JP2018171670A - 研磨ヘッド及び研磨処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板表面における研磨圧力の均等化を図ることができる研磨処理装置及びその構成装置を提供する。【解決手段】研磨ヘッドは、研磨処理の対象となるウェーハを、その被研磨面が研磨パッドに摺接するように保持するウェーハ保持機構、研磨パッドを押圧可能に構成され、ウェーハを保持した状態のウェーハ保持機構の外周を囲む形状に形成されたリテーナリングを有する。また、ウェーハ保持機構とリテーナリングを水平に回転させる駆動機構を有する。また、駆動された研磨ヘッドの傾動動作を補正する傾動補正機構を有し、この傾動補正機構は、ウェーハ保持機構に対して第1の補正圧力を付与し、リテーナリングに対して第2の補正圧力を付与して研磨ヘッドの傾動角補正を行う。【選択図】図7

Description

本発明は、半導体ウェーハ又はガラス基板などの基板を研磨して平坦化するための研磨ヘッド及び研磨処理装置に関する。
近年、半導体デバイスの製造工程においては、半導体ウェーハやガラス基板のような基板(以下、ウェーハと称する)の高集積化に伴い、基板表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械的研磨(CMP(Chemical Mechanical Polishing))である。この化学的機械的研磨は、研磨処理装置(ポリッシング装置とも呼ばれる)を用いて、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッド等の研磨面上に供給しつつ、基板を研磨面に摺接させて研磨処理を行うものである。
このような研磨処理装置では、ウェーハにおいて研磨処理の対象となる面(以下、「被研磨面」という)と研磨パッドとの間の相対的な速度及び押圧力が被研磨面の全面に亘って均一でないと、研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラが生じてしまう。
例えば、ウェーハ端部(エッジ)近傍の平坦度を評価する評価指標(フラットネス評価指標)として、ROA(Roll Off Amount:ロールオフ量、エッジロールオフ量とも称す)、SFQR(Site Frontsurface referenced least sQuares/Range)、ESFQR(Edge Site Flont least sQuare Range)といった指標が使用されている。いずれもウェーハの外周ダレ量(エッジロールオフ)を示すパラメータである。
また近年では、ウェーハの外周まで平らな形状が求められるようになり、これらのフラットネス評価指標で数10[nm]以下の平坦度の高い研磨処理が行える研磨処理装置が求められる。
例えば、特許文献1に開示されたテンプレート押圧ウェーハ研磨方式では、テンプレートに形成された嵌合用凹部の内径を、圧力エア層におけるエアシールの内径よりも小径としたことで、これに嵌合したウェーハには、その全面に少なくとも圧力エア層からの押圧力が均一にかかって外周部(ウェーハ端部)を含むウェーハの全面を均一に加圧することができる。
また、研磨時にはテンプレートの外側面の部分でリテーナ(リテーナリング)の内周面に接触し、接触面積が拡大されていることで、リテーナの内周面に衝突するように接触する際のウェーハに発生する応力が小さくなって、上記ウェーハ全面の均一加圧とあいまって、研磨時におけるウェーハの変形、特に外周部の傾動変形を抑制することができる、というものである。
特開2011−255464号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたテンプレート押圧ウェーハ研磨方式では、被研磨面での特定部分におけるSFQR等の向上が十分に図れない、という課題が残る。また、ウェーハ端部において単位時間当たりの研磨加工量が不均等になりESFQRを悪化させてしまう、という問題が残る。
本発明は、基板表面における研磨圧力の均等化を図ることができる研磨処理装置及びその構成装置を提供することを、主たる課題とする。
