JP2018188520A - 潤滑油組成物及びこれを用いた摺動機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材において、摺動部材同士の摺動面の摩擦係数を低減することが可能な潤滑油組成物を提供すること。【解決手段】炭化水素系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有し、対向して相対的に運動する一対の摺動部材の潤滑に用いられ、摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有する、潤滑油組成物。[式(1)中、R1はアルキレン基、R2及びR3はそれぞれ独立に炭化水素基を示す。mは0又は1を示し、nは0又は1を示す。ただし、m+nは1である。]【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物及びこれを用いた摺動機構に関する。
近年、様々な分野において、環境問題への対応が重要となっており、省エネルギー化及び二酸化炭素の排出量の低減化に関する技術開発が進められている。例えば、自動車に関しては、燃費を向上させることが重要な課題となっており、潤滑油及び摺動部材の技術開発が行われている。
潤滑油に関しては、各種性能の向上を目的として種々の基油及び添加剤が開発されている。また、要求性能の多様化に対応するために、種々の基油及び添加剤の組み合わせによって、これらの性能向上が図られている。特に、モリブデン系摩擦調整剤は鉄系合金の摺動部材の摩擦低減性に優れることから、エンジン油をはじめとした多くの潤滑油に使用されている。
一方、摺動部材の開発に関しては、摩擦摩耗の過酷な部位(例えば、エンジンの動弁系等の摺動部位)用の部材として、従来耐摩耗性向上等に寄与するチタン窒素被膜、クロム窒素被膜等の硬質被膜が知られている。さらに、近年ではダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」という場合がある。)被膜を利用することによって、空気中、潤滑油非存在下において、摩擦係数を低減できることが判明し、DLC被膜を有する材料(以下、「DLC材料」という場合がある。)が摺動部材として期待されている。しかし、DLC材料は、潤滑油存在下において摩擦低減効果が小さくなる傾向にあることが知られている。このため、DLC材料に用いる添加剤及び潤滑油の開発が行われている。
例えば、特許文献1には、エーテル系無灰摩擦低減剤を含む低摩擦摺動部材に用いられる潤滑油組成物が開示されている。特許文献2、3には、DLC部材と鉄系合金部材との摺動面、又はDLC部材とアルミニウム系合金部材との摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物を用いることが開示されている。また、特許文献4には、DLCコーティング摺動部材と摺動部材とがなす摺動面に、含酸素有機化合物又は脂肪族アミン系化合物を含有する低摩擦剤組成物を介在させた低摩擦摺動機構が開示されている。さらに、特許文献5には、アミド系摩擦低減剤を含有する低摩擦摺動部材に用いられる潤滑油組成物が開示されている。
このような潤滑油組成物には、耐摩耗性の観点から、ジアルキルジチオリン酸亜鉛(以下、「ZDTP」という場合がある。)が配合されることがある。しかし、潤滑油にZDTPが配合されると、摩擦係数が大きくなる傾向にあり、低摩擦化を達成できないという問題があった。そのため、ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材に用いたときに、摩擦係数を低減することができる潤滑油組成物が求められている。
特開2006−036850号公報 特開2003−238982号公報 特開2004−155891号公報 特開2005−098495号公報 特開2013−216872号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材において、摺動部材同士の摺動面の摩擦係数を低減することが可能な潤滑油組成物を提供することを主な目的とする。
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明者は、特定構造のホスホン酸エステルを潤滑油用添加剤として用いることによって、ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材において、摺動部材同士の摺動面の摩擦係数を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[3]に示す潤滑油組成物、下記[4]に示す摺動機構、下記[5]に示す組成物の使用(応用)、並びに、下記[6]に示す組成物の製造のための使用(応用)を提供する。
[1]炭化水素系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有し、対向して相対的に運動する一対の摺動部材の潤滑に用いられ、摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有する、潤滑油組成物。
Figure 2018188520

[式(1)中、Rはアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。mは0又は1を示し、nは0又は1を示す。ただし、m+nは1である。]
