壁部222の長さ方向と、基材21の長さ方向とが同一であるカフ20を用いた場合、内壁部221及び外壁部222の長さ方向と、基材21の長さ方向とが異なるカフ20を用いた場合と比較して、生体への押圧がより均一になり、血圧値の計測精度をより高めることができる。
上記の通り、内壁部221及び外壁部222は、周縁部が互いに接合されている。また、図2に示すように、外壁部222は、接合層23を介して基材21に接合されている。なお、内壁部221及び外壁部222を構成するシートについては、後で説明する。
図2及び図3に示す内壁部221及び外壁部222の接合は、例えば、分子接着剤によって行うことができる。分子接着剤によって接合した場合、繰返しの使用による剥がれなどに対する耐久性を更に高めることができる。
内壁部221と外壁部222とを接合する接着幅22a(図2)は、小さいことが好ましい。例えば、袋状構造体22を超狭幅化したカフ20に用いる場合には、接着幅22aは、0.3mm乃至2.5mmの範囲内にあることが好ましく、0.5mm乃至1.5mmの範囲内にあることがより好ましい。接着幅22aが小さすぎる場合、接合時の位置決めが困難となり、接着バラつきが大きくなる虞がある。接着幅22aが大きすぎる場合、生体圧迫面積の大きさが不十分となり、計測精度が低下する虞がある。
接続チューブ228は、内壁部221と外壁部222との間であって、それらの長手方向の一端において固定されている。接続チューブ228は、図1に示す装置本体11の流路を通る流体が、内壁部221及び外壁部222により構成される内部空間、即ち袋状構造体22の内部空間に入ることができるように、袋状構造体22及び流路に接続されている。
袋状構造体22は、Shore A硬度が10乃至75の範囲内にあり且つ引張破断伸び率が1000%以上であるシリコーン樹脂シートを備えている。ここでは、内壁部221及び外壁部222の少なくとも一部は、上記のシリコーン樹脂シートからなる。後述するように、このようなシリコーン樹脂シートを備えた袋状構造体22は、高いクリープ耐性と優れた柔軟性とを達成し得る。
シリコーン樹脂シートの引張破断伸び率は、1200%以上であることがより好ましい。シリコーン樹脂シートの引張破断伸び率の上限値は特に制限されないが、後述するシリコーン樹脂シートの作成方法によれば、シリコーン樹脂シートの引張破断伸び率の上限値は、例えば、4000%である。シリコーン樹脂シートの引張破断伸び率が小さすぎる場合、クリープ耐性が低くなり、繰返し膨張収縮によってクリープ変形に伴う破壊が発生する虞がある。この場合、クリープ変形に伴う破壊は、特に、袋状構造体の膨張伸びの大きな接合部近傍で起こり易くなる。
また、シートのShore A硬度は、15乃至70の範囲内にあることがより好ましい。シリコーン樹脂シートのShore A硬度が小さすぎる場合、シリコーン樹脂シート同士の接着が困難となり、袋状構造体を作成することができなくなる虞がある。これは、シリコーン樹脂シートの柔軟性が大きすぎると、例えば、シリコーン樹脂シート同士の接着に分子接着剤を使用した場合に、接着面に接着圧がかかりにくくなることに起因する。シリコーン樹脂シートのShore A硬度が大きすぎる場合、シリコーン樹脂中の架橋点の数が多くなることで架橋点間の分子量が小さくなり、その結果、引張破断伸び率が1000%以上であるシリコーン樹脂シートを作成することが困難となる可能性がある。
シリコーン樹脂シートの厚さは、0.10mm乃至0.60mmの範囲内にあることが好ましく、0.15mm乃至0.30mmの範囲内にあることがより好ましい。シリコーン樹脂シートの厚さが小さすぎる場合、シリコーン樹脂シートの強度が不足し、袋状構造体22の異常膨れを生じやすくなる虞がある。この場合、生体圧迫圧力の損失が発生し、計測精度が悪化する可能性がある。シリコーン樹脂シートの厚さが大きすぎる場合、シリコーン樹脂シートの生体側形状への密着性が低下し、血圧計測時の血管圧迫特性が阻害され、計測精度が悪化する虞がある。
シリコーン樹脂シートは、袋状構造体22を生体に装着した場合に、シリコーン樹脂シートの少なくとも一部が生体側に位置するように設けられることが好ましい。ここでは、一例として、内壁部221及び外壁部222は、上述した条件を満たすシリコーン樹脂シートであるとする。