上記課題を解決する本発明の研磨ヘッドは、水平に回転する研磨パッドを有する研磨処理装置に設けられる研磨ヘッドであって、研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持手段と、前記研磨パッドを押圧可能に構成され、前記基板を保持した状態の前記保持手段の外周を囲む形状に形成された押圧手段と、前記保持手段と前記押圧手段を水平に回転させる駆動手段と、前記駆動手段により駆動された研磨ヘッドの傾動動作を補正する傾動補正手段と、を有し、前記傾動補正手段は、前記保持手段に対して第1の補正圧力を付与し、前記押圧手段に対して第2の補正圧力を付与して前記研磨ヘッドの傾動角補正を行うことを特徴とする。
また、本発明の研磨処理装置は、研磨パッドを有する研磨テーブルと、研磨処理対象となる基板を保持してその被研磨面を前記研磨パッドに摺接させる研磨ヘッドと、を有する研磨処理装置であって、前記研磨ヘッドは、研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持手段と、前記研磨パッドを押圧可能に構成され、前記基板を保持した状態の前記保持手段の外周を囲む形状に形成された押圧手段と、前記保持手段と前記押圧手段を水平に回転させる駆動手段と、前記駆動手段により駆動された研磨ヘッドの傾動動作を補正する傾動補正手段と、を有し、前記傾動補正手段は、前記保持手段に対して第1の補正圧力を付与し、前記押圧手段に対して第2の補正圧力を付与して前記研磨ヘッドの傾動角補正を行うことを特徴とする。
本発明の研磨ヘッドによれば、基板の被研磨面の部分的な研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラの発生を防ぎ、基板表面のGBIR等の更なる向上を図ることができる。
研磨ヘッドの傾動現象(傾動動作)を説明するための概念図。 図1に示す傾動現象のFEM解析結果の一例を示す図。 研磨処理時におけるパッドに対するウェーハの沈み込み量とウェーハに付与する圧力との一例を説明するためのグラフ。 研磨ヘッドが傾動したときにおけるウェーハの被研磨面上の圧力パターン(研磨圧力)を説明するための図。 研磨ヘッドが傾動したときにおけるウェーハの被研磨面上の圧力パターンの一例を示すグラフ。 研磨処理装置の概略構成図。 研磨ヘッド及びその周辺構成の一例を説明するための図。 (a)、(b)は、研磨ヘッドの研磨パッド押圧機構によるパッド表面の押え込みを説明するための模式図。 研磨処理方法を実行する際の制御部による主要な制御手順の説明図。
[実施形態例]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態例を説明する。なお、本実施形態の研磨処理装置は、半導体ウェーハやガラス基板のような基板(以下、ウェーハと称する場合もある)を研磨処理対象とする。本明細書では、この基板の一方の表面を円形又は略円形の被研磨面と称す。また、研磨パッド上においてウェーハの被研磨面が接する面を研磨面と称す。
研磨処理装置は、研磨部材となる研磨パッドが接着され、この研磨パッドを水平に回転させるための研磨テーブルと、基板の被研磨面を研磨パッドに対向させて摺接させるための研磨ヘッドとを有している。
基板は、研磨ヘッドにより研磨パッドに押圧される。そして、研磨パッドに研磨液(スラリー)を供給しながら研磨テーブルと研磨ヘッドを回転させることにより、被研磨面の研磨処理を行う。
図1は、研磨ヘッドの傾動現象(傾動動作)を説明するための概念図である。
図1に示す研磨ヘッドは、トップリング、テンプレート、リテーナ(リテーナリング)を含んで構成され、トップリングを介してウェーハの被研磨面の背面側から所定の圧力(P)でパッド(研磨パッド)側に向けて押圧して研磨処理が行われる。
図1中に示す高さH[mm]は、ウェーハの被研磨面からヘッド回転伝導部(Gimbal)までの距離を示す。また、ウェーハ押付け力F[kgf]は、リテーナへのウェーハ押付け力を示す。傾動モーメントM[kgf・mm]は、M=H×Fにより算出される。
ここで、高さHは、機械部品構成においてその高さを「ゼロ」にはできない。そのため、研磨ヘッドは、研磨パッドのような低弾性部材の摺動面上では図1に示すように傾動状態となる。
図2は、図1に示す傾動現象のFEM解析結果の一例を示す図である。
なお、図2に示すFEM解析では、ウェーハサイズ300[mm]、ウェーハの被研磨面からヘッド回転伝導部(Gimbal)までの距離:H=55[mm]、 パッドのヤング率:E=1[MPa]、圧力:P=10[kPa]の場合の解析結果である。