[2]酸化防止剤をさらに含有する、[1]に記載の潤滑油組成物。
[3]粘度調整剤をさらに含有する、[1]又は[2]に記載の潤滑油組成物。
[4]対向して相対的に運動する一対の摺動部材と、摺動部材を潤滑する[1]〜[3]のいずれかに記載の潤滑油組成物と、を備え、摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有する、摺動機構。
[5]組成物の、対向して相対的に運動する一対の摺動部材の潤滑に用いられる潤滑油としての使用であって、摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有し、組成物が、炭化水素系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有する、使用。
Figure 2018188520

[式(1)中、Rはアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。mは0又は1を示し、nは0又は1を示す。ただし、m+nは1である。]
[6]組成物の、対向して相対的に運動する一対の摺動部材の潤滑に用いられる潤滑油の製造のための使用であって、摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有し、組成物が、炭化水素系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有する、使用。
Figure 2018188520

[式(1)中、Rはアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。mは0又は1を示し、nは0又は1を示す。ただし、m+nは1である。]
本発明によれば、ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材において、摺動部材同士の摺動面の摩擦係数を低減することが可能な潤滑油組成物及びこれを用いた摺動機構が提供される。
製造例1で得られた(n−ヘキシル)ホスホン酸グリセリル(n−ヘキシル)のIRスペクトルである。 製造例2で得られた(2−エチルヘキシル)ホスホン酸グリセリル(2−エチルヘキシル)のIRスペクトルである。 製造例3で得られた(グリセリル)ホスホン酸ジ(n−ヘキシル)のIRスペクトルである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
一実施形態の潤滑油組成物は、炭化水素系基油と、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有し、対向して相対的に運動する一対の摺動部材の潤滑に用いられる。ここで、当該摺動部材の少なくとも一方は、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有する。
[炭化水素系基油]
炭化水素系基油は、通常の潤滑油分野で使用される炭化水素系基油を使用することができる。炭化水素系基油としては、具体的には、鉱油系炭化水素油、合成系炭化水素油、又は両者の混合物が挙げられる。
鉱油系炭化水素油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、又は芳香族系の原油の蒸留により得られる灯油留分;灯油留分からの抽出操作等により得られるノルマルパラフィン;及びパラフィン系、ナフテン系、又は芳香族系の原油の蒸留により得られる潤滑油留分、あるいは潤滑油脱ろう工程により得られる、スラックワックス等のワックス及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる、フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等の合成ワックスを原料とし、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、水素化異性化、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を1つ又は2つ以上適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油、イソパラフィン系基油、芳香族系基油等が挙げられる。これらの鉱油系基油は単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
合成系炭化水素油としては、例えば、ポリα−オレフィン又はその水素化物;プロピレンオリゴマー、イソブチレンオリゴマー、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等のオレフィンオリゴマー又はその水素化物;アルキルベンゼン;アルキルナフタレンが挙げられる。これらの合成系炭化水素油は単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
炭化水素系基油(鉱油系炭化水素油)の硫黄分は、基油全量を基準として、好ましくは100質量ppm以下、より好ましくは50質量ppm以下、さらに好ましくは10質量ppm以下である。炭化水素系基油の硫黄分が、基油全量を基準として、100質量ppm以下であると、得られる潤滑油組成物の耐摩耗性がより向上する傾向にある。なお、本明細書における硫黄分は、JIS K2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」により測定された値を意味する。
