以下、本発明に係る食材塊保管装置を詳細に説明する。尚、以下の説明において、図1において、開閉蓋41(縦方向開口部3)の存在する側を「前方」、開閉扉41の反対側を「後方」、前方から後方を見た場合の左右方向を「左右」と定義する。
図1(a)に本発明に係る食材塊保管装置1の全体構成、同図(b)に上蓋2を開いて、シャリ玉Rを取り出す状態を示す。尚、以下の実施形態において、食材塊の例として寿司用のシャリ玉Rを用いた場合を説明する。従って、図13には食材塊供給装置として従来公知のシャリ玉供給装置50を示す。尚、食材塊としてはシャリ玉以外に、塊状の各種惣菜、シュウマイ、餃子等の飲茶等の保温性食材であっても良い。
この食材塊保管装置1は、側面に縦方向開口部3を有する円柱状の筐体4と、上記筐体4内の中央に立設された略円柱状の支持柱5(図5(a)参照)と、上記筐体4内において上記支持柱5に同心に挿嵌積層され、各段の上面6aの円周方向に複数の食材塊としてのシャリ玉Rを載置し得る複数段(本実施形態では6段)のリング状トレー6と(図2、図3、図4参照)、上記支持柱5に設けられ対応する上記リング状トレー6の各内周歯6bに係合し得る複数段(本実施例では6段)の歯車7と(図10参照)、上記歯車7を選択的に回転駆動し得るもので、各歯車7に対応して設けられた6個の駆動モータ8とを有し、上記駆動モータ8により何れかの上記歯車7を回転駆動することにより、対応する上記リング状トレー6が矢印A方向に回転駆動され、その上のシャリ玉Rが上記縦方向開口部3に順次停止状態で臨出するように構成されたものである(図1(b)参照)。
上記リング状トレー6は、図2に示すように、中央円形開口6’を有する全体がリング形状を成しており、リング状の上面6aの円周方向にシャリ玉Rを17個載置し得るように構成されている。上記各リング状トレー6は、各上面6aにシャリ玉Rを載置できない(上面6aが存在しない)一定開き角度の扇状の一部切欠9を有しており、この一部切欠9を上下方向に揃った状態で、図3(a)に示すように、6段を積層載置可能に設けられている。そして、上記筐体4内においては、当初は、上記各リング状トレー6は上記各段の上記各一部切欠9が、上記縦方向開口部3に対応して位置した状態で(図11参照)、上記筐体4内に多段に設置される。これは、開閉扉41を、当初、開いた状態では、上記縦方向開口部3に各リング状トレー6上に載置されたシャリ玉Rがいきなり露出しないようにして、シャリ玉Rに埃等が付着することを防止するためである。
上記リング状トレー6の上記上面6aのシャリ玉載置位置(食材塊載置位置)6c(17か所)には、円形の開口6dが貫通形成されており(本実施形態では17個)、隣接するシャリ玉載置位置6c間には、ずれ防止用の突起6eが各々形成されている。上記開口6dは、後述の食材塊検出センサ48により、上記シャリ玉載置位置6cにシャリ玉Rが載置しているか否か検出するためのものである。
また、上記リング状トレー6の中央円形開口6’の内周面には、凹凸状の内周歯6bが内周全周に亘り形成されている。これは、上記筐体4内に6段に積層したとき、図10に示すように、各段のリング状トレー6の上記内周歯6bに対応して6段の上記歯車7(71〜76)が位置しており、上記歯車7が対応する段のリング状トレー6の上記内周歯6bに係合して、上記歯車7の回転によって上記リング状トレー6を矢印A方向に回転し得るように構成されている。尚、上記歯車7は、後述の駆動機構により、上記支持柱5の各歯車7に対応する6か所の開口5a(図5(a)の三か所の開口5a、図9(b)の三か所の開口5a参照)から支持柱5の外周面に歯部を出没可能に構成されている。
上記各リング状トレー6は、図13に示すように、公知のシャリ玉供給装置(食材塊供給装置)50のシャリ玉供給回転部(食材塊供給回転部)51にセット可能に構成されたものであり、上記シャリ玉供給回転部51と共に間歇回転しながら、上記シャリ玉供給装置50から上面6aの円周上のシャリ玉載置位置6cにシャリ玉Rの供給を受けることができるように構成されている。
上記シャリ玉供給回転部51には、水平基台52上に回転中心軸53が設けられ、該回転中心軸53にリング状トレー6の上記中央円形開口6’に嵌合し得る円盤状位置決枠54が固定されている。この円盤状位置決枠54は上記回転中心軸53の回転に従い、矢印B方向に間歇的に回転し得るように構成されている。上記円盤状位置決枠54には、外周の一部に上記リング状トレー6の上記一部切欠9に係合する一対の上向突出爪54aが設けられている。この上向突出爪54aは、各爪が上記一部切欠9の両側縁9a,9aに接触又は近接して、上記円盤状位置枠54に対するリング状トレー6の位置決めを行うものである。
