JP2018171877A - 結晶性積層構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
[1] 金属を含む結晶を主成分とする高結晶性層と、高結晶性層よりも結晶性の低い低結晶性層とが少なくとも1層ずつ交互に積層されている結晶性積層構造体であって、高結晶性層および低結晶性層の厚さがいずれも1μm以下であり、高結晶層が低結晶性層よりも厚いことを特徴とする結晶性積層構造体。
[2] 高結晶性層の厚さが低結晶性層の厚さの2倍以上である前記[1]記載の結晶性積層構造体。
[3] 高結晶性層が導電性を有する前記[1]または[2]に記載の結晶性積層構造体。
[4] 金属を含む結晶が結晶性金属酸化物である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
[5] 結晶性金属酸化物がドーピングされている前記[4]記載の結晶性積層構造体。
[6] 結晶性金属酸化物がスズを含む前記[4]または[5]に記載の結晶性積層構造体。
[7] 低結晶性層の主成分が金属酸化物である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
[8] 低結晶性層の主成分がスズを含む前記[1]〜[7]のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
[9] 高結晶性層および低結晶性層の主成分が同一である前記[1]〜[8]のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
[10] 高結晶性層および低結晶性層の厚さが、いずれも0.1μm以下である前記[1]〜[9]のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
[11] 高結晶性層および低結晶性層の厚さが、いずれも50nm以下である前記[1]〜[10]のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
[12] 低結晶性層が基体上に形成されている前記[1]〜[11]のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
[13] 基体が導電性基体である前記[12]記載の結晶性積層構造体。
[14] 導電性基材を含む電子部品であって、前記導電性基材が、前記[1]〜[13]のいずれかに記載の結晶性積層構造体である電子部品。
[15] 電子部品を備える電子装置であって、前記電子部品が、前記[14]記載の電子部品である電子装置。
[16] 電子装置が搭載された電子・電気製品であって、前記電子装置が、前記[15]記載の電子装置である電子・電気製品。
[17] 電子・電気製品とCPUとを少なくとも具備する情報処理システムであって、前記電子・電気製品が、前記[16]記載の電子・電気部品である情報処理システム。
また、本発明においては、低結晶性層が基体上に形成されているのが、通常、基体へのダメージを少なくすることができるので好ましい。なお、基体については、導電性基体であるのが好ましく、前記基体表面の一部または全部が、銅若しくはその合金、アルミニウム若しくはその合金、マグネシウム若しくはその合金またはステンレス鋼を主成分として含むのがより好ましい。
金属を含む原料溶液を霧化または液滴化して生成されるミストまたは液滴(霧化・液滴化工程)を、キャリアガスでもって基体まで搬送し(搬送工程)、ついで該基体上で該ミストまたは液滴を熱反応させることにより、該基体上に導電性金属酸化膜を成膜する(成膜工程)。
原料溶液は、金属を含み、霧化または液滴化が可能なものであれば、特に限定されず、無機材料を含んでいても、有機材料を含んでいてもよい。前記金属は、金属単体であっても、金属化合物であってもよく、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本発明においては、前記金属が、周期律表第3周期〜第5周期の金属であるのが好ましく、周期律表第4周期または第5周期の金属であるのがより好ましい。周期表第3周期の金属としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、およびリン(P)から選ばれる1種または2種以上の金属等が挙げられる。周期律表第4周期の金属としては、例えば、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)およびガリウム(Ga)から選ばれる1種または2種以上の金属等が挙げられる。周期律表第5周期の金属としては、例えば、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、インジウム(In)およびスズ(Sn)から選ばれる1種または2種以上の金属等が挙げられる。本発明においては、前記金属が、錫、亜鉛およびクロムからなる群より選ばれる1種または2種以上の金属であるのが好ましい。前記原料溶液中の前記金属の含有量は、特に限定されないが、好ましくは、0.001重量%〜80重量%であり、より好ましくは0.01重量%〜80重量%である。
