JP2007194907A - 電気振動変換器 - Google Patents

Abstract

【課題】 製品に落下などの衝撃が加わると、磁気回路部が過剰振幅し、基板が剥離する。
【解決手段】 ヨーク２の内部に積層された磁石３、トップレート４からなる磁気回路部１と、ヨーク２とトッププレート４との間に形成される磁気ギャップｇ内に配置されるボイスコイル５と、ボイスコイル５を保持する基板８と、筒状側壁部６ａと底部６ｂに板バネ６ｃを一体に成形した第１のサスペンション６と、磁気回路部１を保持し、片側はフレームにインサート成形された第２のサスペンション９と、ヨークの外周部に固定された重り１０と、第１のサスペンション６を覆うプロテクター１１を備えた電気振動変換器で、プロテクター１１は第１のサスペンション６の全面あるいは一部を覆うと共に、端面を折り曲げて形成した押圧部１１ａで基板８を保持し基板の固定力を向上させる。接着・乾燥の工数が削減可能。押圧部１１ａの長さを調整して振動共振周波数の変化を可能にする。
【選択図】 図１

Description

本発明は、携帯電話やＰＤＡなどの移動通信機器に組み込まれ、パネルや電話機の筐体等を振動させることにより、着信を知らせる電気振動変換器に関する。

従来、携帯電話やＰＤＡなどの移動通信機器には、使用者に着信を知らせるのに、ブザー音やメロディ音を発したり、音を出さずに機器の筐体を振動させるように切り替えて使用するように構成されている。そのために、小型スピーカに類する音響発生用のスピーカと、偏心重りを小型モータで回転させて振動を発生する振動体を合わせて内蔵する構造が取られてきた。しかし、このようにスピーカと振動体との両方を組込むことは機器の小型化や低価格化の上で不利であった。そこで、近年１個のもので音響と振動の両方を発生させる磁気駆動型アクチュエータである多機能振動アクチュエータ（振動体）が用いられるようになっている。（例えば、特許文献１参照）
特願２００５−１５６４８６号（第３頁、図１、図２）

先に、本出願人が出願した上記した特許文献１に開示されている振動体の構造は、図４及び図５で示される。図４、図５において、振動体の磁気回路部２１は、略碗形状をしたヨーク２２と、該ヨーク２２の内部に順次積み重ねられる平板状の磁石２３およびトップレート２４から構成される。そして、この磁気回路部２１と、ヨーク２２の側壁の内周部と平板状のトッププレート２４の外周部との間に形成される空隙（磁気ギャップ）ｇ内にボイスコイル２５を配設する。このボイスコイル２５は、エナメル被覆銅線であるコイル巻線を矩形断面を有する環状に巻回した空芯ボイスコイルであり、基板２８に位置決めされ接着されている。第１のサスペンション２６は筒状側壁部２６aを有し、該筒状側壁部２６aの底部２６bに板バネ２６cを一体に成形する。フレーム２７は前記第１のサスペンション２６の筒状側壁部２６aの端面に嵌め込まれている。基板２８の外径は前記第１のサスペンション２６の内径にて位置決めされ、基板２８はフレーム２７に接着して固定されている。

図５に示すように、前記第１のサスペンション２６は金属部材よりなり、その形状は、上述したように、金属薄板をプレスで深絞り加工して形成した筒状側壁部２６aと、該筒状側壁部２６aの底部２６bに板バネ２６ｃを一体に曲げ成形する。第１のサスペンション２６の板バネ２６ｃの形状は、同心の内部リング部と外部リング部と、両リング部を連結する円弧状のアーム部とによりなり、内周リング部で前記磁気回路部２１のヨーク２２の底面にレーザ溶接などで固定されている。リング状の重り２９は、内径部２９ａで前記ヨーク２２の外周に固定された付加質量である。