この解析結果からも明らかなように、研磨処理時において、研磨パッドのような低弾性部材の摺動面上では研磨ヘッドは傾動状態となる。
図3は、研磨処理時におけるパッドに対するウェーハの沈み込み量とウェーハに付与する圧力との一例を説明するためのグラフである。
なお、図3に示すグラフは、縦軸を圧力:P[kPa]とし、横軸を沈み込み量:δ[μm]としている。
本発明者らの解析により、パッドに対するウェーハの沈み込み量とウェーハに付与する圧力との関係は、図3に示す曲線(b)のように非線形の関係となっている事が判明した。なお、圧力Pは沈み込み量δの3次曲線となる。また、パッドに対するウェーハの沈み込み量とウェーハに付与する圧力との関係は、従来では図3に示す曲線(a)のような線形の関係になると想定されていた。
これらの点から、研磨ヘッドが傾動状態となった際に、瞬時的には、ウェーハの被処理面における加工圧力が線形加圧にはならないことが見て取れる。
図4は、研磨ヘッドが傾動したときにおけるウェーハの被研磨面上の圧力パターン(研磨圧力)を説明するための図である。
また、図5は、研磨ヘッドが傾動したときにおけるウェーハの被研磨面上の圧力パターンの一例を示すグラフである。なお、研磨処理対象のウェーハサイズは直径300[mm]であるとして説明を進める。
図4に示すように、研磨処理時において研磨ヘッドの左側がパッドに対して沈み込むような傾動現象(左傾動と称す)が生じた場合、ウェーハの被研磨面上の圧力パターンは図3(b)より、破線a−b−cのような非線形圧力パターンとなる。
図5は、研磨ヘッドでの平均圧力パターンの説明図である。図中a、b、cは、傾動状態で瞬時停止させた場合でのウェーハ直径方向の非線形圧力分布である。
現実の研磨処理加工では、位置bを中心として研磨ヘッドが回転している。そのため、ウェーハの被研磨面上の半径圧力パターンは、曲線bdと曲線bcの平均である曲線となる。直径方向では図5下段に示すグラフ中の曲線f−b−eのようなパターンとなり、研磨圧力が均一圧力とならない。
さらに現行の加工現場で使用されているパッドは、パッドに対するウェーハの沈み込み量とウェーハに付与する圧力との関係が非線形(図3(b)参照)であるものが大多数である。
そのため、基板の被研磨面の部分的な研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラの発生を防ぎ、基板表面のGBIR等の更なる向上を図るためには研磨ヘッドの傾動を補正する機構を有する装置が必要である。以下、本発明に係る研磨処置装置の構成の一例について詳細に説明する。
図6は、本実施形態に係る研磨処理装置100の概略構成図である。
図6に示す研磨処理装置100は、研磨テーブル11を有し、この研磨テーブル11の表面部に研磨パッド12が接着されている。
研磨処理装置100は、更に基板(ウェーハ)Wを保持してその被研磨面を研磨パッド12に押圧する研磨ヘッド13、研磨液を研磨パッド12に向けて供給するためのノズルN、研磨テーブル11及び研磨ヘッド13をそれぞれ水平に回転させるためのモータ(図示省略)、ノズルNと接続されている研磨液供給機構(図示省略)、及び、モータを含む各駆動部を制御するためのコンピュータを含む制御部20を有する。
研磨パッド12は円盤状のものであり、その半径は、ウェーハWの被研磨面の最大径(直径)よりも大きいものである。この機構において研磨パッド12と研磨ヘッド13それぞれの回転数及び回転方向を変化させ、ウェーハW面内の相対研磨速度を調整できる機構となっている。また、研磨パッド12は、それ自体で弾性を持つものであり、不織布からなるものや、発泡ウレタン製のものなど、市場で入手できる素材を用いることができる。
研磨ヘッド13は、ウェーハWを、その被研磨面が研磨パッド12に摺接するように保持する保持機構し、保持されたウェーハWをその被研磨面の背面方向(背面側)から研磨パッド12の方向に押圧可能する機構を主として備えている。これらの機構の詳細については後述する。
制御部20は、ノズルNの位置決め、ノズルNからの研磨液の供給開始又は停止制御、ノズルNから噴出供給される研磨液の単位時間当たりの供給量制御、モータの始動開始や始動停止制御等を主として行う。制御部20により制御されたモータの回転力は、図示しない駆動部を介して研磨テーブル11に伝達される。これにより研磨テーブル11が水平に回転し、あるいは回転を停止する。