上記のシリコーン樹脂シートは、オルガノポリシロキサンとフィラーとを含んだシリコーン樹脂組成物からなる。以下に、これら成分について説明する。
[オルガノポリシロキサン]
オルガノポリシロキサンとしては、反応性官能基を含むものを使用する。このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、オルガノポリシロキサンの側鎖又は末端部に、アルケニル基、アミン基、エポキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、及びハイドロジェン基などの反応性の官能基を導入したものを使用することができる。反応性の官能基を含むオルガノポリシロキサンとしては、これらのうち1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を使用してもよい。
オルガノポリシロキサンとしては、オルガノポリシロキサンの側鎖にアルケニル基を導入したものが好ましい。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、及びブテニル基が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基が好ましい。
ビニル基を含むオルガノポリシロキサンを使用する場合、オルガノポリシロキサンの構成モノマー単位を100%としたときのビニル基のモル比が0.03%乃至5%の範囲内にあるものを使用することが好ましく、0.05%乃至1%の範囲内にあるものを使用することがより好ましい。ビニル基のモル比は、引張破断伸び率及びShore A硬度に影響を及ぼす。例えば、ビニル基のモル比を大きくすると、オルガノポリシロキサンの架橋密度が高くなるため、引張破断伸び率は低くなり、Shore A硬度は大きくなる。上述した範囲内にあるモル比でビニル基を含むオルガノポリシロキサンを使用することは、引張破断伸び率及びShore A硬度が上記範囲内にあるシリコーン樹脂シートを得るうえで有利である。
シリコーン樹脂シートのShore A硬度及び引張破断伸び率などの機械物性を調整するために、反応性の官能基を含むオルガノポリシロキサンには、非反応性の官能基も合わせて導入してもよい。非反応性の官能基としては、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基、長鎖アルキル基、ポリエーテル基、脂肪酸エステル基、及び脂肪酸アミド基が挙げられる。非反応性の官能基を含むオルガノポリシロキサンとしては、これらのうちの1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を使用してもよい。
[フィラー]
シリコーン樹脂組成物に含まれるフィラーとしては、シリカ粒子が好ましい。なお、フィラーとしてシリカ粒子を使用した場合、他の無機粒子を更に含んでいてもよい。
シリカ粒子としては、公知のものを用いることができる。シリカ粒子は、湿式法で得られるもの及び乾式法で得られるものの何れであってもよく、特に制限されない。
シリカ粒子の平均粒子径は、0.01μm乃至3μmの範囲内にあることが好ましく、0.1μm乃至1μmの範囲内にあることがより好ましい。ここで、平均粒子径とは、動的散乱法によって得られる平均粒子径である。平均粒子径が上記の範囲内にあるシリカ粒子は、シリコーン樹脂組成物中で高い分散性を示す。
シリカ粒子の量は、オルガノポリシロキサン100質量部に対して10乃至30質量部の範囲内にあることが好ましく、15乃至25質量部の範囲内にあることがより好ましい。シリカ粒子の量が上記の範囲内にあるシリコーン樹脂組成物を使用することは、Shore A硬度及び引張破断伸び率が上記範囲内にあるシリコーン樹脂シートを得るうえで有利である。