炭化水素系基油の40℃における動粘度は、特に制限されないが、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは10mm/s以上、さらに好ましくは15mm/s以上である。また、40℃における動粘度は、好ましくは100mm/s以下、より好ましくは80mm/s以下、さらに好ましくは60mm/s以下である。炭化水素系基油の40℃における動粘度が上記の範囲内であると、炭化水素系基油の適正な粘性を確保でき、実使用温度域において良好な油膜が得られる傾向にある。
炭化水素系基油の100℃における動粘度は、特に制限されないが、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは2mm/s以上、さらに好ましくは3mm/s以上である。また、100℃における動粘度は、好ましくは20mm/s以下、より好ましくは15mm/s以下、さらに好ましくは8mm/s以下である。炭化水素系基油の100℃における動粘度が上記の範囲内であると、炭化水素系基油の適正な粘性を確保でき、実使用温度域において良好な油膜が得られる傾向にある。
炭化水素系基油の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは70以上、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上である。粘度指数が上記の範囲内であると、外部の温度に対して粘度の安定性が確保されるため、使用時における外部の温度変化に対しても安定的に油膜を形成できる傾向にある。
本明細書における40℃及び100℃における動粘度並びに粘度指数は、それぞれJIS K2283:2000「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して測定される値を意味する。
炭化水素系基油の全芳香族含有量は、特に制限されないが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。炭化水素系基油の全芳香族含有量が30質量%以下であると、酸化安定性により優れる傾向にある。なお、本明細書における全芳香族含有量は、ASTMD2549に準拠して測定した芳香族留分(aromatic fraction)含有量を意味する。通常、芳香族留分には、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンの他、アントラセン、フェナントレン、及びこれらのアルキル化物、ベンゼン環が四環以上縮合した化合物、またはピリジン類、キノリン類、フェノール類、ナフトール類等のヘテロ芳香族を有する化合物等が含まれる。
炭化水素系基油は、炭化水素系基油のみで用いてもよく、炭化水素系基油と炭化水素系基油以外の合成系基油の1種又は2種以上とを併用してもよい。炭化水素系基油と炭化水素系基油以外の合成系基油とを併用する場合、それらの混合基油中に占める炭化水素系基油の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
合成系基油としては、例えば、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等);ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンオレート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等);ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。
[潤滑油用添加剤]
潤滑油用添加剤は、一般式(1)で表される化合物である。潤滑油用添加剤は、一般式(1)で表される化合物であれば、1種を単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
Figure 2018188520
式(1)中、Rはアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。mは0又は1を示し、nは0又は1を示す。ただし、m+nは1である。
としてのアルキレン基は、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であってもよい。アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2、特に好ましくは1である。
及びRとしての炭化水素基は、直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又はアルケニル基であってもよい。また、R及びRは互いに同一であっても異なっていてもよい。炭化水素基としては、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヘキサニル基、シクロヘキシル基、オレイル基等が挙げられる。これらの中で、炭化水素基は、好ましくは直鎖状又は分岐状の炭素数3〜18のアルキル基、より好ましくは直鎖状又は分岐状の炭素数4〜12のアルキル基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐状の炭素数6〜10のアルキル基である。