上記シャリ玉供給装置50は公知の構成に基づいて、シャリ玉排出口(食材塊排出口)50aから下方向きに1個ずつシャリ玉(食材塊)Rが落下供給される。上記リング状トレー6を上記円盤状位置決枠54にセットすると、該リング状トレー6の上記シャリ玉載置位置6cが上記シャリ玉排出口50a下に順次位置するので、その状態で、円盤状位置決枠54を矢印B方向に間歇回転しながら、上記リング状トレー6が停止したタイミングで上記シャリ玉載置位置6c上に上記シャリ玉排出口50aから1個ずつのシャリ玉Rを落下供給していく。この動作を繰り返すことにより、図3(a)に示すように、1個のリング状トレー6上に17個のシャリ玉Rを載置することができる。
このように各リング状トレー6に17個のシャリ玉Rを載置した状態で、シャリ玉Rを載置した状態のリング状トレー6を図3(a)に示すように、6段に重ねることができる。
このリング状トレー6は、外周に上面6aの外周縁より下向きの筒状部6fが設けられていると共に、内周に上面6aの内周縁より円周に沿った上向きの閉鎖用円筒状ガイド(上記中央円形開口6’の直径より若干大の直径を有する)6gが複数設けられ、さらに閉鎖用円筒状ガイド6gの内側に間隔保持用突起6hが一定の開き角度の間隔で複数設けられている(図2参照)。そして、このリング状トレー6を多段に同心に積み重ねたとき、図3(b)に示すように、上段のリング状トレー6の筒状部6fの下周縁に、下段のリング状トレー6の筒状部6fの上縁が載置され、同時に、下段のリング状トレー6の上記間隔保持用突起6hが、上段のリング状トレー6の中央円形開口6’の外周縁下側に接触することで、各リング状トレー6が水平に同心に積み重ねられ、各上面6aの上に、上記筒状部6f及び閉鎖用円筒状ガイド6gによって閉鎖されたリング状のシャリ玉載置空間(食材塊載置空間)Sが形成されるように構成されている(図3(b)参照)。
従って、リング状トレー6の積み重ね状態において、該トレー6内のシャリ玉Rは、上記閉鎖されたシャリ玉載置空間S内において、外部とは略隔離された状態となり、この状態においても、埃等の付着が防止される。尚、最上段のリング状トレー6のシャリ玉載置位置6cは開放されているが、図4(b)に示すように、後述のリング状上側円盤11を装着することにより、最上段のリング状トレー6においても、同様の閉鎖されたリング状のシャリ玉載置空間Sが形成される。
尚、上記リング状トレー6は図3(a)の積み重ね状態において、各段のリング状トレー6は固定されておらず、この積み重ね状態のおいても、各リング状トレー6は単独で矢印A又はA’方向に回転可能となっている。
図3(a)の状態に6段に積み重ねられたリング状トレー6に図4(a)に示す保持部材10を、同図(b)に示すように挿着することで、6段のリング状トレー6を一体として持ち運び可能となる。この保持部材10は、上記多段に積層された上記リング状トレー6の最上段のトレー6の上面に被覆され、上記リング状トレー6と同一径(中央円形開口11’もリング状トレー6の中央円形開口6’と略同一径)のリング状上側円盤11と、上記リング状上側円盤11の裏側から上記各リング状トレー6の中央円形開口6’を通って最下段のリング状トレー6の下面まで達する3本の支柱12a,12b,12cと、下端において上記各支柱12a,12b,12cを接続する底部リング13とから構成されている。
この保持部材10の上記リング状上側円盤11の外周の一部は、各リング状トレー6と同様の扇型の一部切欠11aが設けられていると共に、外周縁には下向きの円筒部11bが設けられている。また、上記支柱の内、上記1本の支柱12cは、その上端における上記リング状上側円盤11上につまみ部14が固定され、上記支柱12cの下端には、上記底部リング13の下面側にロック爪15が固定されている。そして、この支柱12cは上記つまみ部14を回転することにより(矢印C方向)、ロック爪15を上記底部リング13の外周に出没可能に設けられている。
よって、上記リング状トレー6を図3(a)のように一部切欠9を合わせて6段積み重ねた後、その中央円形開口6’に、上記保持部材10の上記底部リング13を挿通し、上記底部リング13が最下段のリング状トレー6に位置した状態で、リング状上側円盤11の円筒部11bが上記最上段のリング状トレー6の外周縁に接合し(図4(b)の状態)、上記最上端のリング状トレー6上に載置されたシャリ玉Rを被覆することができる。この状態で、上記つまみ部14を回転すると、上記支柱12cが回転して、上記ロック爪15(ロック部材)が回転して上記最下段のリング状トレー6の下面に係合する(図4(b)の状態)。これにより積層された複数のリング状トレー6を、上記リング状上側円盤11と上記ロック爪15との間に挟持状態で保持することができる。
