JP2018172509A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高荷重の過酷な条件下でも優れた極圧性及び耐摩耗性を有する潤滑油組成物を提供すること。
【解決手段】エステル系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有する、潤滑油組成物が開示される。

[式(1)中、Rはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。]
【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関する。
油圧機械、圧縮機械、タービン、歯車要素、軸受等の機械要素を有する産業機械には、潤滑油が使用されている。産業機械は、高速化、高圧化及び小型化に伴い、より過酷な条件下で運転されるようになっている。そのため、産業機械に使用される潤滑油には、高圧、高速、高荷重及び高温度下で使用しても長時間にわたって充分に機械寿命を保証できる優れた潤滑性能が要求されている。
従来、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDTP)又はトリクレジルホスフェート(TCP)が潤滑油の耐摩耗防止剤として主に使用されてきた。しかし、ZDTPは高温・高圧化での熱酸化安定性、及び水の混入による加水分解安定性が充分でないという問題がある。また、近年の環境保護及び毒性の観点から、ZDTP等の亜鉛化合物の使用は避けられつつある。一方、無灰の耐摩耗防止剤であるTCPは、熱安定性及び加水分解安定性に優れるものの、極圧性の面でZDTPに比べ劣るといった問題がある。
このような問題を改善するために、硫黄化合物とリン化合物とを組み合わせて潤滑油添加剤として用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、トリアリールホスホロチオネートとトリアリールホスフェートとの組み合わせが開示されている。特許文献2には、チオホスフェートとアシッドホスフェート(酸性リン酸エステル)との組み合わせが開示されている。特許文献3には、β−ジチオホスホリル化プロピオン酸とトリアリールホスフェートとの組み合わせが開示されている。しかし、硫黄化合物は腐食性及び臭気の点で、活性の高いアシッドホスフェートは加水分解安定性の点で充分とはいえず、さらなる改善が望まれている。
英国特許出願公開第1415964号明細書 特開2010−260972号公報 特開2002−265971号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高荷重の過酷な条件下でも優れた極圧性及び耐摩耗性を有する潤滑油組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下記[1]〜[3]に示す潤滑油組成物を提供する。
[1]エステル系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有する、潤滑油組成物。

[式(1)中、Rはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。]
[2]式(1)のRのうち少なくとも一方が、下記一般式(2)で表される炭化水素基である、[1]に記載の潤滑油組成物。

