JP2006279701A - 圧電スピーカ及びこの圧電スピーカを備えた携帯電子機器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 圧電素子6によって振動板2を振動させ、音響を発生させる圧電スピーカ1において、圧電素子6が取り付けられ、信号電圧の印加にともなう圧電素子6の変形によって湾曲変形する弾性板7と、この弾性板7をその外周縁の少なくとも一部で保持する保持部材3,8と、この保持部材3,8に取り付けられ、弾性板7の湾曲変形により振動し、音響を発生させる振動板2と、弾性板7と振動板2との間に設けられ、一面が弾性板7に接触し他面が振動板2に接触するとともに、弾性板7の湾曲変形により屈曲変形して前記振動板を変形させる環状の振動伝達部材9とを有する。
【選択図】 図1
Description
このような圧電スピーカは、小型・薄型化や低電流駆動性に優れ、磁歪を生じないという利点から、最近では携帯電話機やPDA等の情報端末装置、携帯ゲーム機等の携帯電子機器に多く用いられている。
また、特許文献3に記載の圧電スピーカでは、圧電セラミック板(圧電素子)を貼り付けた振動板の外周縁部を発泡シリコン樹脂等の発泡樹脂で挟持し、この発泡樹脂をケース等で押圧して振動板を支持して、広い帯域で良好な音質を得るようにしている。
また、引用文献3に記載の圧電スピーカは、振動板を柔軟な発泡樹脂で挟み込んでいるため振動板が湾曲変形しやすくなるが、同時に湾曲変形時に振動板の外周縁も上下方向に移動しやすくなるため、それほど大きな音圧の増大効果は期待できないという問題がある。
振動伝達部材は、弾性板の「湾曲変形」を可能な限り妨げないようにするために柔軟な材料で形成されるのが好ましいが、弾性板の「湾曲変形」にともなって振動伝達部材を屈曲変形させるために、振動伝達部材は、例えば、径方向の幅寸法に比して肉厚を大きくするとよい。
弾性板の湾曲変形にともない環状の振動伝達部材が屈曲変形することで、振動伝達部材が振動板を押し上げる。そのため、弾性板の湾曲変形量よりも大きな変形を振動板に与えることができるので、振動伝達部材が振動増幅部材としての機能も果たすことになる。
このような嵌合凹部として、“<”形状、半円状、U字状などを挙げることができる。そして、このような嵌合凹部の底部に弾性板の外周縁を係合させ、接着材等を使用せずに弾性板を保持させることで、湾曲変形の自由度を妨げることなく、弾性板の移動を規制することができる。従って、より大きな音圧を振動板に伝達することができるという利点がある。
なお、この場合、請求項3に記載するように、緩衝材を介して前記嵌合凹部と弾性板とを係合させてもよい。このようにすることで、弾性板の湾曲変形量を調整し、圧電スピーカの音圧を調整することができる。
このようにすることで、弾性板の湾曲変形にともなう振動伝達部材の変形をしやすくすることができる。
なお、弾性板の湾曲変形にともなう振動伝達部材の変形を最大にするには、請求項7に記載するように、前記貫通孔の中心を前記弾性板の湾曲変形の変位点(湾曲変形の向きが変わる点)に位置させるとよい。
前記振動伝達部材は、請求項9に記載するように、前記振動板及び前記弾性板の双方又はいずれか一方に接合部で接合されているものとしてもよい。
これらは、接着材で接合してもよいし、溶接や溶着によって接合してもよい。
このようにすることで、振動伝達部材による振動板への変形増幅作用を損なうことなく、振動伝達部材を弾性板と振動板とに接合して、位置ずれを防止することができる。
この場合は、携帯電子機器の筐体の内部に弾性板の保持部を形成し、この保持部に保持させた弾性板と振動板との間に振動伝達部材を配置すればよい。
本発明においては、振動伝達部材の振動増幅効果により従来形の弾性板の保持構造でも音圧を高める効果があるが、弾性板の外周縁と係合する嵌合凹部を設けることで、さらに音圧を高めることができる。すなわち、嵌合凹部と弾性板とを係合させることにより、接着材を用いることなく弾性板を保持することが可能になり、弾性板が湾曲変形しやすくなって圧電スピーカの音圧をさらに高めることができるわけである。
本発明の圧電スピーカを備えた携帯電子機器は、広範囲な音量調整が可能で使い勝手を向上させることができる。