このロック状態においては、上記保持部材10により6段のリング状トレー6を一体化することができ、上記リング状上側円盤11に設けられた取手16を起こして、該取手16を把持することにより、当該6段のリング状トレー6を一体として持ち運ぶことが可能となる。このロック状態においては、上記支柱12cに上下方向に6段に設けられたストッパー用の突起16aが、対応する各段のリング状トレー6の内周歯6bに係合するため、各リング状トレー6の矢印A,A’方向の回転が阻止され、安定して持ち運び可能となる。尚、上記保持部材10でのロック状態(図4(b)の状態)を、以下、トレーの「多段ロック状態」という。
そして、上記トレーの多段ロック状態の保持部材10を、図5(a)の筐体4内に、その上面開口4aから、上記筐体4内の支持柱5(歯車7は支持柱5内に収納されている)が上記保持部材10のリング状トレー6の中央円形開口6’内に挿通されるように、収納する。即ち、リング状トレー6は、上記筐体4内において上記支持柱5に同心に挿嵌積層される。収納状態を図5(b)に示す。このとき、筐体4の縦方向開口部3に各リング状トレー6の一部切欠9の位置を合わせる。このように構成すると、1段当たり17個、6段で102個のシャリ玉Rを食材塊保管装置1の筐体4内に収納することができる。
上記支持柱5内には、図10に示す上記各段のリング状トレーの駆動機構と、筐体4内において酢水を蒸発拡散させるためのタンク機構(図9参照)が設けられている。
図10は、上記支持柱5の前筐体5bを外した状態であって、駆動機構の斜視図、図8(a)(b)は、上記駆動機構(支持柱5)の縦断面図である。尚、以下の説明において、リング状トレー6の上段から1段、2段、3段、4段、5段、6段とし、特定の段数を示す場合は、この段数により示す。また、駆動モータ8、歯車7において、各段のモータ、歯車を特定する場合は、81,71等のように段数に対応する小数字を付する。図10、図8に示すように、上記支持柱5の内部には、上下に2本の水平固定シャフト17,17が設けられており、この水平固定シャフト17,17に前後方向に摺動可能にモータ固定機枠18が、その開口18a,18aを以って、挿通支持されている。
上記モータ固定機枠18には、図10に示すように、左側に1段目のリング状トレー6を駆動するための駆動モータ81、その下に3段目のリング状トレー6を駆動するための駆動モータ83、その下に5段目のリング状トレー6を駆動するための駆動モータ85が固定されており、各駆動モータ8には、各々、1段目のリング状トレー6の内周歯6bに噛合可能な水平な歯車71、3段目のリング状トレー6の内周歯6bに噛合可能な水平な歯車73、5段目のリング状トレー6の内周歯6bに噛合可能な水平は歯車75が各々設けられている。
さらに、上記モータ固定機枠18には、図10に示すように、右側に2段目のリング状トレー6を駆動するための駆動モータ82、その下に4段目のリング状トレー6を駆動するための駆動モータ84、その下に6段目のリング状トレー6を駆動するための駆動モータ86が固定されており、各駆動モータ8には、各々、2段目のリング状トレー6の内周歯6bに噛合可能な水平な歯車72、4段目のリング状トレー6の内周歯6bに噛合可能な水平な歯車74、6段目のリング状トレー6の内周歯6bに噛合可能な水平は歯車76が各々設けられている。
そして、上記支持柱5の前筐体5bには、上記各段に対応する6段の歯車71〜76の位置に対応する位置に、歯車突出用の6か所の開口5a(左側3か所、右側3か所)が形成されている(図5(a)の3か所の開口5a(左側)、図9(a)の3か所の開口5a(右側))参照。
さらに、図8に示すように、上記前筐体5b内における上記水平固定シャフト17,17には、上記前筐体5bの内側と上記モータ固定筐体18の前板18’との間に、各々スプリング19,19が挿通されている。従って、上記モータ固定筐体18は上記スプリング19,19の附勢力により常時後方(矢印D方向)の歯車収納位置(図8(a)の位置)に附勢されている。さらに、上記モータ固定筐体18の後板18”にはローラ20が設けられている。