シリカ粒子としては、オルガノポリシロキサンの反応性官能基に対する反応性を有するシランカップ剤により表面改質されたものを使用することが好ましい。シリカ粒子をシランカップリング剤で表面改質すると、シリカ粒子表面のオルガノポリシロキサンとの親和性及び反応性を高めることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、アルコキシシラン化合物、クロロシラン化合物、アシロキシシラン化合物、シラノール化合物、及びシラザン類が挙げられる。シランカップリング剤としては、これらのうちの1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を使用してもよい。シランカップリング剤としては、アルコシキシラン化合物、具体的には、ビニルトリメトキシシラン又はビニルエトキシシランを使用することが好ましい。
シランカップリング剤の量は、シリカ粒子100質量部に対して10乃至80質量部の範囲内にあることが好ましく、15乃至35質量部の範囲内にあることがより好ましい。
シリカ粒子の表面改質処理は、60℃乃至90℃の範囲内にある温度のもとで0.5乃至2時間行うことが好ましい。
[シリコーン樹脂シートの作成]
シリコーン樹脂シートは、例えば、上述したオルガノポリシロキサンとシリカ粒子とを混練する工程と、その混練物を加熱により硬化させる工程とを含む方法により作成する。なお、シリコーン樹脂シートの作成方法の一例は、特開2013−227474号公報に記載されている。また、シリコーン樹脂組成物は、上述した物質に加えて、硬化触媒、顔料、染料、分散剤、酸化防止剤、難燃剤、及び帯電防止剤などの添加剤を更に含んでいてもよい。
硬化触媒としては、公知のものを使用することができ、例えば、アルキル系過酸化物又はアシル系過酸化物を使用することができる。硬化触媒は、成型方法に応じて適宜選択することが好ましい。具体的には、シリコーン樹脂シートをプレス成型によって作成する場合は、アルキル系過酸化物を使用することが好ましい。また、シリコーン樹脂シートを、押し出し成型によって作成する場合は、アシル系過酸化物を使用することが好ましい。
硬化触媒としてアルキル系過酸化物を使用する場合、アシル系過酸化物を使用する場合と比較して副生成物を少なくすることができる。このような硬化触媒を含むシリコーン樹脂シートは、皮膚感作性及び生体毒性がなく、生体適合性が高いシートであるため、カフ20が含む袋状構造体22の部材として好ましい。
アルキル系過酸化物としては、例えば、クミル−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド又はベンゾイルパーオキサイドを使用することができる。
アルキル系過酸化物の量は、オルガノポリシロキサンとシリカ粒子との合計100質量部に対して0.05乃至10質量部の範囲内にあることが好ましく、0.5乃至3質量部の範囲内にあることがより好ましい。
混練は、公知の混練装置を使用して行うことができる。混練装置としては、例えば、2本ロール及びニーダーを使用することができる。
混練によって得られる混練物は、例えば、プレス成型金型に流し込み、加熱により一次硬化させる。一次硬化は、例えば、140℃乃至180℃の温度で6乃至10分間にわたる加熱を行うことにより生じさせる。
次いで、加熱温度を更に上げて二次硬化を行う。二次硬化は、例えば、200℃で4時間の加熱により行う。
このようにして得られるシリコーン樹脂シートは、架橋密度が小さく、Shore A硬度が上記範囲内にある。即ち、このようにして得られるシリコーン樹脂シートは、比較的柔軟なシートである。そのため、このようなシリコーン樹脂シートを袋状構造体22に使用することで、生体面に対する優れた圧迫特性を実現することが可能となる。
また、このようにして得られるシリコーン樹脂シートでは、オルガノポリシロキサンが架橋しているのに加え、シリカ粒子とオルガノポリシロキサンとが結合している。それ故、このシリコーン樹脂シートは、高い張力を加えた場合に材料自体の破断を生じ難く、また、張力を繰り返し加えたとしてもクリープ変形を生じ難い。
袋状構造体22は、例えば、上述した方法によって準備したシリコーン樹脂シートを所定の形状の複数のシート部材へとサイジングし、分子接着や両面テープなどでシート部材を接着することで作成する。
<血圧値の測定>
次に、血圧計1を使用した血圧値の測定について、図1、図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、図1に示す血圧計が含んでいるカフを生体に装着させた状態を概略的に示す断面図である。図5は、カフが含んでいる袋状構造体を膨張させたこと以外は図4と同様の状態を示す断面図である。なお、以下の説明では、被験者自身が全ての操作を行うこととする。
