(第1の実施の形態)
第1の実施の形態における送波装置100について、図に基づき説明する。図1は、送波装置100の全体を示す斜視図である。図2は、送波装置100の上面図である。図3は、送波装置100を図2のA−A断線面で送波装置100を切断したときの断面図である。
例えば、図1〜図3に示される送波装置100は、ウレタン樹脂等でモールドされた上で、アクティブソーナ装置の耐水圧容器に搭載される。なお、耐水圧容器は、水で満たされている。また、例えば、送波装置100は、信号増幅部(不図示)を介して、所定の周波数の電気信号を出力する信号生成部(不図示)と接続されている。
図1及び図3に示されるように、送波装置100は、送波器110a、110b及び接合部150を備えている。また、送波器110a及び送波器110bは互いに向かい合うように配置されている。図3に示されるように、送波器110aは、基材部120a、有孔圧電素子130a及び無孔圧電素子140aを備える。また、送波器110bは、基材部120b、有孔圧電素子130b及び無孔圧電素子140bを備える。以下の説明において、送波器110a、110bを区別しない場合は、各々を送波器110とする。同様に、送波器110aに含まれる構成要素と送波器110bに含まれる構成要素を区別しない場合は、各々の構成要素の名称に対してa又はbを付さない。例えば、有孔圧電素子130aと有孔圧電素子130bを区別しない場合は、有孔圧電素子130とする。
次に、送波器110の構成の各々について説明する。図4は、有孔圧電素子130側から見た送波器110の分解斜視図である。図5は、無孔圧電素子140側から見た送波器110の分解斜視図である。図3〜図5に示されるように、送波器110は、基材部120、有孔圧電素子130及び無孔圧電素子140を備えている。
図3〜図7を用いて、基材部120について説明する。図6及び図7は、基材部120の構成を示す斜視図である。図3〜図7に示されるように、基材部120は、第1の主面121、第1の凹部122、突起部123、第2の主面124及び第2の凹部125を有する。例えば、基材部120の材料には、アルミニウム合金等の高張力鋼を用いることが出来る。
第1の主面121は、基材部120の外形を構成する面である。第1の主面121は、第2の主面124の反対側の面である。図3、図4及び図6に示されるように、第1の主面121は、外周及び内周が円形の円環状の面及び、円形の面(後述する突起部123の面)によって構成されている。これら二つの面は、図3、図4及び図6に示されるように、同一面上に形成されている。
第1の凹部122は、基材部120の第1の主面121側に形成されている。図4及び図6に示されるように、例えば第1の凹部122の形状は、外周及び内周が円形の円環状の面を底面とする柱体である。図4に示されるように、第1の凹部122には、有孔圧電素子130が取り付けられる。
突起部123は、基材部120の第1の主面121側に形成されている。突起部123は、有孔圧電素子130の後述する貫通孔131に挿入される。図4及び図6に示されるように、例えば、突起部123は、円柱状に形成されている。上述の通り、突起部123の先端部側の面は、第1の主面121の一部を構成する。
第2の主面124は、基材部120における一つの面である。また、第2の主面124は、第1の主面121の反対側の面である。図5及び図7に示されるように、例えば、第2の主面124は、外周及び内周が円形の面である。
第2の凹部125は、基材部120の第2の主面124側に形成されている。例えば、図5及び図7に示されるように、第2の凹部125の形状は、円柱状である。図4及び図5に示されるように、第2の凹部145には、無孔圧電素子140が取り付けられる。
次に、有孔圧電素子130について説明する。図8は、有孔圧電素子130の斜視図である。図4、図5及び図8に示されるように、有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有する。例えば、図8に示されるように、有孔圧電素子130の形状は、外周及び内周が円である面を底面とする柱体状である。また、貫通孔131の形状は例えば、円柱状である。また、有孔圧電素子130は、分極処理によって、有孔圧電素子130の厚み方向(図8に記載の矢印Pの示す方向)に分極されている。具体的には、予め分極処理が施されている有孔圧電素子130においては、矢印Pの始点側に負電荷が偏っている。また、予め分極処理が施されている有孔圧電素子130においては、矢印Pの終点側に正電荷が偏っている。そのため、有孔圧電素子130は、矢印Pの方向に電圧を加えることによって、伸縮する。具体的には、有孔圧電素子130の上面(図8の紙面における上側の面)及び下面(図8の紙面における下側の面)の各々に電位を印加することにより、有孔圧電素子130は、当該有孔圧電素子130の上面の中心及び当該有孔圧電素子130の下面の中心から放射状に伸縮する。有孔圧電素子130の伸縮の具体的な説明は、後述の送波装置100の動作の説明に記載する。
また、有孔圧電素子130は、図4及び図5に示されるように基材部120に重ねられた上で、図1及び図3に示されるように第1の凹部122に固定される。有孔圧電素子130は、接着剤等によって、第1の凹部122に固定される。この際、有孔圧電素子130の側面は、第1の凹部122の側面に接着する。また、有孔圧電素子130の貫通孔131の側面は、突起部123の側面に接着する。このようにして、有孔圧電素子130は、第1の主面121側に保持される。これにより、有孔圧電素子130の貫通孔131の外周部に生じる応力集中を抑制できる。図3及び図4に示されるように、有孔圧電素子130が第1の主面121側に保持された際には、有孔圧電素子130の第1の主面121側の面(図4の紙面上における有孔圧電素子130の上面)は、第1の主面121と同一面上に配置される。
有孔圧電素子130の材料には、例えば、圧電セラミックを用いることができる。圧電セラミックは、他の圧電素子(圧電薄膜など)と比較して、電気機械結合係数が高いという利点がある。電気機械結合係数とは、電磁的エネルギーが力学的エネルギーに変換される効率を示す係数である。すなわち、圧電セラミック及び他の圧電素子(圧電薄膜など)の各々に等しい電圧を印加した場合、圧電セラミックは、他の圧電素子(圧電薄膜など)と比べて大きく伸縮する。このため、圧電セラミックは、圧電素子として広く用いられている。
一方で、圧電セラミックは、例えば、紛体(酸化チタン・酸化バリウムなど)が焼き固められた部材である。そのため、圧電セラミックは、一般的に、圧縮応力に対する弾性限度が引張応力に対する弾性限度よりも大きい特性を有する部材である。すなわち、圧電セラミックは、圧縮応力に対して強い一方で、引張応力に対して脆いという特徴を有する。
また、有孔圧電素子130の共振周波数は部材の厚さに依存するため、有孔圧電素子130a及び有孔圧電素子130bは、互いの共振周波数が一致しないように、有孔圧電素子130a及び有孔圧電素子130bの厚さが異なるように形成されている。
