JP2018174107A - 正極、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
また、例えば特許文献2には、正極と負極とを隔離するセパレータの厚さ方向の熱伝導率を高くし(0.5W/(m・k)以上)、除熱性を高めることで、電池内部の温度上昇を抑える仕組みが提案されている。
(1)本発明の第1の態様にかかる正極は、正極集電体と、前記正極集電体上の主面に形成された正極層と、前記正極層を構成する活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する熱伝導性材料とを有する。前記正極層内における、前記熱伝導性材料に被覆された前記活物質粒子の体積含有率は65パーセント以上である。
図1は、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池の断面模式図である。図1に示すリチウムイオン二次電池100は、主として積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60、62を備えている。
また図示されていないが、積層体40とともに電解液が、ケース50内に収容されている。
セパレータ10は、電気絶縁性の多孔質構造から形成されていればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリオレフィンからなるフィルムの単層体、積層体や上記樹脂の混合物の延伸膜、或いはセルロース、ポリエステル及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の構成材料からなる繊維不織布が挙げられる。
正極20は、正極集電体22と、正極集電体22の上に設けられた正極活物質層24とを有する。
正極集電体22には、導電性の板材であればよく、例えばアルミニウム、銅、ニッケル箔等の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24は、正極を構成する活物質の粒子と、該粒子の表面の少なくとも一部を被覆する熱伝導性材料と、正極バインダーとを有し、必要に応じて正極導電材を有する。
正極活物質には、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンとリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、PF6−)とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能な電極活物質を用いることができる。正極活物質としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn2O4)、及び、一般式:LiNixCoyMnzMaO2(x+y+z+a=1、0≦x<1、0≦y<1、0≦z<1、0≦a<1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV2O5)、オリビン型LiMPO4(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又はVOを示す)、LiNixCoyAlzO2(0.9<x+y+z<1.1)等の複合金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等が挙げられる。
上記各種の正極活物質の粒子は、単体の一次粒子が複数個集まって結合した二次粒子を形成していてもよい。これにより、正極活物質層24の内部は、一次粒子と二次粒子とが混在した状態となるが、一次粒子の表面だけでなく、二次粒子の表面の少なくとも一部が熱伝導性材料により被覆されている。なお、正極活物質層24に、二次粒子に対して一次粒子が多く存在していると、一次粒子の表面を被覆している熱伝導性材料の量が多くなり、正極活物質層24内に必要十分な量の正極活物質を確保できないことが予想される。したがって、正極活物質層24内には適切な量の二次粒子が存在していることが好ましい。
熱伝導性材料としては、カーボンナノチューブ、グラフェン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、窒化ケイ素、六方晶窒化ホウ素が挙げられる。活物質粒子の表面は、これら各種の熱伝導性材料の少なくとも一種により被覆されている。正極活物質層24の内部においては、図2に示すように、表面を熱伝導性材料26に被覆された活物質粒子(一次粒子27、二次粒子28を含む)が、正極集電体22の主面に平面的に広がりつつ相互に繋がりを維持しており、一次、二次の粒子間には電解液及び樹脂が充填されている。正極活物質層24には、活物質粒子の表面を被覆する熱伝導性材料が連鎖的に接続することによってパーコレーション(percolation)が形成され、そのパーコレーションを介して熱伝導の経路がランダムに形成される。なお、パーコレーションが正極活物質層24の全域にほぼ均一な状態で形成され、正極活物質層24の面内方向に高い熱伝導性を得るには、熱伝導性材料に被覆された活物質粒子が、正極活物質層24に適量に含有されている必要がある。
正極導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。なお、正極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、正極活物質層24は導電材を含んでいなくてもよい。
正極に用いるバインダーは、熱伝導性材料に被覆された活物質の粒子同士を結合すると共に、活物質と正極集電体22とを結合する。バインダーとして使用される材料は、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
負極30は、負極集電体32と、負極集電体32の上に設けられた負極活物質層34とを有する。
負極集電体32も、導電性の板材であればよく、正極集電体22と同様に、例えばアルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極を構成する活物質の粒子と、負極バインダーとを有し、必要に応じて負極導電材を有する。
負極活物質には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な、公知のリチウムイオン二次電池用の負極活物質を用いることができる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、SiOx(0<x<2)、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。