[式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。]
[3]エステル系基油が、ポリオールエステルを含む、[1]又は[2]に記載の潤滑油組成物。
本発明によれば、高荷重の過酷な条件下でも優れた極圧性及び耐摩耗性を有する潤滑油組成物が提供される。
製造例1で得られたグリセリン−ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオホスフェートの13C−NMRスペクトルである。 製造例2で得られたグリセリン−ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェートの13C−NMRスペクトルである。 製造例2で得られたグリセリン−ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェートのIRスペクトルである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態に係る潤滑油組成物は、エステル系基油と、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有する。
[エステル系基油]
エステル系基油は、通常の潤滑油に使用される基油を使用することができる。具体的には、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル等が挙げられる。
エステル系基油を構成するアルコールは、一価アルコールであってもよく、多価アルコールであってもよい。エステル系基油を構成する酸は、一塩基酸であってもよく、多塩基酸であってもよい。また、エステル系基油は、一価アルコールと多価アルコールとの混合アルコール及び一塩基酸と多塩基酸との混合酸によって構成される複合エステルであってもよい。エステル系基油は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
一価アルコールは、通常炭素数1〜24、好ましくは炭素数1〜12のアルコールが用いられる。このような一価アルコールは、直鎖状又は分岐状のものであってもよく、飽和又は不飽和のものであってもよい。このような一価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノールが挙げられる。
多価アルコールは、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のアルコールが用いられる。このような多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンが挙げられる。
一塩基酸は、通常炭素数2〜24の脂肪酸が用いられる。このような一塩基酸は、直鎖状又は分岐状のものであってもよく、飽和又は不飽和のものであってもよい。このような一塩基酸としては、例えば、メタン酸、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸、イソ酪酸等)、ペンタン酸(吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸等)、ヘキサン酸(カプロン酸等)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸等)、ノナン酸(ペラルゴン酸等)、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸等)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸等)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸等)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸等)、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸等の飽和脂肪酸;プロペン酸(アクリル酸等)、プロピン酸(プロピオール酸等)、ブテン酸(メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等)、ペンテン酸、ヘキセン酸、へプテン酸、オクテン酸、ノネン酸、デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、トリデセン酸、テトラデセン酸、ペンタデセン酸、ヘキサデセン酸、ヘプタデセン酸、オクタデセン酸(オレイン酸等)、ノナデセン酸、イコセン酸、ヘンイコセン酸、ドコセン酸、トリコセン酸、テトラコセン酸、ペンタコセン酸、ヘキサコセン酸、ヘプタコセン酸、オクタコセン酸、ノナコセン酸、トリアコンテン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
多塩基酸は、通常炭素数2〜16の二塩基酸及びベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸が用いられる。このような二塩基酸は、直鎖状又は分岐状のものであってもよく、飽和又は不飽和のものであってもよい。炭素数2〜16の二塩基酸としては、例えば、エタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸)、ブタン二酸(コハク酸)、ペンタン二酸(グルタル酸)、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸(ピメリン酸)、オクタン二酸(スベリン酸)、ノナン二酸(アゼライン酸)、デカン二酸(セバシン酸)、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘプタデカン二酸、ヘキサデカン二酸等の飽和塩基酸;ヘキセン二酸、ヘプテン二酸、オクテン二酸、ノネン二酸、デセン二酸、ウンデセン二酸、ドデセン二酸、トリデセン二酸、テトラデセン二酸、ヘプタデセン二酸、ヘキサデセン二酸等の不飽和塩基酸が挙げられる。
エステル系基油を構成するアルコールと酸との組み合わせとしては、特に制限されないが、例えば、下記の組み合わせのエステルを挙げることができる。これらの組み合わせのエステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(b)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(c)一価アルコールと多塩基酸(二塩基酸)とのエステル
(d)多価アルコールと多塩基酸(二塩基酸)とのエステル
(e)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と一塩基酸との混合エステル
(f)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と多塩基酸(二塩基酸)との混合エステル
(g)一価アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
(h)多価アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
(i)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
これらのうち、エステル系基油は、多価アルコールとのエステルである上記(b)、(d)又は(h)のポリオールエステルを含むことが好ましく、上記(b)のポリオールエステルを含むことがより好ましい。
ポリオールエステルは、多価アルコールの水酸基の一部がエステル化されていない部分エステルであっても、多価アルコールの水酸基の全部がエステル化されている完全エステルであってもよい。
エステル系基油の40℃における動粘度は、特に制限されないが、好ましくは1〜100mm/s、より好ましくは10〜80mm/s、さらに好ましくは15〜60mm/sである。エステル系基油の40℃における動粘度が上記の範囲内であると、エステル系基油の適正な粘性を確保でき、実使用温度域において良好な油膜が得られる傾向にある。