一般式(1)で表される化合物は、一般式(A)で表される化合物(式(1)のmが1、nが0)又は一般式(B)で表される化合物(式(1)のmが0、nが1)である。
Figure 2018188520
式(A)中、R1A、R2A及びR3Aは、上述のR、R及びRと同義である。
一般式(A)で表される潤滑油用添加剤は、例えば、一般式(A−1)で表される化合物と一般式(A−2)で表される化合物とを反応させることによって、得ることができる。
Figure 2018188520
一般式(A−1)で表される化合物及び一般式(A−2)で表される化合物は、市販品をそのまま用いることができる。一般式(A−1)で表される化合物と一般式(A−2)で表される化合物とを反応させるときの比率は、一般式(A−2)で表される化合物1モルに対して、一般式(A−1)で表される化合物を0.8モル以上、好ましくは0.9〜1モルである。
Figure 2018188520
式(B)中、R1B、R2B及びR3Bは、上述のR、R及びRと同義である。
一般式(B)で表される潤滑油用添加剤は、例えば、Bulletin de la Societe Chimique de France 1983, 5-6, Pt.2, 125-130に記載の方法に準じて合成することができる。より具体的には、一般式(B−1)で表される化合物と一般式(B−2)で表される化合物とを反応させることによってエポキシ化合物(B−3)を得た後、このエポキシ化合物を酸処理等によって開環させることによって、得ることができる。
Figure 2018188520
なお、R4Bは、上述のR及びRと同義である。R2B、R3B及びR4Bは互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(B−1)で表される化合物及び一般式(B−2)で表される化合物は、市販品をそのまま用いることができる。一般式(B−1)で表される化合物と一般式(B−2)で表される化合物とを反応させるときの比率は、一般式(B−2)で表される化合物1モルに対して、一般式(B−1)で表される化合物を0.8モル以上、好ましくは0.9〜1モルである。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤を合成するときの反応条件は、用いる原料に合わせて適宜選択することができる。反応条件としては、例えば、無溶媒又は溶媒存在下、40〜200℃で0.5〜48時間撹拌することが挙げられる。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤の含有量は、特に制限されないが、摩擦特性及び摩耗特性の向上の観点から、組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは0.005質量%(50質量ppm)以上、より好ましくは0.01質量%(100質量ppm)以上、さらに好ましくは0.03質量%(300質量ppm)以上である。また、触媒被毒の抑制及び非鉄金属の腐食の抑制の観点から、組成物全量を基準として、リン元素換算で、好ましくは0.20質量%(2000質量ppm)以下、より好ましくは0.15質量%(1500質量ppm)以下、さらに好ましくは0.12質量%(1200質量ppm)以下である。
本実施形態の潤滑油組成物は、酸化防止剤をさらに含有していてもよい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤などが挙げられる。これらの中でも、無灰酸化防止剤であることが好ましい。具体的には、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、ベンゼンプロパン酸−3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、特に制限されないが、酸化安定性の観点から、組成物全量を基準として、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。酸化防止剤の含有量は、エンジン清浄性の観点から、組成物全量を基準として、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
本実施形態の潤滑油組成物は、粘度調整剤をさらに含有していてもよい。
粘度調整剤としては、例えば、非分散型若しくは分散型エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物、ポリイソブチレン又はその水素化物、スチレン−ジエン水素化共重合体、ポリアルキルスチレン等を挙げられる。これらの中でも、粘度調整剤は、好ましくはエチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物である。
粘度調整剤としては、その他に、非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度調整剤、非分散型又は分散型オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体系粘度調整剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度調整剤及びこれらの混合物等が挙げられる。