次に無孔圧電素子140について説明する。図9は無孔圧電素子140の斜視図である。無孔圧電素子140は貫通孔を有さない。図9に示されるように、例えば無孔圧電素子140の形状は、円柱状である。無孔圧電素子140は、分極処理によって、無孔圧電素子140の厚み方向(図9に記載の矢印Pの示す方向)に分極されている。具体的には、予め分極処理が施された無孔圧電素子140においては、矢印Pの始点側に負電荷が偏っている。また、予め分極処理が施された無孔圧電素子140においては、矢印Pの終点側に正電荷が偏っている。そのため、有孔圧電素子130は、矢印Pの方向に電圧を加えることによって、伸縮する。具体的には、無孔圧電素子140の上面(図9の紙面における上側の面)及び下面(図9の紙面における下側の面)にの各々に電位を印加することにより、無孔圧電素子140は、当該無孔圧電素子140の上面の中心及び当該無孔圧電素子140の下面の中心から放射状に伸縮する。無孔圧電素子140の伸縮の具体的な説明は、後述の送波装置100の動作の説明に記載する。
また、無孔圧電素子140は、図4及び図5に示されるように基材部120に重ねられた上で、図1及び図3に示されるように第2の凹部125に固定される。無孔圧電素子140は、接着剤等によって、第2の凹部125に固定される。この際、無孔圧電素子140の側面は、第2の凹部125の側面に接着する。このようにして、無孔圧電素子140は、第2の主面124側に保持される。図3に示されるように、無孔圧電素子140が第1の主面121側に保持された際には、無孔圧電素子140の第2の主面124側の面(図4の紙面上における無孔圧電素子140の上面)は、第2の主面124と同一面上に配置される。
無孔圧電素子140には、例えば圧電セラミックを用いることが出来る。また、無孔圧電素子140の共振周波数は部材の厚さに依存するため、無孔圧電素子140a及び無孔圧電素子140bは、互いの共振周波数が一致しないように、無孔圧電素子140a及び無孔圧電素子140bの厚さが異なるように形成されている。
なお、図3に示されるように、有孔圧電素子130及び無孔圧電素子140の上面及び下面の各々は、互いに平行になるように配置される。
以上、送波器110の構成について説明した。
図1及び図3を用いて、接合部150について説明する。接合部150は、輪状の部材である。図3に示されるように接合部150は、送波器110aの基材部120a及び送波器110bの基材部120bによって挟持されている。具体的には、接合部150は、送波器110a及び送波器110bの各々の基材部120の第1の主面141の外周部によって挟持されている。これによって、送波器110a及び送波器110bの中央部は、間隙を介して互いに向かい合う。このとき、図3に示されるように、送波器110aの第1の主面121a及び送波器110bの第1の主面121bは、間隙を介して互いに向かい合うように配置される。接合部150の材料には、例えば、マルエージング鋼等を用いることができる。
以上、送波装置100の構成について説明した。
次に、図10〜図13を用いて送波装置100の動作について説明する。図10〜図13は、送波装置100の動作を説明するための断面図である。図10及び図12に示す断面図は、図3に示される断面図に、圧電素子の伸縮方向を示す矢印を追加した図である。
図10及び図11を用いて、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図11の矢印Δ1が示す方向)に移動するように、送波器110a及び送波器110bを撓ませる動作について説明する。図10は、有孔圧電素子130a、130b及び無孔圧電素子140a、140bの分極方向Pが示されている。図10に示されるように、有孔圧電素子130a、130b及び無孔圧電素子140a、140bの分極方向Pは、接合部150から離れる方向に設定されている。
まず、無孔圧電素子140の第2の主面124側の面に電位V1を印加すると共に、無孔圧電素子140の第1の主面121側の面に電位V2を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、無孔圧電素子140は、底面に対して平行な方向(図10の矢印αが示す方向)に、無孔圧電素子140の中心部から外縁部に向けて放射状に伸びる。これにより、送波器110a及び送波器110bの各々における無孔圧電素子140が備えられている側の面(以下、「第2の主面124を含む面」とする。)において、第2の主面124を含む面の中心部から外縁部に向かって、放射状に広がる方向に力が作用する。
また、有孔圧電素子130の第1の主面121側の面に電位V1を印加すると共に、有孔圧電素子130の第2の主面124側の面に電位V2を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130は、底面に対して平行な方向(図10の矢印βが示す方向)に、当該有孔圧電素子130の外縁部から中心部に向けて放射状に縮む。これにより、送波器110a及び送波器110bの各々における有孔圧電素子130が備えられている側の面(以下、「第1の主面121を含む面」とする。)において、第1の主面121を含む面の外縁部から中心部に向かって、放射状に縮む力が作用する。
このように、中心部から外縁部に向かって広がる力が第2の主面124を含む面に作用する一方で、外縁部から中心部に向かって縮む力が第1の主面121を含む面に作用する。これによって、図11に示されるように、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図11の矢印Δ1が示す方向)に移動するように、送波器110a及び送波器110bの各々が撓む。
以上、送波器110a及び送波器110bを、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図11の矢印Δ1が示す方向)に移動するように、送波器110a及び送波器110bを撓ませる動作について説明した。
図12及び図13を用いて、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに近づく方向(図13の矢印Δ2が示す方向)に移動するように、送波器110a及び送波器110bを撓ませる動作について説明する。図12には、有孔圧電素子130a、130b及び無孔圧電素子140a、140bの分極方向Pが示されている。図12に示されるように、有孔圧電素子130a、130b及び無孔圧電素子140a、140bの分極方向Pは、接合部150から離れる方向に設定されている。
まず、無孔圧電素子140の第2の主面124側の面に電位V2を印加すると共に、無孔圧電素子140の第1の主面121側の面に電位V1を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、無孔圧電素子140は、底面に対して平行な方向(図12の矢印βが示す方向)に、無孔圧電素子140の外縁部から中央部に向かって放射状に縮む。これにより、送波器110a及び送波器110bの各々における第2の主面124を含む面において、第2の主面124を含む面の外縁部から中心部に向かって、放射状に縮む力が作用する。