本明細書における40℃における動粘度は、それぞれJIS K2283:2000「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して測定される値を意味する。
[潤滑油用添加剤]
潤滑油用添加剤は、一般式(1)で表される化合物である。潤滑油用添加剤は、一般式(1)で表される化合物であれば、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
式(1)中、Rはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。Rとしての炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜18、より好ましくは4〜12、さらに好ましくは6〜10である。
Rとしての炭化水素基は、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基であってもよい。炭化水素基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヘキサニル基、シクロヘキシル基、オレイル基等が挙げられる。これらのうち、炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤は、Rのうち少なくとも一方が、下記一般式(2)で表される炭化水素基であることが好ましい。一般式(2)で表される炭化水素基は、結合手(※)によって酸素原子と結合する基である。当該酸素原子の隣接位の炭素原子であるα炭素は、水素原子を1つのみ有するメチン(CH)炭素である。
式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。R及びRとしての炭化水素基の炭素数は、好ましくは1〜16、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは4〜8である。また、Rの炭化水素基の炭素数とRの炭化水素基の炭素数との合計は、好ましくは2〜17、より好ましくは3〜11、さらに好ましくは5〜9である。
及びRとしての炭化水素基は、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基であってもよい。炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ヘキサニル基、シクロヘキシル基、オレイル基が挙げられる。これらのうち、炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のアルキル基であることが好ましい。
一般式(2)で表される炭化水素基としては、例えば、4−メチル−2−ペンチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、2−ヘキシル基、2−オクチル基等が挙げられる。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤は、例えば、五硫化リン(P)とRを有するアルコール(R−OH)とを反応させ、Rを有するジチオホスフェートを得た後に、得られたジチオホスフェートとグリシドールとを反応させることによって、得ることができる。
五硫化リンとRを有するアルコールとを反応させるときの比率は、五硫化リン1モルに対して、Rを有するアルコールを2モル以上、好ましくは3〜4モルである。
Rを有するジチオホスフェートとグリシドールとを反応させるときの比率は、Rを有するジチオホスフェート1モルに対して、グリシドールを0.8モル以上、好ましくは0.9〜1モルである。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤を合成するときの反応条件は、用いる原料に合わせて適宜選択することができる。反応条件としては、例えば、無溶媒又は溶媒存在下、40〜150℃で0.5〜48時間撹拌することが挙げられる。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤の含有量は、特に制限されないが、低摩擦性及び耐摩耗性の観点から、組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.007質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上である。また、触媒被毒の抑制及びシール材の適合性の観点から、組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは0.20質量%以下、より好ましくは0.10質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。
潤滑油組成物は、その目的に応じて、一般的に使用されている任意の添加剤をさらに含有することができる。このような添加剤としては、例えば、粘度調整剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、摩擦調整剤、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤以外の摩耗防止剤(極圧剤)、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、流動点降下剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を挙げることができる。
粘度調整剤は、具体的には非分散型又は分散型エステル基含有粘度調整剤である。粘度調整剤としては、例えば、非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度調整剤、非分散型又は分散型オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体系粘度調整剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度調整剤及びこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度調整剤であることが好ましい。特に非分散型又は分散型ポリメタクリレート系粘度調整剤であることが好ましい。
粘度調整剤としては、その他に、非分散型若しくは分散型エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物、ポリイソブチレン又はその水素化物、スチレン−ジエン水素化共重合体、ポリアルキルスチレン等を挙げることができる。
金属系清浄剤としては、例えば、スルホネート系清浄剤、サリチレート系清浄剤、フェネート系清浄剤等が挙げられ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属との正塩、塩基性塩、過塩基性塩のいずれをも配合することができる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤が使用でき、例えば、炭素数40以上400以下の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノ又はビスコハク酸イミド、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、これらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品などが挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。
