JP2018174030A - エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置及び劣化判定方法 - Google Patents

エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置及び劣化判定方法 Download PDF

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Koichi Komiyama
浩一 小見山
谷口 順一
Junichi Taniguchi
順一 谷口
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Abstract

【課題】点火プラグの経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができる、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置及び劣化判定方法を提供する。【解決手段】劣化判定装置の判定コンピュータの失火判定部は、電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、エンジンにおいて失火が生じていると判定する。判定コンピュータの磨耗判定部は、最大放電電圧Vmaxが、使用初期の放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧よりも高い値に設定された磨耗判定値V2を超えたときに、点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する。【選択図】図5

Description

本発明は、エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する装置及び方法に関する。
エンジンに装着された点火プラグは、中心電極と接地電極との間の放電ギャップに火花を発生させることによって、エンジンの燃焼室内の混合気に点火するものである。点火プラグの使用初期においては、放電ギャップの大きさは、放電ギャップにおいて絶縁破壊による火花が発生し、かつ燃焼室内において消炎作用による失火が発生しない電極間の最小距離として設定されている。点火プラグの放電ギャップは、火花を発生させる性質上、使用時間に応じた中心電極及び接地電極の磨耗によって大きくなる。そして、この摩耗の度合いが顕著になったときには、放電ギャップの拡大に伴う誘導放電の減少により、火炎核が形成されなくなって、エンジンにおける失火を生じさせることになる。
そこで、点火プラグの放電ギャップの経年変化を監視するために、点火プラグにおける放電電圧を検出し、この放電電圧が規定値よりも大きくなった場合には、放電ギャップが大きくなったことを判定する技術が知られている。例えば、特許文献1のガスエンジンの点火プラグ監視装置においては、点火プラグにおける放電電圧が所定の上限値を超えた場合には、放電ギャップが大きくなったことを検知し、点火プラグにおける放電電圧が所定の下限値未満になった場合には、短絡又はショートサーキットが生じたことを検知している。また、例えば、特許文献2の点火プラグの磨耗検出方法においては、点火プラグにおける放電電圧が基準値よりも大きくなっていないかを検知する際に、エンジンの負荷の状況を検出し、この負荷の大きさによって基準値を補正している。
また、エンジンにおける失火を検出する技術としては、例えば、特許文献3に示されるガソリン機関の失火検出装置がある。この失火検出装置においては、センサ出力が基準値よりも大きい間、ハイレベルの出力信号の出力を維持し、ハイレベルの継続時間が長い場合を失火と判定し、短い場合を着火と判定している。
特開平10−189213号公報 特開平8−106970号公報 特開平7−19152号公報
しかしながら、従来のエンジン又は点火プラグの状態を監視する装置又は方法においては、エンジンにおいて失火が生じているか、又は点火プラグの放電ギャップに経年変化が生じているかをそれぞれ単独で判定している。そのため、失火の有無を判定する場合には、放電ギャップの経年変化を判定することができず、放電ギャップの経年変化を判定する場合には、失火の有無を判定することができない。従って、失火が生じるほど点火プラグが経年変化しているのか、失火は生じないが放電電圧が許容範囲を超えるほどに点火プラグが経年変化しているのかの経年変化の進行度合いを、異なる判定基準に基づいて段階的に判定する技術は確立されていない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、点火プラグの経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができる、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置及び劣化判定方法を提供しようとして得られたものである。
本発明の第1の態様は、エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する装置であって、
前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記劣化の有無を判定する判定コンピュータと、を備え、
前記判定コンピュータは、
前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定部と、
前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された磨耗判定値V2を超えたときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定部と、を有する、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置にある。
本発明の第2の態様は、エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する装置であって、
前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記劣化の有無を判定する判定コンピュータと、を備え、
前記判定コンピュータは、
前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定部と、
前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記電圧検出手段によって前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出される時点までの放電時間Tを測定し、前記放電時間Tが磨耗判定値T1未満であるときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定部と、を有する、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置にある。
本発明の第3の態様は、エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する装置であって、
前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記劣化の有無を判定する判定コンピュータと、を備え、
前記判定コンピュータは、
前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定部と、
前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧よりも高い値に設定された第1磨耗判定値V2を超えたか否かを検知する第1磨耗検知部と、
前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記電圧検出手段によって前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出される時点までの放電時間Tを測定し、前記放電時間Tが第2磨耗判定値T1を超えたか否かを検知する第2磨耗検知部と、
前記第1磨耗検知部が、前記最大放電電圧Vmaxが前記第1磨耗判定値V2を超えたことを検知し、かつ前記第2磨耗検知部が、前記放電時間Tが前記第2磨耗判定値T1未満であることを検知した場合に、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定部と、を有する、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置にある。