図1は、本発明の圧電スピーカの一実施形態にかかり、一部を破断した分解斜視図、図2は、この実施形態における圧電スピーカの断面図である。
なお、以下の説明において「上」と記載するときは図1及び図2の図面上方を指し、「下」と記載するときには、図1及び図2の図面下方を指すものとする。
そのため、傾斜面3aと傾斜面8aとが接した状態で上部カバー3と下部カバー8とを貼り合わせると、上部カバー3と下部カバー8との境界部分に、下部カバー8の他方の傾斜面8bと上部カバー3の傾斜面3aとで構成される“<”形の嵌合凹部4が全周にわたって形成される。
金属板7と嵌合凹部4との係合状態を図3に拡大して示す。
なお、このような条件を満たすのであれば、嵌合凹部4の断面形状は、上記したような二つの傾斜面3a,8bによって形成される“<”形に限らず、円弧状やU字状等、他の形状としてもよい。
この実施形態のように、金属板7の外周縁部分を上下のカバー3,8の間に形成した嵌合凹部4に係合させて取り付けて保持させるようにすれば、金属板7を固定するための接着材が不要になるうえ、接着材によって金属板7を固定する工程も不要になるため、圧電スピーカ1の製造コストを削減できるという利点がある。さらに、接着材等を使用すると、圧電素子6による金属板7の湾曲変形を妨げるという不都合が生じるが、接着材を使用していないためこのような不都合が生じず、より高い音圧を振動板2に伝達することができるという利点がある。
図5は、金属板7の「湾曲変形」にともなう振動伝達部材9の「屈曲変形」の概念を説明する概略図で、図5(a)は、圧電素子6に信号電圧が印加される前の初期状態を示す図、図5(b)は、圧電素子6に信号電圧が印加されて金属板7が凸状に湾曲変形したときの状態を示す図である。
図5(b)に示すように、信号電圧が印加されて金属板7が凸状に湾曲変形すると、状態を示す図である。
また、この屈曲変形の方向は、図5(b)に示すように、湾曲状に変形した金属板7の接線方向である。そのため、振動伝達部材9の屈曲変形により、振動板2が持ち上げられる。このときの振動板2の変形量(Δh2)は、金属板7の変形量(Δh1)に比して、屈曲変形した振動伝達部材9の孔92の内周縁側部分が金属板7の表面から離脱する距離(s)分だけ大きくなる。
なお、振動伝達部材9の材質として、上記したような比較的柔軟なものを選択することで、金属板7の湾曲変形を妨げないようにすることができる。
上面93a側では、孔92の内周面に沿った接着部分21で、振動板2に接合されている。また、下面93b側では、振動伝達部材9の外周縁に沿った接着部分71で金属板7に接着されている。
このような位置に上下二つの接着部分21,71を設けることで、振動伝達部材9を金属板7及び振動板2に接合しても、金属板7の湾曲変形や、これにともなう振動伝達部材9の屈曲変形を妨げないようにすることができる。
リード線5a,5bを介して圧電素子に信号電圧を印加すると、圧電素子6が変形して金属板7を湾曲変形させる。この湾曲変形は、金属板7と嵌合凹部4とが係合する頂部4aを支点とするものである。
金属板7が凸状に湾曲変形すると、この湾曲変形に応じて、振動伝達部材9が孔92及び切り込み91を節として屈曲状に折り曲げられる。
このとき、図5(b)を参照しながら説明したように、振動伝達部材9の孔92の内周縁に沿った部分が振動板2を持ち上げ変形させる。この変形量は、先に説明したように、金属板7の湾曲変形量より大きいものである。
このようにして、金属板7の湾曲変形が振動板2に伝達されて音響を発生させる。
本発明の圧電スピーカの他の実施形態を、図7を参照しながら説明する。
この実施形態の振動伝達部材9は、先の実施形態と同様に、正六角形状の孔92を有する環状のものであるが、その断面形状が、図示するように直角三角形状に形成されている。
また、この実施形態では、振動伝達部材9は振動板2及び金属板7と接合されておらず、単に接触しているのみである。
この場合は、携帯電子機器の筐体の内部に金属板7の外周縁部と係合する嵌合凹部4を形成し、この嵌合凹部4に、上記で説明したように金属板7を係合させて保持させる。
そして、筐体に取り付けた振動板2との金属板7との間に、上記で説明したような振動伝達部材9を配置すればよい。
