JP2015223681A - 研磨ヘッド及び研磨処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板の被研磨面の研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラの発生を防ぐことができる研磨処理装置及びその構成装置を提供する。【解決手段】研磨ヘッド13の保持機構は、研磨処理の対象となる基板Wを、その被研磨面が研磨パッド12に摺接するように保持する。また、保持機構は滑り規制部材145であるCNTシートを含んで構成され、このCNTシートは、保持機構に保持された基板Wの被研磨面の背面に当接し、研磨処理の際に研磨パッド12と被研磨面との間に生じる摩擦力に比べて、被研磨面の背面と保持機構との間に生じる摩擦力を高くし、これにより保持機構に対する基板Wの相対的な水平方向への移動を規制する。【選択図】図3

Description

本発明は、半導体ウェーハ又はガラス基板などの基板を研磨して平坦化するための研磨ヘッド及び研磨処理装置に関する。
近年、半導体デバイスの製造工程においては、基板の高集積化に伴い、基板表面の平坦化技術がますます重要になっている。この平坦化技術のうち、最も重要な技術は、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)である。この化学的機械的研磨は、研磨処理装置(ポリッシング装置とも呼ばれる)を用いて、シリカ(SiO)等の砥粒を含んだ研磨液を研磨パッド上に供給しつつ、基板を研磨パッドに摺接させて研磨処理を行うものである。
このような研磨処理装置では、基板の研磨処理の対象となる面(以下、「被研磨面」という)と研磨パッドとの間の相対的な速度及び押圧力が被研磨面の全面に亘って均一でないと、研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラが生じてしまう。
基板表面の平坦度合の評価指標(フラットネス評価指標)として、GBIR(Global
Backsurface-referenced Ideal plane/Range)、SFQR(Site Frontsurface referenced least sQuares/Range)などがある。GBIRは、裏面基準のグローバルフラットネス指標であり、周縁部を除いて画定される全ウェーハ表面に関する平坦性の評価に使用される。GBIRは、半導体ウェーハの裏面を基準面とした場合、この基準面に対する半導体ウェーハの表面の最大、最小の厚さ偏差の幅と定義される。SFQRは、表面基準のサイトフラットネス指標であり、各サイト毎に評価される。SFQRは、半導体ウェーハ表面上に任意の寸法(例えば26[mm]×8[mm])のセルを決め、このセル表面について最小2乗法により求めた面を基準面としたときの、この基準面からの正および負の偏差の範囲と定義される。また、SFQRmaxの値は所与のウェーハ上の各サイト中のSFQRの最大値を表す。これらのフラットネス評価指標で表される平坦度合の高い研磨処理が行える研磨処理装置が求められる。
基板の研磨性能を高めるという観点からは、特許文献1に開示されたウェーハ研磨装置がある。このウェーハ研磨装置では、メンブレンサポートの通気孔を通して気密室内に供給された圧力によってメンブレンを変形させることにより、メンブレンとウェーハとの間の吸着力および摩擦力を最も効果的に発生させることが可能であるとしている。
具体的には、メンブレンが、気密室を収縮させる方向に変形する場合には、メンブレンはウェーハから引き離される方向に変位させられるが、メンブレンの表面には通気孔の周縁の外側に対応する位置に配置された平滑面部分が設けられ、該平滑面部分とウェーハとの間の気密状態の接触が維持され、ウェーハはメンブレンから離れることなく、メンブレンに吸着保持される。
一方、メンブレンが、気密室を膨張させる方向に変形する場合には、メンブレンの表面がウェーハの表面に押し付けられることになるが、メンブレンの表面には、平滑面部分よりも摩擦係数の高い高摩擦係数部分が設けられているので、両者は、表面全体が平滑であった従来のメンブレンの場合よりも高い摩擦力で結合され、メンブレンサポート側の自転回転力を効率よくウェーハに伝達することが可能となる、というものである。
特開2001−219368号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたウェーハ研磨装置では、メンブレンには微細凹凸部と平滑部があり、平滑面部分のみでウェーハを吸着するという構成である。そのため、例えばウェーハのサイズ、重さ、研磨処理工程の状況などに応じてメンブレンサポート及びメンブレンの平滑面部分をその都度、最適化しなければならない、という問題がある。その結果、研磨処理工程における段取り替えに費やすコスト、装置自体の製造コストが上昇するため、水平方向では高摩擦特性(低滑り)があり、垂直方向では低吸着特性のあるメンブレン材を探索する課題がある。
また、研磨処理の際に研磨パッドに押圧されて回転している基板は、公転方向での研磨作用力:Fによって、リテーナリングの内側面にその外端部が当接し、これにより外方への飛び出しが規制される。この「F」は、基板に対する面方向(基板の回転軸に対し垂直方向)の面内力として作用し、リテーナリングとの反力で面内座屈が発生し、面内過研磨部が生じる。また、外周端部ではリテーナリングとの摩擦による研磨圧力の減少による研磨不足部が生じる。その結果、被研磨面での特定部分におけるGBIR、SFQR等の向上が図れない、という課題が残る。