研磨ヘッド13にも、図示しない駆動部(例えば自在継手)を介してモータの回転力(トルク)が伝達される。これにより研磨ヘッド13が水平に回転し、あるいは回転を停止する。
研磨テーブル11の回転方向と研磨ヘッド13の回転方向は同方向であることが一般的である。これは、逆方向とすると不均一研磨となるおそれがあるためである。研磨テーブル11の回転方向と研磨ヘッド13の回転方向を同じ方向として、両者の回転速度を調整することで研磨精度を高めることができる。
なお、単一のモータの回転力を、それぞれ異なるギア比のギアを介して研磨テーブル11及び研磨ヘッド13に伝達するようにしても良く、それぞれ個別のモータを通じて回転力を伝達するようにしても良い。両者は任意に設計することができる。この制御部20による制御手順については、後述する。
研磨液は、制御部20の制御により研磨テーブル11の回転速度が所定値に達した状態で、ノズルNから所定時間、研磨パッド12に向けて供給される。
次に、研磨処理装置100が備える研磨ヘッド13及びその周辺構成について、詳しく説明する。
[研磨ヘッド及びその周辺構成]
図7は、研磨ヘッド13及びその周辺構成の一例を説明するための概略縦断面図である。
なお、以下の説明においては、ウェーハ表面のGBIR等の更なる向上を図るために研磨処理装置100が制御する補正圧力のうち、後述するウェーハWを保持する保持手段の傾動角補正に係る補正圧力を第1の補正圧力と称する。また、後述するリテーナリング(研磨パッドを押圧する押圧手段)に対して行う傾動角補正に係る補正圧力を第2の補正圧力と称する。
図7に示す研磨ヘッド13は、大別して、研磨対象のウェーハWに対して研磨圧力(加工圧力)を付与して研磨パッド12に摺接させるウェーハ保持機構、及び、研磨パッド12側に向けてリテーナリング4を押圧する研磨パッド押圧機構を有する。
研磨ヘッド13は、また、前述した第1の補正圧力を調製する第1の圧力機構(52)、第2の補正圧力を調製する第2の圧力機構(53)を含んで構成される傾動補正機構を有する。
主たる構成の特徴としては、研磨ヘッド主軸からトップリングへの駆動には、ドライブプレート(後述する駆動板21、22等)を使用しており、このドライブプレートは研磨ヘッドの傾動を低減するため低駆動位置(図1のHに相当)に設置される。
研磨ヘッド13は、ヘッド駆動軸1、リング形状に形成されたラバーリング駆動薄板2、ラバーリング3、リング形状に形成された駆動板21、22、ラバーメンブレン31、ラバーリング傾動補正用円板32、Uパッキン35、バッキングフイルムTを含んで構成される。なお、これらは主として研磨ヘッド13の保持機構として機能する構成部材である。また、ヘッド駆動軸1、駆動板21、22は研磨ヘッド13の組み立て、分解を容易にするための構成の一例であり、例えばこれらを一体的に形成しても良い。
研磨ヘッド13は、また、リテーナリング4(第1の環状部)、リング形状に形成されたリテーナリング駆動薄板41、略円筒形状に形成されたリテーナリング駆動円板42(大2の環状部)、リング形状に形成されたリテーナリング加圧円板44を有する。なお、これらは主として研磨ヘッド13の押圧と駆動の機構として機能する構成部材である。
研磨ヘッド13は、また、ラバーリング3(ラバーメンブレン31)に生じた傾動角の補正を行うローラ付きピストン52(第1の補正手段)、リテーナリング4に生じた傾動角の補正を行うローラ付きピストン53(第2の補正手段)、ローラ付きピストン52、53を保持するアーム51を有する。
なお、アーム51は、研磨ヘッドが回転時においてもローラ付きピストン52、53それぞれが所定の位置に固定されるように、つまり研磨ヘッドとは供回りしないように配設される。
研磨ヘッド13は、また、リング形状に形成されたエアバッグ(圧力室、あるいは押圧体と称す)63を有する。研磨ヘッド13は、図示しない流体供給機構に連接されたエアパイプP´3を介してエアバッグ63へ向けて圧力流体(例えば圧縮空気)を供給し、あるいは、供給した圧力流体を回収可能に構成される。エアバッグ63に圧力流体が封入されて膨張することにより、封入された圧力流体の量に応じた圧力P3でリテーナリング4が研磨パッド12を押圧する。