粘度調整剤の含有量は、特に制限されないが、粘度指数向上の観点から、組成物全量を基準として、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。粘度調整剤の含有量は、エンジン清浄性の観点から、組成物全量を基準として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
潤滑油組成物は、その目的に応じて、一般的に使用されている任意の添加剤をさらに含有することができる。このような添加剤としては、例えば、金属系清浄剤、無灰分散剤、摩擦調整剤、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤以外の摩耗防止剤(極圧剤)、腐食防止剤、防錆剤、流動点降下剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を挙げることができる。
金属系清浄剤としては、例えば、スルホネート系清浄剤、サリチレート系清浄剤、フェネート系清浄剤等が挙げられ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属との正塩、塩基性塩、過塩基性塩のいずれをも配合することができる。
無灰分散剤としては、潤滑油に用いられる任意の無灰分散剤が使用でき、例えば、炭素数40以上400以下の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノ又はビスコハク酸イミド、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、これらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品などが挙げられる。
摩擦調整剤としては、例えば、脂肪酸エステル系、脂肪族アミン系、脂肪酸アミド系等の無灰摩擦調整剤、モリブデンジチオカーバメート、モリブデンジチオホスフェート等の金属系摩擦調整剤等が挙げられる。例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、イミド化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩等を好ましく用いることができる。
一般式(1)で表される潤滑油用添加剤以外の摩耗防止剤(極圧剤)は、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と組み合わせて用いることができる。このような摩耗防止剤(極圧剤)としては、例えば、一般式(1)で表される潤滑油用添加剤以外の硫黄系、リン系、硫黄−リン系の極圧剤等が使用でき、具体的には、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類(ホスフェート)、チオリン酸エステル類(チオホスフェート)、ジチオリン酸エステル類(ジチオホスフェート)、トリチオリン酸エステル類(トリチオホスフェート)、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられる。
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が挙げられる。
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
金属不活性化剤としては、例えば、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、β−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が1000mm/s以上100000mm/s以下のシリコーンオイル、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸とのエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコールとのエステル等が挙げられる。
これらの添加剤を用いる場合、それぞれの含有量は、組成物全量を基準として、0.01〜20質量%であってもよい。
潤滑油組成物の100℃における動粘度は、特に制限されないが、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは2mm/s以上、さらに好ましくは3mm/s以上である。また、100℃における動粘度は、好ましくは15mm/s以下、より好ましくは12mm/s以下、さらに好ましくは10mm/s以下である。潤滑油組成物の100℃における動粘度が上記の範囲内であると、適正な粘性を確保でき、油膜保持性により優れる傾向にある。
潤滑油組成物の40℃における動粘度は、特に制限されないが、好ましくは1mm/s以上、より好ましくは10mm/s以上、さらに好ましくは15mm/s以上である。また、40℃における動粘度は、好ましくは100mm/s以下、より好ましくは80mm/s以下、さらに好ましくは60mm/s以下である。潤滑油組成物の40℃における動粘度が上記の範囲内であると、適正な粘性を確保でき、油膜保持性により優れる傾向にある。
潤滑油組成物の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは70以上であり、より好ましくは100以上、さらに好ましくは120以上である。粘度指数が上記の範囲内であると、外部の温度に対して粘度の安定性が確保されるため、使用時における外部の温度変化に対しても安定的に油膜を形成できる傾向にある。