本発明は、基板の被研磨面の研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラの発生を防ぐことができる研磨処理装置及びその構成装置を提供することを、主たる課題とする。また、基板表面のGBIR、SFQR等の向上を図ることができる研磨処理装置及びその構成装置を提供する。
上記課題を解決する本発明の研磨ヘッドは、水平に回転する研磨パッドを有する研磨処理装置に設けられる研磨ヘッドであって、研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持機構と、この保持機構に保持された基板の前記被研磨面の背面に当接し、研磨処理の際に前記研磨パッドと前記被研磨面との間に生じる摩擦力に比べて当該被研磨面の背面と当該保持機構との間に生じる摩擦力を高くして当該保持機構に対する前記基板の水平方向への移動を規制する規制手段と、を有することを特徴とする。
また、本発明の研磨処理装置は、円形又は略円形の研磨パッドを有する研磨テーブルと、研磨処理対象となる基板を保持してその被研磨面を前記研磨パッドに摺接させる研磨ヘッドと、前記研磨ヘッド及び前記研磨テーブルを水平に回転させる駆動機構とを有し、前記研磨パッドの半径が前記基板の被研磨面の最大径よりも大きく構成されており、前記研磨ヘッドは、研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持機構と、この保持機構に保持された基板の前記被研磨面の背面に当接し、研磨処理の際に前記研磨パッドと前記被研磨面との間に生じる摩擦力に比べて当該被研磨面の背面と当該保持機構との間に生じる摩擦力を高くし、これにより当該保持機構に対する当該基板の水平方向への移動を規制する規制手段と、を有することを特徴とする。
本発明の研磨ヘッドによれば、研磨処理時において保持機構に対する基板の水平方向への相対的な移動が規制される。これにより、研磨処理の際に研磨パッドに押圧されて回転している基板の外方へ飛び出しが抑制されるとともに、基板の被研磨面の研磨不足あるいは過研磨などの研磨ムラの発生を防ぎ、基板表面のGBIR、SFQRの更なる向上を図ることができる。
第1実施形態に係る研磨処理装置の概略構成図。 第1実施形態に係る研磨ヘッドの構成の一例を示す図。 研磨ヘッドの概略縦断面図。 吸着機構により第1空間内の気体が吸引されることに伴い、基板が研磨ヘッドに保持されることを説明するための図。 (a)、(b)、(c)は、ワイヤメッシュMにより実現される機能を説明するための図。 (a)、(b)、(c)は、研磨ヘッドが基板を吸着保持し、研磨処理位置まで搬送しているときの当該基板の状態を説明するための図。 (a)、(b)、(c)は、研磨処理が終了した基板を搬出しているときの当該基板の状態を説明するための図。 (a)、(b)、(c)は、従来一般の研磨ヘッドでは、基板の被研磨面の外周付近の部位が、他の部位と比較して突出している様な形状(U形状)に形成されてしまうことを説明するための図。 (a)、(b)、(c)は、従来一般の研磨ヘッドにおける、研磨工程の際の回転力により付勢された基板の様子を説明するための図。 基板の被研磨面の背面とCNTシートとの間に生じる摩擦力を検証した検証結果を示すグラフ。 研磨処理装置による基板の研磨処理結果を説明するための図。 研磨処理装置において実行される研磨処理方法の全体手順説明図。 (a)、(b)は、保持機構の他の一例を説明するための図。 (a)、(b)は、第2実施形態に係る吸着機構を説明するための図。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態例を説明する。
ここで、本発明者らは子細に検討した結果、一般的な研磨処理装置による研磨処理では、基板の表面(被研磨面)プロファイルが、後述するU形状に形成される傾向がある事を見出した。本発明者らは、このU形状が、GBIR、SFQR等の評価結果を悪化させる要因であることを見出し、同時にそれらの要因発現を解明した。なお、被研磨面がU形状であるとは、被研磨面の外周付近の部位が、他の部位と比較して突出している様な形状となっていることをいう。また、基板外周部が突出した状態を、基板外周部の「立ち上がり」と称する場合がある。以下、これらの知見に基づき、GBIR、SFQR等の向上を図ることができる研磨処理装置について説明する。
本実施形態の研磨処理装置は、半導体ウェーハやガラス基板のような基板を研磨処理対象とする。本明細書では、この基板の一方の表面を円形又は略円形の被研磨面とする。
研磨処理装置は、研磨部材となる研磨パッドが接着され、この研磨パッドを水平に回転させるための研磨テーブルと、基板の被研磨面を研磨パッドに対向させて摺接させるための研磨ヘッドとを有している。
基板は、研磨ヘッドにより研磨パッドに押圧される。そして、研磨パッドに研磨液(スラリー)を供給しながら研磨テーブルと研磨ヘッドを回転させることにより、被研磨面の研磨処理を行う。以下、この研磨処理装置の実施の形態例を説明する。
[第1実施形態]
図1は、研磨処理装置1の概略構成図である。図1に示す研磨処理装置1は、研磨テーブル11の表面部に研磨パッド12が接着されており、基板Wを保持してその被研磨面を研磨パッド12に押圧する研磨ヘッド13の他、研磨液を研磨パッド12に向けて供給するためのノズルN、研磨テーブル11及び研磨ヘッド13をそれぞれ水平に回転させるためのモータ(図示省略)、ノズルNと接続されている研磨液供給機構(図示省略)、モータを含む各駆動部を制御するためのコンピュータを含む制御部20と含んで構成される。