前記基体は、表面の一部または全部が、銅若しくはその合金、アルミニウム若しくはその合金、マグネシウム若しくはその合金またはステンレス鋼を主成分として含んでおり、前記膜を支持できるものが好ましく、前記基体表面の一部または全部がステンレス鋼を主成分として含むものであるのがより好ましく、前記基体表面の全部がステンレス鋼を主成分として含むものであるのがさらにより好ましく、前記基体がステンレス鋼を主成分として含むものであるのが最も好ましい。ここで、主成分とは、例えば、前記基体表面の一部または全部がステンレス鋼を主成分として含む場合、前記ステンレス鋼が、原子比で、前記基体表面の一部または全部を構成する成分中、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上含まれることを意味し、100%であってもよい。前記ステンレス鋼は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、公知のステンレス鋼であってよい。前記ステンレス鋼としては、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼等が挙げられる。フェライト系ステンレス鋼としては、SUS430、SUS434、SUS405等が挙げられる。マルテンサイト系ステンレス鋼としては、SUS403、SUS410、SUS431等が挙げられる。前記オーステナイト系ステンレス鋼としては、例えば、JISに規格するSUS201、SUS304、SUS304L、SUS304LN、SUS310S、SUS316、SUS316L、SUS317J1、SUS317J2、SUS321、SUS329J1、SUS836、SUSXM7等が挙げられる。本発明においては、前記ステンレス鋼が、オーステナイト系ステンレス鋼であるのが好ましい。
前記凸凹形状は、凸部または凹部からなるものであれば特に限定されず、凸部からなる凸凹形状であってもよいし、凸部からなる凸凹形状であってもよいし、凸部および凹部からなる凸凹形状であってもよい。また、前記凸凹形状は、規則的な凸部または凹部から形成されていてもよいし、不規則な凸部または凹部から形成されていてもよい。本発明においては、前記凸凹形状が周期的に形成されているのが好ましく、前記凸凹形状が周期的かつ規則的なパターンを形成するのがより好ましい。また、本発明においては、前記凸凹形状が流路パターンを形成するのも、成膜後の前記基体を、例えば燃料電池用セパレータ等として好適に用いることができるため、好ましい。前記凸凹形状の周期的かつ規則的なパターンとしては、特に限定されず、例えば、ストライプ状、ドット状、格子状、メッシュ状などが挙げられるが、本発明においては、ストライプ状、ドット状または格子状が好ましい。前記流路パターンは、例えば、前記基体を、公知の手段を用いて燃料電池用セパレータとして適用した場合に、液体や気体の流路として機能するパターンであれば、特に限定されず、公知の流路パターンであってよい。前記流路パターンとしては、例えば、1または2以上の流路が蛇行状に設けられたサーペンタイン型の流路パターン、複数の直線状流路が並行して設けられた並行型の流路パターン、またはサーペンタイン型と並行型とを組み合わせた流路パターン等が挙げられる。本発明においては、前記流路パターンが、並行型の流路パターンであるのが好ましい。前記凸凹形状の凸部または凹部の断面形状としては、特に限定されないが、例えば、コの字型、U字型、逆U字型、波型、または三角形、四角形(例えば正方形、長方形若しくは台形等)、五角形若しくは六角形等の多角形等が挙げられる。また、前記凸凹形状の凸部または凹部の平面形状としては、円形、楕円形、三角形、四角形(例えば正方形、矩形若しくは台形等)、五角形若しくは六角形等の多角形等が挙げられるが、本発明においては、前記平面形状が、矩形状であるのが好ましい。
なお、本発明において好適なSUS基板からなるセパレータの概略構成図を、図2に示す。本発明において好適に用いられるセパレータは、並行型の流路パターンを有するセパレータであり、SUS基材13上に、スクリーン印刷によって形成された、流路パターンを構成するための流路形成層14および流路壁15、各単セルに反応ガスや冷媒を供給するためのマニホールド16が設けられた構成となっている。なお、本発明で好適に用いられるセパレータの断面を模式的に示す図を、図3に示す。
前記霧化・液滴化工程は、原料溶液を調整し、前記原料溶液を霧化してミストまたは液滴を発生させる。霧化手段は、前記原料溶液を霧化できさえすれば特に限定されず、公知の霧化手段であってよいが、本発明においては、超音波を用いる霧化手段であるのが好ましい。前記ミストは、初速度がゼロで、空中に浮遊するものが好ましく、例えば、スプレーのように吹き付けるのではなく、空間に浮かびガスとして搬送することが可能なミストであるのがより好ましい。ミストの液滴サイズは、特に限定されず、数mm程度の液滴であってもよいが、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは1〜10μmである。
前記搬送工程では、前記霧化・液滴化工程で生成されるミストまたは液滴を、キャリアガスでもって前記基体まで搬送する。キャリアガスの種類としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、または水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが好適な例として挙げられる。本発明においては、前記キャリアガスが、酸素又は不活性ガスであるのがより好ましい。また、キャリアガスの種類は1種類であってよいが、2種類以上であってもよく、キャリアガス濃度を変化させた希釈ガス(例えば10倍希釈ガス等)などを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよい。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。キャリアガスの流量は、特に限定されないが、0.01〜20L/分であるのが好ましく、1〜10L/分であるのがより好ましい。希釈ガスの場合には、希釈ガスの流量が、0.001〜10L/分であるのが好ましく、0.1〜5L/分であるのがより好ましい。