一方、上記支持柱5の後筐体5cの上記モータ固定筐体18の後方側には、シャフト21が上下方向摺動可能に立設支持されており、そのシャフト21の前面側にカム22が固定され、該カム22が上記ローラ20の上方に当接している(図8(a)参照)。そして、上記シャフト21の上端は上記後筐体5cの上に突出し、その上端部にロックつまみ23が固定されている。従って、上記図8(a)の状態から、上記ロックつまみ23を下方に押圧すると、上記カム22も下方に下がるため、カム22の当接面(テーパ面)により上記ローラ20を、上記スプリング19,19の附勢力に抗して前方(矢印E方向)に押圧することになり、従って、上記モータ固定機枠18も前方に摺動し、上記ロックつまみ23を下まで押した状態においては(図8(b)参照)、上記各段の歯車7(71〜76)が上記対応する各開口5aから前方に突出し、その歯部を各段の対応するリング状トレー6の内周歯6bに各々噛合し得るように構成されている(図8(b)参照)。
尚、上記ロックつまみ23は、押し下げた状態で若干回動させると、上記シャフト21の中間位置(カム22の右側面)に水平方向に固定されたロック板24が、上記後筐体5cのフレーム25aに設けられた水平溝25(図12参照)に係合し(図12(b)の状態)、これにより上記ロック状態(歯車7が突出した状態)を維持できるように構成されている。
上記ロックつまみ23を逆方向に回転して、上記ロック板24と上記水平溝25の係合を解除すると、上記スプリング19,19の附勢力により、上記モータ固定機枠18全体が後方に移動し、上記歯車7の各歯部は上記開口5a内に収納された状態となる(この状態で多段ロック状態の保持部材10を筐体4から取り出し可能)。
また、上記リング状トレー6の駆動手段としては、上記内周歯6bとそれに噛合する歯車7及び駆動モータ8により構成したが、例えばリング状トレーの内周にマグネットを配置し、支持柱5内に配置されたマグネットドライブ装置により非接触で各リング状トレー6を選択的に回転駆動する構成、その他、リング状トレー6の駆動手段は各種の機構が考えられる。
図9(a)に示すように、上記支持柱5の後半部には、着脱自在の液体保管タンク26が設けられている。尚、この液体保管タンク26は図9(a)に示すように支持柱5の一部として形成しても良いし、支持柱5の内部に収納状態で形成しても良い。この液体保管タンク26内には、酢水(希釈酢水)が投入される。この液体保管タンク26は、半円柱状の本体26aと、本体26aの下側の両側に形成された蒸気逃がし用のテーパ部26b,26bと、テーパ部26b,26bの下端の排出部26cとから構成されており、上記排出部26cには排出バルブ27が設けられている。そして、上記支持柱5の上記タンク装着部28の下側には、下端装着部31及びその両側に液体貯留部(貯留部)29が設けられており、上記液体貯留部29の底面には上記液体貯留部に貯留する液体を加熱するためのヒータ30が固定されている。
この液体保管タンク26の排出バルブ27はその下側に可動突起27aが設けられており、当該液体保管タンク26を上記支持柱5の上記タンク装着部28に装着すると、図9(b)に示すように、上記排出部26cの排出バルブ27が下端装着部31に位置し、下端の可動突起27aが内部に収納されることにより、上記排出バルブ27が開放され、上記液体保管タンク26の下端から酢水が上記貯留部29に流出し、一定の水位を保持する。
この状態で、上記ヒータ30にて上記貯留部29内の酢水を加熱することにより、上記酢水を蒸発させ、その蒸気を上記テーパ部26b,26bを通って、矢印F方向に上昇させ、上記筐体4内のシャリ玉Rに万遍なく行き渡るようにして、各シャリ玉Rが乾燥しないように構成している。尚、上記タンク装着部28に設けられた一対のシャフト32は上記液体保管タンク26の装着時、上記タンク26に係合してタンク26を保持するためのものである。
上記貯留部29,29から蒸発した蒸気は、各リング状トレー6の中央円形開口6’を上昇し、閉鎖用円筒状ガイド6gの小切欠6g’(図2参照)を通って、各シャリ玉載置空間S内のシャリ玉Rに万遍なく行き渡り、各段のシャリ玉Rの乾燥を防止することができる。
また、当該シャリ玉保管装置(食材塊保管装置)1の筐体4の周面の内部には、円筒体の筐体4の全周を被覆するようにフィルム状のヒータ33が挟着(内蔵)されている(図1(b)、図5(b)参照)。よって、当該ヒータ33により、上記筐体4内を常時適温に維持することができ、シャリ玉Rが冷えてしまうことを防止することができる。