研磨ヘッド13は、また、前述した流体供給機構が出力した圧力流体P´1がヘッド駆動軸1の内部空間を通過して、通過した圧力流体がウェーハWの被研磨面の背面側を圧力P1で押圧するように構成される。なお、供給する圧力流体の量に応じてウェーハWに対して付与する加工圧力等を発生させることができるように構成される。
例えば研磨ヘッド13では、図7に示すように、ラバーリング駆動薄板2を内包し、ヘッド駆動軸1、ラバーリング3、駆動板21、22、ラバーメンブレン31、Uパッキン35により囲まれた密封状態の内部空間が形成される。この内部空間内に圧力流体P´1を供給してウェーハWの被研磨面の背面側を押圧する。ウェーハ保持機構においてラバーメンブレン31、バッキングフイルムTは、第1の保持部として機能する。また、ラバーリング3は、第2の保持部として機能する。
また、例えばこの内部空間の気体を吸引することにより当該内部空間が負圧化される。これに伴いラバーメンブレン31が中凹形に変形するが、同時にウェーハWも吸着変形する。また、前述した流体供給機構を介して圧力流体が供給された場合、ラバーメンブレン31に凸型撓みが生じる。そして、撓みが生じたラバーメンブレン31とウェーハWの背面との間には隙間が生じるため、研磨ヘッド13に保持されたウェーハWの保持状態の解除をスムースに行うことができる。
なお、ラバーリング駆動薄板2は、例えばその表面に連通孔(例えば、スリット)が形成されており、圧力流体P´1がヘッド駆動軸1側からラバーメンブレン31側へ、またはラバーメンブレン31側からヘッド駆動軸1側へと移動可能に構成される。
また、圧力P1、P3を生じさせるための圧力流体の供給、又は、供給した圧力流体の回収などの制御は流体供給機構を介して制御部20により行われる。このようにして、研磨処理時における研磨圧力などが制御される。
[ウェーハ保持機構]
研磨ヘッド13の保持機構(ウェーハ保持機構)は、前述したように研磨対象のウェーハWに対して研磨圧力(圧力P1)を付与して研磨パッド12に摺接させる機構である。また、研磨ヘッド13及び研磨テーブル11の回転力により付勢されたウェーハWの外周方向への飛び出しを規制する。
ラバーメンブレン31は、ラバーリング3の外周面に嵌装できる内径サイズで略筒状(鍋型)に形成された弾性筒状体である。ラバーメンブレン31は、また、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成される。なお、ラバーメンブレン31は、その内周面がラバーリング3の外周面と接着されており、これにより当該ラバーリング3に保持される。
バッキングフイルムTは、ラバーメンブレン31の外底面に張設されるフィルム状の薄膜である。例えば不織布などの多孔質材をその素材として用いることができる。バッキングフイルムTは、ウェーハWの被研磨面を研磨パッド12に対向(当接)させ、摺接した状態で、このウェーハWの中心軸と自身の回転軸とがほぼ一致するように保持する。
なお、本実施形態に係る研磨ヘッド13では、研磨処理時においてウェーハWの端部がリテーナリング4の内周(内壁)に当接しないように、つまり非接触状態となるように構成される。具体的には、バッキングフイルムTとウェーハW間を減圧吸引する。
研磨ヘッド13では、図示しない流体供給機構に連接されたエアパイプ(不図示)を介してバッキングフイルムTとウェーハWとの間(接面)に介在する気体(例えば空気)等を吸引可能に構成される。つまり、所定の吸引力がウェーハWの背面側に付与される。これにより、制御部20を介してバッキングフイルムTとウェーハW間、つまりウェーハWの背面側に生じる摩擦力を調整することが可能になる。
ヘッド駆動軸1は、研磨ヘッド13を回転駆動させるための図示しない駆動機構と連結される。ヘッド駆動軸1に伝達された回転駆動力は、駆動板21、22、ラバーリング駆動薄板2を介してラバーリング3、ラバーメンブレン31、バッキングフイルムTそれぞれに伝達される。
ヘッド駆動軸1に伝達された回転駆動力は、また、駆動板21、22、リテーナリング駆動薄板41、リテーナリング駆動円板42を介してリテーナリング4に伝達される。このようにして研磨ヘッド13が回転する。
ラバーリング駆動薄板2は、ダイヤフラム挙動の円板状に形成されており、図7に示すように、ラバーリング3を研磨面に近接する位置で連結する。ラバーリング駆動薄板2は、ヘッド駆動軸1からの回転駆動力をラバーリング3に伝達する伝達部材として機能する。