血圧値の測定に際して、被験者は、生体にカフ20を装着する。ここでは、被験者は、図4に示すように、手首30にカフ20を装着する。次に、被験者は、図1に示す操作部113を操作して、血圧値の測定開始に対応した指令の入力を行う。
この指令を入力すると、操作部113は、測定開始に対応した電気信号を制御部118へ出力する。この信号が供給された制御部118は、弁115が閉じ、ポンプ114が駆動を開始するように、それらの動作を制御する。これにより、袋状構造体22は膨張を開始する。
圧力センサ116は、袋状構造体22の内部空間の圧力を検知し、この圧力に対応した電気信号を制御部118へ出力する。制御部118は、この電気信号に基づいて、袋状構造体22の内部空間の圧力が血圧測定のための所定のレベルに達しているか否かを判断する。そして、制御部118は、この圧力が先のレベルに達したときにポンプ114が駆動を停止するように、その動作を制御する。なお、ポンプ114が駆動を停止した直後では、図5に示すように、袋状構造体22は十分に膨張しており、カフ20は、手首30の位置で動脈31を閉塞する。
その後、制御部118は、弁115が徐々に開くように、その動作を制御する。弁115が開くと、袋状構造体22の内部の空気は排気され、その内部空間の圧力は低下する。この減圧の過程において、動脈31における血液32の流れが再開する。制御部118は、この過程で圧力センサ116が出力する電気信号等から、最高血圧及び最低血圧などの血圧値や心拍数などの測定結果を求め、この測定結果に対応した画像信号を、図1に示す表示部112へ出力する。
表示部112は、先の画像信号を受信すると、当該測定結果を画面に表示する。被験者は、表示部112を視認することで、当該測定結果を確認する。なお、被験者は、測定終了後、留め具を外して手首30から血圧計1を取り外す。
<効果>
上記の血圧計1が含んでいる袋状構造体22は、柔軟性に優れ、高いクリープ耐性を有している。それ故、この血圧計1は、耐久性に優れ、高い精度で血圧値を測定することが可能である。これについて、以下に説明する。
カフを狭幅化させると、血管圧迫面積が減少し、血圧値を高い精度で測定できなくなる可能性がある。袋状構造体を柔軟な材料で構成すると、生体形状への追従性が高まり、カフを狭幅化させた場合であっても、血圧値を高い精度で測定することができる。
しかしながら、本発明者らは、そのような柔軟な材料、例えば、Shore A硬度が10乃至75の範囲内にある材料で袋状構造体を構成すると、図6に示すように、繰り返しの使用に伴ってクリープ変形量が増加することを見出している。
図6は、繰返し使用に伴うクリープ変形の一例を示すグラフである。図6に示すデータは、柔軟なシリコーン樹脂シートから試験片を切り出し、この試験片にその両端を把持して引張荷重を繰り返し加え、この引張荷重(荷重)と、引張荷重を一度も加えていない初期の長さを基準とした試験片の伸び(変位量)とを記録することによって得られたものである。図6のグラフにおいて、縦軸は荷重(N)であり、横軸は変位量(mm)である。また、実線は、初めて引張荷重を加えたときに得られたデータであり、一点鎖線は、引張荷重を加えた回数が1000回目のときに得られたデータであり、破線は、引張荷重を加えた回数が30000回目のときに得られたデータである。
図6に示すとおり、シリコーン樹脂シートは、張力を繰り返し加えると、通常、クリープ変形を生じる。それ故、そのようなシリコーン樹脂シートで袋状構造体を構成すると、袋状構造体の使用を繰り返すのに伴い、シリコーン樹脂シートのクリープ変形量が増加する。シリコーン樹脂シートが大きくクリープ変形すると、血管圧迫面積などが変化し、血圧計測を高い精度で行うことが困難となる可能性がある。
また、シート同士の接着部位においては、膨張圧力が集中し易い。そのため、図7に示すような接着部分の破壊が発生する虞がある。