上記食材塊保管装置1の筐体4の上面は開口しているが(図5(a)の上面開口4a参照)、図5(b)の状態において、図6に示すように、筐体4の上面に上記上面開口4aと同一直径の円盤状の中蓋34を被せる。この中蓋34の外周1箇所に凹所34aが形成されており、該凹所34aが上記筐体4の上面開口部4aに形成された凸部4bに嵌合することで、上記筐体4上面において中蓋34の位置が固定される。この中蓋34の上面には、上記縦方向開口部3に対応する板面に縦方向開口部3と同一開口角度の扇型切欠35が形成されている(図1(b)参照)。さらに、この扇型切欠35に引き続いて、上記筐体4の円筒の周面に沿って、周方向の扇型凹部36が上記扇型切欠35と同一幅で形成されている。そして、この扇型凹部36上面には、内側方向に緩やかな円弧を形成する第1カム溝37が凹設されている(図7参照)。また中蓋34上面には上記上蓋2の回動中心となる突起45が嵌合する凹部47が、円筒(円形)の中心からずれた位置に設けられている。
さらに、上記縦方向開口部3を開閉するものであって、上記縦方向開口部3の横幅より若干広い横幅を有し、筐体4の外周の円弧面に沿う円弧状開閉扉部39と、該円弧状開閉扉部39の上端から上記筐体上面側に屈曲し、上記扇型切欠35と上記扇型凹部36に嵌合する扇型の案内板40とから構成された開閉扉41が設けられている。そして、上記開閉扉41は、その扇型の案内板40を上記扇型切欠35と上記扇型凹部36に嵌合し、上記円弧状開閉扉部39を上記縦方向開口部3の内側に位置した状態で、上記案内板40の左端部を上記切欠35の左端縁に当接した状態において、図6に示すように、上記円弧状開閉扉部39及び案内板40によって上記縦方向開口3及び切欠35を完全に閉鎖し得るように構成されている。さらに、上記開閉扉41の上記案内板40の上面には上記第1カム溝37上に交差し、逆方向に大きく湾曲した第2カム溝42が貫通形成されている(図7参照)。
図1(a)に示すように、図6の筐体4の上部(中蓋34の上部)に、さらに、上蓋2を被せる。この上蓋2は、前方の半分(180度の開き角度)は板状の円盤部2aとして形成され、後方の半分(180度の開き角度)には、下方向きの円筒部2bが形成されている。一方、上記筐体4の上部において、上記円筒部2bに対応する部分には、円筒状の段部4cが形成されており、上記上蓋2を上記筐体4上に被せた状態においては、図1(a)に示すように、上記円筒部2bが上記段部4cに嵌合した状態となっている。
この上蓋2の裏面には、図7に示すように、回転中心となる突起45と、駆動用の突起46が設けられており、図1(a)の閉鎖状態においては、図7(a)に示すように、上記突起45が上記中蓋34の上記凹部47に嵌合し、上記突起46が上記カム溝42と上記カム溝37の左端の一端部に共通して嵌合している状態になっている。
そして、図7に示すように、上記閉鎖状態(図7(a)参照)から上記上蓋2を上記突起45を回転中心として矢印G方向にスライド(回動)させると、上記突起46が両第1、第2カム溝42,37を右方向に移動しながら上記開閉扉41を矢印G方向にスライドさせて縦方向開口部3を開成して行き(図7(b)参照)、上記突起46が上記両第1、第2カム溝42,37の右端に位置したとき、上記開閉扉41が筐体4の内側に完全に収納され、上記縦方向開口部3及び扇型切欠35を全開状態(図1(b)、図7(c)、図11の状態)に設定し得るように構成されている。全開状態では、図11に示すように、中蓋34の切欠35と各リング状トレー6の一部切欠9が上下に揃った状態となっており、上記縦方向開口部3に沿って、扇型に内側に凹状の窪みが形成され、当該窪みが筐体4の上方に開口した状態となる。尚、この状態ではシャリ玉Rは縦方向開口部3には臨出していない。
尚、閉鎖するときは、上記上蓋2を突起45を中心として、上術の説明と逆方向に回動することにより、上記縦方向開口部3を上記開閉扉41にて閉鎖することができる(図1(a)参照)。また、上記縦方向開口部3が開口されたか否かは、開閉扉検出手段(開閉センサ55,55、図14参照)により検出できるようにする。例えば、筐体4の底板の上記開閉扉10の移動経路に沿って一対の開閉センサ(反射型センサ)55,55を設け(図10参照)、開閉扉10の移動を検知することで、縦方向開口部3の開閉を検出することができる。