また、研磨ヘッドの傾動現象の発生を抑制するためには研磨パッド面との距離を小さくする事が理想的である。そのため、ラバーリング駆動薄板2は、図7に示すようにその中心付近の部位がヘッド駆動軸1の中心近傍側(駆動板22の底面側の中心近傍)に接続される。また、ラバーリング駆動薄板2の外端部がラバーリング3の内壁側に接続される。
このように配設されたラバーリング駆動薄板2は、低傾動角駆動と軸方向の微小変位運動に対応可能なダイヤフラム挙動を実現するための機構として機能する。
[研磨パッド押圧機構]
研磨ヘッド13の研磨パッド押圧機構は、前述したように研磨パッド12側に向けてリテーナリング4を押圧する機構である。
リテーナリング4は、ウェーハWを保持した状態のラバーメンブレン31等の外周を囲む形状に形成(リング形状の環状部)される。リテーナリング4の外周を囲む形状に形成されるリテーナリング駆動円板42と当該リテーナリング4は、リテーナリング駆動薄板41を介して接続される。
また、リテーナリング4は、図7に示すように、連結部材44aを介してリテーナリング加圧円板44と接続される。リテーナリング4は、リテーナリング加圧円板44、連結部材44aを介して、エアバッグ63に封入された圧力流体の量に応じたパッド押圧力(圧力P3)が付与される。また、リテーナリング4に伝達される回転駆動力は、前述したようにリテーナリング駆動薄板41、リテーナリング駆動円板42を介して伝達されるように構成される。
さらに、前述したように研磨ヘッド13では、研磨処理時においてウェーハWの端部がリテーナリング4の内壁に当接しないように構成される。
そのため、リテーナリング加圧円板44を介したリテーナリング4への圧力付与をスムースに行うことが可能になり、リテーナリング4による研磨パッド12表面を押圧する「パッドの抑え込み」を高い精度で行うことが可能になる。
このように、本実施形態に係る研磨ヘッド13では、研磨対象のウェーハWに対して研磨圧力を付与して研磨パッド12に摺接させる機構(ウェーハ保持機構)の他に、ウェーハW端部のROA低減のための独立加圧機構として機能する研磨パッド押圧機構を有する。
[傾動補正機構]
研磨ヘッド13の傾動補正機構は、前述したように第1の補正圧力を調製するローラ付きピストン52、第2の補正圧力を調製するローラ付きピストン53を含んで構成される。
ラバーリング3は、図7に示すように、連結部材32aを介してラバーリング傾動補正用円板32と接続される。
ローラ付きピストン52は、ラバーリング傾動補正用円板32、連結部材32aを介して、研磨処理時においてラバーリング3に生じた傾動角を補正するための第1の補正圧力を当該ラバーリング3に付与する。第1の補正圧力を付与されたラバーリング3は、付与された第1の補正圧力に応じた圧力でウェーハWの端部近傍を押圧する。
ローラ付きピストン53は、研磨処理時においてリテーナリング4に生じた傾動角を補正するための第2の補正圧力を当該リテーナリング4に付与する。第2の補正圧力を付与されたリテーナリング4は、付与された第2の補正圧力に応じた圧力で研磨パッド12の表面を押圧する。
例えば、本実施形態に係るローラ付きピストン52、53は流体供給機構から供給された流体圧力に応じてピストンを押し下げたり、また、押し上げたりするように構成されるが、これに限るものではない。また、ラバーリング3に付与する第1の補正圧力、リテーナリング4に付与する第2の補正圧力は、主として制御部20により制御される。
なお、本実施形態に係る研磨ヘッド13の傾動補正の処理は、CMPは非線形・非定常挙動を示すため、補正圧力は前回作業でのGBIRパターンを参考値とする逐次制御方式を採用するものとする
図8は、研磨ヘッド13の研磨パッド押圧機構によるパッド表面の押え込みを説明するための模式図である。
図8(a)は、研磨処理時においてウェーハWに付与される研磨圧力(圧力P1)とリテーナリング4に付与されるパッド押圧力(圧力P3)が等しい関係の場合(P1=P3)の研磨パッド12の表面状態の一例を示している。
また、図8(b)は、研磨処理時においてウェーハWに付与される研磨圧力(圧力P1)がリテーナリング4に付与されるパッド押圧力(圧力P3)と比べて大きい場合(P1<P3)の研磨パッド12の表面状態の一例を示している。