図7は、クリープ変形に起因して袋状構造体の接着部分において生じ得る破壊の一例を概略的に示す斜視図である。図7に示すシート部材40aとシート部材40bとは、接合領域41の位置で接合され、袋状構造体を構成していたものである。図7には、この袋状構造体を繰返し膨張収縮させることにより破壊された接合部を、具体的には、接合領域41の位置で生じたシート部材40aとシート部材40bとの剥離を描いている。
図7に示すような破壊が生じると、袋状構造体が空気漏れを起こし、正常な血圧計測が困難となる。
これについて鋭意検討した結果、本発明者らは、Shore A硬度及び引張破断伸び率が上記範囲内にあるシリコーン樹脂シートを袋状構造体に使用することで、優れた柔軟性と高いクリープ耐性との両立が可能となることを見出した。
本発明者らは、Shore A硬度及び引張破断伸び率が上記範囲内にあるシリコーン樹脂シートを使用した場合に優れた柔軟性と高いクリープ耐性との両立が可能となる理由は、以下の通りであると考えている。
図8は、本発明の一実施形態に係る袋状構造体を形成するシートの構造を概略的に示す拡大図である。図9は、比較例に係るシートの構造を概略的に示す拡大図である。
Shore A硬度及び引張破断伸び率が上記範囲内にあるシリコーン樹脂シートでは、図8に示すように、オルガノポリシロキサン50は架橋密度が小さな架橋構造を形成している。この小さな架橋密度が、シートの柔軟性に寄与している。
また、このシリコーン樹脂シートでは、オルガノポリシロキサン50の架橋構造にシリカ粒子51が組み込まれている。即ち、オルガノポリシロキサン50とシリカ粒子51とが結合している。この結合は、シリコーン樹脂シートへの張力の印加とその解放とを繰り返すことに伴う、オルガノポリシロキサン50が形成している架橋構造とシリカ粒子51との相対的な位置のずれを抑制する。また、通常、各シリカ粒子51には複数のオルガノポリシロキサン50が結合しているので、上記の結合は、シリコーン樹脂シートへの張力の印加とその解放とを繰り返すことに伴う、オルガノポリシロキサン50の分子の相対的な位置のずれも抑制する。即ち、上記の結合は、シリコーン樹脂シートのクリープ変形を抑制する。
ここで、上記の結合は、上述したずれを抑制するだけでなく、シートの引張破断強度の向上にも寄与している。即ち、このシリコーン樹脂シートでは、そのクリープ耐性と引張破断伸び率とは相関している。
従って、Shore A硬度及び引張破断伸び率が上記範囲内にあるシリコーン樹脂シートは、柔軟であるにも拘らず、高いクリープ耐性を有している。
これに対し、Shore A硬度が上記範囲内にあるものの、引張破断伸び率が上記下限値を下回る、比較例に係るシリコーン樹脂シートでは、図9に示すように、オルガノポリシロキサン50はシリカ粒子51と結合していない。そのため、このシートへの張力の印加とその解放とを繰り返すと、オルガノポリシロキサン50が形成している架橋構造とシリカ粒子51との相対的な位置にずれを生じ、オルガノポリシロキサン50の分子の相対位置にもずれを生じる。そのため、このようなシリコーン樹脂シートは、柔軟であったとしても、高いクリープ特性を有し得ない。
上述したオルガノポリシロキサン50とシリカ粒子51との結合がシリコーン樹脂シートの引張破断伸び率に与える影響について、図10を参照しながら説明する。
図10は、本発明の一実施形態に係る袋状構造体に使用可能なシート及び比較例に係る袋状構造体に使用可能なシートの応力歪線図である。図10に示すデータは、以下に説明するシリコーン樹脂シートA乃至Eから切り出した試験片について、上述した引張破断伸び率を測定する過程で得られたものである。
シートA及びDのShore A硬度は30であり、シートBのShore A硬度は40であり、シートC及びEのShore A硬度は70である。シートA、B及びCは、上述したオルガノポリシロキサン50とシリカ粒子51との結合を有しているシートであり、シートD及びEは、上記結合を有していないシートである。
図10に示す通り、Shore A硬度が30であるシートDの伸び(引張破断伸び率)は350%であり、Shore A硬度が70であるシートEの引張破断伸び率は700%である。即ち、オルガノポリシロキサン50がシリカ粒子51と結合していない場合、Shore A硬度を大きくすると、引張破断伸び率は大きくなる。即ち、オルガノポリシロキサン50がシリカ粒子51と結合していないシリコーン樹脂シートでは、小さなShore A硬度と大きな引張破断伸び率とを同時に達成することはできない。