本発明の第4の態様は、エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する方法であって、
前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記放電電圧の時間的変化を記録する記録コンピュータと、を用い、
前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定ステップと、
前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された磨耗判定値V2を超えたときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定ステップと、を含む、エンジンにおける点火プラグの劣化判定方法にある。
本発明の第5の態様は、エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する方法であって、
前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記放電電圧の時間的変化を記録する記録コンピュータと、を用い、
前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定ステップと、
前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出されるまでの放電時間Tが磨耗判定値T1未満であるときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定ステップと、を含む、エンジンにおける点火プラグの劣化判定方法にある。
本発明の第6の態様は、エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する方法であって、
前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記放電電圧の時間的変化を記録する記録コンピュータと、を用い、
前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定ステップと、
前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された第1磨耗判定値V1を超えたか否かを検知する第1磨耗検知ステップと、
前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出されるまでの放電時間Tが第2磨耗判定値T1未満であるか否かを検知する第2磨耗検知ステップと、
前記第1磨耗検知ステップにおいて、前記最大放電電圧Vmaxが前記第1磨耗判定値V2を超えたことが検知され、かつ前記第2磨耗検知ステップにおいて、前記放電時間Tが前記第2磨耗判定値T1未満であることが検知された場合に、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定ステップと、を含む、エンジンにおける点火プラグの劣化判定方法にある。
第1の態様のエンジンにおける点火プラグの劣化判定装置は、判定コンピュータに失火判定部及び磨耗判定部を構築し、点火プラグの電極における放電ギャップの経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができるものである。
具体的には、判定コンピュータの失火判定部は、エンジンにおいて失火が生じているか否かを、最大放電電圧が検出された直後の容量放電による放電電圧が検出される時間帯を監視して判定する。発明者らの研究の結果、エンジンにおいて失火が生じている場合には、容量放電による放電電圧が検出される時間帯における放電電圧が、失火が生じていない場合に比べて大きく振動することが分かった。そのため、最大放電電圧が検出された直後の容量放電による放電電圧が大きく振動する場合には、この放電電圧が失火判定値を超えることになり、失火判定部は、エンジンにおいて失火が生じていると判定することができる。失火は、点火プラグの電極の磨耗が進行した場合に生じる。なお、失火判定部は、容量放電による放電電圧が失火判定値を超えない場合には、エンジンにおいて失火が生じていないと判定することができる。
また、判定コンピュータの磨耗判定部は、点火プラグの電極に磨耗が生じているか否かを、火花発生時に生じる最大放電電圧を監視して判定する。点火プラグの電極に生じた磨耗が大きくなったときには、電極間の放電ギャップが大きくなって最大放電電圧が高くなる。そして、磨耗判定部は、最大放電電圧が磨耗判定値を超えた場合に、点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定することができる。また、失火判定部において失火が生じていないと判定された場合に、磨耗判定部において磨耗が生じていると判定されたときには、点火プラグの電極の磨耗が、失火を生じさせるまでは進行していないが、失火を生じさせるおそれがある程度までは進行したと判断することができる。なお、磨耗判定部は、最大放電電圧が磨耗判定値を超えない場合には、点火プラグの電極に磨耗が生じていないと判定することができる。
このように、判定コンピュータは、失火判定部及び磨耗判定部を有することにより、電圧検出手段によって検出した放電電圧を利用して、エンジンにおける失火及び点火プラグの電極における磨耗の有無を同時に検出することができる。
それ故、第1の態様のエンジンにおける点火プラグの劣化判定装置によれば、点火プラグの経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができる。
第2の態様のエンジンにおける点火プラグの劣化判定装置においては、磨耗判定部の構成が、第1の態様の場合と異なる。
本態様の磨耗判定部は、点火プラグの電極の磨耗の有無を、最大放電電圧の大きさに基づいて判定するのではなく、最大放電電圧が検出された時点から誘導放電による二次放電電圧が検出される時点までの放電時間に基づいて判定する。
点火プラグの電極に磨耗が生じている場合には、火花の発生によって放電電圧が検出される時間の長さである放電時間が短くなる。そのため、この放電時間を利用して、放電時間が磨耗判定値を超えた場合に、点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定することができる。
本態様においても、その他の構成は、第1の態様の場合と同様であり、第1の態様の場合と同様の作用効果を得ることができる。
第3の態様のエンジンにおける点火プラグの劣化判定装置においては、2つの異なる磨耗検知を行い、この2つの磨耗検知の値がそれぞれの磨耗判定値を満たす場合に、点火プラグの電極に磨耗が生じていることを判定する。具体的には、磨耗判定部は、第1磨耗検知部が、最大放電電圧が第1磨耗判定値を超えたことを検知し、かつ第2磨耗検知部が、放電時間が第2磨耗判定値未満であることを検知した場合に、点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する。これにより、放電電圧を検出する際に生じる種々の誤差の影響を緩和し、磨耗の有無の誤判定がされにくくすることができる。
なお、磨耗判定部は、第1磨耗検知部が、最大放電電圧が第1磨耗判定値を超えたことを検知しておらず、かつ第2磨耗検知部が、放電時間が第2磨耗判定値未満であることを検知していない場合には、点火プラグの電極に磨耗が生じていないと判定することができる。また、磨耗判定部は、第1磨耗検知部が、最大放電電圧が第1磨耗判定値を超えたことを検知していない場合、又は第2磨耗検知部が、放電時間が第2磨耗判定値未満であることを検知していない場合にも、点火プラグの電極に磨耗が生じていないと判定することができる。
本態様においても、その他の構成は、第1、第2の態様の場合と同様であり、第1、第2の態様の場合と同様の作用効果を得ることができる。
第4の態様のエンジンにおける点火プラグの劣化判定方法においては、電圧検出手段及び記録コンピュータを用いて、失火判定ステップ及び磨耗判定ステップを行い、第1の態様の場合と同様にして、失火及び磨耗の有無を判定する。本態様においても、第1の態様の場合と同様に、点火プラグの経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができる。
本態様においても、その他の構成は、第1の態様の場合と同様であり、第1の態様の場合と同様の作用効果を得ることができる。