例えば、汎用研磨機の研磨ヘッドでは、ウェーハ端部とリテーナとの間に約1[mm]のスキマを開けて当該ウェーハをセットする。しかしながら、このようにウェーハをセットした場合でも、ウェーハはプラテンの回転により当該プラテン半径の接線方向に水平擦過力を受けることになり、研磨処理時ではウェーハ端部の任意点におけるリテーナとウェーハ端部とのスキマは1回転中で0〜1[mm]の範囲で連続的に変化してしまう。そのため、ウェーハ端部おける応力集中(ヘルツ応力)により研磨パッドの表面を変形させてしまうことになる(図8(a)参照)。
このように、ウェーハ端部で発生するヘルツ応力による過圧力を緩和させるためにリテーナがパッドを押し下げるパッド押圧力(リテーナ圧力)を制御する。これにより、ヘルツ応力を最小限にすることが可能となり、研磨処理における均一研磨性を向上させることができる。
本実施形態に係る研磨ヘッド13では、研磨パッド押圧機構により研磨パッド12のパッド表面の押え込みが可能に構成されており、ウェーハ端部おける応力集中の範囲を小さくすることができる(図8(b)参照)。これにより、ウェーハ研磨圧力の研磨面内均等化が促進され、ウェーハの被研磨面の部分的な研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラの発生を防ぐことができる。また、ウェーハ表面のGBIR、SFQRの更なる向上を図ることができる。
[研磨処理のための制御手順]
次に、本実施形態の研磨処理装置100による研磨処理手順について説明する。図9は、研磨処理方法を実行する際の制御部20による主要な制御手順の説明図である。
制御部20は、研磨処理装置100のオペレータによる開始指示の入力受付を契機に制御を開始する(S100)。所定の初期処理後、研磨ヘッド13の保持機構によるウェーハWの保持を開始する(S101)。
制御部20は、ウェーハWをウェーハ受け渡しテーブル(不図示)からウェーハWを保持し、研磨ヘッド13を研磨処理の開始位置へ移動させる(S102)。
制御部20は、所定量の圧力流体を供給し、圧力P1、P3を発生させる(S103)。これにより、ラバーメンブレン31を介してウェーハWへ、また、リテーナリング4を介して研磨パッド12表面それぞれに向けて所定の圧力が付与される。
制御部20は、また、図示しないセンサ部を通じてウェーハW等に適切な圧力が与えられているか否かを確認する。制御部20は、圧力P1、P3が適切であることを確認した場合は(S104:Yes)、研磨テーブル11、並びに、研磨ヘッド13の回転を開始するように、図示しないモータへ指示を出す(S105)。これにより、研磨テーブル11と研磨ヘッド13が、水平に回転を開始する。
研磨テーブル11と研磨ヘッド13の回転開始を指示した後、制御部20は、ノズルNの位置決めを指示するとともに、研磨液供給機構に対して研磨液の供給を開始させるように指示を出す(S106)。これにより、研磨液がノズルNから研磨パッド12の表面に向けて供給される。このようにして制御部20は、研磨を開始する(S107)
制御部20は、第1、第2の補正圧力それぞれの付与を開始する(S108)。例えば、図示しないセンサを介した直近の1回転目の位置におけるウェーハ厚みの測定結果と、今回の1回転目の位置におけるウェーハ厚みの測定結果とを比較することによって、1サイクルの検出における時間当たりの研磨量(μm/s)に基づき補正値(ΔRR)を決定する。
制御部20は、研磨が終了したか否かを判別する(S109)。この判別は、例えばセンサの検出結果に基づき、ウェーハWが所望の厚みに研磨されたと判断した場合に研磨を終了する。また、そうでない場合(S109:No)、ステップS108の処理へ戻る。
制御部20は、研磨が終了したと判別した場合(S109:Yes)、研磨液供給機構に対して研磨液の供給停止を指示する(S110)。
その後、制御部20は、研磨テーブル11と研磨ヘッド13の回転を止めるように、モータへ停止指示を出す(S111)。その後、研磨後のウェーハWを載置するテーブルまで研磨ヘッド13を移動させる(S112)。これにより、一連の研磨処理が終了する。
なお、保持が解除されたか否かの判別は、例えば図示しない各種センサを用いて検知するように構成することもできる。なお、研磨テーブル11と研磨ヘッド13の回転停止後に、供給した圧力流体を回収しても良い。このように制御することにより、研磨後のウェーハWが搬送途中において意図せず脱落してしまうことを防ぐことができる。
