JP7164865B2 - リテーナリング、これを有する研磨ヘッド及び研磨加工装置 - Google Patents
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Description
例えば、リテーナリングが無い場合にはウェーハを研磨パッドに押し付けると研磨パッドは弾性変形して圧縮される。このとき、材料力学的な挙動としてウェーハのエッジ部には、圧縮している部分と圧縮していない部分の境界領域部で中央部と異なる圧縮応力が作用し、他の部位よりも研磨量が過少になる場合がある。
また、特許文献2に開示された研磨装置では、リテーナリングの内周面がウェーハの摩擦力を受けた時に外周に向かって弾性変形することで、ウェーハ端部とリテーナリング内周の接触範囲を増やしてウェーハの局所変形を抑制する、というものである。
例えば、ウェーハ端部(エッジ)近傍の平坦度を評価する評価指標(フラットネス評価指標)として、ROA(Roll Off Amount:ロールオフ量、エッジロールオフ量とも称す)、ESFQR(Edge Site Flont least sQuare Range)といった指標が使用されている。なおROA及びESFQRはウェーハの外周面精度を示すパラメータである。
また近年では、ウェーハの外周まで平らな形状が求められるようになり、これらのフラットネス評価指標で10[nm]以下の平坦度の高い研磨加工が行える研磨加工装置が求められる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態例を説明する。なお、本実施形態の研磨加工装置は、半導体ウェーハやガラス基板のような基板(以下、ウェーハと称する場合もある)を研磨対象とする。本明細書では、この基板の一方の表面を円形又は略円形の被研磨面と称す。また、研磨パッド上においてウェーハの被研磨面が接する面を研磨面と称す。
基板は、研磨ヘッドにより研磨パッドに押圧される。そして、研磨パッドに研磨液(スラリー)を供給しながら研磨テーブルと研磨ヘッドを回転させることにより、被研磨面の研磨加工を行う。
図1に示す研磨加工装置100は、研磨テーブル11を有し、この研磨テーブル11の表面部に研磨パッド12が接着されている。
研磨加工装置100は、更に基板(ウェーハ)Wを保持してその被研磨面を研磨パッド12に押圧する研磨ヘッド13、研磨液を研磨パッド12に向けて供給するためのノズルN、研磨テーブル11及び研磨ヘッド13をそれぞれ水平に回転させるためのモータ(図示省略)、ノズルNと接続されている研磨液供給機構(図示省略)、及び、モータを含む各駆動部を制御するためのコンピュータを含む制御部20を有する。
研磨ヘッド13にも、図示しない駆動部(例えば自在継手)を介してモータの回転力(トルク)が伝達される。これにより研磨ヘッド13が水平に回転し、あるいは回転を停止する。
なお、単一のモータの回転力を、それぞれ異なるギア比のギアを介して研磨テーブル11及び研磨ヘッド13に伝達するようにしても良く、それぞれ個別のモータを通じて回転力を伝達するようにしても良い。両者は任意に設計することができる。この制御部20による制御手順については、後述する。
次に、研磨加工装置100が備える研磨ヘッド13及びその周辺構成について、詳しく説明する。
図2は、研磨加工装置100が有する研磨ヘッド13及びその周辺構成の一例を説明するための概略縦断面図である。 図2を用いて研磨ヘッド13の構成の一例を説明する。
なお、以下の説明においては、ウェーハ表面のGBIR等の更なる向上を図るために研磨加工装置100が制御する圧力においてウェーハWをその被研磨面が研磨パッド12に摺接するように保持し、保持されたウェーハWをその被研磨面の背面方向(背面側)から研磨パッド12の方向に向けて付与する圧力を圧力P1とする。
また、後述するエアバッグ51により、本実施形態に係るリテーナリング(リテーナ機構)の構成に含まれる環状体41へ付与する圧力を圧力P2とする。また、後述するエアバッグ52により押しリング42を介して環状体41へ付与する圧力を圧力P3とする。
図2に示す研磨ヘッド13は、大別して、研磨対象のウェーハWに対して研磨圧力(加工圧力)を付与して当該ウェーハを研磨パッド12に摺接させる保持機構、及び、研磨圧力(加工圧力)の付与や研磨パッド12側に向けて環状体41を押圧するための押圧機構を有する。なお本実施形態に係るリテーナリング(リテーナ機構)の構成に含まれる環状体41は、研磨ヘッド13及び研磨テーブル11の回転力により付勢されたウェーハWの外周方向への飛び出しを規制する。