これに対し、シートA乃至Cは、1000%以上の引張破断伸び率を達成している。そして、シートA乃至Cの結果から分かるように、オルガノポリシロキサン50がシリカ粒子51と結合している場合、Shore A硬度を小さくすると、引張破断伸び率が大きくなる。即ち、オルガノポリシロキサン50がシリカ粒子51と結合しているシリコーン樹脂シートでは、小さなShore A硬度と大きな引張破断伸び率とを同時に達成することが可能である。
このように、オルガノポリシロキサン50とシリカ粒子との結合は、小さなShore A硬度と大きな引張破断伸び率とを達成するうえで重要である。
上述した袋状構造体22は、Shore A硬度及び引張破断伸び率が上記範囲内にあるシリコーン樹脂シートを使用しているため、クリープ破断に至るまでの物性余裕度が高い。そのため、この袋状構造体22は、繰返しの膨張収縮によるクリープ破壊のリスクが小さい。
また、この袋状構造体22は、柔軟であるにも拘らず、高いクリープ耐性を有しているシリコーン樹脂シートを含んでいる。そのため、この袋状構造体22をカフ20に使用した血圧計1は、耐久性が高く、高い精度で血圧値を測定することが可能である。そして、ウェアラブル血圧計のように、カフを超狭幅に、例えば、カフの幅を25mm程度とした場合にも、優れた耐久性及び上腕式血圧計と同程度の血圧計測特性を達成することが可能である。
<袋状構造体の変形例>
上述した袋状構造体22には、様々な変形が可能である。ここでは、一変形例を図11及び図12を用いて説明する。なお、この変形例に係る袋状構造体は、例えば、上述した血圧計1のカフ20に用いることができる。
図11は、図2及び図3に示す袋状構造体の変形例を概略的に示す断面図である。図12は、変形例に係る袋状構造体の破断斜視図である。
図11及び図12に示すように、変形例に係る袋状構造体22は、内壁部221と、外壁部222と、側壁部223と、連結部226と、接続チューブ228とを含んでいる。
内壁部221及び外壁部222は、矩形状であり、互いに向き合っている。
側壁部223は、内壁部221及び外壁部222の長さ方向に沿った一対の端の間で、内壁部221及び外壁部222と連続するように設けられている。これら側壁部223は、内壁部221及び外壁部222とともに、袋状構造体22の内部空間を規定している。側壁部223は、袋状構造体22の内部空間の圧力を高めたときに内壁部221及び外壁部222が互いから離れる方向への袋状構造体22の変形、即ち、袋状構造体22の厚さ方向への変形を促進する。
側壁部223の各々は、袋状構造体22の長さ方向に延びた形状を有しており、この長さ方向に沿って延びた一方の端が内壁部221の長さ方向に沿って延びた一方の端と接合され、長さ方向に沿って延びた他方の端が外壁部221の長さ方向に沿って延びた一方の端と接合されている。
ここでは、各々の側壁部223は、2枚のシート部材、具体的には、シート部材224及びシート部材225を重ね合わせ、それらを長さ方向に延びた一方の端で接合してなる複合体である。即ち、シート部材224とシート部材225とは、それらの長さ方向に沿った端のうち、内壁部221又は外壁部222と接合していない端で接合している。具体的には、シート部材224の他端は、内壁部221の長さ方向に沿った端と連続している。シート部材225の他端は、外壁部222の長さ方向に沿った端と連続している。なお、各々の側壁部223は、一枚のシート部材を曲折した構造であってもよい。
このような袋状構造体22は、その形状からΣ構造や蛇腹構造と呼ばれることもある。この構造は、袋状構造体22の膨張時におけるその厚さ方向への変形を更に促進する。
連結部226は、内壁部221と外壁部222との間に位置し、一対の側壁部223を袋状構造体22の長手方向と直交する方向で連結している。ここでは、連結部226は、シート部材224の長さ方向に沿った端のうち、シート部材225と連続している端において、シート部材225と接着していない面に設けられている。