第5の態様のエンジンにおける点火プラグの劣化判定方法においても、電圧検出手段及び記録コンピュータを用いて、失火判定ステップ及び磨耗判定ステップを行い、第2の態様の場合と同様にして、失火及び磨耗の有無を判定する。本態様においても、第2の態様の場合と同様に、点火プラグの経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができる。
本態様においても、その他の構成は、第2の態様の場合と同様であり、第2の態様の場合と同様の作用効果を得ることができる。
第6の態様のエンジンにおける点火プラグの劣化判定方法においては、電圧検出手段及び記録コンピュータを用いて、失火判定ステップ、第1磨耗検知ステップ、第2磨耗検知ステップ及び磨耗判定ステップを行い、第3の態様の場合と同様にして、失火及び磨耗の有無を判定する。本態様においては、第3の態様の場合と同様に、2つの異なる磨耗検知を行い、この2つの磨耗検知の値がそれぞれの判定値を満たす場合に、点火プラグの電極に磨耗が生じていることを判定する。これにより、放電電圧を検出する際に生じる種々の誤差の影響を緩和し、磨耗の有無の誤判定がされにくくすることができる。
本態様においても、その他の構成は、第1、第2の態様の場合と同様であり、第1、第2の態様の場合と同様の作用効果を得ることができる。
実施形態1にかかる、劣化判定装置の構成を示す説明図。 実施形態1にかかる、正常着火時かつ摩耗時の放電電圧(kV)の時間的変化の一例を示すグラフ。 図2の一部を、横軸の尺度を拡大して示すグラフ。 実施形態1にかかる、失火時の放電電圧(kV)の時間的変化の一例を示すグラフ。 図4の一部を、横軸の尺度を拡大して示すグラフ。 実施形態1にかかる、放電ギャップの大きさ(mm)と、放電ギャップに生じる最大放電電圧(kV)との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、エンジンの回転速度(rpm)と接地電極の温度(℃)との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、エンジンの点火時期(°)と接地電極の温度(℃)との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、エンジンの発生トルクと接地電極の温度(℃)との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、接地電極の温度(℃)と放電電圧(kV)との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、接地電極の温度(℃)と判定値の補正量との関係を示すグラフ。 実施形態1にかかる、劣化判定方法のフローチャート。 実施形態3にかかる、放電ギャップの大きさ(mm)と放電時間T(ms)との関係を示すグラフ。 実施形態3にかかる、劣化判定方法のフローチャート。 実施形態4にかかる、劣化判定方法のフローチャート。 実施形態4にかかる、劣化判定方法のフローチャートの続き。
前述したエンジンにおける点火プラグの劣化判定装置及び劣化判定方法にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態のエンジン4における点火プラグ5の劣化判定装置1は、図1に示すように、エンジン4に装着された点火プラグ5における劣化の有無を判定するものである。劣化判定装置1は、点火プラグ5の電極511,512間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段2と、電圧検出手段2によって検出された放電電圧が読み込まれ、劣化の有無を判定する判定コンピュータ3とを備える。
判定コンピュータ3は、失火判定部31及び磨耗判定部32を有する。失火判定部31は、図4及び図5に示すように、電圧検出手段2によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、エンジン4において失火が生じていると判定するよう構成されている。磨耗判定部32は、図4及び図5に示すように、最大放電電圧Vmaxが、使用初期の放電ギャップGの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された磨耗判定値V2を超えたときに、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定するよう構成されている。
まず、本形態のエンジン4における点火プラグ5の劣化判定装置1について詳説する。
(劣化判定装置1)
本形態のエンジン4は、都市ガス等の燃料ガスを用いて燃焼を行う定置式のガスエンジンである。エンジン4には、発電機が接続されていてもよい。また、エンジン4及び発電機は、コージェネレーションシステムに用いられるものとしてもよい。
図1に示すように、劣化判定装置1は、点火プラグ5が装着されたエンジン4に接続して用いられる。本形態の劣化判定装置1の判定コンピュータ3は、エンジン4の制御装置6とは別に構成されている。劣化判定装置1は、エンジン4の制御装置6内に構成することもできる。本形態の電圧検出手段2は、電圧検出器であり、点火コイル44の点火制御回路内に形成されている。電圧検出手段2は、点火制御回路から制御装置6に読み込まれた放電電圧のデータを、制御装置6から受信する構成としてもよい。
本形態の点火プラグ5は、エンジン4の燃焼室41内に副燃焼室42を形成して、副燃焼室42内の、燃料ガスと空気との混合気に着火を行うプレチャンバー点火プラグである。点火プラグ5は、プラグ本体51と、プラグ本体51における中心電極511及び接地電極512を覆うカバー52とを有する。カバー52には、複数の開口穴521が形成されている。エンジン4において燃焼運転を行う際には、複数の開口穴521を介して燃焼室41内から副燃焼室42内へ混合気が流入し、中心電極511と接地電極512との間に生じる火花によって副燃焼室42内における混合気が着火される。そして、副燃焼室42内に形成される火炎Hが、複数の開口穴521から燃焼室41内に噴出し、この火炎Hによって燃焼室41内の混合気が燃焼する。その後、燃焼室41内の燃焼ガスが排気ガスとして排気される際に、副燃焼室42内の燃焼ガスも排気ガスとして排気される。
プレチャンバー点火プラグは、放電ギャップGがカバー52によって覆われていることにより、エンジン4から取り外した状態においても、放電ギャップGの大きさの変化を確認することが難しいものである。プレチャンバー点火プラグを用いてエンジン4の燃焼運転を行う場合には、カバー52を有していない通常の点火プラグを用いてエンジン4の燃焼運転を行う場合と比べて、電極511,512間に生じる放電電圧の時間的変化を示す波形に違いがある。そして、本形態の劣化判定装置1及び劣化判定方法は、プレチャンバー点火プラグを用いたエンジン4に好適であり、プレチャンバー点火プラグにおける失火及び磨耗の有無を判定するものである。
図1に示すように、エンジン4においては、燃焼室41内に開口するプラグホール43が形成されており、プラグホール43には、点火プラグ5及び点火プラグ5に放電用のエネルギーを供給する点火コイル44が配置されている。点火コイル44の一次巻線に流れる電流が遮断されたときには、点火コイル44の二次巻線に相互誘導作用によって高い起電力が生じる。そして、この起電力を利用して、点火プラグ5の電極511,512間に放電による火花(スパーク)を発生させる。
使用初期の放電ギャップGの大きさは、放電ギャップGにおいて絶縁破壊による火花が発生し、かつ燃焼室41内において消炎作用による失火が発生しない電極511,512間の最小距離として設定されている。ここで、消炎作用とは、点火プラグ5の各電極511,512が熱を吸収して火炎を消火しようとする作用のことをいう。
また、点火プラグ5においては、放電ギャップGの設定を受けて定まる、電極511,512間に生じる使用初期の最大放電電圧Vmaxが、エンジン4において燃焼を行うときに要求される放電電圧を超えるよう設定される。使用初期の放電ギャップGの大きさによって定まる設定放電電圧V0は、この使用初期の最大放電電圧Vmaxとして定められる。使用初期の最大放電電圧Vmaxは、例えば、25〜30kVの範囲内の特定の電圧になるよう設定される。なお、本形態の点火プラグ5に生じる放電電圧は、負の電圧であり、使用初期の最大放電電圧Vmaxは、例えば、−25〜−30kVの範囲内の特定の電圧として設定される。放電電圧が負の電圧の場合であっても、数値が大きいほど放電電圧が高い又は大きいという。