図11において、48は反射型光センサからなる食材塊検出センサ(シャリ玉検出センサ)であり、レーザ光を上方向けて照射し、反射光を検出することで、シャリ玉Rの有無を検出するものである。例えば、図1(b)に示すように、1段目のリング状トレー6が矢印A方向に回転したとき、上記リング状トレー6の最初のシャリ玉載置位置6c上にシャリ玉Rが載置されていた場合は、上記開口6dがシャリ玉Rにより閉鎖されているので、反射光が検出され、これにより制御部49(図14参照)は当該位置でリング状トレー6を停止させる。そして、上記シャリ玉載置位置6cからシャリ玉Rを取り出すと、レーザ光は上記開口6dを通過し反射光が消勢するので、上記制御部49はシャリ玉Rが取り出されたと判断し、次のシャリ玉載置位置6cにて反射光が検出されるまで上記リング状トレー6を同方向に回転する。次のシャリ玉載置位置6cにおいてもシャリ玉Rが載置されていれば、同様に、当該位置でリング状トレー6を停止する、という動作を繰り返し行う。
図14に本発明に係る食材塊保管装置の電気的構成を示す。当該食材塊保管装置1は、主に、リング状トレー6の動きを制御する制御部49が設けられており、当該制御部49に上記各段のリング状トレー6を駆動する駆動モータ81〜86、上記食材塊検出センサ(シャリ玉検出センサ)48、開閉扉41の開閉センサ55、筐体用の上記ヒータ33、液体用の上記ヒータ30、及び各種操作を行う操作パネル56が接続されている。この制御部49はCPUを有する制御装置により構成されており、図15に示す動作手順からなる制御プログラムに基づいて各接続機器の制御を行うものである。制御部49の動作については、図15のフローチャートと共に以下の動作説明にて詳述する。
本発明は上述のように構成されているため、以下その動作を図15のフローチャートと共に説明する。
尚、前準備として、液体保管タンク26に酢水を収納し、当該タンク26を、支持柱5のタンク装着部28にセットする。すると、上記タンク26の排出バルブ27が開き、上記支持柱5の上記液体貯留部29に酢水が一定の水位で貯留された状態となる。
先ず操作者は、図13に示すシャリ玉供給装置50の水平基台52上の円盤状位置決枠54にリング状トレー6を、上向突出爪54aを一部切欠9に合わせてセットする。その状態で、上記シャリ玉供給装置5を駆動すると、上記円盤状位置決枠54がリング状トレー6と共に矢印B方向に間歇回転しながら、シャリ玉排出口50aから1個ずつシャリ玉Rがリング状トレー6のシャリ玉載置位置6cに落下供給されていく。17個のシャリ玉Rの供給が終了すると、シャリ玉供給装置50のシャリ玉Rの供給が自動的に停止するので、操作者は上記円盤状位置決枠54からリング状トレー6を取り出す。この状態では、図3(a)に示すように、1つのリング状トレー6上に17個のシャリ玉Rが載置された状態になる。
他の5個のリング状トレー6についても同様にシャリ玉供給装置50にて17個のシャリ玉を載置し、シャリ玉Rが載置された6個のリング状トレー6を図3(a)に示すように、一部切欠9の位置を揃えた状態で6段に順次重ねていく。このとき、上下各段のトレー6のシャリ玉はシャリ玉載置空間S内に整列状態で位置しており、互いに接触したり、潰れることはない。また、上下複数段に積み上げているので、従来のように広いトレーに整列する場合に比べて、小さなスペースでシャリ玉を収納できる。
その後、操作者は図4(a)の保持部材10を6段のシャリ玉トレー6に装着する(図4(b)の状態)。この装着状態においては、最上段のリング状トレー6にリング状上側円盤11が位置して最上段のトレー6上のシャリ玉Rが、下段のシャリ玉Rと同様に被覆される。その後操作者は、つまみ部14を回転して支柱12cを回転し、下端のロック爪15を最下段のリング状トレー6の下側に係合させ、上記6段のリング状トレー6を一体化して多段ロック状態とする。この状態では、上記支柱12cの突起16aが各リング状トレー6の内周歯6bに係合し、各リング状トレー6の回転が阻止される。
操作者は、当該保持部材10の取手16を把持して、当該多段ロック状態のリング状トレー6を図5(a)に示す筐体4内に、上記一部切欠9が縦方向開口3に合うように装着する(図5(b)の状態)。このとき、筐体4内の支持柱5においては、図8(a)に示すように、各歯車7(71〜76)は支持柱5の開口5a内に収納された状態となっている。その後、操作者は、上記保持部材10の上記つまみ部14を回転してロック爪15を収納して、各リング状トレー6のロック状態を解除する。このとき、同時に、上記支柱12cの各突起16aも回転して、各リング状トレー6の内周歯6bから離間して、各リング状トレー6は回転方向(矢印A方向)にフリーの状態となる。
その後、操作者は、ロックつまみ23を押し下げて、若干回転させ、当該ロックつまみ23のロック板24を水平溝25に係合させて、当該ロックつまみ23をロック状態とする。すると、図8(b)に示すように、シャフト21のカム22が下降するため、ローラ20が前方に押し出され、これにより上記各段の歯車7(71〜76)が上記支持柱5の前方の開口5a(6か所)から同時に外部に突出し、それらの歯部が各段に対応するリング状トレー6の内周歯6bに同時に噛合する(図8(b)の状態)。