図６及び図７において、振動体の主要部の構造は上述した振動体と同様であるので説明は省略する。第２のサスペンション３１の片側は、リング形状をした樹脂フレーム２７にインサート成形されている。前記フレーム２７は第１のサスペンション２６に嵌め込まれている。基板２８の外径は前記第１のサスペンション２６の内径にて位置決めされ、基板２８はフレーム２７に接着して固定されている。上記した電気振動変換器の第１のサスペンション２６の底面２６b及び側面２６aの一部は、プロテクター３０で覆われている。

解決しようとする問題点としては、上記した構造の振動体において、基板はフレームに接着固定されているため、トッププレート、ヨーク、磁石で構成される磁気回路部は、第１のサスペンションと第２のサスペンションよりなる上下の板バネで取り付けられている、所謂サスペンション方式のため、磁気回路部が宙に浮いているので、予期しない落下などの衝撃が製品に加わった場合、磁気回路部が過剰振幅し、トッププレートの上面が基板の下面に接触し、基板を上方に押し上げる力が働き、基板がフレームから剥離する可能性がある。などの問題があった。

本発明は、上述の欠点を解消するもので、その目的は、接着剤を使用せずに、基板がフレームから剥離しないように固定力を向上させると同時に、接着剤の使用を止めて組立工数を削減し、振動共振周波数の調整を可能にした、信頼性に優れた安価な電気振動変換器を提供するものである。

上記目的を達成するために、本発明における電気振動変換器は、碗形状をしたヨークと、該ヨークの内部に順次積層される板状の磁石およびトップレートから構成される磁気回路部と、該磁気回路部のヨークの側壁の内周部とトッププレートの外周部との間に形成される空隙内に配置されるボイスコイルと、前記磁気回路部の外方でボイスコイルを保持する基板と、筒状側壁部を有し、該筒状側壁部の底部に板バネを一体に成形した第１のサスペンションと、前記磁気回路部を保持する第２のサスペンションと、前記ヨークの外周部に固定されたリング状の重りと、前記第１のサスペンションを覆うプロテクターを備えた電気振動変換器において、前記プロテクターは第１のサスペンションの全面あるいは一部を覆うと共に、端面を折り曲げて押圧部を形成し、該押圧部で前記基板を保持するように構成したことを特徴とするものである。

また、前記プロテクターの端面に形成した押圧部の長さを調整することにより、前記電気振動変換器の振動共振周波数を変化させることを特徴とするものである。

本発明の電気振動変換器は、製品全体をプロテクターで覆い、プロテクターの端面を折り曲げて押圧部を形成し、押圧部で基板を押さえ込むようにして保持するため、基板の固定力が向上するので、落下などの異常な衝撃が製品に加わっても、基板が剥離することはなく耐衝撃性が向上する。従って、接着剤を使用しないため、接着及び乾燥工程が不要となり、工数が削減する。また、接着剤を使用しないため、作業のバラツキが抑えられ、基板の固定力が安定する。更に、前記プロテクターの端面を折り曲げて形成した押圧部の長さ調整することにより、サスペンションの拘束状態が変わり、振動体の振動共振周波数を調整することが可能である。信頼性に優れた、安価な電気振動変換器を提供することができる。

本発明の電気振動変換器について、図面に基づいて説明する。

図１〜図３は、本発明の実施例に係わり、図１は、電気振動変換器の断面図、図２は、図１の平面図、図３は、第２のサスペンションの平面図である。図１、図２において、従来例と同様に、この電気振動変換器の磁気回路部１は、略碗形状をしたヨーク２の内部に順次積み重ねられる平板状の磁石３およびトッププレート４から構成される。そして、この磁気回路部１と、ヨーク２の側壁の内周部と平板状のトッププレート４の外周部との間に形成される空隙（磁気ギャップ）ｇ内にボイスコイル５を配設する。このボイスコイル５は、基板８に位置決めされ接着されている。第１のサスペンション６は筒状側壁部６aを有し、該筒状側壁部６aの底部６bに板バネ６cを一体に成形されており、内周リング部で前記磁気回路部１のヨーク２の底面にレーザ溶接などで固定されている。第２のサスペンション９の片側はリング形状をしたフレーム７にインサート成形されていて、フレーム７は前記第１のサスペンション６の筒状側壁部６aの端面に嵌め込まれている。基板８の外径は前記第１のサスペンション６の内径にて位置決めされている。１０は、付加質量としてのリング状の重りで、内径部１０ａで前記ヨーク２の外周に固定されている。