図2は、点火プラグ5が装着されたエンジン4の燃焼室41において、混合気に正常に着火が行われた場合(失火が生じていない場合)の放電電圧(kV)の時間的変化の一例を示すグラフである。図3は、図2の一部について、経過時間(ms,μs)を示す横軸の尺度を拡大して示すものであり、火花放電が発生した直後に容量放電X1が生じている時間帯を拡大して示す。なお、図2及び図3は、エンジン4において失火が生じない程度に、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じている場合を示す。
図4は、点火プラグ5が装着されたエンジン4の燃焼室41において、混合気に着火が行われず、失火が生じた場合の放電電圧(kV)の時間的変化の一例を示すグラフである。図5は、図4の一部について、経過時間(ms,μs)を示す横軸の尺度を拡大して示すものであり、火花放電が発生した直後に容量放電X1が生じている時間帯を拡大して示す。図2〜図5において、横軸は、最大放電電圧Vmaxの発生時を0(ms,μs)とした経過時間(ms)を示し、縦軸は、点火プラグ5の電極511,512間に生じる放電電圧(kV)を示す。
点火コイル44の点火制御によって点火プラグ5の電極511,512間の放電ギャップGに火花が生じたときには、電極511,512間には、最も大きな放電電圧としての最大放電電圧Vmaxが瞬間的に生じる。その後、点火コイル44の二次巻線に蓄えられた静電エネルギーが放出されることによる容量放電X1に基づく放電電圧が生じ、次いで、点火コイル44の二次巻線に蓄えられた電磁エネルギーが放出されることによる誘導放電X2に基づく放電電圧が生じる。容量放電X1が生じている時間帯と、誘導放電X2が生じている時間帯は、放電電圧の時間的変化の状態から読み取ることができる。
本形態においては、失火判定部31によって、最大放電電圧Vmaxの発生後の容量放電X1が生じるときの放電電圧の値を見て、エンジン4における失火の有無を判定し、磨耗判定部32によって、最大放電電圧Vmaxの値を見て、点火プラグ5の電極511,512における磨耗の有無を判定する。
(失火を判定する場合)
失火判定部31において用いられる失火判定値V1は、使用初期である出荷時に設定された最大放電電圧Vmaxを基準として、この最大放電電圧Vmaxの0.2倍超過の値とすることができる。また、容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯は、例えば、最大放電電圧Vmaxが発生した時点から10〜50μs経過した時点までの時間の範囲となる。また、磨耗判定部32において用いられる磨耗判定値V2は、例えば、使用初期である出荷時に設定された最大放電電圧Vmaxを基準として、この最大放電電圧Vmaxの1.1倍超過の値とすることができる。
本形態の放電電圧は負の放電電圧であり、図2〜図5においては、下側に行くほど放電電圧が上昇していることを示す。そして、容量放電X1が生じている時間帯において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuとは、放電電圧が上下に振動する際に、放電電圧の値が上昇する部分のことをいう。
図3に示すように、エンジン4において失火が生じていない場合には、容量放電X1が生じている時間帯において、放電電圧の上下の振動における上昇する放電電圧Vuは、最大放電電圧Vmaxの0.2倍以下の値に抑えられている。同図の例では、使用初期の最大放電電圧Vmaxが−25kVであるとした場合、失火判定値V1は、最大放電電圧Vmaxの0.2倍である−5kVに設定されている。この場合、失火判定部31においては、上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1以下となり、エンジン4において失火が生じていないと判定される。
これに対し、図5に示すように、エンジン4において失火が生じた場合には、容量放電X1が生じている時間帯において、放電電圧が上下に大きく振動する。そして、容量放電X1が生じている時間帯において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが、最大放電電圧Vmaxの0.2倍超過の値になる。本形態においては、上昇する放電電圧Vuが、失火判定値である−5kVよりも高くなっている。この場合、失火判定部31においては、放電電圧が失火判定値V1超過となり、エンジン4において失火が生じていると判定される。
(磨耗を判定する場合)
図6は、放電ギャップGの大きさ(mm)と、電極511,512間に生じる最大放電電圧Vmax(kV)との関係を示す。放電ギャップGが大きくなるほど、最大放電電圧Vmaxも大きくなる関係にあることが分かる。そして、磨耗判定部32においては、この放電ギャップGと最大放電電圧Vmaxとの関係を利用して、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じたか否かの判定を行う。
磨耗判定部32において磨耗の有無を判定する基準である磨耗判定値V2は、例えば、使用初期の最大放電電圧Vmaxに対する1.1〜1.2倍の値として設定することができる。本形態においては、使用初期の最大放電電圧Vmaxが−25kVであるとした場合、磨耗判定値V2は、最大放電電圧Vmaxの1.12倍である−28kVに設定されている。また、磨耗判定部32においては、最大放電電圧Vmaxの値によって、点火プラグ5の電極511,512に生じた磨耗量を推定することもできる。
図示は省略するが、点火プラグ5の電極511,512に生じた磨耗量が規定量以下である場合には、磨耗判定時における最大放電電圧Vmaxが磨耗判定値V2以下となる。この場合、点火プラグ5の電極511,512における磨耗量が少なく、磨耗判定部32においては、この点火プラグ5を継続して使用しても、失火を発生させるおそれは少ないと判定される。
これに対し、図2及び図3に示すように、点火プラグ5の電極511,512に生じた磨耗量が規定量超過である場合には、磨耗判定時における最大放電電圧Vmaxが磨耗判定値V2超過となる。同各図においては、磨耗判定時における最大放電電圧Vmaxが、磨耗判定値V2である−28kVを超えている。この場合、点火プラグ5の電極511,512における磨耗量が多く、磨耗判定部32においては、この点火プラグ5の使用を継続すると、失火を発生させるおそれがあると判定される。
本形態における失火判定値V1及び磨耗判定値V2の値は、あくまでも一例を示すものである。これらの値は、エンジン4、点火プラグ5等の種類、エンジン4の運転条件等によって変動する。
(失火判定値V1及び磨耗判定値V2の補正)
また、本形態においては、点火プラグ5の電極511,512間に生じる放電電圧の値が、点火プラグ5の各電極511,512の温度によって変化することを考慮して、失火判定部31における失火判定値V1及び磨耗判定部32における磨耗判定値V2の補正を行う。失火判定値V1及び磨耗判定値V2を補正する際に使用する点火プラグ5の各電極511,512の温度は、接地電極512の温度とする。また、接地電極512の温度を直接検出することはできないため、エンジン4において検知可能な物理量と接地電極512の温度との関係に基づき、接地電極512の温度を推定する。そして、接地電極512の温度と放電電圧との関係に基づき、失火判定値V1及び磨耗判定値V2を補正する。
具体的には、放電電圧が検出された時点における、エンジン4の回転速度、エンジン4の燃焼サイクルにおける点火時期及びエンジン4において発生するトルクを検知する。エンジン4の制御装置6においては、エンジン4の回転速度及びエンジン4の発生トルクが検出されており、エンジン4の点火時期が設定されている。そして、判定コンピュータ3は、エンジン4の制御装置6における、放電電圧が検出された時点の回転速度、発生トルク及び点火時期のデータを利用する。放電電圧が検出された時点は、最大放電電圧Vmaxが検出された時点、容量放電X1による放電電圧が検出された時点、又は誘導放電X2による放電電圧が検出された時点のいずれとすることもできる。また、回転速度及び発生トルクは、最大放電電圧Vmaxが検出された時点から誘導放電X2による放電電圧の検出がなくなる時点までの平均値とすることもできる。
点火時期とは、BTDC(Before Top Dead Center)として表される値であり、燃焼サイクルの圧縮行程において、ピストンが上死点にあるときに点火プラグ5の放電ギャップGに火花放電を発生させる場合を0°とする。例えば、点火時期が10°の場合とは、圧縮行程において、ピストンが上死点に到達する手前であって、上死点からクランク角度が10°ずれた位置のことをいう。なお、本形態のエンジン4は4サイクルエンジンであり、クランク角度が720°するときに、吸気行程、圧縮行程、膨張行程及び排気行程の1サイクルが行われる。