成膜工程では、前記ミストまたは前記液滴を熱反応させて、前記基体上に成膜する。前記熱反応は、熱でもって前記ミストが反応すればそれでよく、反応条件等も本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。本工程においては、前記熱反応を、通常、溶媒の蒸発温度以上の温度で行うが、高すぎない温度(例えば、800℃)以下が好ましく、600℃以下がより好ましく、500℃以下が最も好ましい。また、熱反応は、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下および酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、また、大気圧下、加圧下および減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、本発明においては、大気圧下で行われるのが好ましい。
1.成膜装置
図1を用いて、本実施例で用いたミストCVD装置1を説明する。ミストCVD装置1は、キャリアガスを供給するキャリアガス源2aと、キャリアガス源2aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁3aと、キャリアガス(希釈)を供給するキャリアガス(希釈)源2bと、キャリアガス(希釈)源2bから送り出されるキャリアガス(希釈)の流量を調節するための流量調節弁3bと、原料溶液4aが収容されるミスト発生源4と、水5aが入れられる容器5と、容器5の底面に取り付けられた超音波振動子6と、成膜室7と、ミスト発生源4から成膜室7までをつなぐ供給管9と、成膜室7内に設置されたホットプレート8と、熱反応後のミスト、液滴および排気ガスを排気する排気口11とを備えている。なお、ホットプレート8上には、基板10が設置されている。
原料溶液として塩化スズの水溶液を用いた。
上記2.の原料溶液4aをミスト発生源4内に収容した。次に、基板10として、表面に凸凹形状を有するSUS基板からなるセパレータをホットプレート8上に設置し、ホットプレート8を作動させて基板温度を450℃にまで昇温させた。次に、流量調節弁3aを開いて、キャリアガス源であるキャリアガス供給手段2aからキャリアガスを成膜室7内に供給し、成膜室7の雰囲気をキャリアガスで十分に置換した後、キャリアガスの流量を0.5L/分に、キャリアガス(希釈)の流量を4.5L/分に調節した。なお、キャリアガスとして酸素を用いた。
次に、超音波振動子6を2.4MHzで振動させ、その振動を、水5aを通じて原料溶液4aに伝播させることによって、原料溶液4aを霧化させてミスト4bを生成させた。このミスト4bが、キャリアガスによって、供給管9内を通って、成膜室7内に導入され、大気圧下、図4に示す条件で、基板10近傍でミストが熱反応して、基板10上に膜が形成された。なお、XRDの結果もあわせて図4に示す。
上記4.で得られた結晶性積層構造体は、接触抵抗等において、予想に反し、他の導電性の単層膜等よりも格段に優れていた。
2a キャリアガス源
2b キャリアガス(希釈)源
3a 流量調節弁
3b 流量調節弁
4 ミスト発生源
4a 原料溶液
4b 原料微粒子
5 容器
5a 水
6 超音波振動子
7 成膜室
8 ホットプレート
9 供給管
10 基板
11 排気口
12 セパレータ
13 SUS基材
14 流路壁
15 マニホールド
16 流路形成層
Claims (17)
- 金属を含む結晶を主成分とする高結晶性層と、高結晶性層よりも結晶性の低い低結晶性層とが少なくとも1層ずつ交互に積層されている結晶性積層構造体であって、高結晶性層および低結晶性層の厚さがいずれも1μm以下であり、高結晶層が低結晶性層よりも厚いことを特徴とする結晶性積層構造体。
- 高結晶性層の厚さが低結晶性層の厚さの2倍以上である請求項1記載の結晶性積層構造体。
- 高結晶性層が導電性を有する請求項1または2に記載の結晶性積層構造体。
- 金属を含む結晶が結晶性金属酸化物である請求項1〜3のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
- 結晶性金属酸化物がドーピングされている請求項4記載の結晶性積層構造体。
- 結晶性金属酸化物がスズを含む請求項4または5に記載の結晶性積層構造体。
- 低結晶性層の主成分が金属酸化物である請求項1〜6のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
- 低結晶性層の主成分がスズを含む請求項1〜7のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
- 高結晶性層および低結晶性層の主成分が同一である請求項1〜8のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
- 高結晶性層および低結晶性層の厚さが、いずれも0.1μm以下である請求項1〜9のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
- 高結晶性層および低結晶性層の厚さが、いずれも50nm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
- 低結晶性層が基体上に形成されている請求項1〜11のいずれかに記載の結晶性積層構造体。
- 基体が導電性基体である請求項12記載の結晶性積層構造体。
- 導電性基材を含む電子部品であって、前記導電性基材が、請求項1〜13のいずれかに記載の結晶性積層構造体である電子部品。
- 電子部品を備える電子装置であって、前記電子部品が、請求項14記載の電子部品である電子装置。
- 電子装置が搭載された電子・電気製品であって、前記電子装置が、請求項15記載の電子装置である電子・電気製品。
- 電子・電気製品とCPUとを少なくとも具備する情報処理システムであって、前記電子・電気製品が、請求項16記載の電子・電気部品である情報処理システム。
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