研磨パッド12は円盤状のものであり、その半径は、基板Wの被研磨面の最大径(直径)よりも大きいものである。この機構において研磨パッド12と研磨ヘッド13回転数及び回転方向を変化させ、基板W面内の相対研磨速度を調整できる機構となっている。
また、研磨パッド12は、それ自体で弾性を持つものであり、不織布からなるものや、発泡ウレタン製のものなど、市場で入手できる素材を用いることができる。
研磨ヘッド13は、基板Wを、その被研磨面が研磨パッド12に摺接するように保持する保持機構と、保持された基板Wをその被研磨面の背面側から研磨パッド12の方向に押圧する押圧機構とを主として備えている。これらの機構の詳細については後述する。
制御部20は、ノズルNの位置決め、ノズルNからの研磨液の供給開始又は停止制御、ノズルNから噴出供給される研磨液の単位時間当たりの供給量制御、モータの始動開始や始動停止制御等を主として行う。制御部20により制御されたモータの回転力は、図示しない駆動部を介して研磨テーブル11に伝達される。これにより研磨テーブル11が水平に回転し、あるいは回転を停止する。
研磨ヘッド13にも、図示しない駆動部(例えば自在継手)を介してモータの回転力が伝達される。これにより研磨ヘッド13が水平に回転し、あるいは回転を停止する。
研磨テーブル11の回転方向と研磨ヘッド13の回転方向は同方向であることが一般的ある。これは、逆方向とすると不均一研磨となるおそれがあるためである。同じ方向でありながら、回転速度の調整により、研磨精度を高めることができる。
なお、単一のモータの回転力を、それぞれ異なるギア比のギアを介して研磨テーブル11及び研磨ヘッド13に伝達するようにしても良く、それぞれ個別のモータを通じて回転力を伝達するようにしても良い。両者は任意に設計することができる。この制御部20による制御手順については、後述する。
研磨液は、制御部20の制御により研磨テーブル11の回転速度が所定値に達した状態で、ノズルNから所定時間、研磨パッド12に向けて供給される。
[研磨ヘッド]
次に、研磨処理装置1が備える研磨ヘッド13の構成について、詳しく説明する。図2は、研磨ヘッド13の構成の一例を示す図である。
図2に示す研磨ヘッド13は、蓋体131、第1エアバッグ132、リング形状の第2エアバッグ133、第1圧力円板134、リング形状の第2圧力円板135、内周側の所定位置に撓み規制部材の一例であるワイヤメッシュMが配備されたトップリング136、弾性体137、弾性膜138、テンプレートバックフィルム139(以下、バックフィルム139と示す)、テンプレートリテーナリング140(以下、リテーナリング140と示す)、滑り規制部材145(図2においては不図示)、シール150(図2においては不図示)、シール保持リング151を含んで構成される。
なお、第1エアバッグ132と第1圧力円板134を組み合わせたものを第1の押圧体と称する場合がある。また、第2エアバッグ133と第2圧力円板135を組み合わせたものを第2の押圧体と称する場合がある。
研磨ヘッド13は、また、図示しない流体供給機構に連接されたエアパイプ(不図示)を介して、第1エアバッグ132及び第2エアバッグ133へ向けそれぞれ個別に圧力流体(例えば圧縮空気)を供給し、あるいは、供給した圧力流体を回収可能に構成される。各エアバッグそれぞれに個別に圧力流体が封入されて膨張することにより、封入された圧力流体の量に応じて基板Wを押圧するための加工圧力を発生する。また、研磨ヘッド13は、蓋体131、トップリング136、弾性膜138により囲まれた内部空間(以下、第1空間と称す)内の気体を吸引する(真空引きする)機能を有する吸着機構(不図示)を有する。なお、圧力流体の供給又は供給した圧力流体の回収、内部空間の気体の吸引などは制御部20の制御により行われる。
以下、図3を参照しながら、各構成について詳細に説明する。
図3は、研磨ヘッド13の概略縦断面図である。研磨ヘッド13は、大別して、基板W を保持する保持機構と、この保持機構が保持した基板Wを押圧する押圧機構とを有する。
[保持機構]
保持機構は、研磨テーブル11及び研磨ヘッド13の回転力により付勢された基板Wの外周方向への飛び出しを規制したり、また、処理前の基板Wを装置の処理開始位置まで搬入したり、処理後の基板Wを装置の外方へ搬出したりする際に当該基板Wを吸着保持する吸着機構を有する。保持機構は、基板Wの被研磨面を研磨パッド12に対向(当接)させ、摺接した状態で、この基板Wの中心軸と自身の回転軸とが一致するように保持する。具体的には、保持機構は、バックフィルム139(図3において不図示)、リテーナリング140、滑り規制部材145、シール150、シール保持リング151を含んで構成される。
バックフィルム139は、リテーナリング140に張設されるフィルム状の薄膜であり、例えばリテーナリング140単体の場合と比較したときに、研磨時のリンキング保持を容易にする。
リテーナリング140は、基板W及び滑り規制部材145の外周を取り囲み、且つ、その内側面と基板Wの外端との間が所定の距離だけ離間するようなサイズで形成されたリング形状の部材である。
滑り規制部材145は、基材表面に高摩擦係数の部材の一例であるCNT(カーボンナノチューブ)を林立させたシート(以下、CNTシートと称す)状の部材である。この滑り規制部材145は、CNTが林立された林立面が基板Wの被研磨面の背面と当接するように配備される。これにより、研磨処理を行っている際に基板Wが横滑り(水平方向への移動)してしまうことを防ぎ、当該基板Wの側端がリテーナリング140の内側面への当接が抑止される。詳細については、後述する。なお、CNTシートは、滑り方向(水平方向)において高摩擦特性を、垂直方向には極低吸着な特性を有するものである。