本実施形態の潤滑油組成物によれば、ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材において、摩擦係数を低減することができる。なお、本実施形態においては、ZDTP又は無灰摩擦調整剤を配合しない形態で用いることができる。ZDTP又は無灰摩擦調整剤を配合しない場合でも、摩擦特性を向上できることは、これらを用いることを前提とする特許文献1〜5の記載からみて、予想外の有利な効果であるといえる。
一実施形態の摺動機構は、対向して相対的に運動する一対の摺動部材と、摺動部材を潤滑する上記の潤滑油組成物と、を備える。
摺動機構は、摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC膜)で被覆された摺動面を有する。摺動部材は、その両方がDLC膜で被覆された摺動面を有していてもよい。
ここで、DLC膜を構成するDLC(ダイヤモンドライクカーボン)は、炭素元素を主として構成された非晶質カーボンを表し、炭素同士の結合形態がダイヤモンド構造(sp結合構造)及びグラファイト結合(sp結合)の両方からなるカーボンである。DLC膜としては、例えば、炭素元素のみからなるa−C(アモルファスカーボン)、ta−C(テトラへドラルアモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素化アモルファスカーボン)、ta−C:H(水素化テトラへドラルアモルファスカーボン)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の金属原子を一部に含むMeC(メタルカーボン)、ケイ素原子を一部に含むDLC−Siなどからなる膜が挙げられる。
摺動部材の基材としては、例えば、鉄系材料、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料等の金属系材料などが挙げられる。
鉄系材料としては、高純度の鉄だけでなく、例えば、炭素、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、コバルト、モリブデン、鉛、ケイ素、チタン又はこれら2種以上を任意の割合で鉄と組み合わせた各種鉄系合金であってもよい。より具体的には、浸炭鋼SCM420、SCr420(JIS)等が挙げられる。
アルミニウム系材料としては、高純度のアルミニウムだけでなく、各種のアルミニウム系合金が使用でき、例えば、シリコン(Si)を4〜20質量%及び銅(Cu)を1.0〜5.0質量%含む亜共晶アルミニウム合金又は過共晶アルミニウム合金等であってもよい。アルミニウム合金としては、例えば、AC2A、AC8A、ADC12、ADC14(JIS)が挙げられる。
マグネシウム系材料としては、例えば、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛(Mg−Al−Zn)系、マグネシウム−アルミニウム−希土類金属(Mg−Al−REM)系、マグネシウム−アルミニウム−カルシウム(Mg−Al−Ca)系、マグネシウム−亜鉛−アルミニウム−カルシウム(Mg−Zn−Al−Ca)系、マグネシウム−アルミニウム−カルシウム−希土類金属(Mg−Al−Ca−REM)系、マグネシウム−アルミニウム−ストロンチウム(Mg−Al−Sr)系、マグネシウム−アルミニウム−シリコン(Mg−Al−Si)系、マグネシウム−希土類金属−亜鉛(Mg−REM−Zn)系、マグネシウム−銀−希土類金属(Mg−Ag−REM)系、マグネシウム−イットリウム−希土類金属(Mg−Y−REM)系;及びこれらの任意の割合で組み合わせたものが使用できる。具体的には、AZ91、AE42、AX51、AXJ、ZAX85、AXE522、AJ52、AS21、QE22又はWE43(ASTM)等が挙げられる。
摺動部材へのDLC膜の形成方法としては、例えば、公知のPVD(物理気相成長)法、CVD(化学気相蒸着)法等が挙げられる。
DLC膜で被覆されていない摺動面を有する摺動部材の基材としては、例えば、上述の鉄系材料、アルミニウム系材料、マグネシウム系材料等の金属系材料、樹脂、プラスティック、カーボン等の非金属系材料などが挙げられる。これらの基材は、TiN、CrN等の各種薄膜で被覆されている摺動面を有していてもよい。
摺動機構は、密閉式、循環式等の摺動機構の種類に応じて、摺動面に上述の潤滑油組成物を供給することによって、摺動部材を潤滑させることができる。
摺動機構としては、例えば、4サイクル、2サイクルエンジン等の内燃機関が挙げられる。より具体的には、動弁系、ピストン、ピストンリング、ピストンスカート、シリンダライナ、コンロッド、クランクシャフト、ベアリング、軸受け、メタルギヤー、チェーン、ベルト、オイルポンプ等の少なくとも一方がDLC膜で被覆された摺動面を、少なくとも1か所備える内燃機関などが挙げられる。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[潤滑油用添加剤の合成]
(製造例1)
<(n−ヘキシル)ホスホン酸グリセリル(n−ヘキシル)(上記一般式(1)のmが1、nが0、Rがメチレン基、R及びRがn−ヘキシル基である化合物)の合成>
(n−ヘキシル)ホスホン酸(n−ヘキシル)(城北化学工業株式会社)0.1mol(25.0g)及びグリシドール(ALDRICH社)0.1mol(7.4g)をフラスコに採取した。この混合物を50℃で60分間撹拌することによって、目的物である(n−ヘキシル)ホスホン酸グリセリル(n−ヘキシル)0.1mol(32.0g)を得た。