また、有孔圧電素子130の第1の主面121側の面に電位V2を印加すると共に、有孔圧電素子130の第2の主面124側の面に電位V1を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130は、底面に対して平行な方向(図12の矢印αが示す方向)に、有孔圧電素子130の中心部から外縁部に向かって伸びる。これにより、送波器110a及び送波器110bの各々における第1の主面121を含む面において、第1の主面121を含む面の中心部から外縁部に向かって広がる力が作用する。
このように、中心部から外縁部に向かって広がる力が第1の主面121を含む面に作用する一方で、外縁部から中心部に向かって縮む力が第2の主面124に作用する。これによって、図13に示されるように、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに近づく方向(図13の矢印Δ2が示す方向)に移動するように、送波器110a及び送波器110bが撓む。この際、送波器110a及び送波器110bは、互いに接触しない程度に撓む。
以上、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに近づく方向(図12の矢印Δ2が示す方向)に移動するように、送波器110a及び送波器110bを撓ませる動作について説明した。
このように、送波器110a及び送波器110bの各々は、有孔圧電素子130及び無孔圧電素子140の各々の上面及び下面に、電位V1又は電位V2を交互に印加することで逆方向へ連続して撓む。具体的には、送波器110a及び送波器110bは、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図11の矢印Δ1が示す方向)に移動するように撓み、また、送波器110a及び送波器110bは、送波器110a及び送波器110bの各中央部が互いに近づく方向(図12の矢印Δ2が示す方向)に移動するように撓む。
送波装置100は、この動作を繰り返すことにより耐水圧容器内の水を振動させ、耐水圧容器を振動させる。送波装置100は、耐水圧容器を振動させることにより、深深度の水中において音波を送波する。
以上、送波装置100の動作について説明した。
次に、有孔圧電素子130が貫通孔131を有している意義を説明する。
まず、送波装置100を水中で使用する際には、送波装置100の全体に静水圧が加わるため、送波器110a及び送波器110bの中央部の各々が、互いに近づく方向(図13の矢印Δ2が示す方向)に撓む。この際には、送波器110a及び送波器110bの各々の第1の主面121を含む面が撓む。これによって、第1の主面121側に保持されている有孔圧電素子130には、引張応力が作用する。一般的に、部材の中央部に加わる引張応力(曲げ応力)は、部材の外周部に加わる引張応力に比べて大きい。そこで、中央部に大きな引張応力が加わらないようにするため、有孔圧電素子130の中央部に貫通孔131を設けた。これにより、有孔圧電素子130に加わる引張応力が、有孔圧電素子130の弾性限度を超えることを抑制できる。すなわち、有孔圧電素子130が破損することを抑制することができる。
以上、有孔圧電素子130が貫通孔131を有している意義を説明した。
次に、図14を用いて、送波装置100の具体例について説明する。図14は、送波装置100の具体例における送波器110を、第1の主面121側から見た際の図を示す平面図である。送波装置100の具体例においては、第1の主面121及び貫通孔131の側面との交線に囲まれた領域の面積が設定されている。例えば、第1の主面121の円状の面と貫通孔131の側面との交線に囲まれた領域(図14に示されるS1)の面積は、第1の主面121の円環状の面の外周によって囲まれた領域(図14に示されるS3)の面積の9%以上、且つ64%以下になるように設定されている。また例えば、有孔圧電素子130の外縁によって囲まれた領域(図14に示されるS2)の面積は、第1の主面121の円環状の面の外周によって囲まれた領域(図14に示されるS3)の面積の約72%になるように設定されている。
また、第1の主面121bの円状の面及び貫通孔131の側面の交線に囲まれた領域が円形であって、且つ第1の主面121の円環状の面の外周によって囲まれた領域が円形であるとする。例えば、この場合、第1の主面121bの円状の面と貫通孔131の側面との交線に囲まれた領域(図14に示されるS1)の半径(図14に示されるD1)は、第1の主面121の円環状の面の外周によって囲まれた領域(図14に示されるS3)の半径(図14に示されるD3)の30%以上、且つ80%以下であるように設定されている。また、例えば、有孔圧電素子130の外縁によって囲まれた領域(図14に示されるS2)のの半径(図14に示されるD2)は、第1の主面121の円環状の面の外周によって囲まれた領域(図14に示されるS3)の半径(図14に示されるD3)の85%であるように設定されている。
以上、送波装置100の具体例について説明した。
次に、送波装置100の変形例である送波装置100´について説明する。図15は、送波装置100´の外観を示す斜視図である。図16及び図17は、送波装置100´の基材部120´の外形を示す斜視図である。図18は、送波装置100´における有孔圧電素子130´の外形を示す斜視図である。図19は、送波装置100´における無孔圧電素子140´のの外形を示す斜視図である。
図15〜図17を用いて、送波装置100´における基材部120´について説明する。送波装置100の説明において、基材部120の第1の主面121は外周及び内周が円形の面であると説明したが、送波装置100´における基材部120´の第1の主面121´は、図16に示されるように外周及び内周が矩形の面である。
また、送波装置100の説明において、基材部120の第1の凹部122は、底面が円環面の柱体であると説明したが、送波装置100´における基材部120´の第1の凹部122´は、図16に示されるように外周及び内周が矩形の面を底面とする柱体である。
また、送波装置100の説明において、基材部120の突起部123の形状は円柱であると説明したが、送波装置100´における基材部120´の突起部123´の形状は、図16に示されるように直方体状である。
また、送波装置100の説明において、基材部120´の第2の主面124´は外周及び内周が円形の面であると説明したが、送波装置100´おける基材部120´の第2の主面124´は、図17に示されるように外周及び内周が矩形の面である。
また、送波装置100の説明において、基材部120の第2の凹部125の形状は円柱状であると説明したが、送波装置100´における第2の凹部125´の形状は、図17に示されるように直方体状である。