シール150は、図3に示すように、弾性膜138の外底面、リテーナリング140の内側面、基板Wの側端により囲まれた空間(以下、第2空間と称す)を密閉するための、例えばリング状に形成された中空チューブである。このシール150は、図3に示すように、断面略L字状に形成されたリングであるシール保持リング151により所定の位置に保持される。第2空間を吸引密閉することにより、研磨ヘッド13に基板Wが吸着保持され、これにより処理前の基板Wの搬入、及び、処理後の基板Wの搬出を確実に行うことができる。以下、基板Wの搬入・搬出の工程について図4を用いて説明する。
図4は、吸着機構により第1空間内の気体が吸引されることに伴い、基板Wが研磨ヘッドに保持されることを説明するための図である。
図4に示す弾性膜138は、トップリング136の外周面に嵌装できる内径サイズで筒状(鍋型)に形成された弾性筒状体である(図3参照)。弾性膜138は、また、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ポリウレタンゴム、シリコンゴム等の強度及び耐久性に優れたゴム材によって形成される。なお、弾性膜138は、メンブレンとも呼ばれる。
弾性膜138の内側には、それぞれの中心軸が一致するように弾性体137が配備される(図3参照)。また、弾性膜138は、その内周面がトップリング136の外周面と密接されており、これにより当該トップリング136に保持される(図3参照)。
また、弾性膜138には、吸着機構により第1空間内の気体が吸引されることに伴い、第2空間内の気体が第1空間へと流入するように、第1空間と第2空間とを連通する連通孔(不図示)が形成されている。第2空間内の気体が第1空間へ流入することにより、図4に示すように、基板Wと滑り規制部材145(CNTシート側)の間に介在する気体も図中に示す矢印方向に向けて移動する。そのため、基板Wと滑り規制部材145(CNTシート側)の間が密接状態(真空状態)となり、吸着力が発生する。このようにして、研磨ヘッド13は基板Wを吸着保持する。
なお、弾性膜138に形成される連通孔は、例えば複数の円形の連通孔を円周上に等間隔に配備するなど、吸着機構の吸引力、処理対象の基板のサイズ、あるいは重量、搬送における移動距離などに応じて設定する。また、研磨ヘッド13による基板Wの吸着保持、吸着保持した基板Wの搬送などは、制御部20により制御される。
[押圧機構]
図3に戻り、押圧機構は、図示しない駆動機構と連結される蓋体131、第1エアバッグ132、第2エアバッグ133、第1圧力円板134、第2圧力円板135、トップリング136、ワイヤメッシュM、弾性体137、弾性膜138とを含んで構成される。また、蓋体131、トップリング136、弾性体137により形成された内部空間(第1空間)には、第1エアバッグ132、第2エアバッグ133、第1圧力円板134、第2圧力円板135、弾性体137、撓み規制部材の一種であるワイヤメッシュMがそれぞれ所定の位置に配備される。
蓋体131は、環状に形成された蓋部、この蓋部の上底面側の中心付近でそれぞれの中心軸が一致するようにリング状に形成された部位、下底面側の外周付近でそれぞれの中心軸が一致するようにリング状に形成された部位を含んで形成される。上底面側でリング状に形成された部位は、図示しない駆動機構と連結される。
第1圧力円板134は、その下底面の中心付近の部位が弾性体137側に向かって突出した断面コマ状に形成された筒状体である。第1圧力円板134は、第2圧力円板135に対し相対的に昇降可能に連結される。また、第1圧力円板134は、第1エアバッグ132に封入された圧力流体の量に応じて滑らかに上昇あるいは下降する。
なお、第1圧力円板134の下底面は、被研磨面の表面プロファイルに応じた押圧力が弾性体137を通じて基板Wに付与されるような形状に形成することができる。例えば、図3に示すような断面コマ状に形成する他に、凸面球状に形成したりすることもできる。
第2圧力円板135は、その下底面の外周付近の部位が弾性体137側に向かって突出した凹状断面に形成された環状体である。第2圧力円板135は、トップリング136に対し相対的に昇降可能に連結される。また、第2圧力円板135は、第2エアバッグ133に封入された圧力流体の量に応じて滑らかに上昇あるいは下降する。
なお、第2圧力円板135の下底面は、被研磨面の表面プロファイルに応じた押圧力が弾性体137を通じて基板Wに付与されるような形状に形成することができる。例えば、図3に示した様な凹状円錐断面に形成する他に、凹球面状に形成したりすることもできる。
トップリング136は、蓋体131の外周サイズと同じ内周サイズでリング状に形成される。
弾性体137は、例えばポリウレタンゴム、シリコンゴム等の低弾性・低反発性の素材によって形成された低弾性体であり、例えばこれらの素材により円柱状に形成されたスポンジである。第1の押圧体の押圧力及び第2の押圧体の押圧力は、弾性体137を通じて基板Wに付与される。
例えば、弾性体137を介さない従来法では基板Wに均等形状圧しか付与できなかった。つまり、弾性体137を通じて基板Wに押圧力を付与する構成にすることにより、第1圧力円板134の下底面及び第2圧力円板135の下底面それぞれを、任意の形状に形成することができる。これにより、被研磨面の表面プロファイルに応じた押圧力分布の押圧力を基板Wに付与することができる。