上記した電気振動変換器の第１のサスペンション６の底面６b及び側面６aの全面をプロテクター１１で覆い、プロテクター１１の端面を折り曲げて押圧部１１aを形成して、該押圧部１１ａで基板８の外周部を押さえ込み保持するものである。

図３は、第２のサスペンション９の平面図である。図３において、９aは有効バネ部、９bはバネ拘束部、９cは拘束状態を変えることで寸法が変化する部分を示すものである。前記プロテクター１１の端面に形成された押圧部１１aで前記バネ拘束部９bを押さえ込み、押圧部１１ａの長さ（折り曲げ量）を調整することで、拘束状態が変化し、有効バネ部９aの有効バネ長が変化する。例えば、押圧部１１ａの長さ（折り曲げ量）を増やすと、内部に配置されたサスペンションの拘束状態が強くなり、結果として振動共振周波数が高くなる。反対に、押圧部１１ａの長さ（折り曲げ量）を減らすと、内部に配置されたサスペンションの拘束状態が弱くなり、結果として振動共振周波数が低くなる。

以上、述べた構成の電気振動変換器の作用・効果について説明する。本発明の電気振動変換器は、製品全体をプロテクターで覆い、プロテクターの端面を折り曲げた押圧部で基板を押さえ込むことにより、基板の固定力が向上する。また、従来、基板とフレームの固定に接着剤を使用していたが、本発明では接着剤を使用しないため、接着と乾燥工程が不要となり、その分の工数が削減できる。また、接着剤を使用しないため、作業のバラツキが抑えられ、基板の固定力が安定する。更に、プロテクターの折り曲げ量を調整することで、振動共振周波数を調整することができる。信頼性に優れた、安価な電気振動変換器を提供することが可能である。

本発明の実施例に係わる電気振動変換器の断面図である。 図１の平面図である。 図１の第２のサスペンションの平面図である。 従来の振動体の断面図である。 図４のサスペンションの斜視図である。 従来の他の振動体の断面図である。 図６の平面図である。

符号の説明

１ 磁気回路部
２ ヨーク
３ 磁石
４ トップレート
５ ボイスコイル
６ 第１のサスペンション
６ａ 筒状側壁部
６ｂ 底部
６ｃ 板バネ
７ フレーム
８ 基板
９ 第２のサスペンション
１０ 重り
１１ プロテクター
１１a 押圧部
g 磁気ギャップ

Claims (2)

1. 碗形状をしたヨークと、該ヨークの内部に順次積層される板状の磁石およびトップレートから構成される磁気回路部と、該磁気回路部のヨークの側壁の内周部とトッププレートの外周部との間に形成される空隙内に配置されるボイスコイルと、前記磁気回路部の外方でボイスコイルを保持する基板と、筒状側壁部を有し、該筒状側壁部の底部に板バネを一体に成形した第１のサスペンションと、前記磁気回路部を保持する第２のサスペンションと、前記ヨークの外周部に固定されたリング状の重りと、前記第１のサスペンションを覆うプロテクターを備えた電気振動変換器において、前記プロテクターは第１のサスペンションの全面あるいは一部を覆うと共に、端面を折り曲げて押圧部を形成し、該押圧部で前記基板を保持するように構成したことを特徴とする電気振動変換器。
2. 前記プロテクターの端面に形成した押圧部の長さを調整することにより、前記電気振動変換器の振動共振周波数を変化させることを特徴とする請求項１記載の電気振動変換器。
   

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