連結部226は、袋状構造体22の内部空間を、内壁部221と連結部226と一対の側壁部223とによって囲まれた内部空間Aと、外壁部222と連結部226と一対の側壁部223とによって囲まれた内部空間Bとに仕切っている。連結部226には、内部空間Aと内部空間Bとを流体的に連絡する1以上の連通孔227が設けられている。連結部226は、袋状構造体22の膨張時におけるその幅方向への変形を抑制する。連結部226は、例えば、シート部材224又は225と一体化されていてもよい。
このような袋状構造体22は、一対の側壁部223を袋状構造体22の内部空間で連接する連結部226を有していることで、側壁部223が折り畳まれたままの形状を維持することができる。また、袋状構造体22は、連結部226により側壁部223が連結されていることから、膨張時には、それらの側壁部の外側への膨張が制限され、カフの厚さ方向への膨張を促進することができる。このことから、このような構造の袋状構造体22の使用は、特に、超狭幅化カフにおいて長期耐久性と優れた血圧計測特性との両方を達成するうえで最も顕著な効果を奏する。なお、連結部226は省略してもよい。
袋状構造体22を構成するシートのうち、少なくとも内壁部221には、上述した条件を満たすシートを使用することが好ましい。このような構造を有する袋状構造体22は、これを含んだ血圧計1を繰り返し使用することによるクリープ変形に伴うクリープ破壊のリスクを低減させるうえで有利である。これは、袋状構造体22を構成するシート部材のうち、生体側に位置する領域では、傷等が生じやすく、クリープ変形の影響を受け易いことに起因する。
袋状構造体22を構成するシートのうち、少なくとも側壁部223には、上述した条件を満たすシートを使用することが好ましい。このような構造を有する袋状構造体22を膨張させた場合、袋状構造体22の厚さ方向への膨張を更に促進することができる。また、側壁部223は、血圧計1の使用時に最も大きな張力が加わるため、クリープ変形を生じ易い。従って、そのような袋状構造体22は、高いクリープ耐性を示す。
袋状構造体22を構成するシートのうち、少なくともシート部材同士の接着部分及びこれに隣接する部分には、上述した条件を満たすシートを使用することが好ましい。このような構造を有する袋状構造体22は、繰返しの膨張収縮を行なった場合に、クリープ変形に伴う接着部分におけるクリープ破壊が生じ難い。
また、袋状構造体22を構成するシートのうち、少なくとも、内壁部221、側壁部223、並びに、シート同士の接着部分及びこれに隣接する部分には、上述した条件を満たすシートを使用することが好ましく、袋状構造体22を構成するシートの全てに、上述した条件を満たすシートを使用することがより好ましい。このような構造を有する袋状構造体22は、柔軟性及びクリープ耐性の双方について特に優れた性能を達成するうえで有利である。
袋状構造体22は、例えば、シリコーン樹脂シートを所定の形状の複数のシート部材へとサイジングし、サイジングしたシート部材を接合することで構成される。また、上述した条件を満たすものであれば、Shore A硬度及び/又はシートの厚さが異なるシート部材を組み合わせて構成してもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本発明の具体例を記載する。但し、本発明の範囲は、以下の実施例に限定されるものではない。
(例1)
図2及び図3を参照しながら説明した袋状構造体22を製造した。本例では、内壁部221及び外壁部222の材料には、同一のシリコーン樹脂シートを使用した。このシリコーン樹脂シートとしては、Shore A硬度が30であり且つ引張破断伸び率が2400%であるシリコーン樹脂シートを用いた。また、内壁部221及び外壁部222の厚さは0.15mmとした。上記の性質を有するシリコーン樹脂シートを、幅が27mmであり、長さが100mmであるシート部材へと切り出し、これらを内壁部221と外壁部222とした。次いで、これらのシート部材を重ね合わせて、分子接着剤を用いて、それらの端部を接合した。接着幅は1.0mmとした。
(例2)
シリコーン樹脂シートとして、Shore A硬度が70であり且つ引張破断伸び率が1000%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体22を製造した。
(例3)