このように、研磨ヘッド13の押圧機構では、第1圧力円板134が第1エアバッグ132で発生した押圧力を受けて、弾性体137を押圧する。また、第2圧力円板135が第2エアバッグ133で発生した押圧力を受けて、弾性体137を押圧する。そして、第1圧力円板134の下底面の形状、第2圧力円板135の下底面の形状それぞれに応じた押圧力分布の押圧力が、弾性体137を通じて弾性膜138から基板Wに付与されることになる。
以下、撓み規制部材の一種であるワイヤメッシュMの機能について説明する。
図5は、ワイヤメッシュMにより実現される機能を説明するための図である。
ワイヤメッシュMは、研磨ヘッド13の保持機構により基板Wを吸着保持する際に生じる当該基板Wの撓み、回転力による弾性体137の周方向のねじれ歪みなどの発生を緩和するためのものである。ワイヤメッシュMは、例えば金属材料からなるワイヤをメッシュ状に編み込んで、例えばもち焼き網状に形成される。このように形成されたワイヤメッシュMをトップリング136の内側面の所定部位に接続する。この所定部位は、弾性体137が押圧された際にワイヤメッシュMが弾性膜138の内底面と接触しないような位置である。なお、トップリング136の内側面上の接続箇所は、第1エアバッグ132、第2エアバッグ133で発生させる押圧力、ワイヤメッシュMの強度などに応じて設定する。
弾性体137には、図5(a)に示すようなワイヤメッシュMの形状に対応したガイド溝Gが形成される。このガイド溝Gに沿ってワイヤメッシュMが弾性体137の内部に挿入される。これにより、弾性体137が押圧された際にワイヤメッシュMが弾性膜138の内底面と接触してしまうことを防ぐことができる。
図5(b)は、弾性体137のガイド溝Gに沿ってワイヤメッシュMが挿入され、当該弾性体137に配備された状態を示す概略縦断面図である。図5(b)に示すように、ガイド溝Gに沿って挿入されたワイヤメッシュMと弾性膜138の内底面との間には所定の距離(例えば、3[mm])だけ離間した状態になる。
図5(c)は、図5(b)の状態の弾性体137に第1圧力円板134、第2圧力円板135を介して押圧力が付与されたときの様子を示す図である。押圧力Pが付与された弾性体137は、図5(c)に示すように、基板Wの被研磨面の背面側(図5(c)正面から見て下側)へ向けて圧縮される。この押圧力Pによる弾性体137の圧縮に伴い、ワイヤメッシュMも基板W側(図5(c)正面から見て下側)に向けて押圧されることになる。
また、ガイド溝Gも圧縮され、その溝を形成する空間をつぶすように弾性体137が侵入する。その結果、弾性体137に押圧力Pが付与された状態、つまり基板Wを押圧している状態において、ワイヤメッシュMが弾性膜138の内底面を直接押圧することを防ぐことができる。さらに、このワイヤメッシュMは、研磨ヘッド13の回転力により弾性体137に生じる周方向のねじれ歪みを抑制する。
また、このワイヤメッシュMは、搬送工程において研磨ヘッド13が基板Wを吸着保持する際の基板Wに生じる撓みを抑制(規制)する。以下、この点について、図6、図7を用いて説明する。
図6は、研磨ヘッド13が基板Wを吸着保持し、研磨処理位置まで搬送しているときの当該基板Wの状態を説明するための図である。また、図7は、研磨処理が終了した基板Wを搬出しているときの当該基板Wの状態を説明するための図である。
研磨ヘッド13は、図6(a)に示すように、研磨処理開始の指示の受け付けを契機に、例えば処理前の基板Wが載置されている基板受け渡しテーブルまで移動して当該基板Wを受け取る。なお、処理前の基板Wは、例えばテーブルに備えられた真空チャックなどを介して吸着固定されている。そして、テーブル上の所定位置に到達した研磨ヘッド13は、固定が解除された基板Wを吸着保持する。
このとき、研磨ヘッド13に吸着された基板Wは、図6(b)に示すように、吸着機構による真空引きにより生じた負圧を受けて撓みが生じる。このときの撓みが大きくなればなるほど、基板W表面における亀裂の発生で破損が生じる可能性が高まる。しかしながら、本実施形態に係る研磨ヘッド13では、ワイヤメッシュMにより、亀裂、破損の発生につながるような大きさの「撓み」の発生が抑制されることになる。その結果、より確実・安全に基板Wを搬送することができるとともに、研磨処理工程における製品歩留まりの改善を図ることができる。
その後、図6(c)に示すように、研磨ヘッド13が研磨テーブル11の所定の処理位置に到達したことを契機に吸着保持を解除する。つまり、吸着機構による吸引を停止する。そして、基板Wに押圧力Pを付与し、研磨工程が開始される。
また、研磨ヘッド13は、図7(a)に示すように、研磨工程の終了を契機に研磨処理後の基板Wを吸着保持する。
このとき、研磨ヘッド13に吸着された基板Wは、図7(a)に示すように、吸着機構による真空引きにより生じた負圧を受けて撓みが生じる。しかしながら、本実施形態に係る研磨ヘッド13では、ワイヤメッシュMにより、亀裂、破損の発生につながるような大きさの「撓み」の発生が抑制されることになる。その結果、研磨工程後においても、より確実・安全に基板Wを搬送することができるとともに、研磨処理工程における製品歩留まりの改善を図ることができる。