得られた(n−ヘキシル)ホスホン酸グリセリル(n−ヘキシル)について、IR分析(KBrサンドイッチ法)を行った。IRスペクトルを図1に示す。IRスペクトルでは、以下に帰属されるピークが観察され、目的物の合成が確認された。
<IRスペクトルデータ>
3400〜3200cm−1:アルコールのOH伸縮振動、2960cm−1:メチル基のH−CH−H逆対称伸縮振動、2960cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、2960cm−1:メチル基のH−CH−H逆対称伸縮振動、2925cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、2870cm−1:メチル基のH−CH−H対称伸縮振動、2850cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、1470cm−1:メチレン基のH−C−H変角振動、1460cm−1:メチル基のH−CH−H変角振動、1380cm−1:メチレン基のH−C−H変角振動、1250〜1200cm−1:P=O伸縮振動、1120cm−1:二級アルコールのC−O伸縮振動、1060cm−1:一級アルコールのC−O伸縮振動、1100cm−1:C−O−P伸縮振動、720cm−1:P−C伸縮振動。
(製造例2)
<(2−エチルヘキシル)ホスホン酸グリセリル(2−エチルヘキシル)(上記一般式(1)のmが1、nが0、Rがメチレン基、R及びRが2−エチルヘキシル基である化合物)の合成>
(2−エチルヘキシル)ホスホン酸(2−エチルヘキシル)(東京化成工業株式会社)0.1mol(30.6g)及びグリシドール(ALDRICH社)0.1mol(7.4g)をフラスコに採取した。この混合物を50℃で60分間撹拌することによって、目的物である(2−エチルヘキシル)ホスホン酸グリセリル(2−エチルヘキシル)0.1mol(37.0g)を得た。
得られた(2−エチルヘキシル)ホスホン酸グリセリル(2−エチルヘキシル)について、IR分析(KBrサンドイッチ法)を行った。IRスペクトルを図2に示す。IRスペクトルでは、以下に帰属されるピークが観察され、目的物の合成が確認された。
<IRスペクトルデータ>
3400〜3200cm−1:アルコールのOH伸縮振動、2960cm−1:メチル基のH−CH−H逆対称伸縮振動、2960cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、2960cm−1:メチル基のH−CH−H逆対称伸縮振動、2925cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、2870cm−1:メチル基のH−CH−H対称伸縮振動、2850cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、1470cm−1:メチレン基のH−C−H変角振動、1460cm−1:メチル基のH−CH−H変角振動、1380cm−1:メチレン基のH−C−H変角振動、1250〜1200cm−1:P=O伸縮振動、1120cm−1:二級アルコールのC−O伸縮振動、1060cm−1:一級アルコールのC−O伸縮振動、1100cm−1:C−O−P伸縮振動、720cm−1:P−C伸縮振動。
(製造例3)
<(グリセリル)ホスホン酸ジ(n−ヘキシル)(上記一般式(1)のmが0、nが1、Rがメチレン基、R及びRがn−ヘキシル基である化合物)の合成>
エピクロロヒドリン(東京化成工業株式会社)0.1mol(9.2g)及び亜リン酸トリ(n−ヘキシル)(東京化成工業株式会社)0.1mol(33.4g)をフラスコに採取した。この混合物を130℃の窒素雰囲気下で4時間撹拌することによって、純度80%の2,3−エポキシホスホン酸ジ(n−ヘキシル)を得た。このエポキシ化合物に対して1Nの酸性水を投入し、70℃で30分撹拌することによって、目的物である(グリセリル)ホスホン酸ジ(n−ヘキシル)を得た。なお、目的物と副生成物との分離は、シリカゲルクロマトグラフィーによって行った。
得られた(グリセリル)ホスホン酸ジ(n−ヘキシル)について、IR分析(KBrサンドイッチ法)を行った。IRスペクトルを図3に示す。IRスペクトルでは、以下に帰属されるピークが観察され、目的物の合成が確認された。
<IRスペクトルデータ>
3400〜3200cm−1:アルコールのOH伸縮振動、2960cm−1:メチル基のH−CH−H逆対称伸縮振動、2960cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、2960cm−1:メチル基のH−CH−H逆対称伸縮振動、2925cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、2870cm−1:メチル基のH−CH−H対称伸縮振動、2850cm−1:メチレン基のH−C−H逆対称伸縮振動、1470cm−1:メチレン基のH−C−H変角振動、1460cm−1:メチル基のH−CH−H変角振動、1380cm−1:メチレン基のH−C−H変角振動、1250〜1200cm−1:P=O伸縮振動、1060cm−1:二級アルコールのC−O伸縮振動、1040cm−1:一級アルコールのC−O伸縮振動、1040cm−1:C−O−P伸縮振動、720cm−1:P−C伸縮振動。