なお、送波装置100´における基材部120´の第1の主面121´、第1の凹部122´、突起部123´、第2の主面124´及び第2の凹部125´の形状は、上述した以外の形状であってもよい。
図18を用いて、送波装置100´における有孔圧電素子130´について説明する。送波装置100の説明において、有孔圧電素子130は、外周及び内周が円形の面を底面とする柱体状であると説明したが、送波装置100´における有孔圧電素子130´は、図18に示されるように、中央部に貫通孔を有する直方体状である。なお、有孔圧電素子130´は、その他の形状であっても良い。また、図18に示される貫通孔131´の形状は、直方体であるがその他の形状であっても良い。送波装置100´における有孔圧電素子130´の構成、接続関係及び機能は、上記の点を除いて、送波装置100の有孔圧電素子130と同等である。有孔圧電素子130´を送波装置100´に用いる場合、第1の凹部122´及び突起部123´は、有孔圧電素子130´の形状に対応するように形成されていることが好ましい。例えば、有孔圧電素子130´の形状が図18に示される形状である場合、第1の凹部122´の形状は、有孔圧電素子130´を収容可能な形状に形成されていることが好ましい。また、例えば、突起部123´の形状は、貫通孔131´と同一の形状であることが好ましい。
図19を用いて、送波装置100´における無孔圧電素子140´について説明する。送波装置100の説明において、無孔圧電素子140は、円柱状であると説明したが、送波装置100´における無孔圧電素子140´は、図19に示されるように直方体状である。また、無孔圧電素子140´は、その他の形状であっても良い。送波装置100´における無孔圧電素子140´の構成、接続関係及び機能は、上記の点を除いて、送波装置100の無孔圧電素子140と同等である。無孔圧電素子140´を送波装置100´に用いる場合、第2の凹部125´は、無孔圧電素子140´の形状に対応するように形成されていることが好ましい。例えば、無孔圧電素子140´の形状が図19に示される形状である場合、第2の凹部125´の形状は、無孔圧電素子140´を収容可能な形状に形成されていることが好ましい。
以上、送波装置100の変形例である送波装置100´について説明した。なお、送波装置100´の動作は、送波装置100の動作と同様である。
以上のように、本実施形態に記載の送波器110は、基材部120及び有孔圧電素子130を備えている。有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有する。また、基材部120は、有孔圧電素子130を保持する。有孔圧電素子130は、基材部120の第1の主面121側に保持される。
送波器110を水中で使用する際には、送波器110の全体に静水圧が加わるため、送波器110の第1の主面121は、中央部が外周部に対して突出するように変形する。この際、第1の主面121の反対側の面(第2の主面124)は、中央部が外周部に対して凹むように変形する。この変形によって、有孔圧電素子130が撓む。さらに、送波器110が動作している場合には、有孔圧電素子130は、有孔圧電素子130の伸縮によっても撓む。そのため、送波器110が動作している場合には、送波器110が動作していない場合に比べて、有孔圧電素子130に大きな引張応力が加わる。また、一般的に、部材の中央部に加わる応力(曲げ応力)は、部材の外周部に加わる応力に比べて大きい。そこで、有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有している。そのため、有孔圧電素子130の中央部には引張応力が加わらない。これにより、有孔圧電素子130に加わる引張応力が、有孔圧電素子130の弾性限度に達しにくくできる。この結果、有孔圧電素子130の破損を抑制できる。このように、送波器110によれば有孔圧電素子130が破損することを抑制できるので、音波を継続して送波できる。
以上のように、本実施形態に記載の送波器110は、基材部120に形成された突起部を更に備える。また、有孔圧電素子130は、貫通孔131が突起部123に取り付けられた上で、基材部120に保持される。
一般的には、貫通孔131が形成された部材に引張応力が作用する際には、該部材における貫通孔の外周部に、応力が集中する。そこで、有孔圧電素子130に応力が集中しないように、有孔圧電素子130は、貫通孔131が突起部123に取り付けられた上で、基材部120に保持される。これにより、送波器110の貫通孔131が形成された領域を含む断面積は、貫通孔131が形成されていない場合に比べて小さくならない。よって、送波器110においては、有孔圧電素子130に応力が集中しない。この結果、送波器110においては、有孔圧電素子130が破損することを抑制できる。
本実施形態の送波器110は、基材部120の第1の主面121側の反対側である第2の主面124側に、貫通孔を有しない無孔圧電素子140がさらに保持されている。
このように、送波器110は、第1の主面121側に有孔圧電素子130を備え、更に、第2の主面124側に無孔圧電素子140を備える。一般的に、送波器は基材部の撓み量(変形量)が大きいほど、より大きな出力の音波を送波できることが知られている。そのため、送波器110は、有孔圧電素子130及び無孔圧電素子140を備えることで、有孔圧電素子130のみを備える場合に比べて、より大きく基材部120を撓ませることが出来る。すなわち、送波器110は、より大きな出力の音波を送波できる。
本実施形態の送波装置100は、送波器110a及び送波器110bが間隙を介して互いに向かい合うように設けられている。
このように、送波装置100において、送波器110a及び送波器110bは、間隙を介して互いに向かい合うように設けられている。このため、送波装置100においては、送波器110a及び送波器110bが互いに接触することが抑制されている。これにより、送波器110a及び送波器110bが互いに接触することによって、送波装置100が破損することが抑制されている。この結果、送波装置100は、送波器110a及び送波器110bの接触によって各々が破損することによって音波の出力が下がることを抑制出来る。また、送波装置100は、二つの送波器110を備えているため、一つの送波器110によって音波を送波する場合に比べて、より大きな出力で音波を送波できる。
送波器110aの基材部120及び送波器110bの基材部120は、それぞれの第1の主面121が互いに向かい合ように配置されている。また、有孔圧電素子130は、圧縮応力に対する弾性限度が引張応力に対する弾性限度よりも大きい部材によって構成される。