負極に用いる同電材としては、正極と同じものを使用できる。なお、負極活物質のみで十分な導電性を確保できる場合は、負極活物質層34は導電材を含んでいなくてもよい。
負極に用いるバインダーとしても、正極と同じものを使用できる。
電解液には、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いため、充電時の耐用電圧が低く制限される。そのため、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封する。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン二次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。
リード60、62は、アルミ等の導電材料から形成されている。リード60、62を正極集電体22のタブ22a、負極集電体32の32aにそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールする。
リチウムイオン二次電池100を製造する方法について具体的に説明する。
まず、正極の活物質粒子(一次粒子、二次粒子を含む)の表面を、熱伝導性材料により被覆する。次に、表面を熱伝導性材料に被覆された活物質粒子、バインダー及び溶媒を混合して正極用の塗料を作製する。必要に応じ導電材を更に加えても良いし、分散剤を加えても良い。分散剤を添加することで、表面を熱伝導性材料に被覆された活物質粒子が均等に塗料内に分散するので、正極活物質層内にパーコレーションを効果的に形成することが可能である。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。正極活物質、導電材、バインダーの構成比率は、質量比で80wt%〜98wt%:0wt%〜10.0wt%:2.0wt%〜10.0wt%であることが好ましい。これらの質量比は、全体で100wt%となるように調整される。
除去方法は特に限定されない。例えば、塗料が塗布された正極集電体22及び負極集電体32を、80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
(A)正極活物質層内の空孔率(空孔が占める割合)
(B)正極活物質層内の活物質二次粒子が占める割合
(C)正極活物質層内のグラフェンが占める割合
(D)正極活物質層内におけるパーコレーション形成の有無
(E)正極層の厚さ(μm)
ここで、上記(A)、(B)及び(C)については、正極活物質層の断面資料を層状に取得し、SEM(走査電子顕微鏡)を使って観察し、その層状の断面資料に含まれる各状態値を元に積分して求めた。上記(D)については、正極活物質層の断面資料を取得し、その断面資料のいくつかの箇所をSEMを使って観察し、パーコレーションが形成されているか否かを判断した。上記(E)については、正極活物質層の断面資料を取得し、その断面資料をSEMを使って観察して求めた。
正極集電体としてアルミニウムの薄板を用意するとともに、正極活物質としてLiNi0.8Co0.15Al0.05O2 (以下、「NCA」という。)を85重量%、熱伝導性材料としてグラフェンを5重量%、バインダーとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)を9.5重量%、分散剤としてメチルセルロースを0.5重量%それぞれ用意した。次に、これらをN−メチルピロリドン(NMP)溶液と混合して正極用スラリーを調製した。この正極用スラリーを、アルミニウムの薄板上にドクターブレード法により塗布した後、線圧1000kgf・cmで加圧ロールに通すことで活物質層の膜厚55.0μmの正極を作製した。この正極活物質層内のグラフェンの量は7.3体積%、表面をグラフェンに被覆された活物質二次粒子の量は66体積%、空孔率は15体積%であった。
試料1と同じ手順でリチウムイオン二次電池を作製した。ただし、試料1と異なるのは、正極用スラリーに、正極活物質としてNCAを80重量%、熱伝導性材料としてグラフェンを10重量%それぞれ使用した点と、容量を共通にするために正極活物質の含有割合に応じて電極塗布量を増大させた点である。このリチウムイオン二次電池において、正極活物質層内のグラフェンの量は14.0体積%、表面をグラフェンに被覆された活物質二次粒子の量は67体積%、空孔率は15体積%、正極活物質層の膜厚は61.09μmであった。
試料1と同じ手順でリチウムイオン二次電池を作製した。ただし、容量を共通にするために正極活物質の含有割合に応じて電極塗布量を増大させ、ロールプレスの線圧を500kgf・cmに変更したため、このリチウムイオン二次電池において、正極活物質層内の空孔率は25体積%、正極活物質層の膜厚は69.23μmであった。
試料1と同じ手順でリチウムイオン二次電池を作製した。ただし、試料1と異なるのは、正極用スラリーに、正極活物質としてNCAを80重量%、熱伝導性材料としてグラフェンを10重量%それぞれ使用した点と、容量を共通にするために正極活物質の含有割合に応じて電極塗布量を増大させ、ロールプレスの線圧を500kgf・cmに変更した点である。このリチウムイオン二次電池において、正極活物質層内の空孔率は25体積%、正極活物質層の膜厚は87.15μmであった。
Claims (5)
- 正極集電体と、
前記正極集電体上の主面に形成された正極層と、
前記正極層を構成する活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する熱伝導性材料とを有し、
前記正極層内における、前記熱伝導性材料に被覆された前記活物質粒子の体積含有率が65パーセント以上である正極。 - 前記熱伝導性材料として、カーボンナノチューブ、グラフェン、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、窒化ケイ素、六方晶窒化ホウ素のいずれかを少なくとも一種含む請求項1に記載の正極。
- 前記活物質粒子は、単体の一次粒子と、複数の前記一次粒子が集って結合した二次粒子とを含み、
前記二次粒子の表面の少なくとも一部が、前記熱伝導性材料により被覆されている請求項1又は2に記載の正極。 - 前記正極層内における前記熱伝導性材料の体積含有率が10パーセント以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の正極。
- 請求項1から4のいずれか一項に正極と、
負極集電体と、前記負極集電体上の主面に形成された負極層とを有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在して双方を隔てるセパレータと、
非水電解液とを備えるリチウムイオン二次電池。
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