[潤滑油組成物の調製]
(実施例1〜8及び比較例1〜3)
表1に示すように、実施例1〜8及び比較例1〜3の潤滑油組成物をそれぞれ調製した。得られた潤滑油組成物について、摩擦特性を検討し、その結果を表1に併記した。
表1に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
<潤滑油基油>
A−1:水素化精製鉱油(全芳香族含有量:0質量%、硫黄分:0質量ppm、100℃動粘度:4.2mm/s、粘度指数:122)
A−2:水素化精製鉱油(全芳香族含有量:0質量%、硫黄分:0質量ppm、100℃動粘度:6.5mm/s、粘度指数:128)
<潤滑油用添加剤>
B−1:(n−ヘキシル)ホスホン酸グリセリル(n−ヘキシル)(製造例1の潤滑油用添加剤)[リン含有量(理論値):9.56質量%]
B−2:(2−エチルヘキシル)ホスホン酸グリセリル(2−エチルヘキシル)(製造例2の潤滑油用添加剤)[リン含有量(理論値):8.15質量%]
B−3:(グリセリル)ホスホン酸ジ(n−ヘキシル)(製造例3の潤滑油用添加剤)[リン含有量(理論値):9.56質量%]
b−1:リン酸トリクレジル(TCP)[第八化学工業株式会社、リン含有量(理論値):8.42質量%]
b−2:ジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDTP)(シェブロンジャパン株式会社、「OLOA 262」)[リン含有量(理論値):6.2質量%、硫黄含有量:14.9質量%、亜鉛含有量:7.2質量%]
C−1(摩擦調整剤):グリセリンモノオレート(株式会社ADEKA、「キクルーブ FM−210」)
D−1(酸化防止剤):フェノール系酸化防止剤(BASF社、「IRGANOX L135」)
E−1(粘度調整剤):オレフィンコポリマー(非分散型のエチレン−プロピレン共重合体、シェブロンジャパン株式会社、「PARATONE 8057」)
なお、表1中の「リン元素換算値」は、組成物全量を基準としたときの潤滑油用添加剤B−1〜B−3及びb−1、b−2のリン元素換算の含有量を意味する。「リン元素換算値」は、潤滑油用添加剤B−1〜B−3及びb−1、b−2に含まれるリン含有量(理論値)とそれぞれの仕込み量とから算出することができる。
(摩擦特性試験)
摩擦係数の測定は、シリンダーオンディスク(SRV)試験機で行った。SRV試験においては、シリンダー(15φ22mm、高周波焼入れ)及びディスク(24φ7.9mm、浸炭焼入れ)の表面にDLC−Si膜を製膜したものを用いた。成膜はテトラメチルシラン(常温液体、約50℃で気体)を原料ガスとして使用してチャンバ内で作製した。DLC−Si膜は、Si(100)基板上に予め中間層としてTiを約0.3μmで成膜し、その後チャンバ内で薄膜を約1.0μmで成膜した。表面粗さは、中心線平均粗さRaが約1.0nm、最大高さ粗さRyが約29.8nmであった。また、摩擦特性試験を行う前にヘキサン及びアセトンを用いて、シリンダー及びディスクを15分間超音波洗浄した。
摩擦特性試験は、荷重400N、振幅1.5mm、温度80℃、試験時間30分、振動数50Hzの条件下で行った。結果を表1に示す。なお、表1の摩擦係数は、試験時間25−28分の摩擦係数の平均値である。本試験においては、摩擦係数が小さいほど、摩擦特性に優れることを意味する。
Figure 2018188520
製造例1〜3の潤滑油用添加剤を含有する実施例1〜8の潤滑油組成物は、ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材において、摺動部材同士の摺動面の摩擦係数が低減されていた。これに対して、製造例1〜3の潤滑油用添加剤を含有しない比較例1〜3の潤滑油組成物は、実施例1〜8の潤滑油組成物に比べて、摩擦係数が大きくなった。これらの結果から、本発明の潤滑油組成物が、ダイヤモンドライクカーボン材料が適用された摺動部材において、摺動部材同士の摺動面の摩擦係数を低減できることが確認された。

Claims (4)

  1. 炭化水素系基油と、下記一般式(1)で表される潤滑油用添加剤と、を含有し、
    対向して相対的に運動する一対の摺動部材の潤滑に用いられ、
    前記摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有する、潤滑油組成物。
    Figure 2018188520

    [式(1)中、Rはアルキレン基、R及びRはそれぞれ独立に炭化水素基を示す。mは0又は1を示し、nは0又は1を示す。ただし、m+nは1である。]
  2. 酸化防止剤をさらに含有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 粘度調整剤をさらに含有する、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 対向して相対的に運動する一対の摺動部材と、
    前記摺動部材を潤滑する請求項1〜3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物と、
    を備え、
    前記摺動部材の少なくとも一方が、ダイヤモンドライクカーボン膜で被覆された摺動面を有する、摺動機構。
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