このような構成の携帯電子機器によれば、幅広い帯域で良好な音響を得ることができ、使い勝手を向上させることができるという利点がある。
例えば、上記の説明では弾性板として金属板7を例に挙げて説明したが、圧電素子6の変形により弾性的に湾曲変形するものであれば、弾性板は金属に限らず樹脂やその他の材料で形成することも可能である。
また、上記の説明では、嵌合凹部4と金属板7との係合により金属板7を保持するようにしているが、本発明は振動伝達部材9の振動増幅効果により、特許文献1〜3に記載されているような従来形の金属板7の保持構造でも音圧を高めることが可能である。
さらに、振動伝達部材9と金属板7及び/又は振動板2との接合は接着材に限らず、振動伝達部材9を金属板7及び/又は振動板2に接合することができるのであれば、溶接や溶着等あってもよい。
また、振幅伝達部材9の形状は上記のものに限定されない。例えば、中央に形成する貫通状の孔92は必ずしも六角形である必要はなく、また、切り込みの数や位置も上記の説明に限定されるものではない。
2 振動板
21 接着部分
3 上部カバー
3a 傾斜面
4 嵌合凹部
4a 頂部
41a,41b 緩衝材
5a,5b リード線
6 圧電素子
7 金属板(弾性板)
71 接着部分
8 下部カバー
8a,8b 傾斜面
9 振動伝達部材
91 切り込み
92 孔
93a 上面
93b 下面
95 ブロック
C 軸線(金属板の変形の変位点)
Claims (11)
- 圧電素子によって振動板を振動させ、音響を発生させる圧電スピーカにおいて、
前記圧電素子が取り付けられ、信号電圧の印加による前記圧電素子の変形にともなって湾曲変形する弾性板と、
この弾性板をその外周縁の少なくとも一部で保持する保持部材と、
この保持部材に取り付けられ、前記弾性板の湾曲変形により振動し、音響を発生させる振動板と、
前記弾性板と前記振動板との間に設けられ、一面が前記弾性板に接触し他面が前記振動板に接触するとともに、前記弾性板の湾曲変形により屈曲変形して前記弾性板の湾曲変形を前記振動板に伝達する環状の振動伝達部材と、
を有することを特徴とする圧電スピーカ。 - 前記保持部材が、前記弾性板の外周縁部と係合する嵌合凹部を有し、前記嵌合凹部が、前記弾性板の移動を規制しつつ前記弾性板の湾曲変形を妨げないものであることを特徴とする請求項1に記載の圧電スピーカ。
- 前記嵌合凹部に緩衝材を介して前記弾性板を係合させたことを特徴とする請求項2に記載の圧電スピーカ。
- 前記振動伝達部材が、貫通孔から外周縁の手前まで放射状に伸びる切り込みを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電スピーカ。
- 前記貫通孔が正多角形で、この正多角形の頂部から前記振動伝達部材の径方向に前記切り込みを形成したことを特徴とする請求項4に記載の圧電スピーカ。
- 前記切り込みを、前記振動伝達部材の前記一面から前記他面まで貫通形成したことを特徴とする請求項4又は5に記載の圧電スピーカ。
- 前記貫通孔の中心を前記弾性板の湾曲変形の変位点に位置させたことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の圧電スピーカ。
- 前記振動伝達部材が、前記弾性板の湾曲変形の変位点を中心として環状に配置された複数のブロックからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電スピーカ。
- 前記振動伝達部材が前記振動板及び前記弾性板の双方又はいずれか一方に接合部で接合されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の圧電スピーカ。
- 前記振動伝達部材の前記接合部が、環状の前記振動伝達部材の中心側で前記振動板に接合され、前記振動伝達部材の外周縁側で前記弾性板に接合されることを特徴とする請求項9に記載の圧電スピーカ。
- 携帯電話機,PDA又は携帯ゲーム機のように音響出力機能を備えた携帯電子機器であって、請求項1〜10のいずれかに記載の圧電スピーカを備えたことを特徴とする携帯電子機器。
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