その後、操作者は、図6に示すように、上記筐体4の上面に中蓋34を凹所34aと凸部4bを嵌合するように被せ、さらに、開閉扉41の円弧状開閉扉部39を縦方向開口部3に内側から挿通して該縦方向開口部3を閉鎖し、その案内板40を上記中蓋34の扇形凹部36に嵌合する(図6の状態)。その後、上蓋2を、その円筒部2bが上記筐体4の段部4cに合うように被せることにより、シャリ玉保管装置1を構成することができる。
次に、操作者は、操作部56により筐体用のヒータ33をオンする。すると、ヒータ33が加熱され、筐体4の温度を所定の温度(例えばシャリ玉Rの場合、約35℃程度)に保持される。ヒータ33は円筒状の筐体4の全周に設けられているので、筐体4内を均一の温度に保温することができる。
同時に、操作者は、操作部56により、液体用ヒータ30をオンする。すると、液体貯留部29の下の上記ヒータ30が加熱され、これにより上記貯留部29内に貯留している酢水が蒸発し、その蒸気が支持柱5の下部から矢印F方向に上昇し(図9(b)参照)、各段のリング状トレー6の中央円形開口6’から切欠6g’を介して各段のシャリ玉載置空間Sに万遍なく行き渡る。これにより、シャリ玉Rの酢抜けを防止すると共にシャリ玉Rの乾燥を防止することができる。また、このように筐体4内に酢水の蒸気を発生させることにより、筐体4内の菌の増殖を防止することができる。尚、上記筐体用のヒータ33、上記液体用のヒータ30は予めオン状態としておいても良い。
従って、このように食材塊保管装置1内には102個(17×6)のシャリ玉(食材塊)Rが保管されている状態で、内部のシャリ玉Rの乾燥、酢抜け、菌の増殖が防止されるので、当該食材塊保管装置1を複数台設置して長時間保管すること、即ち、多量のシャリ玉Rの作り置きを、最適の状態にて行うことができる。
次に、シャリ玉Rを取り出すときは、操作者は、図1(a)の状態から、上蓋2を矢印G方向にスライドさせれば良い(図11の状態)。上記上蓋2はその回転支点である突起45を中心として、図7(a)の位置から図7(b)の位置まで回動する。すると、それに連動して開閉扉41も矢印A方向にスライドして縦方向開口部3が全開状態となる(図11の状態)。
その後、制御部49は、開閉センサ55に基づいて開閉扉41が開いたことを検知すると(図15P1)、最上段のリング状トレー6を駆動すべく駆動モータ81を駆動して歯車71により最上段のリング状トレー6のみを矢印A方向に回動開始する(図15P2)。そして、制御部49は、最初のシャリ玉載置位置6cのシャリ玉検出センサ48からの反射光を検出すると、シャリ玉Rが存在すると判断し(図15P3)、駆動モータ81の回転を停止してリング状トレー6の回転を停止する(図15P4)。この状態においては、図1(b)に示すように、最上段のリング状トレー6のみが矢印A方向に所定角度回転し、最初のシャリ玉Rが縦方向開口部3の略中央に臨出して停止している状態なので、操作者は当該開口部3に位置するシャリ玉Rを容易に取り出すことができる。
食材塊載置位置6cのシャリ玉Rを取り出すと、シャリ玉検出センサ48のレーザ光りは開口6dを通過し反射光が消勢するので、当該センサ48を通じて制御部49はシャリ玉Rが取り出されたと判断し(図15P5)、装置の停止操作がなされていなければ(図15P6)、プログラムの先頭に戻り、開閉扉41が開成状態であれば(図15P1)、駆動モータ81の駆動を再開し(図15P2)、次のシャリ玉載置位置6cにもシャリ玉Rが載置されていれば(図15P3)、リング状トレー6の次のシャリ玉Rが上記縦方向開口部3の略中央位置に到来した時点で、最上段のリング状トレー6の回転が停止される(図15P4)。以降は、操作者の次のシャリ玉Rの取り出し(図15P5)、リング状トレー6の所定角度の回転(図15P6〜P4)、の動作が繰り返し行われる。よって、操作者は、上記縦方向開口部3に順次停止状態で臨出するシャリ玉Rを必要なだけ取り出すことができる。
必要量のシャリ玉Rを取り出した後は、上蓋2を矢印G方向とは逆方向にスライドして閉鎖すれば良い(図1(b)の状態から図1(a)の状態)。すると、図7(c)の状態から図7(a)の状態に突起46が移動することにより、開閉扉41も同時に閉鎖方向に移動し、縦方向開口部3は上記開閉扉41により完全に閉鎖され、扇型切欠35も上蓋2によって閉鎖される。このとき、制御部49は開閉センサ55に基づいて開閉扉41が閉鎖されたことを検出するので(図15P1)、駆動モータ8の回転を停止して最上段のリング状トレー6の回転動作を停止する(図15P7)。