研磨ヘッド13が有する押圧機構は押圧手段として機能し、前述した圧力P1を調製する第1の圧力機構(P1a)、圧力P2を調製する第2の圧力機構(P2a)、圧力P3を調製する第3の圧力機構(P3a)を含んで構成される。
リテーナリングカバー40は、上底面を有する二重筒状体(環状に形成された筐体)に形成される。また、リテーナリングカバー40の内壁と外壁とにより形成される空間には、本実施形態に係るリテーナリングの各構成品が収容される。具体的には、図2に示すように、その空間内に環状体41、押しリング42、環状体41を研磨パッド12の方向に押圧するエアバッグ52(第2の押圧手段)、押しリング42を研磨パッド12の方向に押圧して環状体41の一部に圧力を付与するエアバッグ51(第1の押圧手段)などが配設される。
なお、ラバーメンブレン31は、その外周面がリテーナリングカバー40の内周面と密封機構を介して接着されており、これにより当該リテーナリングカバー40に保持される。
研磨ヘッド13は、圧力室を介して供給する圧力流体の量に応じてウェーハWに対して付与する加工圧力等を発生させることができるように構成される。また、エアバッグ51、52に圧力流体が封入されて膨張することにより、封入された圧力流体の量に応じた圧力P2、P3で環状体41が研磨パッド12を押圧する。
また、各圧力P1~P3を生じさせるための圧力流体の供給、又は、供給した圧力流体の回収などの制御は流体供給機構を介して制御部20により行われる。このようにして、研磨加工時における研磨圧力などが制御される。なお、エアバッグ51、52は押圧手段の一例であり、本発明に係る押圧手段はこの構成に限るものではない。
また、前述した流体供給機構を介して圧力流体が供給された場合、ラバーメンブレン31に凸型撓みが生じる。そして、撓みが生じたラバーメンブレン31とウェーハWの背面との間には隙間が生じるため、研磨ヘッド13に保持されたウェーハWの保持状態の解除をスムースに行うことができる。
研磨ヘッド13の押圧機構は、前述したように環状体41を研磨パッド12側に向けて押圧する。
リテーナリングカバー40は、ウェーハWを保持した状態のラバーメンブレン31等の外周を囲む内側の環状部と、その内壁と外壁とにより形成された環状体41、押しリング42などが配設される空間部とを含んで形成される。なお、ヘッドカバー30を介してリテーナリングカバー40に伝達された回転駆動力により環状体41、押しリング42などは一体的に回転する。
なお、前述したように本実施形態に係るリテーナリング(リテーナ機構)は、環状体41、押しリング42、エアバッグ51、52を含む構成である。
環状体41は、図3に示すように、略Σ形状に形成された環状体であり、リテーナリングカバー40の内壁に接する第1の部位41aと、研磨パッド12の表面に接する面(底面摺動部と称する場合もある)を有する第2の部位41bとを含んで構成される。環状体41の第2の部位41bは、図3に示す一点鎖線の交点O(A側)を略基準として大凡破線で示す位置まで揺動可能に構成される。
押しリング42は、図3に示すように、逆L字形状に形成された環状部材であり、エアバッグ52と接する部位と、第2の部位41bの外方側端部近傍(B側)を押圧する部位とを含んで構成される。
また、押しリング42は、エアバッグ52に封入された圧力流体の量に応じたパッド押圧力(圧力P3)が付与される。これにより押しリング42の上昇又は下降動作が可能となり、当該環状体41の第2の部位41bの外方側端部近傍(B側)が内包側近傍(A側)に比べて相対的に高い圧力で研磨パッド12を押圧することができる。
ウェーハはプラテンの回転により当該プラテン半径の接線方向に水平擦過力を受けることになり、研磨加工時ではウェーハ端部とリテーナ内壁の接触部ではスキマ(GAP)が0(ゼロ)となる。
なお、ウェーハ端部の応力は「P1、Gap、P2」の各値により解析することが可能でありEdge Stress(ヘルツ応力相当)と言われている。一般的にはGap=0の状態下でのウェーハ端部の研磨量を中心部と比較すると、P2>P1では中心部よりも小さくなり、P2<P1では大きくなる傾向になる。
このようにウェーハをセットした場合、ウェーハはプラテンの回転により当該プラテン半径の接線方向に水平擦過力を受けることになり、研磨加工時ではウェーハ端部の任意点におけるリテーナとウェーハ端部とのスキマは1回転中で例えば0~最大GAP値の範囲で連続的に変化してしまうこともある。このように同一のP2状態でGapが変化すると、ウェーハ端部おける応力分布は1回転中で複雑な挙動を示し、加工精度にバラツキが生じる主要因となる。
また、図5(b)のように区間Lがある場合、パッド変位量δ2と傾斜角度θによってL区間が形成されるとウェーハ端部に過・少研磨の生じない「P1、Gap、P2」の特定範囲が拡大され、相対的にGap変動に強いと言える。