シリコーン樹脂シートShore A硬度が15であり且つ引張破断伸び率が3600%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体22を製造した。
(例4)
シリコーン樹脂シートShore A硬度が10であり且つ引張破断伸び率が4000%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体22を製造した。
(例5)
シリコーン樹脂シートShore A硬度が75であり且つ引張破断伸び率が1000%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体22を製造した。
(比較例1)
シリコーン樹脂シートShore A硬度が30であり且つ引張破断伸び率が350%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体を製造した。
(比較例2)
シリコーン樹脂シートShore A硬度が70であり且つ引張破断伸び率が750%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体を製造した。
(比較例3)
シリコーン樹脂シートShore A硬度が10であり且つ引張破断伸び率が250%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体を製造した。
(比較例4)
シリコーン樹脂シートShore A硬度が75であり且つ引張破断伸び率が650%のシリコーン樹脂シートを使用したこと以外は、例1と同様の方法により袋状構造体を製造した。
<クリープ耐性の評価>
例1の袋状構造体について、クリープ耐性の評価を行なった。具体的には、例1の袋状構造体22を10個準備し、それらの各々について膨張収縮を行なった。なお、圧縮空気の圧力は450mmHg(=450×101325/760Pa)とした。この膨張収縮を3万回繰返し、袋状構造体の接合部が破壊されて生じる漏気の有無、又は、袋状構造体の亀裂などで生じる漏気の有無を評価した。漏気が確認されなかった袋状構造体を「○」と評価した。そして、漏気が確認されなかった袋状構造体の数を調べた。また、同様の評価を、例2乃至5及び比較例1乃至4の袋状構造体についても行った。
<結果>
上記評価試験の結果を表1に示す。
表1に示すように、例1乃至5の袋状構造体は、良好なクリープ耐性を有していた。特に、例1乃至3では、10個の袋状構造体の全てで漏気が全く認められず、優れたクリープ耐性を有していた。なお、例4及び5では、例1乃至3とは異なり、一部の袋状構造体で漏気が認められたものの、約半数の袋状構造体で漏気は認められなかった。一方、比較例1乃至4では、10個の袋状構造体の全てで漏気が認められた。
1…血圧計、11…装置本体、20…カフ、21…基材、22…袋状構造体、23…接合層、30…手首、31…動脈、32…血液、40a…シート部材、40b…シート部材、41…接合領域、50…シリコーン樹脂、51…シリカ粒子、111…ケース、112…表示部、113…操作部、114…ポンプ、115…弁、116…圧力センサ、117…電力供給部、118…制御部、221…内壁部、222…外壁部、223…側壁部、224…シート部材、225…シート部材、226…連結部、227…連通孔、228…接続チューブ。

Claims (5)

  1. 内壁部と、前記内壁部と向き合った外壁部とを備え、前記内壁部及び前記外壁部の少なくとも一方は、Shore A硬度が10乃至75の範囲内にあり且つ引張破断伸び率が1000%以上であるシリコーン樹脂からなるシートを含んだ袋状構造体。
  2. 前記シートの厚さは0.10mm乃至0.60mmの範囲内にある請求項1に記載の袋状構造体。
  3. 前記シリコーン樹脂はShore A硬度が15乃至70の範囲内にある請求項1又は2に記載の袋状構造体。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の袋状構造体を、生体に装着した場合に、前記シートの少なくとも一部が前記生体側に位置するように含んだカフ。
  5. 請求項4に記載のカフを備えた血圧計。
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