図7は、エンジン4の回転速度(rpm)と接地電極512の温度(℃)との関係を示す。この関係は、エンジン4の回転速度が上昇するほど接地電極512の温度も上昇する関係にある。また、図8は、エンジン4の点火時期(°)と接地電極512の温度(℃)との関係を示す。この関係は、エンジン4の点火時期がピストンの上死点よりも手前になるほど接地電極512の温度も上昇する関係にある。また、図9は、エンジン4の発生トルクと接地電極512の温度(℃)との関係を示す。この関係は、エンジン4の発生トルクが上昇するほど接地電極512の温度も上昇する関係にある。また、図10は、接地電極512の温度(℃)と放電電圧(kV)との関係を示す。この関係は、接地電極512の温度(℃)が上昇すると、放電電圧(kV)が曲線的に低下する関係にある。
図11は、接地電極の温度(℃)と失火判定値V1及び磨耗判定値V2の補正量との関係を示す。同図に示すように、補正式においては、接地電極の温度が基準温度E0にあるときの補正量を、補正がない場合を示す1とし、推定される接地電極の温度E1に応じて、1未満の値で示される補正量Cが算出される。そして、推定される接地電極の温度E1に応じて、補正後の失火判定値V1及び磨耗判定値V2は、補正がない場合の失火判定値V1及び磨耗判定値V2に対して補正量Cを乗算して求めることができる。
判定コンピュータ3においては、エンジン4の回転速度と接地電極512の温度との第1関係式、エンジン4の点火時期と接地電極512の温度との第2関係式、エンジン4の発生トルクと接地電極512の温度との第3関係式、接地電極512の温度と放電電圧との第4関係に基づく補正式が記憶されている。
失火及び磨耗の判定を行う際には、放電電圧が検出された時点における回転速度の値を第1関係式に照合して、この時点の接地電極512の温度を求める。また、エンジン4に設定されている点火時期の値を第2関係式に照合して、接地電極512の温度を求める。また、放電電圧が検出された時点における発生トルクの値を第3関係式に照合して、この時点の接地電極512の温度を求める。そして、3通りの推定によって求められた接地電極512の温度の平均値を求める。
次いで、図11に示すように、この接地電極512の温度の平均値を第4関係式に基づく補正式に照合し、この接地電極512の温度の平均値をE1としたときの補正量Cが求められ、補正がない場合の失火判定値V1及び磨耗判定値V2に対して補正量Cを乗算して、補正後の失火判定値V1及び磨耗判定値V2が求められる。そして、失火判定部31においては、上昇する放電電圧Vuは補正後の失火判定値V1と比較して失火の有無が判定される。また、磨耗判定部32においては、最大放電電圧Vmaxは、補正後の磨耗判定値V2と比較して磨耗の有無が判定される。
なお、接地電極512の温度は、放電電圧が検出された時点における、回転速度、点火時期及び発生トルクのうちのいずれか1つに基づいて推定される値としてもよい。また、接地電極512の温度は、放電電圧が検出された時点における、回転速度、点火時期及び発生トルクのうちのいずれか2つの平均値に基づいて推定される値としてもよい。
(劣化判定方法)
次に、劣化判定装置1を用いて点火プラグ5の劣化を判定する方法について、図12のフローチャートを参照して説明する。
劣化判定装置1によって点火プラグ5の劣化の判定を行う際には、エンジン4の燃焼運転を行うときに、電圧検出手段2によって、所定のサンプリング間隔で、点火プラグ5の電極511,512間に生じる放電電圧が逐次検出される(ステップSt101)。そして、電圧検出手段2によって検出された放電電圧は、判定コンピュータ3において、サンプリング(検出)の経過時間とともに逐次記憶される(ステップSt102)。経過時間は、サンプリング(検出)を行う回数に基づいて決定することができる。
また、エンジン4の制御装置6においては、エンジン4の点火時期が適宜設定されており、エンジン4の回転速度及びエンジン4の発生トルクが所定のサンプリング間隔で逐次検出される(ステップSt103)。そして、点火時期、回転速度及び発生トルクは、判定コンピュータ3において、経過時間とともに逐次記憶される(ステップSt104)。
次いで、判定コンピュータ3に対して、エンジン4における失火の有無及び点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定する入力があったときには(ステップSt105)、判定コンピュータ3においては、検出された放電電圧のうちの最大値が最大放電電圧Vmaxとして認定される(ステップSt106)。この認定の際には、検出された放電電圧が所定の閾値を超えた後に、今回検出された放電電圧が、前回検出された放電電圧よりも低下したときに、前回検出された放電電圧が最大放電電圧Vmaxであるとすることができる。また、電圧検出手段2に放電電圧のピークを保持する機能を設け、この放電電圧のピークを最大放電電圧Vmaxとすることもできる。
また、判定コンピュータ3においては、放電電圧が検出された時点における、エンジン4の回転速度、エンジン4の点火時期及びエンジン4の発生トルクから、接地電極512の温度が推定され、接地電極512の温度に応じて失火判定値V1及び磨耗判定値V2が補正される(ステップSt107)。
次いで、判定コンピュータ3の失火判定部31は、失火判定ステップとして、最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたか否かを判定する(ステップSt108)。この判定において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えた場合には、失火判定部31は、エンジン4において失火が発生していると判定する(ステップSt109)。この場合には、判定コンピュータ3は、何らかの表示手段、警報手段等の出力装置を用いて、点火プラグ5の交換が必要であることを出力することができる。そして、エンジン4の管理者等は、出力装置からの情報を得て、点火プラグ5を交換することができる。一方、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えていない場合には、失火判定部31は、エンジン4において失火が発生していないと判定する(ステップSt110)。
次いで、判定コンピュータ3の磨耗判定部32は、磨耗判定ステップとして、最大放電電圧Vmaxが磨耗判定値V2を超えたか否かを判定する(ステップSt111)。この判定において、最大放電電圧Vmaxが磨耗判定値V2を超えた場合には、磨耗判定部32は、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定する(ステップSt112)。この場合には、判定コンピュータ3は、何らかの表示手段、警報手段等の出力装置を用いて、点火プラグ5の電極511,512が磨耗していることを出力することができる。そして、エンジン4の管理者等は、出力装置からの情報を得て、点火プラグ5の電極511,512が磨耗していることを認知することができる。一方、最大放電電圧Vmaxが磨耗判定値V2を超えていない場合には、磨耗判定部32は、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていないと判定する(ステップSt113)。
なお、失火判定部31による判定と磨耗判定部32による判定を行う順序は問わない。そして、失火判定部31によるステップSt108〜St110を行う前に、磨耗判定部32によるステップSt111〜St113を行ってもよい。
また、失火判定部31による判定及び磨耗判定部32による判定は、複数回検出された放電電圧に対して、複数回繰り返し行ってもよい。そして、複数回繰り返し行った失火及び磨耗の判定結果に基づいて、エンジン4における失火の有無、及び点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定することができる。
本形態のプレチャンバー式の点火プラグ5を用いたエンジン4における失火は、放電ギャップGに火花は発生しているが、この火花によって副燃焼室42内に火炎核がうまく形成されない場合に生じる。点火プラグ5の放電ギャップGが拡大するに連れて、点火エネルギーのうち、容量放電X1の成分が増加し、火炎核を成長させるために必要な誘導放電X2の成分が減少する。特に、本形態においては、プレチャンバー式の点火プラグ5を用いる場合において、最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuの値を見て、失火の有無を判定していることに特徴がある。