このように、送波器110aの基材部120a及び送波器110bの基材部120bは、それぞれの第1の主面141が互いに向かい合ように配置されている。これにより、送波器110aの有孔圧電素子130及び送波器110bの有孔圧電素子130bは、送波装置100の内側に配置される。そのため、前述したように、送波装置100を水中で使用する際には、第1の主面141側に保持されている有孔圧電素子130に引張応力が加わる。しかし、有孔圧電素子130は中央部に貫通孔131を有している為、有孔圧電素子130の中央部には、引張応力が加わらない。これにより、有孔圧電素子130に加わる引張応力は、穴が形成されていない圧電素子に加わる引張応力に比べて、弾性強度に達することが抑制されている。
送波装置100は、送波器110a及び送波器110bが間隙を介して互いに向かい合うように、送波器110a及び送波器110bを接合する接合部150を更に備える。
このように送波装置100は、接合部150を備えている。このため、送波器110a及び送波器110bは、より安定して接合される。
(第2の実施形態)
次に、図20〜図27を用いて第2の実施形態に係る送波装置100Aについて説明する。また、本実施形態の説明において、第1の実施形態に係る送波装置100と同等の構成、接続関係及び機能を備える構成については、同じ符号を付している。なお、図20は、送波装置100Aの構成を示す斜視図である。
図20に示されるように送波装置200は、二つの第2の送波器110A及び接合部150を備える。ここで、第1の実施形態における送波装置100と本実施形態における送波装置100Aを対比する。第1の実施形態における送波装置100の説明において、送波装置100は、二つの送波器110(以下、「第1の送波器110」とする。)を備えるとした。一方で、本実施形態における送波装置100Aは、二つの第1の送波器110に代えて、二つの第2の送波器110Aを備える。
図21〜図23を用いて、第2の送波器110Aの構成について説明する。図21は、第1の主面121側から見た第2の送波器110Aの斜視図である。図22は、第2の主面124側から見た第2の送波器110Aの斜視図である。図23は、第2の送波器110Aの中央部の断面図である。図21〜図23に示されるように、第2の送波器110Aは、第2の基材部120A及び有孔圧電素子130を備える。ここで、第2の送波器110Aと図3〜図5に示される第1の送波器110とを対比する。
第1の送波器110と第2の送波器110Aとは、第1の送波器110が無孔圧電素子140を有する一方で、第2の送波器110Aが無孔圧電素子140を有さない点において相違する。
また、第1の送波器110と第2の送波器110Aとは、第1の送波器110が基材部120(以下、「第1の基材部120」とする。)を有する一方で、第2の送波器110Aは第1の基材部120に代えて第2の基材部120Aを有する点で相違する。図21〜図23を用いて、第2の基材部120Aについて説明する。図21〜図23に示されるように、第2の基材部120Aは、第1の主面121、第1の凹部122、突起部123及び第2の主面124を備える。ここで、第2の基材部120Aと図6に示される第1の基材部120とを対比する。第2の基材部120Aと第1の基材部120とは、第1の基材部120が第2の凹部125を有する一方で、第2の基材部120Aが第2の凹部125を有しない点において相違する。
また、第1の実施形態の説明において、第2の主面124は、外周及び内周が円形の面であると説明したが、本実施形態における第2の主面124は、円形である。
以上、送波装置100Aの構成について説明した。
次に、図24〜図27を用いて送波装置100Aの動作について説明する。図24〜図27は、送波装置100Aの動作を説明するための断面図である。
図24及び図25を用いて、二つの第2の送波器110Aの各中央部が互いに遠ざかる方向(図25の矢印Δ3が示す方向)に移動するように、二つの第2の送波器110Aを撓ませる動作について説明する。図24は、二つの第2の送波器110Aの各々の有孔圧電素子130の分極方向Pが示されている。図24に示されるように、二つの第2の送波器110Aの各々の有孔圧電素子130の分極方向Pは、接合部150から離れる方向に設定されている。
まず、有孔圧電素子130の第1の主面121側の面に電位V1を印加すると共に、有孔圧電素子130の第2の主面124側の面に電位V2を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130は、底面に対して平行な方向(図24の矢印βが示す方向)に、当該有孔圧電素子130の外縁部から中心部に向けて放射状に縮む。これにより、二つの第2の送波器110Aの各々における有孔圧電素子130が備えられている側の面(以下、「第1の主面121を含む面」とする。)において、第1の主面121を含む面の外縁部から中心部に向かって、放射状に縮む力が作用する。
このように、外縁部から中心部に向かって縮む力が第1の主面121を含む面に作用する。これによって、図25に示されるように、二つの第2の送波器110Aの各中央部が互いに遠ざかる方向(図25の矢印Δ3が示す方向)に移動するように、二つの第2の送波器110Aの各々が撓む。
以上、二つの第2の送波器110Aを、二つの第2の送波器110Aの各中央部が互いに遠ざかる方向(図25の矢印Δ3が示す方向)に移動するように、二つの第2の送波器110Aを撓ませる動作について説明した。
図26及び図27を用いて、二つの第2の送波器110Aの各中央部が互いに近づく方向(図27の矢印Δ4が示す方向)に移動するように、二つの第2の送波器110Aを撓ませる動作について説明する。図26には、二つの第2の送波器110Aの各々の有孔圧電素子130の分極方向Pが示されている。図26に示されるように、二つの第2の送波器110Aの各々の有孔圧電素子130の分極方向Pは、接合部150から離れる方向に設定されている。
まず、有孔圧電素子130の第1の主面121側の面に電位V2を印加すると共に、有孔圧電素子130の第2の主面124側の面に電位V1を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130は、底面に対して平行な方向(図26の矢印αが示す方向)に、有孔圧電素子130の中心部から外縁部に向かって伸びる。これにより、二つの第2の送波器110Aの各々における第1の主面121を含む面において、第1の主面121を含む面の中心部から外縁部に向かって広がる力が作用する。
このように、中心部から外縁部に向かって広がる力が第1の主面121を含む面に作用する。これによって、図27に示されるように、二つの第2の送波器110Aの各中央部が互いに近づく方向(図27の矢印Δ4が示す方向)に移動するように、二つの第2の送波器110Aが撓む。この際、二つの第2の送波器110Aは、互いに接触しない程度に撓む。
以上、二つの第2の送波器110Aの各中央部が互いに近づく方向(図27の矢印Δ4が示す方向)に移動するように、二つの第2の送波器110Aを撓ませる動作について説明した。
このように、二つの第2の送波器110Aの各々は、有孔圧電素子130の上面及び下面に、電位V1又は電位V2を交互に印加することで逆方向へ連続して撓む。