その後、図7(b)に示すように、研磨ヘッド13が研磨後の基板Wを載置するテーブルまで移動し、吸着保持を解除して当該基板Wを所定の位置に載置する。なお、研磨ヘッド13の吸着保持の解除と同じタイミングで、例えばテーブルに備えられた真空チャックによる吸着を開始する。このようにして、図7(c)に示すように、研磨後の基板Wがテーブルに固定される。なお、この吸着保持の解除では、滑り規制部材145においても垂直方向保持力の低下が必要特性となる。したがって、本実施形態に係る研磨処理装置1に採用しているCNTシートが有する垂直方向での極低吸着な特性は理想的なものとなる。つまり、滑り規制部材145にCNTシートを採用した場合、基板Wの背面に吸着することがなく、その結果、吸着保持の解除のための機構(例えば、吸着状態の密接面の一部を剥離させ、そこから気体を密接面に侵入させるための機構など)が不要となる。さらに、研磨処理の際の基板Wの水平方向への移動を規制することもできる。
図8は、従来一般にある研磨ヘッドでは、基板Wの被研磨面の外周付近の部位が、他の部位と比較して突出している様な形状(U形状)に形成されるまでの挙動を説明するための図である。
研磨処理において基板Wは、図8(a)に示すように、その背面側から押圧力Pが付与されて研磨パッドに押し付けられる。この押圧力Pは、基板W、研磨パッド、研磨液などの研磨加工特性に応じてその強さが決定される。
また、図8(b)に示すように、基板Wはリテーナリングにより外周方向への飛び出しが規制されている。そのため、研磨テーブルの回転力(N1)、研磨ヘッドの回転力(N2)による付勢により、基板Wには、被研磨面の面積:Aと押圧力:Pとウェーハと研磨パッド間の摩擦係数:μの関係に基づく面内力:F=A・P・μが作用する。この内面力:Fが作用することにより、図8(b)に示すように、基板Wには研磨パッドの側に向かう「撓み(座屈撓み)」が生じる。さらに、リテーナリングの内側面と接する基板Wの側端には、リテーナリングとの摩擦の影響でモーメント:Mが作用し、この側端を含む部位においても「撓み」が生じてしまう。その結果、基板Wの撓みが生じた被研磨面の部位では、過研磨が発生したり、研磨不足が発生したりしてしまう。その結果、基板Wの研磨加工厚さは、図8(c)に示すように、被研磨面の外周付近の部位が、他の部位と比較して突出している様な形状(U字形状)を示すものとなってしまう。
以下、研磨工程の際の回転力により付勢された基板Wの様子を、図9を用いて説明する。
図9は、従来一般の研磨ヘッドにおける、研磨工程の際の回転力により付勢された基板Wの様子を説明するための図である。図9(a)は、研磨されている基板Wを上方から見たときの様子を模式的に示した図である。図9(b)、(c)は、図9(a)において一点鎖線の円で囲まれた部位の詳細を示す概略縦断面図である。なお、図において、研磨パッドと基板Wの被研磨面との間の摩擦係数、つまり基板Wの被研磨面側の摩擦係数をμpwとし、メンブレンと基板Wの被研磨面の背面との間の摩擦係数、つまり基板Wの背面側の摩擦係数をμmwとして示している。
一般的な研磨ヘッドを用いた場合、図9(a)に示すように、回転力により付勢された基板Wはその回転方向に応じて一端側がリテーナリングの内側面に近づく方向に滑り、これに応じて他の一端がリテーナリングの内側面から遠ざかる方向に滑る。
図9(b)に示す基板Wでは、内面力Fが矢印方向に作用することにより、当該基板Wの側端とこれに対向するリテーナリング140の内側面との間が離間することになる。また、図9(c)に示す基板Wでは、内面力Fが矢印方向に作用することにより、当該基板Wの側端がリテーナリング140の内側面を押圧し、図中に示すような方向に摩擦抵抗が生じることになる。そのため、基板Wには、先述の図8(b)に示すような面内座屈現象による「撓み」が要因となる面内過研磨部が生じる。また、外周端部ではリテーナリングとの摩擦による研磨圧力の減少による研磨不足部が生じて被研磨面がU形状となって、GBIR、SFQR等が低下することになる。
図10は、本実施形態に係る研磨ヘッド13の構成に関連する部材の摩擦係数の測定結果である。図10に示すように、本検証では研磨パッド(pad)、メンブレン材のラバー(Rubber)やラバーメッシュ(Rub.Mesh)、基板水平保持材のカーボンナノチューブシート(CNT)を比較している。
例えば、研磨パッド(研磨パッド12)と基板Wの被研磨面との間の摩擦係数:μpw=0.286に対し、CNTシートと基板Wの被研磨面の背面との間の摩擦係数:μmw=5.0であることが見てとれる。つまり、研磨処理時おいて、μmw>μpwとなり、その結果、研磨処理を行っている際の基板Wの横滑り(水平方向への移動)の発生を防ぐことができる。このように、CNTシートは、滑り規制部材として他のものよりも優れた高摩擦特性高を有することが判明した。なお、図中のRub.Meshは特許文献1(特開2001−219368号公報)に開示されたウェーハ研磨装置のメンブレン材に相当し、現状での研磨摩擦係数0.3〜0.7よりも小さな値である。
図11は、研磨処理装置1による基板Wの研磨処理結果を説明するための図である。
図11に示すグラフの上部には、基板Wを模式的に示した図が示されており、矢印方向に向けて内面力Fが作用しているものとして説明を進める。
また、グラフ中で「Before」と示された計測結果は、研磨前の基板データーであり、「After」と示された計測結果は、研磨後のデーターである。
図11(a)は従来の研磨ヘッドでの研磨結果であり、基板外周端面の研磨不足が観察できる。図11(b)は本実施形態に係る研磨ヘッド13での研磨結果であり、基板外周部での研磨不足が大幅に改善されている。
図11に示すグラフからは、研磨ヘッド13を用いて研磨処理を行った場合の被研磨面は、従来一般の研磨ヘッドを用いた研磨処理よりもその平坦性が向上していることが見て取れる。
[研磨処理のための制御手順]