(作用効果)
本形態のエンジン4における点火プラグ5の劣化判定装置1は、判定コンピュータ3に失火判定部31及び磨耗判定部32を構築し、点火プラグ5の電極511,512における放電ギャップGの経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができるものである。
具体的には、判定コンピュータ3の失火判定部31は、エンジン4において失火が生じているか否かを、最大放電電圧Vmaxが検出された直後の容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯を監視して判定する。発明者らの研究の結果、エンジン4において失火が生じている場合には、容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯における放電電圧が、失火が生じていない場合に比べて大きく振動することが分かった。そのため、最大放電電圧Vmaxが検出された直後の容量放電X1による放電電圧が大きく振動する場合には、この放電電圧が失火判定値V1を超えることになり、失火判定部31は、エンジン4において失火が生じていると判定することができる。失火は、点火プラグ5の電極511,512の磨耗が進行した場合に生じる。
また、判定コンピュータ3の磨耗判定部32は、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じているか否かを、火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxを監視して判定する。点火プラグ5の電極511,512に生じた磨耗が大きくなったときには、電極511,512間の放電ギャップGが大きくなって最大放電電圧Vmaxが高くなる。そして、磨耗判定部32は、最大放電電圧Vmaxが磨耗判定値V2を超えた場合に、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定することができる。また、失火判定部31において失火が生じていないと判定された場合に、磨耗判定部32において磨耗が生じていると判定されたときには、点火プラグ5の電極511,512の磨耗が、失火を生じさせるまでは進行していないが、失火を生じさせるおそれがある程度までは進行したと判断することができる。
失火判定部31によって失火が生じていると判定される場合には、磨耗判定部32によって磨耗が生じていると判定される場合が殆どである。ただし、場合によっては、失火判定部31によって失火が生じていると判定された場合に、磨耗判定部32によって磨耗が生じていないと判定される場合も起こり得る。この場合には、失火判定部31及び磨耗判定部32による判定に誤りがあるとして、エンジン4の管理者等は、失火判定値V1及び磨耗判定値V2を再設定することができる。
このように、判定コンピュータ3は、失火判定部31及び磨耗判定部32を有することにより、電圧検出手段2によって検出した放電電圧を利用して、エンジン4における失火及び点火プラグ5の電極511,512における磨耗の有無を同時に検出することができる。
それ故、本形態のエンジン4における点火プラグ5の劣化判定装置1によれば、点火プラグ5の経年変化の進行度合いを、2つの異なる判定基準に基づいて段階的に判定することができる。
<実施形態2>
本形態においては、判定コンピュータ3を用いる代わりに、電圧検出手段2によって検出された放電電圧が読み込まれ、放電電圧の時間的変化を記録する記録コンピュータを用いる。そして、記録コンピュータに記録された放電電圧の時間的変化を用いて、エンジン4における失火の有無及び点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定する。本形態においては、この判定は、エンジン4の管理者等が行う。また、この判定は、劣化判定装置1の判定コンピュータ3と同様の構成を有するものによって行うこともできる。
本形態の点火プラグ5の劣化を判定する方法について詳説する。
本形態においても、記録コンピュータを用いて、実施形態1の場合と同様に、図12のステップSt101〜St107が行われる。
本形態の失火判定ステップにおいては、エンジン4の管理者等は、記録コンピュータに記録された放電電圧の時間的変化を用いて、電圧検出手段2によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による放電電圧が検出される時間帯において、放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、エンジン4において失火が生じていると判定する(図12のステップSt108〜St110参照)。
また、本形態の磨耗判定ステップにおいては、エンジン4の管理者等は、記録コンピュータに記録された放電電圧の時間的変化を用いて、最大放電電圧Vmaxが、使用初期の放電ギャップGの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された磨耗判定値V2を超えたときに、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定する(ステップSt111〜St113参照)。
本形態の劣化判定方法のフローチャートは、実施形態1のフローチャートと同様であるため、記載を省略する。本形態の劣化判定方法は、判定コンピュータ3が判定する代わりに、エンジン4の管理者等が判定するようにしたものである。
記録コンピュータには、放電電圧の時間的変化を表示する画像表示装置等の表示手段を接続してもよい。また、記録コンピュータは、記録した放電電圧の時間的変化のグラフを、プリンタを用いて紙等の媒体に出力し、エンジン4の管理者等は、紙等の媒体を見ながら、エンジン4における失火の有無、及び点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定することができる。
本形態においても、その他の構成は、実施形態1の場合と同様であり、実施形態1の場合と同様の作用効果を得ることができる。
<実施形態3>
本形態は、判定コンピュータ3の磨耗判定部32の構成が、実施形態1の場合と異なる場合について示す。
本形態の磨耗判定部32は、図2及び図4に示すように、最大放電電圧Vmaxを用いる代わりに放電時間Tを用いて、点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定する。本形態の磨耗判定部32は、最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による放電電圧が検出される時間帯において、電圧検出手段2によって最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出される時点までの放電時間Tを測定し、放電時間Tが磨耗判定値T1未満であるときに、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定する。
図13は、放電ギャップGの大きさ(mm)と、火花放電が生じている放電時間T(ms)との関係を示す。放電ギャップGが大きくなるほど、放電時間Tが短くなる関係にあることが分かる。そして、磨耗判定部32においては、この放電ギャップGと放電時間Tとの関係を利用して、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じたか否かの判定を行う。
また、図2及び図4に示すように、誘導放電X2の発生終期においては、一時的に放電電圧が高くなる。この一次的に高くなる放電電圧を二次放電電圧Vsとする。そして、放電ギャップGに火花放電が生じている放電時間Tは、最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、二次放電電圧Vsが検出される時点までの時間とする。
火花発生時に最大放電電圧Vmaxが発生した時点から、二次放電電圧Vsが発生する時点までの時間は、0.5〜3msの範囲内となる。放電時間Tについての磨耗判定値T1は、エンジン4において失火が確認されない程度に、点プラグの電極511,512が磨耗した場合として、例えば、1〜2msの間の特定の値とすることができる。この磨耗判定値T1は、エンジン4、点火プラグ5等の種類、エンジン4の運転条件等によって、適宜変更することができる。
(劣化判定方法)
次に、本形態の劣化判定方法について、図14のフローチャートを参照して説明する。