送波装置100Aは、この動作を繰り返すことにより耐水圧容器内の水を振動させ、耐水圧容器を振動させる。そして、送波装置100Aは、耐水圧容器を振動させることにより、深深度の水中において音波を送波する。
以上、送波装置100Aの動作について説明した。
以上のように、本実施形態に記載の第2の送波器110Aは、第2の基材部120A及び有孔圧電素子130を備えている。有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有する。また、第2の基材部120Aは、有孔圧電素子130を保持する。有孔圧電素子130は、第2の基材部120Aの第1の主面121側に保持される。
第2の送波器110Aを水中で使用する際には、第2の送波器110Aの全体に静水圧が加わるため、第2の送波器110Aが変形する。この変形によって、有孔圧電素子130が撓む。この際の有孔圧電素子130は、電圧が印加されることによって伸縮する場合と異なり、静水圧による応力によって撓んでいる。さらに、第2の送波器110Aが動作している場合には、有孔圧電素子130は、有孔圧電素子130の伸縮によっても撓む。そのため、第2の送波器110Aが動作している場合には、第2の送波器110Aが動作していない場合に比べて、有孔圧電素子130に大きな引張応力が加わる。また、一般的に、部材の中央部に加わる応力(曲げ応力)は、部材の外周部に加わる応力に比べて大きい。そこで、有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有している。そのため、有孔圧電素子130の中央部には応力が加わらない。これにより、有孔圧電素子130に加わる応力が、有孔圧電素子130の弾性限度に達しにくくできる。この結果、有孔圧電素子130の破損を抑制できる。このように、第2の送波器110Aによれば有孔圧電素子130が破損することを抑制できるので、第2の送波器110Aの出力音波が低下することを抑制しつつ、音波を送波できる。
また、本実施形態に記載の第2の送波器110Aには、第2の主面124側に、無孔圧電素子140が保持されていない。よって、第2の送波器110Aは、より簡素な構成である。
(第3の実施形態)
次に、図28〜図35を用いて第3の実施形態に係る送波装置100Bについて説明する。また、本実施形態の説明において、第1の実施形態に係る送波装置100と同等の構成、接続関係及び機能を備える構成については、同じ符号を付している。なお、図28は、送波装置100Bの構成を示す斜視図である。
図28に示されるように送波装置100Bは、二つの第3の送波器110B及び接合部150を備える。ここで、第1の実施形態における第1の送波装置100と本実施形態における送波装置100Bとを対比する。第1の実施形態における第1の送波装置100の説明において、第1の送波装置100は、二つの第1の送波器110を備えるとした。一方で、本実施形態における送波装置100Bは、二つの第1の送波器110に代えて、二つの第3の送波器110Bを備える。
図29〜図31を用いて、第3の送波器110Bの構成について説明する。図29は、第1の主面121側から見た第3の送波器110Bの分解斜視図である。また、図30は、第1の主面121側から見た第3の送波器110Bの分解斜視図である。図31は、第3の送波器110Bの断面図である。図29〜図31に示されるように、第3の送波器110Bは、第3の基材部120B及び二つの有孔圧電素子130を備える。
ここで、第3の送波器110Bと図3〜図5に示される第1の送波器110とを対比する。第1の送波器110と第3の送波器110Bとは、第1の送波器110が無孔圧電素子140を有する一方で、第3の送波器110Bが無孔圧電素子140に代えて有孔圧電素子130を有する点で相違する。
また、第1の送波器110と第3の送波器110Bとは、第1の送波器110が第1の基材部120を有する一方で、第3の送波器110Bは第1の基材部120に代えて第3の基材部120Bを有する点で相違する。
図29〜図31を用いて、第3の基材部120Bについて説明する。図29〜図31に示されるように、第3の基材部120Bは、第1の主面121、第1の凹部122、突起部123(以下、「第1の突起部123」とする。)、第2の主面124、第2の凹部125及び第2の突起部126を備える。ここで、第3の基材部120Bと、図6に示される第1の基材部120とを対比する。第3の基材部120Bと第1の基材部120とは、第1の基材部120が第2の突起部126を有しない一方で、第3の基材部120Bが第2の突起部126を有する点において相違する。
第2の突起部126について説明する。第2の突起部126は、第3の基材部120Bの第2の主面124側に形成されている。第2の突起部126は、有孔圧電素子130の貫通孔131に挿入される。図30に示されるように、第2の突起部126の形状は、第1の突起部123の形状と同様に、円柱状である。
また、第1の実施形態の説明において、第2の主面124は、外周及び内周が円形の面であると説明したが、第3の送波器110Bにおける第2の主面124は、図30に示されるように、外周及び内周が円形の面及び、円形の面(後述する突起部126の面)の二面によって構成されている。
以上、送波装置100Bの構成について説明した。
次に、図32〜図35を用いて送波装置100Bの動作について説明する。図32〜図35は、送波装置100Bの動作を説明するための断面図である。本説明において、二つの有孔圧電素子130の各々を区別する為に、第3の基材部120Bの第1の主面121側に保持されている有孔圧電素子130を、有孔圧電素子130Baとする。また、第3の基材部120Bの第2の主面124側に保持されている有孔圧電素子130を、有孔圧電素子130Bbとする。
図32及び図33を用いて、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図33の矢印Δ5が示す方向)に移動するように、二つの第3の送波器110Bを撓ませる動作について説明する。図32には、二つの第3の送波器110Bの各々の有孔圧電素子130Ba及び有孔圧電素子130Bbの分極方向Pが示されている。図32に示されるように、二つの第3の送波器110Bの各々の有孔圧電素子130Ba及び有孔圧電素子130Bbの分極方向Pは、接合部150から離れる方向に設定されている。
まず、有孔圧電素子130Baの各第1の主面121側の面に電位V1を印加すると共に、有孔圧電素子130Baの各第2の主面124側の面に電位V2を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130Baは、底面に対して平行な方向(図32の矢印βが示す方向)に、当該有孔圧電素子130の外縁部から中心部に向けて放射状に縮む。これにより、二つの第3の送波器110Bの各々における第1の主面121を含む面において、第1の主面121を含む面の外縁部から中心部に向かって、放射状に縮む力が作用する。