次に、本実施形態の研磨処理装置1による研磨処理手順について説明する。図12は、研磨処理方法を実行する際の制御部20による主要な制御手順の説明図である。
制御部20は、研磨処理装置1のオペレータによる開始指示の入力受付を契機に制御を開始する(S100)。所定の初期処理後、研磨ヘッド13の保持機構による基板Wの吸着保持を開始する。
制御部20は、吸着機構による吸引を開始する(S101)。制御部20は、吸引を開始してから規定の時間(第1規定時間)が経過したか否かを判別する(S102)。なお、第1規定時間が経過したか否かは、図示しない第1タイマにより行う。
規定の時間が経過したと判別した場合(S102:Yes)、制御部20は、研磨ヘッド13を研磨処理の開始位置へ移動させる(S103)。また、そうでない場合(S102:No)、規定時間が経過するまでの間吸引を継続する。
制御部20は、研磨処理の開始位置において吸着機構による吸引を解除(終了)するとともに、第1エアバッグ132及び第2エアバッグ133の各々に所定量の圧力流体が供給されるように流体供給機構に指示を出し、基板Wや研磨パッド12に向けて押圧力を与える(S104)。
制御部20は、また、図示しないセンサ部を通じて基板Wに適切な押圧力が与えられているかを確認する。押圧力が適切であることを確認した場合は(S105:Yes)、研磨テーブル11、並びに、研磨ヘッド13の回転を開始するように、図示しないモータへ指示を出す(S106)。これにより、研磨テーブル11と研磨ヘッド13が、水平に回転を開始する。
研磨テーブル11と研磨ヘッド13の回転開始を指示した後、制御部20は、ノズルNの位置決めを指示するとともに、研磨液供給機構に対して研磨液の供給を開始させるように指示を出す(S107)。これにより、研磨液がノズルNから研磨パッド12の表面に向けて供給される。
研磨液の供給開始指示後、規定の研磨時間(第2規定時間)が経過したことを図示しない第2タイマによって検知すると(S108:Yes)、制御部20は、研磨液供給機構に対して研磨液の供給停止を指示する(S109)。
その後、制御部20は、研磨テーブル11と研磨ヘッド13の回転を止めるように、モータへ停止指示を出す(S110)とともに、供給した圧力流体を回収するように圧力流体供給機構に指示を出す(S111)。
制御部20は、吸着機構による吸引を開始する(S112)。制御部20は、吸引を開始してから規定の時間(第1規定時間)が経過したか否かを判別する(S113)。
規定の時間が経過したと判別した場合(S113:Yes)、制御部20は、研磨後の基板Wを次工程へ搬送する搬送位置に研磨ヘッド13を移動させ、その後吸着保持を解除(終了)する(S114)。これにより、一連の研磨処理が終了する。
このように、本実施形態に係る研磨処理装置1では、研磨処理時において研磨ヘッド13の保持機構に対する基板Wの水平方向への相対的な移動を規制することができる。その結果、基板Wの外端部がリテーナリング140の内側面に当接してしまうことを抑制することができる。これにより、研磨処理の際に研磨パッド12に押圧されて回転している基板Wの外方へ飛び出しが抑制されるとともに、面内座屈による過研磨や外径端部での研磨不足による基板の研磨ムラの発生を防ぎ、基板表面のGBIR、SFQR等の更なる向上を図ることができる。
また、それ自体では吸着機能を有しないCNTシートを採用した場合であっても、吸着機構により研磨処理前後における基板Wの搬入出が従来機器よりも簡便でより確実に行うことができる。
また、撓み規制部材の一例であるワイヤメッシュMを配備することにより、搬入/搬出時に生じる基板Wの撓みの発生を効果的に緩和することができる。
なお、リテーナリング140は、本来、研磨処理の際の回転力による基板Wの飛び出しを防ぐためのものである。本実施形態に係る研磨処理装置1では、研磨処理を行っている際の研磨ヘッド13に対する基板Wの横滑り、つまり水平方向への相対移動を効果的に規制することができるため、リテーナリング140を有さない研磨ヘッドとして構成することもできる。これにより、装置製造のさらなるコストダウンを図ることができる。
[変形例]
図13は、研磨処理装置1が有する保持機構の他の一例を説明するための図である。
図13(a)に示す例では、リテーナリングを上下に2分割されており、Oリングがそれぞれの間に挟まれて保持されるとともに、当該Oリングが基板Wの外端部に当接するように構成される。このように構成することにより、Oリングの着脱が容易になり、メンテナンスの効率化を図ることができる。
また、図13(b)に示す例では、リテーナリングとシール保持リングとによりシールチューブが保持されるとともに、当該シールチューブが基板Wの外端部に当接するように構成される。さらに、シール保持リングは、基板Wの外端部にシールチューブを当接させたり、当該外端部から離間させたりするための図示しない当接離間機構に接続される。シール保持リングは、当接離間機構から駆動力が伝達されることにより、図14(b)に示す矢印方向に移動可能に構成される。このように構成することにより、Oリングの着脱が容易になり、メンテナンスの効率化を図ることができる。
[第2実施形態]
本実施形態では、第1実施形態において説明した吸着機構に替えて、電気レオロジーゲルを用いた吸着機構を備えた研磨処理装置について説明する。なお、第1実施形態において既に説明した機構構成と同じものは、同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
図14は、本実施形態に係る吸着機構を説明するための図である。図13(a)は、CNTシートと電気レオロジーゲルシートとを含んで構成された滑り規制部材145の概略縦断面図であり、図14(b)は、その底面図である。