この開閉扉10の閉鎖状態では、上述のように、食材塊保管装置1内は、適温に維持され、酢水による加湿状態にあるので、シャリ玉Rの乾燥、酢抜け、菌の増殖が抑えられ、適切にシャリ玉Rを保管することができる。
上記制御部49は、内部カウンタ49aを内蔵しており(図14参照)、リング状トレー6が停止する度にカウント値をインクリメントして行き、上記最上段(1段)のリング状トレー6のシャリ玉Rの全17個をカウントした時点で、1段目のリング状トレー6を初期位置(図11の一部切欠9が縦方向開口3に一致する位置)に戻し、2段目のリング状トレー6の駆動モータ82に切り換える動作を行う。従って、最上段のリング状トレー6から回転が開始され、最上段のリング状トレー6のシャリ玉Rがなくなると、上記内部カウンタ49aにて17個のシャリ玉Rをカウントする度に、2段目、3段目のリング状トレー6を順次回転駆動して行く動作、即ち、各段のリング状トレーにおいて、図15に示す動作手順による同様の動作が、1段目から6段目まで順次行われる。即ち、1段目のリング状トレー6のみが回転し全部のシャリ玉Rが取り出された場合は、1段目のリング状トレー6の回転は初期位置(一部切欠9が縦方向開口3に位置するところ)で停止され、2段目のリング状トレー6のみが回転し全部のシャリ玉Rが取り出された場合は、2段目のリング状トレー6が同様の初期位置で停止され、3段目のリング状トレー6の回転が開始され、このような同様の動作が6段目のリング状トレー6まで順次行われる。このような動作により、最上段のリング状トレー6から最下段のリング状トレー6まで、いつでもシャリ玉Rの取り出しを容易に行うことができる。
以上のように、本発明によれば、円周方向に多数のシャリ玉(食材塊)を載置したリング状トレー6を筐体4内に多段に収納し得て、多数のシャリ玉(食材塊)Rを効率良く収納保管することができるし、各段のリング状トレー6を回転してシャリ玉Rを縦方向開口部3に順位停止状態で臨出し得るため、必要なときに必要なだけのシャリ玉Rを容易に取り出すこと可能となる。
よって、従来のように、シャリ玉供給装置(食材塊供給装置)を複数台設置する必要がなく、複数台の食材塊保管装置があれば、最小限(例えば1台)のシャリ玉供給装置により製造した多量のシャリ玉を、保温状態で、乾燥、酢抜けすることなく、最適な環境で長時間保管することができるため、多量のシャリ玉(食材塊)の作り置きを行うことができる。また、リング状トレー6により多段に積層状態でシャリ玉を保管し得るため、最小限のスペースで多量のシャリ玉(食材塊)を保管することができる。
また、縦方向開口部3を開放した状態においても、全てのシャリ玉(食材塊)Rが縦方向開口部3に直ちに露出することはなく、最上段のリング状トレー6から間歇的な回転が始まって順次シャリ玉Rが停止位置に臨出するので、シャリ玉Rを衛生的に保管することができる。
また、リング状トレー6に対するシャリ玉Rの供給動作を、従来のシャリ玉供給装置50を使用して簡易に行うことができる。
また、積層されたリング状トレー6を保持部材10により一体に挟持することができ、積層されたリング状トレー6を筐体4内に容易にセットすることができる。
また、ヒータ33により筐体4内のシャリ玉(食材塊)Rを適温に保温することができる。
また、筐体4内に例えば酢水の蒸気を拡散することができ、筐体4内を保湿し、各段のリング状トレー6に載置されたシャリ玉(食材塊)Rの乾燥、酢抜け等を防止することができる。
また、上蓋2を開成状態とするだけで開閉機構により縦方向開口部3を開状態とすることができ、上蓋2を閉鎖状態とするだけで開閉機構により縦方向開口部3を閉鎖することができ、縦方向開口部3の開閉及びリング状トレー6の回転動作を、上蓋2の開閉動作(ワンアクション動作)という簡単な操作により容易に開始することができる。
また、シャリ玉検出センサ48によりシャリ玉Rを検出したときは、リング状トレー6の回転を停止して縦方向開口部3にシャリ玉を確実に臨出させることができる。
また、縦方向開口部3が閉鎖されているときは、リング状トレー6の回転が行われないため、リング状トレー6の無駄な回転を防止して、縦方向開口部3を開成したときは、常にシャリ玉Rを臨出させることができる。
また、上記シャリ玉以外に、各種の食材塊(惣菜、シュウマイ、餃子等の保温性食材)の保温機能付、加湿機能付の保管装置として使用することができる。