また、有孔圧電素子130Bbの各第1の主面121側の面に電位V2を印加すると共に、有孔圧電素子130Bbの各第2の主面124側の面に電位V1を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130Bbは、底面に対して平行な方向(図32の矢印αが示す方向)に、有孔圧電素子130Bbの中心部から外縁部に向けて放射状に伸びる。これにより、二つの第3の送波器110Bの各々における第2の主面124を含む面において、第2の主面124を含む面の中心部から外縁部に向かって放射状に伸びる力が作用する。
このように、外縁部から中心部に向かって縮む力が第1の主面121を含む面に作用する一方で、中心部から外縁部に向かって放射状に伸びる力が第2の主面124を含む面に作用する。これによって、図33に示されるように、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図33の矢印Δ5が示す方向)に移動するように、二つの第3の送波器110Bの各々が撓む。
以上、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図33の矢印Δ5が示す方向)に移動するように、二つの第3の送波器110Bを撓ませる動作について説明した。
図34及び図35を用いて、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに近づく方向(図35の矢印Δ6が示す方向)に移動するように、二つの第3の送波器110Bを撓ませる動作について説明する。図34には、二つの第3の送波器110Bの各々の有孔圧電素子130Ba及び有孔圧電素子130Bbの分極方向Pが示されている。図34に示されるように、二つの第3の送波器110Bの各々の有孔圧電素子130Ba及び有孔圧電素子130Bbの分極方向Pは、接合部150から離れる方向に設定されている。
まず、有孔圧電素子130Baの各第1の主面121側の面に電位V2を印加すると共に、有孔圧電素子130Baの各第2の主面124側の面に電位V1を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130Baは、底面に対して平行な方向(図34の矢印αが示す方向)に、当該有孔圧電素子130の中心部から外縁部に向けて放射状に伸びる。これにより、二つの第3の送波器110Bの各々における第1の主面121を含む面において、第1の主面121を含む面の中心部から外縁部に向かって、放射状に伸びる力が作用する。
また、有孔圧電素子130Bbの各第1の主面121側の面に電位V1を印加すると共に、有孔圧電素子130Bbの各第2の主面124側の面に電位V2を印加する(電位V1>V2とする。)。この結果、有孔圧電素子130Bbは、底面に対して平行な方向(図34の矢印βが示す方向)に、有孔圧電素子130Bbの外縁部から中心部に向けて放射状に縮む。これにより、二つの第3の送波器110Bの各々における第2の主面124を含む面において、第2の主面124を含む面の外縁部から中心部に向かって放射状に縮む力が作用する。
このように、中心部から外縁部に向かって広がる力が第1の主面121を含む面に作用する一方で、外縁部から中心部に向かって縮む力が第2の主面124を含む面に作用する。これによって、図35に示されるように、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに近づく方向(図35の矢印Δ6が示す方向)に移動するように、二つの第3の送波器110Bが撓む。この際、二つの第3の送波器110Bは、互いに接触しない程度に撓む。
以上、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに近づく方向(図35矢印Δ6が示す方向)に移動するように、二つの第3の送波器110Bを撓ませる動作について説明した。
このように、二つの第3の送波器110Bの各々は、有孔圧電素子130Ba、130Bbの上面及び下面に、電位V1又は電位V2を交互に印加することで逆方向へ連続して撓む。具体的には、二つの第3の送波器110Bは、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに遠ざかる方向(図33の矢印Δ5が示す方向)に移動するように撓み、また、二つの第3の送波器110Bは、二つの第3の送波器110Bの各中央部が互いに近づく方向(図35の矢印Δ6が示す方向)に移動するように撓む。
送波装置100Bは、この動作を繰り返すことにより耐水圧容器内の水を振動させ、耐水圧容器を振動させる。そして、送波装置100Bは、耐水圧容器を振動させることにより、深深度の水中において音波を送波する。
以上、送波装置100Bの動作について説明した。
以上のように、本実施形態に記載の第3の送波器110Bは、第3の基材部120B及び二つの有孔圧電素子130を備えている。二つの有孔圧電素子130の各々は、中央部に貫通孔131を有する。また、第2の基材部120Aは、二つの有孔圧電素子130を保持する。一方の有孔圧電素子130は、第2の基材部120Aの第1の主面121側に保持される。他方の有孔圧電素子130は、第2の基材部120Aの第2の主面124側に配置される。
第2の送波器110Aを水中で使用する際には、第2の送波器110Aの全体に静水圧が加わるため、第2の送波器110Aが変形する。この変形によって、二つの有孔圧電素子130が撓む。この際の二つの有孔圧電素子130は、電圧が印加されることによって伸縮する場合と異なり、静水圧による応力によって撓んでいる。さらに、第2の送波器110Aが動作している場合には、二つの有孔圧電素子130は、各有孔圧電素子130の伸縮によっても撓む。そのため、第2の送波器110Aが動作している場合には、第2の送波器110Aが動作していない場合に比べて、二つの有孔圧電素子130に大きな引張応力が加わる。また、一般的に、部材の中央部に加わる応力(曲げ応力)は、部材の外周部に加わる応力に比べて大きい。そこで、二つの有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有している。そのため、二つの有孔圧電素子130の各中央部には応力が加わらない。これにより、二つの有孔圧電素子130に加わる応力が、各有孔圧電素子130の弾性限度に達しにくくできる。この結果、二つの有孔圧電素子130の破損を抑制できる。このように、第2の送波器110Aによれば二つの有孔圧電素子130が破損することを抑制できるので、第2の送波器110Aの出力音波が低下することを抑制しつつ、音波を送波できる。