本形態の劣化判定方法においても、フローチャートのステップSt201〜St205は、実施形態1の図12のステップSt101〜St105と同様である。ステップSt202において、放電電圧とともに判定コンピュータ3に逐次記憶される経過時間は、放電時間Tを求める際に使用される。
次いで、判定コンピュータ3においては、検出された放電電圧のうちの最大値が最大放電電圧Vmaxとして認定される(ステップSt206)。また、最大放電電圧Vmaxが検出された経過時間が放電開始時刻t1として認定され、誘導放電X2の発生終期において二次放電電圧Vsが検出された経過時間が放電終了時刻t2として認定される(図2〜図5参照)。そして、放電終了時刻t2と放電開始時刻t1との差が放電時間Tとして認定される(ステップSt206)。
また、判定コンピュータ3においては、放電電圧が検出された時点における、エンジン4の回転速度、エンジン4の点火時期及びエンジン4の発生トルクから、接地電極512の温度が推定され、接地電極512の温度に応じて失火判定値V1が補正される(ステップSt207)。
次いで、判定コンピュータ3の失火判定部31は、失火判定ステップとして、実施形態1の図12のステップSt108〜St110と同様に、図14のステップSt208〜St210を行う。
次いで、判定コンピュータ3の磨耗判定部32は、磨耗判定ステップとして、放電時間Tが磨耗判定値T1未満であるか否かを判定する(ステップSt211)。この判定において、放電時間Tが磨耗判定値T1未満である場合には、磨耗判定部32は、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定する(ステップSt212)。この場合には、実施形態1のステップSt112の場合と同様の処理を行うことができる。一方、放電時間Tが磨耗判定値T1未満でない場合には、磨耗判定部32は、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていないと判定する(ステップSt213)。
本形態においては、放電時間Tの長さを検出し、この放電時間Tの長さを監視して、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じているか否かを判定することができる。
本形態においても、その他の構成は、実施形態1の場合と同様であり、実施形態1の場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、本形態においても、実施形態2の場合と同様に、判定コンピュータ3を用いる代わりに記録コンピュータを用い、エンジン4の管理者等が、記録コンピュータに記録された放電電圧の時間的変化を用いて、エンジン4における失火の有無及び点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定することができる。
<実施形態4>
本形態は、判定コンピュータ3の磨耗判定部32の構成が、実施形態1の場合と異なる場合について示す。
本形態の磨耗判定部32は、図2〜図5に示すように、最大放電電圧Vmax及び放電時間Tの両方を用いて、点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定する。本形態の磨耗判定部32は、2つの磨耗判定値V2,T1を用い、最大放電電圧Vmax及び放電時間Tがそれぞれの磨耗判定値V2,T1を満たす場合に、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定する。
具体的には、判定コンピュータ3は、失火判定部31の他に、第1磨耗検知部321、第2磨耗検知部322及び磨耗判定部32を有する。第1磨耗検知部321は、最大放電電圧Vmaxが、使用初期の放電ギャップGの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された第1磨耗判定値V2を超えたか否かを検知する。第2磨耗検知部322は、最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による放電電圧が検出される時間帯において、電圧検出手段2によって最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出される時点までの放電時間Tを測定し、放電時間Tが第2磨耗判定値T1を超えたか否かを検知する。そして、磨耗判定部32は、第1磨耗検知部321が、最大放電電圧Vmaxが第1磨耗判定値V2を超えたことを検知し、かつ第2磨耗検知部322が、放電時間Tが第2磨耗判定値T1未満であることを検知した場合に、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定する。
第1磨耗判定値V2は、実施形態1に示した磨耗判定値V2と同様であり、第2磨耗判定値T1は、実施形態3に示した磨耗判定値T1と同様である。また、第1磨耗判定値V2は、実施形態1に示した磨耗判定値V2と同様に、接地電極512の温度に応じて補正することができる。
(劣化判定方法)
次に、本形態の劣化判定方法について、図15及び図16のフローチャートを参照して説明する。
本形態の劣化判定方法においても、フローチャートのステップSt301〜St305は、実施形態1の図12のステップSt101〜St105と同様である。ステップSt302において、放電電圧とともに判定コンピュータ3に逐次記憶される経過時間は、放電時間Tを求める際に使用される。
次いで、判定コンピュータ3においては、実施形態3におけるステップSt206と同様にして、最大放電電圧Vmax及び放電時間Tが認定される(ステップSt306)。
また、判定コンピュータ3においては、放電電圧が検出された時点における、エンジン4の回転速度、エンジン4の点火時期及びエンジン4の発生トルクから、接地電極512の温度が推定され、接地電極512の温度に応じて失火判定値V1及び第1磨耗判定値V2が補正される(ステップSt307)。
次いで、判定コンピュータ3の失火判定部31は、失火判定ステップとして、実施形態1の図12のステップSt108〜St110と同様に、ステップSt308〜St310を行う。図15の「a」は、図16の「a」に続くことを示す。
次いで、判定コンピュータ3の第1磨耗検知部321は、第1磨耗検知ステップとして、最大放電電圧Vmaxが第1磨耗判定値V2を超えたか否かを検知する。(ステップSt311)。また、判定コンピュータ3の第2磨耗検知部322は、第2磨耗検知ステップとして、放電時間Tが第2磨耗判定値T1未満であるか否かを検知する(ステップSt312)。
そして、判定コンピュータ3の磨耗判定部32は、磨耗判定ステップとして、最大放電電圧Vmaxが第1磨耗判定値V2を超え、かつ放電時間Tが第2磨耗判定値T1未満である場合には、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていると判定する(ステップSt313)。この場合には、実施形態1のステップSt112の場合と同様の処理を行うことができる。一方、最大放電電圧Vmaxが第1磨耗判定値V2を超えていない場合、又は放電時間Tが第2磨耗判定値T1未満でない場合には、磨耗判定部32は、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていないと判定する(ステップSt314)。
本形態の劣化判定装置1及び劣化判定方法においては、最大放電電圧Vmaxと放電時間Tとの2つの異なる磨耗検知を行い、この2つの磨耗検知の値がそれぞれの磨耗判定値V2,T1を満たす場合に、点火プラグ5の電極511,512に磨耗が生じていることを判定する。これにより、放電電圧を検出する際に生じる種々の誤差の影響を緩和し、磨耗の有無の誤判定がされにくくすることができる。
本形態においても、その他の構成は、実施形態1,3の場合と同様であり、実施形態1,3の場合と同様の作用効果を得ることができる。
また、本形態においても、実施形態2の場合と同様に、判定コンピュータ3を用いる代わりに記録コンピュータを用い、エンジン4の管理者等が、記録コンピュータに記録された放電電圧の時間的変化を用いて、エンジン4における失火の有無及び点火プラグ5の電極511,512の磨耗の有無を判定することができる。
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。
1 劣化判定装置
2 電圧検出手段
3 判定コンピュータ
31 失火判定部
32 磨耗判定部
4 エンジン
5 点火プラグ
511,512 電極
6 制御装置
G 放電ギャップ

Claims (8)