このように、本実施形態に係る研磨処理装置100では、ウェーハ研磨圧力の研磨面内均等化が促進され、ウェーハの被研磨面の部分的な研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラの発生を防ぐことができる。また、ウェーハ表面のGBIR、SFQR、ESFQRの更なる向上を図ることができる。
上記説明した実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。
1・・・ヘッド駆動軸、2・・・ラバーリング駆動薄板、3・・・ラバーリング、4・・・リテーナリング、11・・・研磨テーブル、12・・・研磨パッド、13・・・研磨ヘッド、20・・・制御部、21、22・・・駆動板、31・・・ラバーメンブレン、32・・・ラバーリング傾動補正用円板、35・・・Uパッキン、41・・・リテーナリング駆動薄板、42・・・リテーナリング駆動円板、44・・・リテーナリング加圧円板、51・・・アーム、52、53・・・ローラ付きピストン、63・・・エアバッグ、100・・・研磨処理装置、N・・・ノズル、T・・・バッキングフイルム、W・・・ウェーハ。

Claims (6)

  1. 水平に回転する研磨パッドを有する研磨処理装置に設けられる研磨ヘッドであって、
    研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持手段と、
    前記研磨パッドを押圧可能に構成され、前記基板を保持した状態の前記保持手段の外周を囲む形状に形成された押圧手段と、
    前記保持手段と前記押圧手段を水平に回転させる駆動手段と、
    前記駆動手段により駆動された研磨ヘッドの傾動動作を補正する傾動補正手段と、を有し、
    前記傾動補正手段は、前記保持手段に対して第1の補正圧力を付与し、前記押圧手段に対して第2の補正圧力を付与して前記研磨ヘッドの傾動角補正を行うことを特徴とする、
    研磨ヘッド。
  2. 前記押圧手段は、前記保持手段に保持された基板の端部と当該押圧手段の内周とが非接触状態となるサイズに形成されることを特徴とする、
    請求項1に記載の研磨ヘッド。
  3. 前記押圧手段は、前記第2の補正圧力が付与される第1の環状部と、この第1の環状部の外周を囲むように形成され、前記駆動機構からの駆動力を当該第1の環状部に伝達する第2の環状部と、を有することを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の研磨ヘッド。
  4. 前記保持手段は、前記保持手段に保持された基板の前記被研磨面の背面側から前記研磨面の方向に向けて所定の圧力を付与する第1の保持部と、当該所定の圧力を当該基板に向けて付与し、且つ、前記第1の補正圧力が付与される第2の保持部と、前記駆動機構からの駆動力を当該第1、第2の保持部に伝達する伝達部と、を有することを特徴とする、
    請求項1、2又は3に記載の研磨ヘッド。
  5. 前記第2の保持部は、前記保持手段が保持した前記基板の端部近傍に前記第1の補正圧力が付与されるように構成されることを特徴とする、
    請求項4に記載の研磨ヘッド。
  6. 研磨パッドを有する研磨テーブルと、研磨処理対象となる基板を保持してその被研磨面を前記研磨パッドに摺接させる研磨ヘッドと、を有する研磨処理装置であって、
    前記研磨ヘッドは、
    研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持手段と、
    前記研磨パッドを押圧可能に構成され、前記基板を保持した状態の前記保持手段の外周を囲む形状に形成された押圧手段と、
    前記保持手段と前記押圧手段を水平に回転させる駆動手段と、
    前記駆動手段により駆動された研磨ヘッドの傾動動作を補正する傾動補正手段と、を有し、
    前記傾動補正手段は、前記保持手段に対して第1の補正圧力を付与し、前記押圧手段に対して第2の補正圧力を付与して前記研磨ヘッドの傾動角補正を行うことを特徴とする、
    研磨処理装置。
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