また、第3の送波器110Bを水中で使用する際には、第3の送波器110Bの全体に静水圧が加わるため、第3の送波器110Bの第1の主面121は、中央部が外周部に対して突出するように変形する。一方で、第3の送波器110Bの第2の主面124は、中央部が外周部に対して凹むように変形する。この変形によって、第2の主面124側の有孔圧電素子130が撓む。さらに、第3の送波器110Bが動作している場合には、第2の主面124側の有孔圧電素子130は、二つの有孔圧電素子130の伸縮によっても撓む。そのため、第3の送波器110Bが動作している場合には、第3の送波器110Bが動作していない場合に比べて、有孔圧電素子130に大きな圧縮応力が加わる。また、一般的に、部材の中央部に加わる応力(曲げ応力)は、部材の外周部に加わる応力に比べて大きい。そこで、有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有している。そのため、第2の主面124側の有孔圧電素子130の中央部には圧縮応力が加わらない。これにより、有孔圧電素子130に加わる圧縮応力が、有孔圧電素子130の弾性限度に達しにくくできる。この結果、有孔圧電素子130の破損を抑制できる。このように、送波器110によれば有孔圧電素子130が破損することを抑制できるので、音波を継続して送波できる。
また、本実施形態に記載の第3の送波器110Bは、第1の主面121側及び第2の主面124側に有孔圧電素子130を備えている。これにより、本実施形態に記載の第3の送波器110Bは、第1の主面121側及び第2の主面124側の何れか一方にのみ有孔圧電素子130が備えられている場合と比べて、大きな音波を出力することが出来る。
また、本実施形態に記載の第3の送波器110Bが備える二つの有孔圧電素子130の各々は、互いに同形状である。そのため、本実施形態に記載の第3の送波器110Bにおいては、二つの圧電素子の形状が異なる場合と比べて、部品の種類を減らすことが出来る。
(第4の実施形態)
次に図21〜図23を用いて、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、図21〜図23に示される第2の送波器110Aを単体で用いる形態である。
本実施形態における第2の送波器110Aの構成は、第2の実施形態に係る第2の送波器110Aと同等である。具体的には、本実施形態における第2の送波器110Aは、第2の基材部120A及び有孔圧電素子130を備える。また、有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有する。また、有孔圧電素子130は、第2の基材部120の第1の主面121側に保持される。
一方で、本実施形態における第2の送波器110Aの各構成は、図21〜図23に示されるような形状でなくても良い。例えば、有孔圧電素子130の形状は、外周及び内周が楕円状の面を底面とする柱体であってもよい。また例えば、第2の基材部120Aの第1の主面121は、外周及び内周が楕円状の面であってもよい。
次に、第4の実施形態における第2の送波器110Aの動作について説明する。第4の実施形態における第2の送波器110Aの動作は、第2の実施形態における第2の送波器110Aの動作と同等である。具体的には、第4の実施形態における第2の送波器110Aは、有孔圧電素子130の上面及び下面に、電位V1又は電位V2を交互に印加することで逆方向に連続して撓む。
以上のように、本実施形態に記載の第2の送波器110Aは、第2の基材部120A及び有孔圧電素子130を備えている。有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有する。また、第2の基材部120Aは、有孔圧電素子130を保持する。有孔圧電素子130は、第2の基材部120Aの第1の主面121側に保持される。
第2の送波器110Aを水中で使用する際には、第2の送波器110Aの全体に静水圧が加わる。この際に、第2の送波器110Aは、第1の主面121の中央部が外周部に対して突出するように変形する場合と、第1の主面121の中央部が外周部に対して凹むように変形する場合とがある。
第2の送波器110Aが、第1の主面121の中央部が外周部に対して突出するように変形する場合について説明する。この場合の変形によって、有孔圧電素子130が撓む。さらに、第2の送波器110Aが動作している場合には、有孔圧電素子130は、有孔圧電素子130の伸縮によっても撓む。そのため、第2の送波器110Aが動作している場合には、第2の送波器110Aが動作していない場合に比べて、有孔圧電素子130に大きな引張応力が加わる。また、一般的に、部材の中央部に加わる応力(曲げ応力)は、部材の外周部に加わる応力に比べて大きい。そこで、有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有している。そのため、有孔圧電素子130の中央部には引張応力が加わらない。これにより、有孔圧電素子130に加わる引張応力が、有孔圧電素子130の弾性限度に達しにくくできる。この結果、有孔圧電素子130の破損を抑制できる。このように、第2の送波器110Aによれば有孔圧電素子130が破損することを抑制できるので、音波を継続して送波できる。
次に、第2の送波器110Aが、第1の主面121の中央部が外周部に対して凹むように変形する場合について説明する。この場合の変形によって、第2の主面124側の有孔圧電素子130が撓む。さらに、第2の送波器110Aが動作している場合には、第2の主面124側の有孔圧電素子130は、二つの有孔圧電素子130の伸縮によっても撓む。そのため、第2の送波器110Aが動作している場合には、第2送波器110Aが動作していない場合に比べて、有孔圧電素子130に大きな圧縮応力が加わる。また、一般的に、部材の中央部に加わる応力(曲げ応力)は、部材の外周部に加わる応力に比べて大きい。そこで、有孔圧電素子130は、中央部に貫通孔131を有している。そのため、有孔圧電素子130の中央部には圧縮応力が加わらない。これにより、有孔圧電素子130に加わる圧縮応力が、有孔圧電素子130の弾性限度に達しにくくできる。この結果、有孔圧電素子130の破損を抑制できる。このように、第2の送波器110Aによれば有孔圧電素子130が破損することを抑制できるので、音波を継続して送波できる。 以上、第4の実施形態について説明した。
以上のように、第1の実施形態における送波装置100は、二つの第1の送波器110と接合部150で構成されると説明した。また、第2の実施形態における送波装置100Aは、二つの第2の送波器110Aと接合部150で構成されるとした。また、第3の実施形態における送波装置100Bは、二つの第3の送波器110Bと接合部150で構成されるとした。
しかし、上記の例に限らず、第1の送波器110、第2の送波器110A及び接合部150を組み合わせても良い。また、第1の送波器110、第3の送波器110B及び接合部150を組み合わせても良い。また、第2の送波器110A、第3の送波器110B及び接合部150を組み合わせても良い。
また、以上のように第4の実施形態においては、第2の送波器110Aを単体で用いるとした。しかし、当該例に限らず、第1の送波器110又は第3の送波器110Bを単体で用いるとしても良い。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。