図14に示す電気レオロジーゲルシート146は、電気絶縁性媒体中に特殊粒子を分散させた流体であって、電界を印加すると流体の粘度が著しく増大する性質を有するゲルであり、このような性質は、電気レオロジー効果(ER効果)またはウィンズロー効果と呼ばれる。
図14に示すように、例えば基板Wの被研磨面の背面と当接するCNTシートの中心部位を含む所定範囲の領域(部位)に電気レオロジーゲルシート146を配備する。このような性質を有する電気レオロジーゲルが塗布された電気レオロジーゲルシート146をCNTシート面の一部に配備し、制御部20が電圧の印加、又はその解除を制御する。これにより、当該基板Wの吸着保持、又はその解除を容易に行うことができる。特に、吸着機構に密接した基板Wを剥離(吸着解除)させるために、例えば密接面に外力を加えてその一部を剥離させて気体を流入させることなどが不要となる。そのため、生産性の向上を図ることができる。なお、電気レオロジーゲルは、例えば特許第4504048号公報に記載のものを用いることができる。
このように、本実施形態に係る研磨処理装置では、基板Wを吸着保持するための吸着機構をシンプルな構成にすることができる。
上記説明した実施形態は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が、これらの例に限定されるものではない。
1・・・研磨処理装置、11・・・研磨テーブル、12・・・研磨パッド、13・・・研磨ヘッド、20・・・制御部、131・・・蓋体、132・・・第1エアバッグ、133・・・第2エアバッグ、134・・・第1圧力円板、135・・・第2圧力円板、136・・・トップリング、137・・・弾性体、138・・・弾性膜、139・・・テンプレートバックフィルム、140・・・テンプレートリテーナリング、145・・・滑り規制部材(CNTシート)、146・・・電気レオロジーゲルシート、150・・・チューブシール、W・・・基板、N・・・ノズル、M・・・ワイヤメッシュ。

Claims (8)

  1. 水平に回転する研磨パッドを有する研磨処理装置に設けられる研磨ヘッドであって、
    研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持機構と、
    この保持機構に保持された基板の前記被研磨面の背面に当接し、研磨処理の際に前記研磨パッドと前記被研磨面との間に生じる摩擦力に比べて当該被研磨面の背面と当該保持機構との間に生じる摩擦力を高くして当該保持機構に対する当該基板の水平方向への移動を規制する規制手段と、を有することを特徴とする、
    研磨ヘッド。
  2. 前記規制手段は、前記保持機構に保持された基板の背面に吸着することなく当該基板の水平方向への移動を規制することを特徴とする、
    請求項1に記載の研磨ヘッド。
  3. 前記規制手段は、基材表面にカーボンナノチューブが林立されたカーボンナノチューブシートであり、この林立面が前記被研磨面の背面に当接するように構成されたことを特徴とする、
    請求項1又は2に記載の研磨ヘッド。
  4. 前記保持機構は、前記被研磨面の背面と前記規制手段との間に介在する気体を吸引して前記基板を保持するための吸着機構を有することを特徴とする、
    請求項1、2又は3に記載の研磨ヘッド。
  5. 前記吸着機構は、前記被研磨面の背面に当接する前記林立面の所定の領域に配備された電気レオロジーゲルにより前記基板を吸着することを特徴とする、
    請求項4に記載の研磨ヘッド。
  6. 前記保持機構に保持された基板を前記被研磨面の背面側から前記研磨パッドの方向に押圧する押圧機構をさらに有し、
    前記押圧機構は、圧力流体が封入されることにより前記基板の背面方向に向けて当該圧力流体の量に応じた押圧力が生じるように形成された押圧体と、
    この押圧体に接して配備された弾性体と、当該押圧体に前記圧力流体を供給する流体供給機構とを含み、当該圧力流体の封入により生じた押圧力が当該弾性体を通じて前記保持機構に保持された前記基板の背面側に付与されるように構成されており、
    前記弾性体には、研磨処理の際に生じる当該弾性体の周方向へのねじれ歪を規制する歪規制部材が配備されていることを特徴とする、
    請求項1乃至5いずれか一項に記載の研磨ヘッド。
  7. 前記歪規制部材は、前記吸着機構が前記基板を吸着したときに当該基板に生じる撓みを規制するように構成されたことを特徴とする、
    請求項6に記載の研磨ヘッド。
  8. 円形又は略円形の研磨パッドを有する研磨テーブルと、研磨処理対象となる基板を保持してその被研磨面を前記研磨パッドに摺接させる研磨ヘッドと、前記研磨ヘッド及び前記研磨テーブルを水平に回転させる駆動機構とを有し、
    前記研磨パッドの半径が前記基板の被研磨面の最大径よりも大きく構成されており、
    前記研磨ヘッドは、
    研磨処理の対象となる基板を、その被研磨面が前記研磨パッドに摺接するように保持する保持機構と、
    この保持機構に保持された基板の前記被研磨面の背面に当接し、研磨処理の際に前記研磨パッドと前記被研磨面との間に生じる摩擦力に比べて当該被研磨面の背面と当該保持機構との間に生じる摩擦力を高くし、これにより当該保持機構に対する当該基板の水平方向への移動を規制する規制手段と、を有することを特徴とする、
    研磨処理装置。
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