次に、本実施形態の研磨加工装置100による研磨加工手順について説明する。図6は、研磨加工を実行する際の制御部20による主要な制御手順の一例を説明するためのフローチャートである。
制御部20は、研磨加工装置100のオペレータによる開始指示の入力受付を契機に制御を開始する(S100)。所定の初期加工後、研磨ヘッド13の保持機構によるウェーハWの保持を開始する(S101)。
制御部20は、所定量の圧力流体を供給し、圧力P1、P3を発生させる(S103)。これにより、ラバーメンブレン31を介してウェーハWへ、また、環状体41を介して研磨パッド12表面それぞれに向けて所定の圧力が付与される。
なお、この圧力P2、P3それぞれの調整は、例えば一の研磨加工が終了したウェーハ厚みの測定結果に基づいて補正値を決定し、次回の研磨加工において反映させるように構成してもよい。
制御部20は、研磨が終了したと判別した場合(S109:Yes)、研磨液供給機構に対して研磨液の供給停止を指示する(S110)。
Claims (6)
- 研磨加工の対象となる基板を、その被研磨面が研磨パッドに摺接するように保持する研磨ヘッドが有する、当該研磨加工の際に当該基板の外方への飛び出しを規制するリテーナリングであって、
前記リテーナリングは、
前記研磨ヘッドの外周に配設される、上底面を有する二重筒状体と、
略Σ形状に形成され、前記二重筒状体の内壁の外周に接す る第1の部位と、当該第1の部位との接続箇所を支点にして前記研磨パッドの表面に接触する面が揺動可能に構成された第2の部位とを有する環状体と、
前記環状体を前記研磨パッドの方向に押圧する第1の押圧手段と、
逆L字形状に形成された環状部材である押しリングを介して前記第2の部位の外方側端部近傍を押圧する第2の押圧手段と、 を有することを特徴とする、
リテーナリング。 - 前記第1の押圧手段により付与する圧力を制御して前記研磨パッドの表面を基準にしたときの前記第2の部位の傾斜角度を所定の角度となるように制御する制御手段を有することを特徴とする、
請求項1に記載のリテーナリング。 - 前記制御手段は、前記第2の押圧手段により付与する圧力を制御することを特徴とする、
請求項2に記載のリテーナリング。 - 水平に回転する研磨パッドを有する研磨加工装置に設けられる研磨ヘッドであって、
研磨加工の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持手段と、
前記基板を保持した状態の前記保持手段の外周を囲む形状に形成されたリテーナリングと、
前記保持手段を水平に回転させる駆動手段と、を有し、
前記リテーナリングは、
前記研磨ヘッドの外周に配設される、上底面を有する二重筒状体と、
略Σ形状に形成され、前記二重筒状体の内壁の外周に接す る第1の部位と、当該第1の部位との接続箇所を支点にして前記研磨パッドの表面に接触する面が揺動可能に構成された第2の部位とを有する環状体と、
前記環状体を前記研磨パッドの方向に押圧する第1の押圧手段と、
逆L字形状に形成された環状部材である押しリングを介して前記第2の部位の外方側端部近傍を押圧する第2の押圧手段と、 を有することを特徴とする、
研磨ヘッド。 - 前記リテーナリングは、前記保持手段に保持された基板の端部と当該リテーナリングの内周とが非接触状態となるサイズに形成されることを特徴とする、
請求項4に記載の研磨ヘッド。 - 研磨パッドを有する研磨テーブルと、研磨加工対象となる基板を保持してその被研磨面を当該研磨パッドに摺接させる研磨ヘッドと、を有する研磨加工装置であって、
前記研磨ヘッドは、
研磨加工対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持手段と、
前記基板を保持した状態の前記保持手段の外周を囲む形状に形成されたリテーナリングと、
前記保持手段を水平に回転させる駆動手段と、を有し、
前記リテーナリングは、
前記研磨ヘッドの外周に配設される、上底面を有する二重筒状体と、
略Σ形状に形成され、前記二重筒状体の内壁の外周に接す る第1の部位と、当該第1の部位との接続箇所を支点にして前記研磨パッドの表面に接触する面が揺動可能に構成された第2の部位とを有する環状体と、
前記環状体を前記研磨パッドの方向に押圧する第1の押圧手段と 、
逆L字形状に形成された環状部材である押しリングを介して前記第2の部位の外方側端部近傍を押圧する第2の押圧手段と、 を有することを特徴とする、
研磨加工装置。
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