  1. エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する装置であって、
    前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記劣化の有無を判定する判定コンピュータと、を備え、
    前記判定コンピュータは、
    前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定部と、
    前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された磨耗判定値V2を超えたときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定部と、を有する、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置。
  2. エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する装置であって、
    前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記劣化の有無を判定する判定コンピュータと、を備え、
    前記判定コンピュータは、
    前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定部と、
    前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記電圧検出手段によって前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出される時点までの放電時間Tを測定し、前記放電時間Tが磨耗判定値T1未満であるときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定部と、を有する、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置。
  3. エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する装置であって、
    前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記劣化の有無を判定する判定コンピュータと、を備え、
    前記判定コンピュータは、
    前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定部と、
    前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧よりも高い値に設定された第1磨耗判定値V2を超えたか否かを検知する第1磨耗検知部と、
    前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記電圧検出手段によって前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出される時点までの放電時間Tを測定し、前記放電時間Tが第2磨耗判定値T1を超えたか否かを検知する第2磨耗検知部と、
    前記第1磨耗検知部が、前記最大放電電圧Vmaxが前記第1磨耗判定値V2を超えたことを検知し、かつ前記第2磨耗検知部が、前記放電時間Tが前記第2磨耗判定値T1未満であることを検知した場合に、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定部と、を有する、エンジンにおける点火プラグの劣化判定装置。
  4. 前記失火判定値V1、及び前記磨耗判定値V2もしくは前記第1磨耗判定値V2のうちの少なくともいずれかは、前記放電電圧が検出された時点における、前記エンジンの回転速度、前記エンジンの燃焼サイクルにおける点火時期及び前記エンジンにおいて発生するトルクのうちの少なくともいずれかから推定される前記点火プラグの接地電極の温度との関係によって補正された値とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンジンにおける点火プラグの劣化判定装置。
  5. エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する方法であって、
    前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記放電電圧の時間的変化を記録する記録コンピュータと、を用い、
    前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定ステップと、
    前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された磨耗判定値V2を超えたときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定ステップと、を含む、エンジンにおける点火プラグの劣化判定方法。
  6. エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する方法であって、
    前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記放電電圧の時間的変化を記録する記録コンピュータと、を用い、
    前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定ステップと、
    前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出されるまでの放電時間Tが磨耗判定値T1未満であるときに、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定ステップと、を含む、エンジンにおける点火プラグの劣化判定方法。
  7. エンジンに装着された点火プラグにおける劣化の有無を判定する方法であって、
    前記点火プラグの電極間に生じる放電電圧を検出する電圧検出手段と、
    前記電圧検出手段によって検出された前記放電電圧が読み込まれ、前記放電電圧の時間的変化を記録する記録コンピュータと、を用い、
    前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記電圧検出手段によって火花発生時に生じる最大放電電圧Vmaxが検出された直後に、容量放電X1による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記放電電圧が低下した後に再び上昇する放電電圧Vuが失火判定値V1を超えたときに、前記エンジンにおいて失火が生じていると判定する失火判定ステップと、
    前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが、使用初期の前記放電ギャップの大きさによって定まる設定放電電圧V0よりも高い値に設定された第1磨耗判定値V1を超えたか否かを検知する第1磨耗検知ステップと、
    前記記録コンピュータに記録された前記放電電圧の時間的変化を用いて、前記最大放電電圧Vmaxが検出された時点から、誘導放電X2による前記放電電圧が検出される時間帯において、前記最大放電電圧Vmaxの次に大きな二次放電電圧Vsが検出されるまでの放電時間Tが第2磨耗判定値T1未満であるか否かを検知する第2磨耗検知ステップと、
    前記第1磨耗検知ステップにおいて、前記最大放電電圧Vmaxが前記第1磨耗判定値V2を超えたことが検知され、かつ前記第2磨耗検知ステップにおいて、前記放電時間Tが前記第2磨耗判定値T1未満であることが検知された場合に、前記点火プラグの電極に磨耗が生じていると判定する磨耗判定ステップと、を含む、エンジンにおける点火プラグの劣化判定方法。
  8. 前記失火判定値V1、及び前記磨耗判定値V2もしくは前記第1磨耗判定値V2のうちの少なくともいずれかは、前記放電電圧が検出された時点における、前記エンジンの回転速度、前記エンジンの燃焼サイクルにおける点火時期及び前記エンジンにおいて発生するトルクのうちの少なくともいずれかから推定される前記点火プラグの接地電極の温度との関係によって補正された値とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載のエンジンにおける点火プラグの劣化判定方法。
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