摩擦調整剤としては、例えば、脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩擦調整剤、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、イミド化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩等を好ましく用いることができる。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤以外の摩耗防止剤(極圧剤)は、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と組み合わせて用いることができる。このような摩耗防止剤(極圧剤)としては、例えば、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤以外の硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類(ホスフェート)、チオリン酸エステル類(チオホスフェート)、ジチオリン酸エステル類(ジチオホスフェート)、トリチオリン酸エステル類(トリチオホスフェート)、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤などが挙げられる。具体的には、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が使用できる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000mm/s以上100000mm/s以下のシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸とのエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコールとのエステル等が挙げられる。
これらの添加剤を潤滑油組成物に含有させる場合には、それぞれの含有量は組成物全量を基準として、0.01〜20質量%であってもよい。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[潤滑油用添加剤の合成]
(製造例1)
<グリセリン−ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオホスフェート(上記一般式(1)の2つのRが4−メチル−2−ペンチル基である化合物)の合成>
五硫化リン(P)0.1mol(38.2g)及び4−メチル−2−ペンチルアルコール(C13OH)0.4mol(40.9g)をフラスコに採取し、70℃で15時間撹拌させ、ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオホスフェート0.2mol(59.7g)を得た。
続いて、ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオホスフェート0.1mol(29.8g)及びグリシドール(C、ALDRICH社)0.1mol(7.4g)をフラスコに採取し、室温(25℃)で20分撹拌させ、目的物であるグリセリン−ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェートを0.1mol(37.3g)を得た。
得られたグリセリン−ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオホスフェートについて、13C−NMR分析(共鳴周波数:150MHz、溶媒:CDCl)を行った。13C−NMRスペクトルを図1に示す。13C−NMRスペクトルでは、下記化学式におけるa〜iの炭素にそれぞれ対応するピークが観測された。このスペクトルから、目的物の合成が確認された。
(製造例2)
<グリセリン−ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェート(上記一般式(1)の2つのRが2−エチルヘキシル基である化合物)の合成>
五硫化リン(P)0.1mol(38.2g)及び2−エチルヘキシルアルコール(C17OH)0.4mol(52g)をフラスコに採取し、70℃で15時間撹拌させ、ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェート0.2mol(70.8g)を得た。
続いて、ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェート0.1mol(35.4g)及びグリシドール(C、ALDRICH社)0.1mol(7.4g)をフラスコに採取し、室温(25℃)で20分撹拌させ、目的物であるグリセリン−ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェートを0.1mol(45.2g)を得た。
得られたグリセリン−ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェートについて、13C−NMR分析(共鳴周波数:150MHz、溶媒:CDCl)及びIR分析(KBrサンドイッチ法)を行った。13C−NMRスペクトル及びIRスペクトルをそれぞれ図2及び図3に示す。13C−NMRスペクトルでは、下記化学式におけるa〜kの炭素にそれぞれ対応するピークが観測された。IRスペクトルでは、P=S、P−O−C、O−H等に対する吸収が観測された。これらのスペクトルから、目的物の合成が確認された。
[潤滑油組成物の調製]
(実施例1〜3及び比較例1)
表1に示すように、実施例1〜3及び比較例1の潤滑油組成物をそれぞれ調製した。得られた潤滑油組成物について、摩耗特性を検討し、その結果を表1に併記した。
表1に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
<エステル系基油>
A−1:エステル系基油(トリメチロールプロパンとオレイン酸とのエステル、40℃動粘度:46mm/s)
<潤滑油用添加剤>
B−1:グリセリン−ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオホスフェート(製造例1の潤滑油用添加剤)[リン含有量(理論値):8.31質量%、硫黄含有量(理論値):17.22質量%]
B−2:グリセリン−ジ−2−エチルヘキシルジチオホスフェート(製造例2の潤滑油用添加剤)[リン含有量(理論値):7.24質量%、硫黄含有量(理論値):14.95質量%]
b−1:トリクレジルホスフェート(TCP)[第八化学工業株式会社製、リン含有量(理論値):8.42質量%]
なお、表1中の「リン元素換算値」は、組成物全量を基準としたときの潤滑油用添加剤B−1、B−2及びC−1のリン元素換算の含有量の総量を意味する。「リン元素換算値」は、潤滑油用添加剤に含まれるリン含有量(理論値)とそれぞれの仕込み量とから算出することができる。
(摩耗特性試験)
摩耗特性試験は、3ローラーオンリング方式装置で評価した。試験は以下の条件で行い、摩耗痕径(mm)を測定して評価した。本試験においては、摩耗痕径が小さいほど、摩耗特性に優れることを意味する。
試験片:SUJ2
温度:室温(25℃)
荷重:147N
試験時間:1時間
すべり速度:1.05m/s
製造例1又は2の無灰の潤滑油用添加剤を含有する実施例1〜3の潤滑油組成物は、製造例1及び2の潤滑油用添加剤を含有しない比較例1の潤滑油組成物と比較して、良好な摩耗特性を有していた。これらの結果から、本発明の潤滑油組成物が、高荷重の過酷な条件下でも優れた極圧性及び耐摩耗性を有することが確認された。

Claims (3)

  1. エステル系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有する、潤滑油組成物。

    [式(1)中、Rはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、2つのRは同一であっても異なっていてもよい。]
  2. 前記式(1)のRのうち少なくとも一方が、下記一般式(2)で表される炭化水素基である、請求項1に記載の潤滑油組成物。

    [式(2)中、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示し、R及びRは同一であっても異なっていてもよい。]
  3. 前記エステル系基油が、ポリオールエステルを含む、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
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